宅建試験AIブートラボ 宅建試験AIブートラボ

5問免除(登録講習)|受けられる人と判断の基準

試験対策・勉強法 読了 約27分

宅建の5問免除を条文から整理。宅建業法16条3項と施行規則10条の14の要件、3年の起算点、受講できる人の条件、そして基準点が5点下がる仕組みまで踏まえて受けるかどうかの判断材料を示します。

目次

    この記事は、宅建試験の5問免除(登録講習)について、制度の中身と、受けるかどうかの判断材料を扱うものです。試験制度全体の見取り図は宅建試験の全体像、学習を始める前に決めておくべきことは宅建の勉強を始める前に確認する10のことにまとめてあり、どちらも5問免除を「まず確認すべき項目」として扱っています。この記事はその詳細版です。免除を受けられない人が問46から問50までをどう取りにいくかは免除科目5問の攻略法が対応します。

    先に結論を述べます。5問免除は「5問もらえる制度」ではありません。免除される問46から問50までは、統計、住宅金融支援機構、景品表示法、土地、建物という、範囲が限定的で対策の効きやすい領域です。つまりこの制度は、対策すれば取れる5問を、講習の時間と費用を払って回避する制度です。

    そしてもう一点、見落とされやすい事実があります。免除者の合格判定基準は、一般受験者よりちょうど5点低く設定されます。令和7年度は一般受験者が50問中33問以上、登録講習修了者が45問中28問以上でした。免除された5問を満点扱いにしてもらった分は、基準点の引き下げでそのまま打ち消されています。後で詳しく計算しますが、免除の実質的な得点上の利得は、5点ではなく「自分がその5問で何問落としていたか」の分だけです。

    したがって判断すべきは「有利かどうか」ではありません。そもそも受講資格があるか、講習に投じる時間と費用が5問ぶんの学習量に見合うか、3年という期限が自分の受験計画と合うか。この三つです。以下、条文から順に確定させていきます。

    制度の中身を条文で確定させる

    5問免除については、根拠となる条文が二段構えになっています。ここを押さえておくと、出題されたときに迷いません。

    根拠は宅地建物取引業法16条3項

    宅地建物取引業法16条3項は、国土交通大臣の登録を受けた登録講習機関が行う講習(登録講習)の課程を修了した者について、国土交通省令で定めるところにより、試験の一部を免除すると定めています。

    ここで押さえるべきは、法律本体は「一部を免除する」としか書いていないという点です。どの範囲がいつまで免除されるのかは、法律ではなく国土交通省令、すなわち施行規則に委ねられています。したがって、免除の中身を知るには施行規則を見る必要があります。

    免除の範囲は施行規則8条1号と5号

    具体的な中身は施行規則10条の14にあります。登録講習修了者については、登録講習修了試験に合格した日から3年以内に行われる試験について、施行規則8条に掲げる試験すべき事項のうち同条1号および5号に掲げるものを免除する、という定めです。

    ここから二つのことが読み取れます。第一に、免除される範囲は施行規則8条の1号と5号だということ。第二に、3年という期間制限があり、その起算点が特定されているということです。

    施行規則8条は、試験すべき事項を7項目に分けて列挙しています。1号は土地の形質、地積、地目および種別ならびに建物の形質、構造および種別に関する事項です。5号は宅地および建物の需給に関する法令および実務に関する事項です。この二つが免除の対象で、これが問46から問50までに対応します。

    「税・その他がまるごと免除される」という誤解

    ここで誤解が起きやすい理由があります。受験界で使われる「権利関係」「法令上の制限」「税・その他」「宅建業法」という四科目の呼び方は、通称であって条文の区切りではないからです。

    条文が定めているのは施行規則8条の7項目です。通称でいう「税・その他」は8問ありますが、そのうち免除されるのは問46から問50までの5問だけで、税に関する問題(8条4号)と価格の評定に関する問題(8条6号)は免除されません。「税・その他」という一つの枠の中に、免除される部分と免除されない部分が同居しているわけです。

    「登録講習を受ければ税・その他は勉強しなくてよい」という理解は誤りです。免除を受けても、不動産取得税、固定資産税、印紙税、登録免許税、譲渡所得の特例、そして地価公示法や不動産鑑定評価基準は出題範囲に残ります。通称と条文の区切りがずれていることが、この誤解の原因です。科目の呼び方と配点の対応は科目別攻略法で整理しています。

    3年の起算点は「修了試験に合格した日」

    施行規則10条の14が定める3年の起算点は、登録講習修了試験に合格した日です。修了証の交付日ではありません。受講した日でも、申し込んだ日でもありません。

    この区別は実務上も試験上も効きます。修了試験に合格してから修了証が手元に届くまでには日数があり、その分だけ「交付日から3年」と誤解していると期間の見積もりがずれます。複数年にわたって受験する計画を立てている場合、この差が最終年に効いてくる可能性があります。

    出題では、この起算点を「修了証の交付を受けた日」「登録講習を修了した日」に置き換えたり、そもそも期間制限がないかのように書いたりする形で狙われます。期間制限があること、そして起算点が修了試験の合格日であることの二点を、条文どおりに押さえてください。

    免除は5問を正解にするのではなく、母数から外す

    もう一つ、表現の正確さが問われる点があります。免除は、問46から問50までを正解扱いにする制度ではありません。その5問が出題されず、母数から外れる制度です。

    免除者が受験するのは45問です。試験問題そのものが45問構成で、問46から問50は存在しません。そして合否は45問中の得点で判定されます。「5問が正解として加算されたうえで50問中の得点で判定される」という説明は誤りです。

    この違いは、次に見る合格判定基準の話に直結します。母数から外れるからこそ、基準点も別に設定されるのです。

    受講できるのは宅建業に従事している人だけ

    制度の内容を理解する前に、そもそも自分が対象かどうかを確認する必要があります。多くの受験者にとって、この制度は選択肢ですらありません。

    対象は宅地建物取引業に従事している者

    登録講習を受講できるのは、宅地建物取引業に従事している人に限られます。誰でも受けられる講習ではありません。

    従事していることの確認として、宅地建物取引業者が発行する従業者証明書が必要になります。従業者証明書は、宅地建物取引業法48条1項が、宅地建物取引業者は従業者に従業者証明書を携帯させなければその者を業務に従事させてはならないと定めているものです。つまり、宅建業者に雇われて業務に従事していれば、本来すでに持っているはずのものです。

    したがって確認の順序はこうなります。自分の勤務先が宅地建物取引業の免許を持っているか。持っているなら、自分は従業者証明書の交付を受けているか。この二つが満たされて初めて、登録講習が選択肢になります。従業者証明書と宅建士証の違いは宅建士の仕事内容で整理しています。

    勤務先が宅建業の免許を持っているかが分かれ目

    見落とされやすいのが、勤務先が宅建業の免許を持っているかどうかです。不動産に関わる会社であっても、宅建業の免許を要しない業態があります。

    賃貸住宅の管理のみを行う会社、不動産の管理業務だけを受託している会社、不動産テックのサービスを提供しているが自ら取引の当事者にも媒介者にもならない会社。こうした会社では、宅建業の免許を持っていないことがあります。免許がなければ従業者証明書も発行されず、登録講習の対象になりません。

    「不動産業界で働いている」ことと「宅地建物取引業に従事している」ことは、同じではありません。ここを確認せずに講習の申込みを進めると、受講段階で止まります。

    雇用形態や職種は問われない

    一方で、雇用形態や職種による制限はありません。正社員に限らず、契約社員でもパートでもアルバイトでも、宅建業者の従業者として業務に従事していれば対象になります。営業職に限られるわけでもなく、事務や経理として従事している場合も含まれます。

    判定の軸は、雇われ方でも仕事の中身でもなく、宅地建物取引業者の従業者として業務に従事している事実があるかです。

    対象外なら、確認はここで終わってよい

    宅建業に従事していない受験者にとって、5問免除は使えない制度です。この場合、この記事の残りを読む必要はほとんどありません。問46から問50までを自分で取りにいく前提で計画を立てることになります。

    そして、それは不利な条件ではありません。令和7年度試験の合格者の職業別構成比は、不動産業33.2%、建設業8.7%、金融業8.1%、他業種27.9%、学生10.9%、その他11.3%でした。合格者の約3分の2は不動産業の外から出ています。免除を使えない層のほうが、合格者としても多数派だということです。受験者層の詳細は宅建試験の受験者データを参照してください。

    免除を受けない場合の5問の取り方は免除科目5問の攻略法、そのうち統計問題の扱いは統計問題の対策2026年の宅建統計数値まとめにまとめてあります。

    免除される5問はどういう問題か

    制度の評価は、免除される5問がどういう問題かによって決まります。ここを見ないまま「5問減るなら有利だ」と判断すると、投じるコストに見合うかどうかを検討できません。

    問46から問50までの中身

    免除の対象が施行規則8条1号と5号だと分かると、そこに何が並ぶかも見通せます。

    5号の「宅地および建物の需給に関する法令および実務」に対応するのが、住宅金融支援機構法、不当景品類及び不当表示防止法に基づく不動産の表示に関する公正競争規約、そして統計です。1号の「土地の形質、地積、地目および種別ならびに建物の形質、構造および種別」に対応するのが、土地の知識と建物の知識です。

    例年、問46が住宅金融支援機構、問47が景品表示法、問48が統計、問49が土地、問50が建物という並びになります。

    条文の解釈ではなく、事実と実務の知識を問う枠

    この5問には共通する性質があります。条文の解釈を問うのではなく、事実と実務の知識を問うという点です。

    権利関係のように事案に条文を当てはめる作業も、宅建業法のように要件と手続を正確に再現する作業も要りません。住宅金融支援機構がどういう業務を行っているか、公正競争規約がどういう表示を禁じているか、直近の統計がどう動いたか、どういう地形が宅地に適さないか、木造と鉄筋コンクリート造の構造がどう違うか。知っていれば取れ、知らなければ取れません。

    この性質から、二つのことが言えます。ひとつは、学習の効率が高いということです。範囲が限定されており、条文の読み込みも判例の理解も要らないため、投じた時間が素直に得点に変わります。もうひとつは、他の45問とは学習の性質がまったく違うため、まとめて別枠で処理できるということです。

    動く部分と動かない部分を分ける

    この5問の中でも、性質はさらに二つに分かれます。

    統計は、知識ではなく情報の鮮度の問題です。地価公示、住宅着工統計、法人企業統計、土地白書といった公表値は毎年変わるため、早い時期に覚えても翌年には使えません。直前期に最新の数値を確認する作業として扱うのが正しい位置づけです。

    これに対し、土地と建物の知識は一度覚えれば動きません。住宅金融支援機構と景品表示法も、制度の改正がない限り安定しています。動く部分は直前に、動かない部分は早い時期にという切り分けができれば、この5問にかかる負担はさらに小さくなります。

    つまり「対策すれば取れる5問」である

    以上をまとめると、問46から問50までは、範囲が狭く、性質が均質で、条文解釈を要さず、そのうち4問は一度覚えれば動かない領域です。対策すれば取れる5問だと言ってよいでしょう。

    だからこそ、免除の価値は「得点」ではなく「時間」として評価すべきものになります。この5問に費やすはずだった学習時間を、講習の受講時間と費用で置き換える。それが5問免除という取引の実体です。学習時間そのものをどう管理するかは宅建の勉強時間で扱っています。

    講習の中身と、そこで消える時間

    免除を得るために何を差し出すのかを確認します。

    通信学習、スクーリング、修了試験

    登録講習は、通信による学習、会場で行われるスクーリング、そして修了試験の三つで構成されます。

    通信学習では、テキストや動画教材を使って自宅で学習します。学習する内容は、宅地および建物の取引に係る紛争の防止に関する事項、土地の形質・地積・地目・種別に関する事項、建物の形質・構造・種別に関する事項、宅地および建物の需給に関する法令および実務に関する事項です。免除される範囲と重なっていることが分かります。

    スクーリングは会場での対面講義で、通常は2日間に分けて行われます。最終日に修了試験が実施され、これに合格することで登録講習の課程を修了したことになります。前述のとおり、3年の起算点はこの修了試験に合格した日です。

    日程、会場、教材の形式は登録講習機関によって異なります。申し込む前に複数の機関を比較してください。

    スクーリングは日程を固定される

    判断材料として最も重いのが、スクーリングの日程です。通信学習は自分のペースで進められますが、スクーリングは指定された日に指定された会場へ出向く必要があります。

    つまり、2日間を丸ごと空けなければなりません。平日に開催される回であれば勤務の調整が要り、休日開催の回であれば学習に充てるはずだった休日が消えます。通える範囲に会場があるかどうかも確認事項になります。

    この2日間を、免除される5問の学習に充てた場合と比べてどうか。これが判断の中心にある比較です。

    費用は実施機関ごとに違うので、金額を示さない

    登録講習の受講料は、実施する登録講習機関によって異なります。この記事では具体的な金額を示しません。機関ごとに違う以上、相場として一つの数字を示しても自分に適用される額にならないからです。

    確認すべきなのは相場ではなく、自分が申し込もうとしている機関の受講料です。あわせて、会場までの交通費と、スクーリング2日間の時間を計算に入れてください。受験手数料そのものは政令で定められており、令和7年度は8,200円でした。講習の受講料はこれとは別にかかります。試験の手続と費用の全体像は宅建の勉強を始める前に確認する10のことにまとめてあります。

    勤務先が費用を負担するかを先に確認する

    登録講習は宅建業に従事している人が対象の講習です。したがって、勤務先が受講料を負担する運用になっている場合があります。

    会社としては、専任の宅地建物取引士の設置義務(宅建業法31条の3第1項)を満たすために有資格者を増やす動機があります。資格取得の支援制度として、受講料の補助や、スクーリング日を勤務扱いとする取り扱いを設けている会社は珍しくありません。

    自己負担が生じるかどうかで判断は大きく変わります。費用と時間の両方を会社が負担するなら、受けない理由はほとんどありません。逆に全額自己負担で休日を2日使うなら、5問ぶんの学習量と天秤にかける話になります。就業規則や社内の資格支援制度を先に確認してください。

    登録講習は「登録実務講習」でも「法定講習」でもない

    宅建には名前の似た講習が三つあり、混同されます。区別しておきます。

    登録講習は、この記事で扱っている5問免除のための講習です。宅建業法16条3項に基づき、宅建業に従事している人が対象で、試験を受ける前に修了します。

    登録実務講習は、試験に合格したあと、宅地建物取引士の登録を受けるための講習です。宅建業法18条1項が登録の要件として実務経験2年以上を求めており、これに満たない人が代わりに受けるものです。詳細は登録実務講習を参照してください。

    法定講習は、宅地建物取引士証の交付を受けるとき、および5年ごとの更新の際に受ける講習です(宅建業法22条の2第2項)。ただし試験合格から1年以内に交付を申請する場合は不要です。詳細は宅建士の法定講習にあります。

    試験の前が登録講習、登録の前が登録実務講習、宅建士証の前が法定講習。この順序で覚えると混ざりません。合格後の手続全体は宅建士登録の手続きにまとめてあります。

    合格率24.2%をどう読むか

    5問免除について最も引用されるのが合格率の差です。この数字は実在しますが、読み方に注意が要ります。

    公表されている数字

    不動産適正取引推進機構「令和7年度宅地建物取引士資格試験結果の概要」(令和7年11月26日公表)によれば、令和7年度試験全体では、申込者306,099人、受験者245,462人、受験率80.2%、合格者45,821人、合格率18.7%、合格判定基準は50問中33問以上、合格者の平均年齢は36.2歳でした。

    このうち登録講習修了者に限ると、申込者56,922人、受験者50,920人、受験率89.5%、合格者12,316人、合格率24.2%です。合格判定基準は45問中28問以上でした。

    全体から登録講習修了者を差し引くと、一般受験者は受験者194,542人、合格者33,505人となり、合格率は約17.2%と計算できます。登録講習修了者24.2%に対し、一般受験者は約17.2%。差は約7ポイントということになります。

    なお令和6年度は結果概要が一般受験者の数値を直接示しており、一般受験者17.8%に対して登録講習修了者21.9%、差は4.1ポイントでした。年度によって差の大きさは動きます。合格率の推移は宅建試験の合格率推移で扱っています。

    この差を免除の効果と読んではいけない

    数字自体は公表値ですが、この差を「5問免除の効果」と読むのは誤りです。

    理由は母集団の性質にあります。登録講習を受けられるのは宅地建物取引業に従事している人に限られます。つまりこの区分は、ほぼ「業界内の人」を指します。日常業務で重要事項説明書や契約書を扱い、宅建業法の条文に日々触れている人たちです。さらに、費用と時間をかけて講習を修了するところまで進んだ層でもあります。

    したがって、24.2%という数字には、免除される5問の効果と、業界内にいることの効果と、講習まで受ける層の準備の性格が、すべて混ざっています。この三つを分離した統計は公表されていません。「登録講習を受ければ合格率が上がる」という因果関係を、この数字から取り出すことはできません。

    同じ資料から、興味深い数字がもうひとつ読めます。登録講習修了者の受験率は89.5%で、全体の80.2%より9ポイント以上高い水準です。費用と時間をかけて講習を修了した人ほど、当日に欠席しにくいということです。この差もまた、免除そのものの効果ではなく、その層の性質を示しています。

    基準点が5点下がるので、免除の利得は5点ではない

    ここが、この制度を評価するうえで最も重要な算術です。

    令和7年度の合格判定基準は、一般受験者が50問中33問以上、登録講習修了者が45問中28問以上でした。差はちょうど5点です。免除される問題数と同じだけ、基準点も下がっています。

    この構造のもとで、免除がもたらす利得を計算してみます。

    一般受験者が問46から問50までで正解した数をxとします。この人が合格するには50問中33問必要なので、残りの45問で33からxを引いた数を取る必要があります。一方、免除を受けた場合、同じ45問で28問取れば合格します。

    したがって免除の利得は、(33 − x)− 28 = 5 − x 点です。

    この式が意味するところは明快です。問46から問50までを5問とも正解できる人にとって、免除の得点上の利得はゼロです。3問正解できる人なら2点、2問正解できる人なら3点。まったく取れない人でようやく5点になります。

    前述のとおり、この5問は範囲が限定的で対策の効きやすい領域です。対策した受験者が3問から4問を取ることは十分に現実的で、その場合の免除の実質的な価値は1点から2点程度にとどまります。5問免除は5点分の下駄ではありません。

    では免除の価値はどこにあるのか

    得点上の利得が1点から2点程度だとすると、この制度の価値はどこにあるのか。学習範囲を削れることそのものです。

    問46から問50までを取りにいくには、住宅金融支援機構と景品表示法の内容を押さえ、直前期に統計の最新値を確認し、土地と建物の知識を入れる作業が必要になります。この作業に費やす時間を丸ごと免除できる。削れるのは点ではなく時間です。

    そして、削った時間を宅建業法や権利関係に回せるなら、間接的には得点にもつながります。ただしそれは免除そのものの効果ではなく、時間の再配分の効果です。科目ごとの時間配分の考え方は宅建の科目別攻略法宅建の科目別攻略法を参照してください。

    試験当日に何が変わるか

    免除を受けると、当日の進行も変わります。ここも誤解されやすい部分です。

    開始が10分遅く、終了時刻は同じ

    一般受験者の試験時間は午後1時から午後3時までの2時間です。登録講習修了者は午後1時10分から午後3時までの1時間50分となります。

    注意すべきは、遅く始まるのであって早く終わるのではないという点です。終了時刻は同じ午後3時です。免除される5問のぶんだけ、開始時刻が後ろにずれる形になっています。

    したがって、会場への到着時刻や注意事項の説明を受けるタイミングは一般受験者と大きく変わりません。「10分遅く行けばよい」と考えるのは危険です。試験当日の進行は宅建試験当日ガイド、日程そのものは2026年の宅建試験日程で確認してください。

    1問あたりの時間は一般受験者とほぼ同じ

    時間的に有利になると考えられがちですが、計算するとそうではありません。

    一般受験者は50問を120分で解くので、1問あたり2分24秒です。登録講習修了者は45問を110分で解くので、1問あたり約2分27秒になります。差は3秒程度で、実質的に同じです。

    これは当然の設計で、免除される問題数に比例して試験時間も短縮されているからです。「免除者は時間に余裕がある」という説明には根拠がありません。時間配分の練習が不要になるわけでもありません。

    ただし、副次的な効果はあります。免除される問46から問50までは、一般受験者にとって最後に解く問題であり、時間切れの影響を最も受けやすい位置にあります。免除者はこの位置の問題を抱えないため、終盤の時間切れリスクという意味では条件がよいと言えます。時間配分の組み立ては直前期の学習戦略で扱っています。

    合格基準は45問中の得点で判定される

    前述のとおり、免除者は45問で判定されます。合格判定基準も別に公表され、令和7年度は45問中28問以上でした。

    ここで押さえるべきは、基準点は年によって動くという点です。宅建試験は相対評価で運用されており、令和6年度の一般受験者の基準点は50問中37問以上、令和7年度は33問以上でした。1年で4点動いています。免除者の基準点も同様に動きます。

    したがって「45問中28点を取ればよい」という固定の目標設定はできません。合格ラインの決まり方は宅建試験の合格ライン推移、難易度との関係は宅建試験の難易度と合格率を参照してください。

    受けるかどうかをどう判断するか

    以上を踏まえて、判断の手順を整理します。順番に確認していけば結論が出ます。

    第一に、受講資格があるか

    自分の勤務先が宅地建物取引業の免許を持っているか。持っているなら、自分は従業者証明書の交付を受けているか、あるいは受けられるか。

    この二つが満たされなければ、検討はここで終わりです。免除は使えないので、問46から問50までを自分で取りにいく前提で計画を立てます。これは不利な条件ではありません。受験者の約3分の2は不動産業の外にいます。

    第二に、時間と費用が5問ぶんの学習量に見合うか

    受講資格がある場合、次に比較するのは投じるコストです。

    差し出すのは、通信学習にかかる時間、スクーリング2日間、会場までの移動、そして受講料です。得るのは、問46から問50までの学習を丸ごと省けることと、実質1点から2点程度の得点上の利得です。

    この比較で決定的なのが、勤務先が費用と時間を負担するかどうかです。会社が受講料を出し、スクーリング日を勤務扱いにするなら、差し出すものがほぼゼロになるので受けるべきです。全額自己負担で休日を2日使うなら、その2日間を宅建業法の演習に充てた場合と比べて判断することになります。

    第三に、3年の期限が受験計画と合うか

    施行規則10条の14の3年という期限は、複数年にわたって受験する可能性がある人にとって意味を持ちます。

    修了試験に合格した日から3年以内に行われる試験が対象なので、初年度に不合格でも、2年目、3年目は同じ免除を使えます。逆に4年目には効力が切れ、再度講習を受け直す必要があります。

    一発合格を前提に計画を立てていても、実際には複数年かかる可能性があります。3年という猶予があることは、この制度を評価するうえでプラスに働く要素です。いつから学習を始めるかの判断は宅建の勉強はいつから始めるかで扱っています。

    第四に、講習の日程が今年の試験に間に合うか

    登録講習の修了は、宅建試験の申込みまでに完了している必要があります。受験申込みの受付は例年7月に行われ、その際に免除の対象であることを申請します。

    通信学習の期間とスクーリングの日程を逆算すると、講習の申込みは年明けから春先にかけて行うことになります。この時期を逃すと、その年の試験では免除を使えません。思い立った時点で今年に間に合うかどうかを、実施機関の日程表で確認してください。

    判断が「受けない」になった場合

    受講資格がない場合も、コストが見合わないと判断した場合も、やるべきことは同じです。問46から問50までを得点源として設計することになります。

    繰り返しになりますが、この5問は範囲が限定的で対策の効きやすい領域です。統計だけは直前期の作業として切り出し、住宅金融支援機構、景品表示法、土地、建物は早い時期に一度固めてしまえば動きません。具体的な取り方は免除科目5問の攻略法にまとめてあります。

    試験での出題ポイント

    5問免除の制度そのものが、宅建業法の分野で出題されます。狙われ方には型があります。

    3年の起算点を置き換える

    最も定番なのが、施行規則10条の14の起算点を置き換える形です。「修了証の交付を受けた日から3年以内」「登録講習を修了した日から3年以内」といった書き方で誤りにします。正しくは登録講習修了試験に合格した日からです。

    あわせて、期間制限そのものを外した選択肢も出ます。「登録講習を修了した者は、その後に受験するすべての試験において免除を受けることができる」という記述は誤りです。3年という制限があります。

    免除の範囲を広げる

    免除の対象は施行規則8条1号および5号です。これを「税・その他の科目すべて」「問46から問50までに加えて税に関する問題」と広げる選択肢が出ます。

    税に関する事項は8条4号、価格の評定に関する事項は8条6号で、いずれも免除の対象外です。通称の「税・その他」と条文の区切りがずれていることを利用した出題なので、条文の号で押さえておくと迷いません。

    誰でも受けられるとする

    登録講習は宅建業に従事している人が対象で、従業者証明書が必要です。これを「宅建試験の受験者は誰でも受講できる」「宅地建物取引士の登録を受けた者が対象である」といった形で誤りにします。

    後者は特に紛らわしい書き方です。登録講習は試験を受ける前の制度なので、宅建士の登録を受けている必要はありません。むしろ、まだ試験に合格していない人が受けるものです。

    「5問を正解扱いにする」という表現

    免除は、問46から問50までを正解として加算する制度ではありません。その5問が出題されず、45問で判定される制度です。

    出題では「免除される5問は正解として取り扱われ、50問中の得点で合否が判定される」という形で誤りにします。母数が45問になること、基準点も45問基準で別に示されることを押さえてください。

    試験時間を早く終わるとする

    登録講習修了者の試験時間は午後1時10分から午後3時までです。これを「午後1時から午後2時50分まで」と書く選択肢が考えられます。開始が遅くなるのであって、終了が早くなるのではありません。

    根拠条文の二段構えを崩す

    法律本体である宅建業法16条3項は「試験の一部を免除する」と定めるにとどまり、具体的な範囲と期間は施行規則10条の14が定めています。この関係を入れ替えて、「宅建業法16条3項が3年以内と定めている」といった書き方をする選択肢が考えられます。

    法律が枠を作り、省令が中身を決めるという構造で覚えておくと、条文の所在を問われたときに答えられます。

    覚え方・整理の仕方

    条文は「16条3項→10条の14→8条1号・5号」の三段で

    根拠条文は三段でたどります。宅建業法16条3項が免除の存在を定め、施行規則10条の14が期間と範囲を指定し、その範囲の中身が施行規則8条の1号と5号にある。

    この順序で覚えておけば、どの条文に何が書いてあるかを取り違えません。法律には「免除する」しか書いていないという点が、この三段の出発点です。

    3年は「合格した日」から

    期間の起算点は、修了証でも受講でもなく、修了試験に合格した日。試験に合格した日から数えるとだけ覚えます。

    宅建試験そのものの合格には有効期間がないのに、登録講習の修了試験の合格には3年という期限がある。この対比で覚えると、どちらの話かを取り違えません。

    1号は「形質」、5号は「需給」

    免除される二つの号は、キーワードで覚えます。1号は土地と建物の形質(形質、地積、地目、種別、構造)、5号は宅地建物の需給(需給に関する法令および実務)です。

    そして問題の並びに対応させます。形質にあたるのが問49の土地と問50の建物。需給にあたるのが問46の住宅金融支援機構、問47の景品表示法、問48の統計。形質が2問、需給が3問で合計5問です。

    33と28の差はちょうど5

    令和7年度の基準点は、一般が50問中33問以上、免除者が45問中28問以上。差は5点で、免除される問題数と一致します。

    この一致を覚えておくと、「免除は5点の下駄ではない」という結論を自分で導けます。母数から5問減り、基準点も5点下がるのだから、差し引きで有利になるのはその5問で落としていたはずの点数分だけです。

    三つの講習は「試験前・登録前・宅建士証前」

    登録講習、登録実務講習、法定講習の三つは、必要になる時点で区別します。

    登録講習は試験の前。登録実務講習は登録の前。法定講習は宅建士証の交付・更新の前。時系列に並べれば、名前が似ていても混ざりません。対象者も違い、登録講習だけが宅建業の従事者に限られます。

    「遅く始まる」と覚える

    試験時間の違いは、終了時刻が同じで開始が遅いという形です。「45問だから短い」ではなく「10分遅く始まる」と覚えてください。1問あたりの時間はほぼ同じで、有利になるわけではありません。

    理解度チェッククイズ

    Q1. 登録講習を修了した者は、その後に受験するすべての宅建試験において、問46から問50までの5問の免除を受けることができる。(○か×か)

    答えを見る ×:宅地建物取引業法施行規則10条の14は、登録講習修了者について「登録講習修了試験に合格した日から3年以内に行われる試験について」試験の一部を免除すると定めています。期間の制限があり、しかも起算点は修了証の交付日でも受講日でもなく、**登録講習修了試験に合格した日**です。3年を過ぎれば免除の効力はなくなり、再度講習を受け直す必要があります。逆に言えば、初年度に不合格でも2年目・3年目は同じ免除を使えるということでもあります。

    Q2. 登録講習を修了すると、通称「税・その他」に区分される8問がすべて免除される。(○か×か)

    答えを見る ×:免除されるのは施行規則8条1号(土地の形質、地積、地目および種別ならびに建物の形質、構造および種別)と5号(宅地および建物の需給に関する法令および実務)に掲げるもので、これが問46から問50までの5問に対応します。税に関する事項は8条4号、価格の評定に関する事項は8条6号であり、いずれも免除の対象外です。「税・その他」という呼び方は受験界の通称であって条文の区切りではなく、一つの枠の中に免除される部分と免除されない部分が同居しています。免除を受けても、不動産取得税、固定資産税、印紙税、登録免許税、地価公示法などは出題範囲に残ります。

    Q3. 登録講習は、宅建試験の受験を予定している者であれば誰でも受講することができる。(○か×か)

    答えを見る ×:登録講習を受講できるのは宅地建物取引業に従事している人に限られ、宅地建物取引業者が発行する従業者証明書が必要です(従業者証明書の携帯義務は宅建業法48条1項)。雇用形態や職種による制限はなく、パートやアルバイトでも、事務や経理として従事していても対象になりますが、勤務先が宅建業の免許を持っていることが前提になります。不動産に関わる会社でも、賃貸住宅の管理のみを行うなど宅建業の免許を要しない業態では、従業者証明書が発行されず対象外です。なお、宅建士の登録を受けている必要はありません。登録講習は試験を受ける前の制度です。

    Q4. 登録講習修了者は、免除される5問が正解として加算されたうえで、50問中の得点で合否が判定される。(○か×か)

    答えを見る ×:免除は5問を正解扱いにする制度ではなく、その5問が出題されず母数から外れる制度です。登録講習修了者が解答するのは45問で、合否も45問中の得点で判定されます。合格判定基準も別に公表され、令和7年度は一般受験者が50問中33問以上、登録講習修了者が45問中28問以上でした。この差がちょうど5点である点が重要です。免除された5問ぶんは基準点の引き下げで相殺されているため、免除による実質的な得点上の利得は、その5問で落としていたはずの点数分にとどまります。

    Q5. 令和7年度試験において登録講習修了者の合格率が全体の合格率を上回ったことは、登録講習を受ければ合格率が上がることを示している。(○か×か)

    答えを見る ×:数字自体は公表値です。不動産適正取引推進機構「令和7年度宅地建物取引士資格試験結果の概要」によれば、登録講習修了者は受験者50,920人、合格者12,316人、合格率24.2%で、全体の18.7%を上回っています(差し引き計算による一般受験者は約17.2%)。しかしこの差を免除の効果と読むことはできません。登録講習を受けられるのは宅地建物取引業に従事している人に限られるため、この区分は日常業務で宅建業法に触れている層であり、さらに費用と時間をかけて講習を修了するところまで進んだ層でもあります。免除される5問の効果、業界内にいることの効果、講習まで受ける層の準備の性格が混ざっており、これらを分離した統計は公表されていません。

    まとめ

    5問免除は「5問もらえる制度」ではありません。免除される問46から問50までは、住宅金融支援機構、景品表示法、統計、土地、建物という、範囲が限定的で条文解釈を要さない領域です。対策すれば取れる5問を、講習の時間と費用を払って回避する制度だと理解してください。

    制度の根拠は三段でたどります。宅地建物取引業法16条3項が試験の一部を免除すると定め、施行規則10条の14が「登録講習修了試験に合格した日から3年以内」に行われる試験について施行規則8条1号および5号を免除すると定めています。3年の起算点は修了証の交付日でも受講日でもなく、修了試験に合格した日です。また免除されるのは1号(形質)と5号(需給)だけで、通称「税・その他」に含まれる税と価格の評定は免除されません。

    受講できるのは宅地建物取引業に従事している人に限られ、従業者証明書が必要です。勤務先が宅建業の免許を持っていることが前提になるため、不動産に関わる会社でも対象外の場合があります。令和7年度試験の合格者の職業別構成比は不動産業33.2%で、約3分の2は不動産業の外から出ています。免除を使えない層のほうが合格者としても多数派であり、それは不利な条件ではありません。

    合格率については、令和7年度の登録講習修了者が受験50,920人・合格12,316人で24.2%、差し引き計算による一般受験者が約17.2%でした。この差は実在しますが、免除の効果とは読めません。登録講習の対象が業界内の人に限られる以上、母集団の性質そのものが違うからです。

    そして最も重要なのが、基準点の構造です。令和7年度は一般受験者が50問中33問以上、免除者が45問中28問以上で、差はちょうど5点でした。免除された5問ぶんは基準点の引き下げで打ち消されているため、免除の得点上の利得は「5 − その5問で正解できたはずの数」にとどまります。対策して3問から4問取れる人なら、実質的な価値は1点から2点程度です。削れるのは点ではなく時間だと考えてください。

    当日の変化も限定的です。試験時間は午後1時10分から午後3時までで、遅く始まるのであって早く終わるのではありません。1問あたりの時間は一般受験者の2分24秒に対して約2分27秒と、ほぼ同じです。

    判断は四つの順で行います。受講資格があるか。時間と費用が5問ぶんの学習量に見合うか(勤務先が負担するなら受けるべきです)。3年の期限が受験計画と合うか。そして、講習の日程が今年の申込みに間に合うか。

    宅建試験AIブートラボのアプリでは、免除の対象となる問46から問50までの範囲も含めて、科目別・年度別に肢別演習ができます。免除を使わない場合の得点源としても、条文根拠つきの解説で確認できます。

    勉強法を読んだら、手を動かすところまで

    肢別演習と年度別演習で、立てた学習計画をそのまま実行に移せます。間違えた肢だけを繰り返す復習にも対応しています。

    関連記事

    試験対策・勉強法

    宅建に3ヶ月で合格する学習プラン

    Android版アプリの先行テスターを募集しています

    正式公開に先立ち、先行してご利用いただける方を募集しています。学習記録や有料プランはWeb版と同じアカウントで、そのまま引き継げます。3ステップで、通常その場で使い始められます。

    1
    テスターグループに参加する

    お使いのGoogleアカウントで参加ボタンを押すだけです。承認を待つ必要はありません。

    参加ページを開く
    2
    テスト版を受け取る

    手順1と同じGoogleアカウントでログインしたAndroid端末で受け取りページを開き、「テスターになる」を押してGoogle Playからインストールします。

    受け取りページを開く
    3
    いつものアカウントでログインする

    Web版と同じメールアドレス・パスワードでログインすれば、学習記録がそのまま表示されます。

    「まだご利用いただけません」と表示された場合は、反映待ちの可能性があります。時間をおいて再度お試しいただくか、info@takken-bootlab.com までお知らせください。