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宅建試験の出題傾向|論点別の頻出テーマ整理

試験対策・勉強法 読了 約24分

宅建試験の出題傾向を科目別・論点別に整理。どの論点がどういう問われ方をするのか、引っかけの型、優先順位の付け方を条文根拠つきで解説します。

目次

    本記事は、宅建試験の出題傾向を「科目ごと・論点ごとに、どういう問われ方をするのか」という形で整理するものです。学習全体の設計は宅建の合格戦略、科目ごとの攻め方は科目別攻略法にまとめてあるので、あわせて読むと位置づけがはっきりします。以下で挙げる論点名や用語そのものにつまずく段階であれば、先に不動産用語辞典で意味のまとまりごとに引いておくと、傾向の話が読み進めやすくなります。

    出題傾向を知るというのは、「今年はこれが出る」を当てにいくことではありません。宅建試験は毎年新しい問題が作られますが、問題を作る側が使える素材は法令と判例に限られています。素材が同じなら、出来上がる問題の型も似てきます。つまり傾向とは、出る論点のリストであると同時に、その論点が繰り返し使われる「問い方のパターン」のことです。この記事では、四科目それぞれについて、繰り返し問われている論点と、その論点で試験がどこを突いてくるのかを条文の根拠に沿って書き出していきます。読み終えたときに、テキストのどのページに時間を使うべきかが自分で判断できる状態を目指します。

    出題傾向を「年度」ではなく「論点」で捉える

    年度単位の分析があまり役に立たない理由

    受験生がまずやりがちなのが、直近の年度を並べて「去年はこれが出た、一昨年はこれが出た」と表にする作業です。この作業は達成感がある割に、次の試験への備えとしてはほとんど機能しません。理由は単純で、宅建試験は同じ問題を出さないからです。ある年に開発許可の面積要件が問われたとして、翌年に同じ数字を同じ角度から聞いてくることはまずありません。聞かれるのは、許可不要となる例外のほうだったり、変更の許可だったり、工事完了公告前後の建築制限だったりします。年度を追いかけると、この「同じ制度の別の角度」を取りこぼします。

    もうひとつ、年度別の分析は「出ていないから出ない」という誤った安心を生みます。しばらく正面から問われていない論点は、単に順番が回ってきていないだけであることが多く、出題可能性が下がったわけではありません。逆に「3年出ていないから今年は出る」という予測も、根拠のある推論ではありません。試験問題は抽選で決まるものではないので、周期を数えても当たりません。

    そこで本記事では、年度を単位にした集計はいっさい行いません。代わりに、制度ごとに「この制度が問題になるとき、試験は何を聞いてくるか」を書きます。これなら、どの角度から出されても対応できます。

    論点別に束ねるとはどういう作業か

    論点別に束ねるというのは、具体的には次の三つを言語化する作業です。第一に、その制度の要件と効果を条文の文言どおりに押さえること。第二に、その制度に用意されている例外を漏れなく挙げること。第三に、似た制度との違いを、比較の軸を決めたうえで説明できるようにすることです。

    宅建試験の四肢は、この三つのどこかを崩して作られます。要件をひとつ入れ替える、例外を原則のように書く、隣の制度のルールを持ってくる。この三つの崩し方を知っていれば、初見の肢でも「これは例外を原則のように書いた肢だ」と型で見抜けるようになります。過去問を解くときも、正誤を覚えるのではなく、どの型で崩されているかを見る癖をつけてください。過去問の使い方そのものは過去問の活用法で詳しく扱っています。

    揺るがない前提としての科目別出題数

    出題傾向を語るうえで唯一、毎年動かない数字が科目別の出題数です。宅建試験は四肢択一50問で、内訳は宅建業法20問、権利関係14問、法令上の制限8問、税その他8問です。このうち登録講習修了者は問46から問50までの5問が免除されます。

    この配分は、学習の優先順位をほぼ決めてしまいます。宅建業法だけで全体の4割を占め、しかも出題範囲が一本の法律に収まっているため、投じた時間がそのまま得点に変わりやすい。一方で権利関係は14問ありますが、民法という巨大な範囲から出るので、時間あたりの得点効率は宅建業法に大きく劣ります。得点計画の立て方は宅建の科目別攻略法で数字を追って整理しています。

    宅建業法の出題傾向

    宅建業法は、範囲の狭さに対して問題数が多く、条文の文言がそのまま肢になる科目です。ここを固めきれるかどうかが合否を分けます。科目全体の地図は宅建業法の全体像、頻出論点の絞り込みは宅建業法の頻出論点を参照してください。

    35条書面と37条書面の書き分け

    宅建業法でもっとも繰り返し問われているのが、重要事項説明書(35条書面)と契約書面(37条書面)です。この二つは、交付の時期、説明義務の有無、交付の相手方、記載事項の必須と任意の別、という四つの軸で違います。

    交付の時期について、35条書面は契約が成立するまでの間に交付し、説明します(宅建業法35条1項)。37条書面は契約が成立したあと、遅滞なく交付します(同法37条1項)。この前後関係は、肢の主語をひっくり返すだけで誤りの肢が作れるため、定番の崩し方になっています。

    説明義務については、35条書面には宅地建物取引士による説明が必要で、その際に取引士証を提示しなければなりません(同法35条4項)。37条書面には説明義務がなく、交付すれば足ります。どちらの書面にも取引士の記名は必要です。「37条書面も取引士が説明しなければならない」という肢は誤りですが、「37条書面には取引士の記名が不要」という肢も誤りです。要求されているものとされていないものを、書面ごとに二段階で整理してください。

    交付の相手方も差が出ます。35条書面は、これから権利を取得しようとする者、つまり買主や借主に対して交付・説明します。売主に対する説明義務はありません。これに対して37条書面は契約の当事者双方に交付します。媒介で売買契約が成立したなら、売主にも買主にも交付が必要です。この非対称は、二つの書面の目的の違いから来ています。35条書面は判断材料を与えるための書面なので、判断する側にだけ渡せばよく、37条書面は成立した合意の内容を確定させるための書面なので、両当事者に渡す必要があるわけです。

    記載事項の比較は、丸暗記の前に「必ず書くもの」と「定めがあるときだけ書くもの」の区別を作るのが先です。37条書面では、既存建物の建物状況調査を実施した場合の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者双方が確認した事項などが必須記載事項である一方、代金以外の金銭の授受に関する定め、契約解除に関する定め、損害賠償額の予定または違約金に関する定めなどは、定めがあるときに記載する事項です。「定めがなければ書かなくてよい」ものを「常に必要」と書き換えるのが、頻出の崩し方です。二つの書面の対応関係は35条書面と37条書面の横断整理で軸ごとに並べています。

    電磁的方法による提供も出題の対象です。相手方の承諾を得れば、35条書面も37条書面も書面の交付に代えて電磁的方法で提供できます。承諾が前提である点、承諾は相手方から得るものである点が問われます。IT重説の実務的な要件は重要事項説明とIT重説にまとめました。

    8種制限は「適用場面」から入る

    自ら売主制限、いわゆる8種制限は、内容を覚える前に適用場面を固定してください。適用されるのは、宅建業者が自ら売主となり、かつ買主が宅建業者でない場合に限られます(宅建業法78条2項)。業者間取引には適用されません。媒介や代理で関与しただけの取引にも適用されません。試験は、この入口をずらして「業者間の売買でクーリング・オフができる」といった肢を作ります。まず適用場面を確認する、という手順を体に入れておくと、こうした肢を内容の検討に入る前に切れます。適用の可否そのものは8種制限が適用されない場面で場合分けしています。

    内容面では、クーリング・オフ、手付の額の制限、手付金等の保全措置、損害賠償額の予定等の制限が繰り返し問われます。クーリング・オフは、事務所等以外の場所で買受けの申込みをした場合に、書面で告げられた日から起算して8日以内であれば書面により撤回できる制度で、宅地建物の引渡しを受け、かつ代金の全額を支払ったときはできなくなります(同法37条の2)。ここでは「告げられた日から」という起算点と、「引渡しと代金全額支払いの両方が揃ったとき」という消滅要件が狙われます。片方だけで消滅するかのように書いた肢は誤りです。

    手付については、代金の額の10分の2を超える手付を受領できず、受領した手付は解約手付とみなされます(同法39条)。損害賠償額の予定と違約金は、合算して代金の額の10分の2を超える定めができません(同法38条)。同じ「10分の2」でも、対象が手付なのか賠償額の予定なのかで別の条文です。8種制限を横断して見比べるなら8種制限の横断整理が使えます。

    免許と宅建士は「欠格事由」で交差する

    免許制度と宅建士制度は、どちらも欠格事由が中心論点で、しかも二つの制度で内容が微妙に違います。試験はこの微妙な違いを突いてきます。免許の基準は宅建業法5条、登録の基準は同法18条にあり、法人の役員に関する規定の有無や、事務禁止処分を受けた者の扱いなどで差があります。片方の知識でもう片方の肢を判断すると間違えるので、二つを並べて違いだけを覚えるのが効率的です。欠格事由の整理は免許の欠格事由、免許制度全体は宅建業の免許制度に譲ります。

    専任の宅地建物取引士の設置も定番です。事務所には業務に従事する者の数に対して5分の1以上、契約を締結するなどの一定の案内所等には1人以上の専任取引士を置く必要があります。人数の基準と、設置が必要な場所の範囲、欠けた場合の2週間以内の補充が、それぞれ肢になります。

    保証金制度は二つの制度の対比で出る

    営業保証金と弁済業務保証金は、単独で出ることもありますが、二つを混ぜた肢が作られやすい論点です。営業保証金は主たる事務所とその他の事務所ごとに定められた額を、主たる事務所の最寄りの供託所に供託し、供託した旨を免許権者に届け出た後でなければ事業を開始できません。保証協会の社員になる場合は、弁済業務保証金分担金を金銭で協会に納付し、協会が供託します。供託するのが誰か、納付できるのは金銭に限られるのか有価証券でもよいのか、還付があったときに誰が何日以内に何をするのか。この三点が入れ替えの素材になります。それぞれの詳細は営業保証金保証協会と弁済業務保証金で扱っています。

    報酬・広告・業務上の規制・監督処分

    報酬の制限は計算問題として出る年もあれば、消費税の扱いや、依頼者の双方から受け取れる額の上限を問う形で出る年もあります。売買の媒介では、代金の額に応じた速算式で一方から受け取れる上限が決まり、代理の場合はその2倍が上限になります。貸借では、居住用建物の媒介について、依頼者の承諾がない限り一方から受け取れるのは借賃の2分の1が上限です。計算の型は報酬計算の出題パターンで場合分けしてあります。

    広告規制では、誇大広告等の禁止、広告開始時期の制限、取引態様の明示が問われます。広告開始時期の制限は、未完成物件について開発許可や建築確認などの処分があった後でなければ広告できないというもので、「契約は締結できないが広告はできる」といった書き換えが定番です。取引態様の明示は、広告のときと注文を受けたときの両方で必要である点が繰り返し問われます。詳細は広告規制取引態様の明示を参照してください。

    監督処分は、指示処分、業務停止処分、免許取消処分の三段階と、それぞれの処分権者が中心です。国土交通大臣免許の業者に対して都道府県知事が処分できる範囲があること、免許取消しが必要的なものと任意的なものに分かれることが問われます。監督処分と罰則に一覧があります。

    権利関係の出題傾向

    権利関係は14問ですが、範囲は民法全体に加えて借地借家法、区分所有法、不動産登記法に及びます。全問正解を狙う科目ではなく、取るべき論点を決めて確実に取る科目です。科目の地図は権利関係の全体像にあります。

    特別法の三つは枠がほぼ固定されている

    権利関係のうち、借地借家法、区分所有法、不動産登記法の三つは、毎年のように出題される固定枠として扱ってよい論点群です。民法本体より範囲が狭く、条文の数も限られているため、投下時間あたりの回収が最も良いところです。

    借地借家法は、借地と借家で別の論点として出ます。借地では存続期間と更新後の期間、建物再築による延長、定期借地権の三類型の要件が中心です。一般定期借地権は存続期間50年以上で特約を書面または電磁的記録で行うこと、事業用定期借地権は存続期間10年以上50年未満で公正証書によること、建物譲渡特約付借地権は30年以上経過後に建物を譲渡する旨を定めることが、それぞれの識別点です。数字と要式行為の組み合わせを入れ替える肢が多いので、三つを並べて覚えます。借家では、期間の定めのある建物賃貸借で1年未満の期間を定めたときは期間の定めがないものとみなされること、更新拒絶には正当事由が必要であること、定期建物賃貸借では公正証書等の書面によることに加えて事前に別個の書面を交付して説明する必要があることが問われます。数字まわりは借地借家法の数字、制度全体は借地借家法定期借家契約に分けて整理しています。

    区分所有法は、決議要件の数字がそのまま得点になる論点です。規約の設定・変更・廃止は区分所有者および議決権の各4分の3以上、建替えは各5分の4以上、共用部分の重大変更は各4分の3以上で、このうち区分所有者の定数は規約で過半数まで減じることができます。集会は管理者が少なくとも毎年1回招集しなければなりません。数字を入れ替える肢と、「区分所有者の数だけ」あるいは「議決権だけ」で足りるかのように書く肢が典型です。区分所有法集会の決議要件で詳しく扱っています。

    不動産登記法は、表示に関する登記の申請義務、権利に関する登記の共同申請の原則とその例外、仮登記の要件と本登記の手続が中心です。相続登記の申請義務化のように改正の入った箇所は、改正後しばらく問われやすい傾向があります。不動産登記の基礎から入るのが早いです。

    民法総則は意思表示と代理に集中する

    民法から出る論点のうち、意思表示と代理は繰り返し問われています。意思表示では、心裡留保、虚偽表示、錯誤、詐欺、強迫の五つについて、当事者間の効果と第三者との関係を分けて押さえます。詐欺による取消しは善意無過失の第三者に対抗できない一方、強迫による取消しは第三者の善意悪意にかかわらず対抗できる、という差が典型的な出題点です。錯誤は改正で無効から取消しに変わっているため、条文の効果を正確に書けるかが問われます。意思表示に事例ごとの整理があります。

    代理では、顕名の有無による効果、無権代理と相続、表見代理の三類型が中心です。表見代理は、代理権授与の表示による場合、権限外の行為による場合、代理権消滅後の場合の三つがあり、それぞれ相手方に要求される主観要件が問われます。自己契約・双方代理の禁止と、本人があらかじめ許諾した場合の扱いもよく出ます。代理制度復代理・自己契約・双方代理に分けてあります。

    物権と担保物権

    物権変動の対抗要件、すなわち登記がなければ第三者に対抗できないという原則と、その第三者から除かれる者の範囲は、判例を素材にした事例問題として出ます。背信的悪意者や不法占有者に対しては登記なくして対抗できる、という帰結を、事案の形で問われます。物権変動と対抗要件を先に読んでおくと事例が追いやすくなります。

    抵当権は、被担保債権の範囲、物上代位、法定地上権、抵当権消滅請求、根抵当権が論点です。法定地上権は成立要件の四つを事案に当てはめる形で問われるため、要件を暗記するだけでなく、土地と建物の所有者が誰かを図に書く練習が要ります。抵当権根抵当権を参照してください。

    債権と契約

    債務不履行と解除、危険負担、契約不適合責任、連帯債務と保証、賃貸借、不法行為が主な出題領域です。契約不適合責任では、買主が使える手段が追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、解除の四つであること、種類または品質の不適合については不適合を知った時から1年以内に通知しないと請求できなくなることが問われます。契約不適合責任に整理があります。

    賃貸借は、借地借家法の適用がある場合とない場合で結論が変わるため、まず適用の有無を確認する手順が要ります。賃借権の譲渡・転貸の承諾、敷金の承継、必要費・有益費の償還が定番の論点です。賃貸借敷金・礼金で扱っています。

    不法行為は、使用者責任と工作物責任が繰り返し問われます。工作物責任では、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは所有者が無過失責任を負う、という責任の移り方が出題点です。不法行為を参照してください。

    相続と、深追いしない領域の見切り

    相続は、法定相続分の計算、相続放棄、遺言の方式、遺留分が中心です。計算問題として出ることが多いので、代襲相続と、配偶者と各順位の相続人の組み合わせを手で書けるようにしておきます。相続相続放棄、遺言の方式は遺言の方式にまとめました。

    一方で、権利関係には毎年、判例の細部を突く難問が混じります。ここは初見で処理する前提を置き、時間をかけないと決めておくほうが総得点は上がります。捨てる論点の決め方は権利関係が苦手な人の戦略で具体的に書いています。

    法令上の制限の出題傾向

    法令上の制限は8問で、出題される法律の顔ぶれがほぼ決まっています。数字と手続の暗記科目なので、範囲を絞れば得点源になります。全体像は法令上の制限の横断整理、絞り込みは法令上の制限の頻出論点にあります。

    都市計画法は許可の要否と例外で問われる

    都市計画法からは、都市計画の内容そのものと、開発許可の二方向から問われます。都市計画の内容では、区域区分、用途地域の種類、地域地区、地区計画、都市施設、市街地開発事業といった制度の位置づけと、決定権者が論点になります。都市計画法都市計画の種類に分けて解説しています。

    開発許可は、許可が必要かどうかを面積と区域の組み合わせで判断させる問題が中心です。市街化区域、区域区分が定められていない都市計画区域、準都市計画区域、都市計画区域および準都市計画区域外のそれぞれで基準面積が異なり、市街化調整区域には規模による除外がありません。これに加えて、農林漁業用の一定の建築物のための開発行為や、公益上必要な建築物のための開発行為など、規模にかかわらず許可が不要となる例外があります。試験は、この例外を落とした肢や、区域を入れ替えた肢を作ります。面積要件は開発許可の面積要件、許可不要となる場合は開発許可が不要な場合にまとめてあります。

    建築基準法は集団規定に絞る

    建築基準法は条文数が膨大ですが、出題は集団規定に偏っています。用途制限、建蔽率と容積率、道路と接道義務、高さの制限が主な論点です。

    用途制限は、用途地域ごとにどの建築物が建てられるかを問う形式で、すべてを暗記しようとすると破綻します。両端から攻めるのが定石で、第一種低層住居専用地域に建てられるものと、工業専用地域に建てられないものを先に固定し、中間の地域は「住居系から商業系に向かって規制がゆるむ」という傾向で処理します。用途地域の覚え方にその手順を書いています。

    建蔽率と容積率は計算問題です。建蔽率では角地の緩和と防火地域内の耐火建築物等の緩和、容積率では前面道路の幅員による制限が計算の分かれ目になります。敷地が二つの用途地域にまたがる場合の按分計算も定番です。建蔽率・容積率の計算で手順を追ってください。

    道路関係では、幅員4m未満の道路のセットバックと、接道義務が問われます。数字は建築基準法の数字に集めてあります。

    国土利用計画法と農地法は手続の主体が焦点

    国土利用計画法は事後届出制が出題の中心で、届出が必要となる面積が区域ごとに異なること、届出義務者が権利取得者であること、契約締結日から起算した届出期限があることが問われます。当事者の一方が国や地方公共団体である場合など、届出が不要となる場合も定番です。国土利用計画法を参照してください。

    農地法は3条、4条、5条の区別が論点のすべてと言ってよい論点です。3条は農地を農地のまま権利移動する場合で農業委員会の許可、4条は自ら転用する場合、5条は転用目的の権利移動で、4条と5条は原則として都道府県知事等の許可です。市街化区域内の農地については、あらかじめ農業委員会に届け出れば4条・5条の許可が不要になりますが、3条にはこの特例がありません。この非対称が繰り返し狙われます。農地法農地法の3条・4条・5条に整理があります。

    土地区画整理法と盛土規制法

    土地区画整理法は、仮換地の指定による使用収益権の移転、換地処分の効果、保留地、清算金が論点です。仮換地が指定されると従前地の使用収益ができなくなる一方、所有権は換地処分まで移らない、という権利の分離が理解の山場になります。土地区画整理法で扱っています。

    宅地造成及び特定盛土等規制法は、規制区域の指定、許可が必要となる工事の規模、工事完了後の検査、土地の保全義務が問われます。区域の種類ごとに規制の内容が違う点が出題点です。盛土規制法の全体像を参照してください。

    税・その他の出題傾向

    税その他は8問で、税から2問前後、価格の評定から1問前後、残りが登録講習修了者の免除対象となる領域という構成で組まれるのが通例です。範囲が広い割に問題数が少ないため、深入りせず頻出論点だけを回すのが定石です。科目全体の戦略は税・その他の戦略、横断整理は税金の横断整理にあります。

    地方税は不動産取得税と固定資産税

    地方税からは不動産取得税と固定資産税が交互に問われる形が続いています。不動産取得税は都道府県が課す税で、課税主体、課税標準の特例、免税点、税率の特例が論点です。固定資産税は市町村が課す税で、賦課期日における所有者が納税義務者となること、住宅用地の課税標準の特例、新築住宅の税額の減額措置が論点になります。「誰が課すか」を取り違えさせる肢が定番なので、二つを並べて課税主体から確認する癖をつけてください。固定資産税不動産取得税の軽減に詳細があります。

    国税は印紙税・登録免許税・譲渡所得

    印紙税は、課税文書に当たるかどうかと、記載金額をどう読むかが出題点です。契約金額を減額する変更契約書の扱い、交換契約書の記載金額の読み方、贈与契約書の扱いなど、記載金額の判定にパターンがあります。印紙税にまとめました。

    登録免許税は住宅用家屋の軽減措置が中心で、床面積の要件、取得後の申請期限、自己居住用であることが論点です。登録免許税を参照してください。

    譲渡所得では、居住用財産の特別控除、所有期間による軽減税率、買換えの特例と、それらの併用の可否が問われます。所有期間の判定基準日が譲渡した年の1月1日である点が繰り返し狙われます。譲渡所得税で扱っています。

    価格の評定と免除科目

    地価公示法と不動産鑑定評価基準は、どちらか一方が問われる形が通例です。地価公示法では標準地の選定、価格判定の基準日、鑑定評価を求める人数、公示価格の効力が論点です。地価公示法にまとめてあります。不動産鑑定評価基準では、価格の種類と三つの鑑定評価手法の適用が問われます。不動産鑑定評価基準を参照してください。

    免除対象となる領域には、住宅金融支援機構、景品表示法に基づく不動産の表示に関する公正競争規約、統計、土地の知識、建物の知識が含まれます。機構は証券化支援業務が中心で、直接融資が例外的な位置づけであることが問われます。公正競争規約は、おとり広告の禁止と、徒歩による所要時間の表示方法などの具体的な基準が出ます。景品表示法と広告規制土地・建物の知識にそれぞれ整理があります。統計は年度ごとに数値が変わるため、直前期に最新の公表値を確認する扱いにします。統計問題の対策に、確認すべき資料の種類を挙げてあります。免除科目全体の攻め方は5問免除科目の攻略にあります。

    試験での出題ポイント

    ここまで論点別に見てきましたが、四科目を貫いて共通する「崩し方の型」があります。この型を知っていると、知識が曖昧な肢でも誤りを見つけられることがあります。

    主体をすり替える

    もっとも多いのが、行為をする人や許可を出す人を入れ替える型です。農地法で許可権者を農業委員会と都道府県知事で入れ替える、国土利用計画法の届出義務者を譲渡人にする、営業保証金の供託を協会が行うと書く、35条書面の説明の相手方に売主を含める。いずれも、内容自体は正しいことを書きながら主体だけを変えています。肢を読むときは、まず主語と、その行為の相手方に印をつけてください。

    原則と例外を裏返す

    例外を原則のように書く型も定番です。市街化調整区域の開発行為に面積による除外があるかのように書く、農地法3条に市街化区域の届出特例があるかのように書く、業者間取引に8種制限が及ぶかのように書く。この型は、例外の存在を知っているだけでは防げません。「どの制度にどの例外があるか」ではなく「この制度には例外がない」という否定形の知識まで持っている必要があります。

    数字を近い値に置き換える

    期間、面積、割合、人数は、正解より一段階だけずらした値に置き換えられます。8日を7日に、10分の2を10分の1に、4分の3を3分の2に、5分の1を10分の1に。数字は単独で覚えるとこの置き換えに気づけないので、なぜその数字なのかという趣旨とセットで覚えるか、同種の数字を並べて相対的に覚えるかのどちらかにしてください。

    「必ず」「すべて」「常に」を疑う

    断定を強める副詞が入っている肢は、例外の有無を確認する合図です。ただし断定表現がある肢が常に誤りというわけではなく、35条書面の交付が常に必要であるように、例外を持たない義務も存在します。副詞は「確認せよ」の合図であって、答えそのものではありません。

    要件をひとつだけ落とす

    複数の要件がそろって初めて成立する制度で、要件をひとつだけ書かずに結論を述べる型です。法定地上権、表見代理、クーリング・オフの消滅、定期建物賃貸借の要件などで使われます。要件が三つ以上ある制度は、要件を指折り数えられる状態にしておくと、この型を機械的に処理できます。

    覚え方・整理の仕方

    対比の軸を先に決める

    似た制度を覚えるときは、内容を並べる前に軸を決めます。35条書面と37条書面なら、時期、説明義務、相手方、記名。営業保証金と弁済業務保証金なら、供託する者、供託先、納付できる財産、還付後の手続。農地法3条・4条・5条なら、対象となる行為、許可権者、市街化区域の特例の有無。軸が決まると、覚える項目が格子状に並び、抜けている升目が自分で見えるようになります。表を作れという意味ではありません。軸ごとに口で説明できるかを確認する、という作業です。

    数字は同種でまとめて並べる

    宅建試験の数字は、制度をまたいで同じ値が出てきます。10分の2は手付の額の制限と損害賠償額の予定の上限、4分の3は規約の設定変更廃止と共用部分の重大変更、2週間は専任取引士の補充期間と国土利用計画法の事後届出期間。同じ値を集めて覚えると、想起の手がかりが増えます。科目ごとの数字は宅建業法の数字建築基準法の数字借地借家法の数字にそれぞれ集めてあります。

    手順に落として、迷う余地を減らす

    暗記でどうにもならない論点は、判断の手順に落とします。8種制限なら「売主は業者か、買主は業者以外か」を最初に確認する。借地借家法なら「借地借家法の適用があるか」を先に決める。開発許可なら「区域はどこか、面積はいくつか、例外に当たらないか」の順で見る。手順は書き出して、過去問を解くときに毎回同じ順で使ってください。何度か使うと、手順そのものが自動化されます。

    語呂は数字と順序にだけ使う

    語呂合わせは万能ではありません。効くのは、意味のつながりがない数字の羅列と、順序を覚えるべき項目です。用途制限のように項目間に傾向がある論点は、語呂よりも傾向の理解のほうが速く、応用も効きます。語呂の使いどころは語呂合わせの基本民法の語呂合わせに例があります。

    出題傾向を学習計画に反映させる

    論点の優先順位が決まったら、それを時間配分に変換します。配点の重い宅建業法に最大の時間を割き、法令上の制限と税その他は頻出論点に絞って回転数を上げ、権利関係は特別法と民法の頻出領域に集中して難問は捨てる。この方針を、週単位の予定に落としてください。計画の立て方は学習計画の立て方にまとめてあります。直前期の詰め方は直前期の学習を参照してください。

    理解度チェッククイズ

    Q1. 8種制限は、宅建業者が売主となる取引であれば、買主が宅建業者であっても適用される。(○か×か)

    答えを見る ×:8種制限は、宅建業者が自ら売主となり、かつ買主が宅建業者でない場合にのみ適用されます(宅建業法78条2項)。業者間取引には適用されません。適用場面を確認せずに内容の検討に入ると取りこぼす、典型的な出題パターンです。

    Q2. 37条書面は、契約が成立する前に交付しなければならない。(○か×か)

    答えを見る ×:37条書面は契約が成立したあと遅滞なく交付する書面です(宅建業法37条1項)。契約成立までの間に交付・説明するのは35条書面です(同法35条1項)。時期を入れ替える肢は、二つの書面を混ぜる出題の中でもっとも多い型です。

    Q3. 市街化区域内の農地を転用する場合、あらかじめ農業委員会に届け出れば、農地法4条の許可は不要となる。(○か×か)

    答えを見る ○:市街化区域内の農地については、あらかじめ農業委員会に届け出ることで4条および5条の許可が不要になります。ただしこの特例は3条には及びません。3条にも特例があるかのように書く肢が定番なので、特例の及ぶ範囲まで覚えてください。

    Q4. 詐欺による意思表示の取消しは、取消し前に現れた善意無過失の第三者にも対抗できる。(○か×か)

    答えを見る ×:詐欺による取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗できません(民法96条3項)。これに対して強迫による取消しは、第三者の主観を問わず対抗できます。詐欺と強迫を入れ替える肢が繰り返し作られています。

    Q5. ある論点が直近しばらく正面から問われていないという事実は、その論点の出題可能性が下がったことを意味する。(○か×か)

    答えを見る ×:出題は周期で決まるものではありません。しばらく問われていない論点は、単に別の角度からの出題が続いていただけである場合が多く、可能性が下がったとは言えません。年度を数えるのではなく、論点ごとに問われ方を押さえるのが、傾向対策の本筋です。

    まとめ

    出題傾向の把握とは、当てにいく作業ではなく、限られた時間をどこに置くかを決める作業です。宅建業法20問、権利関係14問、法令上の制限8問、税その他8問という配分は動かないので、まずこの配分に沿って時間を割り振ります。そのうえで、科目内では繰り返し問われている論点に絞り、それぞれについて要件・効果・例外・隣接制度との違いを言葉にできる状態を作ります。

    四科目に共通する崩し方の型は、主体のすり替え、原則と例外の裏返し、数字の置き換え、断定表現、要件の欠落です。この五つを念頭に置いて肢を読むと、知識が完全でなくても誤りを見つけられる場面が増えます。過去問を解くときは正誤の記憶ではなく、どの型で崩されているかを毎回言語化してください。

    そして、年度を単位にした分析には戻らないことです。年度ごとの出題を追う時間があるなら、ひとつの論点について例外まで説明できるようにするほうが、点に変わります。

    よくある質問

    Q. 頻出論点だけを勉強すれば合格できますか

    頻出論点だけで合格ラインに届く可能性はありますが、余裕はありません。頻出論点を確実に取り切ったうえで、その周辺の論点にも手を伸ばしておくほうが安全です。優先順位をつけるというのは、他を捨てるという意味ではなく、着手の順番と時間の配分を決めるという意味です。

    Q. 法改正が入った論点は出やすいのですか

    改正のあった箇所は、条文の内容が変わるため問題を作りやすく、改正後しばらくは問われやすい傾向があります。ただし改正だけを追いかけると基本が薄くなるので、基本を固めたうえで改正点を上乗せする順番にしてください。民法の改正点は民法改正のポイント、宅建業法の改正点は宅建業法の改正にまとめています。

    Q. 難問はどう扱えばよいですか

    権利関係を中心に、毎年一定数の難問が混ざります。難問を取るための学習は費用対効果が悪いので、本番では見切って時間を残し、確実に取れる問題の見直しに充てるほうが総得点は上がります。試験当日の時間配分は試験当日ガイドを参照してください。

    Q. 出題傾向はこの先も変わりませんか

    科目別の出題数のような試験の骨格は、制度の変更がない限り動きません。一方で、法改正や新しい制度の導入があれば、問われる論点は入れ替わります。骨格は固定、中身は毎年少しずつ更新される、という前提で学習計画を組むのが現実的です。

    宅建試験AIブートラボのアプリでは、この記事で挙げた論点を肢ごとに演習でき、間違えた論点だけを繰り返す形で復習できます。

    勉強法を読んだら、手を動かすところまで

    肢別演習と年度別演習で、立てた学習計画をそのまま実行に移せます。間違えた肢だけを繰り返す復習にも対応しています。

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