区分所有法の決議要件|普通決議と特別決議の違い
宅建試験で頻出の区分所有法の決議要件を解説。普通決議・特別決議・建替え決議の要件の違いを一覧表で整理し、暗記しやすくまとめました。
区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)の集会決議は、宅建試験で毎年のように出題される頻出テーマです。普通決議と特別決議の要件の違い、建替え決議の特殊な要件、規約の設定・変更に必要な決議要件など、多くの数字を正確に暗記する必要があります。本記事では、決議要件を一覧表で整理し、効率的な試験対策をサポートします。
区分所有法の集会の基本
集会とは
集会とは、区分所有者全員で構成する団体(管理組合)の意思決定機関です。マンションの管理に関する重要事項は、集会の決議によって決定されます。
集会の招集
集会の招集に関する基本ルールは以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 招集権者 | 管理者(少なくとも毎年1回招集) |
| 区分所有者からの招集請求 | 区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するもの |
| 招集通知の発送期限 | 会日の少なくとも1週間前(規約で伸縮可能) |
| 建替え決議の招集通知 | 会日の少なくとも2か月前 |
| 招集通知の省略 | 区分所有者全員の同意があれば省略可能 |
集会は、管理者が招集する。(区分所有法第34条第1項)
集会の招集の通知は、会日より少なくとも一週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸縮することができる。(区分所有法第35条第1項)
議決権
議決権は原則として各区分所有者の専有部分の床面積の割合によりますが、規約で別段の定めをすることもできます。
普通決議の要件
普通決議とは
普通決議とは、区分所有者及び議決権の各過半数で行う決議です。集会の決議は、原則として普通決議で行われます。
集会の議事は、この法律又は規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各過半数で決する。(区分所有法第39条第1項)
普通決議で決する事項
| 決議事項 | 要件 |
|---|---|
| 管理者の選任・解任 | 区分所有者及び議決権の各過半数 |
| 共用部分の管理(保存行為を除く) | 区分所有者及び議決権の各過半数 |
| 共用部分の軽微な変更(形状又は効用の著しい変更を伴わないもの) | 区分所有者及び議決権の各過半数 |
| その他一般的な管理事項 | 区分所有者及び議決権の各過半数 |
なお、保存行為(例:共用部分の緊急修繕)は、各区分所有者が単独で行うことができます(決議不要)。
特別決議の要件
特別決議とは
特別決議とは、普通決議よりも加重された要件で行う決議です。重要性の高い事項について要求されます。
区分所有者及び議決権の各4分の3以上
以下の事項は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の決議が必要です。
| 決議事項 | 要件 |
|---|---|
| 規約の設定・変更・廃止 | 区分所有者及び議決権の各4分の3以上 |
| 共用部分の重大変更(形状又は効用の著しい変更を伴うもの) | 区分所有者及び議決権の各4分の3以上 |
| 管理組合法人の設立・解散 | 区分所有者及び議決権の各4分の3以上 |
| 義務違反者に対する使用禁止請求の訴え | 区分所有者及び議決権の各4分の3以上 |
| 義務違反者に対する区分所有権の競売請求の訴え | 区分所有者及び議決権の各4分の3以上 |
| 義務違反者に対する引渡し請求の訴え(占有者の場合) | 区分所有者及び議決権の各4分の3以上 |
| 大規模滅失の復旧(建物価格の2分の1超) | 区分所有者及び議決権の各4分の3以上 |
共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。(区分所有法第17条第1項)
ここで重要なのは、共用部分の重大変更について、区分所有者の定数は規約で過半数まで減ずることができるが、議決権の定数は減じることができない点です。
区分所有者及び議決権の各5分の4以上
以下の事項は最も重い要件が要求されます。
| 決議事項 | 要件 |
|---|---|
| 建替え決議 | 区分所有者及び議決権の各5分の4以上 |
集会においては、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。(区分所有法第62条第1項)
建替え決議の特別ルール
建替え決議の招集手続き
建替え決議は特に重要な決議であるため、通常とは異なる招集手続きが設けられています。
| 項目 | 通常の集会 | 建替え決議 |
|---|---|---|
| 招集通知の発送期限 | 会日の1週間前 | 会日の2か月前 |
| 通知事項 | 会議の目的たる事項 | 議案の要領+建替えを必要とする理由等 |
| 説明会の開催 | 不要 | 会日の1か月前までに開催 |
建替え決議の効果
建替え決議が成立した場合、決議に賛成した区分所有者等は、決議に賛成しなかった区分所有者に対して、その区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求できます(売渡し請求)。
決議要件と規約変更の可否
規約による加重・緩和の比較
| 決議事項 | 法定要件 | 規約による変更 |
|---|---|---|
| 普通決議 | 各過半数 | 規約で別段の定め可能 |
| 共用部分の重大変更 | 各4分の3以上 | 区分所有者の定数は過半数まで減ずることが可能、議決権は不可 |
| 規約の設定・変更・廃止 | 各4分の3以上 | 変更不可 |
| 建替え決議 | 各5分の4以上 | 変更不可 |
共用部分の重大変更について、「区分所有者の定数」を規約で過半数まで減じることができる(議決権は不可)という点は、特に試験で狙われます。
滅失と復旧・建替え
小規模滅失と大規模滅失
建物が滅失した場合、その程度によって復旧の要件が異なります。
| 区分 | 定義 | 復旧の要件 |
|---|---|---|
| 小規模滅失 | 建物価格の2分の1以下 | 各区分所有者が単独で復旧可能(集会決議でも可) |
| 大規模滅失 | 建物価格の2分の1超 | 区分所有者及び議決権の各4分の3以上の決議 |
大規模滅失の復旧決議がなされた場合、決議に賛成しなかった区分所有者は、決議の日から2週間以内に買取請求権を行使できます。
試験での出題ポイント
宅建試験では、以下のポイントが特に狙われます。
- 普通決議と特別決議の要件の区別 → 過半数、4分の3以上、5分の4以上の使い分け
- 共用部分の変更 → 軽微変更は普通決議、重大変更は4分の3以上。重大変更の区分所有者定数は規約で過半数まで減可
- 建替え決議 → 5分の4以上。招集通知は2か月前。説明会は1か月前まで
- 規約の設定・変更・廃止 → 4分の3以上
- 小規模滅失と大規模滅失 → 2分の1以下と2分の1超で要件が異なる
- 保存行為 → 各区分所有者が単独で可能(決議不要)
理解度チェッククイズ
以下のクイズで理解度を確認しましょう。
Q1. 管理組合の規約を変更するには、区分所有者及び議決権の各過半数の決議で足りる。
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**× 誤り。** 規約の設定・変更・廃止には、区分所有者及び議決権の各**4分の3以上**の特別決議が必要です(区分所有法第31条第1項)。Q2. 建替え決議は、区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数で行う。
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**○ 正しい。** 建替え決議は、区分所有者及び議決権の各**5分の4以上**の多数で決します(区分所有法第62条第1項)。最も要件が重い決議です。Q3. 共用部分の重大変更の決議について、規約で議決権の定数を過半数まで減ずることができる。
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**× 誤り。** 規約で過半数まで減ずることができるのは**区分所有者の定数**のみです。**議決権の定数は減ずることができません**(区分所有法第17条第1項ただし書)。Q4. 建替え決議の集会の招集通知は、会日の少なくとも1か月前に発しなければならない。
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**× 誤り。** 建替え決議の招集通知は、会日の少なくとも**2か月前**に発しなければなりません(区分所有法第62条第4項)。通常の集会は1週間前ですが、建替え決議は特に長い期間が必要です。Q5. 小規模滅失(建物価格の2分の1以下)の場合、復旧には4分の3以上の決議が必要である。
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**× 誤り。** 小規模滅失の場合は、各区分所有者が**単独で**復旧することができます(区分所有法第61条第1項)。4分の3以上の決議が必要なのは**大規模滅失**(2分の1超)の場合です。まとめ
- 普通決議(各過半数) → 管理者の選任・解任、共用部分の軽微変更、一般的な管理事項。保存行為は単独で可能。
- 特別決議(各4分の3以上) → 規約の設定・変更・廃止、共用部分の重大変更、大規模滅失の復旧、管理組合法人の設立・解散。重大変更は区分所有者の定数のみ規約で過半数まで減可。
- 建替え決議(各5分の4以上) → 最も重い要件。招集通知は2か月前、説明会は1か月前まで。反対者への売渡し請求が可能。
よくある質問(FAQ)
Q. 「区分所有者及び議決権の各4分の3以上」とは、両方の要件を満たす必要がありますか?
A. はい。「各」とあるとおり、区分所有者数と議決権数の両方で要件を満たす必要があります。一方だけでは足りません。
Q. 集会に出席できない区分所有者はどうすればよいですか?
A. 書面又は代理人によって議決権を行使することができます(区分所有法第39条第2項)。規約又は集会の決議により、電磁的方法による行使も可能です。
Q. 管理者の選任は総会ではなく規約で定めることもできますか?
A. はい。管理者は集会の決議で選任するほか、規約で定めることも可能です(区分所有法第25条第1項)。
Q. 全員の同意が必要な事項はありますか?
A. 集会の招集手続きの省略や、規約の設定で一部の区分所有者に特別の影響を及ぼす場合のその者の承諾などがあります。また、共用部分の全部を所有する旨の規約(規約共用部分の設定)は4分の3以上の決議で足りますが、登記が対抗要件となります。
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