宅建試験の税金を横断整理|国税と地方税の一覧表
宅建試験に出る税金を国税と地方税に分け、課税主体・課税標準・税率・特例・非課税の軸で横断整理。条文根拠つきで取得・保有・譲渡の三段階から解説します。
目次
本記事は、宅建試験の「税・その他」で問われる税金を、取得・保有・譲渡という三つの段階と、国税か地方税かという二つの系統で横断整理するハブ記事です。各税の細かい計算や特例の要件は個別記事に譲り、ここでは税どうしの関係と、混同しやすい軸の切り分けに集中します。税分野全体の学習戦略は税・その他の攻略法、不動産の税金の入り口は不動産にかかる税金の全体像を先に読むと位置づけが見えます。
結論を先に述べます。税分野で混乱が起きるのは、税ごとに縦に暗記するからです。課税主体、課税客体、課税標準、税率、特例、非課税という六つの軸を決めて横に並べれば、税の数が増えても覚える枠は増えません。そして国税か地方税かという区別は単なる分類ではなく、特例がどの法律に置かれるかを決めています。国税の特例は租税特別措置法に、地方税の特例は地方税法本体か同法附則に置かれる。この構造がわかると、期限つきの軽減措置と恒久的な特例の見分けもつきます。
なお、本記事の税率・控除額は2026年8月28日時点で確認できる法令に基づくものです。宅建試験は原則として試験を実施する年度の4月1日現在で施行されている規定に基づいて出題されると、一般財団法人不動産適正取引推進機構が公表する試験実施概要に示されています。適用期限が定められている措置については延長の有無を断定できないため、受験年度の最新情報を必ず確認してください。
三段階と二系統で税の地図を作る
取得・保有・譲渡という時間軸
不動産に関する税金は、その不動産を手に入れるとき、持ち続けているとき、手放すときの三つの場面に分けられます。この分け方が有効なのは、同じ不動産でも課税の理由がそれぞれ違うからです。
取得の場面では、不動産取得税、登録免許税、印紙税、そして建物については消費税がかかります。不動産取得税は財産を取得したという担税力に、登録免許税は登記という国家の役務の提供に、印紙税は契約書という文書の作成に、それぞれ着目した課税です。同じ「取得時」でも課税の対象がまったく違う点が、この場面を理解する鍵になります。
保有の場面では、固定資産税と都市計画税がかかります。どちらも毎年、賦課期日である1月1日現在の所有者に課される財産税です。賃貸に出していれば不動産所得として所得税・住民税もかかりますが、宅建試験ではこちらの出題は多くありません。
譲渡の場面では、売却益に対して所得税と住民税がかかります。譲渡所得は他の所得と合算せず単独で税率を掛ける分離課税であり、給与所得などとは扱いが異なります。加えて売買契約書には印紙税がかかるため、印紙税は取得側と譲渡側の両方に顔を出します。
国税と地方税という系統
もう一つの軸が、誰が課税するかです。国が課すのが国税、都道府県や市町村が課すのが地方税です。宅建試験に出る税を分けると、国税は印紙税、登録免許税、所得税、贈与税、相続税、消費税、地方税は不動産取得税、固定資産税、都市計画税、住民税となります。
地方税のうち、不動産取得税は道府県税(地方税法4条2項)、固定資産税と都市計画税は市町村税(同法5条2項・6項)です。東京23区の区域内では、固定資産税と都市計画税も都が課税するという特例が置かれています。「不動産取得税は市町村税」「固定資産税は都道府県税」という入れ替えは最も基本的な引っかけなので、取得は都道府県、保有は市町村、と場面と結びつけて覚えます。
六つの軸で並べる
税ごとの縦の暗記をやめ、次の六つの軸で横に並べると整理が進みます。誰が課すかという課税主体、何に対して課すかという課税客体、何を基準に税額を計算するかという課税標準、税率、どんな場合に軽くなるかという特例、そもそも課されない非課税の六つです。
以降の各章はこの軸に沿って書いています。試験問題も結局はこの六つのどれかを入れ替えて誤りを作っているため、どの軸の話をしているのかを意識して読むと、出題者の作問手順が見えてきます。
国税か地方税かが特例の姿を決める
特例が置かれる法律が違う
ここが横断整理の核心です。国税の軽減措置は、原則として租税特別措置法に置かれます。登録免許税の住宅用家屋の軽減も、居住用財産の3,000万円特別控除も、住宅ローン控除も、すべて租税特別措置法の条文です。一方、地方税の特例は地方税法本体か、その附則に置かれます。固定資産税の住宅用地の特例は地方税法349条の3の2、不動産取得税の新築住宅の控除は同法73条の14です。
なぜこれが重要かというと、条文の置き場所が特例の性格をおおむね示すからです。租税特別措置法という名前のとおり、そこに置かれた措置は政策目的で期間を区切って設けられるのが基本です。地方税法の本体に置かれた特例は、住宅政策として定着した恒久的なものが多い。この対応関係を知っていると、どの数字が改正で動きやすいかの見当がつきます。
本体にある特例と附則にある特例
さらに一段細かく見ると、地方税法の中でも本体と附則で性格が分かれます。固定資産税の住宅用地の特例(地方税法349条の3の2)や不動産取得税の新築住宅の1,200万円控除(同法73条の14第1項)は本体の条文で、期限の定めがありません。これに対し、不動産取得税の税率を4%から3%に下げる措置(同法附則11条の2)、宅地評価土地の課税標準を価格の2分の1とする措置(同法附則11条の5)、新築住宅の固定資産税を一定期間2分の1に減額する措置(同法附則15条の6ほか)は、いずれも附則に置かれた期限つきの措置です。
したがって「不動産取得税の税率は3%である」という記述は、正確には「本則4%だが、附則の特例により当分の間3%とされている」という二段構えになります。試験では本則税率と特例税率のどちらを答えさせているのかが問題文から読み取れるように作られていますが、まず本則を押さえたうえで特例を乗せる順序で覚えるのが安全です。期限つきの措置は延長されることも失効することもあるため、受験年度の4月1日時点の内容を確認してください。
課税標準の特例と税額の特例
もう一つ、特例の効き方にも二種類あります。課税標準を小さくする特例と、算出した税額そのものを減らす特例です。
課税標準を小さくするタイプの代表が、固定資産税の住宅用地の特例(評価額に6分の1または3分の1を乗じる)と、不動産取得税の新築住宅の控除(課税標準から1,200万円を控除)です。税額を直接減らすタイプの代表が、新築住宅に係る固定資産税の減額措置(税額を2分の1に減額)と、住宅ローン控除(所得税額から控除)です。
この違いは計算問題で効きます。課税標準を減らす特例は税率を掛ける前に、税額を減らす特例は税率を掛けた後に適用します。順序を逆にすると答えが変わるため、税金の計算問題の解き方で手順とセットで練習しておくと確実です。
この節の要点は次のとおりです。
- 国税の特例は租税特別措置法、地方税の特例は地方税法本体か附則に置かれる
- 地方税法の附則に置かれた措置は期限つきで、本体の特例は期限の定めがない
- 課税標準を減らす特例と税額を減らす特例は、計算の適用順序が違う
取得の税(1) 不動産取得税
課税主体と課税客体
不動産取得税は道府県が課す地方税で、不動産の取得に対して課されます(地方税法73条の2第1項)。ここでいう取得には、売買だけでなく交換、贈与、新築、増改築が含まれ、有償か無償かを問いません。さらに、登記をしたかどうかも問いません。未登記のまま取得しても課税されるという点は、登記に着目する登録免許税との決定的な違いです。
一方、相続による取得は非課税とされています(地方税法73条の7第1号)。法人の合併や一定の分割による取得も同様です。相続は被相続人の地位をそのまま承継するもので、新たに担税力のある財産を取得したとは評価しにくいという理由づけです。ここで注意したいのが贈与との対比で、贈与による取得は課税されます。「相続は非課税、贈与は課税」という組み合わせは、そのまま正誤判定の材料になります。相続と贈与の税務上の扱いは贈与税と相続税の基礎で整理しています。
課税標準と税率
課税標準は、原則として固定資産課税台帳に登録された価格、つまり固定資産税評価額です(地方税法73条の21第1項)。実際の売買価格ではありません。ここも頻出で、「購入価格を課税標準とする」という記述は誤りになります。固定資産税評価額は3年ごとの基準年度に評価替えされ、公示価格の7割程度を目途とする運用が行われています。価格の体系は地価公示の仕組みで確認できます。
税率は本則で4%です(地方税法73条の15)。ただし住宅および土地の取得については、附則の特例により3%とされています(同法附則11条の2)。住宅ではない家屋、たとえば店舗や事務所を取得した場合は本則の4%のままです。「住宅以外の家屋も3%」という記述は誤りであり、ここは軽減の対象範囲を入れ替える形で出題されます。この特例には適用期限が定められているため、受験年度の最新の内容を確認してください。
加えて、宅地および宅地比準土地については、課税標準を価格の2分の1とする特例があります(地方税法附則11条の5)。土地の取得ではこの2分の1と税率3%が重なるため、実際の負担は本則から大きく下がります。
免税点と新築住宅の控除
課税標準となるべき額が一定額に満たない場合は課税されません。この基準を免税点といい、土地の取得は10万円、家屋の建築による取得は23万円、売買など建築以外による家屋の取得は12万円です(地方税法73条の15の2第1項)。三つの数字がそれぞれ違う点と、家屋が建築と建築以外で分かれる点が問われます。
新築住宅については、課税標準から1,200万円を控除する特例があります(地方税法73条の14第1項)。要件は床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下であること(貸家共同住宅の場合は40平方メートル以上240平方メートル以下)で、控除は住宅一戸ごとに適用されます。認定長期優良住宅にはさらに大きい控除額が附則で定められています。中古住宅についても、個人が自己の居住用に取得した場合に限り、新築された時期に応じた額を控除する特例があります。新築は個人・法人を問わないが、中古住宅の控除は個人の居住用に限られる、という差が問われます。軽減措置の細部は不動産取得税の軽減措置にまとめています。
なお、徴収方法は普通徴収です(地方税法73条の17第1項)。納税者が自分で計算して申告するのではなく、道府県から送られてくる納税通知書で納めます。申告納付とする記述は誤りです。
この節の要点は次のとおりです。
- 課税主体は道府県、課税客体は不動産の取得で、有償無償も登記の有無も問わない
- 相続による取得は非課税だが贈与による取得は課税される
- 課税標準は固定資産税評価額、本則税率4%、住宅と土地は附則の特例で3%
取得の税(2) 登録免許税と印紙税
登録免許税は登記に課される国税
登録免許税は、登記や登録を受けることに対して国が課す税です。納税義務者は登記等を受ける者であり、登記を受ける者が2人以上あるときは連帯して納付する義務を負います(登録免許税法3条)。売買による所有権移転登記では売主と買主の双方が納税義務者となり、実務上どちらが負担するかは当事者間の取決めにすぎません。
課税標準は不動産の価額で、当分の間は固定資産課税台帳の登録価格によるとされています(登録免許税法附則7条)。ここは不動産取得税と共通で、どちらも固定資産税評価額を基礎とします。ただし抵当権の設定登記だけは例外で、課税標準は債権金額です。担保する債権の額に応じて課税されるという理屈で、不動産の価額とは無関係になります。この一点だけ違う、という形で押さえます。
税率は登記の種類ごとに登録免許税法別表第一で定められています。所有権の保存登記は0.4%、売買による所有権の移転登記は2%、相続による所有権の移転登記は0.4%、抵当権の設定登記は0.4%が本則です。相続による移転が売買より低い税率とされているのは、相続が対価を伴わない承継だからです。
住宅用家屋の軽減とその要件
租税特別措置法には、住宅用家屋についての軽減税率が置かれています。自己居住用の住宅用家屋の所有権保存登記は0.15%(租税特別措置法72条の2)、所有権移転登記は0.3%(同法73条)、住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権設定登記は0.1%(同法75条)です。土地の売買による所有権移転登記についても、本則2%を1.5%とする措置があります(同法72条)。いずれも適用期限が定められているため、受験年度の最新の内容を確認してください。
住宅用家屋の軽減で押さえるべきは要件です。個人が自己の居住の用に供する家屋であること、床面積が50平方メートル以上であること、新築または取得後1年以内に登記を受けることが基本です。したがって法人が取得した家屋には適用されず、個人であっても投資用や別荘には適用されません。「法人が社宅として取得した住宅にも軽減税率が適用される」という記述は誤りになります。
非課税となるのは、国や地方公共団体等が自己のために受ける登記です(登録免許税法4条1項)。また、建物の表示に関する登記は原則として課税されません。納付は現金納付が原則ですが、税額が3万円以下の場合などには印紙による納付も認められています(登録免許税法21条、22条)。登記の仕組みそのものに不安があれば登録免許税と印紙税の基本を先に確認してください。
印紙税は文書に課される国税
印紙税は、契約書や領収書といった課税文書の作成に対して課される国税です。納税義務者は課税文書の作成者であり、2以上の者が共同して作成した場合は連帯して納付する義務を負います(印紙税法3条)。契約書を2通作成して当事者がそれぞれ保存する場合、2通とも課税文書になります。「1通に貼ればよい」という記述は誤りです。
課税対象となる文書は印紙税法別表第一に限定列挙されています。不動産の譲渡に関する契約書と土地の賃借権の設定に関する契約書は第1号文書、請負に関する契約書は第2号文書、売上代金に係る金銭の受取書は第17号文書です。ここで最も問われるのが、建物の賃貸借契約書は課税文書ではないという点です。土地の賃借権の設定に関する契約書は課税されるのに、建物の賃貸借契約書は課税されない。この非対称は毎年のように狙われます。
記載金額の判定にも独特のルールがあります。交換契約書は、双方の不動産の価額が記載されているときは高いほうの金額が、交換差金のみが記載されているときはその差金が記載金額になります。契約金額を変更する契約書は、増額のときは増加額が記載金額となり、減額のときは記載金額のない契約書として扱われます。贈与契約書も対価がないため記載金額のない契約書です。また、消費税額等が区分して記載されている場合、その消費税額は記載金額に含めません。
非課税となるのは、国や地方公共団体が作成した文書です(印紙税法5条2号)。ここで頻出なのが共同作成の扱いで、国等と私人が共同して作成した文書は、国等が保存するものは私人が作成したものとみなし、私人が保存するものは国等が作成したものとみなすと定められています(同法4条5項)。結果として、私人の手元に残る文書が非課税になります。直感と逆になるため、結論を先に覚えてしまうのが得策です。
印紙を貼らなかった場合は、本来の税額とその2倍に相当する金額、合計で3倍の過怠税が課されます。ただし調査を受ける前に自主的に申し出た場合は1.1倍に軽減されます(印紙税法20条)。消印をしなかった場合は、消印されていない印紙の額面金額に相当する過怠税が課されます。重要なのは、印紙を貼らなくても契約そのものは有効だという点です。印紙税は文書の作成に対する課税であって、契約の効力とは無関係です。文書ごとの税額の考え方は印紙税の課税文書一覧で整理しています。
この節の要点は次のとおりです。
- 登録免許税の課税標準は固定資産税評価額だが、抵当権設定登記だけは債権金額
- 住宅用家屋の軽減は個人の自己居住用・床面積50平方メートル以上・取得後1年以内が基本要件
- 建物の賃貸借契約書は印紙税の課税文書ではなく、印紙を貼らなくても契約は有効
保有の税 固定資産税と都市計画税
誰に、いつ時点で課されるか
固定資産税は市町村が課す地方税で、納税義務者は賦課期日である1月1日現在において固定資産課税台帳に所有者として登録されている者です(地方税法343条1項、359条)。ここから二つの帰結が出ます。第一に、年の途中で売却しても、その年度の納税義務者は1月1日時点の所有者のままです。売買の際に日割りで精算するのは当事者間の合意にすぎず、納税義務者が買主に移るわけではありません。第二に、台帳への登録が基準になるため、実際の所有者と登記名義人が食い違う場合の扱いが問題になります。
例外として、質権または存続期間が100年より長い地上権が設定されている土地については、所有者ではなく質権者または地上権者が納税義務者となります(地方税法343条1項)。100年という数字はここでしか出てこないため、そのまま覚えます。
都市計画税も市町村が課しますが、性格が違います。都市計画事業や土地区画整理事業に充てるための目的税であり、原則として市街化区域内に所在する土地および家屋が課税対象です(地方税法702条1項)。固定資産税が区域を問わず課されるのに対し、都市計画税は市街化区域に限られる。この対比が両者を分ける最初の軸です。
税率の性格が違う
固定資産税の税率は標準税率1.4%です(地方税法350条1項)。標準税率とは、市町村が通常よるべき税率であって、財政上その他の必要があると認める場合には異なる税率を定めることができるものを指します。現行法では固定資産税に制限税率の定めはありません。
これに対し都市計画税は0.3%が制限税率です(地方税法702条の4)。制限税率とは、これを超えて課税してはならない上限を意味します。つまり固定資産税は上限が定められておらず、都市計画税には上限がある。標準税率と制限税率という用語の違いをそのまま入れ替える出題があるため、「固定資産税は標準税率1.4%、都市計画税は制限税率0.3%」とセットで記憶します。
免税点も押さえます。同一市町村内に同一人が所有する固定資産の課税標準額の合計が、土地30万円、家屋20万円、償却資産150万円に満たない場合は課税されません(地方税法351条)。不動産取得税の免税点(土地10万円、家屋の建築23万円、その他12万円)と数字が違うので、混ぜないよう注意します。
住宅用地の特例はなぜ割合が違うのか
住宅用地については、課税標準を圧縮する特例が置かれています。固定資産税では、200平方メートル以下の部分である小規模住宅用地は評価額の6分の1、200平方メートルを超える部分である一般住宅用地は3分の1になります(地方税法349条の3の2)。都市計画税では、小規模住宅用地が3分の1、一般住宅用地が3分の2です(地方税法702条の3)。
四つの数字を並べて丸暗記すると必ず混乱します。構造で捉えるなら、都市計画税の割合は固定資産税の割合をちょうど2倍にしたものだと気づけば足ります。6分の1の2倍が3分の1、3分の1の2倍が3分の2です。都市計画税のほうが軽減幅が小さいのは、税率自体が0.3%と低く、負担調整の必要が固定資産税ほど大きくないためだと理解しておきます。
新築住宅については、固定資産税の税額を一定期間2分の1に減額する措置があります(地方税法附則15条の6ほか)。減額されるのは床面積120平方メートルまでの部分に対応する税額で、期間は一般の住宅で3年度分、3階建以上の中高層耐火建築物で5年度分です。この減額は都市計画税にはありません。附則に置かれた期限つきの措置であるため、受験年度の最新の内容を確認してください。特例の細部は固定資産税、負担を抑える実務的な視点は固定資産税を安くする方法で扱っています。
手続に関する数字
固定資産税は手続面からも出題されます。納期は4月、7月、12月および2月中において市町村の条例で定めるのが原則です(地方税法362条1項)。土地価格等縦覧帳簿の縦覧期間は、4月1日から、4月20日または当該年度の最初の納期限の日のいずれか遅い日以後の日までとされています(同法416条1項)。登録価格に不服がある場合は、固定資産評価審査委員会に対し、納税通知書の交付を受けた日後3か月以内に審査の申出をします(同法432条1項)。価格は原則として3年ごとの基準年度に評価替えが行われ、その後2年度は据え置かれます(同法341条6号、349条)。なお都市計画税は固定資産税と併せて賦課徴収されます(同法702条の8第1項)。
この節の要点は次のとおりです。
- 納税義務者は1月1日現在の所有者。年の途中で売っても納税義務者は変わらない
- 固定資産税は標準税率1.4%で上限なし、都市計画税は制限税率0.3%
- 住宅用地の特例は都市計画税の割合が固定資産税のちょうど2倍になっている
譲渡の税 譲渡所得と居住用財産の特例
分離課税と所有期間の判定
土地建物を売って利益が出た場合、その譲渡所得は給与所得などと合算せず、単独で税率を掛ける分離課税の対象になります。譲渡所得の金額は、譲渡による収入金額から取得費と譲渡費用を差し引き、さらに特別控除額を差し引いて計算します。取得費が不明な場合は収入金額の5%を取得費とする取扱いが認められています(租税特別措置法31条の4および国税庁の取扱い)。
税率は所有期間で分かれます。長期譲渡所得は所得税15%と住民税5%の合計20%(租税特別措置法31条)、短期譲渡所得は所得税30%と住民税9%の合計39%(同法32条)です。加えて2037年までは復興特別所得税として所得税額の2.1%が上乗せされますが、宅建試験ではこの上乗せを考慮しない形で出題されるのが通例です。
最重要の論点は所有期間の判定基準です。長期か短期かは、譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるかどうかで判定します。実際に保有していた期間ではありません。たとえば2021年6月に取得して2026年8月に売却した場合、実際の保有期間は5年2か月ですが、2026年1月1日時点では4年7か月なので短期譲渡所得になります。この基準は毎年のように問われるので、「1月1日でいったん時計を止める」と覚えます。
居住用財産の三つの特例と併用関係
マイホームを売った場合には、税負担を軽くする特例が複数用意されています。整理の要点は、それぞれの所有期間要件と、どれとどれが併用できるかです。
第一が、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除です(租税特別措置法35条1項)。譲渡所得から最高3,000万円を控除します。この特例の最大の特徴は、所有期間の要件がないことです。取得してすぐ売っても適用できます。代わりに、居住しなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡することが求められ、配偶者や直系血族など特別の関係にある者への譲渡には適用されません。前年または前々年に同じ特例を受けている場合も適用されないため、実質的に3年に1度しか使えません。
第二が、軽減税率の特例です(租税特別措置法31条の3)。譲渡した年の1月1日において所有期間が10年を超える居住用財産について、課税長期譲渡所得金額のうち6,000万円以下の部分は所得税10%と住民税4%の合計14%、6,000万円を超える部分は通常の20%となります。この特例は3,000万円特別控除と併用できます。3,000万円を控除した後の金額に軽減税率を適用する、という順序です。
第三が、特定の居住用財産の買換えの特例です(租税特別措置法36条の2)。所有期間10年超かつ居住期間10年以上、譲渡対価1億円以下といった要件のもとで、課税を将来に繰り延べます。繰延べであって免除ではない点が本質で、買い換えた資産を将来売るときに課税が復活します。この特例は3,000万円特別控除や軽減税率とは選択適用であり、併用できません。適用期限が定められているため、受験年度の最新の内容を確認してください。
このほか、収用等により資産を譲渡した場合の5,000万円特別控除(租税特別措置法33条の4)や、被相続人の居住用家屋を相続した相続人が譲渡した場合の3,000万円特別控除(同法35条3項)もあります。後者も期限つきの措置です。
損失が出たときの扱い
土地建物の譲渡損失は、原則として他の所得と損益通算できません。ただし居住用財産には例外があり、買換えを伴う場合は租税特別措置法41条の5、買換えを伴わず住宅ローン残高がある場合は同法41条の5の2により、一定の要件のもとで損益通算と3年間の繰越控除が認められます。いずれも譲渡した年の1月1日において所有期間5年超であることが要件です。
利益が出たときの特例は10年超が軸、損失が出たときの特例は5年超が軸、と対にして覚えると混同しません。計算手順は譲渡所得税の基礎で扱っています。
この節の要点は次のとおりです。
- 所有期間は譲渡した年の1月1日で判定する。実際の保有期間ではない
- 3,000万円特別控除は所有期間要件なし、軽減税率と買換え特例は10年超
- 3,000万円特別控除と軽減税率は併用可、買換え特例とは選択適用
資金と承継の税 住宅ローン控除・贈与税・相続税
住宅ローン控除は税額から引く
住宅借入金等特別控除、いわゆる住宅ローン控除は、年末の住宅ローン残高に一定の控除率を掛けた額を所得税額から差し引く制度です(租税特別措置法41条)。所得控除ではなく税額控除である点が重要で、課税所得を減らすのではなく、計算された税額から直接引きます。控除しきれない額は一定の範囲で住民税からも控除されます。
主な要件は、償還期間が10年以上の借入れであること、床面積が原則50平方メートル以上であること、合計所得金額が2,000万円以下であること、取得の日から6か月以内に居住し引き続き居住していることです。控除率、控除期間、借入限度額は入居した年や住宅の環境性能によって異なり、改正も頻繁であるため、受験年度の最新の内容を確認してください。制度の詳細は住宅ローン控除の仕組みにまとめています。
ここで横断整理として押さえたいのが、居住用財産の譲渡の特例との併用制限です。3,000万円特別控除や軽減税率、買換え特例の適用を受けた場合、居住年とその前後の一定期間については住宅ローン控除を受けられません。旧居を売って新居を買うという典型的な住み替えで、売却側の特例と購入側の控除が衝突する形になります。どちらが有利かは金額次第であり、両方使えるという前提で計算させる出題は誤りです。
贈与税の二つの課税方式
贈与税には暦年課税と相続時精算課税の二つの方式があります。暦年課税は年間110万円の基礎控除を超えた部分に10%から55%の累進税率を課すもので、贈与者にも受贈者にも要件はありません。
相続時精算課税は、贈与時にはいったん軽く課税し、相続時に精算する方式です(相続税法21条の9以下)。特別控除は累計2,500万円で、これを超える部分に一律20%の税率が適用されます。贈与者は60歳以上の父母または祖父母、受贈者は18歳以上の子または孫であることが要件です。2024年1月1日以後の贈与からは、この方式にも年110万円の基礎控除が設けられました(租税特別措置法70条の3の2)。改正が新しい部分なので、古い教材との食い違いに注意してください。
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合には、一定額まで贈与税が非課税となる特例があります(租税特別措置法70条の2)。非課税限度額は省エネ等住宅が1,000万円、それ以外の住宅が500万円で、受贈者の合計所得金額や住宅の床面積にも要件があり、暦年課税の基礎控除110万円と併用できます。適用期限が定められているため、受験年度の最新の内容を確認してください。なお住宅取得等資金について相続時精算課税を選択する場合は、贈与者の60歳以上という年齢要件が問われません(同法70条の3)。
相続税と小規模宅地等の特例
相続税の基礎控除額は、3,000万円に600万円と法定相続人の数を掛けた額を加えた金額です(相続税法15条1項)。相続財産の価額がこの額以下であれば課税されません。法定相続人の数え方は民法の相続分の理解が前提になるため、相続の基本ルールとあわせて確認すると計算が安定します。
不動産に関して重要なのが小規模宅地等の特例です(租税特別措置法69条の4)。被相続人の居住用宅地等は330平方メートルまでの評価額を80%、貸付事業用宅地等は200平方メートルまでを50%減額できます。評価額そのものを圧縮する特例で、宅建試験での出題頻度は高くないものの、不動産の相続を扱う場面では前提知識になります。
消費税と評価額という横串
消費税は土地に課されない
消費税は国税で、事業者が国内で行う資産の譲渡等に課されます。不動産取引で押さえるべきは非課税の範囲です。土地の譲渡および貸付けは非課税とされ(消費税法6条1項、別表第二第1号)、住宅の貸付けも非課税です(同別表第二第13号)。一方、建物の譲渡は課税され、宅建業者が受け取る媒介報酬も課税されます。
土地が非課税とされる理由は、土地が消費されて価値がなくなるものではなく、消費に着目する税になじまない点にあります。この理屈を持っておくと、「土地の譲渡は課税、建物の譲渡は非課税」という逆転した記述をすぐ見抜けます。
例外にも注意が必要です。土地の貸付けでも、貸付期間が1か月に満たない場合や、駐車場など施設の利用に伴って土地が使用される場合は課税されます。住宅の貸付けも契約期間が1か月未満なら課税です。報酬額の計算にも消費税が関わるため、報酬額計算のパターン別攻略とあわせて確認しておくと実戦的です。
四つの価格と課税標準の関係
不動産には複数の公的な価格があり、どの税がどれを使うかが横串になります。公示価格は毎年1月1日を価格判定の基準日として国土交通省の土地鑑定委員会が公示するもので、他の価格の基礎になります。都道府県地価調査による基準地の標準価格は7月1日が基準日です。
固定資産税評価額は3年ごとの基準年度に評価替えされ、公示価格の7割程度を目途とする運用が行われています。この評価額が、固定資産税、都市計画税、不動産取得税、登録免許税の課税標準の基礎になります。四つの税が同じ評価額を使うという事実は、横断整理として押さえる価値があります。相続税や贈与税で使う相続税評価額は毎年1月1日が基準で、公示価格の8割程度を目途とする運用です。
7割と8割という水準は法律が定めた比率ではなく、評価の運用上の目途である点に注意してください。価格体系の全体像は地価公示の仕組みと不動産の鑑定評価で扱っています。
試験での出題ポイント
出題は六つの軸のどれかを入れ替えて作られます。第一が課税主体の入れ替えです。不動産取得税を市町村税とする、固定資産税を都道府県税とする、登録免許税を地方税とする、といった形です。取得は都道府県、保有は市町村、登記と文書は国、と場面で押さえます。
第二が課税標準の入れ替えです。不動産取得税や登録免許税の課税標準を「実際の売買価格」とする記述、印紙税の課税標準を評価額とする記述が典型です。不動産取得税・固定資産税・都市計画税・登録免許税は固定資産税評価額、印紙税は文書の記載金額、抵当権設定登記だけは債権金額、という三分類で判定します。
第三が特例率の混同です。住宅用地の特例で固定資産税と都市計画税の割合を入れ替える出題が繰り返されています。都市計画税は固定資産税の2倍、という関係で処理します。
第四が要件の操作です。3,000万円特別控除に所有期間10年超の要件を付ける、軽減税率の特例から所有期間要件を外す、登録免許税の住宅用家屋の軽減を法人にも認める、といった形です。要件は緩められても厳しくされても誤りになるため、両方向を警戒します。
第五が非課税の範囲です。相続による不動産の取得は不動産取得税が非課税、土地の譲渡は消費税が非課税、国等が作成した文書は印紙税が非課税。これらを課税と逆転させる記述と、贈与による取得を非課税としてしまう記述の両方が出ます。
第六が手続と数字です。固定資産税の納期、縦覧期間、審査申出の期限、評価替えの周期、免税点の額は、単独でも組み合わせでも問われます。範囲が限られる分だけ投下時間あたりの得点効率が高い領域です。
覚え方・整理の仕方
最初にやるべきは、税ごとの縦の暗記をやめ、課税主体・課税客体・課税標準・税率・特例・非課税の六つの欄を頭の中に持つことです。新しい税を学んだらこの六欄を埋めるだけにします。埋まらない欄があれば、そこが理解の穴です。
次に、場面と課税主体を結びつけます。取得の場面の地方税は都道府県、保有の場面の地方税は市町村、国税は登記と文書と所得です。この対応が崩れなければ、課税主体の入れ替え問題は取り切れます。
数字は、意味のある組で覚えます。所有期間は「1月1日でいったん時計を止め、5年で長短、10年で特例」。住宅用地の特例は「固定資産税が6分の1と3分の1、都市計画税はその2倍」。床面積は「登録免許税の住宅用家屋の軽減と住宅ローン控除は50平方メートル以上、不動産取得税の新築住宅控除は50平方メートル以上240平方メートル以下」。免税点は「不動産取得税は10・23・12、固定資産税は30・20・150」。
特例の名前は、何を減らすかで分類します。課税標準を減らすのは住宅用地の特例と不動産取得税の1,200万円控除、税額を減らすのは新築住宅の固定資産税の減額と住宅ローン控除です。計算問題ではこの区別がそのまま計算の順序になります。
最後に、期限つきかどうかを意識します。租税特別措置法の条文と地方税法附則の条文は期限つき、地方税法本体の条文は期限なし。この目印を持っておくと、改正情報を追うときにどこを見ればよいかがわかります。
理解度チェッククイズ
Q1. 不動産取得税は、相続により不動産を取得した場合にも課税される。(○か×か)
答えを見る
×:相続による不動産の取得は不動産取得税が非課税とされています(地方税法73条の7第1号)。被相続人の地位を承継するものであり、新たな担税力の取得とは評価しにくいためです。一方、贈与による取得は課税されるので、相続と贈与を対にして押さえます。Q2. 固定資産税の住宅用地の特例では小規模住宅用地の課税標準が評価額の6分の1となるのに対し、都市計画税では3分の1となる。(○か×か)
答えを見る
○:固定資産税は地方税法349条の3の2により小規模住宅用地が6分の1、一般住宅用地が3分の1、都市計画税は同法702条の3により小規模住宅用地が3分の1、一般住宅用地が3分の2です。都市計画税の割合は固定資産税のちょうど2倍という関係になっています。Q3. 譲渡所得の長期・短期の区分は、取得した日から譲渡した日までの実際の所有期間で判定する。(○か×か)
答えを見る
×:譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるかどうかで判定します(租税特別措置法31条、32条)。実際の保有期間が5年を超えていても、譲渡年の1月1日時点で5年以下であれば短期譲渡所得として39%の税率が適用されます。Q4. 居住用財産の3,000万円特別控除は、所有期間が10年を超える場合に限り適用される。(○か×か)
答えを見る
×:3,000万円特別控除(租税特別措置法35条1項)に所有期間の要件はありません。所有期間10年超が要件となるのは軽減税率の特例(同法31条の3)と特定の居住用財産の買換え特例(同法36条の2)です。なお3,000万円特別控除と軽減税率は併用できますが、買換え特例とは選択適用になります。Q5. 建物の賃貸借契約書は印紙税の課税文書に当たり、印紙を貼付しなければ契約は無効となる。(○か×か)
答えを見る
×:二重に誤りです。建物の賃貸借契約書は印紙税法別表第一に掲げられておらず課税文書ではありません(土地の賃借権の設定に関する契約書は第1号文書として課税されます)。また、印紙を貼らなかった場合は過怠税の対象になりますが(同法20条)、契約そのものの効力には影響しません。よくある質問
税金の数字は毎年変わるので、どこまで覚えればよいですか
本則の税率と、地方税法本体に置かれた恒久的な特例を先に固めます。標準税率1.4%、制限税率0.3%、住宅用地の特例、不動産取得税の本則4%と1,200万円控除などです。租税特別措置法や地方税法附則の期限つき措置は、受験年度の4月1日時点の内容を直前期に確認する形で十分です。
固定資産税と都市計画税はなぜ分かれているのですか
固定資産税は使途を特定しない普通税であるのに対し、都市計画税は都市計画事業や土地区画整理事業の費用に充てる目的税だからです(地方税法702条1項)。目的税であるがゆえに、その事業の受益が及ぶ市街化区域内の土地家屋が原則的な課税対象とされています。課税区域の違いは、この性格の違いから導けます。
消費税は宅建試験でどこが問われますか
土地の譲渡・貸付けと住宅の貸付けが非課税で、建物の譲渡と媒介報酬が課税、という区別が中心です。報酬額の計算問題では、依頼者から受け取れる報酬の上限を算定する過程で消費税の扱いが関わるため、税単独ではなく宅建業法の報酬規制と結びつけて出題されることもあります。
まとめ
- 取得・保有・譲渡の三段階と、国税・地方税の二系統で地図を作る。取得の地方税は都道府県、保有の地方税は市町村、登記と文書は国税
- 課税主体・課税客体・課税標準・税率・特例・非課税の六つの軸で横に並べる。出題はこの六つのどれかを入れ替えて作られる
- 国税の特例は租税特別措置法、地方税の特例は地方税法本体か附則。附則と措置法にあるものは期限つきで、受験年度の内容確認が必要
宅建試験AIブートラボのアプリでは、税・その他の分野を肢別トレーニングで論点ごとに確認できます。
税と価格の評定は毎年ほぼ同じ形で出ます。出題パターンを肢別で押さえれば取りこぼしません。