宅建試験AIブートラボ 宅建試験AIブートラボ

区分所有法|令和8年4月1日施行の改正対応

権利関係 読了 約47分

区分所有法を令和7年法律第47号による改正後の条文で解説。決議要件が総数基準から出席者基準に変わった点を旧法と対比し、専有部分・共用部分・規約・集会・義務違反者・復旧建替えまでを条文順に整理します。

目次

    本記事の役割 — 建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」)の全体像を、条文の並びに沿って整理する総論記事です。令和7年法律第47号による改正後の条文を本則として記述しています。
    決議要件の数字そのものを詰めたいときは区分所有法の決議要件を、権利関係全体の学習設計は権利関係の全体像を併読してください。

    区分所有法は、令和7年法律第47号「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」によって大きく改正されました。令和8年4月1日に施行されています。

    この改正は、宅建試験の受験者にとって単なる細部の手直しではありません。集会の決議要件の分母が、区分所有者の総数から出席者へと変わりました。 共用部分の変更も、規約の設定・変更・廃止も、普通決議も、いずれも数え方の土台が入れ替わっています。古い教材の記述は、この点についてそのままでは使えません。

    先に、記事全体の見取り図を示します。区分所有法は、一棟の建物を複数人で分けて所有するという特殊な状態を成り立たせるために、三つの仕掛けを用意しています。第一に、建物を専有部分と共用部分に切り分け、共用部分を全員の共有とすること。第二に、専有部分と共用部分の持分・敷地利用権をばらばらに処分できないよう縛ること。第三に、区分所有者全員を当然に団体化し、集会の多数決で管理を決められるようにすることです。今回の改正が手を入れたのは、主として三つ目の「多数決」の部分です。

    令和8年4月1日施行の改正と、令和8年度試験への影響

    試験でどちらの条文が出るか

    宅建試験の出題の根拠となる法令は、その年度の4月1日現在で施行されているものです。改正区分所有法の施行日は令和8年4月1日ですから、令和8年度(2026年度)の試験は、改正後の条文で出題されます。 改正前の要件を書いた選択肢は、原則として誤りになります。

    改正法の公布は2025年5月30日、施行は2026年4月1日です。公布から施行まで期間が空いていたため、市販教材の版によっては改正前の記述が残っている可能性があります。手元の教材が改正に対応しているかは、後述する17条・31条・39条のいずれかを引いて、「出席した区分所有者」という文言があるかどうかで確認できます。

    改正の背景

    改正の狙いは、マンションの高経年化への対応です。築年数を重ねたマンションでは、相続の繰り返しや所有者の転出によって、所在が分からない区分所有者、連絡がついても集会に一切関与しない区分所有者が増えていきます。

    ここで問題になったのが、改正前の決議要件の構造でした。改正前の17条1項は共用部分の変更について「区分所有者及び議決権の各4分の3以上」と定めており、この分母は区分所有者の総数でした。所在不明の区分所有者は決議に参加しないので、反対票と同じ扱いになります。所在不明者が全体の4分の1を超えると、残る全員が賛成しても決議は成立しません。大規模修繕も建替えも、法律上不可能になるという事態が現実に起きていました。

    改正は、この行き詰まりに二つの方向から手を入れています。ひとつは決議要件の分母を出席者に変えること、もうひとつは所在等不明の区分所有者を裁判で議決権から外す仕組みを作ることです。順に見ていきます。

    変更点1 総数基準から出席者基準へ

    改正後の17条1項は、次の構造になっています。

    まず定足数として、集会に、区分所有者(議決権を有しないものを除く)の過半数の者であって議決権の過半数を有するものが出席していることを要します。この過半数という割合は、規約でこれを上回る割合を定めた場合にはその割合以上となります。つまり規約で加重できますが、緩和はできません。

    そのうえで決議は、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上の多数によります。分母が総数ではなく出席者になった、というのがこの改正の核心です。

    同じ構造への変更を受けたのは、17条1項(共用部分の変更)、31条1項(規約の設定・変更・廃止)、47条1項(管理組合法人の成立)、55条2項(管理組合法人の解散)、58条2項(使用禁止請求)、61条5項(大規模滅失の復旧)、68条1項(団地規約の設定)です。39条1項の普通決議も、後述のとおり出席者基準に変わりました。

    変更点2 「議決権を有しない区分所有者」という新しい概念

    改正後の条文には「区分所有者(議決権を有しないものを除く。)」という括弧書きが繰り返し現れます。これは改正で新設された38条の2による概念です。

    38条の2第1項は、裁判所は、区分所有者を知ることができず、またはその所在を知ることができないときは、当該区分所有者(所在等不明区分所有者)以外の区分所有者(一般区分所有者)または管理者の請求により、一般区分所有者による集会の決議をすることができる旨の裁判をすることができる、と定めています。そして同条2項により、この裁判で所在等不明区分所有者とされた者は、38条の規定にかかわらず集会における議決権を有しません。

    議決権を有しない者は、分母からも分子からも外れます。 所在不明者を裁判手続で確定させたうえで、母数そのものを縮める仕組みです。一般区分所有者の請求でこの裁判があったときは、遅滞なく管理者に通知しなければならず、管理者がないときは建物内の見やすい場所に掲示します(38条の2第3項)。

    この仕組みがあるため、後述する建替え決議のように総数基準が維持された決議についても、所在等不明者への対処はできるようになっています。出席者基準と38条の2は、別々の手段として併存していると理解してください。

    変更点3 書面・代理人による議決権行使は出席に算入される

    出席者基準に変えると、当然に生じる疑問があります。委任状や議決権行使書を提出した人は「出席」に数えるのか、という問題です。ここは改正法が明文で答えを置きました。

    改正後の39条2項は、議決権は書面または代理人によっても行使することができるとしたうえで、書面または代理人によって議決権を行使した区分所有者の数は出席した区分所有者の数に、当該議決権の数は出席した区分所有者の議決権の数に、それぞれ算入すると定めています。

    改正前の39条2項は「議決権は、書面で、又は代理人によつて行使することができる」とだけ述べており、算入に関する定めはありませんでした。出席者基準への転換とセットで置かれた規定です。実務上も試験上も、この算入規定を知らないと出席者の数え方を誤ります。

    変更点4 総数基準が残った決議と、その理由

    すべての決議が出席者基準になったわけではありません。建替え決議(62条1項)と団地内建物の一括建替え決議(70条1項)は、総数基準のままです。

    改正後の62条1項は「区分所有者(議決権を有しないものを除く。)及び議決権の各5分の四以上の多数」と定めています。挿入されたのは38条の2に対応する括弧書きだけで、「各5分の4以上」という割合も、それが総数に対する割合であることも変わっていません。

    なぜここだけ残したのか。建替えは、区分所有権そのものを消滅させる処分だからです。共用部分の変更や規約の変更は、区分所有者が権利を保有し続けることを前提とした管理行為ですが、建替えは違います。参加しない区分所有者は、後述する売渡請求によって区分所有権を失います。権利を失わせる決定について欠席者を分母から外すと、集会に来なかったというだけで所有権を奪われる者が出かねません。欠席は建替えへの同意ではない、という価値判断が総数基準として表れていると読めます。

    もっとも、所在等不明者については38条の2の裁判により議決権を失わせることができるため、総数基準を維持したままでも母数を適正化する道は残されています。

    変更点5 大規模滅失の復旧が4分の3から3分の2へ

    見落とされやすい変更があります。61条5項の大規模滅失の復旧決議は、要件が引き下げられました。

    改正前は「区分所有者及び議決権の各4分の3以上」でしたが、改正後は定足数を満たしたうえで「出席した区分所有者及びその議決権の各3分の2以上」となっています。分母が出席者に変わっただけでなく、割合そのものが4分の3から3分の2へ下がりました。復旧を進めやすくするための緩和です。

    変更点6 建替え決議の要件が4分の3に緩和される場合

    62条2項が新設され、建物が一定の状態にある場合には、62条1項の「5分の4」を「4分の3」と読み替えることになりました。該当するのは次の五つの場合です。

    第一に、地震に対する安全性に係る建築基準法またはこれに基づく命令もしくは条例の規定に準ずるものとして法務大臣が定める基準に適合していないとき。第二に、火災に対する安全性について同様の基準に適合していないとき。第三に、外壁、外装材その他これらに類する建物の部分が剝離し、落下することにより周辺に危害を生ずるおそれがあるものとして法務大臣が定める基準に該当するとき。第四に、給水、排水その他の配管設備の損傷、腐食その他の劣化により著しく衛生上有害となるおそれがあるものとして法務大臣が定める基準に該当するとき。第五に、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律14条5項に規定する建築物移動等円滑化基準に準ずるものとして法務大臣が定める基準に適合していないときです。

    これらの基準を定め、または変更するときは、法務大臣はあらかじめ国土交通大臣と協議するものとされています(62条3項)。

    この新設により、旧62条2項(建替え決議で定めるべき事項)は4項へ、旧3項(衡平の要請)は5項へと繰り下がりました。項番号がずれているので、古い教材の条文引用と突き合わせるときは注意してください。

    変更点7 招集通知に議案の要領が常に必要になった

    改正前の35条1項は、招集通知に「会議の目的たる事項」を示せば足り、議案の要領まで示す必要があるのは17条1項・31条1項・61条5項・62条1項・68条1項・69条7項の決議事項に限られていました(旧35条5項)。

    改正後は、35条1項が「会議の目的たる事項及び議案の要領を示して」と改められ、旧5項は削除されました。すべての集会について議案の要領が必要になったということです。あわせて44条2項も改正され、占有者への掲示事項にも議案の要領が加わりました。

    さらに、招集期間についての規約による調整も変わりました。改正前は「規約で伸縮することができる」でしたが、改正後は「規約で伸長することができる」です。1週間より短くすることはできなくなりました。 短い一語ですが、規約で短縮できるとする選択肢は改正後は誤りになります。

    変更点8 過料の条番号が移動した

    罰則の位置が変わりました。改正前の71条(20万円以下の過料)は91条に、改正前の72条(10万円以下の過料)は92条になっています。内容自体はおおむね維持されており、10万円以下の過料が新設されたわけではありません。

    改正後の71条は、まったく別の内容である団地内建物敷地売却決議の規定になっています。条番号だけを覚えていると取り違えるので、注意してください。

    区分所有法が必要とされる理由

    民法の原則では、一つの物には一つの所有権しか成立しません。ところがマンションは、建物としては一棟でありながら、各住戸を別々の人が所有します。この状態を法的に成り立たせるために、区分所有法1条が例外を置いています。

    一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所または倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分はそれぞれ所有権の目的とすることができる、というのが1条の定めです。

    もう一つの理由が、共同で使う部分の管理です。廊下や外壁を全員の共有とすると、民法の共有の規律では変更に共有者全員の同意が必要となり、何十戸もあるマンションでは大規模修繕すら実行できません。区分所有法は、共有物の管理を多数決に置き換えることで、この行き詰まりを解消しています。今回の改正は、その多数決がなお機能しなくなっていた事態への追加的な手当てだと位置づけられます。

    なお、区分所有法が適用されるのは分譲マンションだけではありません。1条の要件を満たせば、テナントビルや二世帯住宅であっても区分所有関係は成立します。逆に、一棟をまるごと一人が所有する賃貸マンションには区分所有法は適用されません。所有形態の違いはマンションと戸建ての比較でも触れています。

    専有部分

    専有部分となるための二つの要件

    専有部分とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいいます(2条3項)。1条の文言から、専有部分と認められるには二つの要件が必要とされています。

    一つは構造上の独立性です。壁、床、天井などによって他の部分と物理的に区切られていることを指します。もう一つは利用上の独立性で、その部分だけで住居、店舗、事務所、倉庫といった用途に供することができることをいいます。独立した出入口があるかどうかが判断の手がかりになります。

    各住戸の内部は、両方の要件を満たすため専有部分です。これに対して、共用廊下や階段室は構造上は区切られていても、それ自体を独立して住居や店舗として使うことはできないので、利用上の独立性を欠き、専有部分にはなりません。

    専有部分を共用部分にはできるが、逆はできない

    本来は専有部分になり得る部分でも、規約によって共用部分とすることができます(4条2項)。管理人室や集会室がその典型で、これを規約共用部分といいます。

    一方で、廊下や階段室のように構造上当然に共用部分となるもの、いわゆる法定共用部分を、規約によって専有部分に変えることはできません。法定共用部分は利用上の独立性を欠くのですから、規約でどう定めようと専有部分の要件を満たさないためです。この一方通行の関係は、選択肢を入れ替えて出題されやすい箇所です。

    専有部分の使用に関する制約と、改正された6条2項

    専有部分は自分の所有物ですが、好きに使えるわけではありません。区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理または使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならないとされています(6条1項)。この共同の利益に反する行為が、後述する義務違反者に対する措置の入口になります。

    6条2項は改正されました。改正前は、専有部分または共用部分を保存し、または改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分や自己の所有に属しない共用部分の「使用を請求することができる」と定めていました。改正後は、これらを「使用し、又は自らこれらを保存することを請求することができる」となっています。立入りだけでなく、自ら保存行為を行うことを請求できることが明文化されました。いずれの場合も、他の区分所有者が損害を受けたときは償金を支払わなければなりません(6条2項後段)。

    新設された相互協力義務と国内管理人

    改正で二つの規定が新設されました。

    5条の2は、区分所有者は、3条に規定する団体の構成員として、建物ならびにその敷地および附属施設の管理が適正かつ円滑に行われるよう、相互に協力しなければならない、と定めています。理念規定ですが、管理不全への対処を求める改正の方向性を示すものです。

    6条の2は国内管理人の制度です。区分所有者は、国内に住所または居所を有せず、または有しないこととなる場合には、その専有部分および共用部分の管理に関する事務を行わせるため、国内に住所または居所を有する者のうちから管理人を選任することができます(6条の2第1項)。国内管理人は、保存行為、専有部分の性質を変えない範囲内での利用・改良行為、集会の招集の通知の受領、集会における議決権の行使、一定の債務の弁済をする権限を有します(同条2項)。海外居住の区分所有者との連絡がつかず管理が滞る事態への対応です。

    共用部分

    法定共用部分と規約共用部分

    共用部分とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物、および4条2項により共用部分とされた附属の建物をいいます(2条4項)。

    法定共用部分は、廊下、階段室、エレベーター室、エントランスホール、外壁、屋根、そして専有部分に属しない配管や配線などです。これらは法律上当然に共用部分となるので、登記は不要ですし、そもそも登記することができません。

    規約共用部分は、本来なら専有部分になり得る部分や附属の建物を、規約で共用部分と定めたものです。管理人室、集会室、独立した倉庫棟などが該当します。こちらは、その旨の登記をしなければ第三者に対抗することができません(4条2項後段)。外形上は専有部分に見えるものを共用部分として扱う以上、それを知らずに取引に入る第三者を保護する必要があるためです。登記の対抗力という考え方そのものは不動産登記の基本で整理しています。

    共用部分の持分と分離処分の禁止

    共用部分は区分所有者全員の共有に属します(11条1項本文)。各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合によります(14条1項)。この床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積で計算します(14条3項)。ただし、持分の割合は規約で別段の定めをすることができます(14条4項)。

    処分の面では強い制約がかかります。共用部分の持分は専有部分の処分に従い(15条1項)、共有者は、法律に別段の定めがある場合を除いて、専有部分と分離して持分を処分することができません(15条2項)。

    ここで押さえておきたいのは、後述する敷地利用権との違いです。敷地利用権の分離処分禁止には「規約に別段の定めがあるときは、この限りでない」という例外がありますが(22条1項ただし書)、共用部分の持分についてはそのような規約の例外がありません。共用部分だけを他人に売ることは、規約をもってしてもできないということです。分離処分禁止という似た規定でありながら規約による例外の有無が違うので、対にして覚えてください。

    共用部分の変更 — 改正の中心

    共用部分の変更のうち、その形状または効用の著しい変更を伴わないもの以外、いわゆる重大変更については、17条1項が決議要件を定めています。改正によって、この条文の構造が根本的に変わりました。

    改正後の要件は二段構えです。まず定足数として、集会に、区分所有者(議決権を有しないものを除く)の過半数の者であって議決権の過半数を有するものが出席していること。この過半数は、規約でこれを上回る割合を定めた場合にはその割合以上になります。次に決議として、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上の多数によることです。

    規約による調整の仕組みも変わりました。 改正前の17条1項ただし書は「この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる」とし、緩和できるのは区分所有者の頭数要件だけでした。改正後はこのただし書が削除され、代わりに決議割合そのものについて「各4分の3(これを下回る割合(2分の1を超える割合に限る。)を規約で定めた場合にあつては、その割合)以上」という括弧書きが置かれています。区分所有者と議決権の両方について、規約で2分の1を超える範囲まで引き下げられるようになったわけです。

    なお、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない点は変わっていません(17条2項)。

    瑕疵の除去とバリアフリー化は3分の2

    17条5項が新設され、一定の目的の共用部分の変更については要件が緩和されました。

    対象は二つです。ひとつは、共用部分の設置もしくは保存に瑕疵があることによって他人の権利もしくは法律上保護される利益が侵害され、もしくは侵害されるおそれがある場合における、その瑕疵の除去に関して必要となる共用部分の変更。もうひとつは、高齢者、障害者等の移動もしくは施設の利用に係る身体の負担を軽減することにより、その移動上もしくは施設の利用上の利便性および安全性を向上させるために必要となる共用部分の変更です。

    これらについては、17条1項および3項の「4分の3」を「3分の2」と読み替えます。外壁の落下防止工事やスロープ・エレベーターの設置といった、放置すれば危険が生じる工事や社会的要請の強い工事について、決議のハードルを下げたものです。

    専有部分の保存行為等を集会で決められる場合

    17条3項と18条4項も新設されました。共用部分の工事をしようとすると、専有部分の側にも手を入れなければ完結しない場面があります。配管の更新がその典型です。

    17条3項は、17条1項の決議により共用部分の変更をする場合において、規約に特別の定めがあるときは、当該共用部分の変更に伴い必要となる専有部分の保存行為または専有部分の性質を変えない範囲内においてその利用もしくは改良を目的とする行為(専有部分の保存行為等)についても、1項と同じ要件の決議で決することができるとしています。18条4項は、共用部分の管理について同趣旨の規定を置いています。

    これらの決議で専有部分の保存行為等の態様や費用の分担を定めるときは、決議の対象となる専有部分の区分所有者の利用状況、その区分所有者が支払った対価その他の事情を考慮して、区分所有者間の利害の衡平が図られるようにしなければなりません(17条4項、18条5項)。

    なお、共用部分につき損害保険契約をすることを共用部分の管理に関する事項とみなす規定は、改正前は18条4項でしたが、改正後は18条6項に移りました。

    一部共用部分と費用負担

    一部の区分所有者だけが共用すべきことが明らかな共用部分を一部共用部分といい、これはそれを共用すべき区分所有者の共有に属します(11条1項ただし書)。下層階が店舗、上層階が住宅という複合用途の建物で、住宅部分の専用エントランスや専用エレベーターがこれにあたります。一部共用部分の管理は、区分所有者全員の利害に関係するものと規約に定めのあるものは区分所有者全員で行い、それ以外はこれを共用すべき区分所有者のみで行います(16条)。

    各共有者は、規約に別段の定めがない限り、その持分に応じて共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取します(19条)。管理費や修繕積立金の負担割合は、原則として持分すなわち専有部分の床面積の割合ということです。屋上に設置した携帯電話基地局の賃料のような共用部分から生じる収益も、同じ割合で帰属します。

    管理所有

    規約に特別の定めがあるときは、管理者が共用部分を所有することができます(27条1項)。これを管理所有といいます。管理所有者は共用部分を管理する義務を負い、区分所有者に対して相当な管理費用を請求できますが、共用部分の重大変更をすることはできません(20条)。所有といっても管理のための便宜的な仕組みであって、処分権限まで与えるものではないからです。

    敷地と敷地利用権

    法定敷地と規約敷地

    建物の敷地とは、建物が所在する土地および5条1項により建物の敷地とされた土地をいいます(2条5項)。前者を法定敷地、後者を規約敷地と呼び分けます。

    規約敷地は、区分所有者が建物および建物が所在する土地と一体として管理または使用をする庭、通路その他の土地を、規約により建物の敷地としたものです(5条1項)。専用庭、通路、駐車場用地などが典型です。建物が現に建っていない土地を、規約によって敷地に取り込む制度だと理解してください。

    さらに、建物が所在する土地が建物の一部の滅失により建物が所在する土地以外の土地となったとき、また建物が所在する土地の一部が分割によりそうなったときは、その土地は規約で建物の敷地と定められたものとみなされます(5条2項)。これをみなし規約敷地といいます。建物の一部が焼失した結果、たまたま建物が載っていない土地が生じても、当然には敷地から外れないという趣旨です。

    敷地利用権と分離処分の禁止

    敷地利用権とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいいます(2条6項)。所有権であることが多いものの、地上権や賃借権であることもあります。

    22条1項は、敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができないと定めます。ただし、規約に別段の定めがあるときはこの限りではありません。

    住戸だけを売って敷地の持分は手元に残す、といった処分を放置すると、建物と土地の権利者がずれていき、やがて建物の存立自体が危うくなります。それを防ぐための規定です。ただし書のとおり、規約で別段の定めをすれば分離処分は可能になります。前述のとおり、共用部分の持分には規約の例外がない点と対比してください。

    分離処分の禁止に違反した処分は無効ですが、その無効を善意の相手方に主張することはできません(23条本文)。もっとも、不動産登記法の定めるところにより分離して処分することができない専有部分および敷地利用権である旨が登記された後に処分がされたときは、善意の主張の制限は働きません(23条ただし書)。登記によって公示されている以上、相手方の善意は保護されないということです。

    また、敷地利用権については民法255条が適用されません(24条)。共有者の一人が持分を放棄したり相続人なく死亡したりしても、その持分が他の共有者に帰属することはない、という趣旨です。専有部分と敷地利用権が一体である以上、敷地の持分だけが他の区分所有者に移ると一体性が崩れてしまうからです。

    敷地利用権を持たない区分所有者への売渡請求

    敷地利用権を有しない区分所有者があるときは、その専有部分の収去を請求する権利を有する者は、その区分所有者に対し、区分所有権を時価で売り渡すべきことを請求できます(10条)。

    敷地の賃借権が消滅したのに専有部分だけが残っている、といった場面を想定した規定です。土地の所有者からすれば本来は建物の収去を求めたいところですが、一棟の建物の一部だけを取り壊すことは物理的に不可能に近い。そこで、収去に代えて区分所有権そのものを買い取る道を用意したものです。

    管理費をめぐる債権の扱い

    先取特権による優先弁済

    区分所有者は、共用部分、建物の敷地、共用部分以外の建物の附属施設について他の区分所有者に対して有する債権、および規約または集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権と建物に備え付けた動産の上に先取特権を有します(7条1項)。この先取特権の効力は共益費用の先取特権とみなされます(7条2項)。

    管理費や修繕積立金の滞納は、他の区分所有者が立て替える形で負担することになるため、法律が担保物権を与えて回収を後押ししているわけです。担保物権の順位や実行の考え方は抵当権の基本と共通するので、そちらと合わせて整理すると理解が早くなります。

    滞納管理費は買主に承継される

    7条1項の債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行使することができます(8条)。つまり、管理費を滞納したまま住戸が売却された場合、買主は自分が滞納したわけでなくても、前所有者の滞納分の支払義務を負います。

    この規定は宅地建物取引業法とも直結します。区分所有建物の売買の媒介では、滞納管理費の額を含む管理に関する事項を重要事項として説明しなければならず、説明を怠ると買主に予期せぬ負担が生じます。区分所有建物に固有の説明事項は区分所有建物の重要事項説明で整理しています。権利関係と宅建業法をつないで押さえておくと、どちらの科目でも取りこぼしが減ります。

    瑕疵の所在に関する推定

    建物の設置または保存に瑕疵があることにより他人に損害が生じたときは、その瑕疵は共用部分の設置または保存にあるものと推定されます(9条)。

    外壁のタイルが落下して通行人が負傷したという場合、被害者の側で「瑕疵は共用部分にあった」と立証するのは困難です。そこで共用部分にあると推定し、区分所有者全員が責任を負う形にしたうえで、専有部分に原因があると考える区分所有者の側に反証させる仕組みになっています。あくまで推定なので、反証があれば覆ります。

    管理組合と管理者

    管理組合は当然に成立する

    区分所有者は、全員で、建物ならびにその敷地および附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、および管理者を置くことができます(3条前段)。この団体が一般に管理組合と呼ばれるものです。

    重要なのは、管理組合が区分所有関係の成立とともに法律上当然に構成されるという点です。設立総会を開く必要も、加入を申し込む必要もありません。区分所有者になれば自動的に構成員となり、脱退することもできません。「管理組合への加入は任意である」「管理組合の設立には区分所有者の過半数の同意が必要である」といった選択肢は、いずれもこの当然設立の性質に反するので誤りです。

    なお、構成員は区分所有者であって、賃借人などの占有者は含まれません。占有者は建物の使用方法について区分所有者と同一の義務を負う一方(46条2項)、議決権はなく、利害関係がある事項について集会で意見を述べられるにとどまります(44条1項)。賃貸に出されている住戸が多い建物の管理上の論点は賃貸管理業と関連資格でも扱っています。

    管理者の選任と権限

    管理者は、規約に別段の定めがない限り、集会の決議によって選任し、解任します(25条1項)。この条文は改正されていませんが、ここでいう集会の決議は39条1項の普通決議ですから、決議要件の側は出席者基準に変わっています。 資格の制限はなく、区分所有者でない者でも、自然人でなく法人でも管理者になれます。「管理者は区分所有者の中から選任しなければならない」という選択肢は誤りです。

    管理者の権限は26条に定められています。共用部分等を保存し、集会の決議を実行し、規約で定めた行為をする権利を有し義務を負い(26条1項)、その職務に関して区分所有者を代理します(26条2項)。26条2項は改正され、代理の対象となる職務に、損害保険契約に基づく保険金ならびに共用部分等について生じた損害賠償金および不当利得による返還金(これらを「保険金等」といいます)の請求および受領が含まれることが、条文上明確にされました。あわせて、保険金等については代理される者が「保険金等の請求権を有する者」と定義され、区分所有者であった者も一定の場合に含まれることになっています。

    管理者は、規約または集会の決議により、その職務に関し区分所有者のために原告または被告となることができます(26条4項)。原告または被告となったときの通知については、26条5項が改正され、通知すべき相手方が場合ごとに書き分けられました。規約により職務に関し原告または被告となったときは区分所有者に、規約により保険金等の請求および受領に関して原告または被告となったときは保険金等の請求権を有する者に、集会の決議により保険金等の請求および受領に関して原告または被告となったときは保険金等の請求権を有する者(区分所有者を除く)に、それぞれ通知します。

    管理者の権利義務は、区分所有法および規約に定めるもののほか、委任に関する規定に従います(28条)。したがって管理者は善良な管理者の注意をもって職務を行う義務を負います。また、管理者は集会において毎年1回一定の時期にその事務に関する報告をしなければなりません(43条)。

    任期については区分所有法に定めがなく、規約で定めるのが通常です。なお、管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者が単独で裁判所にその解任を請求できます(25条2項)。集会で解任決議が通らない場合の受け皿です。

    実務では、管理者としての事務の大半をマンション管理業者に委託しています。管理組合と管理会社の役割分担についてはマンション管理会社の仕事を参照してください。

    管理組合法人

    3条の団体は、集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く)の過半数の者であって議決権の過半数を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上の多数による決議で法人となる旨ならびにその名称および事務所を定め、かつ、主たる事務所の所在地において登記をすることによって法人となります(47条1項)。この47条1項も改正されており、改正前の「区分所有者及び議決権の各4分の3以上」という総数基準ではなくなっています。

    なお、31条1項と同じく、47条1項の決議割合には規約による引下げの括弧書きが置かれていません。規約で緩和できるのは17条1項の共用部分の変更のほうだけです。

    決議だけでは足りず、登記が効力の発生要件である点も押さえてください。また、かつて存在した「区分所有者の数が30人以上」という要件は平成14年の法改正で削除されており、現行法では規模を問わず法人化できます。

    管理組合法人には理事と監事を置かなければならず(49条1項、50条1項)、理事が法人を代表します。法人となった場合、管理者に関する規定は適用されません(47条11項)。法人自身が権利義務の主体となるため、管理者という代理人を介する必要がなくなるからです。法人の財産をもって債務を完済できないときは、区分所有者が持分の割合と同じ割合で弁済の責めに任じます(53条1項)。

    管理組合法人の解散のうち、集会の決議による解散(55条1項3号)の要件も改正され、定足数を満たしたうえで出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上の多数によることとなりました(55条2項)。成立と解散が同じ要件になっている、と整理すると覚えやすくなります。

    規約

    規約で定められる事項

    建物またはその敷地もしくは附属施設の管理または使用に関する区分所有者相互間の事項は、区分所有法に定めるもののほか、規約で定めることができます(30条1項)。ペット飼育の可否、専有部分の用途制限、駐車場の使用方法、管理費の負担割合などがここに入ります。

    もっとも、規約で何を定めてもよいわけではありません。規約は、専有部分もしくは共用部分または建物の敷地もしくは附属施設につき、これらの形状、面積、位置関係、使用目的および利用状況ならびに区分所有者が支払った対価その他の事情を考慮して、区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければなりません(30条3項)。また、規約は書面または電磁的記録により作成しなければなりません(30条5項)。

    設定・変更・廃止と特別の影響

    規約の設定、変更または廃止は、集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く)の過半数の者であって議決権の過半数を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上の多数による決議によってします(31条1項前段)。ここも改正されており、改正前の「区分所有者及び議決権の各4分の3以上」という総数基準ではありません。

    17条1項と違い、31条1項の決議割合には規約による引下げの括弧書きがありません。共用部分の変更は規約で2分の1超まで下げられるが、規約の設定・変更・廃止は下げられない、という差が生じています。改正で新たに生まれた対比なので、ここは確実に押さえてください。

    後段は改正されていません。規約の設定、変更または廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない、というものです。所定の多数の賛成が得られていても、特別の影響を受ける区分所有者の承諾がなければ効力は生じません。たとえば、特定の住戸だけに認められていた専用使用権を規約変更で奪うような場合です。多数決には限界があるという区分所有法の基本姿勢が、ここに端的に表れています。

    公正証書による最初の規約

    最初に建物の専有部分の全部を所有する者、すなわち分譲業者は、公正証書により規約を設定することができます(32条)。分譲前は区分所有者が一人しかおらず、集会を開いて決議を得るという手続が機能しないためです。

    ただし、公正証書で定められる事項は限定されています。規約共用部分に関する定め、規約敷地に関する定め、専有部分と敷地利用権の分離処分を可能とする定め、各専有部分に係る敷地利用権の割合に関する定めの四つです。管理費の額やペット飼育の可否といった生活ルールを公正証書規約で定めることはできません。分譲後に区分所有者が自ら決めるべき事項だからです。

    規約の保管と閲覧

    規約は管理者が保管しなければなりません。管理者がないときは、建物を使用している区分所有者またはその代理人で、規約または集会の決議で定めるものが保管します(33条1項)。

    規約を保管する者は、利害関係人の請求があったときは、正当な理由がある場合を除いて閲覧を拒んではなりません(33条2項)。ここでいう利害関係人には、区分所有者だけでなく、購入を検討している者や賃借人も含まれ得ます。

    33条には改正で新しい3項が加わりました。規約が電磁的記録で作成されているときは、保管する者は、閲覧に代えて、請求をした利害関係人の承諾を得て、当該電磁的記録に記録された情報を電磁的方法により提供することができ、この場合には閲覧をさせたものとみなされます。

    これに伴い、規約の保管場所を建物内の見やすい場所に掲示しなければならないという規定は、改正前の3項から33条4項へ繰り下がりました。これらの規定は集会の議事録にも準用されます(42条5項)。

    規約と決議の効力が及ぶ範囲

    規約および集会の決議は、区分所有者の特定承継人に対しても効力を生じます(46条1項)。中古マンションを購入した人は、購入前に成立していた規約や決議に当然に拘束されるということです。また、占有者は、建物またはその敷地もしくは附属施設の使用方法につき、区分所有者が規約または集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負います(46条2項)。

    集会

    招集の手続

    集会は管理組合の意思決定機関です。管理者が招集し、管理者は少なくとも毎年1回は集会を招集しなければなりません(34条1項、2項)。

    管理者が招集しない場合に備えて、招集請求の制度が置かれています。改正後の34条3項は、区分所有者(議決権を有しないものを除く)の5分の1以上の者であって議決権の5分の1以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して集会の招集を請求することができる、と定めます。この定数は規約で減ずることができます。管理者がないときは、同じ定数の区分所有者が自ら集会を招集できます(34条5項)。

    招集通知は、会日より少なくとも1週間前に、会議の目的たる事項及び議案の要領を示して、各区分所有者(議決権を有しないものを除く)に発しなければなりません(35条1項本文)。前述のとおり、議案の要領が常に必要になった点と、期間を規約で調整できるのは伸長のみである点が改正箇所です。

    区分所有者(議決権を有しないものを除く)全員の同意があるときは、招集手続を経ないで集会を開くことができます(36条)。ここにも38条の2に対応する括弧書きが入りました。

    なお、専有部分が数人の共有に属するときの議決権行使者の定め方も改正されました。改正前の40条は「共有者は、議決権を行使すべき者一人を定めなければならない」とだけ定めていましたが、改正後は「各共有者の持分の価格に従い、その過半数をもつて、議決権を行使すべき者一人を定めなければならない」となり、決め方が明示されています。

    決議の要件

    決議に必要な多数は事項ごとに異なります。原則は39条1項で、集会の議事は、この法律または規約に別段の定めがない限り、出席した区分所有者(議決権を有しないものを除く)及びその議決権の各過半数で決します。

    ここで注意すべき点があります。39条1項には定足数の定めがありません。 17条1項や31条1項のような特別多数決には「区分所有者の過半数の者であって議決権の過半数を有するものが出席し」という定足数が明文で置かれていますが、普通決議についてはこれがありません。特別決議には定足数があり普通決議にはない、という非対称は出題されやすいところです。

    そして前述のとおり、議決権は書面または代理人によっても行使することができ、書面または代理人によって議決権を行使した区分所有者の数は出席した区分所有者の数に、その議決権の数は出席した区分所有者の議決権の数に算入されます(39条2項)。規約または集会の決議により電磁的方法によることもできます(39条3項)。

    区分所有者(議決権を有しないものを除く)全員の承諾があるときは、集会を開かずに書面または電磁的方法によって決議をすることもできます(45条1項)。

    事項ごとの定数の一覧と、それぞれの手続要件については区分所有法の決議要件で条文単位に整理しているので、数字を突き詰めるときはそちらを参照してください。

    議決権と議事録

    各区分所有者の議決権は、規約に別段の定めがない限り、共用部分の持分の割合、すなわち専有部分の床面積の割合によります(38条、14条)。頭数で一人一票ではない点に注意が必要です。ただし規約で一戸一議決権とすることもでき、実際にそう定めているマンションもあります。この38条自体は改正されていませんが、38条の2の裁判があった場合には議決権を有しない者が生じる、という関係になります。

    集会の議事については議事録を作成しなければならず、書面で作成する場合には議長および集会に出席した区分所有者の2人が署名します(42条1項、3項)。議長は、規約に別段の定めがある場合および別段の決議をした場合を除き、管理者または集会を招集した区分所有者の一人が務めます(41条)。

    占有者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができます(44条1項)。この場合、集会を招集する者は、招集の通知を発した後遅滞なく、集会の日時、場所、会議の目的たる事項及び議案の要領を建物内の見やすい場所に掲示しなければなりません(44条2項)。掲示事項に議案の要領が加わったのが改正点です。

    義務違反者に対する措置

    6条1項に反する行為、すなわち区分所有者の共同の利益に反する行為があった場合の対処として、区分所有法は四つの手段を段階的に用意しています。相手の権利をどこまで制約するかに応じて、要件が重くなっていく構造です。57条から60条までの条文自体は改正されていませんが、決議要件が引用先の改正によって変わっているので、そこを正確に押さえる必要があります。

    行為の停止等の請求

    区分所有者が共同の利益に反する行為をしたとき、または行為をするおそれがあるときは、他の区分所有者の全員または管理組合法人は、その行為の停止、行為の結果の除去、行為の予防措置を請求できます(57条1項)。占有者に対しても同様の請求ができます(57条4項)。

    裁判外で請求する分には集会の決議は不要で、各区分所有者が単独で行えます。訴えをもって請求する場合に限り集会の決議が必要です(57条2項)。57条2項は定数を書いていないので、39条1項の普通決議、すなわち出席した区分所有者及びその議決権の各過半数によります。相手は住み続けられ、権利を失わないので、軽い要件で足りるという整理です。

    専有部分の使用禁止請求

    共同の利益に反する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、行為の停止等の請求ではその障害を除去して共同生活の維持を図ることが困難であるときは、訴えをもって相当の期間の専有部分の使用禁止を請求できます(58条1項)。

    この決議要件を定める58条2項が改正されました。改正後は、集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く)の過半数の者であって議決権の過半数を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上の多数でする、となっています。あわせて、あらかじめ当該区分所有者に弁明の機会を与えなければなりません(58条3項)。

    区分所有権の競売請求

    障害が著しく、他の方法によっては共同生活の維持を図ることが困難であるときは、訴えをもって区分所有権および敷地利用権の競売を請求できます(59条1項)。所有権そのものを失わせる最も強い手段であり、条文上も「他の方法によつては」という補充性が要求されています。

    59条の条文自体は改正されていません。 しかし59条2項は、決議について58条2項および3項を準用しています。準用先の58条2項が出席者基準に改正された結果、競売請求の決議も出席者基準になりました。条文が変わっていないのに要件が変わる、という形なので見落としやすいところです。

    占有者に対する引渡し請求

    賃借人などの占有者が共同の利益に反する行為をし、他の方法によっては共同生活の維持を図ることが困難であるときは、訴えをもって賃貸借契約等の解除および専有部分の引渡しを請求できます(60条1項)。

    60条も条文自体は改正されていませんが、60条2項が58条2項および3項を準用しているため、競売請求と同じく決議要件は出席者基準になっています。当該占有者に弁明の機会を与える必要がある点も同様です。

    対象者の違いに注意する

    四つの措置は、誰に対して使えるかが異なります。使用禁止請求と競売請求は区分所有者に対する措置で、占有者には使えません。占有者は区分所有権を持っていないので、競売しようにも対象がないからです。逆に、引渡し請求は占有者に対する措置です。行為の停止等の請求だけが区分所有者にも占有者にも使えます。

    復旧と建替え

    小規模滅失

    建物の価格の2分の1以下に相当する部分が滅失した場合を小規模滅失といい、各区分所有者が単独で滅失した共用部分を復旧することができます(61条1項本文)。ただし、復旧の工事に着手するまでに一定の決議があったときは、単独での復旧はできません(61条1項ただし書)。改正により、このただし書が参照する決議の範囲が広がり、61条3項の復旧決議、62条1項の建替え決議のほか、改正で新設された各種の売却決議等も含まれることになりました。

    集会で復旧を決議することもできます(61条3項)。61条3項は定数を定めていないので、39条1項の普通決議によります。

    大規模滅失は3分の2へ

    建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合が大規模滅失です。基準はあくまで建物の「価格」の2分の1であり、床面積や戸数ではありません。

    改正後の61条5項は、集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く)の過半数の者であって議決権の過半数を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各3分の2以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる、と定めています。

    改正前は「区分所有者及び議決権の各4分の3以上」でした。 分母が出席者に変わっただけでなく、割合も4分の3から3分の2へ下がっています。今回の改正で決議の割合そのものが動いたのはここだけなので、特に注意が必要です。

    買取請求と売渡請求の向きの違い

    大規模滅失の復旧決議があった場合、決議の日から2週間を経過したときは、決議に賛成した区分所有者(決議賛成者)以外の区分所有者は、決議賛成者の全部または一部に対し、建物およびその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求できます(61条7項)。反対者から賛成者に向かう買取請求です。復旧に費用を出したくない者に、抜ける道を用意した規定だと理解できます。

    これに対して建替え決議の場合は向きが逆です。建替えに参加しない旨を回答した区分所有者に対し、建替え決議に賛成した各区分所有者や参加する旨を回答した各区分所有者、またはこれらの者の全員の合意により指定された買受指定者から、区分所有権および敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求します(63条5項)。賛成者から反対者に向かう売渡請求で、反対者を退去させて建替えを実行するための規定です。

    同じ「時価で権利を移転させる制度」でありながら、誰が誰に請求するのかが正反対なので、ここは方向をセットで覚える必要があります。なお、催告を受けた区分所有者が2か月以内に回答しなかった場合は、建替えに参加しない旨を回答したものとみなされます(63条3項、4項)。

    建替え決議

    建替え決議は、区分所有者(議決権を有しないものを除く)及び議決権の各5分の4以上の多数で行います(62条1項)。前述のとおり、ここは出席者基準ではなく総数基準が維持されています。ただし、62条2項に掲げる五つの場合のいずれかに該当するときは、この「5分の4」が「4分の3」に緩和されます。

    区分所有権を消滅させる最も重い決議であるため、手続も加重されています。招集通知は会日の少なくとも2か月前に発しなければならず、この期間は規約で伸長することができます(62条6項)。通知には、会議の目的たる事項および議案の要領のほか、建物の建替えを必要とする理由、建替えをしないとした場合に建物の効用の維持または回復をするのに要する費用の額およびその内訳、修繕計画が定められているときはその内容、修繕積立金として積み立てられている金額を通知しなければなりません(62条7項)。さらに、集会を招集した者は、会日の少なくとも1か月前までに説明会を開催しなければなりません(62条8項)。

    建替え決議においては、新たに建築する建物の設計の概要、建物の取壊しおよび再建建物の建築に要する費用の概算額、その費用の分担に関する事項、再建建物の区分所有権の帰属に関する事項を定めなければなりません(62条4項)。このうち費用の分担と区分所有権の帰属は、各区分所有者の衡平を害しないように定める必要があります(62条5項)。改正前はこれらが2項・3項でしたが、緩和規定の新設により項番号が二つ繰り下がっています。

    団地

    一団地内に数棟の建物があり、その団地内の土地または附属施設が団地建物所有者の共有に属する場合には、それらの所有者全員で団地管理組合を構成します(65条)。団地管理組合の集会や規約については、単棟の規定が広く準用されます(66条)。66条の準用の書き方は改正で整理され、読替えが表形式で定められるようになりました。

    団地規約の設定について定める68条1項も改正されました。土地または附属施設については共有者の4分の3以上の者であってその持分の4分の3以上を有するものの同意を要する点は実質的に維持されていますが、団地内の専有部分のある建物については、34条の規定による集会における出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上の多数による決議で、かつ区分所有者の過半数の者であって議決権の過半数を有するものが出席してされたものに限る、という形に改められています。

    団地内の特定の建物を建て替えるときは、その棟で建替え決議を経たうえで、団地管理組合の集会において建替え承認決議を得る必要があります(69条1項)。この要件も改正され、議決権の過半数を有する団地建物所有者が出席し、出席した団地建物所有者の議決権の4分の3以上の多数によることとなりました。改正前は「議決権の4分の3以上」の総数基準です。承認決議が「区分所有者及び議決権の各」ではなく議決権のみで判断される点は、改正の前後を通じて変わりません。

    団地内の建物の全部を一括して建て替える一括建替え決議は、団地管理組合の集会で、当該団地内建物の区分所有者(議決権を有しないものを除く)及び議決権の各5分の4以上の多数によります(70条1項本文)。建替え決議と同じく総数基準が維持されました。ただし、団地内建物のうちいずれか一以上の建物について、その区分所有者の3分の1を超える者または議決権の合計の3分の1を超える議決権を有する者が反対したときは、決議をすることができません(70条1項ただし書)。棟単位の少数派が団地全体の多数決だけで押し切られないよう、二重の要件になっています。

    なお、改正により71条が団地内建物敷地売却決議の規定として新設されました。区分所有者(議決権を有しないものを除く)及び議決権の各5分の4以上の多数で、団地内建物およびその敷地につき一括して全部を売却する旨を決議できる、というものです。

    試験での出題ポイント

    総数基準と出席者基準の取り違え

    最も出題が予想されるのがここです。「区分所有者及び議決権の各4分の3以上」という改正前の文言をそのまま使った選択肢は、17条1項、31条1項、47条1項、55条2項、58条2項、68条1項については誤りになります。正しくは、定足数を満たしたうえでの「出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上」です。

    逆に、建替え決議(62条1項)と一括建替え決議(70条1項)については、総数基準のままです。ここを出席者基準に書き換えた選択肢は誤りになります。全部が出席者基準になったわけではない、という点が引っかけの中心になります。

    定足数の有無

    特別多数決には「区分所有者の過半数の者であって議決権の過半数を有するものが出席し」という定足数がありますが、39条1項の普通決議には定足数の定めがありません。「普通決議についても区分所有者の過半数の出席が必要である」とする選択肢は誤りです。

    書面・代理人行使の算入

    39条2項により、書面または代理人によって議決権を行使した区分所有者は、出席した区分所有者の数と議決権の数の両方に算入されます。「委任状を提出した区分所有者は出席者に含まれない」とする選択肢は誤りです。

    大規模滅失の3分の2

    61条5項は、割合そのものが4分の3から3分の2に下がった唯一の箇所です。「大規模滅失の復旧決議は出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上による」とする選択肢は、出席者基準の部分は正しくても割合が誤りになります。数字を入れ替えた選択肢が作りやすい形なので注意してください。

    規約による引下げの可否

    17条1項の共用部分の変更は、決議割合を規約で2分の1を超える範囲まで引き下げることができます。これに対し、31条1項の規約の設定・変更・廃止と47条1項の法人成立には、引下げの括弧書きがありません。「規約で定めれば規約の変更を過半数の決議でできる」とする選択肢は誤りです。

    また、改正前の17条1項ただし書「区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる」は削除されています。このただし書を前提とする選択肢も誤りになります。

    招集通知の議案の要領と期間

    35条1項により、議案の要領は特別決議に限らず常に必要です。「議案の要領を示す必要があるのは重大変更や規約の変更を目的とする場合に限られる」とする選択肢は、改正後は誤りです。

    期間については「規約で伸長することができる」であって、伸縮ではありません。「規約で定めれば招集通知を3日前に発することができる」とする選択肢は誤りになります。

    準用による間接的な変更

    59条と60条は条文が改正されていませんが、58条2項を準用しているため決議要件は出席者基準になっています。「59条は改正されていないから競売請求の決議は従来どおり総数の4分の3以上でよい」という理解は誤りです。準用の連鎖を追う必要があります。

    条番号の移動

    18条4項(損害保険)は18条6項へ、33条3項(保管場所の掲示)は33条4項へ、62条2項(建替え決議で定める事項)は62条4項へ、旧71条・72条の過料は91条・92条へ移動しています。条番号だけを問う出題は多くありませんが、条文を引くときに取り違えると芋づる式に誤ります。

    買取請求と売渡請求の向き

    大規模滅失は反対者から賛成者への買取請求(61条7項)、建替えは賛成者から反対者への売渡請求(63条5項)です。方向を入れ替えた選択肢が作りやすいので、必ず「誰が誰に」で確認してください。

    改正されていない論点

    改正の話題に気を取られると、従来からの頻出論点を落とします。規約で専有部分を共用部分にできるが逆はできないこと、規約共用部分は登記が対抗要件で法定共用部分は登記不要であること、共用部分の持分の分離処分には規約の例外がないが敷地利用権にはあること、管理組合が当然に成立し管理者に資格制限がないこと、公正証書規約で定められるのは四つの事項に限られること、占有者は議決権を持たず意見陳述ができるにとどまること。これらはいずれも改正されておらず、引き続き出題されます。学習の優先順位は権利関係の頻出論点を参照してください。

    覚え方・整理の仕方

    「出席者が分母」を先に固定し、例外を二つだけ覚える

    改正後の決議要件は、原則が出席者基準、例外が建替え系の総数基準、という構造です。まず「分母は出席者」を既定値として頭に入れ、そのうえで「建替え決議(62条1項)と一括建替え決議(70条1項)だけは総数」と例外を二つ覚えます。

    例外の理由もセットにしてください。建替えは区分所有権を失わせる処分だから、欠席を分母から外せない。この理由を持っておくと、団地内建物敷地売却決議(71条1項)のような新しい決議に出会ったときも、権利を失わせる類型かどうかで見当がつきます。

    割合は「4分の3が原則、3分の2が二か所、5分の4が建替え」

    特別多数決の割合は三つしかありません。原則が4分の3。3分の2になるのは、17条5項の瑕疵除去・バリアフリー化の共用部分変更と、61条5項の大規模滅失の復旧の二か所。5分の4は建替え系です。

    このうち61条5項は改正で4分の3から下がった箇所なので、「復旧は下がった」と一言で記憶しておくと、旧知識との衝突に気づけます。

    規約で下げられるのは17条だけ

    規約による決議割合の引下げは、17条1項(および17条3項)にしか認められていません。31条にも47条にも55条にも58条にもありません。「共用部分の変更だけは規約で緩められる」と一点だけ覚えるのが確実です。

    なお、定足数のほうは17条・31条・47条・55条・58条・61条5項のいずれについても「規約でこれを上回る割合を定めた場合はその割合以上」と書かれており、加重はできるが緩和はできないという向きになっています。決議割合は下げられる場合があるが定足数は上げられるだけ、と向きを分けて覚えてください。

    「議決権を有しない者」は38条の2の裁判とセットで

    条文に頻出する「区分所有者(議決権を有しないものを除く。)」という括弧書きは、38条の2の裁判を経て所在等不明区分所有者とされた者を指します。この対応関係を知らないと、括弧書きが何を意味するのか分からないまま読むことになります。

    裁判で議決権を失わせる仕組みと、出席者を分母にする仕組みは、どちらも同じ「所在不明者がいても決議できるようにする」という目的から出ていますが、別の手段です。総数基準が残った建替え決議でも前者は使える、という関係を押さえておくと整理が効きます。

    三本の柱に条文をぶら下げる

    冒頭で述べた三つの仕掛け、すなわち建物の切り分け、権利の一体化、団体による多数決に、条文をぶら下げていくのが最も効率的です。切り分けには1条から5条、一体化には10条・15条・22条から24条、団体と多数決には3条・25条から46条が対応します。義務違反者への措置(57条から60条)と復旧建替え(61条から64条)は、この三本柱の上に乗る応用編と位置づけられます。今回の改正が集中したのは三つ目の柱です。

    数字は用途別の箱に入れる

    過半数、4分の3、5分の4、3分の2、5分の1、2分の1、1週間、1か月、2か月と数字が多く出ますが、一列に並べると混線します。決議の定数、定足数、招集のための定数、滅失の区分基準、手続の期間という五つの箱に分けて格納すると混同が減ります。語呂合わせを自作する手順は宅建の語呂合わせ基礎を参考にしてください。

    総論と各論を往復する

    区分所有法は毎年のように出題される一方、問われる角度が年によって大きく変わります。改正直後の年度は特に、改正箇所が狙われやすくなります。本記事のような総論で全体像を作ったら、決議要件の各論を回し、また総論に戻るという往復が有効です。演習の回し方は過去問の回転法で扱っています。なお、区分所有法はマンション管理士試験の中心科目でもあり、学習の相互乗り入れについてはマンション管理士と宅建の関係で整理しています。民法をはじめとする他の改正論点の扱い方は民法改正のポイントも参考になります。

    理解度チェッククイズ

    Q1. 共用部分の変更(その形状または効用の著しい変更を伴わないものを除く)は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決する。

    答えを見る **× 誤り。** 令和8年4月1日施行の改正後の17条1項は、集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く)の過半数の者であって議決権の過半数を有するものが出席し、**出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上**の多数による決議で決する、と定めています。分母は区分所有者の総数ではなく出席者です。なお決議割合は、2分の1を超える割合に限り規約で引き下げることができます。改正前のただし書「区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる」は削除されました。

    Q2. 建替え決議は、集会において、出席した区分所有者及びその議決権の各5分の4以上の多数でしなければならない。

    答えを見る **× 誤り。** 建替え決議は改正後も総数基準です。62条1項は「区分所有者(議決権を有しないものを除く。)及び議決権の各5分の4以上の多数」と定めており、出席者を分母とはしていません。建替えは区分所有権を消滅させる処分であり、集会に出席しなかったことをもって権利を失わせることはできないためです。同様に、70条1項の一括建替え決議も総数基準が維持されています。ただし62条2項に掲げる五つの場合に該当するときは、5分の4が4分の3に緩和されます。

    Q3. 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の復旧決議は、集会において、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上の多数でする。

    答えを見る **× 誤り。** 出席者基準である点は正しいものの、割合が違います。改正後の61条5項は「出席した区分所有者及びその議決権の各**3分の2**以上の多数」と定めています。改正前は総数の各4分の3以上でしたから、分母と割合の両方が変わりました。今回の改正で決議の割合そのものが引き下げられたのはこの条文だけなので、区別して覚えてください。

    Q4. 集会の招集の通知において議案の要領を示さなければならないのは、共用部分の重大変更や規約の設定・変更・廃止を会議の目的とする場合に限られる。

    答えを見る **× 誤り。** 改正前の35条1項は「会議の目的たる事項」を示せば足り、議案の要領が必要な場合を旧35条5項が限定列挙していました。改正後は35条1項が「会議の目的たる事項及び議案の要領を示して」と改められ、旧5項は削除されています。したがって議案の要領はすべての集会について必要です。あわせて、招集期間は「規約で伸長することができる」とされ、1週間より短縮することはできません。

    Q5. 書面または代理人によって議決権を行使した区分所有者は、集会に出席していないため、出席した区分所有者の数には算入されない。

    答えを見る **× 誤り。** 改正後の39条2項は、議決権は書面または代理人によっても行使することができるとしたうえで、書面または代理人によって議決権を行使した区分所有者の数は出席した区分所有者の数に、当該議決権の数は出席した区分所有者の議決権の数に、それぞれ算入すると明記しています。決議の分母が出席者に変わったことに対応して置かれた規定です。

    まとめ

    区分所有法は、建物を専有部分と共用部分に切り分け、専有部分と共用部分の持分・敷地利用権を一体のものとして縛り、区分所有者全員を当然に団体化して多数決で管理を決めさせる、という三つの仕掛けでできています。個々の条文はこの三本柱のどこかに必ず位置づけられるので、暗記に入る前に構造を掴んでおくことが遠回りに見えて近道です。

    令和7年法律第47号による改正は、三つ目の柱である多数決の部分に集中しました。要点は五つです。

    第一に、決議要件の分母が区分所有者の総数から出席者に変わりました。17条1項、31条1項、39条1項、47条1項、55条2項、58条2項、61条5項、68条1項が該当します。特別多数決には区分所有者の過半数かつ議決権の過半数という定足数が置かれた一方、39条1項の普通決議には定足数がありません。

    第二に、建替え決議(62条1項)と一括建替え決議(70条1項)は総数基準のまま残りました。区分所有権を失わせる処分だからです。

    第三に、61条5項の大規模滅失の復旧は、割合そのものが4分の3から3分の2に引き下げられました。17条5項が新設され、瑕疵の除去とバリアフリー化のための共用部分の変更も3分の2になっています。

    第四に、38条の2が新設され、裁判により所在等不明区分所有者の議決権を失わせることができるようになりました。条文に頻出する「区分所有者(議決権を有しないものを除く。)」はこれを指します。あわせて39条2項により、書面・代理人による議決権行使は出席に算入されます。

    第五に、35条1項の招集通知には常に議案の要領が必要となり、招集期間は規約で伸長のみができることになりました。

    宅建試験は当該年度の4月1日現在で施行されている法令から出題されるため、令和8年度の試験は改正後の条文が正解になります。手元の教材が改正前の記述のままでないか、17条・31条・39条を引いて確認してください。決議要件の数字を条文単位で詰めるときは区分所有法の決議要件を参照してください。

    宅建試験AIブートラボのアプリでは、区分所有法を含む権利関係の肢別トレーニングと年度別過去問演習に取り組めます。

    読んだ内容を、権利関係の肢で確かめる

    民法・借地借家法・区分所有法など、条文だけでは判断しづらい論点は、過去問の肢で覚えるのが最短です。

    関連記事

    法令上の制限

    令和8年度に影響する法改正まとめ

    関連資格・ダブルライセンス

    管理業務主任者と宅建のダブル取得|重なりと学習順序

    Android版アプリの先行テスターを募集しています

    正式公開に先立ち、先行してご利用いただける方を募集しています。学習記録や有料プランはWeb版と同じアカウントで、そのまま引き継げます。3ステップで、通常その場で使い始められます。

    1
    テスターグループに参加する

    お使いのGoogleアカウントで参加ボタンを押すだけです。承認を待つ必要はありません。

    参加ページを開く
    2
    テスト版を受け取る

    手順1と同じGoogleアカウントでログインしたAndroid端末で受け取りページを開き、「テスターになる」を押してGoogle Playからインストールします。

    受け取りページを開く
    3
    いつものアカウントでログインする

    Web版と同じメールアドレス・パスワードでログインすれば、学習記録がそのまま表示されます。

    「まだご利用いただけません」と表示された場合は、反映待ちの可能性があります。時間をおいて再度お試しいただくか、info@takken-bootlab.com までお知らせください。