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統計問題の対策|宅建の問48で1点を取り切る

税・その他 読了 約26分

宅建試験の統計問題(問48)を対策の側から整理。5問免除の中での位置づけ、方向と連続年数だけ覚えれば足りる理由、各統計の性格、更新時期、出題パターン、直前期の詰め方を解説します。

目次

    本記事の役割 — この記事は問48(統計)を「どう対策するか」の側から扱います。何をどこまで覚えるか、いつ覚えるか、どう崩されるかが中心です。
    その年の確定値そのもの(数値・出典・公表年月日)は宅建試験の統計数値まとめに分けてあります。免除科目5問全体の攻略は免除科目5問の攻略法を参照してください。

    宅建試験の統計問題は、対策の性格がほかの分野とまったく違います。条文の要件を積み上げる必要も、判例の射程を考える必要もありません。その代わり、去年の正解が今年は不正解になるという、宅建試験のなかで唯一の性質を持っています。覚えるべき中身が毎年入れ替わるのだから、覚え方も学習の時期も、ほかの分野と同じにはできません。

    結論を先に書きます。統計問題は、覚える量を絞り、覚える時期を遅らせることで仕上がります。絞るとは、増えたか減ったか(方向)、何年連続か(連続年数)、だいたい何桁か(水準)の3点に限ること。遅らせるとは、その年の統計が出揃う夏以降まで手をつけないことです。この2つを守れば、統計問題は数時間の投資で1点になります。逆に春先から細かい数値を暗記しはじめると、更新のたびに覚え直しが発生し、労力の割に得点が安定しません。

    統計問題は5問免除科目のどこに位置するか

    対策の話に入る前に、この1問が試験全体のどこにあるのかを確認します。ここを把握していないと、そもそも自分が対策すべき問題なのかの判断を誤ります。

    問46から問50までの5問の中身

    宅建試験は50問構成で、最後の5問(問46から問50)が「登録講習修了者に対する免除科目」にあたります。この5問には、住宅金融支援機構に関する問題、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)に関する問題、統計、土地に関する知識、建物に関する知識が、ほぼ固定の並びで配置されます。統計は例年その3問目、問48です。

    この並びは何年も安定しているため、試験本番で問題冊子を開いたときに「問48が統計」であることは前提として動けます。景品表示法の出題内容は不当景品類及び不当表示防止法の要点、土地と建物の知識は土地・建物の知識の攻略にそれぞれまとめています。5問をまとめてどう攻めるかという視点では免除科目5問の攻略法が全体像になります。

    免除対象者はこの問題を解かない

    登録講習を修了した人は、この5問を解答しません。試験時間も2時間から1時間50分に短縮され、45問で合否が判定されます。したがって登録講習修了者にとって、統計問題の対策は完全に不要です。

    「免除といっても一応目を通しておいたほうがよいのでは」と考える人がいますが、解答用紙に記入する欄すらない以上、その時間は権利関係や宅建業法に回したほうが確実に得点が伸びます。免除制度の適用条件や手続きは5問免除制度の基本にまとめてあります。

    免除を受けない受験者にとってどういう1問か

    免除を受けない一般受験者にとって、問48は性格のはっきりした1問です。法律科目のように理解を積み上げる必要がなく、覚えた内容がそのまま正誤に直結します。理解の深さで差がつかず、情報の新しさだけで差がつく、という点でも特殊です。

    この性格は、学習計画のうえで扱いやすさにつながります。宅建試験の合否は例年数点差で決まり、宅建試験の合格ラインを見てもわかるとおり、1点の重みは小さくありません。統計は覚える対象が方向と連続年数に限られるため、投じる時間の見積もりが立てやすく、計画に組み込みやすい1問です。科目ごとの投資配分については科目別の攻略法、税・その他という枠の中での位置づけは税・その他の得点戦略で扱っています。

    裏を返せば、準備しなかった場合の失点は自己責任です。権利関係の難問を落とすのは他の受験者も同じですが、統計を落とすのは対策していない人だけです。相対評価で合否が決まる以上、多くの受験者が取る問題を落とすのは、難問を落とすより痛い失点になります。

    免除の有無で合格判定基準が違う

    免除を受けない受験者と登録講習修了者では、合格判定基準そのものが別に設定されます。令和7年度試験では、全体が50問中33問以上、登録講習修了者が45問中28問以上という基準でした(出典:不動産適正取引推進機構「令和7年度宅地建物取引士資格試験結果の概要」令和7年11月26日公表)。

    50問基準の33点と45問基準の28点の差はちょうど5点です。母数から5問減り、それに対応して基準点も5点下がっている、という構造になっています。ここから読み取れるのは、免除を受けない受験者が問46から問50までで落とした分は、そのまま免除者との差になるということです。5問すべて取れば差は消え、取りこぼした数だけ不利になります。

    なお、令和7年度の合格者に占める登録講習修了者の割合は24.2%と公表されています。ただしこれは修了者の合格率ではありません。修了者の受験者数(母集団)が公表されていない以上、修了者の合格率を算出することはできず、「5問免除を受けると合格率が上がる」という読み方もできません。受験者層のデータについては宅建試験の受験者データにまとめています。

    • 問48は問46から問50の5問免除科目の3問目。
    • 登録講習修了者は解答しない。対策は完全に不要。
    • 免除を受けない受験者にとっては、準備した人だけが取る1問。落とすと相対的に不利。

    どこまで覚えれば足りるのか

    統計問題でもっとも多い失敗は、覚える量を絞りきれないことです。「足りる水準」を具体的に定義します。

    第一に方向。増えたか減ったか

    問48の選択肢は、ほぼ例外なく「増加した」「減少した」「上昇した」「下落した」という述語で終わります。正誤の分かれ目の大半はここにあり、方向さえ合っていれば正誤が判定できる選択肢が多数を占めます

    したがって最初にやるべきは、その年の試験で基準になる各統計について、向きをひとつずつ言えるようにすることです。着工戸数は増えたのか減ったのか、地価は上がったのか下がったのか、業者数は増えたのか減ったのか。この一列を作るのが第一段階で、ここまでで対策の6割は終わります。

    方向を覚える際のコツは、数値を経由しないことです。「今年の戸数がこれで、前年の戸数がこれだから、差し引いて減少」と考えるのではなく、最初から「着工は減」と覚えます。数値を経由すると、当年値だけでなく比較対象の前年値まで覚える必要が生じ、負担が倍になります。方向は方向として、単独で記憶してください。

    第二に連続年数。何年続いているか

    方向だけでは処理できない選択肢が一定数あります。それが「3年連続で減少した」「5年連続で上昇した」という形の、連続年数を含む選択肢です。方向が合っていても年数が違えば誤りになるため、方向の記憶だけで臨むと確実に取りこぼします。

    ただし、すべての統計について連続年数を覚える必要はありません。連続年数が選択肢に組み込まれやすいのは、その数字が特徴的で、かつ複数年にわたって同じ方向が続いている統計に限られます。方向が毎年ぶれている統計について「○年連続」と書かれることはまずありません。したがって、連続の実績がはっきりしている統計を2つか3つに絞って年数を押さえるのが実際的です。その年の具体的な連続年数は宅建試験の統計数値まとめで確認してください。

    連続年数を覚えるときは、1年前の数字を覚えていないかを必ず点検します。去年の教材や去年公開された対策記事には、去年時点の連続年数が書かれています。方向が変わっていなければ年数は毎年1ずつ増えるので、古い情報をそのまま持ち込むと必ず1年分ずれます。この「1年古い受験者を狙う」型の選択肢は、統計問題の定番です。

    第三に桁。だいたいどのくらいの水準か

    3つ目が水準の感覚です。細かい数値の暗記は不要ですが、桁が明らかに違う選択肢を消すにはおおまかな水準がいります。着工戸数は数十万戸、宅建業者数は十数万業者、宅建士の登録者数は百万人台、不動産業の売上高は数十兆円といった具合です。この感覚があれば、方向が正しく書かれていても桁が動かされている選択肢を弾けます。逆にこの感覚がないと、着工戸数が実際より一桁多い数字で書かれていても違和感を持てません。

    覚えなくてよいもの

    範囲を絞るには、覚えなくてよいものを明示するのが有効です。次のものは対策として不要です。

    第一に、小数点以下まで含めた変動率。地価公示の全用途平均が何パーセント上昇したかを小数第1位まで覚える必要はなく、「約3%の上昇」という粒度で足ります。第二に、都道府県別や市区町村別の細かい内訳。全国平均と、三大都市圏・地方圏という大きな区分までで十分です。第三に、5年以上前の過去の推移。長期のトレンドは方向として理解しておけばよく、年ごとの数値を並べて覚える意味はありません。第四に、調査方法や標本設計。これは統計学の知識であって、宅建試験で問われる領域ではありません。

    • 覚えるのは方向、連続年数、桁の3点だけ。
    • 方向は数値を経由せず、方向そのものとして記憶する。
    • 変動率の小数点以下、細かい地域内訳、長期の年次推移は覚えない。

    各統計は何を測っているのか

    数値が頭に残らない人の多くは、その統計が何を測っているのかを知らないまま数字だけを見ています。性格が分かれば数値は意味を持ち、記憶に残りやすくなります。主要な統計を、測っている対象の側から整理します。

    建築着工統計は「これから建つ家の量」を測る

    国土交通省の建築着工統計調査は、着工した建築物を毎月集計する調査です。着工とは工事に取りかかることですから、この統計が測っているのはこれから供給される住宅の量です。すでに建っている住宅の数でも、売れた住宅の数でもありません。

    この違いは重要です。着工戸数が減っているという事実は、「住宅が減っている」ことを意味しません。すでにある住宅ストックは減らないので、新築が減ってもストックは積み上がり続けます。着工が減るのは新しく作る量が減っているという意味で、人口減少や世帯構成の変化、資材価格の上昇、建設業の人手不足といった事情を反映します。

    着工統計には利用関係別の内訳があり、持家(自分が住むために建てる住宅)、貸家(賃貸に出すために建てる住宅)、分譲住宅(売るために建てる住宅で、さらにマンションと一戸建に分かれる)に区分されます。この3区分は建てる主体と目的が違うため、動く理由も違います。持家は個人の所得と金利に、貸家は投資環境に、分譲住宅はデベロッパーの事業判断に強く影響されます。区分ごとに事情が違うと知っていれば、「全体は減ったが貸家だけ増えた」という形の選択肢が現実にあり得るかを判断できます。

    地価公示は「土地の価格水準」を測る

    地価公示は、地価公示法に基づいて国土交通省の土地鑑定委員会が、全国の標準地について毎年1月1日時点の正常な価格を判定し公示する制度です。測っているのは土地1平方メートルあたりの価格の水準とその変動です。

    地価公示が行われるのは、単なる統計目的ではありません。一般の土地取引価格の指標を与え、公共事業用地の取得価格算定の基準とし、適正な地価の形成に寄与することが法の目的です。つまり地価公示は「調べた結果を発表する」統計ではなく、「基準を示す」制度です。制度面は地価公示の基本と試験対策で解説しています。

    地価に関する公的な調査には、地価公示のほかに都道府県地価調査(基準地価)があります。こちらは国土利用計画法施行令に基づいて都道府県知事が7月1日時点の基準地の価格を判定するもので、根拠法も判定主体も時点も違います。さらに税務の世界には相続税路線価と固定資産税評価額があり、あわせて4種類の価格が併存します。この4つの関係は土地の価格4種類の整理、価格を判定する考え方そのものは不動産の鑑定評価の基本で扱っています。

    土地白書は「取引の量」と政策の方向を伝える

    土地白書は、土地基本法に基づいて毎年国会に提出される報告書です。統計そのものというより、さまざまな統計を集めて土地に関する動向をまとめた文書という位置づけで、土地に関する動向と、前年度に講じた施策・その年度の施策を扱う三部構成をとります。

    問48との関係で重要なのは、第1部に載る土地取引の動向です。代表的な指標は、土地の売買による所有権移転登記の件数で、これは法務省の登記統計を原資料としています。登記件数は「実際に所有権が移転した土地取引の数」を表すので、着工統計が供給量を測るのに対し、こちらは流通量を測っていることになります。

    供給量と流通量が別物だという理解は、選択肢の判断に直結します。新築の着工が減っていても、既存住宅の売買が動いていれば取引件数は落ちません。登記という制度の側から見た話は不動産登記の基本登記簿の読み方も参考になります。

    法人企業統計は「不動産業の稼ぎ」を測る

    法人企業統計調査は財務省が行う調査で、日本の営利法人の財務状況を業種別に集計します。不動産業の売上高、営業利益、経常利益がここから分かるため、問48では業界の収益状況を示す統計として登場します。

    着工は物の量、地価は価格の水準ですが、法人企業統計が測るのは事業者の損益です。だからこそ、着工戸数が減っているのに不動産業の売上高が増えるという、一見矛盾する組み合わせが成立します。取引の件数が伸びなくても、単価が上がれば売上高は増えるからです。物の量と金額は別だという当たり前のことが、統計を横断すると見えにくくなります。

    この構造を理解しておくと、「着工が減っているので不動産業の売上高も減少した」という、もっともらしいが誤りの選択肢を見破れます。統計問題の作問者は、こういう自然に見える因果を混ぜてきます。不動産業界の収益構造や業態については不動産業界のトレンドでも触れています。

    施行状況調査は「担い手の数」を測る

    国土交通省の宅地建物取引業法の施行状況調査は、宅地建物取引業者の数、宅地建物取引士の登録者数、監督処分や行政指導の実施状況を、年度末時点で集計したものです。測っているのは業界の担い手の数と、行政による監督の実績です。

    この統計は、宅建業法の学習内容と直結する点で他と異なります。業者数の内訳が大臣免許と知事免許に分かれるのは、2つ以上の都道府県に事務所を設ける場合に大臣免許が必要という免許制度の建付けそのものです。知事免許が圧倒的多数を占めるのも、宅建業者の大半が地域密着の中小事業者だという実態の反映です。数字を制度と結びつけて覚えると、統計と宅建業法の記憶が互いに補強されます。免許区分の考え方は宅建業の免許制度、制度全体の横断整理は免許制度の横断整理、監督処分の要件と効果は監督処分の整理にまとめました。

    住宅・土地統計調査は「ストック」を測る

    総務省の住宅・土地統計調査は、住宅の総数、空き家の数と空き家率などを調べる調査です。着工統計がフロー(その期間に新しく作られた量)を測るのに対し、こちらはストック(ある時点で存在している総量)を測ります。

    フローとストックの区別は、統計を読むうえでもっとも基本的な区別です。新築着工が減っていても、除却(取り壊し)がそれ以上に少なければ住宅の総数は増え続けます。空き家が増加を続けているのは、この構造の帰結です。着工が減っているのに空き家が増える、という一見矛盾する組み合わせも、フローとストックの区別を知っていれば当然のこととして理解できます。

    もうひとつ、この調査には対策上ありがたい性質があります。5年ごとの調査であるため、他の統計のように毎年更新されません。一度覚えれば数年使えるので、統計対策のなかでは唯一「早めに覚えても無駄にならない」項目です。逆に言えば、古い回の数値を覚えたままだと、次の調査が公表されるまで数年間ずっと間違え続けることになります。

    • 着工統計はフロー(供給量)、住宅・土地統計調査はストック(総量)。
    • 地価公示は価格の水準で、制度としては取引の指標を示すもの。
    • 法人企業統計は金額(損益)。量と金額は別に動く。

    情報をいつ更新すべきか

    統計問題に固有の論点が、情報の鮮度管理です。ここを設計しておかないと、正しい方法で間違った数値を覚えることになります。

    公表カレンダーを持つ

    主要な統計は、公表の時期がおおむね決まっています。年の前半に前年分の着工統計と地価公示が出て、初夏に土地白書、秋口に法人企業統計と都道府県地価調査、そして秋に宅地建物取引業法の施行状況調査という流れです。住宅・土地統計調査だけが5年周期で、間の年には新しい数値が出ません。

    この順番を頭に入れておく価値は、発表日を知ることそのものではなく、いま自分が持っている数値が最新かどうかを自分で判定できるようになる点にあります。夏の時点なら地価公示はすでにその年の分が出ているはずだと分かりますし、施行状況調査をその時期に探しても見つからないのは当然だと分かります。

    各統計の具体的な公表時期と、その年に基準となる確定値は宅建試験の統計数値まとめに出典つきで整理してあります。この記事では、時期の考え方だけを扱います。

    試験の基準日という考え方

    宅建試験には「法令基準日」という考え方があります。その年の4月1日時点で施行されている法令に基づいて出題される、という運用です。統計についても、これに準じた発想が必要になります。

    ただし統計は法令と違い、明示的な基準日が公表されているわけではありません。目安としては、試験実施日の時点で公表済みの統計のうち直近のものが出題の基礎になると考えるのが自然です。注意が必要なのは、試験のごく直前に公表された統計です。作問のスケジュールを考えれば、その年の出題に反映されない可能性のほうが高いと見るべきでしょう。

    したがって実際の対策では、試験の数か月前までに公表が完了している統計を軸に据えるのが安全です。直前に公表された統計については、方向が前年から変わっていないかだけ確認しておき、変わっていなければ気にする必要はありません。方向が変わっていた場合だけ、両方の可能性を頭に置いて選択肢を読みます。

    間に合わない統計をどう扱うか

    試験が秋に実施される以上、秋以降に公表される統計はその年の出題に反映されにくく、毎年かならず「間に合わない統計」が出ます。こうした統計については、ひとつ前の期の数値を基準に据えるのが原則です。たとえば施行状況調査のように毎年秋に前年度分が公表される統計は、試験時点で最新のものが前々年度分である可能性を考慮しておきます。ここを取り違えると、正しい統計の正しい数値を覚えているのに出題基準とは1期ずれている、という事故が起きます。

    古い教材をそのまま使わない

    統計問題における最大のリスクは、去年の教材です。テキストや問題集は、制作から発売まで数か月かかります。春に出た教材の統計部分は、前年の情報で書かれていることが珍しくありません。

    前年に発行された教材や、更新されていないウェブ記事の統計欄は、その年の対策には使えないと割り切ってください。方向が同じでも連続年数がずれます。ここは、他の分野なら「去年のテキストでも大枠は変わらない」と言えるのに、統計だけは言えない部分です。

    同じ理由で、過去問演習で統計問題に出会ったときの扱いにも注意が必要です。過去問の統計問題は、当時の数値に基づいて正誤が決まっています。したがって答えを覚えても今年の役には立ちません。過去問で統計問題を解く意味は、正解の内容ではなく、選択肢の作られ方を観察することにあります。過去問全体の使い方は過去問の活用法を参照してください。

    • 公表カレンダーを持つと、手元の数値が最新かを自分で判定できる。
    • 試験の数か月前までに公表済みの統計を軸に据える。
    • 前年の教材の統計欄と、過去問の統計問題の答えは、その年の対策には使えない。

    学習の順序。なぜ直前期に回すのか

    統計問題をいつやるかは、対策の成否を分けます。結論から言えば、直前期まで手をつけないのが正解です。

    早く始めても消えるから

    統計を早期に学習してはいけない理由は単純で、覚えた内容が更新されて無効になるからです。春に統計を覚えると、その後に公表される着工統計や地価公示、土地白書で覚え直しが発生します。

    しかもこの覚え直しは、単純な上書きではありません。古い記憶が残ったまま新しい情報が入ると、どちらだったか分からなくなるという、記憶にとって最悪の状態を作ります。連続年数のように1だけ違う情報は特に混同しやすく、「4年連続だったか5年連続だったか」で迷う状態は、最初から覚えていない状態より危険です。自信を持って誤りを選んでしまうからです。

    記憶の干渉を避けるという観点からも、統計は一度だけ、正しい情報を、直前に入れるのが合理的です。間隔をあけて何度も反復するやり方が有効な分野とそうでない分野があり、統計は後者です。反復のしかたを含む暗記の技術は宅建の暗記術にまとめていますが、統計についてはその原則をあえて適用しないのが正しい判断になります。

    開始時期の目安

    具体的な開始時期は、その年の統計が出揃うタイミングから逆算します。主要な統計のうち着工統計、地価公示、土地白書が出揃うのは初夏から夏にかけてですから、夏以降が現実的な開始時期です。

    それより早い時期に統計に触れる意味があるとすれば、「問48ではこういう統計が出る」という枠組みを知る目的に限られます。出題される統計の種類と、それぞれが何を測っているかは年によって変わらないので、ここは早く知っておいても損をしません。

    逆に、数値そのものと方向、連続年数は、夏まで手をつけないでください。学習計画を立てるときは、統計を「直前期のタスク」として最初から切り分けておくのが確実です。期間別の計画の組み方は宅建の勉強スケジュール表、直前期の全体設計は直前期の過ごし方を参照してください。

    直前期のどのタイミングで詰めるか

    直前期のなかでも、統計を詰める時期はさらに絞り込めます。おすすめは、試験の3週間前から2週間前にかけての時期です。

    この時期を選ぶ理由は3つあります。第一に、この時点ではその年の主要な統計がほぼ出揃っています。第二に、試験まで2週間から3週間なら、一度覚えた内容が試験当日まで保持できます。統計は理解ではなく記憶なので、あまり早く覚えると減衰します。第三に、この時期はまだ模試や総復習の時間が確保できる余裕があり、統計に半日を割いても他の学習を圧迫しません。

    直前期の中での配分

    統計に割く時間は、合計で数時間が目安です。最初に1時間から2時間かけて主要な統計の方向と連続年数を一覧にし、その後は試験日まで、1日5分から10分で見直しを繰り返します。覚える対象が少なく、かつ忘れやすい性質のものなので、長時間かけて完璧に覚えようとするより、短く何度も触れるほうが確実です。

    要点を書き出して1枚にまとめる方法は宅建の勉強でノートは必要かで扱っています。統計の1枚メモは、まさにこの手法が最も効く対象です。

    試験当日の扱い

    試験当日にメモを見返すなら、試験開始の直前にしてください。方向と連続年数は短期記憶で保持しやすい情報なので、直前に見た内容がそのまま使えます。ただし当日に新しい情報を入れるのは避けます。会場で目にした他人の資料が自分のメモと違っていても、そこで確認しようとすると混乱するだけです。統計は直前期に一度確定させたら、その内容で押し通すのが正しい運用です。試験当日の過ごし方全般は試験当日ガイドを参照してください。

    • 統計は直前期のタスクとして最初から切り分ける。
    • 詰めるのは試験3週間前から2週間前。合計数時間で足りる。
    • 覚えたら1枚のメモにして、毎日5分から10分見返す。

    試験での出題ポイント

    選択肢がどう作られるかを型として整理します。型を知っていれば、初見の選択肢でもどこを疑えばよいか分かります。

    型1:方向を反転させる

    もっとも基本的で、もっとも多い型です。増加しているものを「減少した」、上昇しているものを「下落した」と書き換えます。

    対策は方向を覚えることに尽きますが、実戦では読み落としに注意します。「増加」「減少」は文末に置かれることが多く、長い選択肢の前半に気を取られると肝心の述語を見落とします。統計の選択肢は、まず文末の述語から読む習慣をつけると、この事故が減ります。

    型2:連続年数をずらす

    「3年連続の減少」を「2年連続の減少」に、「5年連続の上昇」を「4年連続の上昇」に書き換える型です。方向だけ覚えている受験者を狙い撃ちにします。

    この型でとくに厄介なのが、前年の連続年数をそのまま使う作り方です。方向が続いている統計なら、連続年数は毎年1ずつ増えます。したがって前年の年数を書いた選択肢は、去年の情報で勉強した受験者にとって正しく見えます。連続年数は必ずその年の公表値で確認し、前年の教材の数字を持ち込まないでください。

    型3:統計そのものを取り違えさせる

    数値も方向も正しいのに、発表元や調査名が違うという型です。地価公示を総務省が公表していると書いたり、法人企業統計を国土交通省の調査だと書いたりします。

    対策は、主要な統計の発表元を統計名とセットで覚えることです。国土交通省・財務省・総務省の担当を区別し、原資料が別の省庁にある場合(登記件数が法務省の登記統計を原資料とするなど)も押さえます。発表元は毎年変わらないので、一度覚えれば来年も使える、統計対策のなかでは数少ない永続的な知識です。

    型4:暦年と年度をずらす

    同じ統計に暦年(1月から12月)の集計と年度(4月から翌年3月)の集計があるものがあります。建築着工統計が代表例で、年計と年度計の両方が公表されます。

    この2つは集計期間が3か月ずれているため、増減の方向や連続年数が一致するとは限りません。暦年では減少が続いていても、年度では途中に増加の年が挟まる、といったことが起こります。選択肢が「令和○年」と書いているのか「令和○年度」と書いているのかを見分けられないと、正しく覚えていても答えを外します。

    宅建試験では通常、暦年ベースが基準として扱われます。年度の数字を見かけたときは、それが別集計であることを意識してください。

    型5:桁と単位をずらす

    数値の桁や単位を動かす型です。数十万戸を数百万戸にしたり、業者数の単位を人にしたりします。

    方向を正しく覚えていても、水準の感覚がないとこの型は消せません。前述のとおり、統計ごとに「だいたいこのくらい」という桁を持っておくのが対策です。厳密な数値は不要で、桁が1つ違えば気づける程度で十分です。

    単位のずらしにも注意します。業者数は「業者」、宅建士の登録者数は「人」、着工は「戸」、床面積は「平方メートル」です。数値が合っていても単位が違えば誤りになります。

    型6:全体と内訳をすり替える

    全体の方向と内訳の方向が違う場合に、それを入れ替える型です。「全体は減少したが、内訳のうち一部は増加した」という状況で、「全体が増加した」と書いたり、「内訳のすべてが減少した」と書いたりします。

    内訳をすべて覚えるのは負担が大きいので、内訳がそろって同じ方向を向いているのか、一部が逆を向いているのかという点だけを確認しておくのが実際的です。そろっている年なら「一部だけ増えた」という選択肢は誤りだと即断でき、逆を向いているものがある年は、その項目だけ個別に覚えます。

    型7:もっともらしい因果を作る

    これは方向のずらしと組み合わせて使われる、やや高度な型です。「着工戸数が減少したことから、不動産業の売上高も減少した」のように、一見自然な因果関係を提示して、結論部分を誤りにします。

    筋が通っているように読めるため、方向をうろ覚えのまま読むと引っかかります。対策は、各統計の方向を独立に覚えることと、「量と金額は別に動く」「フローとストックは別」という構造を理解しておくことです。構造が分かっていれば、もっともらしい因果が実は成り立たないと気づけます。

    出題傾向の分析全般は宅建試験の出題傾向にまとめています。

    解くときの手順

    第一に、各選択肢がどの統計の話かを判別します。統計名か発表元が必ず書かれているので、まずそこを見ます。第二に、文末の述語(増加・減少・上昇・下落)を確認し、覚えている方向と照合します。ここで白黒がつく選択肢は、その場で処理します。第三に、方向が合っている選択肢について、連続年数、時点(暦年か年度か)、桁、発表元を順に点検します。第四に、それでも決まらない場合は、内訳の記述と因果の記述を疑います。統計は考えて解く問題ではないので、迷ったら長考せず次へ進みます。

    • 選択肢は文末の述語から読む。
    • 発表元と統計名の対応は毎年変わらないので、一度覚えれば使い回せる。
    • 統計問題に長考は不要。1分から2分で処理して次へ進む。

    覚え方・整理の仕方

    実際に頭に入れるための手順を示します。

    1枚のメモに集約する

    統計対策の成果物は、紙1枚にします。書く内容は、統計名、発表元、方向、連続年数(あるもののみ)、桁の感覚。この5項目を主要な統計について並べても、余白を入れて1枚に収まります。

    書くときは自分の手で書いてください。既製のまとめ資料を眺めるより、自分で1枚に圧縮する作業そのものが記憶を作ります。何を書かないかを決める過程で、覚える範囲が確定するという効果もあります。

    方向を一列に並べて順番ごと覚える

    方向は個別にではなく、一列に並べて順番ごと覚えるのが効率的です。統計を決まった順番に並べ、それぞれの方向を続けて唱えられる状態にします。

    順番を固定しておくと、試験で選択肢を読んだときに「これは何番目の統計の話か」がすぐに判別でき、対応する方向を取り出せます。順番がばらばらだと、統計名から方向を探す作業が毎回発生します。並べる順番は何でも構いませんが、一度決めたら変えないでください。

    連続年数は理由とセットで持つ

    連続年数を単なる数字として覚えると、翌年に更新されたときに混乱します。なぜその年数なのか、つまり何年から方向が変わったのかをセットで持っておくと、更新のたびに自然に修正できます。

    たとえば「5年連続の上昇」なら、その5年前に下落から上昇に転じたということです。転換点の年を覚えておけば、翌年は6年連続になると自動的に計算できます。数字を覚えるのではなく、起点を覚えるという発想です。

    因果でつなぐ

    各統計の性格を踏まえると、統計どうしは因果でつながっています。地価が上がるから取引単価が上がり、件数が横ばいでも業界の売上高は伸びる。新築が減ってもストックは減らないから空き家は増える。業者数が増えれば専任の宅建士の需要も増える。

    因果でつないでおくと、ひとつ思い出せば連鎖的に他も引き出せますし、型7の「もっともらしいが誤りの因果」を見破る力もつきます。

    覚えたかどうかを確認する方法

    覚えた気になっているだけかどうかは、何も見ずに1枚のメモを再現できるかで判定します。統計名を書き出し、方向と連続年数を書く。これが白紙からできれば完成です。

    眺めるだけの復習は、統計のように情報量が少ない対象でも定着を過大評価させます。書き出す形の確認を数回やっておくと、本番で迷いません。

    理解度チェッククイズ

    Q1. 統計問題(例年 問48)は5問免除科目に含まれるため、登録講習修了者はこの問題を解答しない。(○か×か)

    答えを見る ○:問48は問46から問50までの5問免除科目に含まれます。登録講習修了者はこの5問を解答せず、45問中の得点で合否が判定されます。令和7年度試験の合格判定基準は、全体が50問中33問以上、登録講習修了者が45問中28問以上でした(出典:不動産適正取引推進機構「令和7年度宅地建物取引士資格試験結果の概要」令和7年11月26日公表)。免除対象者にとって統計問題の対策は不要です。

    Q2. 統計問題では細かい数値まで正確に暗記する必要があるため、変動率は小数点以下まで覚えるべきである。(○か×か)

    答えを見る ×:問48の選択肢の正誤は、増減の方向と連続年数で決まるものが大半です。変動率を小数点以下まで覚える必要はありません。ただし桁が明らかに異なる選択肢を消すために、統計ごとに「数十万戸」「十数万業者」といった水準の感覚は持っておく必要があります。覚えるべきは方向・連続年数・桁の3点です。

    Q3. 新設住宅着工戸数が減少していれば、住宅の総数(ストック)も減少していると判断してよい。(○か×か)

    答えを見る ×:建築着工統計が測っているのは、その期間に新しく着工された住宅の量(フロー)です。すでに存在している住宅の総数(ストック)は、着工が減っても取り壊しがそれを上回らない限り増え続けます。実際、新設住宅着工が減少傾向にある一方で、総住宅数と空き家は増加しています。フローとストックの区別は、統計問題で「もっともらしいが誤りの因果」を見破る鍵になります。

    Q4. 建築着工統計には暦年(1月から12月)の集計と年度(4月から翌年3月)の集計があり、両者で増減の方向や連続年数が一致しないことがある。(○か×か)

    答えを見る ○:同じ建築着工統計調査でも、暦年を集計した年計と、年度を集計した年度計は別の数値です。集計期間が3か月ずれるため、増減の方向や連続年数が一致するとは限りません。宅建試験では通常、暦年ベースが基準として扱われます。選択肢が「令和○年」と書いているのか「令和○年度」と書いているのかを見分ける必要があります。

    Q5. 統計問題は毎年内容が変わるため、年明けから毎月最新情報を確認し、繰り返し復習して覚えるのが効率的である。(○か×か)

    答えを見る ×:統計は主要なものが初夏から夏にかけて出揃うため、それ以前に覚えると更新で覚え直しになります。しかも古い記憶と新しい記憶が干渉し、「4年連続だったか5年連続だったか」といった混乱を招きます。統計は直前期のタスクとして切り分け、試験の3週間前から2週間前に一度だけ正しい情報を入れ、その後は短時間の見直しを繰り返すのが効率的です。

    よくある質問

    Q. 統計問題の対策はいつから始めればよいですか。

    主要な統計が出揃う夏以降が現実的です。それより早く始めると、公表による更新で覚え直しが発生します。ただし「どの統計が出題されるか」「それぞれが何を測っているか」という枠組みは年によって変わらないので、これは早い時期に知っておいても構いません。数値と方向と連続年数だけを直前期に回してください。

    Q. 予備校の無料まとめ資料を使ってもよいですか。

    内容の確認に使うのは構いませんが、いつ時点の情報かを必ず確かめてください。統計まとめは前年版がそのまま残っていることがあり、方向は同じでも連続年数がずれます。可能であれば、発表元の公表資料そのものにあたるのが確実です。当サイトでは宅建試験の統計数値まとめに、出典と公表年月日つきの確定値を整理しています。

    Q. 統計以外の免除科目(問46・問47・問49・問50)とはまとめて対策すべきですか。

    対策の性格が違うので、統計だけは分けてください。住宅金融支援機構、景品表示法、土地の知識、建物の知識は、内容が年をまたいで安定しているため、通常の科目と同じように早い時期から学習して構いません。統計だけが直前期のタスクです。5問全体の攻略方針は免除科目5問の攻略法にまとめています。

    まとめ

    1. 問48は5問免除科目の1問。免除対象者は対策不要、それ以外は取り切る前提で設計する。 準備した人だけが取る1問なので、落とすと相対的に不利になります。
    2. 覚えるのは方向・連続年数・桁の3点だけ。 変動率の小数点以下、細かい地域内訳、長期の年次推移は覚えません。範囲を絞ることが最初の意思決定です。
    3. 各統計が何を測っているかを知ると、数値が意味を持つ。 着工統計はフロー(供給量)、住宅・土地統計調査はストック(総量)、地価公示は価格の水準、法人企業統計は金額(損益)、施行状況調査は担い手の数。量と金額は別に動き、フローとストックも別に動きます。
    4. 情報の鮮度を管理し、直前期に一度だけ入れる。 公表カレンダーを持ち、その年の基準がいつ時点の数値かを確認したうえで、試験の3週間前から2週間前に1枚のメモを作ります。前年の教材の統計欄と過去問の統計問題の答えは使えません。
    5. 崩され方は7つの型に集約される。 方向の反転、連続年数のずらし、統計の取り違え、暦年と年度のずらし、桁と単位のずらし、全体と内訳のすり替え、もっともらしい因果。型を知っていれば、初見の選択肢でも疑う場所が分かります。

    その年の確定値そのものは宅建試験の統計数値まとめに出典つきで整理してあります。本記事で対策の枠組みを押さえたうえで、数値はそちらで確認してください。

    宅建試験AIブートラボでは、肢別トレーニングと年度別過去問演習で、税・その他を含む全科目の出題パターンを繰り返し確認できます。

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