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住宅金融支援機構とフラット35|宅建試験のポイント

宅建試験の5問免除科目でも出題される住宅金融支援機構を解説。フラット35の融資条件、証券化支援業務、直接融資業務の違いを整理。

住宅金融支援機構の全体像

住宅金融支援機構 は、宅建試験の「税・その他」分野でほぼ毎年1問出題される重要テーマです。特に、宅建業の実務経験者が申請できる 5問免除科目 にも含まれる分野であり、5問免除を受けない一般受験者にとっては確実に得点したいテーマです。

出題パターンは比較的固定されており、「住宅金融支援機構に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか」という形式で、4つの選択肢から正誤を判断する問題がほとんどです。

本記事では、住宅金融支援機構の設立経緯から主要業務、フラット35の融資条件、証券化の仕組みまで、試験に出るポイントを体系的に解説します。


住宅金融支援機構の設立経緯

旧住宅金融公庫からの移行

住宅金融支援機構は、旧 住宅金融公庫 を廃止し、その業務を引き継ぐ形で 2007年(平成19年)4月 に設立された 独立行政法人 です。

項目 内容
前身 住宅金融公庫(1950年設立)
設立年月 2007年(平成19年)4月1日
根拠法 独立行政法人住宅金融支援機構法
法的性格 独立行政法人
主務大臣 国土交通大臣 および 財務大臣

設立の背景と目的

旧住宅金融公庫は、戦後の住宅不足を解消するため、国民に対して 直接融資 を行っていました。しかし、民間金融機関の住宅ローンが充実するにつれて、公庫の直接融資の役割は縮小し、「民業圧迫」との批判も出てきました。

そこで、公庫を廃止し、住宅金融支援機構を設立。機構の主な役割は、直接融資から証券化支援業務へと転換 し、民間金融機関の住宅ローン供給を 後方支援 することになりました。

試験ポイント: 住宅金融支援機構の基本姿勢は「民間金融機関の補完」です。自ら直接融資を行うのは原則として限定的な場面にとどまります。


住宅金融支援機構の主要業務

住宅金融支援機構の業務は大きく2つに分けられます。

業務 内容 位置づけ
証券化支援業務 民間金融機関の住宅ローン債権を買い取り(またはその債務を保証し)、MBS(住宅ローン担保証券)を発行する 主たる業務
直接融資業務 民間では対応が困難な分野に限定して、機構が直接融資を行う 補完的業務

証券化支援業務

買取型(最も重要)

証券化支援業務の中核は 買取型 です。これが フラット35 の仕組みの基盤となっています。

仕組みの流れ

  1. 借入申込者が 民間金融機関 に住宅ローンを申し込む
  2. 民間金融機関が審査を行い、融資を実行する
  3. 民間金融機関は、その 住宅ローン債権を住宅金融支援機構に売却(譲渡) する
  4. 住宅金融支援機構は、買い取った住宅ローン債権を信託銀行に信託する
  5. 住宅金融支援機構は、その信託受益権を担保として MBS(住宅ローン担保証券) を発行する
  6. 投資家がMBSを購入することで、住宅ローンの資金が調達される
ステップ 主体 内容
① 融資申込 借入者 → 民間金融機関 住宅ローンの申込
② 融資実行 民間金融機関 → 借入者 住宅ローンの実行
③ 債権売却 民間金融機関 → 機構 住宅ローン債権の買取り
④ 信託 機構 → 信託銀行 ローン債権を信託
⑤ MBS発行 機構 → 投資家 MBS(住宅ローン担保証券)の発行
⑥ 資金調達 投資家 → 機構 MBSの購入代金

試験ポイント: 買取型では、民間金融機関が融資を実行した後、その 債権を機構が買い取る 点がポイントです。機構が直接融資するわけではありません。

MBS(住宅ローン担保証券)とは

項目 内容
正式名称 Mortgage Backed Securities(住宅ローン担保証券)
発行者 住宅金融支援機構
担保 住宅ローン債権(信託受益権)
投資家の利点 機構が元利金の支払いを保証するため、信用力が高い
機構の利点 MBSの発行により住宅ローン資金を効率的に調達できる

保証型

保証型は、民間金融機関が独自の住宅ローン商品を設計し、その住宅ローン債権について 住宅金融支援機構が保証 する仕組みです。

項目 買取型 保証型
融資主体 民間金融機関 民間金融機関
債権の帰属 機構が買い取る 民間金融機関が保有
機構の役割 債権の買取り・MBS発行 住宅ローン債務の 保証
商品設計 機構の基準に基づく(フラット35) 民間金融機関が独自に設計
金利タイプ 全期間固定 金融機関による
利用頻度 高い 少ない

試験ポイント: 証券化支援業務には「買取型」と「保証型」があること、買取型が主流であることを押さえましょう。保証型については、「機構が直接融資するのではなく、保証する」という点がポイントです。


フラット35

フラット35とは

フラット35 は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する 長期固定金利型 の住宅ローンです。証券化支援業務の買取型をベースとした商品です。

名称の由来: 「フラット」は金利が一定(フラット=平ら)であることを意味し、「35」は最長返済期間の 35年 を意味します。

融資条件一覧

項目 内容
申込者の年齢 申込時の年齢が 70歳未満
返済期間 15年以上35年以下(60歳以上の場合は10年以上)
融資額 100万円以上8,000万円以下
融資率 建設費・購入価額の 9割以下 が基本(9割超の場合は金利が上乗せ)
金利タイプ 全期間固定金利
金利の決定時期 融資実行時 の金利が適用される(申込時ではない)
総返済負担率 年収400万円未満:30%以下、年収400万円以上:35%以下
対象住宅の床面積 戸建て:70㎡以上、マンション:30㎡以上
保証人 不要
保証料 不要
繰上返済手数料 不要
物件検査 必要(適合証明書の取得が必要)
抵当権 融資対象となる住宅および敷地に、機構を第1順位とする 抵当権 を設定
使途 自己居住用 の新築住宅の建設・購入、中古住宅の購入(投資用は不可)

超重要ポイント: フラット35は「全期間固定金利」です。変動金利ではありません。また、金利は 融資実行時 の金利が適用されます(申込時の金利ではない)。

融資率と金利の関係

融資率 金利
9割以下 標準金利
9割超 標準金利に 上乗せ された金利が適用される

注意: 以前は融資率9割超の融資は認められていませんでしたが、現在は9割超も可能です。ただし、金利が高くなります。

総返済負担率

年収 総返済負担率の上限
400万円未満 30%以下
400万円以上 35%以下

試験ポイント: 総返済負担率の計算には、フラット35の返済額だけでなく、他の借入金の返済額も含めて 計算します。自動車ローンやカードローンの返済額も含まれる点に注意です。

床面積要件

住宅の種類 最低床面積
戸建て住宅 70㎡以上
マンション(共同住宅) 30㎡以上

暗記のコツ:戸建ての70(なな・じゅう)」「マンションの30(さん・じゅう)」→ 戸建ての方が広い面積が必要(独立した建物なので)。

フラット35の特徴的なメリット

メリット 内容
保証人不要 一般の住宅ローンでは保証会社の保証が必要だが、フラット35では不要
保証料不要 保証会社を利用しないため、保証料がかからない
繰上返済手数料不要 繰上返済を行っても手数料がかからない(100万円以上から可能。インターネット利用の場合は10万円以上から可能)
金利固定 返済期間中ずっと金利が変わらないため、将来の返済計画が立てやすい

フラット35S

フラット35Sとは

フラット35S は、フラット35を申し込む際に、省エネルギー性、耐震性、バリアフリー性、耐久性・可変性 に優れた住宅を取得する場合に、フラット35の借入金利を一定期間 引き下げる 制度です。

項目 内容
利用要件 フラット35の融資条件を満たし、かつ住宅の技術基準が一定水準以上であること
金利引下げ期間 金利Aプラン:当初 10年間 金利引下げ/金利Bプラン:当初 5年間 金利引下げ
引下げ幅 0.25% 引下げ(時期により変動あり)

金利Aプランと金利Bプラン

プラン 金利引下げ期間 住宅の技術基準
金利Aプラン 当初 10年間 省エネ等級5以上、耐震等級3、高齢者等配慮等級4以上、長期優良住宅 等
金利Bプラン 当初 5年間 省エネ等級4以上、耐震等級2以上、高齢者等配慮等級3以上 等

試験ポイント: フラット35Sは「金利の 引下げ」であって、融資額の増額や返済期間の延長ではありません。


直接融資業務

直接融資の原則

住宅金融支援機構は、原則として 直接融資を行いません。民間金融機関では対応が困難な分野に限定して、直接融資を行うことができます。

最重要ポイント: 機構の直接融資は 限定列挙 されており、一般的な住宅の建設・購入に対する直接融資は行いません。これが旧住宅金融公庫との最大の違いです。

直接融資が認められる分野

直接融資の対象 内容
災害復興建築物の建設等 災害により滅失・損傷した住宅に代わる住宅の建設、被災住宅の補修
災害予防関連 災害の発生のおそれがあると認められる地域における住宅の移転、建替え
密集市街地の建替え 合理的土地利用建築物の建設(密集市街地等の住宅の建替え)
まちづくり関連 マンションの共用部分の改良 等
財形住宅融資 勤労者の財産形成促進法に基づく融資
子育て世帯・高齢者世帯向け賃貸住宅 サービス付き高齢者向け住宅の建設 等

試験で最も出るひっかけ: 「住宅金融支援機構は、一般の住宅の建設資金の融資を業務としている。」→ 誤り。一般住宅への直接融資は業務に含まれません。あくまで 災害復興まちづくり など限定的な場面でのみ直接融資を行います。

買取型(証券化支援)と直接融資の比較

比較項目 証券化支援業務(買取型) 直接融資業務
融資主体 民間金融機関 住宅金融支援機構
機構の役割 債権の買取り・MBS発行 直接融資の実行
対象 一般的な住宅の建設・購入 災害復興・まちづくり等に 限定
位置づけ 主たる業務 補完的業務
商品例 フラット35 災害復興住宅融資 等

その他の業務

住宅金融支援機構は、証券化支援業務・直接融資業務のほかに、以下の業務も行っています。

業務 内容
住宅融資保険 民間金融機関の住宅ローンについて、保険引受け を行う(金融機関の貸倒れリスクを機構が保険でカバー)
情報提供業務 住宅の建設等に関する情報の収集・提供
調査研究 住宅の建設等に関する調査研究
団体信用生命保険 フラット35の利用者向けの団体信用生命保険(団信)に関する業務

団体信用生命保険(団信)

項目 内容
加入 フラット35では、2017年10月以降の申込分について、団信への加入が 原則(ただし、加入は 任意。加入しない場合は金利が引下げられる)
保険料 融資金利に 含まれている(別途保険料を支払う必要はない)
保障内容 借入者が死亡または身体障害の状態になった場合、残りの住宅ローンが保険金で完済される

試験ポイント: フラット35の団信は 任意加入 です。「強制加入」ではありません。民間の住宅ローンでは団信加入が融資条件となっていることが多いですが、フラット35では加入しないことも選択できます。


住宅金融支援機構のその他の重要ポイント

貸付条件の変更

項目 内容
返済が困難になった場合 機構は、貸付条件の変更(返済期間の延長や元金据置期間の設定等)を行うことができる
返済方法の変更 元利均等返済から元金均等返済への変更等

試験ポイント: 住宅金融支援機構は、返済が困難になった借入者に対して 貸付条件の変更 を行うことができます。このような柔軟な対応ができる点が、機構の業務の特徴です。

住宅融資保険

項目 内容
内容 民間金融機関の住宅ローンについて、借入者が返済不能になった場合に、機構が金融機関に 保険金 を支払う
目的 民間金融機関の住宅ローン供給を促進する
対象 機構の証券化支援業務の対象とならない住宅ローン等

注意: 住宅融資保険は「借入者に対する保険」ではなく、「金融機関に対する保険」です。金融機関の貸倒れリスクを機構がカバーすることで、金融機関が安心して住宅ローンを供給できるようにしています。


試験対策の重要ポイント

頻出論点ベスト7

順位 論点 ポイント
1 直接融資の範囲 災害復興・まちづくり等に 限定(一般住宅は不可)
2 フラット35の金利 全期間固定 金利
3 融資実行時の金利適用 申込時ではなく 融資実行時 の金利
4 床面積要件 戸建て 70㎡以上、マンション 30㎡以上
5 保証人・保証料 いずれも 不要
6 団信の加入 任意 加入
7 証券化支援業務の仕組み 機構が債権を 買い取る(直接融資ではない)

過去問でよく出るひっかけパターン

パターン1:直接融資の範囲

「住宅金融支援機構は、一般の住宅の建設に必要な資金の貸付けを業務としている。」→ 誤り。一般住宅への直接融資は行わず、証券化支援業務 により民間金融機関を通じた融資を支援します。

パターン2:金利のタイプ

「フラット35の金利は、返済期間中に市場金利に応じて変動する。」→ 誤り。フラット35は 全期間固定金利 です。

パターン3:金利の決定時期

「フラット35の金利は、借入申込時の金利が適用される。」→ 誤り。金利は 融資実行時 の金利が適用されます。

パターン4:保証人の要否

「フラット35の利用には、連帯保証人が必要である。」→ 誤り。フラット35では保証人は 不要 です。

パターン5:団信の加入

「フラット35を利用するには、団体信用生命保険に必ず加入しなければならない。」→ 誤り。団信への加入は 任意 です。

パターン6:融資額の上限

「フラット35の融資額は、1億円が上限である。」→ 誤り。融資額の上限は 8,000万円 です。

パターン7:対象住宅

「フラット35は、投資用マンションの購入にも利用できる。」→ 誤り。フラット35は 自己居住用 の住宅にのみ利用できます。

パターン8:証券化の仕組み

「証券化支援業務(買取型)では、住宅金融支援機構が直接借入者に融資を行い、その後にMBSを発行する。」→ 誤り。融資を行うのは 民間金融機関 であり、機構はその 債権を買い取る だけです。

パターン9:住宅融資保険

「住宅融資保険は、住宅ローンの借入者が返済不能になった場合に、借入者に保険金を支払う制度である。」→ 誤り。保険金が支払われるのは借入者ではなく 金融機関 です。

パターン10:貸付条件の変更

「住宅金融支援機構は、経済状況の変化等に応じて、貸付条件の変更を行うことはできない。」→ 誤り。機構は返済困難者に対して 貸付条件の変更 を行うことが できます


暗記のための語呂合わせ・整理法

フラット35の融資条件

  • ハチマル(8,000万)のフラット」→ 融資額上限 8,000万円
  • イゴサンゴ」→ 返済期間は 15 年以上 35 年以下
  • ナナマル・サンマル」→ 床面積は戸建て 70 ㎡以上、マンション 30 ㎡以上
  • キュウワリ」→ 融資率は原則 9割 以下

総返済負担率

  • 400万を境に、サンマルとサンゴ
    • 年収400万未満 → 総返済負担率 30%(サンマル)以下
    • 年収400万以上 → 総返済負担率 35%(サンゴ)以下

直接融資の覚え方

  • 直接融資は災害とまちだけ
    • 害復興
    • まちづくり(密集市街地の建替え等)
    • 一般住宅は 不可

フラット35の3つの「不要」

  • フラット35は3つの『いらない』
    1. 保証人 → いらない
    2. 保証料 → いらない
    3. 繰上返済手数料 → いらない

フラット35の主要数値まとめ(試験直前用)

項目 数値
融資額上限 8,000万円
融資額下限 100万円
返済期間 15年以上35年以下
融資率 原則 9割以下
総返済負担率(400万未満) 30%以下
総返済負担率(400万以上) 35%以下
床面積(戸建て) 70㎡以上
床面積(マンション) 30㎡以上
申込年齢 70歳未満
金利タイプ 全期間固定
金利決定時期 融資実行時
保証人 不要
保証料 不要
繰上返済手数料 不要
団信 任意 加入
物件検査 必要
使途 自己居住用 のみ

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まとめ

住宅金融支援機構の問題は、出題パターンが比較的固定されており、以下のポイントを正確に覚えていれば得点できます。

住宅金融支援機構の核心ポイント

ポイント 内容
設立の目的 民間金融機関の 補完(直接融資から証券化支援への転換)
主たる業務 証券化支援業務(買取型=フラット35の基盤)
直接融資 災害復興・まちづくり等に限定(一般住宅は不可)

フラット35の核心ポイント

ポイント 内容
金利 全期間固定融資実行時 の金利を適用
融資額 100万円以上8,000万円以下
床面積 戸建て 70㎡以上、マンション 30㎡以上
3つの不要 保証人 不要、保証料 不要、繰上返済手数料 不要
団信 任意 加入
使途 自己居住用 のみ(投資用不可)

出題の攻略法

住宅金融支援機構の問題では、「機構が直接融資を行うか否か」と「フラット35の具体的条件」が繰り返し問われます。直接融資は限定的であること、フラット35は全期間固定金利保証人不要であること、団信は任意であること ── この3つを確実に覚えておけば、毎年の出題に対応できます。

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