贈与税と相続税|宅建試験で出る税金の基礎知識
宅建試験で出題される贈与税と相続税の基礎知識を解説。住宅取得等資金の贈与の非課税特例、相続時精算課税制度、小規模宅地等の特例を整理。
宅建試験と贈与税・相続税
宅建試験の「税・その他」分野では、不動産取得税・固定資産税に次いで贈与税・相続税が出題されることがあります。特に、住宅取得等資金の贈与税の非課税特例や小規模宅地等の特例は実務上も重要なテーマです。
贈与税の基本
暦年課税
贈与税は、1年間(1月1日〜12月31日)に贈与を受けた財産の合計額に対して課税されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 課税主体 | 国(国税) |
| 納税義務者 | 贈与を受けた者(受贈者) |
| 基礎控除 | 110万円(年間) |
| 税率 | 累進税率(10%〜55%) |
| 申告期限 | 翌年の2月1日〜3月15日 |
計算式: 贈与税額 =(贈与額 − 110万円)× 税率 − 控除額
試験ポイント: 年間110万円以下の贈与であれば、贈与税は非課税(申告も不要)です。
住宅取得等資金の贈与税の非課税特例
制度の概要
直系尊属(父母・祖父母等)から住宅取得等資金の贈与を受けた場合、一定額まで贈与税が非課税となる特例です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 贈与者 | 直系尊属(父母・祖父母等) |
| 受贈者 | 贈与年の1月1日時点で18歳以上の子・孫等 |
| 非課税限度額 | 省エネ等住宅:1,000万円、それ以外:500万円 |
| 併用 | 暦年課税の110万円控除または相続時精算課税と併用可能 |
主な要件
- 受贈者の合計所得金額が2,000万円以下
- 取得する住宅の床面積が40㎡以上240㎡以下
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住の用に供すること
不動産取得税との関連: 不動産取得税の新築住宅の特例も「50㎡以上240㎡以下」の面積要件がありますが、贈与税の非課税特例は「40㎡以上」からです。
相続時精算課税制度
制度の概要
相続時精算課税とは、贈与時には贈与税を軽減し、相続時に贈与財産と相続財産を合算して相続税を計算する制度です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 贈与者 | 60歳以上の父母・祖父母 |
| 受贈者 | 18歳以上の子・孫 |
| 特別控除 | 累計2,500万円まで贈与税非課税 |
| 超過分の税率 | 一律20% |
| 相続時 | 贈与財産を相続財産に加算して相続税を計算 |
注意: 相続時精算課税を選択すると、その贈与者からの贈与については暦年課税に戻れません。
相続税の基本
基礎控除
相続税には基礎控除があり、遺産の総額が基礎控除以下であれば相続税はかかりません。
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
| 法定相続人の数 | 基礎控除額 |
|---|---|
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
覚え方のコツ: 「3,000万+600万×人数」は試験で最もよく出る数式です。
配偶者の税額軽減
配偶者が相続した場合、以下のいずれか多い金額まで相続税は非課税です。
- 1億6,000万円
- 法定相続分に相当する金額
つまり、配偶者が法定相続分以内の財産を相続する場合、金額にかかわらず相続税はかかりません。
小規模宅地等の特例
制度の概要
被相続人が居住していた宅地や事業用宅地について、相続税の課税価格を大幅に減額する特例です。
| 宅地の種類 | 限度面積 | 減額割合 |
|---|---|---|
| 特定居住用宅地等 | 330㎡ | 80%減額 |
| 特定事業用宅地等 | 400㎡ | 80%減額 |
| 貸付事業用宅地等 | 200㎡ | 50%減額 |
具体例
被相続人の自宅(土地の評価額5,000万円、面積200㎡)を配偶者が相続する場合:
- 特定居住用宅地等に該当(330㎡以内)
- 減額:5,000万円 × 80% = 4,000万円
- 課税価格:5,000万円 − 4,000万円 = 1,000万円
試験ポイント: 「居住用330㎡で80%」「事業用400㎡で80%」「貸付用200㎡で50%」の3パターンを暗記しましょう。
不動産取得税との関係
| 取得の原因 | 不動産取得税 | 相続税 |
|---|---|---|
| 相続 | 非課税 | 課税対象 |
| 贈与 | 課税 | ー(贈与税の対象) |
| 売買 | 課税 | ー |
超頻出: 相続による不動産の取得には不動産取得税が非課税です。これは「不動産取得税」の記事でも触れた最重要ポイントです。
試験での出題パターン
よく出るひっかけ
- 「贈与税の基礎控除は120万円である」→ 誤り(110万円)
- 「相続時精算課税は贈与者が50歳以上であれば適用できる」→ 誤り(60歳以上)
- 「相続税の基礎控除は5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」→ 誤り(旧制度。現行は3,000万円+600万円×法定相続人数)
- 「小規模宅地等の特例で、居住用宅地は400㎡まで80%減額」→ 誤り(居住用は330㎡)
- 「相続により取得した不動産には不動産取得税が課税される」→ 誤り(非課税)
まとめ
1. 贈与税
- 基礎控除110万円
- 住宅取得等資金:省エネ住宅1,000万円、その他500万円まで非課税
2. 相続時精算課税
- 60歳以上の親→18歳以上の子・孫
- 累計2,500万円まで非課税
3. 相続税
- 基礎控除:3,000万円+600万円×法定相続人数
- 配偶者の税額軽減:1億6,000万円 or 法定相続分
4. 小規模宅地等の特例
- 居住用:330㎡まで80%減額
- 事業用:400㎡まで80%減額
- 貸付用:200㎡まで50%減額
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