住宅金融支援機構の業務|証券化支援事業を条文で追う
独立行政法人住宅金融支援機構法を6章の条文地図として読み解きます。2条の定義、13条から21条・22条・23条へ流れる買取型の資金、保証型の保険関係要件、16条の委託、19条の債券発行までを条文根拠つきで整理。
目次
本記事の役割 — この記事は、宅建試験の問46で問われる住宅金融支援機構について、独立行政法人住宅金融支援機構法(平成17年法律第82号)の条文そのものを地図として読むためのものです。13条1項の各号がどんな貸付けを並べているかという列挙の中身は問46〜50の攻略が扱っているので、こちらでは13条の周辺、すなわち定義(2条)・業務の実施(14条)・緊急時の要求(15条)・委託(16条)・区分経理(17条)・資金調達(19条から25条)・主務大臣(29条)・適用除外(30条・31条)・附則を扱います。
住宅金融支援機構は、条文の一部だけを切り取って学習されがちな分野です。学習の中心はふつう13条1項の号の列挙に置かれ、そこにフラット35の商品条件が接ぎ木されます。しかし機構法は全6章36条と、22条まである附則からできていて、13条は第3章のうちの1条にすぎません。
そして、この記事で扱う条文の多くは、市販教材の索引に載っていません。機構が譲り受けた債権をどうやって現金に変えているのか(21条・22条)、誰が返済を受け取っているのか(23条1項)、機構債券の債権者はどんな地位にあるのか(19条4項・5項)、機構が委託できない業務は何か(16条1項)、主務大臣は誰か(29条)。いずれも条文を開けば1行で確定する事実ですが、条文を開かない限り一生わからない事実でもあります。
もうひとつ、先に断っておきたいことがあります。「証券化支援事業」「買取型」「保証型」「フラット35」という語は、機構法の条文には一語も出てきません。 条文が使うのは「貸付債権の譲受け」「債権譲受業務」(21条)「特定債務保証」(13条1項2号)という言葉です。教材で使われる呼び名と条文の言葉を対応づけないまま暗記すると、条文の語で出題された瞬間に手が止まります。この記事は、呼び名と条文語を最初から結びつけて読む方針をとります。
以下、条文の基準日は2026年4月1日(令和8年度試験の出題根拠となる日)で統一しています。参照した版は独立行政法人住宅金融支援機構法の 417AC0000000082_20260401_507AC0000000047(令和7年法律第47号による改正後)です。
住宅金融支援機構法は6章でできている|13条だけを見ると落ちる
章構成を先に頭に入れる
機構法の本則は36条あり、次の6章に分かれています。
第1章が総則で、1条から7条まで。目的(1条)、定義(2条)、名称(3条)、機構の目的(4条)、中期目標管理法人であること(4条の2)、事務所(5条)、資本金(6条)、名称の使用制限(7条)。
第2章が役員及び職員で、8条から12条まで。役員として理事長と監事3人を置き、副理事長1人と理事6人以内を置くことができること(8条)、副理事長の任期は4年で理事の任期は2年であること(10条)、役員及び職員の秘密保持義務(11条)、役員及び職員が刑法その他の罰則の適用について法令により公務に従事する職員とみなされること(12条)。
第3章が業務で、13条から16条まで。業務の範囲(13条)、業務の実施(14条)、緊急の必要がある場合の主務大臣の要求(15条)、業務の委託(16条)。
第4章が財務及び会計で、17条から25条まで。区分経理(17条)、利益及び損失の処理の特例等(18条)、長期借入金及び住宅金融支援機構債券等(19条)、債務保証(20条)、機構債券の担保のための貸付債権の信託(21条)、貸付債権の信託の受益権の譲渡等(22条)、信託の受託者からの業務の受託等(23条)、償還計画(24条)、金利変動準備基金(25条)。
第5章が雑則で、26条から31条まで。報告及び検査(26条)、権限の委任(27条)、厚生労働大臣との協議(28条)、主務大臣等(29条)、貸金業法の適用除外(30条)、国家公務員宿舎法の適用除外(31条)。
第6章が罰則で、32条から36条まで。
13条しか読まないと視野から落ちるもの
この章立てを並べると、13条1本に学習を絞ったときに視野から落ちる条文がはっきりします。落ちているのは次の条文です。
14条は、13条1項のうち特定の号についてだけ、一般の金融機関との役割分担を図るよう努める義務と、住宅の質の向上に配慮する義務を課しています。「特定の号についてだけ」という限定が本文に書き込まれていることは、後の節で確認します。
15条は、災害の発生や経済事情の急激な変動が起きたときに、主務大臣が機構に必要な措置を求めることができる規定です。そして2項に、機構側の応諾義務があります。
16条は業務の委託です。委託できる業務の範囲、委託先の3類型、委託を受けた者のみなし公務員規定まで定めています。ここに「委託できない業務」が名指しで書かれています。
19条から25条は、機構が資金をどうやって作るかの規定群です。長期借入金と機構債券(19条1項)、財形住宅債券(19条3項)、債権者の一般の先取特権(19条4項・5項)、政府保証(20条)、機構債券の担保のための信託(21条)、受益権の譲渡と特定目的会社への譲渡(22条)、回収業務の受託義務(23条1項)、償還計画の認可(24条)、金利変動準備基金(25条)。教材が「機構は貸付債権を信託して債券を発行する」と1文で片づけている部分が、条文では7条にわたって書かれています。
29条は主務大臣が誰かを定めます。30条は貸金業法の適用除外、31条は国家公務員宿舎法の適用除外です。
この記事の守備範囲と、隣の問題への地図
問46は、登録講習を修了した人が免除を受ける5問(問46から問50まで)の先頭にあたります。免除制度そのものの受講資格や有効期間は5問免除(登録講習)の条件で扱っています。免除を使わずに5問を取りにいく人向けの解き方は問46〜50の攻略にあり、13条1項5号から11号までの直接融資を号ごとに解説しているのもそちらです。 この記事では号の列挙そのものを繰り返しません。
隣接する4問の所在も示しておきます。問47は景品表示法と公正競争規約で、制度の骨格は景品表示法と公正競争規約、表示の具体的な基準は不動産広告の表示基準、違反類型のうち出題頻度の高いものはおとり広告・二重価格表示にあります。問48は統計で、性質がまったく違う1問です(統計問題の対策)。問49と問50は土地と建物で、土地・建物の知識にまとめています。50問全体のなかでこの5問がどの位置にあるかは科目別攻略法、税・その他8問のなかでの配分は税・その他の得点戦略を参照してください。
なぜ13条の周辺まで読む必要があるのか。宅建試験AIブートラボが保有する直近10年分2,000肢の模範解答データを機械的に走査すると、証券化支援事業に関係する語(貸付債権の譲受け、債務の保証、機構債券、信託など)は繰り返し登場します。問46は1問しか出ないのに、その1問のなかで問われる条文の範囲は13条1項だけに閉じていません。 13条の外側を知っているかどうかで、4肢のうち1肢か2肢の正誤が変わります。
2条の定義が、13条の号を読む前提になっている
定義規定は8項ある
13条1項の各号には、「災害復興建築物」「被災建築物」「災害予防代替建築物」「災害予防移転建築物」「災害予防関連工事」「合理的土地利用建築物」「マンション」という、日常語のようでいて日常語ではない言葉が並びます。これらはすべて2条が定義しています。号の暗記に入る前に、この8項を通しておくと、号の文言が読めるようになります。
1項:住宅と住宅部分
この法律において「住宅」とは、人の居住の用に供する建築物又は建築物の人の居住の用に供する部分(以下「住宅部分」という。)をいう。(2条1項)
住宅は建築物そのものだけでなく、建築物のうち人の居住の用に供する部分も含みます。そしてその部分を「住宅部分」と呼ぶことを、この1項で決めています。以後の項に頻出する「住宅部分」は、すべてここで定義された語です。店舗併用住宅のような建物を条文の側から扱えるようにするための仕掛けだと考えると理解しやすくなります。
2項と3項:滅失と損傷の対
この法律において「災害復興建築物」とは、災害により、住宅又は主として住宅部分からなる建築物が滅失した場合におけるこれらの建築物又は建築物の部分に代わるべき建築物又は建築物の部分をいう。(2条2項)
この法律において「被災建築物」とは、災害により、住宅又は主として住宅部分からなる建築物が損傷した場合における当該損傷したこれらの建築物又は建築物の部分をいう。(2条3項)
この2つは対になっています。滅失したときの「代わるべき」建築物が災害復興建築物、損傷したときの「損傷した当該」建築物が被災建築物です。 前者は新しく作られる(あるいは購入される)建築物を指し、後者は今そこにある傷んだ建築物そのものを指します。13条1項5号が「災害復興建築物の建設若しくは購入又は被災建築物の補修に必要な資金の貸付け」と書き分けているのは、この定義の違いに対応しています。災害復興建築物は建てるか買うか、被災建築物は補修する。動詞が定義から決まっています。
4項と5項:代替と移転の対
この法律において「災害予防代替建築物」とは、災害を防止し又は軽減するため、住宅部分を有する建築物を除却する必要がある場合として政令で定める場合における当該建築物に代わるべき建築物又は建築物の部分をいう。(2条4項)
この法律において「災害予防移転建築物」とは、災害を防止し又は軽減するため、住宅部分を有する建築物を移転する必要がある場合として政令で定める場合における当該移転する必要がある建築物をいう。(2条5項)
こちらも対です。除却するなら「代わるべき」建築物、移転するなら「移転する必要がある」建築物そのもの。2項・3項と同じ構造がもう一度現れています。「代わるべき」と書いてあるものは新しい建物、「当該」と書いてあるものは今ある建物という読み方を身につけておくと、4つの定義を混同しません。いずれも「政令で定める場合における」という限定がついていて、災害の危険があると誰かが感じただけでは足りないことも押さえておきます。
6項:災害予防関連工事は敷地の工事である
この法律において「災害予防関連工事」とは、災害を防止し又は軽減するため、住宅部分を有する建築物の敷地について擁壁又は排水施設の設置又は改造その他の工事を行う必要がある場合として政令で定める場合における当該工事をいう。(2条6項)
これだけは建築物ではなく敷地の工事です。しかも例示が擁壁と排水施設。建物を建て替えるのではなく、土地の側を安全にするための工事に機構が資金を出すという設計になっています。13条1項6号の「災害予防関連工事に必要な資金」の貸付けは、ここを指しています。
擁壁や排水施設という語で連想すべきは、盛土規制法の許可の対象です。宅地造成等工事規制区域内での擁壁の設置は許可を要する工事にあたりますし(盛土規制法の全体像)、造成宅地防災区域では既存の擁壁に対する改善命令が制度として用意されています(造成宅地防災区域と特定盛土等規制区域)。ただし、これらは規制の制度であって、資金の制度ではありません。 盛土規制法は「やってよいか」を決め、機構法2条6項・13条1項6号は「お金を貸すか」を決めます。同じ擁壁を扱っていても層が違うので、混ぜないでください。
7項:合理的土地利用建築物
この法律において「合理的土地利用建築物」とは、市街地の土地の合理的な利用に寄与するものとして政令で定める建築物で相当の住宅部分を有するもの又はその部分をいう。(2条7項)
要件が2つあります。市街地の土地の合理的な利用に寄与するものとして政令で定める建築物であること、そして相当の住宅部分を有することです。この語は13条1項7号の貸付けの対象になります。「相当の住宅部分」という条件がついているので、住宅がまったくない建物は対象になりません。 機構が扱うのはあくまで住宅金融であることが、定義の側から担保されています。
8項:マンションは区分所有法から借りている
この法律において「マンション」とは、二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)第二条第二項に規定する区分所有者をいう。)が存する建築物で住宅部分を有するものをいう。(2条8項)
機構法は「マンション」を自前で定義せず、区分所有者の概念を区分所有法2条2項から借りてきています。したがって、区分所有法上の区分所有者が2人以上いて、かつ住宅部分がある建築物であれば、機構法上のマンションです。区分所有法の基本構造は区分所有法の基本ルールで扱っています。
この定義が効いてくるのは13条1項7号の後半です。同号は「マンションの共用部分の改良に必要な資金の貸付け」を機構の業務としています。ここで注意したいのは、共用部分の改良資金を借りるのは各区分所有者ではなく管理組合であるという実務上の構造です。区分所有関係のもとで誰が何を決め、誰が主体になるのかはマンションと戸建ての違いで整理しています。
買取型の資金は条文の上をこう流れる|1号から21条・22条・23条へ
起点は13条1項1号
住宅の建設若しくは購入又は改良(高齢者その他の居住の安定の確保を図ることが特に必要と認められる者として主務省令で定める者が居住性能又は居住環境の確保又は向上を主たる目的として行うものに限る。以下この号において同じ。)に必要な資金(当該住宅の建設若しくは購入又は改良に付随する行為で政令で定めるものに必要な資金を含む。)の貸付けに係る主務省令で定める金融機関の貸付債権の譲受けを行うこと。(13条1項1号)
ここで確定する事実が3つあります。第1に、機構が譲り受けるのは主務省令で定める金融機関の貸付債権であって、機構が誰かに貸すわけではありません。第2に、対象は住宅の建設・購入・改良に必要な資金の貸付けに係る債権です。第3に、括弧書きによる限定がかかっています(この括弧が何にかかるかという論点は問46〜50の攻略で扱っているのでそちらに譲ります)。
利用者から見ると、金銭消費貸借契約の相手方は民間金融機関であり、抵当権設定契約の抵当権者も民間金融機関です。この当事者関係そのものは住宅ローンの基礎知識で条文単位に整理しています。機構が債権を譲り受けると、担保である抵当権は随伴性によって債権とともに移転します(抵当権の基本)。機構が抵当権者になるのは、機構が貸したからではなく、債権を買ったからです。 ここを取り違えると、後述する23条1項の意味も見えなくなります。
なお、機構法21条は「その貸付債権」に何が含まれるかを括弧書きで定義しています。まず13条1項1号の業務と13条2項2号の業務(2項2号の業務については、貸付債権の譲受けに係る部分に限る)をあわせて「債権譲受業務」と呼び、そのうえで21条以下でいう貸付債権には、債権譲受業務により譲り受けた貸付債権と、附則3条1項の規定により旧公庫から承継した貸付債権の双方が含まれるとしています。
ここで2つ確認しておきます。ひとつ、「債権譲受業務」は債権の名前ではなく業務の名前です。 買取型(13条1項1号)と、高齢者住まい法に基づく譲受け(13条2項2号のうち譲受けの部分)を束ねた呼び名で、条文上の定義箇所はこの21条の括弧書きです。この語は22条・23条1項・25条1項でもそのまま使われるので、ここで確定させておかないと後の条文が読めません。ふたつ、括弧書きは旧公庫からの承継債権も取り込んでいます。 21条・22条の対象は、機構が民間から買った債権だけではありません。
21条:機構債券の担保に供するための特定信託
譲り受けた債権は、そのままでは機構の資産として寝ているだけです。これを資金に変える経路の1つが21条です。
機構は、主務大臣の認可を受けて、機構債券に係る債務(前条の規定により政府が保証するものを除く。)の担保に供するため、その貸付債権の一部について、特定信託をすることができる。(21条)
条文から読み取れることが4つあります。ひとつ、主務大臣の認可が必要です。ふたつ、目的は機構債券に係る債務の担保に供することです。みっつ、政府保証がついている機構債券は対象から除かれます。 政府が保証してくれる債券にわざわざ貸付債権の担保を付ける必要はないので、両者は排他の関係にあります。よっつ、対象は貸付債権の「一部」です。
特定信託とは何か
「特定信託」も条文で定義されている語です。13条1項2号イが定義しています。
信託法(平成十八年法律第百八号)第三条第一号に掲げる方法(信託会社又は金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第一条第一項の認可を受けた金融機関との間で同号に規定する信託契約を締結するものに限る。第二十三条第一項において同じ。)又は信託法第三条第三号に掲げる方法による信託(以下「特定信託」と総称する。)をし、当該信託の受益権を譲渡すること。(13条1項2号イ)
信託法3条は信託の設定方法を3つ定めています。1号が信託契約による方法、2号が遺言による方法、3号が自己信託(特定の者が一定の目的に従い自己の有する一定の財産の管理又は処分等を自らすべき旨の意思表示を公正証書等でする方法)です。機構法が特定信託と呼ぶのは1号と3号だけで、2号の遺言信託は入りません。 法人が遺言をするわけがないので当然ですが、条文はきちんと排除しています。さらに1号については、相手方が信託会社または信託業務の兼営の認可を受けた金融機関であることまで絞られています。
22条:受益権の譲渡と特定目的会社への譲渡
もう1つの経路が22条です。
機構は、主務大臣の認可を受けて、債権譲受業務又は第十三条第一項第五号から第十一号まで若しくは第二項第五号から第七号までの業務に必要な費用に充てるため、その貸付債権について、次に掲げる行為をすることができる。
一 特定信託をし、当該特定信託の受益権を譲渡すること。
二 特定目的会社に譲渡すること。
三 前二号に掲げる行為に附帯する行為をすること。(22条)
21条との違いは目的です。21条は債券の担保にするため、22条は費用に充てるため、つまり資金を得るためです。そして22条で得た資金の使途は、債権譲受業務だけではありません。13条1項5号から11号までの直接融資と、13条2項5号から7号までの貸付けにも充てられます。譲り受けた債権を売って得た資金が、災害復興や省エネ改良の貸付けの原資にもなるという設計です。
「特定目的会社」は資産の流動化に関する法律2条3項に規定する特定目的会社、すなわち同法の規定に基づき設立された社団を指します。
23条1項:回収業務は機構が全部受託しなければならない
ここが機構法でもっとも見落とされている条文です。
機構は、前二条の規定によりその貸付債権について特定信託(信託法第三条第一号に掲げる方法によるものに限る。)をし、又は譲渡するときは、当該特定信託の受託者又は当該貸付債権の譲受人から当該貸付債権に係る元利金の回収その他回収に関する業務及びこれに附帯する業務の全部を受託しなければならない。(23条1項)
「受託することができる」ではなく「受託しなければならない」です。義務規定です。債権を信託したり譲渡したりして手放しても、回収の実務からは離れられない。 条文がそう命じています。
この義務規定の意味は、利用者の側に立つとよくわかります。ある人が民間金融機関から住宅ローンを借り、その債権が機構に譲渡され、さらに信託されて受益権が投資家に渡ったとします。それでも借りた人にとって、毎月の返済を受け取る先は変わりません。機構が回収業務の全部を受託し、その一部を金融機関に委託しているからです(委託の根拠は23条2項。次節で扱います)。債権の帰属がどれだけ転々としても、窓口が動かないという状態を法律で作っているのが23条1項です。
なお、23条1項の受託義務がかかるのは、特定信託のうち信託法3条1号の方法によるもの、つまり信託契約によるものに限られます。3号の自己信託の場合は受託者が機構自身なので、自分から受託する必要がないという理屈です。条文の括弧書きはこの点を正確に処理しています。
3項:沖縄振興開発金融公庫への委託
機構は、沖縄振興開発金融公庫に対し、第一項の規定により受託した業務(債権譲受業務により譲り受けた貸付債権に係るものに限る。)を委託することができる。(23条3項)
沖縄については、機構法のなかに何度か特則が現れます。16条5項にも同様の規定があり、この記事の後半で扱います。
機構債券・財形住宅債券と政府保証|19条から25条までの資金調達
19条1項:長期借入金と機構債券
機構は、第十三条第一項(第四号及び第十三号を除く。)並びに第二項第一号、第二号及び第五号から第九号までの業務に必要な費用に充てるため、主務大臣の認可を受けて、長期借入金をし、又は住宅金融支援機構債券(以下「機構債券」という。)を発行することができる。(19条1項)
対象業務の範囲が細かく指定されている点に注目してください。13条1項からは4号(情報の提供・相談その他の援助)と13号(附帯業務)が除かれ、13条2項からは1号・2号・5号から9号までが入っています。情報提供の費用のために債券を発行することはできない、という区切りになっています。そして発行には主務大臣の認可が必要です。
2項には別の場面が定められています。機構債券を失った者に対し交付するため必要があるときは、政令で定めるところにより機構債券を発行できるという規定で、資金調達のための発行とは性質が違います。
19条3項:財形住宅債券の根拠はここにある
機構は、第十三条第二項第九号の業務に必要な費用に充てるため、主務大臣の認可を受けて、勤労者財産形成促進法第六条第一項に規定する勤労者財産形成貯蓄契約、同条第二項に規定する勤労者財産形成年金貯蓄契約又は同条第四項に規定する勤労者財産形成住宅貯蓄契約を締結した同条第一項第一号に規定する金融機関等、同項第二号に規定する生命保険会社等及び同項第二号の二に規定する損害保険会社が引き受けるべきものとして、住宅金融支援機構財形住宅債券(以下「財形住宅債券」という。)を発行することができる。(19条3項)
財形住宅債券の根拠条文は19条3項です。 19条・20条・21条・22条は債券と資金調達がひとかたまりに並んでいるため、条番号だけが1つずれた記述が成立しやすい場所でもあります。20条は次に見るとおり政府保証の規定であり、財形住宅債券とは無関係です。念のため書いておくと、機構法の本則に「20条の2」という条は存在しません。 19条の次は20条、その次は21条です。
19条3項の特徴は、引受先が条文で限定されていることです。財形貯蓄契約を締結した金融機関等・生命保険会社等・損害保険会社が「引き受けるべきものとして」発行するもので、誰でも買える一般の債券とは違います。財形貯蓄で集まった資金が財形住宅融資の原資として還流する仕組みが、条文の上に書かれています。
なお、財形住宅貸付そのもの(13条2項9号)の根拠は勤労者財産形成促進法10条1項で、同項は機構が一定の勤労者・公務員に対して住宅資金の貸付けの業務を行うと定めています。これは機構による直接の貸付けです。
19条4項・5項:債権者は一般の先取特権を持つ
第一項若しくは第二項の規定による機構債券(当該機構債券に係る債権が第二十一条の規定に基づく特定信託に係る貸付債権により担保されているものを除く。)又は前項の規定による財形住宅債券の債権者は、機構の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。(19条4項)
前項の先取特権の順位は、民法の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。(19条5項)
機構債券と財形住宅債券の債権者には、法律上当然に一般の先取特権が与えられます。しかも順位まで条文が決めていて、民法の一般の先取特権に次ぐ位置です。
ここで引かれている民法の一般の先取特権は306条が列挙しています。令和8年度試験の基準日である2026年4月1日時点で、306条の号は5つあります。 1号が共益の費用、2号が雇用関係、3号が子の監護の費用、4号が葬式の費用、5号が日用品の供給です。3号の子の監護の費用は令和6年法律第33号によって追加され、2026年4月1日に施行されたもので、それ以前に作られた教材では306条は4号までしかありません。 号数で覚えていた人は、葬式の費用が3号から4号へ、日用品の供給が4号から5号へ繰り下がっている点を上書きしてください。機構債券の債権者の先取特権は、この5つより後で、他の一般債権者より先、という位置に置かれます。先取特権が担保物権のなかでどう位置づけられるかは質権と先取特権で扱っています。
括弧書きも読んでください。21条に基づく特定信託によって担保されている機構債券は、この4項の対象から外れます。 すでに特定の貸付債権という担保を持っている債券に、さらに機構の全財産に対する先取特権まで与える必要はないからです。担保が二重にならないよう条文が調整しています。
20条:政府保証は国会の議決を経た金額の範囲内
政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、機構の長期借入金又は機構債券に係る債務(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律第二条の規定に基づき政府が保証契約をすることができる債務を除く。)について保証することができる。(20条)
財政援助制限法3条の本文は「政府又は地方公共団体は、会社その他の法人の債務については、保証契約をすることができない」です。原則は保証禁止です。ただし同条にはただし書があり、財務大臣(地方公共団体のする保証契約にあっては総務大臣)の指定する会社その他の法人の債務については、この限りでないとされています。つまり財政援助制限法の側にも例外の口はあるのですが、機構については機構法20条という個別法の規定で例外を作っています。20条が「第三条の規定にかかわらず」と書き出しているのは、この原則を名指しで外すためです。しかも無条件ではなく「国会の議決を経た金額の範囲内」という枠がはめられています。
「政府が保証するから機構債券は安全だ」という説明はよく見ますが、条文が言っているのは「保証することができる」であって「保証する」ではありません。政府保証は義務ではなく可能性であり、その可能性にも金額の上限があります。そして前節で見たとおり、政府保証がついた機構債券には21条の特定信託による担保を付けられません(21条括弧書き)。政府保証と貸付債権担保は、同じ債券について両立しないという関係で覚えてください。
24条:償還計画は毎事業年度、認可が必要
機構は、毎事業年度、長期借入金並びに機構債券及び財形住宅債券の償還計画を立てて、主務大臣の認可を受けなければならない。(24条)
短い条文ですが、「毎事業年度」と「認可」の2語が試験で動かされます。
25条:金利変動準備基金
機構は、債権譲受業務及びこれに附帯する業務に必要な経費で主務省令で定めるものの財源をその運用によって得るために金利変動準備基金を設け、附則第三条第七項の規定により金利変動準備基金に充てるべきものとして政府から出資があったものとされた金額及び第六条第二項後段の規定により政府が金利変動準備基金に充てるべきものとして示した金額の合計額に相当する金額をもってこれに充てるものとする。(25条1項)
基金の目的は、債権譲受業務にかかる経費の財源を運用によって得ることです。原資は2系統で、附則3条7項により旧公庫から承継されて政府出資とみなされた金額と、6条2項後段により政府が追加出資の際に基金充当分として示した金額です。運用方法には通則法47条が準用され、その際「金銭信託」を「金銭信託で元本補てんの契約があるもの」と読み替える限定がかかります(25条2項)。元本が保証される運用に限定されているという点まで条文が書いています。
保証型は「保険関係の成立」を要件にしている|買取型との4つの分岐
13条1項2号を要件ごとに分解する
前号に規定する貸付債権で、その貸付債権について次に掲げる行為を予定した貸付けに係るもの(以下「特定貸付債権」という。)のうち、住宅融資保険法(昭和三十年法律第六十三号)第三条に規定する保険関係が成立した貸付けに係るもの(その信託の受益権を含む。)を担保とする債券その他これに準ずるものとして主務省令で定める有価証券に係る債務の保証(以下「特定債務保証」という。)を行うこと。
イ (特定信託をし、当該信託の受益権を譲渡すること)
ロ 資産の流動化に関する法律第二条第三項に規定する特定目的会社に譲渡すること。
ハ その他イ又はロに類するものとして主務省令で定める行為(13条1項2号)
条件が3段階に絞り込まれていることがわかります。
第1段階。 対象はまず「前号に規定する貸付債権」、すなわち1号の対象になる貸付債権と同じ範囲でなければなりません。住宅の建設・購入・改良に必要な資金の貸付けに係る債権です。
第2段階。 そのうち、イ・ロ・ハのいずれかの行為を予定した貸付けに係るものに限られます。これを条文が「特定貸付債権」と呼びます。イが特定信託をして受益権を譲渡すること、ロが特定目的会社に譲渡すること、ハが主務省令で定めるこれらに類する行為です。「予定した」という語がポイントで、実際に譲渡が済んでいる必要はありません。 貸付けの時点で流動化が予定されていればよい、という設計です。
第3段階。 さらにそのうち、住宅融資保険法3条に規定する保険関係が成立した貸付けに係るもの(その信託の受益権を含む)に限られます。住宅融資保険法3条は、機構が事業年度またはその半期ごとに金融機関を相手方として、当該金融機関が貸付けを行ったことを機構に通知することにより保険関係が成立する旨を定める契約を結ぶことができる、という規定です。つまり保証型の前提には、その貸付けについて住宅融資保険の保険関係が成立していることが要ります。
そのうえで、機構が保証するのは「これを担保とする債券その他これに準ずるものとして主務省令で定める有価証券に係る債務」です。債権ではなく債務、しかも有価証券に係る債務です。この保証を条文は「特定債務保証」と名づけています。
分岐1:債権は誰に帰属するか
買取型(13条1項1号)では、貸付債権は民間金融機関から機構へ移転します。 譲受けですから、機構が債権者になります。抵当権も随伴して機構に移ります。
保証型(13条1項2号)では、貸付債権は機構に移りません。 条文のどこにも譲受けと書いていないからです。債権は金融機関または流動化の受け皿にとどまり、機構はそこに関与しません。
分岐2:有価証券の発行体は誰か
買取型では、機構が機構債券を発行します(19条1項)。譲り受けた債権を21条の特定信託で担保に供し、その担保のもとで機構名義の債券を出します。
保証型で機構は発行体になりません。 発行するのは民間の側で、機構はその債券等に係る債務を保証する立場です。「保証型でも機構が債券を発行する」という記述は、条文の構造を根本から逆にしています。
分岐3:住宅融資保険法の保険関係の成立が要るか
買取型には保険関係成立の要件がありません。 13条1項1号の条文に住宅融資保険法は出てきません。
保証型には要ります。 前述のとおり13条1項2号は住宅融資保険法3条の保険関係が成立した貸付けに係るものに限定しています。この非対称が試験で狙われます。
なお、機構が行う特定債務保証は、民法446条以下の保証とは別物です。民法上の保証は主たる債務者の債務を保証人が履行する責任の話であり、書面性や連帯保証の効果、求償関係が問題になります(連帯債務と保証)。機構法13条1項2号の特定債務保証は、有価証券に係る債務について機構が保証を行う業務の名称であって、民法の保証概念をそのまま持ち込む場面ではありません。
分岐4:機構が抱えるのは資産か、保証債務か
買取型で機構が抱えるのは資産です。 譲り受けた貸付債権が機構の資産になり、その資産をもとに機構債券という負債を作ります。
保証型で機構が抱えるのは保証債務です。 資産は増えません。保証した債務が現実化したときに機構が支払う、という潜在的な負担だけが乗ります。片方は資産と負債が両建てで膨らみ、もう片方は偶発債務だけが積み上がる。 バランスシートの形がまったく違います。
経理は同じ勘定である
分岐が4つもあるのに、区分経理の上では買取型と保証型は同じ勘定に入ります。
一 第十三条第一項第一号及び第二号の業務、同項第三号の業務(特定貸付債権に係るものに限る。)、同条第二項第一号の業務(……特例貸付債権……に係るものに限る。)並びに第十三条第二項第二号及び第三号の業務並びにこれらに附帯する業務(17条1号)
17条1号の勘定には、1号(買取型)、2号(保証型)に加えて、3号の住宅融資保険のうち特定貸付債権に係るものが入っています。保証型が保険関係の成立を要件にしている以上、保険の部分もこの勘定で一体的に扱うのが筋だからです。住宅融資保険が誰を守る制度かという論点は住宅ローンの仕組みと問46〜50の攻略が扱っているので、ここでは勘定区分の文脈にとどめます。
業務の委託と、機構が負う受託義務|16条と23条2項
16条1項:二重の絞り込み
機構は、次に掲げる者に対し、第十三条(第一項第四号を除く。)に規定する業務のうち政令で定める業務を委託することができる。
一 主務省令で定める金融機関
二 債権管理回収業に関する特別措置法(平成十年法律第百二十六号)第二条第三項に規定する債権回収会社
三 地方公共団体その他政令で定める法人(16条1項)
委託できる業務の範囲に、絞り込みが二重にかかっています。ひとつは「第十三条(第一項第四号を除く。)に規定する業務」という括弧書きの除外、もうひとつは「そのうち政令で定める業務」という限定です。
除かれている13条1項4号は、住宅の建設・購入・改良・移転をしようとする者または住宅の建設等に関する事業を行う者に対する、必要な資金の調達または良質な住宅の設計・建設等に関する情報の提供、相談その他の援助です。つまり情報提供・相談業務だけは、条文が名指しで委託の対象から外しています。 機構が自分でやらなければならない業務がひとつだけある、という構造です。
委託先の3類型
1号の「主務省令で定める金融機関」は、実際にフラット35の窓口になっている民間金融機関を想定した類型です。
2号の「債権回収会社」は、債権管理回収業に関する特別措置法2条3項に規定する債権回収会社、すなわち同法3条の許可(法務大臣の許可)を受けた株式会社を指します。同法2条2項が定める債権管理回収業は、弁護士等以外の者が委託を受けて、または譲り受けて特定金銭債権の管理及び回収を行う営業です。弁護士法の例外として特別に許可された会社であることが、この定義から読み取れます。
3号は「地方公共団体その他政令で定める法人」です。
ここで確認しておきたいのは、マンション管理業者や賃貸住宅管理業者はこの3類型に入らないということです。管理会社にどの法律がかかるかは不動産管理会社と宅建で整理していますが、機構法16条1項の委託先は金融機関・債権回収会社・地方公共団体等の3つに限られており、建物や賃貸の管理を業とする者は列挙されていません。
2項から5項まで
前項第一号及び第三号に掲げる者は、他の法律の規定にかかわらず、機構が同項の規定により委託した業務を受託することができる。(16条2項)
金融機関には銀行法等による業務範囲の制限があり、地方公共団体には地方自治法の枠があります。2項はそれらを乗り越えて受託できることを定めた規定です。2号の債権回収会社が2項に入っていない点は、条文を読んだ人だけが気づく細部です。債権回収会社はもともと特定金銭債権の管理回収を営業とする会社なので、他の法律の壁を外す必要がないからだと理解できます。
機構は、必要があると認めるときは、第一項の規定による業務の委託を受けた者に対し、その委託を受けた業務について報告を求め、又は機構の役員若しくは職員に、その委託を受けた業務について必要な調査をさせることができる。(16条3項)
委託しっぱなしにしないための監督権限です。この報告を怠り、または虚偽の報告をし、あるいは調査を拒み・妨げ・忌避した場合、その違反行為をした受託者等(地方公共団体および沖縄振興開発金融公庫を除く)の役員または職員は30万円以下の罰金に処せられます(33条)。
第一項の規定による業務の委託を受けた同項各号に掲げる者(地方公共団体を除く。)の役員又は職員であって同項の規定による委託を受けた業務に従事する者は、刑法その他の罰則の規定の適用については、これを法令により公務に従事する職員とみなす。(16条4項)
みなし公務員規定です。地方公共団体が除かれているのは、その職員がもともと公務員だからです。除外の理由まで含めて理解しておくと、「地方公共団体の職員はみなし公務員規定の対象外なので公務員として扱われない」という誤った肢を見抜けます。
機構は、沖縄振興開発金融公庫に対し、第十三条第一項第一号から第三号までの業務及びこれらに附帯する業務の一部を委託することができる。(16条5項)
沖縄振興開発金融公庫への委託は1項とは別枠で、対象が13条1項1号から3号まで(貸付債権の譲受け、特定債務保証、住宅融資保険)に限定されています。
23条2項:受託した回収業務の再委託先はさらに狭い
機構は、第十六条第一項第一号又は第二号に掲げる者に対し、前項の規定により受託した業務の一部を委託することができる。同条第二項から第四項までの規定は、この場合について準用する。(23条2項)
23条1項で機構が全部受託した回収業務を、機構はさらに委託できます。ただし相手は16条1項1号(金融機関)または2号(債権回収会社)に限られ、3号の地方公共団体その他政令で定める法人は入りません。 そして委託できるのは「一部」です。
16条1項の委託先は3類型、23条2項の再委託先は2類型。回収という機微な業務については、地方公共団体を外しているという差になっています。この差は条文を並べて読まないと見えません。
13条2項という、もう一つの業務リスト
1項の陰にもうひとつリストがある
13条は1項に13号、2項に11号の業務を並べています。学習の対象になるのはほぼ1項だけですが、2項も条文上まぎれもなく機構の業務です。しかも1項の業務と同じく、35条2号は「第十三条に規定する業務以外の業務を行ったとき」に機構の役員を20万円以下の過料に処すると定めており、2項も含めた13条全体が機構の業務範囲を画しています。
条文は「機構は、前項に規定する業務のほか、次の業務を行う」と書き出します。以下、1号から11号まで順に見ます。
1号と8号:保険
1号は、高齢者の居住の安定確保に関する法律22条1項の規定により住宅融資保険法4条の保険関係が成立するとみなされる貸付けについて、住宅融資保険法の規定による保険を行うことです。高齢者住まい法22条1項は、登録住宅への入居に係る家賃の前払金を一括して支払うための資金の貸付け(登録住宅前払金貸付け)を、住宅融資保険法4条の保険関係が成立する貸付けとみなして同法を適用する、という規定です。
8号は、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律20条1項または80条1項の規定による保険です。同法20条1項は登録住宅入居者家賃債務保証保険契約に係る保険、80条1項は住宅確保要配慮者家賃債務保証保険契約に係る保険で、いずれも保証業者が家賃債務の保証をしたことについて機構が保険を引き受けるという構造をとります。住宅の建設資金ではなく家賃の保証に保険をかけるという業務が、機構にはあります。
2つの保険は似て見えますが、条文は相手方も保険金額の上限も分けています。20条の相手方は家賃債務保証業者(賃借人の委託を受けてその家賃債務を保証することを業として行う者のうち、保証を適正かつ確実に実施できると認められるものとして国土交通省令で定める要件に該当する者。同条2項)で、保険金額は保険価額に100分の70を超えない範囲内で国土交通省令が定める割合を乗じた額です(同条3項)。80条の相手方は認定保証業者で、保険金額は保険価額に100分の90を超えない範囲内の割合を乗じた額です(同条3項)。上限が70パーセントと90パーセントで違うという差は、条文を並べないと見えません。
2号:譲受けと保証
2号は、高齢者住まい法22条2項による貸付債権の譲受け及び債務の保証です。同項1号が登録住宅前払金貸付けに係る金融機関の貸付債権の譲受け、2号がその債券等に係る債務の保証を定めており、1項1号・2号(買取型・保証型)と同じ形の業務が、高齢者向けの前払金貸付けについて別立てで用意されていることになります。19条1項が2項1号・2号を債券発行の対象業務に含めているのも、この対応関係によります。
3号:海外での調査・研究・情報提供
3号は、海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律7条の規定による調査、研究及び情報の提供です。国内の住宅金融とは毛色が違う業務ですが、17条1号により証券化支援等の勘定で経理されます。
4号:空家等対策
4号は、空家等対策の推進に関する特別措置法21条の規定による情報の提供その他の援助です。同条は、機構が市町村または空家等管理活用支援法人からの委託に基づき、空家等および空家等の跡地の活用の促進に必要な資金の融通に関する情報の提供その他の援助を行うことができる、と定めています。機構が空家対策に登場するのは、市町村等からの委託を受けたときです。
5号から7号:貸付け
5号は、阪神・淡路大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律77条、東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律138条、または福島復興再生特別措置法31条・43条の規定による貸付けです。
6号は、マンションの再生等の円滑化に関する法律163条の61の規定による貸付けです。同条は「独立行政法人住宅金融支援機構は、機構法13条1項に規定する業務のほか、要除却等認定マンションの除却等に必要な資金を貸し付けることができる」と定めています。この法律は令和8年4月1日に施行された改正のなかで、建替えに加えて「マンションの更新」という新しい類型を導入しました(同法2条1項3号は、区分所有法64条の5第1項に規定する建物の更新を行うことと定義しています)。決議要件の側の変更は区分所有法の特別決議で扱っています。
7号は、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律19条(同法52条において準用する場合を含む)の規定による貸付けです。同法19条は、機構が登録住宅の改良(登録住宅とすることを主たる目的とする既存建築物の改良を含む)に必要な資金を貸し付けることができる、と定めています。ここでいう登録住宅は同法上の登録を受けた賃貸住宅であり、賃貸住宅の管理を業として行う者に対する規律(賃貸住宅管理業法の全体像)とは別の制度です。同じ賃貸住宅を扱っていても、登録の制度と管理業の登録は別物です。
9号と10号:財形関係
9号は、勤労者財産形成促進法10条1項の規定による貸付け、いわゆる財形住宅貸付です。同項は、一定の要件を満たす勤労者で事業主等から住宅資金の貸付けを受けることができないもの等に対し、貸付限度額の範囲内で機構が住宅資金の貸付けの業務を行うと定めています。機構が直接貸す業務が、1項ではなく2項にあります。
10号は、中小企業退職金共済法72条2項の規定による委託に基づき、勤労者財産形成促進法9条1項に規定する業務の一部を行うことです。中退共法72条2項は、独立行政法人勤労者退職金共済機構が厚生労働大臣の認可を受けて業務の一部を金融機関に委託できるという規定で、住宅金融支援機構がその受託者の側に立つ場面です。機構が委託する側ではなく受託する側になる業務がある、という点で覚えやすい号です。
11号は前各号の業務に附帯する業務です。
「直接融資は5号から11号まで」という整理の射程
多くの教材は「機構の直接融資は13条1項5号から11号まで」と整理します。この整理は正しいのですが、1項のなかでの話です。 2項には5号・6号・7号・9号と、貸付けを内容とする号が4つあります。したがって「機構が行う貸付けは1項5号から11号までに限られる」と書かれた肢は、2項を無視している点で誤りになります。限定の射程を「1項の中では」と読み替える癖をつけてください。
令和8年度試験に影響する法改正の全体像は令和8年度の法改正まとめに集約しています。13条2項6号が引くマンションの再生等の円滑化に関する法律は、その改正の中心にあった法律のひとつです。
14条と15条|業務の実施にかかる縛りと、緊急時に主務大臣が求めること
14条1項:努力義務の対象が号で限定されている
機構は、前条第一項第一号、第二号及び第五号から第十一号までの業務の実施に当たっては、住宅の建設等に必要な資金の需要及び供給の状況に応じて、一般の金融機関との適切な役割分担を図り、これらの業務を通じ、国民に対する住宅の建設等に必要な長期資金の融通が円滑に行われるよう努めなければならない。(14条1項)
この条文でまず読むべきは、冒頭の号の指定です。13条1項1号、2号、5号から11号まで。ここに入っていない号を数えると4つあります。
3号(住宅融資保険法による保険)、4号(情報の提供、相談その他の援助)、12号(団体信用生命保険にあたる業務)、13号(附帯業務)です。これらは一般の金融機関との役割分担の努力義務の外側にあります。理由を考えると納得できます。保険と情報提供は民間金融機関と競合する性質の業務ではありませんし、12号は貸付けそのものではなく貸付けに付随する保険金等による弁済の業務、13号は附帯業務だからです。
「14条1項は13条の業務全般について役割分担を定めている」という説明は、条文の号指定を無視しています。
14条2項:住宅の質への配慮も同じ号の範囲
機構は、前条第一項第一号、第二号及び第五号から第十一号までの業務の実施に当たっては、住宅の質の向上を図るために必要なものとして政令で定める事項に配慮して、貸付債権の譲受け、特定債務保証又は資金の貸付けの条件の適切な設定その他の必要な措置を講ずるとともに、国及び地方公共団体が行う良好な居住環境を整備するためのまちづくりその他の必要な施策について協力しなければならない。(14条2項)
2項の号指定は1項と同一です。そして義務の内容が2つあります。前段は住宅の質の向上に配慮して条件を適切に設定すること、後段は国と地方公共団体のまちづくり施策に協力することです。後段は「協力しなければならない」で、努力義務ではありません。
フラット35に技術基準があり、適合証明が求められるのは、制度上この14条2項に対応する位置にあります。 ただし基準の中身や商品としての利用条件は主務省令や機構の業務方法書、商品要件の側にあり、法律の条文にはありません。数値は改定されるので、この記事では扱わず住宅ローンの仕組みに集約しています。条文で問われるのは「配慮すべき事項が政令で定められている」という枠組みであって、床面積や借入額ではありません。
15条1項:主務大臣は措置を求めることができる
主務大臣は、災害の発生、経済事情の急激な変動その他の事情が生じた場合において、国民の居住の安定確保を図るために金融上の支援を緊急に行う必要があると認めるときは、機構に対し、第十三条に規定する業務に関し必要な措置をとることを求めることができる。(15条1項)
発動要件が3つ重なっています。災害の発生・経済事情の急激な変動その他の事情が生じたこと、国民の居住の安定確保のためであること、金融上の支援を緊急に行う必要があると認めること。そして求められる措置の範囲は「13条に規定する業務」に関するものです。1項に限定されていないので、2項の業務も含みます。
15条2項:機構には応諾義務がある
機構は、主務大臣から前項の規定による求めがあったときは、正当な理由がない限り、その求めに応じなければならない。(15条2項)
ここが15条の要です。1項だけを読むと「主務大臣が求めることができる」で終わり、機構が応じるかどうかは機構の判断のように見えます。2項は、正当な理由がない限り応じなければならないと定めています。 「求めることができるにとどまり、機構に応じる義務はない」という肢は、2項の存在で誤りになります。
条文が「正当な理由がない限り」という留保を置いていることも押さえてください。無条件の服従義務ではなく、正当な理由があれば応じないこともできる、という構造です。
独立行政法人としての機構|資本金・区分経理・主務大臣
4条の2:中期目標管理法人である
機構は、通則法第二条第二項に規定する中期目標管理法人とする。(4条の2)
独立行政法人には中期目標管理法人・国立研究開発法人・行政執行法人の3類型があり、機構は中期目標管理法人です。この類型に応じて、主務大臣が中期目標を定め、法人が中期計画を作って認可を受けるという枠組みが通則法から降ってきます。18条の積立金の処理が「中期目標の期間」を単位に組み立てられているのも、この類型に由来します。
6条:資本金は政府出資
機構の資本金は、附則第三条第六項の規定により政府から出資があったものとされた金額とする。(6条1項)
政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、機構に追加して出資することができる。この場合において、政府は、当該出資した金額の全部又は一部が第二十五条第一項の金利変動準備基金に充てるべきものであるときは、その金額を示すものとする。(6条2項)
出発点の資本金は、旧公庫からの承継に伴って政府から出資があったものとされた金額です。追加出資は予算で定める金額の範囲内でのみ可能で、しかも金利変動準備基金に充てる分については金額を明示することが求められます。25条1項が基金の原資として6条2項後段の金額を挙げていたのは、この対応関係です。民間からの出資という選択肢は条文にありません。
7条と36条:名称の使用制限
機構でない者は、住宅金融支援機構という名称を用いてはならない。(7条)
これに違反した者は10万円以下の過料に処せられます(36条)。過料であって罰金ではありません。なお、法律の施行の際に現に住宅金融支援機構という名称を使用していた者については、施行後6月間は7条を適用しないという経過措置が附則20条に置かれていました。
17条:区分経理は4勘定
機構は、次に掲げる業務ごとに経理を区分し、それぞれ勘定を設けて整理しなければならない。(17条柱書)
勘定は4つです。
1号の勘定は、13条1項1号(買取型)と2号(保証型)、同項3号の住宅融資保険のうち特定貸付債権に係るもの、13条2項1号のうち特例貸付債権に係るもの、13条2項2号と3号、およびこれらに附帯する業務。証券化支援に関係する業務がここに集約されます。
2号の勘定は、13条1項3号のうち特定貸付債権に係るものを除くもの、13条2項1号のうち特例貸付債権に係るものを除くもの、および13条2項8号(家賃債務保証保険)とこれらに附帯する業務。住宅融資保険等の勘定です。同じ住宅融資保険(1項3号)が、特定貸付債権に係るかどうかで1号勘定と2号勘定に振り分けられていることに注意してください。
3号の勘定は、13条2項9号の財形住宅貸付とこれに附帯する業務。
4号の勘定は、前3号に掲げる業務以外の業務。
さらに附則7条5項により、旧公庫から承継した既往債権の管理回収業務については、その他の経理と区分して既往債権管理勘定を設けることが求められています。業務の性質ごとに財布を分けるという原則が、条文の上で徹底されています。
18条:積立金の処理と国庫納付
18条は、17条2号から4号までの勘定について、中期目標の期間の最後の事業年度に通則法44条の整理を行った後に積立金があるときの扱いを定めます。主務大臣の承認を受けた金額を次の中期目標期間における13条の業務の財源に充てることができ(1項)、なお残余があれば次期の積立金として整理でき(2項)、それでも残余があれば国庫に納付しなければなりません(3項)。1号の勘定については4項が通則法44条1項ただし書の読替えを定め、5項が1項から3項までを準用します。もうけが出たら最終的には国に返す、という構造です。
26条から28条:報告・検査と権限の委任
26条1項は、主務大臣が16条1項もしくは23条2項の委託を受けた者、または16条5項もしくは23条3項の委託を受けた沖縄振興開発金融公庫(これらをあわせて「受託者等」といいます)に対し、報告をさせ、またはその職員に立入検査をさせることができると定めます。立入検査をする職員は身分証明書を携帯して関係者に提示しなければならず(2項)、この権限は犯罪捜査のために認められたものと解してはなりません(3項)。行政調査の三点セットがそのまま置かれています。
27条は、主務大臣が政令で定めるところにより、機構に対する通則法64条1項の立入検査の権限と、受託者等に対する26条1項の立入検査の権限の一部を内閣総理大臣に委任できると定め、内閣総理大臣はこれを金融庁長官に委任し(3項)、金融庁長官はさらに財務局長・財務支局長に委任できます(4項)。28条は、13条2項9号(財形住宅貸付)の業務に関して通則法28条1項の認可をしようとするときは、主務大臣が厚生労働大臣に協議しなければならないと定めます。財形は労働政策の領域でもあるからです。
29条:主務大臣は2人いる
機構に係る通則法における主務大臣及び主務省令は、それぞれ国土交通大臣及び財務大臣並びに国土交通省令・財務省令とする。(29条1項)
第二十六条第一項及び機構に係る通則法第六十四条第一項に規定する主務大臣の権限は、国土交通大臣又は財務大臣がそれぞれ単独に行使することを妨げない。(29条2項)
住宅の話だから国土交通大臣、と考えて止まると誤ります。財務大臣も主務大臣です。 政府保証や国庫納付、債券発行の認可といった財政に直結する権限が並んでいる法律なので、財務大臣が入るのは条文全体の構造から見て自然です。主務省令も「国土交通省令・財務省令」という共同省令の形をとります。
そのうえで2項が、報告徴収と立入検査の権限については単独行使を妨げないと定めています。原則は2大臣、ただし26条1項と通則法64条1項の権限は単独でも行使できる、という二段構えです。
30条:貸金業法24条の適用除外
機構が貸金業法第二条第二項に規定する貸金業者から主務省令で定めるところにより第十三条第一項第一号又は第二項第二号に規定する貸付債権の譲受けを行う場合には、同法第二十四条の規定は、適用しない。(30条)
貸金業法24条は債権譲渡等の規制です。1項は、貸金業者が貸付けに係る契約に基づく債権を他人に譲渡するに当たって、譲受人に対し、その債権が貸金業者の貸付けに係る契約に基づいて発生したことなどを内閣府令で定める方法により通知しなければならないと定め、2項は貸金業法の各種行為規制を譲受人に準用します。
機構が貸金業者から住宅ローン債権を譲り受けるたびにこの規律が全面的にかかると、買取型の事務は回りません。30条はそこを外している規定です。買取型が制度として回るために、何を外しているかという視点で読むと、この条文の意味がわかります。 適用除外の対象は13条1項1号(買取型)と13条2項2号(高齢者住まい法に基づく譲受け)に限られ、しかも「主務省令で定めるところにより」譲受けを行う場合に限られます。
なお、外れるのは貸金業法24条であって、民法の債権譲渡の規律ではありません。譲渡の当事者間の効力や、債務者・第三者に対する対抗要件(民法467条)は別の話です(債権譲渡と相殺)。特別法上の業規制を外したにすぎず、私法上のルールまで消えるわけではないという切り分けをしてください。
31条と罰則
31条は、国家公務員宿舎法の規定を機構の役員及び職員には適用しないと定めます。独立行政法人の役職員は国家公務員ではないため、宿舎法の対象から外されています。
罰則は32条から36条までの5か条です。11条に違反して秘密を漏らした者は1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(32条)。16条3項の報告義務違反・調査拒否等は受託者等の役員または職員が30万円以下の罰金(33条)。26条1項の報告義務違反・検査拒否等も受託者等(地方公共団体を除く)の役員または職員が30万円以下の罰金(34条)。機構の役員が主務大臣の認可・承認を受けるべき場合に受けなかったとき、13条に規定する業務以外の業務を行ったとき、通則法47条に違反して金利変動準備基金を運用したときは20万円以下の過料(35条)。7条違反は10万円以下の過料(36条)です。
公庫から機構へ|附則が記録している転換
附則2条と3条:設立と承継
機構は、通則法第十七条の規定にかかわらず、この法律の施行の日に成立する。(附則2条1項)
住宅金融公庫(以下「公庫」という。)は、機構の成立の時において解散するものとし、その一切の権利及び義務は、次項の規定により国が承継する資産を除き、その時において機構が承継する。(附則3条1項)
機構の成立と公庫の解散は同じ瞬間に起きます。そして公庫の権利義務は、国が承継する資産を除いて機構に承継されました。2項は、機構がその業務を確実に実施するために必要な資産以外の資産を国が承継すると定めています。必要な資産は機構へ、それ以外は国へという配分です。
6項は、承継の際に政府から公庫に出資されていた出資金に相当する金額のうち一定のものを、政府から機構に対して出資されたものとする旨を定めます。6条1項が資本金の根拠として附則3条6項を引いていたのは、ここに接続します。7項は、旧公庫法の債権譲受業務に関して設けられた基金に充てるべきものとして政府から出資された金額等のうち、主務大臣が定める金額を、金利変動準備基金に充てるべきものとして政府から機構に出資されたものとすると定めます。25条1項が引いていたのがこの7項です。
附則5条:施行前の貸付契約はなお従前の例による
公庫がこの法律の施行前に締結した貸付契約に係る貸付金その他の貸付けに係る事項については、なお従前の例による。(附則5条)
この1条があるために、旧公庫時代の貸付けは今も旧公庫法の枠組みで生きています。
附則6条:財団法人公庫住宅融資保証協会からの引継ぎ
昭和47年11月29日に設立された財団法人公庫住宅融資保証協会は、寄附行為の定めるところにより、設立委員に対して機構がその権利及び義務を承継すべき旨を申し出ることができ(1項)、主務大臣の認可があったときは、その権利及び義務が機構の成立の時に機構に承継され、保証協会は解散するものとされました(3項)。保証業務の担い手も機構に一本化されたことが、附則に記録されています。
附則7条:業務の特例と既往債権管理業務
附則7条1項は、機構が13条の業務のほか行う業務として、承継した公庫の貸付債権の管理及び回収(1号)、保証協会から承継した求償権に基づく債権の管理及び回収(2号)などを定めます。2項は、当分の間、公庫が施行前に受理した申込みに係る資金の貸付けなどを旧公庫法等の規定の例により行うことができると定めます。3項は、2項の貸付けを受けた者について、死亡した場合に支払われる保険金等を債務の弁済に充当する業務を認めています。
5項が既往債権管理業務と既往債権管理勘定を定め、6項は、附則7条1項から4項までの業務を行う場合に15条1項・16条1項・17条3号4号・18条1項・19条1項・21条・22条・35条2号の各条をどう読み替えるかを一覧しています。本則の条文が附則によって拡張される構造になっているので、附則を読まずに本則だけを読むと、機構の業務範囲を過小に見積もることになります。
ここから導かれる重要な帰結があります。「機構は一切貸していない」という言い方は正確ではありません。 13条1項5号から11号までと2項の複数の号に貸付けがあることに加えて、附則7条2項により旧公庫法の例による貸付けが当分の間できることになっており、附則3条1項で承継した既往債権の回収も続いています。「1項の原則としては直接融資を行わない」という限定つきの理解が、条文に忠実な理解です。
附則8条:住宅金融支援機構住宅宅地債券
附則8条は、当分の間、主務大臣の認可を受けて、旧住宅宅地債券引受者のうち現に住宅金融公庫住宅宅地債券を所有している者が引き受けるべきものとして、住宅金融支援機構住宅宅地債券を発行することができると定めます。そのうえで、19条4項から8項まで及び24条の適用について読替えを置き、この債券の債権者にも19条4項の先取特権が及び、24条の償還計画の対象にもなるようにしています。機構が発行できる債券は、機構債券・財形住宅債券・住宅宅地債券の3種類あるということです。
附則10条:住宅金融公庫法の廃止
住宅金融公庫法は、廃止する。(附則10条)
たった1行の条文ですが、これが公庫という組織の終わりを法的に確定させています。廃止条は附則10条です。 附則9条は特別損失の規定、附則11条・12条は廃止に伴う経過措置で、11条は旧公庫が発行した住宅金融公庫債券・住宅金融公庫財形住宅債券・住宅金融公庫住宅宅地債券を、19条4項・5項の適用については機構債券または財形住宅債券とみなすと定めています。
附則22条:政府の努力規定
政府は、機構の設立及び公庫の解散に際し、国民によるその負担能力に応じた住宅の建設等に必要な長期資金の調達に支障が生じないよう必要な施策の推進に努めるものとする。(附則22条)
直接融資を柱とした公庫を廃止して、貸付債権の譲受けを柱とする機構に切り替えるという転換が、国民にとって資金調達の後退にならないようにする、という趣旨の規定です。転換の目的も懸念も、附則に書き残されています。
なお、機構からの借入金は住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の対象となる借入先として租税特別措置法上に列挙されています。控除の要件と計算は住宅ローン控除で扱っています。公庫が機構になっても、税制上の位置づけは引き継がれています。
試験での出題ポイント
証券化支援事業まわりの肢は、条文のどこかを1語ずらして作られます。論点別の頻出テーマは出題傾向の整理にまとめていますが、ここでは機構法の条文から作られる誤りの型を、この記事が扱った範囲で列挙します。
買取型で機構が利用者に直接貸したとする型
13条1項1号は「貸付債権の譲受け」であって貸付けではありません。金銭消費貸借契約の貸主は民間金融機関のままです。 この型は既存の解説でも繰り返し扱われているので、深追いは問46〜50の攻略に譲ります。
回収業務を民間に丸投げしたとする型
23条1項は「受託しなければならない」という義務規定で、しかも「全部を受託しなければならない」と書いています。機構が受託を選択できるかのような肢は誤りです。 そのうえで23条2項により一部を再委託できますが、再委託先は16条1項1号(金融機関)と2号(債権回収会社)に限られ、地方公共団体は入りません。
保証型で機構が債券を発行するとする型
13条1項2号の機構の役割は、有価証券に係る債務の保証です。発行体ではありません。「機構が債券を発行し、その債務を政府が保証する」という文と「機構が民間の発行する債券の債務を保証する」という文は、主語が入れ替わっています。
保証型に保険関係の成立要件がないとする型
13条1項2号は、特定貸付債権のうち住宅融資保険法3条に規定する保険関係が成立した貸付けに係るものを担保とする有価証券に係る債務の保証に限定しています。保険関係の成立は保証型の要件です。 反対に、買取型(1号)には保険関係の要件がありません。
13条1項4号の情報提供を委託できるとする型
16条1項は「第十三条(第一項第四号を除く。)に規定する業務のうち政令で定める業務」と書いています。情報の提供・相談その他の援助は、条文が名指しで委託の対象から外しています。
財形住宅債券の根拠条文をずらす型
財形住宅債券は19条3項です。20条は政府保証、21条は機構債券の担保のための特定信託、22条は受益権等の譲渡です。条番号を1つずらすだけで誤りの肢ができるので、19条3項という数字ごと覚えてください。
政府保証を無条件とする型
20条は「国会の議決を経た金額の範囲内において」保証することができる、と定めています。無制限でもなければ義務でもありません。加えて、財政援助制限法3条の原則(政府は法人の債務について保証契約をすることができない)に対する例外である、という位置づけも問われます。
機構債券の債権者に先取特権がないとする型
19条4項が一般の先取特権を与え、5項が「民法の規定による一般の先取特権に次ぐ」と順位まで定めています。「一般の先取特権に優先する」と書いてあれば誤りです。 また、21条の特定信託によって担保されている機構債券は4項の対象から外れるという括弧書きも、細かい肢の材料になります。
主務大臣を国土交通大臣のみとする型
29条1項は「国土交通大臣及び財務大臣」です。主務省令も「国土交通省令・財務省令」です。財務大臣を落とした肢は誤りです。 26条1項と通則法64条1項の権限については単独行使が認められている(29条2項)という細部まで押さえておくと万全です。
15条の要求に応じる義務はないとする型
15条2項が「正当な理由がない限り、その求めに応じなければならない」と定めています。1項だけを引いて「求めることができるにとどまる」とする肢は、2項の存在で崩れます。
2項の業務を機構の業務でないとする型
空家等対策の推進に関する特別措置法21条の援助(2項4号)、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律19条の貸付け・20条1項および80条1項の保険(2項7号・8号)、中小企業退職金共済法72条2項の委託に基づく業務(2項10号)は、いずれも13条2項に列挙された機構の業務です。「1項に書いていないから機構の業務ではない」という推論は成り立ちません。
団信の対象範囲を全ての貸付けに広げる型
13条1項12号は、対象を1号により譲り受ける貸付債権に係る貸付けを受けた者、5号から7号まで・11号・2項5号・2項9号の貸付けを受けた者(および沖縄振興開発金融公庫法19条1項3号の貸付けを受けた者)に限定しています。1項8号(マンションの更新)、9号(子育て・高齢者向け賃貸住宅)、10号(高齢者向け改良・登録住宅の購入)は対象に入っていません。 「機構の貸付けを受けた者はすべて団信に加入できる」という肢は、この号の列挙と一致しません。団信の効果そのもの(保険金が債務の弁済に充当されること)は住宅ローンの仕組みが扱っています。
条番号や主体を入れ替える引っかけには一般的な型があります。機構に限らず通用する見抜き方は引っかけ表現のパターンにまとめています。
覚え方・整理の仕方
条文地図を三層で持つ
機構法の並びには順序の理屈があります。総則(1条から7条)で語の意味を決め、業務(13条から16条)で何をするかを決め、財務(17条から25条)でその金をどう作るかを決める。 この三層で持つと、条文を探すときに迷いません。
「災害復興建築物とは何か」は語の意味なので総則、つまり2条です。「機構は誰に業務を委託できるか」は何をするかの話なので第3章、16条です。「機構債券は誰が発行し、誰が保証するか」は金の話なので第4章、19条と20条です。探す前に層を決めるという手順を身につけてください。
買取型は4つの動作で持つ
買取型を「機構が債権を買う制度」とだけ覚えると、21条から23条が抜け落ちます。動作を4つに分けて持ちます。
買う(13条1項1号)、信託する(21条・22条)、債券を出す(19条1項)、回収は自分で受ける(23条1項)。この4動作の順序が、そのまま資金の流れです。そして21条は担保のため、22条は費用に充てるため、と目的で区別します。
保証型は3点で持つ
債権は残る(機構に移らない)、発行体は民間(機構は保証するだけ)、保険関係が要る(住宅融資保険法3条)。この3点だけで、買取型との違いを問う肢はほぼ処理できます。4点目として「機構が抱えるのは資産ではなく保証債務」を足しておくと、経理や財務の切り口から問われても揺らぎません。
委託は「情報提供だけは出せない」で持つ
16条1項の括弧書きは「第一項第四号を除く」の1か所だけです。除外されているのは情報の提供・相談その他の援助(13条1項4号)。委託先は金融機関・債権回収会社・地方公共団体等の3類型。再委託(23条2項)は金融機関と債権回収会社の2類型。3類型から地方公共団体が落ちると2類型、という引き算で覚えると混乱しません。
13条2項は5系統に仕分ける
2項の11号を号順に暗記しようとすると崩れます。中身で仕分けます。保険が1号と8号、保証と譲受けが2号、情報・調査が3号と4号、貸付けが5号・6号・7号・9号、受託が10号。この5系統に附帯の11号を足せば、2項は尽きます。5系統に畳んでから、それぞれが引く法律を思い出すという順序で復習します。
主務大臣は「国土交通と財務の二人」
29条は暗記の負担がほとんどありません。「国土交通と財務の二人」「省令は共同省令」「立入検査は単独でもよい」の3語だけです。それでも肢として成立してしまうのは、住宅の話だから国土交通大臣だろうという推測が自然に働くからです。 推測が働く場所は、そのまま出題される場所です。
数字が出てくるのは条番号だけ
この記事で扱った範囲で、覚えるべき数字はほぼ条番号です。床面積も借入額も金利も、機構法の条文には書かれていません。書かれていないものは条文問題では問われないという原則を、最後の砦として持っておいてください。
統計の問題は毎年公表値が入れ替わるため、直前に確認先を持つ必要があります(令和8年度の統計数値)。それに対して機構の論点には、更新すべき数値がありません。性質が正反対の2問が問46と問48に並んでいるという理解は、直前期の時間配分を決めるときに役立ちます。
問46から問50までの5問という配点は、合格判定基準の年ごとの変動幅と同じオーダーです(合格ラインはなぜ動くのか)。機構の1問は、条文を読めば確実に取れる部類に入ります。得点源と捨て問の切り分けについては合格戦略を参照してください。
理解度チェッククイズ
Q1. 機構は、その貸付債権について信託法3条1号の方法による特定信託をし、または譲渡するときは、当該特定信託の受託者または当該貸付債権の譲受人から、当該貸付債権に係る元利金の回収その他回収に関する業務およびこれに附帯する業務の全部を受託することができる。(○か×か)
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**× 誤り。** 23条1項は「受託することができる」ではなく「**全部を受託しなければならない**」と定める義務規定です。この義務があるために、債権が信託され、あるいは譲渡された後も、利用者から見た返済の窓口は変わりません。なお、機構は受託した業務の一部を16条1項1号(主務省令で定める金融機関)または2号(債権回収会社)に委託できますが(23条2項)、16条1項3号の地方公共団体その他政令で定める法人は再委託先に含まれません。Q2. 機構が行う特定債務保証の対象は、13条1項1号に規定する貸付債権のうち、特定信託をして受益権を譲渡することなどを予定した貸付けに係るもの(特定貸付債権)であればよく、住宅融資保険法による保険関係が成立していることまでは要しない。(○か×か)
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**× 誤り。** 13条1項2号は、特定貸付債権の**うち、住宅融資保険法3条に規定する保険関係が成立した貸付けに係るもの**(その信託の受益権を含む)を担保とする債券その他主務省令で定める有価証券に係る債務の保証、と定めています。**保険関係の成立は保証型の要件です。** 絞り込みは3段階で、1号の貸付債権であること、イからハまでの行為を予定した貸付けに係るものであること(=特定貸付債権)、そのうち保険関係が成立した貸付けに係るものであること、の順に狭くなります。反対に、買取型(13条1項1号)には保険関係の要件がありません。Q3. 機構は、13条に規定する業務のうち政令で定める業務を、主務省令で定める金融機関、債権回収会社、地方公共団体その他政令で定める法人に委託することができ、この委託の対象には住宅の建設等をしようとする者に対する情報の提供、相談その他の援助の業務も含まれる。(○か×か)
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**× 誤り。** 委託先の3類型(16条1項1号から3号まで)は正しい記述です。しかし委託できる業務の範囲について、16条1項柱書は「**第十三条(第一項第四号を除く。)に規定する業務のうち政令で定める業務**」と定めており、13条1項4号の情報の提供、相談その他の援助は**条文が名指しで委託の対象から除外**しています。委託の範囲は「4号を除く」と「政令で定める業務」の二重に絞られている点も押さえてください。なお、16条1項1号および3号の者は他の法律の規定にかかわらず受託できます(16条2項)が、2号の債権回収会社はこの2項に列挙されていません。Q4. 機構に係る独立行政法人通則法における主務大臣は国土交通大臣であり、主務省令は国土交通省令である。(○か×か)
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**× 誤り。** 29条1項は「機構に係る通則法における主務大臣及び主務省令は、それぞれ**国土交通大臣及び財務大臣**並びに**国土交通省令・財務省令**とする」と定めています。**財務大臣も主務大臣です。** 政府保証(20条)、債券発行や償還計画の認可(19条・24条)、国庫納付(18条)など財政に直結する権限が置かれた法律であることを考えると、この構成は条文全体から自然に導けます。ただし26条1項の報告徴収・立入検査の権限と、機構に係る通則法64条1項の権限については、国土交通大臣または財務大臣がそれぞれ**単独に行使することを妨げない**とされています(29条2項)。Q5. 機構は、13条1項1号、2号および5号から11号までの業務の実施に当たっては、一般の金融機関との適切な役割分担を図るよう努めなければならないが、同項3号の住宅融資保険の業務および同項4号の情報の提供、相談その他の援助の業務は、この努力義務の対象とされていない。(○か×か)
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**○ 正しい。** 14条1項は冒頭で対象業務を「**前条第一項第一号、第二号及び第五号から第十一号まで**」と指定しています。ここに入っていないのは3号(住宅融資保険法による保険)、4号(情報の提供、相談その他の援助)、12号(団体信用生命保険にあたる業務)、13号(附帯業務)の4つです。役割分担の努力義務は、機構が民間金融機関と同じ土俵で資金を出す業務についてのものなので、保険・情報提供・付随業務が外れているのは条文の設計として一貫しています。14条2項の配慮義務・協力義務も号の指定は1項とまったく同じで、こちらは後段が「まちづくりその他の必要な施策について**協力しなければならない**」と、努力義務ではない書き方になっています。**「14条は13条の業務全般にかかる」という説明は、この号指定を無視したものです。**まとめ
- 機構法は本則36条・6章構成である。総則(1条から7条)、役員及び職員(8条から12条)、業務(13条から16条)、財務及び会計(17条から25条)、雑則(26条から31条)、罰則(32条から36条)。13条だけを読むと、14条・15条・16条・19条から25条・29条から31条がまるごと視野から落ちる。
- 2条の定義8項が13条の号を読む前提になる。滅失なら災害復興建築物、損傷なら被災建築物。除却なら災害予防代替建築物、移転なら災害予防移転建築物。「代わるべき」は新しい建物、「当該」は今ある建物。災害予防関連工事だけは敷地の擁壁・排水施設の工事である。マンションの定義は区分所有法2条2項の区分所有者を借りている。
- 買取型の資金は、13条1項1号(譲受け)から21条(機構債券の担保のための特定信託。主務大臣の認可。政府保証のあるものを除く)、22条(費用に充てるための受益権譲渡・特定目的会社への譲渡。同じく認可)、23条1項(受託者または譲受人から回収業務の全部を受託しなければならない)へと流れる。窓口が変わらないのは23条1項の義務規定があるからである。
- 資金調達は19条から25条。長期借入金と機構債券は19条1項、財形住宅債券は19条3項、債権者の一般の先取特権とその順位(民法の一般の先取特権に次ぐ)は19条4項・5項、政府保証は20条(財政援助制限法3条にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内)、償還計画の認可は24条、金利変動準備基金は25条。
- 保証型(13条1項2号)は、特定貸付債権のうち住宅融資保険法3条の保険関係が成立した貸付けに係るものを担保とする有価証券に係る債務の保証である。買取型との違いは、債権が移転するか、発行体が誰か、保険関係の成立が要るか、抱えるのが資産か保証債務か、の4軸で切れる。
- 委託は16条。「13条(1項4号を除く)に規定する業務のうち政令で定める業務」と二重に絞られ、情報提供・相談は委託できない。委託先は金融機関・債権回収会社・地方公共団体等の3類型。23条2項の再委託先は金融機関と債権回収会社の2類型で、地方公共団体は落ちる。
- 13条2項にも11号の業務がある。保険(1号・8号)、譲受けと保証(2号)、調査・情報提供(3号・4号)、貸付け(5号・6号・7号・9号)、受託(10号)の5系統に、附帯の11号を足せば尽きる。「直接融資は5号から11号まで」という整理は1項の中での話である。
- 14条1項・2項の努力義務と配慮義務は、13条1項1号・2号および5号から11号までに限定されている。3号・4号・12号・13号は対象外である。15条は1項の要求だけでなく2項の応諾義務(正当な理由がない限り応じなければならない)まで押さえる。
- 主務大臣は国土交通大臣及び財務大臣(29条1項)。報告徴収・立入検査の権限は単独行使を妨げない(29条2項)。30条は買取型を回すために貸金業法24条を外し、31条は国家公務員宿舎法を外している。
- 附則が公庫から機構への転換を記録している。設立(2条)、公庫の解散と承継(3条)、施行前の貸付契約はなお従前の例による(5条)、保証協会からの引継ぎ(6条)、業務の特例と既往債権管理勘定(7条)、住宅宅地債券(8条)、住宅金融公庫法の廃止(10条)、政府の努力規定(22条)。承継債権と附則7条2項の貸付けがあるため、「機構は一切貸していない」という言い方は正確ではない。
令和8年度試験の出題根拠は2026年4月1日現在施行の法令です。試験日程と申込みの確定情報は令和8年度の宅建試験日程で確認してください。
宅建試験AIブートラボのアプリでは、住宅金融支援機構を含む税・その他分野の肢別トレーニングと年度別過去問演習に取り組めます。
税と価格の評定は毎年ほぼ同じ形で出ます。出題パターンを肢別で押さえれば取りこぼしません。