8種制限が適用されない場合|78条2項の射程
宅建業法78条2項を条文から読み解き、8種制限が働く場面と働かない場面を判定する記事。自ら売主・相手方が宅建業者でない・売買であるという3要件を軸に整理します。
目次
本記事は、宅地建物取引業法の8種制限について、それが適用されない場面を判定することに絞って扱います。8つの制限それぞれの中身は8種制限とはと8種制限の横断整理に、各制限の詳細は個別記事にまとめてありますので、この記事では触れません。ここで扱うのは適用範囲の一点です。
先に結論を述べます。8種制限が働くのは、宅建業者が自ら売主となり、相手方が宅建業者でない、宅地建物の売買契約という3つの条件がすべてそろった場合に限られます。逆に言えば、この3つのどれか1つでも欠ければ8つの制限は同時に外れます。1つずつ外れるのではなく、まとめて外れる。この「同時性」が、8種制限を判定する問題の急所です。
そして、この3要件は解釈から導いたものではありません。78条2項という1本の条文と、8つの制限それぞれの書き出しの文言から機械的に読み取れます。本記事は条文を出発点にして、要件が欠ける具体的な場面を1つずつ潰していきます。
78条2項の条文を正確に読む
条文はたった一文である
宅地建物取引業法78条2項は、次の一文だけです。
第三十三条の二及び第三十七条の二から第四十三条までの規定は、宅地建物取引業者相互間の取引については、適用しない。
――宅地建物取引業法78条2項
この一文が8種制限という概念そのものを作り出しています。「8種制限」という言葉は法律のどこにも書かれていません。78条2項が適用除外の対象として名指しした条文の集まりを、後から便宜的に8つに束ねて呼んでいるだけです。したがって、どの条文が8種制限なのかを確かめる唯一の方法は、78条2項の列挙を見ることです。
列挙されているのは9か条
78条2項が挙げるのは、33条の2と、37条の2から43条までです。この範囲に実在する条文を数えると、次の9か条になります。
第1に、33条の2(自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限)。第2に、37条の2(事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等)。第3に、38条(損害賠償額の予定等の制限)。第4に、39条(手付の額の制限等)。第5に、40条(担保責任についての特約の制限)。第6に、41条(手付金等の保全)。第7に、41条の2(41条1項に規定する売買以外の売買についての手付金等の保全)。第8に、42条(宅地又は建物の割賦販売の契約の解除等の制限)。第9に、43条(所有権留保等の禁止)。
9か条あるのに「8種」と呼ばれるのは、41条と41条の2をまとめて「手付金等の保全措置」という1つの制限として数えるからです。この2か条は同じ制度を工事完了前と工事完了後で書き分けたものであり、内容としては1つです。41条が工事完了前の売買を対象とし、41条の2が「前条第一項に規定する売買を除く」売買、つまり残り全部を拾う残余規定になっているという関係は、手付金等の保全措置で詳しく扱っています。
数え方を知っておくと、「8種制限には何条が含まれるか」という問いに条文で答えられます。33条の2から43条までのうち、34条・34条の2・34条の3・35条・35条の2・36条・37条は含まれません。この点は次の項で見ます。
37条は入らないが37条の2は入る
78条2項が書いているのは「37条の2から」であって「37条から」ではありません。この「の2」の有無が、業者間取引で何が残るかを決めています。
37条は契約締結時の書面交付義務、いわゆる37条書面の規定です。これは78条2項の列挙に入っていないため、業者間取引でも交付義務が残ります。買主が宅建業者だから37条書面は不要だ、という選択肢は誤りになります。37条書面の記載事項は37条書面の記載事項に、35条書面との対比は35条書面と37条書面の横断整理にまとめています。
同様に、33条(広告開始時期の制限)も、33条の2の直前にありながら列挙に入っていません。33条と33条の2は条番号が隣り合っているだけで、内容も適用範囲も別物です。33条は貸借の広告まで含む広い規制であり、業者間でも当然に適用されます。この点は広告に関する規制で扱っています。
「相互間」という言葉が意味するもの
78条2項が適用除外の条件としているのは「宅地建物取引業者相互間の取引」です。相互間ですから、取引の当事者双方が宅建業者でなければなりません。
ここで注意したいのが、媒介業者の扱いです。宅建業者Aが自ら売主となり、宅建業者でないBが買主で、宅建業者Cが媒介として関与する取引を考えます。この取引に登場する宅建業者は2社ありますが、取引の当事者はAとBであり、Cは当事者ではありません。したがって「宅建業者相互間の取引」には当たらず、Aには8種制限がそのまま適用されます。
「宅建業者が2社関与しているから業者間取引だ」という発想は、条文の「相互間」を「関係者の中に業者が複数いること」と読み替えてしまう誤りです。見るのは当事者だけ。媒介業者や代理業者が何社入っていても、判定には影響しません。
78条1項と2項は別の規定である
1項は国と地方公共団体の話
78条には1項もあります。こちらは次のとおりです。
この法律の規定は、国及び地方公共団体には、適用しない。
――宅地建物取引業法78条1項
1項と2項は、条番号が同じだけで内容がまったく違います。1項は名宛人による適用除外で、国および地方公共団体には宅建業法という法律全体が適用されません。だから国や都道府県、市町村は宅建業の免許を受けずに宅地建物の取引を行えます。免許制度そのものの入口の話であり、宅建業の免許制度に属する論点です。
これに対して2項は、相手方の属性による特定条文の適用除外です。対象は33条の2と37条の2から43条までに限られ、宅建業法の他の規定は業者間取引でも生きています。
混同するとどうなるか
この2つを混ぜると、たとえば「地方公共団体が買主となる取引では8種制限が適用されない」という誤った結論が出ます。78条1項は国および地方公共団体を名宛人とする規定であって、業者が国や地方公共団体を相手方とするときに業者の側の義務を外す規定ではありません。そして地方公共団体は3条1項の免許を受けた宅建業者ではありませんから、2項の「相互間」にも当たりません。条文の文言をそのまま読めば、宅建業者が自ら売主として地方公共団体に宅地を売る場合、8種制限は形式上そのまま適用されることになります。
実際の出題でこの組み合わせが出る頻度は高くありませんが、1項と2項を別の規定として認識しているかどうかは、条文の読み方の精度を測る指標になります。「78条により業者間取引には宅建業法が適用されない」という表現を見たら、それは1項と2項を混ぜた誤りです。適用されないのは9か条だけです。
適用の3要件を分解する
要件はどこから来るのか
8種制限の適用要件は3つあると言われますが、その根拠は2か所に分かれています。
第1と第3の要件、すなわち「自ら売主であること」と「売買であること」は、8つの制限それぞれの条文の書き出しから来ます。33条の2は「自ら売主となる売買契約」、37条の2は「自ら売主となる宅地又は建物の売買契約について」、38条は「みずから売主となる宅地又は建物の売買契約において」、39条は「自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して」、40条は「自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において」、41条は「売買で自ら売主となるものに関しては」、41条の2は「自ら売主となる宅地又は建物の売買」、42条は「みずから売主となる宅地又は建物の割賦販売の契約について」、43条は「みずから売主として宅地又は建物の割賦販売を行なつた場合」。
9か条すべてが「自ら売主」と「売買」を要件に書き込んでいます。表記が「自ら」と「みずから」に揺れているのは条文の制定時期の違いによるもので、意味は同じです。
第2の要件、すなわち「相手方が宅建業者でないこと」は、78条2項から来ます。個々の条文には書かれていません。78条2項が業者間取引を丸ごと外すことによって、結果として「相手方が宅建業者でないこと」が適用の条件になります。
この根拠の違いを意識しておくと、要件が欠けたときにどう処理されるかの理解が変わります。自ら売主でない場合や売買でない場合は、そもそも条文の要件を満たしていないので適用がありません。相手方が宅建業者である場合は、条文の要件は満たしているが78条2項が適用を排除するという構造です。結論は同じですが、条文の読み方としては別の道筋です。
3つが「かつ」で結ばれている
3要件は「かつ」の関係にあります。すべてそろって初めて適用され、1つでも欠ければ8つ同時に外れます。
ここで押さえたいのが、8つの制限が個別に外れることはないという点です。「クーリング・オフは適用されないが手付の額の制限は適用される」という状態は、78条2項による適用除外では生じません。78条2項は9か条をまとめて外すからです。同じことは、自ら売主でない場合や売買でない場合にも当てはまります。
ただし後述するとおり、各制限の内部にはそれぞれ固有の例外があります。そちらは制限ごとに条件が違うので、8つが一斉に外れるわけではありません。「適用除外」という言葉が2つの意味で使われている点は、別の章で切り分けます。
「宅建業者」とは誰を指すのか
定義は2条3号にある
78条2項の「宅地建物取引業者」の意味は、2条3号が定めています。
宅地建物取引業者 第三条第一項の免許を受けて宅地建物取引業を営む者をいう。
――宅地建物取引業法2条3号
免許を受けていることが定義に組み込まれています。したがって、免許を受けずに宅建業を営んでいる者は、実態がどれほど業者らしくても、2条3号の「宅地建物取引業者」ではありません。宅建業者が自ら売主となり、無免許で不動産取引を反復している者を買主とする売買契約を締結した場合、条文の文言上は「宅建業者相互間の取引」に当たらず、8種制限が適用されることになります。何が「業」に当たるかの判断そのものは宅建業の「業」に当たるケースで扱っています。
信託会社はみなし業者として扱われる
例外があります。77条は信託会社等に関する特例を置いており、その2項は次のように定めています。
宅地建物取引業を営む信託会社については、前項に掲げる規定を除き、国土交通大臣の免許を受けた宅地建物取引業者とみなしてこの法律の規定を適用する。
――宅地建物取引業法77条2項
信託会社は免許を受けていませんが(77条1項により3条から7条までの規定が適用されない)、国土交通大臣の免許を受けた宅建業者とみなされます。したがって78条2項の適用においても宅建業者として扱われ、宅建業者が自ら売主となって信託会社に宅地建物を売る取引は業者間取引になります。77条4項により、信託業務を兼営する金融機関についても政令で必要な事項が定められています。
「免許を受けていないから業者ではない」と機械的に処理すると、この特例で足をすくわれます。免許を受けた者と、免許を受けたとみなされる者の両方が宅建業者だと押さえてください。
買主が業者かどうかは属性で決まる
78条2項は「宅地建物取引業者相互間の取引」としか書いていません。その取引が買主の宅建業と関係があるかどうかは、条文上まったく問題にされていません。
したがって、宅建業の免許を持つ者が自分の住まいとして住宅を購入する場合であっても、条文の文言に従えば宅建業者相互間の取引に当たります。「業務として買うのではなく個人として買うのだから保護されるべきだ」という発想は、条文の書き方と合いません。78条2項が当事者の属性という形式的な基準を採用しているのは、取引の目的という主観的な事情で適用の有無が動くと、売主の側で判断できなくなるからです。
同じ理屈で、買主が宅建業者である法人であれば、その法人の事業内容の中で不動産取引が占める割合がどれほど小さくても、業者間取引になります。免許があるかないか、その一点で切ります。
「自ら売主」でない場合
媒介と代理には適用されない
8つの制限がすべて「自ら売主」を要件としている以上、宅建業者が媒介または代理として取引に関与しているにすぎない場合、その業者に8種制限は適用されません。
媒介については分かりやすいでしょう。媒介業者は契約の当事者ではなく、当事者の間を取り持つだけです。売買契約の売主でない以上、「自ら売主となる売買契約において」という条文の要件を満たしません。
注意が必要なのは代理です。代理は、代理人が本人の名で契約を締結し、その効果が本人に帰属する制度です。契約書に署名するのは代理人ですが、売主として契約の当事者になるのは本人です。したがって、宅建業者が売主の代理人として契約を締結しても、その業者は「自ら売主」ではありません。契約書の作成に深く関与し、実質的に取引を主導していても、法的な当事者でない以上は適用されません。
本人が業者なら本人に適用される
ここで一段深く見る必要があります。宅建業者Aが売主本人で、宅建業者Bがその代理人として、宅建業者でないCと売買契約を締結する場合を考えます。
Bには8種制限が適用されませんが、Aには適用されます。Aは自ら売主であり、相手方Cは宅建業者でなく、売買契約だからです。Bが代理人として契約を締結したという事実は、Aの立場を変えません。したがって、Bが代金の10分の2を超える手付をCから受領すれば、それはAが受領したのと同じことになり、39条1項に触れます。
逆に、売主本人が宅建業者でない個人Dで、宅建業者Bがその代理人となる場合、Dは業者でないので8種制限は誰にも適用されません。Bが代理人として関与していても同じです。
代理の問題は「誰が本人か」で決まります。代理人の属性ではなく本人の属性を見る。この一点を固定してください。
業者が買主となる場合
宅建業者が買主として不動産を購入する場合も、その業者に8種制限は適用されません。8つの制限はすべて売主に課される義務だからです。売主が宅建業者でない個人であれば、そもそも制限の名宛人が存在しません。
売主も宅建業者である場合は、業者間取引として78条2項が働きます。いずれにせよ、買主側の業者が8種制限に縛られることはありません。
共有物件で売主が複数いる場合
条文は「宅地建物取引業者が自ら売主となる」と書いており、売主が1人であることを要求していません。共有物件を共有者全員が売主となって売却する場合、その中に宅建業者が含まれていれば、その業者は自ら売主です。したがってその業者との関係では8種制限が働きます。
出題頻度は高くありませんが、「売主が複数いるから8種制限は適用されない」という発想が条文から出てこないことは確認しておいてください。判定はあくまで、8種制限を課される相手として名指しされた宅建業者が自ら売主になっているかどうかです。
「売買」でない場合
貸借には適用されない
9か条はいずれも「売買契約」または「割賦販売」を対象としています。貸借は1つも含まれていません。したがって、宅建業者が関与する賃貸借契約に8種制限が働くことはありません。
そもそも、自ら貸主となる行為は2条2号の宅地建物取引業に当たりません。2条2号が「業」として掲げるのは、宅地建物の売買もしくは交換、および宅地建物の売買・交換・貸借の代理もしくは媒介です。自ら貸主となる行為はこの列挙に入っていません。したがって、自己所有の建物を自ら賃貸する者は、その回数がどれほど多くても宅建業を営んでいることにはならず、免許も不要です。
貸借の媒介・代理は宅建業に当たりますが、その場合でも業者は「自ら売主」ではありませんし、契約は売買ではありませんから、8種制限の要件を二重に欠きます。
交換にも適用されない
こちらは注意が必要です。宅建業法は、売買と交換をしばしば並べて規定しますが、8種制限では交換が外れています。
32条(誇大広告等の禁止)は取引の種類を限定せず、34条(取引態様の明示)は「売買、交換又は貸借」と3つを並べ、34条の2(媒介契約)は「売買又は交換の媒介」を対象とし、37条(書面の交付)も「売買又は交換」を対象としています。ところが8種制限の9か条は、そろって「売買契約」または「割賦販売」としか書いていません。交換という語は1か所も出てきません。
したがって、宅建業者が自ら当事者となって宅建業者でない者と宅地の交換契約を締結しても、手付の額の制限もクーリング・オフも契約不適合責任の特約制限も働きません。条文の文言から素直に導かれる結論であり、「交換にも及ぶという見解がある」といった曖昧な処理をする必要はありません。
なお、交換差金の授受がある交換であっても結論は変わりません。交換契約は民法586条の交換であって売買ではなく、8種制限の各条文が対象としていないからです。
割賦販売の2か条だけは対象が狭い
逆方向の注意点もあります。42条と43条は「割賦販売」を対象としており、通常の売買契約には適用されません。8種制限のうち2つは、売買一般ではなく割賦販売という特定の販売形態にだけ働きます。
割賦販売の定義は35条2項の括弧書きにあります。
代金の全部又は一部について、目的物の引渡し後一年以上の期間にわたり、かつ、二回以上に分割して受領することを条件として販売することをいう。
――宅地建物取引業法35条2項
引渡し後1年以上、かつ2回以上の分割。この2つを「かつ」で満たさなければ割賦販売ではありません。引渡し後6か月で10回に分けて受領する契約は、期間が足りないので割賦販売ではなく、42条・43条は適用されません。また、住宅ローンを利用する売買は、買主が金融機関から借り入れて売主には一括で支払うため、売主に対する分割払いではなく割賦販売に当たりません。制度の中身は割賦販売の解除等の制限と所有権留保等の禁止で扱っています。
つまり、3要件をすべて満たす取引であっても、それが割賦販売でなければ42条と43条は働きません。8つが常に同時に働くわけではないという、もう1つの非対称です。
「適用除外」という言葉の2つの意味
外側の適用除外と内側の例外
ここまで見てきたのは、78条2項および各条文の要件による外側の適用除外です。取引そのものが8種制限の土俵に乗らない、という話でした。
これとは別に、土俵には乗っているが、個別の制限の中で例外的に許される場面があります。各条文のただし書や除外事由がそれです。この2つはどちらも「適用されない」と表現されるため混同されますが、性質がまったく違います。
外側の適用除外は9か条を同時に外します。内側の例外は、その条文1つだけに効きます。同じ取引で、ある制限は例外に当たり、別の制限はそのまま働くという状態が生じます。
33条の2ただし書
33条の2は、自己の所有に属しない宅地建物について自ら売主となる売買契約を締結してはならないと定めたうえで、2つの例外を置いています。
第1号は、宅建業者が当該宅地建物を取得する契約(予約を含み、その効力の発生が条件に係るものを除く)を締結しているとき、その他取得できることが明らかな場合で国土交通省令・内閣府令で定めるときです。括弧書きが重要で、予約は含まれますが停止条件付きの取得契約は除かれます。条件が成就しなければ取得できないので、確実性が担保されないためです。
第2号は、当該売買が41条1項に規定する売買(工事完了前の売買)に該当する場合で、同項1号または2号の保全措置が講じられているときです。未完成物件は性質上まだ存在せず「自己の所有に属しない」ものですが、手付金等が保全されていれば買主の損失は防げるという整理です。制度の詳細は自己の所有に属しない物件の売買制限にあります。
41条ただし書
41条1項のただし書は、手付金等の保全措置が不要になる場合を3つ挙げています。
第1に、当該宅地建物について買主への所有権移転の登記がされたとき。第2に、買主が所有権の登記をしたとき。第3に、受領しようとする手付金等の額(既に受領した手付金等があるときはその額を加えた額)が代金の額の100分の5以下であり、かつ政令で定める額以下であるときです。
第1と第2は、買主が登記を得ていれば売主が二重に処分することができず、返還を求める場面自体が生じにくいという理屈です。第3は少額なら保全のコストに見合わないという割り切りで、「かつ」で結ばれている点、「以下」であって「未満」ではない点が繰り返し問われます。判定手順は手付金等の保全措置にまとめています。
37条の2の除外事由と40条の許容特約
37条の2第1項は、クーリング・オフができなくなる場合を2つ挙げています。告げられた日から起算して8日を経過したとき(1号)と、引渡しを受け、かつ代金の全部を支払ったとき(2号)です。2号は「かつ」で結ばれており、引渡しだけ、代金だけでは権利を失いません。場所の判定を含む全体像はクーリング・オフで扱っています。
40条1項は、担保責任について民法566条に規定するものより買主に不利となる特約を禁じたうえで、目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除くとしています。これは禁止の外にある特約を許容する形の例外です。詳細は契約不適合責任の特約制限にあります。
38条と39条にはこの種の例外がありません。38条は「合算した額が代金の額の十分の二をこえることとなる定めをしてはならない」と一律に定め、39条1項は「代金の額の十分の二を超える額の手付を受領することができない」と一律に定めています。それぞれ損害賠償額の予定と手付の制限で扱っています。
混同を防ぐ言い方
この2つを区別するには、言葉を変えるのが有効です。78条2項や3要件によるものを「適用除外」、各条文のただし書によるものを「例外」と呼び分ける。問題文に「適用されない」とあったら、どちらの話なのかを先に決める。
たとえば「宅建業者が自ら売主となる場合であっても、買主への所有権移転の登記がされたときは、8種制限は適用されない」という記述を考えます。所有権移転の登記は41条1項ただし書の話なので、外れるのは手付金等の保全措置だけです。クーリング・オフも手付の額の制限も残ります。「8種制限は適用されない」という言い方が誤りです。
8種制限が外れても残る義務
業者間取引で消えるのは9か条だけ
78条2項が適用を排除するのは33条の2と37条の2から43条までであり、それ以外の宅建業法の規定はすべて生きています。業者間取引だから宅建業法上の義務がなくなる、という理解は誤りです。
免許制度、事務所ごとの専任の宅地建物取引士の設置、営業保証金または弁済業務保証金の供託、標識の掲示、従業者名簿・帳簿の備付けといった業者の体制に関する規制は、取引の相手方が誰であっても関係ありません。業務に関する規制も、32条の誇大広告等の禁止、33条の広告開始時期の制限、34条の取引態様の明示、34条の2の媒介契約の規制、36条の契約締結時期の制限、44条の不当な履行遅延の禁止、45条の秘密を守る義務、46条の報酬の制限、47条の不当な行為の禁止が、いずれもそのまま適用されます。報酬の上限は報酬額の制限で、取引態様の明示は取引態様の明示義務で扱っています。
35条は「説明」だけが省ける
もっとも問われやすいのが重要事項説明です。35条は78条2項の列挙に入っていないので、業者間取引でも適用されます。ただし35条自身が特則を置いています。
35条6項は、相手方等が宅建業者である場合について、1項の「宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明をさせなければならない」という文言を「少なくとも次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない」と読み替え、4項(宅地建物取引士証の提示)と5項(宅地建物取引士の記名)を適用しないとしています。
そのうえで35条7項が、読み替え適用により交付すべき書面を作成したときは、宅地建物取引士をして当該書面に記名させなければならないと定めています。つまり業者間取引では、宅建士による口頭の説明と宅建士証の提示は不要になりますが、書面の交付は必要で、その書面への宅建士の記名も必要です。
「業者間取引では35条書面の交付も不要」は誤り、「書面を交付すれば宅建士の記名は不要」も誤りです。消えるのは説明と提示、残るのは交付と記名。この4つの語で覚えてください。記載事項そのものは重要事項説明の記載事項にまとめています。
35条の2は適用がない
一方、35条の2の供託所等に関する説明は、条文の書き出しが「宅地建物取引業者の相手方等(宅地建物取引業者に該当する者を除く。)に対して」となっています。相手方が宅建業者であれば、この説明義務そのものが生じません。78条2項による適用除外ではなく、条文自身が業者を除いているという構造です。営業保証金・弁済業務保証金の仕組みは供託所等の説明で扱っています。
35条は特則で読み替え、35条の2は最初から対象外。同じ「業者間では緩む」でも、条文の作り方が違います。
37条書面は完全にそのまま
37条には業者間の特則がありません。記載事項も交付先も宅建士の記名も、相手方が宅建業者であるかどうかで変わりません。35条が読み替えを置いているのと対照的です。
この非対称には理由があります。35条書面は契約前に判断材料を与えるための書面なので、相手がプロなら説明の手間を省いてよい。37条書面は契約内容を後日確認するための証拠書面なので、相手がプロでも省く理由がない。そう整理しておくと、どちらに特則があったかを取り違えません。
監督処分と罰則も残る
8種制限が適用されない取引であっても、宅建業者は宅建業者です。他の規定に違反すれば、免許権者による指示処分、業務停止処分、免許取消処分の対象になります。処分の要件と手続は監督処分の違いにまとめています。
そして、8種制限が適用されない取引だからといって、民法の規律が消えるわけでもありません。業者間取引では、手付の性質も契約不適合責任の通知期間も損害賠償額の予定も、当事者の合意と民法の規定に従って決まります。8種制限が外れるとは、民法に戻るということです。「何をしてもよい」という意味ではありません。
判定の手順と事例
4つの質問を順に投げる
適用の有無は、次の順で判定します。
第1に、その契約は宅地建物の売買か。貸借なら適用なし。交換でも適用なし。売買であれば次へ。
第2に、判定の対象としている宅建業者は、その売買契約の売主本人か。媒介または代理として関与しているだけなら、その業者には適用なし。買主側なら適用なし。自ら売主であれば次へ。
第3に、買主は宅建業者か。免許を受けた者、または77条によりみなされる者であれば、業者間取引として適用なし。そうでなければ次へ。
第4に、ここまで通過したら8つの制限が適用されます。そのうえで、42条・43条については割賦販売に当たるかを追加で確認し、各制限のただし書に当たるかを個別に見ます。
順番が大事です。第1と第2は条文の要件、第3は78条2項、第4以降は個別の条文。この層の違いを崩さずに降りていけば、複雑な事案でも判定がぶれません。
事例1 個人が売主で業者が媒介
個人Aが所有する中古住宅を、宅建業者Cの媒介により個人Bが購入する。
第1の質問は売買なので通過。第2の質問で止まります。Cは媒介であって自ら売主ではありません。そしてAは宅建業者ではないので、そもそも8種制限の名宛人になりません。8種制限は誰にも適用されません。Cは媒介業者としての義務(35条・37条・34条の2など)を負いますが、それは8種制限とは別の話です。
事例2 業者が売主で別の業者が媒介
宅建業者Aが自ら売主となり、宅建業者Cの媒介により個人Bが新築住宅を購入する。
第1は売買なので通過。第2でAは自ら売主なので通過。第3でBは宅建業者でないので通過。Aに8種制限が適用されます。Cは当事者ではないので「相互間」に当たらず、Aの義務は軽くなりません。Cには8種制限は適用されませんが、Aが8種制限に違反する契約を作れば、その契約条項は条文が定めるとおりの効力しか持ちません。
事例3 業者が売主の代理
宅建業者Aが売主本人、宅建業者Cがその代理人、買主は個人B。
第2の質問を、AとCそれぞれについて投げます。Cは代理人なので自ら売主ではなく、適用なし。Aは自ら売主なので適用あり。Cが契約書を作成し、Cの事務所で契約を締結したとしても、8種制限の名宛人はAです。
事例4 買主が宅建業者
宅建業者Aが自ら売主となり、宅建業者Bが買主となる。
第3の質問で止まります。業者間取引なので9か条すべてが外れます。手付を代金の10分の2を超えて受領してよく、損害賠償額の予定を10分の2を超えて定めてよく、契約不適合責任を免除する特約も有効で、クーリング・オフの制度は働かず、保全措置を講じずに手付金等を受領してよく、取得契約なしに他人物を売ってよく、割賦販売で催告なく解除してよく、所有権を留保してよい。ただし35条書面の交付と37条書面の交付は必要です。
事例5 交換契約
宅建業者Aが自ら当事者となり、個人Bとの間で宅地の交換契約を締結する。
第1の質問で止まります。交換は8種制限の対象外です。Aが交換差金として受け取る金銭の額に、38条や39条の10分の2という枠は働きません。一方、34条の取引態様の明示、35条の重要事項説明、37条の書面交付は、いずれも交換を対象に含んでいるので適用されます。
事例6 業者が買主
個人Aが所有する土地を、宅建業者Bが自ら買主として購入する。
第2の質問で止まります。Bは買主なので、8種制限の名宛人ではありません。売主Aも宅建業者ではないので、誰にも適用されません。Bが不動産のプロとして有利な条件を引き出しても、宅建業法上はそれを制限する規定がありません。
試験での出題ポイント
媒介業者を当事者にすり替える
もっとも多い型です。「宅建業者Aの媒介により、Bが自己所有の宅地をCに売却する場合」という事案で、Aが宅建業者であることを理由に8種制限が適用されるかのように書きます。当事者はBとCであり、Aは当事者ではありません。Bが宅建業者でなければ、8種制限はどこにも働きません。
逆に、売主が宅建業者で媒介業者も宅建業者という事案で、「宅建業者が2社関与しているから業者間取引に当たる」とする肢もあります。78条2項の「相互間」は当事者双方を指すので誤りです。
代理を自ら売主に読み替える
「宅建業者Aが、宅建業者でないBの代理人として、宅建業者でないCと売買契約を締結した」という事案で、Aに8種制限を課そうとする肢です。代理人は自ら売主ではありません。そして本人Bが宅建業者でない以上、8種制限は適用されません。
逆に、「宅建業者Aが売主、宅建業者Bが代理人」という事案で、「契約を締結したのはBだからAには適用されない」とする肢も出ます。代理の効果は本人に帰属するので、Aが自ら売主であることは変わりません。
交換と貸借を混ぜる
「宅建業者が自ら当事者となる交換契約においても、手付の額は代金の額の10分の2を超えてはならない」という形です。交換は8種制限の対象外であり、そもそも「代金」という概念も交換契約にはなじみません。
貸借については、「宅建業者が自ら貸主となる建物賃貸借契約について、クーリング・オフの規定が適用される」という肢が考えられます。自ら貸主となる行為は宅建業に当たらず、また37条の2は売買契約を対象としています。二重に誤りです。
買主の属性をずらす
「買主が宅建業者である場合であっても、その買主が自己の居住のために購入するときは8種制限が適用される」という肢です。78条2項は取引の目的を問うていません。免許の有無だけで決まります。
反対に、「買主が法人であれば8種制限は適用されない」という肢も出ます。法人であることと宅建業者であることは別です。宅建業の免許を持たない一般法人が買主なら、8種制限は適用されます。
78条2項の範囲を広げる、または狭める
「宅建業者相互間の取引には、宅建業法の規定は適用されない」は、範囲を広げすぎた誤りです。適用されないのは9か条だけです。
「宅建業者相互間の取引においては、37条書面の交付を要しない」も同じ型です。37条は列挙に入っていません。37条の2から始まっているという条文の書き方を思い出してください。
「宅建業者相互間の取引においては、重要事項説明書の交付も要しない」も誤りです。省けるのは説明と宅建士証の提示であって、交付と記名は残ります。
内側の例外を外側の適用除外に見せかける
「買主が所有権の登記をしたときは、8種制限は適用されない」という形です。これは41条1項ただし書の話であり、外れるのは手付金等の保全措置だけです。「8種制限は適用されない」という表現に飛びつかず、どの条文の例外なのかを確かめる癖をつけてください。
同種の肢として、「宅建業者が当該宅地を取得する契約を締結しているときは、8種制限は適用されない」もあります。33条の2の1号の話であり、他の7つには影響しません。
適用除外を「無効にならない」と言い換える
8種制限が適用されない取引で結ばれた契約条項は、宅建業法上の無効規定の対象になりません。ここまでは正しいのですが、「したがってどのような特約も有効である」と続けると行き過ぎです。民法の公序良俗違反や消費者契約法による無効の可能性は残ります。もっとも、業者間取引で消費者契約法が問題になる場面は限られるため、試験レベルでは「民法に戻る」と押さえておけば足ります。
覚え方・整理の仕方
条文番号を「の2」まで含めて唱える
78条2項の列挙は「33条の2と、37条の2から43条まで」です。「の2」が2か所に付いているという形で覚えると、37条が入らないことを取り違えません。「33の2、37の2から43まで」と口に出して覚えるのが確実です。
そして、この範囲に9か条あり、41条と41条の2を1つに数えて8種になる。9引く1で8と、数え方まで含めて持っておいてください。
3要件を「売・自・非」で持つ
第1に売買であること、第2に自ら売主であること、第3に相手方が非業者であること。頭文字を取って「売・自・非」と並べます。この順番が判定の順番でもあります。契約の種類、自分の立場、相手の属性という順に、外から内へ絞り込む形です。
3つのうち第1と第2は各条文の書き出し、第3は78条2項という根拠の違いも、セットで思い出せるようにしておくと応用が利きます。
「相互間」は当事者だけを見る
媒介や代理として何社の業者が関与していても、判定に使うのは売主と買主の2人だけです。契約書の当事者欄に名前が載る者だけを見ると決めてしまえば、事案が複雑になっても迷いません。
業者間で残るものを4つで覚える
業者間取引で残る主要なものは、35条書面の交付、37条書面の交付、広告規制、報酬制限の4つです。交付・交付・広告・報酬と並べて覚えます。そのうえで、35条だけは「説明と提示が消えて、交付と記名が残る」という細目を足します。
消えるほうを覚えるより残るほうを覚えたほうが少なくて済む、という点も意識してください。消えるのは9か条ですが、残るのは宅建業法のそれ以外全部です。列挙が短いのは消えるほうなので、条文番号は消えるほうで、内容は残るほうで覚えると効率がよくなります。
「適用除外」と「例外」を言い分ける
外側で丸ごと外れるものを「適用除外」、条文の中のただし書を「例外」と呼び分けます。適用除外は9か条まとめて、例外は1か条だけ。この一文を頭に置いておけば、41条ただし書を8種制限全体の話にすり替える肢を止められます。
交換を外す理由を条文で持つ
交換が入らないのは、9か条が「売買契約」としか書いていないからです。一方、34条・35条・37条は「売買、交換」と並べています。同じ法律の中で書き分けられているのだから、書いていないものは入らない。この読み方を身につけておくと、貸借や交換を混ぜた肢を条文の文言だけで処理できます。宅建業法の数字と適用範囲の一覧は宅建業法の数字まとめでも確認できます。
理解度チェッククイズ
Q1. 宅建業者Aが自ら売主となり、宅建業者Cの媒介により、宅建業者でないBに宅地を売却する場合、宅建業者が2社関与しているため宅建業者相互間の取引に当たり、8種制限は適用されない。(○か×か)
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×:78条2項が適用除外の条件とするのは「宅地建物取引業者相互間の取引」であり、**取引の当事者双方が宅建業者であること**を意味します。この事案の当事者はAとBであって、媒介業者Cは当事者ではありません。したがって相互間の取引に当たらず、自ら売主であるAには8種制限がそのまま適用されます。関与する業者の数ではなく、契約の当事者が誰かで判定してください。Q2. 宅建業者Aが売主本人、宅建業者Bがその代理人として、宅建業者でないCと売買契約を締結した場合、契約を締結したのはBであるから、Aには8種制限が適用されない。(○か×か)
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×:代理は代理人が本人の名で契約を締結し、その効果が本人に帰属する制度です。売主として契約の当事者になるのは本人Aであり、Aは「自ら売主」に当たります。相手方Cは宅建業者でないので、**Aに8種制限が適用されます。**一方、代理人Bは自ら売主ではないのでBには適用されません。代理が絡む事案では、代理人の属性ではなく本人の属性を見る、と固定してください。Q3. 宅建業者相互間の売買契約においては、宅建業法37条の規定による書面の交付を要しない。(○か×か)
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×:78条2項が適用除外とするのは「第三十三条の二及び第三十七条の二から第四十三条までの規定」です。**37条ではなく37条の2から始まっています。**したがって37条書面の交付義務は業者間取引でも残ります。同様に35条も列挙に入っていないので適用されますが、35条6項の読み替えにより、業者間では宅建士による説明と宅建士証の提示が不要になり、書面の交付と、35条7項による宅建士の記名は必要です。消えるのは説明と提示、残るのは交付と記名です。Q4. 宅建業者Aが自ら当事者となり、宅建業者でないBとの間で宅地の交換契約を締結する場合、Aは交換差金の額の10分の2を超える手付を受領することができない。(○か×か)
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×:8種制限の9か条はいずれも「売買契約」または「割賦販売」を対象としており、**交換という語はどこにも出てきません。**39条1項も「自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して」と書いています。したがって交換契約に8種制限は適用されません。34条の取引態様の明示、35条の重要事項説明、37条の書面交付は「売買、交換」と並べて書いているので交換にも適用される、という書き分けを条文で確認しておいてください。Q5. 宅建業者Aが自ら売主となり、宅建業者でないBに工事完了前の建物を売却する場合において、Bへの所有権移転の登記がされたときは、8種制限は適用されない。(○か×か)
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×:買主への所有権移転の登記は、41条1項ただし書が定める**手付金等の保全措置が不要になる場合**の1つです。外れるのは保全措置だけで、クーリング・オフも手付の額の制限も担保責任の特約制限も、そのまま働きます。78条2項や3要件による適用除外は9か条を同時に外しますが、各条文のただし書による例外はその条文にしか効きません。この2つを「適用除外」と「例外」に呼び分けて区別してください。Q6. 宅建業の免許を受けている者が、自己の居住用として宅建業者から住宅を購入する場合、業務として購入するものではないため、8種制限が適用される。(○か×か)
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×:78条2項は「宅地建物取引業者相互間の取引」としか書いておらず、**その取引が買主の宅建業と関係するかどうかを問うていません。**判定は2条3号の定義、すなわち3条1項の免許を受けて宅建業を営む者に当たるかどうかという形式的な基準で行われます。したがって居住用の購入であっても業者間取引となり、8種制限は適用されません。なお77条2項により、宅建業を営む信託会社は免許を受けた宅建業者とみなされるため、同じく業者として扱われます。Q7. 宅建業者Aが自ら売主となり、宅建業者でないBに宅地を売却し、代金を引渡し後6か月にわたって12回に分割して受領する契約を締結した場合、Aは30日以上の期間を定めて書面で催告しなければ、賦払金の支払の遅滞を理由に契約を解除することができない。(○か×か)
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×:42条が対象とするのは「割賦販売」です。宅建業法における割賦販売は35条2項の括弧書きにより、「代金の全部又は一部について、**目的物の引渡し後一年以上の期間にわたり、かつ、二回以上に分割して**受領することを条件として販売すること」と定義されています。この事案は分割回数の要件は満たしますが、期間が6か月なので**1年以上という要件を欠き、割賦販売に当たりません。**したがって42条は適用されず、催告なしの解除の可否は民法の規律によります。8種制限のうち42条と43条だけは、3要件を満たしても割賦販売でなければ働きません。まとめ
8種制限が適用されるのは、宅建業者が自ら売主となり、相手方が宅建業者でない、宅地建物の売買契約に限られます。売買であること・自ら売主であること・相手方が非業者であることの3つが「かつ」で結ばれ、1つでも欠ければ9か条が同時に外れます。
根拠は78条2項の一文と、8つの制限それぞれの書き出しです。78条2項が挙げるのは「33条の2及び37条の2から43条まで」であり、37条は入っていません。それ以外の宅建業法の規定は業者間取引でも生きており、とくに35条書面と37条書面の交付は必要です。35条だけが6項・7項で読み替えを置いており、説明と宅建士証の提示が消え、交付と宅建士の記名が残ります。
そして、78条2項や3要件による外側の適用除外と、41条ただし書や33条の2ただし書のような各条文の内側の例外を、言葉のうえで区別してください。前者は9か条まとめて、後者はその条文だけ。この切り分けができれば、「8種制限は適用されない」と書かれた肢の真偽をその場で判定できます。
各制限の中身に進むなら、8種制限とはで8つの並びを確認し、8種制限の横断整理で数字と効果を軸に比べ、そのうえで個別記事に降りるのが効率的です。宅建業法全体の中での位置づけは宅建業法の全体像にまとめています。
条文を確認したら、宅建試験AIブートラボのアプリで宅建業法の過去問演習に進み、8種制限の適用の有無を実際に判定してみてください。
宅建業法は20問と配点が最も大きく、確実に得点したい科目です。免許制度・重要事項説明・8種制限を肢別で固めましょう。