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宅建の合格ライン予想|合格点はなぜ毎年動くのか

試験対策・勉強法 読了 約25分

宅建試験の合格基準点を不動産適正取引推進機構の公表値で検証。過去10年は33点から38点で推移し令和7年度は33点。合格率をほぼ一定に保つ相対評価のため、試験前に合格点を予想することは原理的にできません。

目次

    この記事は、宅建試験の合格基準点がどう動いてきたかを公表データで確認し、そこから目標得点をどこに置くべきかを導きます。試験が終わったあとの自己採点の手順と発表までの過ごし方は宅建の自己採点、不合格の原因を試験の構造から捉え直す視点は宅建の不合格の原因にそれぞれまとめてあるので、この記事は合格点そのものの分析に絞ります。

    結論を先に書きます。試験前に「今年の合格点は何点か」を予想することは、原理的にできません。宅建試験の合格基準点は、受験者全体の得点分布を見てから設定されます。分布は試験が終わるまで存在しないので、予想の対象そのものがまだ存在しないのです。できるのは、過去の分布から「この点数なら例年は通っていた」という位置づけを示すことまでです。

    そして過去10年の公表値を見ると、合格基準点は50問中33点から38点のあいだで動いてきました。最高は令和2年度10月試験の38点、最低は直近の令和7年度の33点です。この上限である38点を明確に超える得点力を作る、というのがデータから導ける唯一の実行可能な結論になります。以下、その根拠を年度ごとの数字で確認していきます。

    この記事が使うデータと、その出所

    不動産適正取引推進機構が公表している10年分

    この記事の数字は、すべて不動産適正取引推進機構が公表している「試験実施概況(令和7年度以前10年間)」によります。同機構は毎年、直近10年分の申込者数・受験者数・合格者数・合格率・合格基準点をまとめた資料を公開しており、本記事はその令和7年度版を参照しています。合格基準点は一般受験者(50問)と登録講習修了者(45問)の二本立てで公表されています。

    つまり本記事が扱うのは、平成28年度から令和7年度までの10年度分です。令和2年度と令和3年度はそれぞれ10月試験と12月試験の2回に分けて実施されているため、データの数としては12件になります。

    10年より前を扱わない理由

    扱う範囲を10年に限るのは、機構が現在公開している実施概況が直近10年分だからです。平成27年度以前の合格基準点も各所で流通していますが、同機構の資料で1件ずつ照合することができません。検算できない数字は載せないという方針から、本記事では扱いません。

    この線引きによって失われる情報は、実用上ほとんどありません。合格基準点の上限は令和2年度10月試験の38点で、これは10年の範囲内にあります。後述する目標設定は上限値を根拠にするので、結論は変わらないということです。

    平均や中央値といった加工値は載せない

    合格ラインを扱う記事では、中央値や最頻値といった加工した統計量が示されることがあります。本記事はそれを載せません。

    理由は二つあります。第一に、合格基準点は年に1回しか観測されない値で、しかも令和2年度・令和3年度をそれぞれ1件と数えるか2件と数えるかで、中央値も最頻値も変わってしまいます。第二に、そうして出した代表値は過去の要約であって、翌年の値を予測する性質を持ちません。後述するとおり、推移に方向性が見当たらないからです。

    そこで本記事は、加工した統計量ではなく、公表値そのものと、そこから直接読める幅だけを示します。

    過去10年の合格基準点はどう動いたか

    年度ごとの数字を、傾向のまとまりで区切って見ていきます。以下の合格基準点は、断りのない限り一般受験者の50問中の点数です。

    平成28年度から平成30年度 ― 35点が続き、37点へ

    平成28年度は、申込者245,742人、受験者198,463人、合格者30,589人、合格率15.4%、合格基準点35点でした。合格率は本記事が扱う10年のなかで最も低い数字です。

    平成29年度は、申込者258,511人、受験者209,354人、合格者32,644人、合格率15.6%、基準点35点。前年と同じ35点です。

    平成30年度は、申込者265,444人、受験者213,993人、合格者33,360人、合格率15.6%、基準点37点。合格率は前年と同じ15.6%でありながら、基準点は2点上がっています。

    この3年間で注目すべきは平成29年度と平成30年度の関係です。合格率が15.6%で完全に一致しているのに、基準点は35点と37点で2点違います。同じ割合の受験者を通すために必要な点数が、年によって2点動いたということです。この一致と差が、後述する相対評価の仕組みを最も端的に示しています。

    令和元年度から令和3年度 ― 38点と34点が3年のうちに並んだ

    令和元年度は、申込者276,019人、受験者220,797人、合格者37,481人、合格率17.0%、基準点35点。合格率が前年の15.6%から17.0%へ上がり、以降この水準が定着します。

    令和2年度は、新型コロナウイルスの影響で10月と12月の2回に分けて実施されました。10月試験は申込者204,163人、受験者168,989人、合格者29,728人、合格率17.6%、基準点38点。12月試験は申込者55,121人、受験者35,261人、合格者4,610人、合格率13.1%、基準点36点です。

    ここが10年のなかで最も重要なデータ点です。同じ年度、同じ出題方針のもとで実施された2回の試験で、基準点が38点と36点に分かれました。しかも合格率は17.6%と13.1%で、こちらも大きく違います。10月試験と12月試験では受験者の集団そのものが別なので、それぞれの分布に応じて別の線が引かれた、ということです。合格点が「その年の問題の難しさ」だけで決まるのではなく、「その回に受けた人たちの得点分布」で決まることが、この2つの数字から直接読み取れます。

    令和3年度も2回実施です。10月試験は申込者256,704人、受験者209,749人、合格者37,579人、合格率17.9%、基準点34点。12月試験は申込者39,814人、受験者24,965人、合格者3,892人、合格率15.6%、基準点34点。こちらは2回とも34点で一致しました。

    令和2年度10月の38点から令和3年度10月の34点まで、1年で4点下がっています。この時期の受験者数はいずれも20万人前後で大きくは変わっていません。

    令和4年度から令和7年度 ― 36点が続いた後の33点

    令和4年度は、申込者283,856人、受験者226,048人、合格者38,525人、合格率17.0%、基準点36点。令和5年度は、申込者289,096人、受験者233,276人、合格者40,025人、合格率17.2%、基準点36点。2年続けて36点です。

    令和6年度は、申込者301,336人、受験者241,436人、合格者44,992人、合格率18.6%、基準点37点。申込者が初めて30万人を超え、合格者も45,000人に迫りました。

    令和7年度は、申込者306,099人、受験者245,462人、受験率80.2%、合格者45,821人、合格率18.7%、基準点33点です。登録講習修了者の基準点は45問中28点。合格者の平均年齢は36.2歳、合格者に占める登録講習修了者の割合は24.2%でした。

    令和6年度の37点から令和7年度の33点への4点の下落は、本記事が扱う10年で最大の年次変動です。しかも合格率は18.6%から18.7%へとほぼ動いていません。ほぼ同じ割合の受験者を通すのに必要な点数が、1年で4点下がった。これは受験者全体の得点分布が、前年より低い位置にあったことを意味します。

    10年を通した幅

    12件の基準点を並べると、35点、35点、37点、35点、38点、36点、34点、34点、36点、36点、37点、33点となります。最高は38点(令和2年度10月試験)、最低は33点(令和7年度)で、その差は5点。50問中の5点は、全体の10%に相当します。

    そして重要なのは、この振れ方に方向性が見当たらないことです。平成30年度に37点まで上がった翌年は35点に戻り、令和2年度10月に38点まで上がった2年後には34点まで下がり、令和6年度に37点まで戻った翌年は33点でした。上昇トレンドとも下降トレンドとも読めないというのが、10年分を素直に眺めた結論です。

    合格率のほうは、それほど動いていない

    15.4%から18.7%という幅

    同じ12件について合格率を並べると、15.4%、15.6%、15.6%、17.0%、17.6%、13.1%、17.9%、15.6%、17.0%、17.2%、18.6%、18.7%です。

    令和2年度12月試験の13.1%を別として扱えば、幅は15.4%から18.7%の3.3ポイントに収まります。基準点が50問中5点、つまり10%相当の幅で動いているのに対し、合格率の幅はその3分の1程度です。割合のほうがはるかに安定していて、点数のほうが大きく動いているという関係が、数字から直接確認できます。

    緩やかな上向きはある

    とはいえ「合格率は一定」と言い切るのは正確ではありません。平成28年度から平成30年度までは15%台、令和元年度から令和5年度までは17%前後、令和6年度と令和7年度は18%台と、段階的に上がっています。10年の始点15.4%と終点18.7%では3.3ポイントの差があります。

    ただしこの上昇は、基準点の振れ幅に比べればはるかに緩やかです。合格率が3.3ポイントの範囲で緩やかに動くあいだに、基準点は33点から38点まで往復しました。受験者の側から見て予測が難しいのは、明らかに点数のほうです。合格率そのものの長期的な推移は宅建試験の合格率推移、難易度の評価と合格率の関係は宅建試験の難易度と合格率で扱っています。

    令和2年度12月試験をどう扱うか

    合格率13.1%という数字は、10年のなかで際立って低い値です。ただしこの回は受験者が35,261人と、通常の年の6分の1程度しかありません。令和3年度12月試験も24,965人です。

    これらは、コロナ禍で会場を確保できなかった受験者を対象に追加実施されたもので、受験者の集団が通常回とは性質を異にしています。傾向を読むうえでは、通常回と単純に並べないほうが安全です。本記事でも、幅を示す際にはこの1件を別扱いにしています。

    受験者数は増え続けている

    受験者数は、平成28年度の198,463人から令和7年度の245,462人まで、10年で約4万7千人増えました。申込者も245,742人から306,099人へ増えています。申込者に対する受験者の比率は、令和4年度が79.6%、令和5年度が80.7%、令和6年度が80.1%、令和7年度が80.2%と、おおむね8割で安定しています。

    母集団が5万人規模で増えても合格率が3ポイント程度の範囲に収まっているという事実は、機構が割合を意識した運用をしていることの傍証になります。

    合格者数は10年で1.5倍になった

    合格者数のほうも見ておきます。平成28年度の30,589人から、令和7年度の45,821人まで、10年で約1.5倍に増えました。平成28年度から平成30年度までは30,589人、32,644人、33,360人と3万人台前半。令和元年度が37,481人。令和2年度と令和3年度は2回に分かれており、令和2年度が10月29,728人と12月4,610人、令和3年度が10月37,579人と12月3,892人です。単独実施に戻った令和4年度は38,525人、令和5年度が40,025人、令和6年度が44,992人、令和7年度が45,821人という並びになります。

    これは受験者数の増加と合格率の上昇が同じ方向に働いた結果です。ただし、この増加を「合格しやすくなった」と読むのは誤りです。合格率が3.3ポイント上がったのは事実ですが、その一方で必要な点数は33点から38点までを往復し続けています。人数が増えていることと、自分が線の内側に入りやすくなっていることは、別の話です。

    基準点は全国一本で、都道府県別ではない

    もう一点、誤解されやすい構造を確認しておきます。宅建試験は都道府県ごとに申込みを受け付け、受験地も都道府県単位で指定されますが、機構が公表している合格基準点は全国で一本です。都道府県別の基準点は公表されていません。

    したがって、受験者数の多い都道府県で受けたほうが不利になる、あるいは少ない県のほうが通りやすい、といったことはありません。線を引く母集団は、その回に受験した全国の受験者です。令和7年度でいえば245,462人が一つの分布を構成しています。

    なぜ合格点が動くのか

    割合を保てば、点数のほうが動く

    ここまでの数字を並べると、仕組みは一つしか考えられません。合格者の割合をおおむね一定の範囲に収める運用がされており、その結果として、必要な点数のほうが年ごとに調整されているということです。

    もし「50問中36点以上で合格」という固定基準が先にあったなら、問題の難易度が動くたびに合格率は大きく振れるはずです。実際には逆で、合格率が3.3ポイントの幅に収まる一方、基準点が5点動いています。線が先にあって人を選んでいるのではなく、人の得点分布を見てから線を引いている、という順序です。

    このことは、平成29年度と平成30年度の対比で最もはっきりします。合格率はどちらも15.6%で完全に一致し、基準点だけが35点と37点に分かれました。同じ割合を通すために必要な点数が2点違ったのですから、違っていたのは受験者の得点分布のほうです。

    合格点が高い年は「易しかった年」である

    ここから、直感と逆の関係が導かれます。合格基準点が高い年は、難しかった年ではなく、受験者全体の得点が高かった年です。

    令和2年度10月試験は38点でした。この年、17.6%の受験者が38点以上を取っています。一方、令和7年度は33点で18.7%が合格しました。ほぼ同じ割合を通すのに、令和2年度10月は38点が必要で、令和7年度は33点で足りた。つまり令和2年度10月の受験者集団のほうが、得点分布として高い位置にあったということになります。

    受験者の実感としては「今年は難しかった」と感じた年ほど基準点が下がり、「解けた」と感じた年ほど上がります。試験直後に「今年は難しかったから合格点は下がるだろう」という会話が成立するのは、この関係が経験的に共有されているからです。ただしそれは自分の周りの標本から推測しているにすぎず、24万人の分布を代表してはいません。

    なぜ割合を一定に保つのかは公表されていない

    ここで一つ、書けないことを明示しておきます。機構がなぜ合格者の割合をこの水準に保つ運用をしているのか、その理由は公表されていません。

    宅建士の供給量を調整するためだ、資格の価値を維持するためだ、といった説明を目にすることがありますが、いずれも公表資料に根拠がありません。観測できるのは結果としての数字だけです。すなわち、合格率が3.3ポイントの幅に収まる一方で基準点が5点動いている、という事実だけが確かめられます。

    受験者にとって実用上の意味は変わりません。理由が何であれ、線が事後的に引かれることと、その位置を自分では選べないことは同じだからです。

    「あと1点」が構造上生じる理由

    合格基準点のすぐ下には、毎年相当数の受験者がいます。もし線の前後が人のいない空白なら、1点動かしても合格者数は変わらないので、点数を細かく調整する意味がありません。調整が現に行われているという事実自体が、線の前後に人が密集していることの裏返しです。

    したがって「あと1点だった」という結果は、運の悪い事故ではなく、相対評価かつ50問という粗い刻みの試験では構造上必ず一定数生じます。この論点は宅建の不合格の原因で詳しく展開しているので、そちらを参照してください。

    「合格ライン予想」という行為の限界

    試験前の予想は、対象が存在しない

    以上を踏まえると、試験前に合格点を予想することが原理的に不可能である理由がはっきりします。合格基準点はその年の受験者の得点分布から決まりますが、分布は試験が終わるまで存在しません。予想しようにも、予想の対象がまだ生まれていないのです。

    試験前にできるのは、過去の分布から位置づけを述べることだけです。「38点は過去10年のどの年の基準点も上回っていた」「33点は令和7年度なら合格だが、それ以外の9年度では不合格だった」。これらは過去についての記述であって、今年についての予測ではありません。この区別を曖昧にしたまま数字を受け取ると、目標設定を誤ります。

    試験後の予想が推定しているもの

    試験が終われば分布は存在します。ただし、それを持っているのは機構だけです。試験当日から翌日にかけて各社が発表する合格ライン予想は、自社が集めた答案データから、全体の分布を推定したものです。

    推定である以上、標本の性質が結果を左右します。各社が集められるのは自社の受講生やサービス利用者の答案であり、これは24万人の受験者を無作為に抽出した標本ではありません。特定の講座で学習した層に偏りますし、自己採点結果を自発的に送る人にも偏りが生じます。予想に幅が持たされ、社によって数字が割れるのは、この構造から来ています。

    そして、これらはいずれも各社が自主的に行っている集計であって、公式のものではありません。公式の合否判定基準が示されるのは合格発表の時点です。機構は合格発表時に、合格者の受験番号、合否判定基準、および試験問題の正解番号を掲載するとしています。

    「36点プラスマイナス1点」という幅の読み方

    予想は「36点前後」「35点から37点」のように幅を持たせて示されることが多くあります。この幅は、推定の不確かさを正直に表現したものなので、幅のまま受け取るのが正しい扱い方です。

    読み方は三通りに分かれます。自分の得点が幅の上端を超えているなら、その予想が正しかった場合には合格です。幅の下端に届いていないなら、その予想が正しかった場合には不合格です。幅の中にいるなら、その予想が正しかったとしても結論は出ません。

    ここで注意すべきなのは、三つ目の場合に「幅の真ん中と比べる」ことに意味がないという点です。予想が36点プラスマイナス1点で自分が36点だったとき、「ちょうど予想値だから五分五分」と考えたくなりますが、その36点自体が推定値です。推定に幅がある以上、中心に近いことは確からしさを何も保証しません。

    そしてもう一つ、この読み方はすべて「その予想が正しかった場合には」という条件つきです。予想そのものが外れる可能性は、幅の中には含まれていません。

    予想が指す的そのものが動く

    予想の精度を論じる前に、押さえておくべき事実があります。予想が当てようとしている的が、年によって4点動くということです。

    令和6年度は37点、令和7年度は33点でした。この4点は、10年のなかで最大の年次変動です。前年の実績を出発点に「今年も37点前後だろう」と考えていれば、4点外れることになります。逆に令和7年度の33点を出発点に「今年も33点くらいだろう」と考えるのも、同じ種類の誤りです。過去10年で33点は1回しか出ていません。

    予想を読むときの態度としては、具体的な点数を受け取るのではなく、「その年の難易度についての各社の見立て」として読むのが妥当です。そして自分の得点がその近傍にある場合は、確定しないものとして扱います。自己採点の結果をどう扱うかは宅建の自己採点に手順としてまとめてあります。

    満点が2種類ある ― 登録講習修了者の基準点

    45問中の基準点が別に公表される

    合格基準点の話をするときは、自分がどちらの基準で判定されるのかを確認しておく必要があります。宅建試験には満点が2種類あるからです。

    登録講習を修了した者は、修了した日から3年以内に受ける試験について出題範囲の一部が免除され、本試験では問46から問50までの5問を解きません。したがって45問を解き、45点満点で判定されます。機構の公表資料でも、合格基準点は一般受験者の「50問中◯点」と登録講習修了者の「45問中◯点」が並記されています。免除科目の中身と対策は5問免除科目の攻略にまとめてあります。

    差は10年間一貫して5点

    公表されている10年分を並べると、平成28年度が35点と30点、平成29年度が35点と30点、平成30年度が37点と32点、令和元年度が35点と30点、令和2年度10月試験が38点と33点、同12月試験が36点と31点、令和3年度10月試験が34点と29点、令和4年度が36点と31点、令和5年度が36点と31点、令和6年度が37点と32点、令和7年度が33点と28点。

    すべての年度で、差はちょうど5点です。免除される5問が、そのまま得点として扱われている構造を示しています。なお令和3年度12月試験には登録講習修了者の区分がなく、基準点も公表されていません。

    登録講習修了者の側から見た10年の幅は、45問中28点(令和7年度)から33点(令和2年度10月試験)です。一般受験者の33点から38点を、そのまま5点下にずらした範囲になります。

    合格者数と合格率は合算で公表される

    一方で、合格者数と合格率は受験区分ごとには公表されていません。令和7年度の合格者45,821人、合格率18.7%は、一般受験者と登録講習修了者を合わせた数字です。公表されているのは、合格者に占める登録講習修了者の割合が24.2%であるという情報までです。

    つまり、二つの基準点がどのような手順で同時に決められているのか、その内部の運用は公開されていません。確実に言えるのは、基準点が区分ごとに別に設定・公表されており、その差が公表されている全年度で5点である、という事実だけです。

    免除を受けない側にとっての意味

    この5点差は、免除を受けていない受験者にとって実用的な意味を持ちます。問46から問50までの5問は、基準点の設定において満点前提で扱われているということだからです。

    ここで3問しか取れなければ、免除を受けている受験者に対して2点のハンディを負ったまま残り45問で競うことになります。配点の小さい科目に見えて、実際には基準点の構造に組み込まれている5問だと理解しておいてください。

    目標は38点に置く

    上限を超えれば、年に左右されない

    ここまでの分析から導ける実行可能な結論は一つです。過去10年の上限である38点を安定して取れる実力があれば、どの年に受けても基準点以上でした。登録講習修了者なら45問中33点が同じ位置に当たります。

    なぜ上限に合わせるのかというと、自分では線の位置を選べないからです。合格点が33点になる年に当たるか38点になる年に当たるかは、受験者にはコントロールできません。コントロールできるのは自分の得点だけです。制御できない変数に対しては、最悪ケースに備えるのが唯一の合理的な方針になります。

    35点目標が抱えるリスクを年度で確認する

    目標を35点に置いた場合、過去10年のどこで足りなかったかを具体的に確認しておきます。

    35点で合格だったのは、平成28年度、平成29年度、令和元年度、令和2年度12月試験、令和3年度10月・12月試験、令和4年度、令和5年度、令和7年度です。不合格だったのは、平成30年度(37点)、令和2年度10月試験(38点)、令和6年度(37点)の3件。12件中3件、およそ4回に1回は届いていません。

    36点に上げても、平成30年度・令和2年度10月試験・令和6年度の3件は依然として不合格です。37点でようやく令和2年度10月試験の1件だけになり、38点で全件をクリアします。

    令和7年度の33点を根拠に目標を下げてはいけない

    直近が33点だったことから「33点で足りるのではないか」と考えるのは、最も避けたい判断です。過去10年で33点が基準点だったのは令和7年度の1回だけで、残る11件はすべてそれより高い点数でした。33点を目標にすると、10年のうち11件で不合格になる水準に自分を置くことになります。

    同じことは、合格点が下がる傾向にあるという読み方にも当てはまります。前述のとおり、10年の推移に方向性は見当たりません。平成30年度に37点まで上がった翌年は35点に戻り、令和2年度10月に38点をつけた2年後には34点まで下がり、令和6年度に37点へ戻った翌年は33点でした。前年の値から今年を推し量ることに根拠がないというのが、10年分を並べて言えることです。

    「12問落としてよい」と裏返す

    38点という目標は、50問中12問まで間違えてよいという意味でもあります。この裏返しを持っておくと、目標が現実的なものとして見えてきます。満点を取る試験ではなく、落としてよい問題を見極める試験です。

    その12問をどこに配分するかは、科目ごとの性質で決まります。宅建業法20問は範囲が閉じていて反復がそのまま得点に変わるため、ここでの取りこぼしは最も高くつきます。逆に権利関係14問には毎年、深追いすべきでない難問が含まれます。配分の考え方は宅建の科目別攻略法科目別攻略法に、宅建業法の詰め方は宅建業法で満点を取る勉強法にまとめてあります。

    到達度で測る

    38点という目標を立てたあと、進捗を学習時間で測らないでください。時間は入力であって成果ではありません。測るべきなのは、過去問での正答率、確信を持って選べた肢の割合、といった到達度の指標です。目標点から逆算して到達度の水準を決め、そことの距離を見る、という管理の仕方は宅建の勉強時間に整理してあります。弱点の特定と潰し方は弱点克服法、直前期の詰め方は直前期の学習戦略を参照してください。

    自己採点の点数が近傍にあった場合

    令和8年度の日程

    令和8年度の宅建試験は10月18日(日)に実施され、合格発表は11月25日(水)9時30分です。試験日から発表まで38日あります。年度ごとの正確な日程は宅建試験の日程で確認してください。

    帯で扱う

    自己採点の結果が33点から37点のあいだにある場合、過去10年の基準点がすべてこの帯の中にあるため、年によって結果が変わります。この帯にいる限り、自己採点の数字をいくら眺めても合否は出ません。1点刻みで判断しようとせず、帯として扱ってください。

    発表までの38日間の使い方、科目別・肢別の内訳の作り方、誤答の分類の仕方は宅建の自己採点に手順としてまとめてあります。不合格が濃厚な場合の組み立て直しは再受験の戦略、合格していた場合に続く登録手続は宅建合格後にやることにあります。

    発表時に何が公表されるか

    機構は合格発表時に、合格者の受験番号、合否判定基準、および試験問題の正解番号を掲載するとしています。したがって、自分の得点と公式の基準点を突き合わせて位置を確定できるのは、この時点です。それまでに出回る数字は、すべて推定値です。

    試験での出題ポイント

    合格基準点そのものは試験科目ではありませんが、線との距離は本試験中の処理でも動きます。当日、次の点が効いてきます。

    難易度の体感に引きずられない

    「今年は難しい」と感じたときに焦って解答を変え始めると、かえって失点します。難しく感じているなら、他の受験者も同じである可能性が高く、その場合は基準点のほうが下がります。体感の難易度は自分の得点を下げる理由にはなっても、合否の見通しを暗くする理由にはなりません。分布が全体として下がれば、線も下がるからです。

    個数問題と組合せ問題で時間を使いすぎない

    「正しいものはいくつあるか」「正しいものの組合せはどれか」という形式は、四つの肢すべてを判断しないと答えが出ないため、消去法が使えません。1問あたりの所要時間が伸びやすく、ここで詰まると後半の易しい問題を落とします。

    12問落としてよいという設計は、こうした問題を潔く飛ばすための余白でもあります。時間配分と解く順序の詰め方は模試の活用法で扱っています。

    免除科目5問を軽く見ない

    問46から問50までは、基準点の設定において満点前提で扱われている5問です。統計の1問は直近の公表値を覚えているかどうかだけで決まり、他の論点のような理解を要しません。準備すれば確実に取れる場所を落とすことは、38点という目標に対して直接効いてきます。

    マーク欄のずれを確認する

    1問ずれてマークすると、そこから後ろがすべて失点になります。基準点との距離が5点の幅で動く試験において、これは致命的な種類のミスです。5問ごと、あるいは科目の切れ目ごとに問題番号とマーク欄を照合する手順を決めておいてください。

    覚え方・整理の仕方

    覚える数字は「33・38・5」の三つ

    過去10年の合格基準点の下限が33点、上限が38点、そして登録講習修了者との差が5点。この三つだけで、合格ラインに関する判断のほとんどができます。38点以上なら10年のどの年でも合格圏、33点未満なら10年のどの年でも不合格。あいだは年次第です。45問なら28点と33点に読み替えます。

    「割合は固定、点数が動く」の一行で持つ

    合格率は15.4%から18.7%の3.3ポイントに収まり、基準点は50問中5点、全体の10%相当の幅で動いた。動くのは点数のほうで、割合ではありません。この一行を持っていれば、「今年は合格率が下がるのでは」という不安が的外れであることがすぐに分かります。下がるのは点数です。

    高い年は「易しかった年」と逆算する

    合格点が高い年は、受験者全体の得点分布が高い位置にあった年です。難しかった年ではありません。「合格点が高い=みんな解けた」と一度覚え直しておくと、試験直後の情報を読み違えなくなります。

    平成29年度と平成30年度の対比を一つ持っておく

    合格率がどちらも15.6%で一致し、基準点だけが35点と37点に分かれた。この一組を覚えておけば、相対評価の仕組みを人に説明できます。抽象的な「相対評価だから」という説明より、実際の数字の対で持つほうが忘れません。

    目標は「最悪ケースに合わせる」

    自分では線の位置を選べないので、上限に合わせる。これは特別な考え方ではなく、制御できない変数に対する標準的な備え方です。35点目標は12件中3件で不合格、38点目標は12件すべてで合格。この対比だけ覚えておけば、目標を下げたくなったときの歯止めになります。

    理解度チェッククイズ

    問1 宅建試験の合格基準点は、試験の難易度に応じてあらかじめ公表された基準に従って決まるため、試験前におおよその予測が可能である。

    答え:×。合格基準点は受験者全体の得点分布をもとに事後的に設定されます。分布は試験が終わるまで存在しないため、試験前の時点では予想の対象そのものが存在しません。できるのは、過去の分布から「この点数なら例年は通っていた」という位置づけを述べることまでです。不動産適正取引推進機構の公表値では、過去10年の一般受験者の基準点は50問中33点から38点のあいだで動いています。

    問2 合格基準点が高かった年は、その年の問題が難しかったことを意味する。

    答え:×。逆です。合格者の割合をおおむね一定の範囲に収める運用がされているため、基準点が高い年は受験者全体の得点分布が高い位置にあった年、すなわち相対的に得点しやすかった年ということになります。令和2年度10月試験は基準点38点で合格率17.6%、令和7年度は基準点33点で合格率18.7%。ほぼ同じ割合を通すのに必要な点数が5点違ったのは、分布の位置が違ったからです。

    問3 登録講習修了者の合格基準点は、一般受験者の基準点から5点を引いた水準で公表されている。

    答え:○。機構が公表している過去10年分では、すべての年度で差が5点です。令和7年度が50問中33点と45問中28点、令和6年度が37点と32点、令和2年度10月試験が38点と33点、平成28年度が35点と30点。免除される問46から問50までの5問が、そのまま得点として扱われている構造を示しています。なお令和3年度12月試験には登録講習修了者の区分がなく、基準点も公表されていません。

    問4 直近の令和7年度が33点だったことから、翌年以降も33点前後で推移すると考えて目標を設定してよい。

    答え:×。過去10年で33点が基準点だったのは令和7年度の1回だけで、残る11件はすべてそれより高い点数でした。33点を目標にすると、10年のうち11件で不合格になる水準に自分を置くことになります。また、推移に方向性は見当たりません。平成30年度に37点まで上がった翌年は35点、令和2年度10月に38点をつけた2年後は34点、令和6年度に37点へ戻った翌年は33点です。前年の値から今年を推し量る根拠はありません。

    問5 試験当日の夜に各予備校が発表する合格ライン予想は、受験者全体の得点分布に基づく公式の暫定値である。

    答え:×。各社が自社の受講生や利用者から集めた答案データをもとに独自に推定したもので、公式のものではありません。標本が特定の講座の利用者に偏るため、予想に幅が生じ、社によって数字も割れます。公式の合否判定基準が示されるのは合格発表の時点で、機構は同時に合格者の受験番号と試験問題の正解番号も掲載するとしています。

    まとめ

    • 合格基準点は事後に決まるため、試験前の予想は原理的に成立しません。不動産適正取引推進機構が公表する過去10年(平成28年度から令和7年度、2回実施年を含め12件)の一般受験者の基準点は、最低33点(令和7年度)から最高38点(令和2年度10月試験)まで、5点の幅で動いてきました。推移に方向性はなく、前年の値から今年を推し量る根拠はありません。
    • 動いているのは点数であって、割合ではありません。同じ12件の合格率は、令和2年度12月試験の13.1%を別とすれば15.4%から18.7%の3.3ポイントに収まります。平成29年度と平成30年度は合格率がともに15.6%でありながら基準点は35点と37点。令和6年度と令和7年度は合格率18.6%と18.7%でありながら基準点は37点と33点。同じ割合を通すのに必要な点数が年によって変わる、という関係がここに現れています。基準点が高い年は難しかった年ではなく、受験者全体の得点が高かった年です。
    • 目標は過去10年の上限である38点に置きます。登録講習修了者なら45問中33点です(基準点の差は公表されている全年度で5点)。35点目標では12件中3件、およそ4回に1回は届きませんでした。38点なら12件すべてで合格圏に入ります。線の位置は自分では選べないので、最悪ケースに合わせるのが唯一の合理的な方針になります。38点は50問中12問まで落としてよいという意味でもあり、その12問をどこに配分するかが科目別の戦略になります。

    合格ラインの予想を追いかけるより、どの年でも線の内側に入る得点力を作るほうが確実です。宅建試験AIブートラボの肢別トレーニングでは科目や年度で範囲を絞って演習できるので、目標点から逆算した到達度を測りながら進めてください。

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