景品表示法と公正競争規約|宅建問47の攻略
宅建の問47で問われる景品表示法と不動産の表示に関する公正競争規約を条文と規約原文で整理。徒歩80メートル1分、新築の2要件、おとり広告、二重価格表示まで解説。
目次
本記事は、宅建試験の問47で出題される不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)と、不動産の表示に関する公正競争規約を扱います。5問免除科目のうちの1問であり、5問免除(登録講習)の制度で解説したとおり、登録講習修了者はこの問題を解きません。免除を受けない受験者にとっては、条文と規約さえ押さえれば毎年ほぼ確実に1点になる枠です。
最初に、この論点の位置づけを条文で確定させておきます。宅地建物取引業法施行規則8条は試験すべき事項を7つ列挙しており、その5号が「宅地及び建物の需給に関する法令及び実務に関すること」です。そして同規則10条の14が、登録講習修了者について、登録講習修了試験に合格した日から3年以内に行われる試験に限り、8条1号(土地・建物の形質等)と5号を免除すると定めています。景品表示法と公正競争規約はこの5号に含まれるため、免除対象者の出題範囲からは外れます。逆に言えば、免除を受けない受験者は必ず解かなければならない1問です。
そして、この記事で最初に理解してほしいのは根拠の構造です。不動産広告のルールは2階建てになっています。1階が景品表示法という法律、2階が不動産の表示に関する公正競争規約という業界の自主規制ルールです。そして、試験で問われる細かい数字のほぼすべては2階の規約側にあります。徒歩1分80メートルも、新築の1年未満も、市街化調整区域の16ポイントも、景品表示法の条文には一文字も出てきません。この構造を取り違えると、「景品表示法は徒歩所要時間の計算方法を定めている」といった選択肢に引っかかります。
根拠が2階建てになっている
1階:景品表示法という法律
景品表示法は昭和37年法律第134号で、現在は消費者庁が所管しています。1条は次のように目的を述べています。
この法律は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とする。
――不当景品類及び不当表示防止法1条
対象は不動産に限りません。食品も家電も金融商品も、事業者が一般消費者に供給するあらゆる商品・役務が入ります。ただし2条3項の景品類の定義には「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引(不動産に関する取引を含む。以下同じ。)に付随して」という括弧書きがあり、不動産取引が明示的に含まれることが条文上はっきりしています。
法律である以上、その内容は抽象的です。5条が禁じるのは「著しく優良」「著しく有利」と誤認させる表示であって、徒歩何分の計算方法までは書いていません。書けないと言ったほうが正確でしょう。不動産の徒歩所要時間の算定方法を国会で法律に書き込む、というのは制度設計として現実的ではありません。
2階:不動産の表示に関する公正競争規約
そこで登場するのが公正競争規約です。景品表示法36条1項は次のように定めています。
事業者又は事業者団体は、内閣府令で定めるところにより、景品類又は表示に関する事項について、内閣総理大臣及び公正取引委員会の認定を受けて、不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択及び事業者間の公正な競争を確保するための協定又は規約を締結し、又は設定することができる。
――不当景品類及び不当表示防止法36条1項
つまり、業界団体が自分たちで具体的なルールを作り、内閣総理大臣と公正取引委員会の認定を受ける、という仕組みです。不動産業界では、不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)と、不動産業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約(景品規約)の2つが設定されています。いずれも1条で景品表示法36条1項を根拠条文として明示しています。
規約を運用するのは、規約25条が設置を定める9つの地区協議会(北海道、東北、首都圏、北陸、東海、近畿、中国、四国、九州)と、それらを構成員とする不動産公正取引協議会連合会です。規約の解釈と運用の統一は連合会の事業とされています(規約25条6項2号)。
認定を受けた規約とそれに基づく事業者の行為には、独占禁止法の一部規定が適用されません(景品表示法36条5項)。業界で申し合わせて表示のルールを揃える行為は、放っておけばカルテルと評価されかねません。認定という手続を通すことで、その懸念を法律上あらかじめ外しているわけです。
認定の主体を取り違えない
36条1項が認定の主体として挙げるのは「内閣総理大臣及び公正取引委員会」です。内閣総理大臣だけでも、公正取引委員会だけでもありません。そして景品表示法38条1項により、この法律による権限は原則として消費者庁長官に委任されています。実務上は消費者庁長官と公正取引委員会が認定することになります。
かつて景品表示法は公正取引委員会が所管する独占禁止法の特別法という位置づけでしたが、平成21年の消費者庁発足に伴い消費者庁に移管されました。規約の認定に公正取引委員会が残っているのは、競争政策との接点が消えていないためです。この経緯を知っていると、「認定するのは公正取引委員会のみである」という選択肢が半分だけ正しくて全体としては誤り、と処理できます。
数字は規約側にある
まとめると、法律は禁止の枠組みを与え、規約が具体的な数値と定義を埋めます。徒歩1分あたり80メートル、新築の建築後1年未満、市街化調整区域の16ポイント、二重価格表示の2か月と6か月、景品の10分の1と100万円。これらはすべて規約または規約の施行規則に書かれた数字であって、景品表示法の条文にはありません。
出題者はこの点を突いてきます。「景品表示法は、不動産広告における徒歩所要時間を道路距離80メートルにつき1分として算出すべきものと定めている」という選択肢は、数字自体は合っていても根拠の帰属が誤りです。厳密な作問であればこの形も成立しますが、実際の出題では単に「不動産の表示に関する公正競争規約によれば」と前置きされることが多いので、過度に神経質になる必要はありません。ただし構造は理解しておいてください。
宅建業法32条の広告規制との違い
名宛人と法的性質が違う
不動産広告を規律するルールは、これで3つになりました。宅地建物取引業法32条の誇大広告等の禁止、景品表示法5条の不当な表示の禁止、そして表示規約です。この3つは同時に適用されます。どれか1つを満たせば他は免れる、という関係ではありません。
宅建業法32条は、宅地建物取引業者を名宛人とする業法上の義務です。免許を受けて宅建業を営む者だけが対象で、違反すれば免許権者による指示処分や業務停止処分の対象となり、さらに81条1号により6月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはこれらの併科の対象となります。規制の詳細は広告に関する規制で条文ごとに整理しています。
景品表示法5条は、宅建業者に限らず「自己の供給する商品又は役務の取引について」表示をする事業者一般が名宛人です。不動産に関して言えば、宅建業の免許を持たない自ら貸主も、広告制作を請け負う広告会社も、供給主体として表示をする限り射程に入り得ます。違反すれば消費者庁長官または都道府県知事による措置命令、消費者庁長官による課徴金納付命令の対象になります。
表示規約は法律ではありません。規約4条4項が定義する「事業者」は、宅建業法3条1項の免許を受けて宅建業を営む者であって、地区協議会の構成団体に所属するものまたは規約に個別に参加するものです。つまり規約に参加していない事業者を規約で直接縛ることはできません。実務上は主要な業界団体がすべて構成団体になっているため、ほとんどの宅建業者が規約の適用を受けますが、法的性質としては協定であることを押さえてください。
罰則の重さが違う
この違いは罰則の設計にも表れます。宅建業法32条違反は6月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金です。宅建業法の拘禁刑の中では最も軽い段階で、体系全体は宅建業法の罰則一覧にまとめています。
景品表示法側では、まず措置命令に違反した者に対して46条が2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金を定め、情状により併科できるとしています。さらに49条1項1号の両罰規定により、法人には3億円以下の罰金刑が科されます。命令違反への制裁としてはかなり重い部類です。
加えて48条が、優良誤認表示・有利誤認表示そのものに対して100万円以下の罰金を定めています。措置命令を経ることなく表示行為に直接罰金が科される、いわゆる直罰規定です。令和5年法律第29号による改正で新設され、2024年10月1日から施行されています。それ以前の景品表示法には表示行為への直罰がなく、必ず措置命令を挟む構造でしたから、この点を古い教材で覚えている場合は上書きが必要です。
適用が重なる例で理解する
具体例で考えます。宅建業者が、実際には成約済みの物件を自社サイトに掲載し続けたとします。
宅建業法の側では、取引できない物件を取引できるかのように表示しているため32条の誇大広告等に該当します。国土交通省の解釈・運用の考え方は、物件は存在するが取引の対象となり得ない物件に関する表示をおとり広告の一類型として誇大広告等に含めています。監督処分と罰則の対象です。
表示規約の側では、21条2号の「物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件に関する表示」に真正面から当たります。地区協議会は27条1項に基づき警告または50万円以下の違約金を課すことができます。
景品表示法の側では、取引条件について実際よりも著しく有利であると誤認させる表示、あるいは取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれのある表示として5条に触れ得ます。措置命令の対象です。
同じ1つの広告が、3つのルールに同時に違反することがある。この重なり方を理解しておけば、「宅建業法に違反しない広告であれば公正競争規約にも違反しない」といった選択肢を即座に切れます。
表示規約の全体構造
何が「表示」に当たるか
規約4条5項は「表示」を広く定義しています。列挙されているのは、インターネットによる広告表示、チラシ・ビラ・パンフレット・小冊子・説明書面・電子記録媒体(ダイレクトメール、ファクシミリを含む)および口頭による広告表示(電話によるものを含む)、ポスター・看板(デジタルサイネージ、プラカード、電車や自動車に記載されたものを含む)・のぼり・垂れ幕・ネオンサイン・アドバルーンなど、新聞・雑誌・放送・映写・演劇・電光による広告、そして物件自体による表示およびモデルルームです。
口頭と電話が明記されている点は覚えておく価値があります。書面やウェブサイトだけが表示ではありません。営業担当者が電話で伝えた内容も規約上の表示です。インターネットによる広告表示が第1号に置かれているのも、令和4年9月1日施行の改正で媒体の順序が組み替えられた結果で、現在のウェブ中心の広告実態を反映しています。
広告表示の開始時期の制限
規約5条は、宅地の造成または建物の建築に関する工事の完了前においては、宅建業法33条に規定する許可等の処分があった後でなければ広告表示をしてはならない、と定めています。
注目してほしいのは、規約が宅建業法33条をそのまま参照している点です。規約が独自の基準を立てているのではなく、業法の許可等の処分をそのまま要件にしています。したがって、開発許可や建築確認の要否と時期の判断は業法の議論と完全に一致します。開発許可制度と建築確認の手続きで確認した内容がそのまま使えます。
例外として、規約6条が建築条件付土地取引に関する広告表示中の建物の設計プランについて、規約7条が自由設計型マンション企画について、それぞれ一定の要件を満たす場合に5条を適用しないとしています。自由設計型マンション企画の要件には、当該企画の実施に際して宅建業法33条の許可等の処分を受ける必要がある旨および未だ受けていない旨を明示することが含まれます(規約7条1号オ)。処分がないことを隠さずに示すことが、例外を認める条件になっているわけです。
必要な表示事項と予告広告
規約8条は、規則で定める表示媒体を用いて物件の表示をするときは、規則で定める物件の種別ごとに、広告主に関する事項、物件の所在地・規模・形質その他の内容に関する事項、物件の価格その他の取引条件に関する事項、物件の交通その他の利便および環境に関する事項などを、見やすい場所に、見やすい大きさ、見やすい色彩の文字により、分かりやすい表現で明瞭に表示しなければならない、と定めています。
具体的に何を書くかは施行規則の別表1から別表10に、物件種別ごとに定められています。分譲宅地、現況有姿分譲地、売地、貸地、新築分譲住宅、新築住宅、中古住宅、新築分譲マンション、中古マンション、一棟リノベーションマンション、新築賃貸マンション、中古賃貸マンション、貸家、新築賃貸アパート、中古賃貸アパート、一棟売りマンション・アパート、小規模団地、共有制リゾートクラブ会員権と、19の種別が施行規則3条に列挙されています。試験でこの別表の中身が細かく問われることはありませんが、種別ごとに表示すべき事項が違うという構造は知っておいてください。
ここで押さえたいのが「見やすい大きさの文字」の意味です。施行規則8条は、規約に規定する「見やすい大きさの文字」とは、原則として7ポイント以上の大きさの文字による表示をいう、と定めています。原則7ポイント。この数字が、後で出てくる市街化調整区域の16ポイント、予告広告の14ポイントの基準線になります。
予告広告と本広告
予告広告は、規約4条6項3号が定義しています。販売区画数もしくは販売戸数が2以上の分譲宅地・新築分譲住宅・新築分譲マンション・一棟リノベーションマンション、または賃貸戸数が2以上の新築賃貸マンション・新築賃貸アパートであって、価格または賃料が確定していないため直ちに取引することができない物件について、その本広告に先立ち、取引開始時期をあらかじめ告知する広告表示をいいます。
2以上という要件が入っている点に注意してください。1区画・1戸の物件について予告広告をすることはできません。また、価格が確定していないことが前提です。価格が決まっているのに予告広告と称するのは制度の趣旨に反します。
予告広告では必要な表示事項の一部を省略できますが(規約9条1項)、そのかわり2つの縛りがかかります。第1に、当該予告広告に係る物件の取引開始前に、本広告を行わなければなりません(規約9条2項)。その方法は、予告広告を行った媒体と同一の媒体を用いて予告広告を行った地域と同一またはより広域の地域で実施するか、インターネット広告により実施するかのいずれかです。後者による場合は、予告広告の中でインターネットサイト名とアドレス、掲載予定時期を明示しなければなりません(同条3項)。
第2に、予告広告には一定の事項を明瞭に表示しなければなりません(規約9条4項、施行規則5条2項)。予告広告である旨、価格または賃料が未定である旨または予定価格帯、販売予定時期または取引開始予定時期、そして本広告を行い取引を開始するまでは契約または予約の申込みに一切応じない旨および申込みの順位の確保に関する措置を講じない旨です。このうち「予告広告である旨」は、施行規則5条3項により、目立つ場所に14ポイント以上の大きさの文字で表示しなければなりません。
シリーズ広告
シリーズ広告は、規約4条6項5号が「一の企画に基づき、1年以内に、順次、連続して4回以上又は6か月以内に3回以上にわたって行う一連の広告表示」と定義しています。1年以内に4回以上、または6か月以内に3回以上。この2つの数字の組み合わせを覚えてください。
規約11条は、新聞・雑誌・インターネットによる広告であること、最終広告で必要な表示事項をすべて表示していること、各回の広告にシリーズ広告である旨・広告の回数・当該広告の順位・次回の掲載予定日・申込みに応じない旨を明示していること、規約5条の広告表示開始の要件を満たしていること、という要件をすべて満たす場合に限り、一連の広告表示をもって一の広告表示とみなすとしています。要するに、最後にまとめて必要事項を書けばよいという特例です。
特定事項の明示義務
積極的に告げなければならない事項
規約13条は、一般消費者が通常予期することができない物件の地勢・形質・立地・環境等に関する事項、または取引の相手方に著しく不利な取引条件であって規則で定める事項については、賃貸住宅を除き、見やすい場所に、見やすい大きさ、見やすい色彩の文字により、分かりやすい表現で明瞭に表示しなければならない、と定めています。
これまで見てきた規制の多くは「嘘を書くな」という消極的な禁止でした。特定事項の明示義務は「不利なことを書け」という積極的な作為義務です。買主にとって不利な事情は、放っておけば広告に載りません。だから明示を義務づけているわけで、宅建業者の説明義務や人の死のガイドラインと発想が共通しています。
賃貸住宅が除かれている点は狙われます。規約13条本文が明文で除外しています。賃貸住宅の広告について特定事項の明示義務は働きません。
市街化調整区域の明示
施行規則7条6号が、試験で最も出やすい特定事項です。
都市計画法第7条に規定する市街化調整区域に所在する土地については、「市街化調整区域。宅地の造成及び建物の建築はできません。」と明示すること(新聞折込チラシ等及びパンフレット等の場合には16ポイント以上の大きさの文字を用いること。)。
――不動産の表示に関する公正競争規約施行規則7条6号
覚えるべき要素が3つあります。第1に、明示すべき文言が規約に書かれていること。「市街化調整区域である旨」を書けばよいのではなく、「宅地の造成及び建物の建築はできません」まで含めた一文を表示します。第2に、16ポイント以上という文字サイズ。原則の7ポイントの2倍以上です。第3に、16ポイントが要求されるのは新聞折込チラシ等およびパンフレット等の場合に限られること。すべての媒体で16ポイントが要求されるわけではありません。
ただし書きも重要です。都市計画法29条の開発許可を受けているもの、33条の要件に適合し34条1項11号または12号に該当するもの、同法施行令36条1項1号・2号の要件に適合し3号ロまたはハに該当するものは除かれます。これらは市街化調整区域でも建物を建てられるためで、その場合には住宅等を建築するための条件を明示することとされています。市街化調整区域の建築制限そのものは市街化調整区域とはで扱っています。
道路と敷地に関する明示事項
施行規則7条2号は、建築基準法42条2項の規定により道路とみなされる部分、すなわちセットバックを要する部分を含む土地について、その旨を表示し、セットバックを要する部分の面積がおおむね10パーセント以上である場合は、併せてその面積を明示することとしています。10パーセント未満なら「セットバックを要する」旨だけでよく、10パーセント以上なら面積まで書く、という二段構えです。2項道路とセットバックの仕組みはセットバックの基礎で確認できます。
同4号は、建築基準法42条に規定する道路に2メートル以上接していない土地について、「再建築不可」または「建築不可」と明示することを求めます。接道義務を満たさない土地は建物を建て替えられませんから、価格が安いのには理由があります。ただし、建築する建物が同法43条2項各号に該当することとなる場合はこの限りでないとされています。
同5号は、建築基準法40条に基づく地方公共団体の条例により附加された敷地の形態に対する制限に適合しない土地についても、同じく「再建築不可」または「建築不可」と明示することを求めています。
土地の形状・地勢に関する明示事項
施行規則7条8号は、路地状部分のみで道路に接する土地であって、その路地状部分の面積が当該土地面積のおおむね30パーセント以上を占めるときは、路地状部分を含む旨およびその割合または面積を明示することとしています。いわゆる旗竿地です。
同9号は、傾斜地を含む土地であって、傾斜地の割合が当該土地面積のおおむね30パーセント以上を占める場合(マンションおよび別荘地等を除く)に、傾斜地を含む旨およびその割合または面積を明示することとしています。さらに、割合が30パーセント以上か否かにかかわらず、傾斜地を含むことにより土地の有効な利用が著しく阻害される場合(マンションを除く)は、その旨および割合または面積を明示しなければなりません。30パーセント未満でも明示が必要になる場合があるという点が、この号の読みどころです。
同10号は著しい不整形画地および著しく特異な地勢の土地、11号は擁壁でおおわれないがけの上またはがけの下にある土地、15号は沼沢地・湿原・泥炭地について、それぞれ明示を求めます。地盤と造成の知識は土地・建物の基礎知識と関連します。
権利と計画に関する明示事項
施行規則7条12号は、土地の全部または一部が高圧電線路下にあるときは、その旨およびそのおおむねの面積を表示することを求め、建物その他の工作物の建築が禁止されているときは併せてその旨を明示することとしています。面積の明示が要件に入っている点が、他の号と異なります。
同13号は、地下鉄の線路敷設等のために地下の範囲を定めた区分地上権が設定されているとき、同3号は道路法18条1項により道路区域が決定され、または都市計画法20条1項の告示が行われた都市計画施設の区域に係る土地であるとき、同16号は国土利用計画法による許可または事前届出を必要とするときに、それぞれ明示を求めます。
同7号は、土地取引において当該土地上に古家・廃屋等が存在するときにその旨の明示を求め、同14号は、建築工事に着手した後に相当の期間にわたり工事を中断していた新築住宅・新築分譲マンションについて、着手時期と中断期間の明示を求めています。工事が長期間止まっていた建物は、その間の雨ざらしによる劣化が疑われるためです。
同1号は建築条件付土地の取引について、取引の対象が土地である旨、条件の内容、条件が成就しなかったときの措置の内容を明示することを求めています。
表示基準の数字を押さえる
徒歩所要時間
規約15条4号を受けた施行規則9条9号が、問47で最も出題される数字です。
徒歩による所要時間は、道路距離80メートルにつき1分間を要するものとして算出した数値を表示すること。この場合において、1分未満の端数が生じたときは、1分として算出すること。
――不動産の表示に関する公正競争規約施行規則9条9号
80メートルにつき1分。1分未満の端数は切り上げ。この2つが核です。切り捨てでも四捨五入でもありません。道路距離500メートルなら500÷80=6.25で、端数を切り上げて7分です。720メートルちょうどなら9分、721メートルなら10分になります。
起点と着点は施行規則9条7号が定めています。物件の起点は、物件の区画のうち駅その他施設に最も近い地点とし、マンションおよびアパートにあっては建物の出入口とします。駅その他の施設の着点は、その施設の出入口(施設の利用時間内において常時利用できるものに限る)です。改札口ではなく出入口。駅の出入口から改札まで距離がある大規模駅では、表示された徒歩分数と体感が大きくずれますが、規約上はこれで適法です。
施行規則9条8号は、団地と駅その他の施設との間の道路距離または所要時間について、その施設から最も近い区画を起点とした数値とともに、最も遠い区画を起点とした数値も表示することを求めています。「駅徒歩5分」とだけ書いて、実際には最も遠い区画から12分かかる、という表示は規約違反です。近いほうだけでなく遠いほうも書く、と覚えてください。
信号待ちの時間、坂道、踏切、歩道橋を考慮しない点は、規約が算出方法を距離だけで機械的に定めていることの当然の帰結です。規約が「道路距離80メートルにつき1分間を要するものとして算出した数値」と書いている以上、実際に歩いて計測した時間を表示するのではありません。
自動車・自転車・公共交通機関
施行規則9条10号は、自動車による所要時間について、道路距離を明示して、走行に通常要する時間を表示することとし、有料道路(橋を含む)の通行を含む場合はその旨を明示することとしています。ただし、その道路が高速自動車国道であって周知のものであるときは、有料である旨の表示を省略できます。
同11号は自転車による所要時間について、同じく道路距離を明示して走行に通常要する時間を表示することとしています。
徒歩だけが80メートル1分という機械的な換算で、自動車と自転車は「通常要する時間」の実測です。この非対称を押さえておくと、「自動車による所要時間は、道路距離400メートルにつき1分として算出する」といった架空の基準を持ち込む選択肢を切れます。
電車・バス等の所要時間については、施行規則9条4号が、起点と着点の駅等またはバス停留所の名称を明示すること、特急・急行等の種別を明示すること、朝の通勤ラッシュ時の所要時間を明示すること、乗換えを要するときはその旨を明示し所要時間に乗換えにおおむね要する時間を含めることを求めています。平常時の所要時間は、その旨を明示して併記することができます。原則がラッシュ時で、平常時は併記。この主従関係が問われます。
面積
施行規則9条13号は、面積はメートル法により表示し、1平方メートル未満の数値は切り捨てて表示することができるとしています。切り捨てが禁止されているのではなく、切り捨てが許容されています。
同14号は、土地の面積は水平投影面積を表示することとしています。傾斜地であっても斜面に沿った実際の表面積ではなく、真上から見た投影面積です。傾斜地を含む土地で表示面積より実際に使える面積が小さくなるのは、この算定方法の帰結でもあります。
同15号は、建物の面積(マンションにあっては専有面積)は延べ面積を表示することとし、これに車庫・地下室等(地下居室は除く)の面積を含むときはその旨およびその面積を表示することとしています。ここで押さえるべきは、バルコニーは延べ面積に含まれないという点です。バルコニーや専用庭は共用部分の専用使用権の対象であって専有部分ではなく、建築基準法上も一定の要件で延べ面積に算入されません。「バルコニー面積を含めて専有面積として表示した」という記述は誤りになります。建蔽率・容積率の計算における延べ面積の扱いは建蔽率・容積率の基礎で確認できます。
同16号は、住宅の居室等の広さを畳数で表示する場合、畳1枚当たりの広さは1.62平方メートル(各室の壁心面積を畳数で除した数値)以上の広さがあるという意味で用いることとしています。1.62平方メートルという数字と、壁心面積を基準とする点が要素です。
物件の形質と価格
施行規則9条17号は、採光および換気のための開口部の面積が当該室の床面積に対して建築基準法28条の規定に適合していないため、同法において居室と認められない部分については、その旨を「納戸」等と表示することとしています。広告の間取り図に「納戸」「サービスルーム」「S」と書かれているのは、この規定によるものです。
同19号は、地目は登記簿に記載されているものを表示し、現況の地目と異なるときは現況の地目を併記することとしています。登記簿の地目が田や畑のままで実際は宅地、という土地は珍しくありません。
価格については、施行規則9条34号が、土地の価格に上下水道施設・都市ガス供給施設の設置のための費用その他宅地造成に係る費用(消費税等が課されるときはその額を含む)を含めて表示することを求めています。造成費が別途必要と後から言うのは許されません。
同38号は、住宅の価格について1戸当たりの価格を表示することとし、敷地の価格および建物に係る消費税等の額を含む、と括弧書きで明記しています。土地そのものの譲渡は消費税が非課税ですが、建物には課税されます。したがって建売住宅の総額表示には建物分の消費税が含まれることになります。
同36号・39号は、分譲宅地・新築分譲住宅・新築分譲マンションについて、パンフレット等の媒体を除き、最低価格・最高価格・最多価格帯およびその価格帯に属する区画数・戸数のみで表示できるとし、販売区画数・販売戸数が10未満(住宅・住戸は10戸未満)であるときは最多価格帯の表示を省略できるとしています。最多価格帯とは、規約4条6項7号により、売買に係る物件の価格を100万円刻みでみたときに最も物件数が多い価格帯をいいます。
同44号は住宅ローンについて、金融機関の名称もしくは商号または種類、借入金の利率および利息を徴する方式または返済例を明示することを求めています。返済例を示す場合は、借入金・返済期間・利率等の前提条件を併記し、ボーナス併用払のときは1か月当たりの返済額の表示に続けてボーナス時の加算額を明示しなければなりません。住宅ローンの基礎と併せて読むと理解が進みます。
各種施設までの距離
施行規則9条29号は、学校・病院・官公署・公園その他の公共・公益施設について、現に利用できるものを表示し、物件からの道路距離または徒歩所要時間を明示し、その施設の名称を表示することを求めています。名称は、公立学校および官公署の場合、パンフレットを除いて省略できます。
同31号は、デパート・スーパーマーケット・コンビニエンスストア・商店等の商業施設について、現に利用できるものを物件からの道路距離または徒歩所要時間を明示して表示することとし、工事中である等その施設が将来確実に利用できると認められるものについては整備予定時期を明示して表示できるとしています。
原則は「現に利用できるもの」です。将来できる予定の施設を、あたかも既にあるかのように表示することはできません。学校については同30号が、設置に必要な許可等の処分を受けているものまたは国もしくは地方公共団体が事業決定しているものについて、現に利用できるものと併せて表示する場合に限り整備予定時期を明示して表示できるとしています。予定の学校だけを単独で表示することはできない、という限定です。
特定用語の使用基準
新築は2つの要件を満たして初めて名乗れる
規約18条1項1号が定義を置いています。
新築 建築工事完了後1年未満であって、居住の用に供されたことがないものをいう。
――不動産の表示に関する公正競争規約18条1項1号
要件は2つです。建築工事完了後1年未満であること、そして居住の用に供されたことがないこと。「であって」でつながれた並列条件であり、どちらか一方では足りません。
したがって、建築後3か月しか経っていなくても一度でも人が住めば新築ではありません。逆に、一度も人が住んでいなくても建築後1年を超えれば新築ではありません。後者は実務で「未入居物件」と呼ばれます。試験では「建築後1年未満であれば新築と表示できる」と居住要件を落とす形、「未入居であれば新築と表示できる」と期間要件を落とす形の両方が出ます。
この定義は施行規則3条の物件種別とも連動しています。同条7号の中古住宅は「建築後1年以上経過し、又は居住の用に供されたことがある一戸建て住宅」、10号の中古マンションも同様の定義です。「かつ」ではなく「又は」で結ばれている点に注意してください。新築の要件が両方必要な裏返しとして、中古はどちらか一方に当たれば中古になります。
新発売とその他の定義用語
規約18条1項2号の「新発売」は、新たに造成された宅地、新築の住宅(造成工事または建築工事完了前のものを含む)または一棟リノベーションマンションについて、一般消費者に対し初めて購入の申込みの勧誘を行うことをいい、一団の宅地・建物を数期に区分して販売する場合は期ごとの勧誘をいいます。申込みを受けるに際して一定の期間を設ける場合は、その期間内における勧誘を指します。期を分けて販売する場合、第2期の販売開始も「新発売」と呼べるというのが要点です。
3号のダイニング・キッチン(DK)は台所と食堂の機能が1室に併存している部屋、4号のリビング・ダイニング・キッチン(LDK)は居間と台所と食堂の機能が1室に併存する部屋をいい、いずれも住宅の居室(寝室)数に応じ、その用途に従って使用するために必要な広さ・形状・機能を有するものとされています。畳数の下限が規約本体に書かれているわけではありません。必要な広さは居室数に応じて判断されます。
5号の「宅地の造成工事の完了」は、宅地上に建物を直ちに建築することができる状態に至ったことをいい、都市計画法その他の法令による完了検査を受けることが必要とされるときはその検査に合格したことをいうとされています。6号の「建物の建築工事の完了」は、建物をその用途に従い直ちに使用することができる状態に至ったことをいいます。
合理的な根拠を示せなければ使えない用語
規約18条2項は、次に掲げる用語を用いて表示するときは、それぞれ当該表示内容を裏付ける合理的な根拠を示す資料を現に有している場合を除き、当該用語を使用してはならないとしています。列挙は6号に分かれます。
1号は最上級を意味する用語で、「最高」「最高級」「極」「特級」等。2号は著しく安いという印象を与える用語で、「買得」「掘出」「土地値」「格安」「投売り」「破格」「特安」「激安」「バーゲンセール」「安値」等。3号は全く欠けるところがないこと・全く手落ちがないことを意味する用語で、「完全」「完ぺき」「絶対」「万全」等。4号は競争事業者よりも優位に立つことを意味する用語で、「日本一」「日本初」「業界一」「超」「当社だけ」「他に類を見ない」「抜群」等。5号は一定の基準により選別されたことを意味する用語で、「特選」「厳選」等。6号は著しく人気が高く売行きがよいという印象を与える用語で、「完売」等です。
これらは一律禁止ではありません。合理的な根拠を示す資料を現に有していれば使えます。「これらの用語は不動産広告において一切使用できない」という選択肢は言い過ぎです。この点は毎年のように狙われます。
さらに条件が加わります。1号と2号の用語については、当該表示内容の根拠となる事実を併せて表示する場合に限り使用できます。最上級表現と安さを強調する表現の2つだけは、資料を持っているだけでは足りず、根拠を広告に書かなければなりません。3号から6号の用語は、資料を保有していれば根拠事実の併記までは求められません。1号・2号だけが二重の縛りという構造を覚えてください。
物件の名称に使える地名
規約19条は物件の名称の使用基準を定めています。物件が所在する市区町村内の町・字の名称または地理上の名称はそのまま使えます。それ以外については、慣例として用いられている地名または歴史上の地名、最寄りの駅・停留場・停留所の名称、公園・庭園・旧跡その他の施設または海(海岸)・湖沼・河川の岸もしくは堤防から直線距離で300メートル以内に所在している場合はこれらの名称、物件から直線距離で50メートル以内に所在する街道その他の道路の名称(坂名を含む)を使えます。
別荘地についてはさらに緩和され、自然公園法による自然公園の区域内に所在する場合は当該自然公園の名称、最寄りの駅から直線距離で5,000メートル以内に所在している場合はその駅の名称、山・山脈・山塊等の一部に位置している場合は当該名称、海・湖沼・河川の岸または堤防から直線距離で1,000メートル以内に所在している場合は当該名称、温泉地・名勝・旧跡等から直線距離で1,000メートル以内に所在している場合はその名称を使えます。
ここだけ直線距離である点が重要です。徒歩所要時間と各種施設までの距離は道路距離で測りますが、名称の使用基準は直線距離です。300メートル・50メートル・5,000メートル・1,000メートルという数字も、規約19条にまとまって置かれているので一度に確認しておくと効率がよいでしょう。
不当表示の禁止
過去の販売価格を使う二重価格表示
規約20条は、実売価格にこれよりも高い比較対照価格を併記する二重価格表示について、事実に相違する広告表示または実際のもの・競争事業者に係るものよりも有利であると誤認されるおそれのある広告表示をしてはならない、と定めています。
そのうえで施行規則12条が、過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示について、次の5つの要件すべてに適合し、かつ実際に当該期間・当該価格で販売していたことを資料により客観的に明らかにできる場合を除き、不当な二重価格表示に該当するとしています。
第1に、過去の販売価格の公表日および値下げした日を明示すること。第2に、比較対照価格に用いる過去の販売価格は、値下げの直前の価格であって、値下げ前2か月以上にわたり実際に販売のために公表していた価格であること。第3に、値下げの日から6か月以内に表示するものであること。第4に、過去の販売価格の公表日から二重価格表示を実施する日まで物件の価値に同一性が認められること。第5に、土地(現況有姿分譲地を除く)または建物(共有制リゾートクラブ会員権を除く)について行う表示であること。
2か月以上と6か月以内。この2つの数字が試験の的です。前が期間の下限(それだけの間その価格で売っていた実績が要る)、後が期間の上限(値下げからあまり時間が経つと使えない)という向きの違いも意識してください。数字を入れ替えた選択肢、「2週間」「1年以内」などに差し替えた選択肢が典型です。
なお施行規則13条は、一定の条件に適合する取引の相手方に対して割引をする場合について、当該条件を明示して割引率・割引額または割引後の額を表示する場合を除き、不当な二重価格表示に該当するとしています。条件を隠した割引表示は禁止、という趣旨です。
おとり広告の3類型
規約21条は、次の3つの広告表示を禁じています。
第1に、物件が存在しないため、実際には取引することができない物件に関する表示。架空物件です。第2に、物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件に関する表示。成約済み物件の掲載継続、売主が売却を撤回した物件などが当たります。第3に、物件は存在するが、実際には取引する意思がない物件に関する表示。相場より著しく好条件の物件で問い合わせを集め、来店した客には別の物件を勧める手法です。
3類型のうち、物件が存在しないのは第1類型だけです。第2・第3類型では物件は実在します。「物件が実在する以上おとり広告には当たらない」という選択肢は、この点で誤りになります。逆に、第3類型では物件が実在し、しかも法律上は取引できる状態にあるにもかかわらず、事業者に取引する意思がないという主観的要素だけで違反が成立します。存在・取引可能性・取引意思の3つが順に欠けていく構造として整理すると記憶に残ります。
規約24条1項は、継続して物件に関する広告その他の表示をする場合において、表示の内容に変更があったときは速やかに修正し、またはその表示を取りやめなければならないと定めています。成約済み物件の掲載放置が第2類型のおとり広告になるのは、この修正義務を怠った結果です。同条2項は、やむを得ない事情により取引を変更・延期・中止したときは、速やかにその旨を公示しなければならないとしています。
不当な比較広告とその他の不当表示
規約22条は比較広告について、実証されていないまたは実証することができない事項を挙げて比較する表示、重要でない事項を重要であるかのように強調して比較するものおよび比較する物件等を恣意的に選び出すなど不公正な基準によって比較する表示、単に競争事業者またはその物件等を誹謗し中傷する表示を禁じています。比較広告そのものが禁止されているわけではありません。規約4条6項6号は比較広告を「客観的に測定又は評価することによって比較する広告表示」と定義しており、客観性が確保されていれば適法です。
規約23条1項は「その他の不当表示」として75の号を列挙しています。取引態様、物件の所在地、交通の利便性、各種施設までの距離、団地の規模、面積、建物の間取り・用途、物件の形質、写真・絵図、利用の制限、設備・生活関連施設、環境等、価格・料金、価格以外の取引条件、融資等の条件、事業者の信用、その他の事項という17のグループに整理されており、いずれも「実際のものよりも優良(有利)であると誤認されるおそれのある表示」という形式で書かれています。
このうち試験で意識したいのは、取引態様(1号)が不当表示の筆頭に置かれている点です。施行規則9条1号は、取引態様を「売主」「貸主」「代理」または「媒介」(「仲介」)の別を、これらの用語を用いて表示することを求めています。「お問い合わせください」「当社物件」といった曖昧な表現は認められません。宅建業法34条の取引態様の明示義務と、規約の表示基準・不当表示禁止が、ここでも二重に働いています。詳細は取引態様の明示義務を参照してください。
同23条2項は、1項に列挙されていないものであっても、物件の取引に関する事項について事実に相違する表示であって、不当に顧客を誘引し一般消費者による自主的かつ合理的な選択および事業者間の公正な競争を阻害するおそれがあると認められる広告表示をしてはならない、という受け皿規定を置いています。75号の列挙は限定列挙ではありません。
景品規約と景品類の限度額
景品類とは何か
不動産業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約(景品規約)は、表示規約と同じく景品表示法36条1項に基づく規約です。景品規約2条3項は景品類を、顧客を誘引するための手段として、方法のいかんを問わず、事業者が自己の供給する不動産の取引に附随して相手方に提供する物品・金銭その他の経済上の利益と定義し、物品および土地・建物その他の工作物、金銭・金券・預金証書・当せん金附証票・公社債・株券・商品券その他の有価証券、きょう応(映画・演劇・スポーツ・旅行その他の催物等への招待・優待を含む)、便益・労務その他の役務を挙げています。
ただし書が重要です。正常な商慣習に照らして値引きまたはアフターサービスと認められる経済上の利益、および正常な商慣習に照らして不動産もしくは不動産の取引に附属すると認められる経済上の利益は、景品類に含まれません。
景品規約施行規則1条2項は、値引きと認められるものとして、不動産の代金等を減額すること、割賦販売を無利息とすること、2以上の不動産等を合わせて販売する場合に合計額から一定額を減額し一定率を割引すること、取引の対象となる不動産の品質等を高めること、価格交渉過程において代金等の減額に代えて住宅機器その他住宅に関連する物品等を付加・提供することを例示しています。
逆に同条3項は、値引きと認められないものとして、代金等を減額・割戻しする場合であってもその金銭の使途を制限すること、景品類と代金等の減額とを相手方に選択させるなど景品類の提供と一連の企画に基づいて減額すること、電気料・水道料・ガス料等を一定期間にわたって負担することを挙げています。使途を制限した瞬間に値引きではなく景品類になるという線引きが、この規則の勘所です。
施行規則3条は、不動産または不動産の取引に附属すると認められる経済上の利益として、電気・ガス・上下水道施設・冷暖房施設・照明設備・厨房設備その他不動産と機能上・構造上直接の関連を有する設備、畳・建具その他の造作、造り付けの家具等を例示し、逆に附属すると認められないものとして宝飾品・旅行・オートバイ・自動車その他不動産と直接関連のない物品等を挙げています。自動車は景品類。マンション購入者に自動車を提供すれば、それは附属物ではなく景品類として限度額の規制を受けます。
3つの限度額
景品規約3条1項が、一般消費者に対する景品類の提供の制限を定めています。
懸賞により提供する景品類は、取引価額の20倍または10万円のいずれか低い価額の範囲。この場合において提供できる景品類の総額は、当該懸賞に係る取引予定総額の100分の2以内です(同項1号)。
懸賞によらないで提供する景品類は、取引価額の10分の1または100万円のいずれか低い価額の範囲です(同項2号)。購入者全員に、または先着順で提供するもので、いわゆる総付景品です。
そして施行規則7条3項が、「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」(昭和52年3月1日公正取引委員会告示第3号)4項の規定に該当する景品類の提供、すなわち共同懸賞については、同項の定めるところによるとしています。連合会が規約集に付した資料では、共同懸賞景品の最高限度額は30万円、取引予定総額の3パーセント以内とされています。多数の事業者が共同して実施する年末大売出し等で抽選により提供する場合です。
数字を並べると、一般懸賞が20倍と10万円と2パーセント、総付が10分の1と100万円、共同懸賞が30万円と3パーセントです。不動産取引は取引価額が高額なので、一般懸賞では上限の10万円、総付では上限の100万円が働く場面がほとんどです。一般懸賞は取引価額が5,000円を超えた時点で20倍が10万円を上回るため、以後は10万円が上限になります。総付は取引価額が1,000万円を超えた時点で10分の1が100万円を上回るため、以後は100万円が上限になります。
なお、不動産業以外の一般の景品規制は公正取引委員会の告示によっており、そちらは不動産業とは別の限度額を定めています。問47で問われるのは不動産の景品規約の数字です。一般の告示の数字を持ち込むと外します。
取引価額の考え方
限度額の基礎になる取引価額は、景品規約施行規則5条が取引態様ごとに定めています。
事業者自らが当事者(代理して取引を行う場合を含む)となって不動産の売買または交換を行う場合は、当該不動産の売買代金または交換に係る不動産の価額です(1号)。
事業者自らが当事者(代理を含む)となって不動産を賃貸する場合は、当該賃貸借契約を締結するために必要な費用の額とし、名目のいかんを問わず賃貸借契約満了後に返還される金銭を除きます(2号)。敷金や保証金のように返ってくる金銭は取引価額に入りません。また、契約締結前に一定期間契約を継続した後に賃借人に景品類を提供する旨を告知して当該期間経過後に提供する場合は、この費用に当該契約締結から一定期間に賃借人が支払うべき費用を加えます。土地の賃貸借で権利金の授受があるものについては、当該権利金の額とします。
事業者が不動産の売買・交換・賃貸借の媒介を行う場合は、媒介に際して受けることができる報酬の額です(3号)。物件価格ではありません。媒介業者が景品を出す場合、基礎になるのは自分が受け取る報酬額なので、限度額はかなり小さくなります。報酬額の計算方法は報酬額の制限で確認してください。
売主・代理は物件価格、賃貸は契約締結に必要な費用、媒介は報酬額。この3つの対応を覚えておけば計算問題に対応できます。
限度額の適用がない場合と、絶対の禁止
景品規約3条2項は、不動産の取引または使用のため必要な物品・便益その他の経済上の利益であって正常な商慣習に照らして適当と認められるもの、開店披露・創業記念等の行事に際して提供する物品またはサービスであって正常な商慣習に照らして適当と認められるものについて、懸賞によらないで提供するときは限度額の規定を適用しないとしています。施行規則6条1項は、交通不便な場所にある不動産の販売に際して公共交通機関が整備されるまでの間における最寄駅までの送迎、ローン提携販売における利子補給、引渡し・所有権移転・抵当権設定のための費用の負担、火災保険料の負担、管理費の負担などを例示しています。
一方、景品規約3条4項は絶対的な禁止を1つ置いています。事業者は、一般消費者に対し、旅行・視察会その他名目のいかんを問わず、旅行先において不動産の取引の勧誘をする旨を明示しないで、宿泊旅行等への招待または優待をしてはならない、というものです。連合会の資料はこれを限度額0円、すなわち禁止と整理しています。金額の多寡を問わない全面禁止であり、他の3つが限度額規制であるのと性格が違います。
違反したときにどうなるか
規約側の措置は警告と違約金
表示規約27条1項は、地区協議会が規約5条および8条から23条までの規定に違反する行為があると認めるときは、当該事業者に対し、違反行為を排除するために必要な措置を直ちに採るべきことおよび再び違反行為を行ってはならないことを警告し、または50万円以下の違約金を課すことができる、と定めています。
事業者が警告に従わない場合、同条3項により、地区協議会は500万円以下の違約金を課し、構成員である資格を停止し、除名処分をし、または消費者庁長官に対し必要な措置を講ずるよう求めることができます。
警告を除く措置を採ろうとするときは、あらかじめ期日・場所を指定し、事案の要旨と規約の適用条項を示して事情聴取をしなければならず、事業者には意見を述べ証拠を提出する機会が与えられなければなりません(同条4項)。措置を受けた事業者は、文書の送付があった日から10日以内に文書により異議の申立てをすることができます(規約28条1項)。
規約29条は、地区協議会が措置を採った場合において、違反行為の及ぼす影響の程度等を勘案のうえ特に必要があると認められるときは、違反事業者名・違反行為の概要・措置の内容を公表することができるとしています。
景品規約6条も同様の構造で、警告または50万円以下の違約金、警告に従わない場合は300万円以下の違約金、資格停止、除名処分、消費者庁長官への措置要求としています。表示規約が500万円、景品規約が300万円という違いがあります。
これらは行政処分ではありません。協定に基づく私的な制裁です。「公正競争規約に違反すると免許取消しの対象となる」といった選択肢は、規約と業法を混同させる誤りです。
法律側の措置は措置命令と課徴金
景品表示法7条1項は、内閣総理大臣が、4条の規定による制限もしくは禁止または5条の規定に違反する行為があるときは、当該事業者に対し、その行為の差止めもしくはその行為が再び行われることを防止するために必要な事項またはこれらの実施に関連する公示その他必要な事項を命ずることができる、と定めています。これが措置命令です。当該違反行為が既になくなっている場合においても命じることができる点、および違反行為をした事業者が合併により消滅した場合の存続法人や、事業を譲り受けた事業者に対しても命じることができる点が条文に明記されています。
7条2項が、いわゆる不実証広告規制です。措置命令に関し、事業者がした表示が5条1号(優良誤認表示)に該当するか否かを判断するため必要があると認めるときは、当該事業者に対し期間を定めて当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、事業者が資料を提出しないときは、当該表示は優良誤認表示に該当する表示とみなされます。「みなす」であって「推定する」ではありません。反証を許さない扱いです。
8条1項は課徴金納付命令を定めます。事業者が5条に違反する行為(同条3号に該当する表示に係るものを除く)をしたときは、内閣総理大臣は、課徴金対象期間に取引をした当該商品・役務の政令で定める方法により算定した売上額に100分の3を乗じて得た額に相当する額の課徴金の納付を命じなければなりません。
ただし書に2つの適用除外があります。当該事業者が課徴金対象行為をした期間を通じて当該表示が優良誤認・有利誤認に該当することを知らず、かつ知らないことにつき相当の注意を怠った者でないと認められるとき、またはその額が150万円未満であるときは納付を命ずることができません。課徴金対象期間は原則として課徴金対象行為をした期間ですが、当該期間が3年を超えるときは末日から遡って3年間とされています(8条2項)。
3パーセント、150万円、3年。この3つが課徴金の数字です。加えて、5条3号(内閣総理大臣が指定する表示)に該当する表示は課徴金の対象外である点も条文上明確です。優良誤認と有利誤認だけが課徴金の対象になります。
9条は、事業者が課徴金対象行為に該当する事実を自主的に報告したときに課徴金の額を100分の50減額するとしています。ただし、調査があったことにより課徴金納付命令があるべきことを予知してされた報告は除かれます。10条以下は、一般消費者への返金措置を実施した場合の減額を定めています。
都道府県知事の権限はどこまでか
景品表示法38条1項は、この法律による権限を消費者庁長官に委任すると定め、同条11項は、消費者庁長官に委任された権限に属する事務の一部を、政令で定めるところにより都道府県知事が行うこととすることができる、としています。
その政令が景品表示法施行令23条です。都道府県知事が行うこととされているのは、法7条1項および2項(措置命令および不実証広告規制の資料提出要求)ならびに法25条1項(報告徴収・立入検査等)の規定による権限に属する事務です。
つまり、都道府県知事は措置命令を出せますが、課徴金納付命令は出せません。課徴金納付命令(8条)は施行令23条の列挙に入っておらず、消費者庁長官の権限のままです。「都道府県知事は、不当表示を行った事業者に対して課徴金の納付を命ずることができる」という選択肢は誤りになります。
確約手続という第3の道
令和5年法律第29号による改正で、2024年10月1日から確約手続が導入されました。景品表示法26条は、内閣総理大臣が、4条または5条に違反する行為があると疑うに足りる事実がある場合において必要があると認めるときは、当該行為をしている者に対し、疑いの理由となった行為の概要・違反する疑いのある法令の条項・認定の申請をすることができる旨を書面により通知することができるとしています。
通知を受けた者は、疑いの理由となった行為およびその影響を是正するために必要な措置を自ら策定し、当該通知を受けた日から60日以内に是正措置計画を内閣総理大臣に提出して認定を申請することができます(27条1項)。認定を受ければ措置命令および課徴金納付命令を受けずに済み、逆に認定が取り消された場合には課徴金納付命令の期間制限に特則が設けられています(29条3項)。
違反を認定せずに、事業者の自主的な是正で決着させる手続という位置づけです。宅建試験で細部まで問われる可能性は高くありませんが、令和6年10月以降に導入された新しい仕組みなので、存在は知っておいてください。
令和8年度の基準日について
宅建試験は当該年度の4月1日現在施行の法令から出題されます。景品表示法については、2026年4月1日時点で最も新しい施行版は令和4年法律第68号による2025年6月1日施行版です。その後、2026年5月15日および同月21日に施行された改正がありますが、条単位で機械比較したところ、変更されたのは15条(弁明の機会の付与の通知の方式)、43条(送達に関する民事訴訟法の準用)、45条(電子情報処理組織の使用)の3か条のみでした。いずれも公示送達の電子化と民事訴訟法の準用条項の整理に関する手続規定で、5条・7条・8条・36条・46条・48条といった実体規定および罰則規定は一字も変わっていません。したがって本記事の内容はそのまま令和8年度の出題範囲に対応します。
表示規約は令和6年10月1日施行、景品規約は令和7年8月26日施行の版が現行です。いずれも2026年4月1日以前に施行されているため、出題範囲に入ります。税・その他分野全体の基準日の考え方は税・その他の攻略戦略で整理しています。
試験での出題ポイント
数字を差し替える型
問47で最も多いのがこの型です。徒歩所要時間を「100メートルにつき1分」に、新築を「2年未満」に、市街化調整区域を「12ポイント以上」に、二重価格表示を「値下げ前1か月以上」に、景品の総付を「取引価額の10分の2」に差し替えます。
対策は、規約の数字を根拠条文ごと覚えることに尽きます。80メートル・1分、1年未満、16ポイント(原則は7ポイント、予告広告は14ポイント)、2か月以上・6か月以内、10分の1・100万円、20倍・10万円・2パーセント、1.62平方メートル、300メートル・50メートル。数字の一覧を作って、どの規定の数字かを言えるようにしておいてください。
要件を1つ落とす型
新築が典型です。「建築後1年未満のものは新築と表示できる」は居住要件が落ちています。「一度も居住されていないものは新築と表示できる」は期間要件が落ちています。どちらも誤りです。
二重価格表示も同じ形で出ます。5要件のうち1つだけを示して「これを満たせば表示できる」とする選択肢は誤りで、規約が要求するのは全要件の充足かつ資料による客観的な裏付けです。
禁止の程度を強めすぎる型
「完全」「最高」「日本一」といった用語について、「不動産広告では使用が一切禁止されている」とする選択肢です。規約18条2項は「合理的な根拠を示す資料を現に有している場合を除き」使用してはならないと定めており、根拠があれば使えます。一律禁止ではありません。
比較広告も同じ構造です。規約22条が禁じるのは不当な比較広告であって、客観的な比較広告そのものではありません。
適用範囲をずらす型
特定事項の明示義務が賃貸住宅を除いていること、市街化調整区域の16ポイントが新聞折込チラシ等およびパンフレット等に限られること、予告広告が販売区画数・戸数2以上の物件に限られること。これらの限定を外して「すべての広告について」とする選択肢が出ます。
逆に、限定がないところに限定を付ける形もあります。「おとり広告は、物件が存在しない場合に限り成立する」がその例で、規約21条は3類型を並列に置いています。
根拠を取り違えさせる型
景品表示法と公正競争規約、公正競争規約と宅建業法を混ぜる型です。「公正競争規約に違反した宅建業者は、免許権者から業務停止処分を受ける」は規約と業法の混同。「景品表示法に違反した事業者は、不動産公正取引協議会から違約金を課される」も主体が逆です。
規約の措置は協議会が行い、法律の措置は消費者庁長官または都道府県知事が行い、業法の処分は免許権者が行う。この3つの主体を対応させて覚えてください。監督処分の主体については監督処分の違いが参考になります。
計算をさせる型
徒歩所要時間の計算と、景品類の限度額の計算が出ます。徒歩は距離を80で割って切り上げ。景品類は取引態様から取引価額を確定し、懸賞か総付かを判別してから限度額を出します。
たとえば、宅建業者が媒介により3,000万円の宅地の売買を成立させ、その買主に対して抽選ではなく全員に景品を提供する場合を考えます。媒介なので取引価額は媒介報酬の額です。総付なので限度額は取引価額の10分の1または100万円のいずれか低い額。報酬額が仮に100万円強であれば、その10分の1である10万円程度が限度になります。物件価格3,000万円の10分の1である300万円ではありません。取引態様の判別を先にする、という手順を身体に入れておいてください。
覚え方・整理の仕方
2階建てで根拠を思い出す
まず「法律と規約」の2階建てを紙に書きます。1階に景品表示法、書くのは目的・不当表示の3類型・措置命令・課徴金・直罰・確約手続の6項目だけ。2階に公正競争規約、書くのは数字です。数字が出てきたら2階、制裁が出てきたら1階。この振り分けができれば根拠を取り違える出題は処理できます。
数字は「単位」でまとめる
ばらばらに覚えると混ざるので、単位ごとにまとめます。
メートルで測るものは、徒歩1分あたり80メートル(道路距離)、物件名称に使える施設が300メートル以内・道路が50メートル以内・別荘地の駅が5,000メートル以内・別荘地の海等が1,000メートル以内(いずれも直線距離)。徒歩だけが道路距離で、名称はすべて直線距離と対で覚えます。
ポイントで測るものは、原則7ポイント、予告広告である旨が14ポイント、市街化調整区域が16ポイント。7・14・16と並べて、7の倍が14、そのすぐ上が16、と数字の並びで固定します。
パーセントで測るものは、セットバックの面積明示が10パーセント以上、路地状部分と傾斜地が30パーセント以上、課徴金が売上額の3パーセント、一般懸賞の総額が2パーセント、共同懸賞の総額が3パーセント。
月数で測るものは、二重価格表示の値下げ前2か月以上と値下げから6か月以内、確約手続の申請が通知から60日以内、規約の異議申立てが10日以内。
金額で測るものは、総付の100万円、一般懸賞の10万円、共同懸賞の30万円、課徴金の下限150万円、表示規約の違約金50万円と500万円、景品規約の違約金50万円と300万円。
「両方」と「どちらか」を意識する
要件が2つ並んでいるとき、それが「かつ」なのか「または」なのかを毎回確認する習慣をつけます。
新築は建築後1年未満かつ未居住。両方必要です。中古住宅・中古マンションは建築後1年以上経過し、または居住の用に供されたことがある。どちらか一方で足ります。景品の限度額は取引価額の10分の1または100万円のいずれか低い価額。低いほうを選びます。特定用語のうち最上級表現と安値表現は合理的根拠の資料を有し、かつ根拠事実を併記。両方必要です。
明示義務は「不利なことを書け」と読む
特定事項の明示義務に挙がっている16の事項は、丸暗記しようとすると量が多く感じられますが、すべて「買主にとって不利で、しかも見ただけでは分からないこと」という一本の筋で貫かれています。市街化調整区域だから建てられない、接道していないから建て替えられない、セットバックで使える面積が減る、傾斜地で使える面積が減る、高圧電線路下で建てられない、がけの上下で制限がある、工事が長期間止まっていた。
この視点で読み返せば、個別の号を暗記しなくても「これは明示が必要だろう」と判断できます。逆に、買主にとって有利な事情や、見れば分かる事情は明示義務の対象になりません。
おとり広告は3段で降りる
物件が存在するか。存在するとして、取引の対象になり得るか。対象になり得るとして、取引する意思があるか。この3つの質問を順に投げて、どこかで「いいえ」が出たらおとり広告です。規約21条の号の順番がそのままこの3段になっているので、条文の並びで覚えられます。
制裁の主体を3つに分ける
協議会は警告と違約金と除名。消費者庁長官は措置命令と課徴金納付命令。都道府県知事は措置命令のみ。免許権者は指示処分・業務停止処分・免許取消処分。この4者を並べて、課徴金は消費者庁長官だけという一点を強調して覚えます。宅建業法側の数字は宅建業法の数字まとめにまとまっています。
理解度チェッククイズ
Q1. 不動産の表示に関する公正競争規約によれば、徒歩による所要時間は道路距離80メートルにつき1分間を要するものとして算出し、1分未満の端数が生じたときは切り捨てて表示する。(○か×か)
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×:施行規則9条9号は「1分未満の端数が生じたときは、1分として算出すること」と定めており、**切り上げ**です。切り捨てではありません。道路距離500メートルなら6.25分となり、切り上げて7分と表示します。なお、この計算は道路距離を機械的に80で割るものであり、信号待ちの時間や坂道は考慮しません。起点は物件の区画のうち施設に最も近い地点(マンション・アパートは建物の出入口)、着点は施設の出入口であって改札口ではない点も併せて押さえてください。Q2. 建築工事完了後8か月が経過した住宅で、これまで一度も人が居住したことがないものは、「新築」と表示することができる。(○か×か)
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○:規約18条1項1号は新築を「建築工事完了後1年未満であって、居住の用に供されたことがないもの」と定義しています。要件は2つで、この物件は建築後8か月(1年未満)かつ未居住なので、両方を満たします。誤りになるのは、建築後1年を超えた未居住物件(期間要件を欠く)や、建築後6か月でも一度入居した物件(居住要件を欠く)です。なお、施行規則3条7号の中古住宅は「建築後1年以上経過し、又は居住の用に供されたことがある」もので、こちらは「または」で結ばれています。Q3. 市街化調整区域に所在する土地について新聞折込チラシで広告する場合、「市街化調整区域。宅地の造成及び建物の建築はできません。」と16ポイント以上の大きさの文字で明示しなければならない。(○か×か)
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○:施行規則7条6号のとおりです。明示すべき文言が規約に具体的に書かれていること、新聞折込チラシ等およびパンフレット等の場合には16ポイント以上の文字を用いること、の2点が要件です。規約が定める「見やすい大きさの文字」の原則は施行規則8条により7ポイント以上なので、市街化調整区域についてはその2倍以上が要求されていることになります。ただし、開発許可を受けているものなど都市計画法上建築が可能な一定の場合は除かれ、その場合は住宅等を建築するための条件を明示することとされています。Q4. 宅地建物取引業者が、不動産取引に付随して購入者全員に景品類を提供する場合、その景品類の価額は取引価額の10分の1または100万円のいずれか低い価額の範囲内でなければならない。(○か×か)
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○:景品規約3条1項2号が定める総付景品の限度額です。懸賞によらないで提供する景品類は、取引価額の10分の1または100万円のいずれか低い価額の範囲とされています。これに対し、懸賞により提供する景品類は同項1号により取引価額の20倍または10万円のいずれか低い価額の範囲で、総額は当該懸賞に係る取引予定総額の100分の2以内です。なお、取引価額は施行規則5条により取引態様ごとに異なり、媒介の場合は物件価格ではなく媒介に際して受けることができる報酬の額が基礎になります。Q5. 過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示は、比較対照価格が値下げの直前の価格であり、かつ値下げ前2週間以上にわたり実際に販売のために公表していた価格であれば、値下げの日から1年以内に限り表示することができる。(○か×か)
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×:数字が2か所とも誤りです。施行規則12条2号は「値下げ前**2か月以上**にわたり実際に販売のために公表していた価格」であることを求め、同条3号は「値下げの日から**6か月以内**に表示するもの」であることを求めています。2週間でも1年以内でもありません。さらに、この2つを満たすだけでは足りず、公表日と値下げした日の明示、物件の価値の同一性、土地または建物についての表示であることという残りの要件もすべて満たし、加えて実際にその期間その価格で販売していたことを資料により客観的に明らかにできなければ、不当な二重価格表示に該当します。Q6. 不動産広告において「厳選」「特選」という用語は、一定の基準により選別されたことを意味する用語であるため、いかなる場合も使用することができない。(○か×か)
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×:規約18条2項5号は「特選」「厳選」等を列挙していますが、条文は「当該表示内容を裏付ける合理的な根拠を示す資料を現に有している場合を除き、当該用語を使用してはならない」という書き方です。**資料があれば使えます。**一律禁止ではありません。なお、同項1号の最上級用語(「最高」「最高級」等)と2号の安値用語(「激安」「格安」等)については、資料の保有に加えて「当該表示内容の根拠となる事実を併せて表示する場合に限り使用することができる」という追加の縛りがあります。3号から6号の用語にはこの追加要件はありません。Q7. 都道府県知事は、不当表示を行った事業者に対して、景品表示法に基づき措置命令を行うことも、課徴金の納付を命ずることもできる。(○か×か)
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×:景品表示法38条1項により権限は消費者庁長官に委任され、同条11項を受けた施行令23条が、都道府県知事が行う事務として法7条1項・2項(措置命令および不実証広告規制の資料提出要求)と法25条1項(報告徴収・立入検査等)を挙げています。**課徴金納付命令(法8条)は列挙されていません。**したがって都道府県知事は措置命令はできますが、課徴金の納付を命ずることはできません。課徴金は売上額の100分の3で、額が150万円未満であるときは命じられず、課徴金対象期間は最長3年です。まとめ
問47の論点は、景品表示法という法律と、それに基づく不動産の表示に関する公正競争規約・景品規約という2階建ての構造でできています。法律が禁止の枠組みと制裁を用意し、規約が具体的な数値と定義を埋める。試験で問われる数字はほぼすべて規約側にあるという一点を最初に固定してください。
そのうえで、徒歩1分80メートルと端数切り上げ、新築の1年未満かつ未居住、市街化調整区域の16ポイント、二重価格表示の2か月以上・6か月以内、景品の10分の1・100万円と20倍・10万円、面積は水平投影面積と延べ面積、畳1枚1.62平方メートル。この数字群を根拠条文とセットで持てば、問47は毎年の得点源になります。
そして、宅建業法32条の誇大広告等の禁止とは名宛人も制裁も違うこと、しかし同じ広告に両方が同時に適用され得ることを忘れないでください。業法側の議論は広告に関する規制に、免除科目全体の位置づけは5問免除(登録講習)と統計問題の対策にまとめています。
条文と規約を読み終えたら、宅建試験AIブートラボのアプリで税・その他の肢別演習に進み、問47の選択肢を実際に切ってみてください。
税と価格の評定は毎年ほぼ同じ形で出ます。出題パターンを肢別で押さえれば取りこぼしません。