宅建の個数問題・組合せ問題の解き方|捨てるか取るかの判断
宅建の個数問題は10回分500問中60問、うち54問が宅建業法という実測から、解き方の手順、捨てるか取るかの判断基準、組合せ問題との違いを整理します。
目次
この記事は、宅建試験の「正しいものはいくつあるか」という個数問題と、「正しいものの組合せはどれか」という組合せ問題について、実際の出題規模、解くときの手順、切る判断の基準をまとめたものです。直前期の学習全体の組み立ては「直前期の勉強法」、得点源と捨て問の設計は「宅建の合格戦略」で扱っています。この記事はその中から、個数問題という形式だけを取り出して深く扱います。
先に結論を書きます。個数問題は形式として難しいのですが、出題は宅建業法にほぼ集中しており、宅建業法は学習量が得点に変わりやすい科目です。つまり「個数問題だから捨てる」という方針は、実際の出題分布と噛み合いません。切るかどうかは形式ではなく、その場で判断のつかない肢がいくつ残ったかで決めます。判断のつかない肢が2つ以上なら後回し、1つ以下なら取りにいく。この一線を事前に決めておくことが、当日の時間配分を壊さない唯一の方法です。
以下で使う出題数の数字は、宅建試験AIブートラボが収録する平成28年度から令和7年度までの試験問題500問(令和2年度・令和3年度は収録した1回分)を集計したものです。年度ごとの出題数は動くので、将来の年度を予測する根拠としてではなく、この形式がどの程度の規模で存在するかを把握するために読んでください。
個数問題とは何か、なぜ四肢択一より難しいか
選択肢が「一つ・二つ・三つ・四つ」になる形式
個数問題は、問題文で四つの記述(ア・イ・ウ・エ、あるいは1から4の肢)を示したうえで、「正しいものはいくつあるか」「誤っているものはいくつあるか」と問い、選択肢が「一つ」「二つ」「三つ」「四つ」となっている形式です。これに加えて「なし」が選択肢に入る場合があります。
通常の四肢択一と違うのは、選択肢そのものが内容を持っていない点です。通常の問題では、選択肢1から4がそれぞれ法律上の記述であり、読者はその記述を比較できます。個数問題では、選択肢は数を表す語にすぎません。比較する対象が選択肢の側に存在しないので、判断材料は問題文の四つの記述だけになります。
消去法が効かないというのは、こういう意味である
「個数問題は消去法が効かない」という言い方は、既存の記事でも繰り返し出てきます。この表現の中身を正確に押さえておきます。
通常の四肢択一で「正しいものはどれか」と問われた場合、正解は一つです。したがって、ある肢が確実に誤りだと判定できれば、その肢は答えから外れます。四つのうち三つを誤りと判定できれば、残る一つが自動的に正解になります。逆に、一つの肢を「これは確実に正しい」と判定できれば、他の三つを読む必要すらなくなります。判定が全肢に及ばなくても答えが出るという点が、四肢択一の構造的な緩さです。
個数問題では、この緩さが消えます。答えは「正しい肢の総数」なので、四つの肢の一つひとつについて正誤を確定させないと、総数が出ません。三つまで正確に判定できても、残る一つの判定が違えば総数が一つずれ、答えは必ず外れます。部分的な知識が部分的な得点に変換されないのです。
もう一段踏み込むと、個数問題は「誤りの肢を見つける」ことにも価値がありません。通常の四肢択一では、誤りの肢を一つ見つければ選択肢が一つ減ります。個数問題では、誤りの肢を一つ見つけてもそれは「誤りが少なくとも一つある」という情報にしかならず、総数の確定には一歩も近づいていません。四つすべてについて同じ作業をして初めて、答えが出ます。
判定精度の差が、そのまま増幅されて出る
四つの肢の判定が互いに独立だと仮に置くと、一肢あたりの判定精度がそのまま四乗で効きます。一肢を9割の精度で判定できる人が四肢すべてを正しく判定できる確率は0.9の4乗でおよそ0.66、8割なら0.8の4乗でおよそ0.41、95パーセントまで上げてようやく0.95の4乗でおよそ0.81です。
この計算は現実の出題を再現するものではありません。実際には四つの肢が同じ論点から作られていて判定が連動することもあり、独立という仮定は成り立ちません。それでも、この数字が示していることは重要です。一肢あたりの精度が8割から9割に上がると、通常の四肢択一での得点はそれほど変わらないかもしれませんが、個数問題での正答率は0.41から0.66へと大きく動きます。個数問題は、知識の精度の差を拡大して表示する装置だということです。
裏返せば、個数問題での正答率が低いことは「個数問題に弱い」ことを意味しません。一肢あたりの判定精度が足りていないことを意味します。対策として必要なのは形式への慣れではなく、肢ごとの根拠の詰め直しです。この点は後の学習法の節で詳しく扱います。
10回分500問のうち60問という規模
規模を数字で押さえておきます。平成28年度から令和7年度までの10回分、合計500問のうち、選択肢が「一つ・二つ・三つ・四つ」または「一つ・二つ・三つ・なし」となっている個数問題は60問でした。1回あたり平均6問です。50問中6問ということは、総得点の1割強がこの形式で決まっている計算になります。
年度ごとの内訳は、平成28年度6問、平成29年度6問、平成30年度3問、令和元年度6問、令和2年度4問、令和3年度6問、令和4年度6問、令和5年度8問、令和6年度4問、令和7年度11問です。最少の平成30年度が3問、最多の令和7年度が11問で、年度による振れ幅は小さくありません。
この振れ幅があるため、「毎年何問出るから何点分を見込んでおく」という設計は立ちません。3問の年もあれば11問の年もある、という幅で持っておくのが正確な扱い方です。合格点そのものが年によって動く理由と構造は「宅建の合格ライン予想」で扱っていますが、出題形式の構成比も同じように動くものだと考えてください。
出題の実態は宅建業法への集中である
科目別の内訳は54対6対0対0
60問の科目別内訳を見ると、この形式の性格がはっきりします。宅建業法54問、権利関係6問、法令上の制限0問、税・その他0問です。
10回分で法令上の制限と税・その他からは1問も出ていません。権利関係も10回で6問なので、1回あたり0.6問です。残る54問、全体の9割が宅建業法に集中しています。宅建業法は1回20問、10回で200問ありますから、宅建業法の問題のうち4問に1問強が個数問題だった計算になります。
なぜこの偏りが生じるのかは公表されていません。ただ、観察できる事実として、宅建業法は条文が要件と効果を列挙する形で書かれており、一つの論点を独立した短い記述に切り出しやすい構造をしています。届出の期限、書面の記載事項、数値の上限といった要素が、それぞれ単独で正誤を判定できる形になるということです。科目全体の構成は「宅建業法の全体像」にまとめています。
この偏りの実務的な意味は明確です。個数問題対策というものが独立して存在するわけではなく、宅建業法の学習の精度がそのまま個数問題の得点になる、ということです。科目ごとの性質の違いを踏まえた配分は「宅建の科目別攻略法」で扱っています。
令和7年度は宅建業法20問中10問が個数問題だった
令和7年度の11問は、10回分の中で突出しています。内訳は、権利関係が問3の1問、宅建業法が問28・問30・問31・問33・問34・問36・問38・問40・問42・問43の10問です。
宅建業法は問26から問45までの20問ですから、そのちょうど半分が個数問題だったことになります。この年に受験した人の体感として「宅建業法が重かった」という印象が残るのは、形式の構成が実際に変わっていたからです。
この事実が持つ意味は二つあります。
第一に、「個数問題は難しいから捨てる」という方針を持っていた場合、令和7年度の宅建業法では最大10問を放棄することになります。宅建業法20問のうち10問を捨てて、残る10問を全問正解しても10点です。この科目は例年、合格者が最も高い正答率を出す範囲ですから、ここで10点しか取れない設計は、そもそも成り立ちません。形式を理由に捨てるという方針は、出題の実態と正面からぶつかります。
第二に、宅建業法の学習の到達度が「全肢を独立に正誤判定できるか」という基準で測られる年があるということです。通常の四肢択一が中心の年であれば、論点の半分を曖昧に覚えていても、確信できる肢を手がかりに正解にたどり着けます。個数問題が半分を占める年には、その逃げ道が塞がれます。宅建業法で高い得点を狙うときの詰め方は「宅建業法で18問以上取る」にまとめています。
権利関係の6問は扱いが違う
権利関係の個数問題は10回で6問しかありませんが、この6問は宅建業法の54問とは扱いを変える必要があります。
宅建業法の記述は、条文の要件をそのまま書くか、どこか一箇所を変えて誤りにするかのいずれかです。判定の根拠が条文に直結しているので、覚えていれば判定でき、覚えていなければ判定できないという二分法がきれいに働きます。
権利関係では、判例の射程や事案の当てはめが絡み、条文を覚えているだけでは判定できない記述が混じります。四つの記述のうち二つまでは条文で判定できても、残り二つが見たことのない事案だという状況が起こりえます。この場合、いくら時間をかけても判定できないので、早く見切るべき問題になります。権利関係のどこに時間を使うかは「権利関係の頻出論点」を参照してください。
つまり、個数問題に当たったときの第一の判断材料は、それが何番の問題か、すなわちどの科目かということになります。問26から問45の間にある個数問題は、基本的に取りにいく問題です。問1から問14の間にある個数問題は、切る候補として扱ってよい問題です。
正解の分布から言えることと、言えないこと
60問の正解は「三つ」が20問で最多だった
60問の正解を集計すると、「三つ」が20問、「二つ」が17問、「一つ」が11問、「四つ」が9問、「なし」が3問でした。
この分布を見て「三つを選べば当たりやすい」と考えたくなるかもしれません。その発想が成り立たない理由を、先に押さえておきます。
分布で当てにいく発想が成り立たない理由
第一に、最頻値の「三つ」でも60問中20問、割合にして3分の1です。まったく分からない問題で「三つ」を選び続ければ3回に1回当たる計算にはなりますが、これは通常の四肢択一で適当にマークしたときの4分の1と、実質的にほとんど変わりません。1問あたりの期待値が0.25から0.33へ動くだけで、この差を戦略と呼ぶことはできません。
第二に、この分布は事後の集計であって、出題者が従っている規則ではありません。過去10回でこうだったという記録は、次の1問がどうなるかを何も規定しません。「三つ」が20問、「二つ」が17問と数が近いことからも分かるとおり、特定の答えに偏らせる設計がされている形跡はありません。
第三に、分布を根拠にした選択は、解答の過程を放棄することを意味します。個数問題で答えが出ないのは、判断のつかない肢が残っているからです。そのとき必要なのは「どの数を選ぶか」ではなく「その問題にこれ以上時間を使うか」の判断です。数の分布を持ち出すと、この判断が曖昧になります。まったく分からない問題には何かをマークして先へ進むべきですが、その際に選ぶ数は何でもよく、あらかじめ決めておく一つの数があれば十分です。決めておく意味は当たりやすさではなく、迷う時間をゼロにすることにあります。
分布から実際に言えるのは、選択肢の並びを見る価値があることだけ
集計から実用的に取り出せる事実は、分布そのものではなく、選択肢の構成に2種類あるという点です。
60問のうち17問は、選択肢に「なし」が含まれていました。つまり「一つ・二つ・三つ・なし」という構成です。残る43問は「一つ・二つ・三つ・四つ」という構成でした。
この違いは、解くときに使える情報を変えます。選択肢が「一つ・二つ・三つ・四つ」の場合、「四つとも誤り」という答えは存在しません。出題者は少なくとも一つの記述を正しく作っているということです。四つの記述をすべて誤りと判定したなら、その判定のどこかが間違っています。同じことが「なし」を含む構成でも起こり、「一つ・二つ・三つ・なし」であれば「四つとも正しい」という答えが存在しません。四つすべてを正しいと判定したなら、どこかに見落としがあります。
これは当てにいくための情報ではなく、自分の判定を点検するための情報です。実際に使う場面は限られますが、選択肢の並びを最初に一瞥しておく習慣には、この点検が組み込まれます。数秒のコストで、判定の全滅を防げる場面があるということです。
「なし」が正解になる場合は現に存在する
60問のうち、正解が「なし」だったのは3問でした。数としては少ないのですが、ゼロではありません。
「なし」を含む問題で四つの記述をすべて誤りと判定したとき、「そんなはずはない」と考えて判定をひっくり返すのは誤りです。選択肢に「なし」が用意されている以上、それは正解としてありうる答えです。判定の結果が「なし」になったなら、根拠を一度だけ確認して、そのまま「なし」を選んでください。
逆に、選択肢に「なし」がない構成で全肢を誤りと判定したときは、必ずどこかの判定が違います。このときは、最も自信の薄い肢に戻って読み直す価値があります。時間を使う先が特定できるという意味で、この点検は実益があります。
解くときの手順を固定する
手順1 設問の指示を確定させる
最初にやるのは、「正しいものはいくつあるか」なのか「誤っているものはいくつあるか」なのかを確定させ、問題用紙に印をつけることです。
個数問題では、この取り違えが致命的です。通常の四肢択一で指示を読み違えた場合、誤って選んだ肢が偶然正解と一致する可能性が残ります。個数問題では、正しい肢が3つなら誤っている肢は1つですから、読み違えると答えは必ずずれます。しかも自分では正しく解いたつもりになるため、見直しでも気づきません。
設問の末尾に線を引く、あるいは「正」「誤」と書き込む。どちらでもよいので、手順として固定してください。当日の運用全般は「宅建試験当日ガイド」にまとめています。
手順2 選択肢の並びを一瞥する
次に、選択肢が「一つ・二つ・三つ・四つ」なのか「一つ・二つ・三つ・なし」なのかを確認します。前節で述べたとおり、これは判定の点検に使う情報です。1秒か2秒の作業なので、手順に組み込んでも時間は増えません。
手順3 各肢に記号を付けながら読む
四つの記述を順に読み、それぞれに記号を付けます。記号は三つに固定します。
正しいと確信できるものに丸。誤っていると確信できるものにバツ。判断がつかないもの、あるいは「たぶんこうだと思うが根拠が言えない」ものに三角。
重要なのは、三角を正直に付けることです。演習でも本番でも、三角を付けるべき肢に丸やバツを付けてしまうと、その問題の確信度が実際より高く見積もられます。本番では時間配分を誤り、演習では弱点が記録されません。「たぶん正しい」は三角です。この線引きだけは甘くしないでください。
また、記号は問題用紙の記述の横に書きます。頭の中だけで持とうとすると、四つ目を読んでいる間に一つ目の判定が曖昧になります。四つを同時に保持する負荷を、紙に下ろすための記号です。
手順4 三角の数で次の行動を決める
四つの記号が出そろったら、三角の数だけを見て行動を決めます。
三角がゼロなら、丸の数がそのまま答えです。マークして次へ進みます。この場合、見直しの対象にもしません。
三角が一つなら、残る三つの判定は確定しているので、答えは二通りに絞られています。三角の肢が正しい場合の数と、誤っている場合の数です。ここでは、三角の肢について「条文が原則としてどう書いているか」を思い出す方向で考えます。宅建業法の記述は、条文の語尾や主語を一箇所だけ変えて作られることが多いので、変えられそうな箇所を探すと判定が動くことがあります。引っかけの型は「宅建の引っかけ表現パターン」で類型化しています。それでも決まらなければ、二通りのうち一方をマークし、問題用紙に見直し対象の印を残して先へ進みます。
三角が二つ以上なら、その場で答えは出ません。考えても出ないのではなく、知識がない以上その場では出ないということです。何かをマークして印を残し、次の問題へ進みます。ここで粘るのが、個数問題で最も起きやすい時間の失い方です。
手順5 マークは飛ばさずその場で塗る
判断がつかない問題でも、マーク欄は空けません。空欄を作ると、後続の問題でマークがずれる原因になります。マークのずれは一度起きると連鎖し、大量失点につながる事故です。防ぎ方の手順は「宅建試験当日ガイド」の該当節に整理してあります。
個数問題は選択肢が数を表す語なので、「とりあえず塗る」ときに迷いがちです。事前に一つ決めておいてください。何を決めても当たりやすさは変わりませんが、迷う時間がゼロになります。
手順6 見直しの優先順位を三角の数で付ける
時間が余って戻るとき、優先するのは三角が一つだった問題です。三つの判定が確定しており、残る一つで答えが二通りに絞られている状態ですから、思い出せれば得点になります。
三角が二つ以上だった問題に戻っても、状況は変わりません。試験中に新しい知識は生まれないからです。戻る先を三角の数で決めておくと、限られた見直し時間が有効に使えます。自己採点のために記録を残す方法は「宅建の自己採点」で扱っています。個数問題は、まぐれ当たりが混ざりやすい形式でもあるので、印を残しておく価値が特に高い問題群です。
捨てるか取るかの判断基準
配点は1問1点で、個数問題も同じ1点である
前提を確認しておきます。宅建試験は50問すべてが1問1点で、個数問題だからといって配点が高いわけではありません。四つの肢をすべて判定させられて、得られるのは他の問題と同じ1点です。
この非対称が、切る判断の出発点になります。同じ1点なら、時間あたりの得点効率が高い問題から取るのが合理的です。時間をかければ取れる個数問題と、すぐ取れる通常問題が残っているなら、後者を先に処理します。全体の得点設計の考え方は「宅建の合格戦略」にまとめています。
形式ではなく、三角の数で切る
切る基準を「個数問題かどうか」に置くと、前述のとおり宅建業法で大量の放棄が発生します。基準は形式ではなく、前節の手順で出た三角の数に置きます。
三角が二つ以上なら、その問題は切ります。三角が一つなら、二通りのどちらかを選ぶところまでやります。三角がゼロなら取ります。この基準は科目を問わず同じです。違うのは、宅建業法では三角がゼロか一つになる問題が多く、権利関係では二つ以上になりやすいという頻度の差だけです。
時間で切る基準も併せて持つ
三角の数による基準に加えて、時間による基準を持っておきます。
1問あたりの平均は、50問を120分で解けば2分24秒です。ただしマークの時間と見直しの時間を別に確保する必要があるため、解答そのものに使えるのは全体の8割程度と考えて設計します。個数問題は四つの記述をすべて読むぶん、平均より時間がかかる前提で組みます。
目安として、個数問題に3分以上留まっている場合は、三角の数にかかわらず切り上げます。時計を見るのは問ごとではなく科目の切れ目でよいのですが、個数問題に入ったときだけは、読み始めの時刻を意識しておくと止まらずに済みます。科目ごとの持ち時間の設計と、当日の時間の運び方は「宅建試験当日ガイド」、計算を要する問題で時間を失わないための設計は「宅建の計算問題」が扱っています。個数問題と計算問題は、いずれも「1点のために時間が伸びる問題」という点で共通しており、両方に長く留まると配分が崩れます。
「捨てる」と「後回し」は違う
切るという言葉を、二つに分けておきます。
後回しは、マークだけして印を残し、時間が余れば戻る扱いです。三角が一つの問題はここに入ります。捨てるは、戻らないと決める扱いです。三角が二つ以上で、かつ科目が権利関係であれば、ここに入れてよい問題です。
この区別をしておかないと、見直し時間にどこへ戻るかで迷います。迷っている時間も試験時間です。問題用紙の印を二種類にしておくと、戻る先が自動的に決まります。
宅建業法の個数問題を捨てる設計は成り立たない
繰り返しになりますが、実測の分布から言えることを明確にしておきます。10回分の個数問題60問のうち54問が宅建業法でした。令和7年度は宅建業法20問中10問が個数問題でした。
宅建業法は、学習量がそのまま得点に変わりやすい科目です。合格点を取る設計の多くは、この20問で16問から18問を取ることを前提にしています。その前提で個数問題を形式的に捨てると、年によっては前提そのものが崩れます。
したがって、宅建業法の個数問題は「取る前提で準備する問題」です。準備の中身は形式への慣れではなく、肢ごとの根拠の精度です。直前期に宅建業法を仕上げる手順は「宅建業法を2週間で仕上げる方法」に日程の形でまとめてあります。
組合せ問題は解き方が違う
10回分で9問という規模
組合せ問題は、アからエまでの四つの記述を示し、「正しいものの組合せはどれか」と問い、選択肢が「ア、イ」「ア、ウ」のように記述の組で示される形式です。
10回分500問のうち、この形式は9問でした。科目別では宅建業法6問、権利関係2問、法令上の制限1問です。年度別には、平成28年度が問28と問29の2問、平成29年度が問16の1問、平成30年度が問34の1問、令和5年度が問4の1問、令和6年度が問28と問40の2問、令和7年度が問5と問26の2問でした。令和元年度から令和4年度までは出ていません。
個数問題の60問と比べると規模は小さく、出ない年もあります。ただし出たときの処理の仕方が個数問題とは違うので、手順を分けて持っておく価値があります。
消去法が部分的に効く
組合せ問題の最大の違いは、選択肢が内容を持っていることです。「ア、イ」という選択肢は、「アが正しく、イも正しい」という主張を含んでいます。したがって、アが誤りだと確定すれば、アを含む選択肢はすべて消えます。
ここが個数問題との決定的な違いです。個数問題では、一つの肢を確定させても選択肢は一つも消えません。組合せ問題では、一つの記述を確定させるだけで、その記述を含む選択肢、あるいは含まない選択肢がまとめて消えます。消去法が部分的に効くというのは、この意味です。
選択肢の構成を先に読む
したがって、組合せ問題では記述を読む前に選択肢の並びを読みます。見るのは、どの記述が何個の選択肢に登場しているかです。
四つの選択肢が「ア、イ」「ア、ウ」「イ、エ」「ウ、エ」と並んでいる場合を考えます。アは2個、イは2個、ウは2個、エは2個に登場しており、どの記述を確定させても選択肢は半分に減ります。この構成なら、最も自信のある記述から手を付けます。仮にアを誤りと確定すれば、残るのは「イ、エ」と「ウ、エ」です。この二つはエを共通に含んでいるので、エの正誤を判定する必要はありません。イかウのどちらか一方を判定すれば答えが出ます。四つの記述のうち、実際に判定したのは二つです。
別の構成として、「ア、イ」「ア、イ、ウ」「イ、ウ、エ」「ウ、エ」のように記述の数が揃っていない場合もあります。この場合、登場回数の多い記述を確定させたほうが消去の効率が高くなります。アが2個、イが3個、ウが3個、エが2個なら、イかウを先に判定します。
この作業は数秒で終わります。四つの記述を順に全部読んでから選択肢を見る解き方と比べて、判定すべき記述の数が減る可能性がある以上、先に選択肢を見ない理由はありません。
判定の順序は自信のある記述から
記述を読む順序は、アからエの順である必要はありません。ざっと目を通して、知っている論点の記述から判定します。
組合せ問題では、確定した記述が選択肢を消すので、確度の高い判定を先に置くほど効率が上がります。逆に、自信のない記述から入ると、判定が三角のまま次へ進むことになり、選択肢が減りません。
ただし、記述の組み方によっては、二つ以上を確定させないと選択肢が一つに絞れない構成もあります。その場合は個数問題と同じ扱いになり、三角が二つ以上残るなら後回しです。組合せ問題だから必ず解けるわけではありません。選択肢の構成次第だという理解で持っておいてください。
組合せ問題で起きやすい事故
組合せ問題に固有の失点として、記号の取り違えがあります。「ア、ウ」と「イ、ウ」は字面が似ており、正しく判定しながらマークだけ間違える事故が起きます。
対策は、判定が終わった時点で、選んだ選択肢の記号を問題用紙の記述側にも印をつけることです。アとウを選んだなら、アとウの記述に丸を付けておく。マークした番号と印の対応を一度確認してから次へ進みます。マークのずれ一般への対処は「宅建試験当日ガイド」に整理があります。
個数問題に強くなる学習法
肢別演習で「全肢を根拠つきで丸バツ」にする
個数問題の対策は、形式に慣れることではありません。一肢あたりの判定精度を上げることです。前に述べたとおり、精度が8割から9割に上がれば、個数問題での正答率は0.41相当から0.66相当へ動きます。
そのための基本の演習は肢別です。一つの肢について正誤を判定し、なぜそうなるのかを条文の語で言えるようにする。この作業を積み上げるほかにありません。肢別と年度別の使い分けと回転のさせ方は「宅建の過去問活用術」にまとめています。
正解した肢こそ根拠を確認する
肢別演習で最も見落とされるのが、正解した肢の扱いです。
四肢択一で正解できた問題でも、四つの肢のうち根拠を言えるのは二つだけ、ということが普通に起こります。通常の四肢択一ではそれで点になるので、見過ごされます。個数問題では、その見過ごした二つが直接失点につながります。
したがって、演習では「正解したか」ではなく「四つすべての根拠を言えたか」を基準にします。正解したが根拠が言えなかった肢には、間違えた肢と同じ印をつけて復習対象に残します。誤答の分類と弱点の拾い方は「宅建の弱点克服法」で扱っています。
自信度を三段階で記録する
演習中に丸バツだけでなく、丸バツ三角の三段階を記録します。本番で使う記号と同じものを、演習の段階から使うということです。
三角が繰り返し付く論点は、そこが弱点です。三角の付き方が特定の論点に集中しているなら、その論点をテキストに戻って詰め直します。三角が広く散らばっているなら、知識の問題ではなく読み方の問題である可能性があります。
自信度を残せるかどうかは、学習ツールを選ぶときの要件にもなります。正解したか否かだけを記録する仕組みでは、三角の情報が残りません。ツールの機能要件を出題形式から導く議論は「宅建アプリの選び方」で扱っています。
「どこを変えれば誤りになるか」まで言う
もう一段深い練習として、正しい肢について「どこを変えれば誤りになるか」を言えるようにします。
宅建業法の誤り肢は、条文の一箇所を変えて作られます。主語を業者から宅建士に変える、期限を30日から2週間に変える、起算点を「告げられた日」から「契約の日」に変える、「することができる」を「しなければならない」に変える。変えられる箇所は限られています。
正しい肢を読んだときに「ここを変えれば誤りになる」と指摘できるなら、その肢の判定は条文の構造として入っています。結論だけを覚えている状態とは、精度がまるで違います。この練習が個数問題に直接効くのは、四つの記述のうち三つが正しく一つだけ変えられている、という作りに対応できるからです。宅建業法の論点ごとの詰め方は「宅建業法の頻出論点」にあります。
肢別だけでは埋まらない部分がある
ここには限界もあります。肢別演習は一肢ずつ判定する訓練ですが、個数問題は四肢分の判定を制限時間内に連続して行う形式です。細切れの時間に一肢ずつ解く練習では、この連続処理の持久力は養われません。
埋めるには、まとまった時間で四肢択一そのものを解く演習が要ります。年度別の演習や模試がこれに当たります。特に模試は、時間を計った状態で個数問題に当たったときに自分がどう振る舞うかを観察する機会になります。三角が二つある問題で粘ってしまう癖は、本番前に模試で発見しておくべきものです。模試の使い方は「宅建の模試活用法」を参照してください。
到達判定の道具として使う
独学の場合、自分が次に進んでよいかを判定する仕組みを自前で持つ必要があります。その判定基準として、個数問題は優れています。
「肢別で8割正解」という基準は、2割の曖昧さを許容します。個数問題は、その曖昧さが残っていれば正解できない形式です。したがって「この論点の個数問題を正解できるか」という基準は、「肢別で8割」より厳密な判定になります。独学での順序設計と判定の作り方は「宅建に独学で合格する」にまとめています。
直前期の使い方
直前期に個数問題を新たな課題として追加する必要はありません。宅建業法の論点を一巡するときに、結論だけでなく根拠まで言えるかを確認する。それが個数問題の対策そのものです。
残り1ヶ月の時間の割り振りは「直前期の勉強法」、宅建業法に絞った2週間の詰め方は「宅建業法を2週間で仕上げる方法」にあります。この時期に効くのは、新しい論点を増やすことではなく、三角が付いた肢を丸かバツに変えていく作業です。
試験での出題ポイント
個数問題の舞台は宅建業法の頻出領域とほぼ重なる
10回分で54問が宅建業法から出ている以上、個数問題の論点は宅建業法の頻出領域と重なります。どの論点が個数問題になりやすいかを数で示すことはできませんが、条文の構造から見て、要件が並列に列挙されている領域は独立した記述に切り出しやすく、その意味で相性がよいと言えます。
35条書面と37条書面の記載事項の帰属はその典型です。35条は契約前に交付して説明まで行い、37条は契約後に遅滞なく交付するが説明義務はなく、どちらも宅建士の記名が要る。この三軸の対比は「35条書面と37条書面の違い」に整理があり、項目の一覧は「35条書面の記載事項一覧」にあります。
8種制限も同様です。適用の前提が売主が宅建業者で買主が業者でないことであり(78条2項)、その前提が崩れれば数値はすべて無関係になります。全体像は「8種制限とは」、適用されない場合の射程は「8種制限が適用されない場合」で扱っています。
媒介契約の期間・登録・報告の三軸も、記述に分解しやすい領域です。専任媒介の有効期間は3月を超えることができず(34条の2第3項)、指定流通機構への登録は専任が7日以内、専属専任が5日以内で休業日数を算入せず(施行規則15条の10)、業務処理状況の報告は専任が2週間に1回以上、専属専任が1週間に1回以上です(34条の2第9項)。三類型の比較は「媒介契約の3類型」にあります。
主語のすり替えは個数問題で特に効く
宅建業者の義務を宅建士の義務として書く、免許権者の権限を業務地の知事の権限として書く。この型は通常の四肢択一でも使われますが、個数問題ではより効きます。他の三肢が判定できても、この一肢を見落とせば答えがずれるからです。
媒介契約書への記名押印は宅建業者が行うもので、宅建士が行うものではありません(34条の2第1項)。35条の説明と37条書面の記名は宅建士が行います。主語が制度ごとに切り替わる箇所を、条文の語で確認しておいてください。
貸借が入るか入らないかの非対称
33条の広告開始時期の制限は「売買その他の業務に関する広告」を対象としており、貸借の広告も含みます。これに対して36条の契約締結時期の制限は「売買若しくは交換」の契約と媒介に限定しており、貸借の契約は対象外です。
この非対称は、記述を二つ並べて片方だけを誤りにする作りに向いています。個数問題で両方が同時に登場した場合、片方の理解で両方を判定しようとすると失点します。広告規制の守備範囲は「広告に関する規制」で扱っています。
義務と裁量の切り替わり
「しなければならない」と「することができる」の書き分けも、独立した記述に切り出しやすい要素です。
営業保証金では、免許権者は免許をした日から3月以内に供託の届出がないときは催告を「しなければならず」(25条6項)、催告が到達した日から1月以内に届出がないときは免許を取り消すことが「できます」(同条7項)。同じ条文の中で義務と裁量が切り替わっています。営業保証金の仕組みは「営業保証金」、保証協会側の手続は「保証協会の仕組み」にあります。
効果の範囲を全部と一部で入れ替える
38条2項は、損害賠償額の予定と違約金の合算額が代金の10分の2を超える定めをしたときに、「超える部分について」無効と定めます。全部が無効になるのではありません。
この種の「一部無効か全部無効か」という書き分けは、結論だけを覚えていると判定できません。条文の語をそのまま持っておく必要があります。8種制限の数値と効果を軸ごとに比較した整理は「8種制限の横断整理」にあります。
届出を待つか待たないか
11条2項は、同条1項3号から5号まで、すなわち破産・解散・廃業の届出があったときに免許が効力を失うと定めています。裏返せば、1号の死亡と2号の合併消滅は、届出を待たずに事由の発生によって当然に失効します。
届出期限が30日以内であることと、失効の時点がいつかということは別の話です。記述としては「30日以内に届け出なければならない」と「届出の時に効力を失う」が並べられ、前者だけ正しいという作りになります。免許制度の周辺は「宅建業の免許の欠格事由」に整理があります。
引っかけの型は限られている
以上のように、宅建業法の誤り肢は、主語・期限・起算点・語尾・適用範囲・効果の範囲という限られた箇所を変えて作られます。型が限られているということは、正しい肢を読むときに「どこが変えられうるか」を先回りできるということです。表現レベルの類型化は「宅建の引っかけ表現パターン」で扱っています。
覚え方・整理の仕方
記号は三つに固定する
丸、バツ、三角。この三つだけを使います。四段階以上に細かくすると、記号を選ぶこと自体に時間がかかります。三段階なら迷いません。
三角の定義も固定します。「根拠を言えないものはすべて三角」。結論に自信があっても根拠が出てこないなら三角です。この定義を甘くすると、記号が機能しなくなります。
「三角二つで撤退」を一行で持つ
判断基準は一行にしておきます。三角が二つ以上なら撤退、一つなら二択を選んでマーク、ゼロなら確定。
試験中に基準を考え直す余地をなくすことが目的です。基準そのものの当否は事前に検討すればよく、本番では適用するだけにします。
覚える数字は「60と54と6」
10回分で個数問題は60問、うち宅建業法が54問、権利関係が6問。この三つの数字だけ持っておけば、個数問題に当たったときの構えが決まります。
問26から問45の範囲で個数問題に当たったら、取りにいく問題だと考える。問1から問14の範囲で当たったら、切る候補だと考える。この判断が数字から直接出ます。
組合せ問題は10回で9問、出ない年もある、と覚えておけば十分です。
選択肢の並びは「四つがあるか、なしがあるか」で見る
選択肢に「四つ」があれば、全肢誤りはありえません。「なし」があれば、全肢正しいはありえません。この一行で、判定の全滅を検出できます。
対比の形で肢を覚える
個数問題は、対になる論点を並べて片方だけを誤りにする作りに向いています。したがって、覚えるときから対の形で持っておくと、記述を読んだ瞬間に相方が浮かびます。
35条と37条は「契約前と契約後、説明ありと説明なし」。33条と36条は「広告は貸借も含む、契約は売買と交換だけ」。営業保証金と保証協会は「供託所と協会、1,000万円と500万円、60万円と30万円」。専任媒介と専属専任媒介は「7日と5日、2週間に1回と1週間に1回」。対の片側だけを覚えている状態が、個数問題で最も崩れます。
「正しい肢を読んだら、誤りに変える箇所を探す」を習慣にする
演習で正しい肢に当たったとき、それで終わりにせず、どこを変えれば誤りになるかを一つ挙げる。これを習慣にすると、条文の構造として覚えることになります。
この習慣は時間がかかるように見えますが、実際には肢あたり数秒です。そして、この数秒を積んだ肢は、個数問題で三角にならなくなります。
理解度チェッククイズ
個数問題で問われやすい形に合わせて、宅建業法の知識から出題します。いずれも一肢だけを取り出した形です。四つ並べられても同じ精度で判定できるかを意識して解いてください。
Q1. 一般媒介契約を締結した宅地建物取引業者は、目的物件について売買の申込みがあっても、依頼者に報告する義務を負わない(○か×か)
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×:宅地建物取引業法34条の2第8項は、媒介契約を締結した宅地建物取引業者は、目的物である宅地建物の売買または交換の申込みがあったときは、遅滞なくその旨を依頼者に報告しなければならない、と定めています。主語が「媒介契約を締結した宅地建物取引業者」であって専任媒介に限定されていないため、一般媒介契約にも及びます。同条9項が定める業務処理状況の定期報告(専任媒介は2週間に1回以上、専属専任媒介は1週間に1回以上)が専任型に限られるのとは別の義務です。「一般媒介には報告義務がない」とまとめると、この肢で誤ります。Q2. 工事の完了前の建物について、建築確認を受ける前であっても、その貸借の媒介に関する広告をすることができる(○か×か)
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×:宅地建物取引業法33条は、工事の完了前においては、当該工事に必要な許可等の処分があった後でなければ、当該工事に係る宅地または建物の「売買その他の業務に関する広告」をしてはならない、と定めています。「その他の業務」という文言が置かれているため、貸借に関する広告も規制の対象です。売買の広告だけが対象だと覚えていると誤ります。Q3. 工事の完了前の建物について、建築確認を受ける前であっても、その貸借の媒介契約を締結することはできる(○か×か)
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○:宅地建物取引業法36条は、工事の完了前においては、必要な許可等の処分があった後でなければ、自ら当事者としてもしくは当事者を代理してその「売買若しくは交換」の契約を締結し、またはその「売買若しくは交換の媒介」をしてはならない、と定めています。条文が売買と交換に限定しているため、貸借の契約や媒介は対象外です。Q2と対にして、33条は貸借も規制するが36条は貸借を規制しないという非対称を押さえてください。この二つが同じ問題の中に並べられると、片方の理解だけでは両方を判定できません。Q4. 宅地建物取引業者が自ら売主となる売買契約において、損害賠償額の予定と違約金を合算した額が代金の10分の2を超える定めをしたときは、その定めは全部が無効となる(○か×か)
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×:宅地建物取引業法38条1項は、当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、または違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の10分の2を超える定めをしてはならないとし、同条2項は、これに反する特約は「10分の2を超える部分について」無効とすると定めています。全部が無効になるのではなく、超過部分だけが無効です。なお、この制限は売主が宅地建物取引業者で買主が宅地建物取引業者でない場合に適用されます(78条2項)。Q5. 宅地建物取引業者である個人が死亡した場合、その免許は、相続人が30日以内に届け出た時に効力を失う(○か×か)
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×:宅地建物取引業法11条1項1号は、個人である宅地建物取引業者が死亡した場合にその相続人が、その事実を知った日から30日以内に免許権者に届け出なければならないと定めています。届出義務があることは正しいのですが、同条2項は、1項3号から5号まで(破産・解散・廃業)の届出があったときに免許が効力を失うと定めており、1号の死亡と2号の合併消滅は挙げられていません。したがって死亡の場合は、届出を待たずに死亡の時点で免許が失効します。届出期限と失効時点を別々に押さえておく必要があります。まとめ
個数問題と組合せ問題について、押さえるべき点を整理します。
第一に、規模を把握しておくことです。平成28年度から令和7年度までの10回分500問のうち、個数問題は60問、1回あたり平均6問でした。年度ごとには平成30年度の3問から令和7年度の11問まで振れます。組合せ問題は10回で9問で、出ない年もあります。
第二に、出題は宅建業法に集中しています。個数問題60問のうち54問が宅建業法、権利関係が6問、法令上の制限と税・その他は0問でした。令和7年度は宅建業法20問中10問が個数問題です。この分布がある以上、「個数問題だから捨てる」という方針は得点設計として成り立ちません。宅建業法の個数問題は取る前提で準備し、権利関係の個数問題は切る候補として扱うという、科目による使い分けになります。
第三に、正解の分布は判断材料になりません。60問の正解は「三つ」20問、「二つ」17問、「一つ」11問、「四つ」9問、「なし」3問でしたが、最頻値でも3分の1にとどまり、事後の集計が次の1問を規定することもありません。分布から取り出せる実用的な情報は、選択肢に「四つ」があれば全肢誤りはありえず、「なし」があれば全肢正しいはありえない、という判定の点検だけです。
第四に、解く手順を固定することです。設問の指示を確定させ、選択肢の並びを一瞥し、各記述に丸・バツ・三角を付け、三角の数で行動を決める。三角ゼロなら確定、一つなら二択を選んでマークして印を残す、二つ以上なら撤退する。マーク欄は必ず塗り、空欄を作らない。この手順は演習の段階から同じ記号で回しておきます。
第五に、組合せ問題は消去法が部分的に効きます。選択肢が記述の組で示されるため、一つの記述を確定させれば複数の選択肢が消えます。記述を読む前に選択肢の構成を確認し、登場回数と自信度から判定する順序を決めてください。四つの記述のうち二つの判定で答えが出る構成もあります。
第六に、対策の中身は形式への慣れではなく、一肢あたりの判定精度です。肢別演習で正解した肢も含めて根拠を確認し、正しい肢については「どこを変えれば誤りになるか」まで言えるようにする。自信度を三段階で記録し、三角が集中する論点を潰す。あわせて、四肢分の判定を連続して行う持久力を年度別演習と模試で確認する。この二本立てが必要です。
宅建試験AIブートラボでは、過去問を肢ごとに分解した演習で、四つの肢すべてを根拠つきで正誤判定できるかを確かめられます。