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税・その他の得点戦略|免除の有無で変わる8問の設計

税・その他 読了 約27分

宅建の税・その他を、施行規則8条の号と10年分の出題実績から設計します。問23の国税、問24の地方税、問25の価格の評定にどう配分するか、免除の有無で戦略がどう変わるかを整理します。

目次

    本記事の役割 — この記事は「税・その他」の内部の配分を扱います。4科目のあいだで時間をどう配るかは宅建の科目別攻略法が上位にあり、そこで「税・その他8問に落とせる枠を3問」と置いたところから先を、この記事が引き受けます。
    個々の税の中身は解説しません。それぞれ専門記事があるので、どれをどの順で、どこまでやるかという設計に集中します。

    宅建試験の「税・その他」は、4科目のなかで唯一、受験者によって問題数が変わる科目です。8問の科目である人と、3問の科目である人がいます。この違いは学習量の問題ではなく、扱う範囲そのものの違いなので、戦略の出発点はここを確定させることになります。

    先に結論を述べます。「税・その他」は一つの科目ではありません。性質のまったく違う三つの塊が、通称の下にまとめられているだけです。税(問23・問24)は範囲が広いわりに配点が小さく、価格の評定(問25)は範囲が狭く安定しており、免除対象の5問(問46から問50)は条文の体系に乗っていません。この三つに同じ勉強のしかたを適用すると、どれも中途半端になります。

    そしてもう一点。この科目には毎年度、法改正が入ります。令和8年度試験の基準日である2026年4月1日にも、不動産取得税の免税点と、不動産取得税・固定資産税の住宅の床面積要件が変わっています。市販の教材や解説記事で広く流通している数字のいくつかは、すでに改正前のものです。後で具体的に示します。

    「税・その他」は通称であって、条文の区切りではない

    戦略を立てる前に、この科目が何でできているのかを条文から確定させます。ここを飛ばすと、免除の範囲を取り違えます。

    施行規則8条の四つの号にまたがっている

    宅建試験の出題範囲は、宅地建物取引業法施行規則8条が「試験すべき事項」として七項目を定めています。「権利関係」は2号、「法令上の制限」は3号、「宅建業法」は7号に、それぞれきれいに対応します。

    ところが「税・その他」だけは対応が一対一ではありません。4号(宅地および建物についての税に関する法令)、6号(宅地および建物についての価格の評定)、そして1号(土地・建物の形質、構造および種別)と5号(宅地および建物の需給に関する法令および実務)の四つの号にまたがっています。

    この四つのうち、免除されるのは1号と5号だけです。4号の税と6号の価格の評定は免除されません。通称の「税・その他」という一つの枠のなかに、免除される部分と免除されない部分が同居している。これが、この科目を分かりにくくしている根本の理由です。

    免除の有無で、3問の科目にも8問の科目にもなる

    登録講習を修了した人は、問46から問50までの5問を解答しません。したがってこの人にとって「税・その他」は、問23・問24・問25の3問だけの科目になります。

    免除を受けない人は8問すべてを扱います。同じ科目名で、扱う量が2.7倍違う。4科目のなかで、こういう分岐があるのはここだけです。宅建業法20問、権利関係14問、法令上の制限8問は、誰にとっても同じ数です。

    したがって、この記事を読む前に自分がどちらなのかを確定させてください。宅地建物取引業に従事していて登録講習を受けられる立場なら、受けるかどうかは学習範囲そのものを変える判断です。受講は試験の申込みまでに完了している必要があるため、決めるのが遅れると選択肢自体が消えます。受講資格と判断材料は5問免除(登録講習)にまとめてあります。

    免除を受ける人はここから先を3問として読む

    免除を受ける人にとって、この記事のうち意味があるのは問23から問25までを扱う部分だけです。問46から問50に関する節は読み飛ばしてください。3問の科目に対して、8問の科目と同じ時間を割く理由はありません。

    免除を受けない人は8問すべてを扱いますが、それでも同じ勉強のしかたを8問に適用してはいけません。理由は次節以降で示します。

    10年分の出題実績から、3問の構造を確定させる

    問23から問25までの3問について、「何が出るか」は経験則として語られがちです。ここでは、宅建試験AIブートラボが保有する過去問データで実際に数えました。2016年度から2025年度までの10年分、税・その他は各年8問32肢、合計320肢が対象です。

    並びは「国税・地方税・価格の評定」で固定されている

    10年分を見ると、並びは例外なく次のとおりでした。

    問23が国税です。印紙税、所得税(譲渡所得や住宅ローン控除を含む)、登録免許税のいずれかが出ています。

    問24が地方税です。不動産取得税か固定資産税のどちらかで、この2つ以外は出ていません。

    問25が価格の評定です。不動産鑑定評価基準か地価公示法のどちらかです。

    つまり「税が3問」ではありません。税は問23と問24の2問で、問25は税ではなく価格の評定です。この区別を持っていないと、税の勉強だけして問25を落とします。逆に言えば、3問のうち1問は税法とまったく別の分野なので、税が苦手でも1問は独立して取りにいけます。

    問23の国税は、印紙税と所得税で8割を占める

    10年分の問23の内訳は次のとおりでした。印紙税が4回、所得税が4回、登録免許税が2回。贈与税と相続税は0回です。

    印紙税が出たのは2016年度、2020年度、2022年度、2023年度。所得税が出たのは2017年度、2019年度、2021年度、2024年度。登録免許税が出たのは2018年度と2025年度です。

    ここから言えることと、言えないことを分けます。

    言えるのは、印紙税と所得税で10年中8回を占めているということです。この2つを外して問23の対策を組むことはできません。

    言えないのは、来年どれが出るかです。4回・4回・2回という分布は、規則的な循環を示していません。印紙税は2022年度と2023年度で2年連続しており、「交互に出る」といった法則は成り立ちません。

    贈与税と相続税が10年間0回だという事実は、扱いを決めるのに使えます。ただし「出ない」という意味ではありません。出題範囲には含まれており、10年前より前には出題例があります。したがって、優先順位を最後に置く根拠にはなりますが、学習対象から外す根拠にはなりません。基本的な枠組みだけを贈与税と相続税で押さえておき、深追いはしないという扱いが妥当です。

    問24の地方税は「交互」ではない

    問24について、「不動産取得税と固定資産税が交互に出る」という説明が広く流通しています。10年分を数えると、これは正確ではありません。

    不動産取得税が6回(2016年度、2018年度、2020年度、2021年度、2023年度、2024年度)、固定資産税が4回(2017年度、2019年度、2022年度、2025年度)でした。

    年の並びで見ると、2016年度から2020年度までは確かに交互になっています。ところが2020年度と2021年度で不動産取得税が2年連続し、2023年度と2024年度でも2年連続しています。交互という規則は途中で2回破れています。

    この事実から導かれる結論は明快です。片方に賭けることはできません。どちらが来ても対応できるようにしておく以外に方法がありません。「今年は固定資産税の年だから不動産取得税は薄くてよい」という判断は、実績に裏づけられていません。

    もっとも、2つとも押さえるのは負担が大きい話ではありません。両者は課税主体、課税客体、課税のタイミングが対になっており、片方を覚えると他方が対比として入るという関係にあるからです。この対比構造は次節で扱います。

    問25は鑑定評価基準のほうが明確に多い

    問25の内訳は、不動産鑑定評価基準が7回、地価公示法が3回でした。地価公示法が出たのは2017年度、2019年度、2022年度の3回で、残りの7回は鑑定評価基準です。2023年度から2025年度までは鑑定評価基準が3年連続しています。

    こちらも「交互」ではありません。7対3で鑑定評価基準に偏っています。ただし地価公示法は条文数が少なく、覚える量が鑑定評価基準よりはるかに小さいという事情があります。出題確率は低いが、対策コストはもっと低い。したがって、確率の低さを理由に捨てるのは合理的ではありません。

    この集計をどう使うか

    ここで示した回数は、過去10年に何が出たかという事実であって、来年の予想ではありません。使い方は一つで、限られた時間をどの順に配るかを決めるための材料です。

    出題実績に基づく優先順位は次のようになります。問23は印紙税と所得税を先に、登録免許税を次に、贈与税と相続税を最後に。問24は不動産取得税と固定資産税を同格で。問25は鑑定評価基準を先に、地価公示法を次に。

    論点ごとの問われ方そのものは宅建試験の出題傾向でも扱っています。

    問23の国税をどう配分するか

    3問のうち最も範囲が広いのが問23です。ここでの判断は「どこまでやらないか」に尽きます。

    印紙税は「記載金額をいくらと読むか」に集中している

    印紙税の出題は、税率表を覚えさせるものではありません。課税文書に該当するか、そして記載金額をいくらと読むかに集中しています。

    交換契約書で高いほうの金額を取るのか、贈与契約書に記載金額はあるのか、変更契約書で増額と減額をどう扱うのか、契約書を複数通作ったらそれぞれに課税されるのか。10年分の問23で印紙税が出た4回は、いずれもこの種の判定を問うています。

    つまり印紙税は、条文の数字を暗記する分野ではなく、あてはめの型を覚える分野です。この性質があるため、過去問との相性が非常によい。同じ論点が形を変えて繰り返されます。詳細は印紙税の課税文書と記載金額、登録免許税とあわせた整理は登録免許税と印紙税にあります。

    所得税は特例の適用要件が本体

    所得税の出題は、譲渡所得の計算そのものより特例の適用要件を問います。

    居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除であれば、控除額そのものより「前年および前々年に同じ特例の適用を受けていないこと」という要件のほうが狙われます。軽減税率の特例、買換えの特例、収用の特例との併用の可否も定番です。

    金額だけを覚えて要件を落とすと、要件を差し替えた選択肢に対応できません。この科目の誤答は、数字を忘れたという形よりも、要件を一つ取りこぼしたという形で出ます。金額と要件は必ずセットで持ってください。詳細は譲渡所得と居住用財産の特例にあります。

    登録免許税は住宅用家屋の軽減が軸

    登録免許税が出た2回(2018年度と2025年度)は、いずれも税率の軽減措置が題材でした。2018年度は住宅用家屋の所有権移転登記の軽減、2025年度は土地の売買による所有権移転登記の軽減です。

    軽減措置には適用対象の限定があります。住宅用家屋の軽減であれば床面積や取得原因の限定があり、土地の軽減であれば地目や取得者の属性による限定がないという形で問われます。「限定があるかないか」を条文で確認しておくのが対策です。詳細は登録免許税と印紙税にあります。

    なお登録免許税法は、令和8年度の基準日である2026年4月1日より後に複数の改正が施行されています。最新の条文で確認すると基準日を外します。この点は後の節でまとめて扱います。

    問24の地方税は、二つを対で持つ

    不動産取得税と固定資産税は、どちらが出ても対応できる状態にしておく必要があります。効率的なのは、二つを別々に覚えるのではなく対比の軸で並べて持つことです。

    課税主体と課税のタイミングが対になっている

    不動産取得税は道府県が課す税で、不動産を取得したときに一度だけかかります。固定資産税は市町村が課す税で、毎年1月1日の所有者に対して継続的にかかります。

    取得の一回きりか、保有中の毎年か。都道府県か市町村か。この二軸で並べておくと、「誰が課すか」を入れ替えた選択肢に即座に反応できます。10年分のデータを見ても、課税主体の取り違えは定番の作り方です。

    税率と特例の数字

    不動産取得税の標準税率は100分の4です(地方税法73条の15)。ただし附則11条の2により、平成18年4月1日から令和9年3月31日までの間に住宅または土地の取得が行われた場合の標準税率は100分の3とされています。原則4パーセント、住宅と土地は3パーセント、そして期限つきの特例だという三点セットで押さえます。

    固定資産税の標準税率は100分の1.4です(350条1項)。こちらは制限税率の定めがなく、都市計画税の「100分の0.3を超えることができない」(702条の4)とは条文の書き方が違います。語尾で区別するのが確実です。

    住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例は、200平方メートル以下の小規模住宅用地が6分の1、それを超える部分が3分の1です(349条の3の2)。この6分の1・3分の1は、都市計画税の3分の1・3分の2と混ぜられます。

    固定資産税の免税点は、土地30万円、家屋20万円、償却資産150万円です(351条)。こちらは改正されていません。

    詳細は固定資産税不動産取得税の軽減措置にあります。二つの税を横断して比較したい場合は不動産の税金の横断整理も使えます。

    令和8年度から変わった二つの数字

    ここが、この科目で最も注意が必要な箇所です。2026年4月1日施行の改正で、広く流通している数字が二つ変わりました。

    第一に、不動産取得税の免税点です。従来は土地10万円、家屋の建築23万円、その他の家屋12万円でした。2026年4月1日時点の地方税法73条の15の2第1項は、土地16万円、家屋の建築66万円、その他の家屋34万円と定めています。「10・23・12」という語呂で覚えている場合は、そのまま使うと誤りになります。なお前述のとおり、固定資産税の免税点(30万円・20万円・150万円)は変わっていません。

    第二に、住宅の床面積要件です。不動産取得税の課税標準の特例(1,200万円控除。地方税法73条の14第1項)について、施行令37条の16は従来「50平方メートル以上240平方メートル以下(区分所有の専有部分が貸家の用に供される場合は40平方メートル以上)」と定めていました。2026年4月1日時点では、貸家かどうかを問わず一律40平方メートル以上240平方メートル以下です。

    固定資産税の新築住宅の減額措置についても、施行令附則12条の床面積要件が従来の「50平方メートル以上280平方メートル以下」から、40平方メートル以上240平方メートル以下に変わりました。下限は原則40平方メートルで、サービス付き高齢者向け住宅である貸家が30平方メートル、特定都市再生緊急整備地域(特別区の区域内に限る)で貸家以外の用に供されるものが50平方メートルという例外があります。

    この二つは、市販の教材やインターネット上の解説にまだ改正前の数字が残っていることが多い箇所です。数字を覚え直す必要がある以上、覚え直す先が正しいことを確認してください。改正の詳細と出題への影響は不動産取得税の軽減措置固定資産税がそれぞれ独立の節で扱っています。

    税法は「基準日で引く」以外に方法がない

    なぜ改正前の数字が残るのかというと、税法には毎年度改正が入るからです。他の法令なら「去年のテキストでも大枠は変わらない」と言えますが、税法についてはそれが言えません。

    宅建試験は当該年度の4月1日現在施行の法令から出題されます。令和8年度試験なら2026年4月1日時点の条文です。ここに二つの落とし穴があります。

    ひとつは、基準日より後の改正を拾ってしまうことです。地方税法の現行版は2026年7月31日施行、印紙税法の現行版は2026年6月3日施行で、いずれも基準日より後です。登録免許税法にいたっては、基準日より後に5件の改正が施行されています。最新の条文を調べたつもりが、出題範囲外の条文を読んでいたということが起こります。

    もうひとつは、同じ4月1日施行の版が複数あることです。地方税法施行令には2026年4月1日施行のリビジョンが3つあり、施行日だけで選ぶと古いほうを引いてしまいます。公布日の新しいものを取る必要があります。前述の床面積要件の改正(令和8年政令第83号)は、まさにこの見分けが必要な箇所でした。

    受験者が毎回これを確認する必要はありません。必要なのは、「税の数字は去年の教材をそのまま使えない」と知っておくことです。そのうえで、数字に触れている記事や教材が基準日を明示しているかを確認してください。

    問25の価格の評定は、税とは別の1問

    問25は税ではありません。施行規則8条6号の「宅地および建物についての価格の評定」に対応する、独立した1問です。

    鑑定評価基準と地価公示法は性質が違う

    不動産鑑定評価基準は、法律ではありません。国土交通省が定める基準であり、鑑定評価の手法と考え方の体系です。原価法、取引事例比較法、収益還元法という三手法、価格の種類(正常価格・限定価格・特定価格・特殊価格)、最有効使用の原則といった概念が問われます。

    地価公示法は法律です。土地鑑定委員会が標準地について毎年1月1日時点の正常な価格を判定し公示する手続、公示区域、公示価格を規準とすべき場合といった、条文の要件が問われます。

    概念の体系を問うのが鑑定評価基準、条文の手続を問うのが地価公示法。問われ方が違うので、勉強のしかたも変えます。鑑定評価基準は用語の定義を正確に押さえ、地価公示法は条文を素直に読む。詳細は不動産鑑定評価の基本地価公示法にあります。

    3手法の計算は四則演算で終わる

    鑑定評価基準では、三手法を使った簡単な計算が出ることがあります。ただし計算そのものは四則演算で、難しいのは計算ではなく、どの手法のどの数値を使うかの判断です。積算価格、比準価格、収益価格という三つの呼び分けを取り違えなければ処理できます。手法別の計算例は鑑定評価の計算にまとめてあります。

    この1問は税の出来に左右されない

    問25の重要な性質は、税の理解と独立していることです。税が苦手でも問25は取れますし、その逆もあります。

    3問のうち1問がこういう独立した性質を持っていることは、配分の設計に効きます。税で2問とも落とす可能性を織り込むなら、問25は確実に取りにいく対象にしておく。範囲が狭く、10年で7回出ている鑑定評価基準を軸に据えれば、投じる時間に対する回収は税より読みやすくなります。

    問46から問50は、この記事では扱わない

    免除を受けない人にとっての残り5問は、住宅金融支援機構、景品表示法と公正競争規約、統計、土地、建物です。

    この5問は「税・その他」という名前で括られていますが、税とは何の関係もありません。施行規則8条の1号と5号に対応する、まったく別の領域です。したがって、税と同じ勉強のしかたを適用しても意味がありません。

    5問の中身と取り方は免除科目5問の攻略法に独立してまとめてあります。そこから各論点へ、統計は統計問題の対策宅建試験の統計数値まとめ、景品表示法は景品表示法と不動産広告、土地と建物は土地・建物の知識へ分岐します。

    ここで押さえておくべきことは一つだけです。この5問は条文の体系に乗っていないため、直前期にまとめて処理する対象になります。税(問23・問24)と価格の評定(問25)は条文の学習なので早い時期から積み上げますが、5問のほうは性質が違います。同じ「税・その他」という枠のなかで、学習の時期を分けてください。

    範囲の広さと配点が釣り合わない、という前提

    ここまでの内容を、配分の設計に落とします。

    税は2問しかない

    税に関する出題は、問23と問24の2問です。50問中の2問、全体の4パーセントにすぎません。

    一方で、範囲は所得税、印紙税、登録免許税、贈与税、相続税、不動産取得税、固定資産税の7税目に及びます。7税目を潰して2問という比率です。

    この非対称が、「深追いしない」という判断の根拠になります。精神論ではなく配点からの帰結です。7税目すべてを他科目と同じ密度で仕上げようとすると、投じた時間に対して2問しか返ってきません。同じ時間を宅建業法に投じれば、20問の科目で数問分の改善になります。

    ただし「捨てる」とは違う

    深追いしないことと、捨てることは違います。2問は12問の枠のなかで無視できる大きさではありません。

    宅建の科目別攻略法では、目標38点から逆算して「落とせる枠」を12問と置き、そのうち3問を税・その他8問に配分しています。この3問という枠を8問のなかでどう使うかが、この記事の実質的な結論になります。

    配り方はこうです。問23の国税に1問、問46から問50の5問に2問。問24の地方税と問25の価格の評定には枠を配りません。

    理由は、根拠の確実性です。問24の不動産取得税と固定資産税は、課税主体・課税標準・税率・特例という条文の要件に閉じており、覚えれば取れます。問25の鑑定評価基準と地価公示法も同様です。覚えれば取れる問題に枠を配るのは、詰め残しを事前に許容するのと同じなので、枠を割く理由がありません。

    対して問23は、7税目のうちどれが出るか読めないという構造的な不確実性があります。ここには枠を1問置いておく。問46から問50は、統計が情報の鮮度に依存し、土地と建物は見慣れない用語が出る可能性があるため、2問置いておく。

    免除を受ける人は、扱うのが3問だけなので枠の配り方も変わります。3問に対して枠を1問、つまり2問を取りにいく設計です。

    計算問題という非対称

    税には、他の分野にない性質がもう一つあります。計算問題として出ると、かえって得点しやすいということです。

    理由は二つあります。第一に、宅建で出る税の計算は四則演算にとどまり、複雑な計算技術を要しません。第二に、計算問題は答えが一つに決まるため、あいまいな判断を挟む余地がありません。「著しく」「相当の」といった評価的な文言に悩まされる権利関係とは対照的です。

    難しいのは計算そのものではなく、どの条文を適用するかの判断です。宅地評価土地の課税標準を2分の1にする特例(地方税法附則11条の5。令和9年3月31日までの取得に限る)を適用するのかしないのか、住宅用地の特例で200平方メートルまでを6分の1にするのかどうか。適用する条文が決まれば、あとは掛け算と割り算です。

    したがって計算問題への対策は、計算練習ではなく条文の適用条件の確認になります。この順序を取り違えて電卓を叩く練習をしても、得点は伸びません。税の計算問題の型は税金の計算問題を攻略、宅建全体の計算問題は宅建の計算問題まとめにまとめてあります。

    いつ、どの順でやるか

    三つの塊で時期を分ける

    「税・その他」を一つの科目として一度に仕上げようとすると失敗します。三つの塊で時期を分けてください。

    問23・問24の税は、条文の学習なので早い時期から始めます。ただし宅建業法と法令上の制限の後です。7税目のうち、印紙税・所得税・不動産取得税・固定資産税の4つを先に、登録免許税を次に、贈与税と相続税を最後に置きます。

    問25の価格の評定は、税とは独立しているので、税の途中でも後でも構いません。範囲が狭いため、まとまった数時間で一度仕上がります。鑑定評価基準を先にやってください。

    問46から問50の5問は、直前期にまとめます。ただし統計だけはさらに切り出して、最後に回します。

    税は「二度やる」前提で組む

    税の数字は、他の科目に集中している期間に薄れます。一度覚えて終わりにはできません。

    現実的なのは、早い時期に一度通し、直前期にもう一度通すという二段構えです。一度目は条文の構造と適用要件の理解に、二度目は数字の確認に充てます。二度目は一度目よりはるかに短時間で済みます。

    この二段構えを計画に組み込んでおかないと、直前期に「税をやり直す時間がない」という状態になります。直前期の全体設計は直前期の過ごし方を参照してください。

    過去問の使い方が塊ごとに違う

    過去問との相性も、三つの塊で違います。

    問23・問24・問25は、過去問が最も効きます。条文が変わらない限り、同じ論点が形を変えて繰り返されるからです。とくに印紙税の記載金額の判定と鑑定評価基準の用語は、過去問の蓄積がそのまま得点になります。

    ただし数字を含む肢は例外です。前述のとおり不動産取得税の免税点と床面積要件は令和8年度から変わっています。過去問の解説にある数字が現在の条文と一致しない箇所があるという前提で使ってください。論点の型は使える、数字は確認が要る、という切り分けです。

    問48の統計は、過去問が使えません。答えを覚えても翌年には別の数値になっています。使えるのは選択肢の作られ方の観察だけです。

    過去問全般の使い方は過去問の活用法にまとめてあります。

    試験での出題ポイント

    課税主体を入れ替える

    最も定番なのが、不動産取得税と固定資産税の課税主体を入れ替える形です。不動産取得税は道府県、固定資産税は市町村が課します。「不動産取得税は市町村が課する」という記述は誤りです。

    あわせて、不動産取得税を「目的税である」とする形もあります。不動産取得税は普通税です。

    免税点の数字を入れ替える

    二つの税の免税点は金額がまったく違います。しかも令和8年度から不動産取得税だけが引き上げられ、差はさらに広がりました。不動産取得税が16万円・66万円・34万円、固定資産税が30万円・20万円・150万円。この6つの数字を混ぜる形が想定されます。改正前の「10万円・23万円・12万円」を正しいものとして提示する肢にも注意してください。

    床面積の上限を入れ替える

    改正前は、不動産取得税の課税標準の特例が240平方メートル以下、固定資産税の新築住宅の減額が280平方メートル以下と、上限が違っていました。令和8年度からはどちらも240平方メートル以下で揃っています。「固定資産税の減額は280平方メートル以下」という記述は、現在の条文と一致しません。

    なお、固定資産税の減額については要件を判定する面積(40から240)と、減額の対象になる面積(120平方メートル相当分まで)が別物である点も狙われます。

    割合を入れ替える

    住宅用地の特例は、固定資産税が6分の1と3分の1、都市計画税が3分の1と3分の2です。都市計画税のほうが固定資産税の2倍という関係を押さえておくと、入れ替えに気づけます。境目が200平方メートルである点も定番です。

    特例の適用要件を一つ落とす

    所得税の特例で最も多い形です。3,000万円特別控除であれば、控除額を正しく書いたうえで「前年および前々年に適用を受けていないこと」という要件を落とす、あるいは配偶者や直系血族への譲渡でも適用できるとする、といった作り方があります。金額が合っていても要件で誤りになるという構造を意識してください。

    印紙税で記載金額の読み方を変える

    交換契約書で低いほうの金額を記載金額とする、贈与契約書に記載金額があるとする、変更契約書で減額分を記載金額とする、といった形です。いずれも「記載金額をいくらと読むか」という一点に集約されます。

    問25で判定主体と時点を入れ替える

    地価公示法では、判定するのが土地鑑定委員会であること、価格時点が毎年1月1日であることが軸です。これを都道府県知事や7月1日に置き換える形が想定されます。7月1日時点を判定するのは都道府県地価調査のほうです。

    鑑定評価基準では、三手法から求められる価格の呼び名を入れ替える形があります。原価法が積算価格、取引事例比較法が比準価格、収益還元法が収益価格です。

    免除の範囲を「税・その他すべて」とする

    制度そのものが宅建業法の分野で問われることもあります。免除されるのは施行規則8条の1号と5号だけで、4号の税と6号の価格の評定は免除されません。「登録講習を修了すれば税・その他の8問すべてが免除される」という記述は誤りです。

    覚え方・整理の仕方

    8問を「2・1・5」で持つ

    「税・その他8問」ではなく、税が2問、価格の評定が1問、免除対象が5問という三つの数字で持ちます。この分け方をしておくと、免除を受ける人は「2・1」だけを見ればよいと即座に判断できますし、三つに違う勉強のしかたを当てることも自然になります。

    「税3問」と覚えていると、問25を税だと思って税法の勉強だけをすることになります。

    問23・24・25を「国・地方・評定」で持つ

    並びは10年間固定されています。問23が国税、問24が地方税、問25が価格の評定。この3語で、問題番号を見た瞬間に何の分野かが決まります。

    二つの地方税は「一回きりか毎年か」で分ける

    不動産取得税は取得の一回きりで道府県、固定資産税は毎年1月1日で市町村。「一回・道府県」「毎年・市町村」という2語ずつの組で持つと、課税主体の入れ替えに反応できます。

    数字は税ごとにまとめる

    税をまたいで数字だけを並べると必ず混ざります。税ごとにまとめてください。

    不動産取得税は、税率4パーセント(住宅と土地は3パーセント)、控除1,200万円、床面積40から240平方メートル、免税点16・66・34万円。

    固定資産税は、税率1.4パーセント、住宅用地は200平方メートルまで6分の1でそれ以上は3分の1、新築住宅の減額は床面積40から240平方メートルで対象は120平方メートルまで、免税点30・20・150万円。

    同じ「床面積40から240」が両方に出てくるのは令和8年度からの新しい状態です。改正前は240と280で違っていました。揃ったことを知っていれば、片方だけ280と書かれた肢に気づけます。

    改正のあった数字には印をつける

    令和8年度から変わったのは、不動産取得税の免税点と、不動産取得税・固定資産税の床面積要件です。この3か所には、覚えるときに「改正あり」の印をつけておいてください。

    理由は、模試や問題集で改正前の数字に出会う可能性があるからです。印がついていれば、自分の記憶と教材が食い違ったときに、どちらを疑うべきかが分かります。印がないと、正しく覚えていたほうを書き換えてしまいます。

    計算は「条文を選ぶ」までが本体

    計算問題に出会ったら、電卓的な処理に入る前に、適用する条文を口に出して確定させます。「これは宅地評価土地だから課税標準は2分の1」「これは小規模住宅用地だから6分の1」。条文が決まれば計算は数秒で終わります。逆に条文を決めずに数字をいじり始めると、合わない答えが出て時間を失います。

    理解度チェッククイズ

    Q1. 宅建試験の「税・その他」8問のうち、税に関する出題は問23から問25までの3問である。(○か×か)

    答えを見る ×:税に関する出題は**問23と問24の2問**です。問23が国税(印紙税、所得税、登録免許税など)、問24が地方税(不動産取得税または固定資産税)で、**問25は税ではなく「価格の評定」**にあたり、不動産鑑定評価基準または地価公示法から出題されます。宅地建物取引業法施行規則8条でも、税は4号、価格の評定は6号と別の号に置かれています。「税・その他8問」という通称のうち、問23から問25までの3問を「税」とひとくくりにすると、問25の対策が抜けます。なお残りの5問(問46から問50)は8条1号と5号に対応する免除対象科目で、税とは無関係の領域です。

    Q2. 問24の地方税は、不動産取得税と固定資産税が毎年交互に出題されるため、前年に出たほうを薄くしてよい。(○か×か)

    答えを見る ×:宅建試験AIブートラボが保有する2016年度から2025年度までの過去問データで問24の出題実績を集計すると、**不動産取得税が6回、固定資産税が4回**でした。2016年度から2020年度までは交互になっていますが、2020年度と2021年度で不動産取得税が2年連続し、2023年度と2024年度でも2年連続しています。**交互という規則は成り立っていません。**したがって前年の出題を根拠に片方を薄くする判断は、実績に裏づけられていません。もっとも両者は課税主体(道府県と市町村)、課税のタイミング(取得時の一回きりと毎年1月1日)が対になっているため、対比の形で並べて覚えれば負担は大きくありません。

    Q3. 新築住宅に係る不動産取得税の課税標準の特例は、床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下(貸家住宅は40平方メートル以上)の住宅について適用される。(○か×か)

    答えを見る ×:これは改正前の数字です。宅建試験は当該年度の4月1日現在施行の法令から出題され、令和8年度試験の基準日は2026年4月1日です。同日時点の地方税法施行令37条の16は、**貸家かどうかを問わず一律「40平方メートル以上240平方メートル以下」**と定めています。同じ日の改正で、固定資産税の新築住宅の減額措置の床面積要件も「50平方メートル以上280平方メートル以下」から「40平方メートル以上240平方メートル以下」に変わりました(施行令附則12条)。**改正前は240と280で上限が違いましたが、令和8年度からはどちらも240で揃っています。**市販の教材や解説記事には改正前の数字が残っていることがあるので、数字を覚え直すときは基準日を確認してください。

    Q4. 不動産取得税の免税点は、土地の取得が10万円、家屋の建築による取得が23万円、その他の家屋の取得が12万円である。(○か×か)

    答えを見る ×:これも改正前の数字です。2026年4月1日時点の地方税法73条の15の2第1項は、免税点を**土地16万円、家屋の建築66万円、その他の家屋34万円**と定めています。一方、**固定資産税の免税点(351条)は改正されておらず**、土地30万円、家屋20万円、償却資産150万円のままです。改正によって二つの税の免税点の差はさらに広がりました。両者を混ぜる形の出題が想定されるので、税ごとにまとめて覚えてください。

    Q5. 登録講習を修了して5問免除を受ける場合、「税・その他」は問23から問25までの3問だけを対策すればよい。(○か×か)

    答えを見る ○:登録講習修了者は問46から問50までの5問を解答しないため、「税・その他」で扱うのは問23から問25までの3問だけになります。宅地建物取引業法16条3項および同法施行規則10条の14により免除されるのは施行規則8条の**1号と5号**で、これが問46から問50に対応します。税は8条4号、価格の評定は8条6号であり、**いずれも免除されません。**したがって、免除を受けても国税・地方税・鑑定評価または地価公示法は出題範囲に残ります。「登録講習を受ければ税・その他はまるごと免除される」という理解は誤りです。4科目のうち、免除の有無で扱う問題数が変わるのはこの科目だけです。

    まとめ

    「税・その他」は一つの科目ではありません。宅地建物取引業法施行規則8条の4号(税)、6号(価格の評定)、1号と5号(免除対象)という四つの号にまたがった通称です。免除されるのは1号と5号だけで、税と価格の評定は免除されません。同じ枠のなかに免除される部分と免除されない部分が同居していることが、この科目を分かりにくくしています。

    したがって扱いは「2・1・5」で分けます。税が問23と問24の2問、価格の評定が問25の1問、免除対象が問46から問50の5問。登録講習修了者にとっては「2・1」の3問だけの科目になります。4科目のうち、免除の有無で問題数が変わるのはここだけです。

    10年分の出題実績を集計すると、並びは固定されています。問23が国税、問24が地方税、問25が価格の評定。問23の内訳は印紙税4回・所得税4回・登録免許税2回で、贈与税と相続税は0回。問24は不動産取得税6回・固定資産税4回で、「交互」という規則は2回破れています。問25は鑑定評価基準7回・地価公示法3回です。この数字は来年の予想ではなく、優先順位を決めるための材料として使ってください。

    配分の設計はこうなります。税は7税目に及ぶ範囲に対して2問しか出ません。この非対称が「深追いしない」という判断の根拠です。ただし2問は無視できる大きさではないので、捨てるのとは違います。宅建の科目別攻略法が税・その他8問に置いた3問の枠は、問23に1問、問46から問50に2問と配るのが合理的です。問24と問25は覚えれば取れる領域なので、枠を配りません。

    計算問題は例外的に得点しやすい領域です。宅建の税の計算は四則演算にとどまり、難しいのは計算ではなく適用する条文を選ぶところです。したがって対策は計算練習ではなく、適用条件の確認になります。

    そして最も注意すべきなのが、税法には毎年度改正が入るという性質です。令和8年度の基準日である2026年4月1日から、不動産取得税の免税点が16万円・66万円・34万円に引き上げられ、不動産取得税と固定資産税の住宅の床面積要件がどちらも40平方メートル以上240平方メートル以下に変わりました。従来広く流通している「10・23・12」「50平方メートル以上240平方メートル以下」「50平方メートル以上280平方メートル以下」は、いずれも改正前の数字です。固定資産税の免税点(30万円・20万円・150万円)は変わっていません。

    時期は三つに分けます。税は早い時期に一度、直前期にもう一度の二段構え。価格の評定は独立しているのでまとまった数時間で一度。免除対象の5問は直前期にまとめ、統計だけはさらに最後に切り出す。同じ科目名の下で、学習の時期を分けることが設計の核心です。

    宅建試験AIブートラボのアプリでは、問23から問25までと問46から問50までを、年度別・論点別に肢別演習できます。条文根拠つきの解説なので、改正のあった数字も条番号から確認しながら進められます。

    読んだ内容を、税・その他の肢で確かめる

    税と価格の評定は毎年ほぼ同じ形で出ます。出題パターンを肢別で押さえれば取りこぼしません。

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