宅建の直前期の過ごし方|残り1ヶ月でやること
宅建試験の直前1ヶ月で何をやり、何をやらないか。間違えた問題の回し方、数字と期限の最終確認、統計と法改正の詰め方、時間配分の決め方、直前1週間のチェックリストまで整理します。
目次
本記事の役割 — この記事は試験までの残り1ヶ月をどう使うかに絞って扱います。何をやり、何をやらないかの判断が中心です。
半年や3ヶ月といった長い期間の組み立ては宅建の勉強スケジュール表、試験当日の持ち物や解答テクニックの詳細は宅建試験当日の完全ガイドにまとめています。
宅建試験の直前期は、それまでの数ヶ月とは学習の性格が変わります。新しい知識を入れる期間ではなく、すでに持っている知識を得点に変換できる状態まで持っていく期間だからです。同じ1時間でも、この時期は使い方によって結果が大きく変わります。
結論を先に書きます。直前期にやることは、間違えた問題を回すこと、数字と期限を確定させること、時間配分を体に入れることの3つです。逆にやらないことは、新しい教材に手を出すこと、苦手科目だけに寄せること、睡眠を削ることの3つです。この6項目以外は、やってもやらなくても点数はあまり動きません。範囲を絞れば、限られた時間でも回し切れます。
以下では、直前期という期間の性格を確認したうえで、やること・やらないことを具体化し、数字と期限の回し方、統計と法改正の詰め方、時間配分の決め方、そして直前1週間のチェックリストまでを順に扱います。
直前期は何をする期間か
期間の目安
宅建試験は例年10月の第3日曜日に実施されます。直前期と呼ばれるのは、おおむね試験の1ヶ月前、9月中旬から試験日までの4週間から5週間です。その年の日程は2026年度宅建試験の日程で確認してください。
この4週間を漫然と過ごすと、やったことの記憶だけが残って点数は動きません。逆に、やることを絞って毎日同じものを回せば、直前期は学習の効果がもっとも見えやすい時期になります。理由は単純で、覚えた内容が減衰する前に試験日が来るからです。9月に固めた知識は10月まで持ちますが、5月に固めた知識は放置すれば10月には薄れています。
目的が「増やす」から「取り切る」へ変わる
直前期の前と後で決定的に違うのは、学習の目的です。それまでは知識の総量を増やすことが目的でした。直前期は、すでに知っている論点を、試験の場で確実に取り切れる状態にすることが目的になります。
この違いは、教材の使い方に直結します。総量を増やす段階では、まだ手をつけていない範囲に進むのが正しい。取り切る段階では、すでに一度やった範囲を繰り返すのが正しい。同じ「勉強」でも、進む方向が逆になります。直前期に手が止まる人の多くは、この切り替えができておらず、まだ見ていない論点を探し続けています。
もうひとつ変わるのが、正誤の扱いです。それまでは間違えた問題は「これから覚える対象」でした。直前期の間違いは「試験本番でも間違える可能性が高い箇所」です。同じ間違いでも、残り時間が短いぶん重みが違います。だからこそ、直前期は間違えた問題を軸に据えます。
合格ラインの現実から逆算する
直前期の戦略は、合格に必要な点数から逆算して決めます。ここで重要なのは、宅建試験の合格点が毎年一定ではないことです。
令和7年度試験の合格判定基準は50問中33問以上で、合格率は18.7%でした。登録講習修了者は45問中28問以上、合格率24.2%です(出典:不動産適正取引推進機構「令和7年度宅地建物取引士資格試験結果の概要」令和7年11月26日公表)。前年の合格点は37点でしたから、1年で4点動いたことになります。合格点の推移と読み方は宅建試験の合格ラインで扱っています。
ここから分かるのは、満点を目指す必要はないが、何点取れば安全かも事前には決まらない、ということです。したがって直前期の方針は「特定の点数を狙う」ではなく、落としてはいけない問題を落とさない状態を作るになります。配点は権利関係14問、法令上の制限8問、税・その他3問、5問免除科目5問、宅建業法20問の合計50問です。どの科目でどれだけ取るかの設計は宅建の科目別攻略法を参照してください。
- 直前期は試験1ヶ月前から。覚えた内容が減衰する前に固められる時期。
- 目的は知識を増やすことではなく、知っている論点を取り切ること。
- 合格点は毎年変動する。狙うのは点数ではなく、取りこぼしのない状態。
直前期にやること
間違えた問題の見直しを軸に置く
直前期の学習の中心は、これまでに間違えた問題です。理由は単純で、正解できた問題を解き直しても点数は増えないからです。増えるのは、間違えた問題を正解に変えたぶんだけです。
そのためには、間違えた問題が手元に残っている必要があります。過去問集に印をつけている、アプリの履歴に残っている、ノートにまとめてあるなど、形式は何でも構いません。残っていない場合は、直前期の最初の数日を使って、過去問を科目ごとに一巡し、間違えたものだけを抜き出す作業から始めてください。この抜き出しは学習そのものではありませんが、残りの3週間の効率を決めます。
抜き出した問題は、繰り返し回します。1回目で正解できたものは外し、2回目でも間違えたものだけを残す。これを繰り返すと、対象は回すたびに減っていきます。最終的に手元に残るのが、自分にとって本当に危ない論点です。書き出してまとめる形式が向いているかどうかは宅建の勉強でノートは必要かで検討していますが、直前期に関しては、新しくノートを作るより既存の記録に印を足していくほうが速く済みます。
間違いの原因を3つに仕分ける
間違えた問題は、原因によって対処が変わります。仕分けは3つで足ります。
知識がなかったもの。その論点をそもそも学習していない、または覚えていないケースです。対処はテキストの該当箇所に戻ることですが、直前期は戻る範囲を数ページに限定してください。章ごと読み直すと時間が溶けます。
知識はあったが使えなかったもの。条文は知っているのに、事例に当てはめられなかったケースです。対処は同じ論点の問題を数問続けて解くことで、テキストに戻る必要はありません。直前期に伸びしろが大きいのはこの類型です。
読み違いによるもの。「誤っているものはどれか」を「正しいものはどれか」と読んだ、主体を取り違えた、といったケースです。知識の問題ではないので、復習しても再発します。対処は解き方の手順を変えることで、問題文の設問部分に印をつける、主語に線を引くといった具体的な動作を決めておきます。
この仕分けをすると、自分の失点がどこから来ているかが見えます。3つ目が多い人は、知識を足すより解答手順を直すほうが点が伸びます。弱点の特定方法そのものは宅建の弱点克服法で扱っています。
模試と通し解きで実戦形式に慣らす
直前期には、50問を続けて解く練習を数回入れます。分野別の演習だけを続けていると、本番で最後まで集中が持たない、時間が足りなくなるといった問題が出ます。
模試を受ける場合、点数そのものにはあまり意味がありません。母集団も難易度も本試験とは違うからです。使うべきなのは、どの科目で時間を使いすぎたか、どの分野で落としたかという情報です。模試の選び方と復習の手順は宅建の模試活用法にまとめています。
模試を受けない場合でも、過去問を年度単位で通しで解けば同じ効果が得られます。時間を計り、マークシートに記入するところまで再現してください。過去問の使い方全般は宅建試験の過去問活用法を参照してください。
一巡できる分量まで教材を減らす
直前期に持ち込む教材は、試験までに最低2周できる量に絞ります。持ち込む量が多すぎると、1周目の途中で試験日が来て、結局どれも中途半端になります。
具体的には、間違えた問題の記録、数字をまとめた1枚、統計の1枚、そして使い込んだ過去問集。この4点で足ります。テキストは通読の対象から外し、辞書として引くだけにします。
- 学習の中心は間違えた問題。正解できた問題を回しても点は増えない。
- 間違いは知識不足・当てはめ不足・読み違いの3つに仕分ける。
- 50問の通し解きを数回入れる。点数より時間と落とし方を見る。
直前期にやらないこと
新しい教材に手を出さない
直前期にもっとも避けたいのが、新しいテキストや問題集の購入です。理由は3つあります。
第一に、未消化の教材が増えるだけだからです。残り4週間で新しい問題集を1冊仕上げるのは現実的ではありません。手をつけて途中で止まった教材は、心理的な負担になるだけで点数に寄与しません。
第二に、記憶の干渉が起きるからです。同じ論点でも教材によって説明の切り口や用語の選び方が違います。すでに固まっている理解の上に別の説明が乗ると、どちらだったか分からなくなります。これは新しい知識が増えるのではなく、既存の知識が不安定になる現象です。
第三に、知らない論点に出会って不安が増すからです。どの教材にも、他の教材が扱っていない論点が載っています。直前期にそれを見ると、まだ穴があるという印象を持ちます。しかし宅建試験は満点を取る試験ではありません。前述のとおり、令和7年度の合格判定基準は50問中33問でした。取れない問題があるのは前提です。
新しい教材が必要になるとすれば、法改正の内容を確認する場合と、統計の最新値を確認する場合だけです。どちらも1枚か2枚の資料で足り、書籍を買い直す必要はありません。
苦手科目だけに寄せない
苦手科目を潰したくなるのは自然ですが、直前期に配分をそこへ寄せすぎると、得意科目の精度が落ちます。とくに宅建業法のように暗記の比重が大きい科目は、触らない期間が続くと確実に鈍ります。
判断の基準は、その分野が伸びるかどうかです。数字を覚えれば取れる分野なら、苦手でも直前期に伸びます。理解の積み上げが必要な分野は、4週間では届かないことが多い。権利関係の応用論点がこれにあたります。伸びない分野に時間を使うより、伸びる分野を確実にするほうが期待値が高くなります。権利関係でどこまで踏み込むかは権利関係の苦手克服、科目ごとの優先順位は科目別の攻略法で扱っています。
睡眠を削らない
直前期は焦りから学習時間を延ばしたくなりますが、睡眠時間を削って確保した時間は割に合いません。眠気のある状態での学習は定着が悪く、翌日の集中力も落ちます。
もうひとつの理由は、試験本番が日中に行われることです。宅建試験の試験時間は2時間(登録講習修了者は1時間50分)で、午後に実施されます。深夜型の生活のまま本番を迎えると、もっとも集中したい時間帯に頭が働きません。試験の1週間前からは、本番と同じ時間帯に起きて、同じ時間帯に問題を解く生活に寄せてください。
他人の進捗と比べない
模試の点数や学習量に関する他人の情報は、直前期にはほぼ役に立ちません。学習開始時期も、これまでの積み上げも、受験回数も違うため、比較しても自分の行動は変わらないからです。
宅建試験は相対評価で合格点が決まるため、他の受験者の出来が気になるのは理屈としては分かります。しかし合格点が動くのは全体の得点分布によるものであり、個々の受験者の情報から予測できるものではありません。直前期に見るべきなのは、自分がどの問題を落としているかという情報だけです。
満点を目指さない
すべての分野を完璧にしようとすると、頻出分野の精度が下がります。出題頻度の低い論点に時間を使ったぶん、毎年出る論点の確認が薄くなるからです。
直前期の判断基準は、その論点が毎年のように出るかどうかです。宅建業法の35条書面・37条書面、8種制限、法令上の制限の数字、統計。これらは繰り返し問われます。一方、初めて出題されるようなマイナー論点は、対策しても報われません。何が頻出かは宅建業法の頻出論点と法令上の制限の頻出論点で確認できます。
- 新しい教材は買わない。未消化が増え、既存の理解が不安定になる。
- 苦手かどうかではなく、伸びるかどうかで配分を決める。
- 睡眠を削らない。本番と同じ時間帯に頭が働く生活に寄せる。
数字と期限をどう回すか
数字は科目をまたいで衝突する
直前期にもっとも点が動きやすいのが、数字と期限です。覚えていれば取れ、覚えていなければ取れないという、判断の余地がない領域だからです。
やっかいなのは、似た数字が科目をまたいで散らばっていることです。開発許可の面積基準、国土利用計画法の届出面積、盛土規制法の規制対象、建蔽率の緩和、営業保証金の額、弁済業務保証金分担金の額、クーリング・オフの8日間、手付金等の保全措置の割合。これらは制度も条文も別ですが、数字だけを並べると混ざります。
だから、数字は制度とセットで覚えます。「1,000万円」ではなく「営業保証金の主たる事務所分が1,000万円」、「10分の2」ではなく「自ら売主となる場合の損害賠償額の予定と違約金の合計の上限が代金の10分の2(宅建業法38条)」という形です。数字だけを列挙した一覧を眺めると、覚えた気になるわりに本番で取り違えます。宅建業法側の整理は宅建業法の数字まとめ、法令上の制限側は法令上の制限の暗記法にまとめてあります。
白紙復元で回す
数字の確認は、読み返す形ではなく書き出す形で行います。一覧を眺めていると、見た瞬間に思い出せるため、覚えている感覚だけが強くなります。本番で必要なのは、何も見ない状態で取り出す力です。
具体的な手順はこうです。紙を用意し、「開発許可の面積基準」とだけ書いて、区域ごとの数値を思い出して書く。書き終わってから答え合わせをする。合っていれば次に進み、間違えていればその項目に印をつけて翌日も回す。1項目あたり1分もかかりません。
この方法の利点は、覚えているものと覚えていないものが自動的に分離されることです。眺める復習では、この分離が起きません。結果として、すでに覚えている項目に時間を使い続けることになります。
回す頻度と順番
数字の確認は、まとめて長時間やるより、短時間を毎日繰り返すほうが定着します。1日10分から15分を、朝と夜に分けて確保するのが現実的です。
順番は固定してください。宅建業法の数字、法令上の制限の数字、税の特例の数字、という並びを毎回同じ順で回します。順番を固定すると、抜けが起きたときに気づけます。順番がばらばらだと、確認したつもりの項目が漏れます。
期限や期間の数字も同じ枠で扱います。クーリング・オフの8日間、媒介契約の有効期間、業務停止処分の期間の上限、登録の移転や変更の届出の期限。これらは「いつから起算するか」がセットで問われるため、日数だけでなく起算点まで書き出してください。
- 数字は制度とセットで覚える。数字だけの一覧は取り違えを生む。
- 確認は白紙に書き出す形で行う。眺める復習は定着を過大評価させる。
- 毎日同じ順番で回す。順番を固定すると抜けに気づける。
統計と法改正の詰め方
統計は方向と連続年数だけ
問48の統計は、直前期に詰めるべき代表的な論点です。理由は、内容が毎年入れ替わるため早く覚えても無駄になるからで、逆に言えば直前に一度入れれば試験当日まで持ちます。
覚える範囲は、各統計の増減の方向、何年連続でその方向が続いているか、そしておおまかな桁の3つです。変動率を小数点以下まで覚える必要はありません。対策の枠組みは統計問題の対策、その年の確定値は出典と公表年月日つきで宅建試験の統計数値まとめに整理してあります。
注意点は情報の鮮度です。前年に発行された教材や更新されていない資料の統計欄は、方向が同じでも連続年数がずれます。統計に関しては、必ずその年の数値で確認してください。
法改正は基準日から考える
法改正の論点も直前期に確認します。ただし統計と違い、確認すべき範囲は基準日から機械的に決まります。
宅建試験は例年、その年の4月1日現在で施行されている法令に基づいて出題されます。したがって、4月2日以降に施行された改正はその年の試験には出ません。逆に、前年の試験の後から4月1日までに施行された改正は、その年の試験で狙われます。「最新の改正だから出るはずだ」と考えるのではなく、施行日が基準日より前かどうかで判断してください。
もうひとつ注意したいのが、施行済みの改正が古い教材に反映されていない場合です。たとえば宅建業法では、2022年5月18日施行の改正により35条書面・37条書面への押印義務が廃止されて記名のみとなり、相手方の承諾を得た電磁的方法による提供が認められました。古い教材は「記名押印」のままになっています。また、刑法等の一部改正により2025年6月1日から懲役と禁錮が拘禁刑に一本化されたため、罰則の表記も変わっています。改正論点の整理は宅建業法の改正点、民法側は民法改正のポイントにまとめています。
改正論点の確認手順
改正の確認は、次の順で行うと漏れません。第一に、その年の基準日までに施行された改正を一覧で把握する。第二に、自分の使っている教材の発行時期を確認し、その改正が反映されているかを見る。第三に、反映されていない箇所だけを修正する。
改正論点は出題されやすい一方、範囲は限られます。毎年数項目程度なので、確認に何時間もかける必要はありません。時間をかけるべきなのは、改正によって従来の記述が誤りになった箇所です。改正前の内容で覚えていると、自信を持って誤答することになります。
- 統計は直前に一度だけ入れる。方向・連続年数・桁の3点で足りる。
- 法改正は基準日で判断する。4月1日時点で施行されているかどうか。
- 古い教材が改正に追いついていない箇所を特定して直す。
時間配分と解く順序を確定させる
120分をどう割るか
宅建試験の試験時間は2時間、問題数は50問です。単純に割れば1問あたり2.4分ですが、実際にはマークシートの記入と見直しの時間が必要になります。見直しに15分を残すなら、残る105分で50問、1問あたり平均2.1分という計算になります。
この平均は目安であって、すべての問題に等分するという意味ではありません。宅建業法のように知識で即答できる問題は1分かからず、権利関係の事例問題は5分かかることもあります。重要なのは、時間のかかる問題に引きずられないための上限を決めておくことです。
上限の決め方は人によりますが、通し解きを数回やると自分の平均が分かります。その平均を超えたら飛ばす、という基準を事前に決めておいてください。本番でその場で判断しようとすると、必ず判断が遅れます。
解く順序を決めておく
問題番号の順に解く必要はありません。順序は事前に決めて、本番はそのとおりに動きます。
一般的なのは、宅建業法から始める順序です。宅建業法は20問と配点が最も大きく、知識で処理できる問題が多いため、序盤に片付けると時間の余裕が生まれます。次に法令上の制限と税・その他、最後に権利関係という並びです。権利関係を最後に置くのは、時間がかかるうえに難問が混ざるためで、ここで詰まっても他の科目には影響しません。
逆に問1から順に解くと、権利関係の難問に序盤の時間を吸い取られ、確実に取れるはずの宅建業法を焦って処理することになります。順序を変えるだけで、同じ知識でも取れる点数が変わります。
ただし、順序を変えるとマークシートの記入位置がずれる危険が生じます。科目ごとにまとめてマークする場合は、記入する行を毎回確認してください。この点を含めた当日の解答手順は宅建試験当日の完全ガイドで扱っています。
飛ばす判断とマークのずれ
飛ばすと決めた問題には、問題用紙に印をつけます。そしてその時点で必ずマークだけは埋めます。空欄のまま進めると、後で戻ったときにマークの位置がずれる原因になり、最悪の場合それ以降の解答がすべて1つずれます。
見直しの時間には、飛ばした問題を優先します。全問を頭から見直そうとすると時間が足りず、しかも一度考えた問題を読み返すと、正しかった答えを書き換えてしまうことがあります。見直しの対象は、飛ばした問題と、解答時に迷った印をつけた問題に限定するのが安全です。
- 見直しに15分残すと、1問あたりの平均は約2.1分。
- 解く順序は事前に決める。配点の大きい宅建業法を先に処理する。
- 飛ばす問題もマークだけは埋める。ずれは全体を崩す。
直前1週間の最終チェックリスト
残り1週間は、それまでとやることが変わります。新しく覚える段階は終わり、覚えたものを取り出せるか確認する段階に入ります。ここでは日程別と項目別に、確認すべきことを整理します。
7日前から3日前
この時期の中心は、間違えた問題の最終確認と、数字の白紙復元です。回す対象は、これまでの学習で最後まで残った項目に限定します。新しい問題には手をつけません。
通し解きを行うなら、この期間に済ませます。3日前を過ぎてから通しで解くと、点数が悪かった場合に立て直す時間がありません。通し解きの目的は点数の確認ではなく時間配分の確認なので、この時点で解く順序と飛ばす基準を確定させてください。
生活リズムを本番に合わせるのもこの時期です。試験は午後に実施されるため、その時間帯に机に向かう習慣を作っておきます。
前々日と前日
前々日までに、持ち物と交通経路の確認を終えます。前日にまとめてやろうとすると、不足に気づいたときに対応できません。
前日の学習は、確認だけに絞ります。具体的には、数字の1枚、統計の1枚、間違えた問題のうち最後まで残ったもの。この3つを回して終わりにします。新しい問題を解くと、間違えたときに不安が残るだけで、修正する時間もありません。
前日は早めに就寝します。当日の起床時刻から逆算し、必要な睡眠時間を確保できる時刻に寝てください。前日に眠れなかったとしても試験は受けられますが、寝る時刻が遅いこと自体は避けられます。
学習面の最終確認項目
前日までに、次の項目を何も見ずに言えるか確認します。いずれも直前に確認しておくと本番で取り出しやすくなる項目です。
宅建業法では、35条書面と37条書面それぞれの交付時期・交付の相手方・宅建士の関与のしかた、8種制限の8つの名称と適用場面、営業保証金と弁済業務保証金分担金の額。書面まわりの対比は35条書面と37条書面の横断整理で確認できます。
法令上の制限では、開発許可の面積基準を区域ごとに、用途地域の種類、建蔽率・容積率の緩和の条件、農地法3条・4条・5条の許可権者。
税・その他では、不動産取得税と固定資産税の課税標準の特例、譲渡所得の特例の適用要件、印紙税と登録免許税の課税対象。税分野の優先順位は税・その他の得点戦略にまとめています。
統計は、各統計の増減の方向と連続年数を口頭で言えるかどうか。ここは前日に見て当日まで持たせる領域です。
持ち物の確認
持ち物は前々日までにそろえ、当日は詰め直さずにそのまま持ち出せる状態にしておきます。確認すべきものは次のとおりです。
受験票。顔写真が貼られているか、記載事項に不備がないかを含めて確認します。筆記用具はHBまたはBの鉛筆を複数本と、消しゴム。シャープペンシルの可否や細かい指定は受験票や試験実施要領の記載に従ってください。鉛筆削りもあると安心です。
時計。会場に時計があるとは限らないため、自分で用意します。計算機能や通信機能のないものを選んでください。スマートフォンは試験中の時間確認には使えません。
そのほか、身分証明書、飲み物、上着、当日確認する1枚ものの資料。上着を挙げたのは、会場の空調が自分に合うとは限らないためです。体温調節ができる状態にしておくと、集中を切らさずに済みます。
会場までの確認事項
会場の場所と経路は、前々日までに確認します。確認するのは所在地だけでなく、最寄り駅からの徒歩時間、複数の入口がある会場ならどこから入るか、当日の交通機関の運行予定です。試験日は日曜日なので、平日と時刻表が異なる路線があります。
到着時刻は、集合時刻より前に着く前提で組みます。そのうえで、交通機関が遅れた場合の代替経路を1つ持っておいてください。会場周辺の混雑や受付の列を考えると、余裕を持って到着するほうが落ち着いて始められます。
当日の食事も決めておきます。会場周辺で確保できる保証はないため、必要なら持参します。試験中に空腹や強い眠気が来ない量にしておくのが無難です。
前日にやらないこと
前日に避けたいことを3つ挙げます。第一に、新しい問題を解くこと。間違えても直す時間がなく、不安だけが残ります。第二に、長時間の学習。前日に詰め込んでも当日の得点はほとんど変わらず、疲労が残るぶん不利になります。第三に、生活リズムを崩すこと。夜遅くまで起きることも、逆に極端に早く寝ようとして眠れず焦ることも避けます。
当日の起床から会場入り、試験中の心構え、トラブルへの対応は宅建試験当日の過ごし方ガイドで扱っています。試験後の自己採点をいつどう行うかは宅建試験の自己採点のやり方を参照してください。
試験での出題ポイント
直前期に確認しておくと効く論点には、共通する崩され方があります。型を知っておくと、確認の際にどこを見ればよいかが分かります。
数字を入れ替える型
もっとも多いのが、正しい制度説明に誤った数字を組み合わせる型です。開発許可の面積基準を区域ごとに入れ替える、営業保証金の額を事務所の区分ごとに入れ替える、といった形です。
対策は前述の白紙復元です。数字を制度とセットで書き出せる状態にしておけば、入れ替えに気づけます。制度の説明だけを読んで正しそうだと判断すると、この型に引っかかります。
期限と起算点をずらす型
期間の数字は合っているのに、起算点が違うという型です。クーリング・オフの8日間を「契約を締結した日から」とする、届出の期限を「効力発生の日から」とするといった形で崩されます。
期限を覚えるときは、日数と起算点を必ずセットにしてください。日数だけを覚えていると、この型を処理できません。
主体をすり替える型
誰が行うのか、誰の許可が必要なのかを入れ替える型です。農地法の許可権者、監督処分の処分権者、書面への記名を行う者、説明を行う者。これらは制度ごとに違うため、混同を狙われます。
宅建業法では「宅地建物取引業者が」なのか「宅地建物取引士が」なのかの区別が繰り返し問われます。交付義務を負うのは業者、説明と記名を行うのは宅建士、という原則を押さえておいてください。
改正前の内容で作る型
すでに改正された内容を、改正前のまま書く型です。押印が廃止された書面について「記名押印が必要」とする、といった形です。古い教材で学習した受験者を狙う型なので、改正箇所は改正前と改正後の両方を意識して確認してください。
例外を原則として書く型
原則と例外が入れ替わっている型です。適用除外の場面を原則であるかのように書く、あるいは原則しかない場面に例外を作る形で崩されます。
直前期の確認では、原則を覚えたうえで「例外があるかどうか」まで一言で言えるようにしておくと処理できます。「業者間だから適用されない」「貸借だから記載しない」といった除外の理屈は、どの制度にどこまで及ぶかが制度ごとに違うため、原則とセットで確認してください。
個数問題で崩す型
宅建試験には「正しいものはいくつあるか」を問う個数問題があります。四肢択一であれば1つ確実に判断できれば消去法が使えますが、個数問題は4つすべてを正確に判断しないと答えが出ません。うろ覚えの知識が通用しない形式です。
直前期の対策としては、確認の際に「この肢は正しい」で止めず、「どこが正しいのか」「どこを変えれば誤りになるのか」まで言えるようにしておくことです。正誤の結論だけを覚えていると、個数問題で崩れます。組み合わせ問題も同じで、選択肢の一部が判断できないと組み合わせが絞れません。
出題傾向の分析全般は宅建試験の出題傾向にまとめています。
覚え方・整理の仕方
持ち歩くものを1枚に集約する
直前期に繰り返し見るものは、紙1枚にまとめます。数字で1枚、統計で1枚、最後まで残った間違いで1枚。合計3枚あれば足ります。
1枚にする理由は、全体を一目で見られることと、持ち歩けることです。冊子だとページをまたぐため、確認したつもりの項目が漏れます。1枚に収まらない量は、そもそも直前期に回し切れる量を超えています。
作るときは自分の手で書いてください。既製のまとめ資料を眺めるより、何を書いて何を書かないかを判断する作業自体が記憶を作ります。
想起の形で確認する
確認はすべて、思い出す形で行います。読み返す、眺める、線を引くといった作業は、直前期にはほとんど効果がありません。試験本番で求められるのは、何も見ない状態で取り出すことだからです。
具体的な方法は3つあります。白紙に書き出す。声に出して言う。問題を解く。いずれも、思い出せなかった箇所が明確になるという点で共通しています。暗記の技術一般は宅建の暗記術にまとめています。
混同するものは対で持つ
直前期の失点は、知らないことより混同から生まれます。35条書面と37条書面、農地法4条と5条、市街化区域と市街化調整区域、指示処分と業務停止処分。似ているものは、必ず対にして確認してください。
対で確認するときのコツは、共通点ではなく相違点を先に言うことです。「どちらも書面を交付する」ではなく「交付の時期が前か後か」「相手方が取得者だけか当事者双方か」という形で、違いから入ります。共通点から入ると、境界があいまいなまま覚えた気になります。
語呂合わせは数字だけに使う
語呂合わせが効くのは、順序のある数字や、意味のつながりがない列挙です。逆に、制度の趣旨や要件の理解に語呂を使うと、語呂は思い出せるのに中身を説明できない状態になります。
直前期に語呂を新しく作るのは避けてください。作る労力に対して、覚え直しのコストが見合いません。すでに使っている語呂があればそれを回し、なければ白紙復元で対応します。語呂合わせの基本的な考え方は宅建の語呂合わせで扱っています。
1日の型を固定する
直前期は、日によってやることを変えないほうが結果的に回ります。毎日同じ枠に同じ種類の学習を入れておくと、今日は何をするかを考える時間がなくなり、着手までが速くなるからです。
型の一例を挙げると、朝に数字の白紙復元、日中の空き時間に間違えた問題の確認、夜に演習と当日分の振り返り、という並びです。時間の長さより、順番を固定することに意味があります。順番が決まっていれば、忙しい日に短縮しても抜けた項目が分かります。
もうひとつ、直前期は毎日必ず問題を解いてください。確認だけの日が続くと、知識は残っていても解答の手順が鈍ります。1日10問でも構わないので、問題文を読んで答えを出す動作を切らさないようにします。
覚えたかどうかを判定する
覚えた気になっているだけかどうかは、何も見ずに書き出せるかで判定します。数字の1枚を白紙から再現できるか、35条書面と37条書面の違いを説明できるか、統計の方向を口に出して言えるか。この3つができれば、直前期の確認としては十分です。
判定は前日ではなく、3日前までに一度行ってください。前日に穴が見つかっても埋める時間がありません。3日前であれば、残った項目だけを重点的に回す余地があります。
理解度チェッククイズ
Q1. 直前期に知識の穴が見つかった場合、新しい問題集を買い足して埋めるのが効率的である。(○か×か)
答えを見る
×:残り1ヶ月で新しい教材を仕上げるのは現実的ではなく、未消化の教材が増えるだけです。加えて、同じ論点でも教材によって説明の切り口が違うため、固まっていた理解が不安定になります。直前期に外部の資料を追加してよいのは、法改正の内容と統計の最新値を確認する場合に限られます。Q2. 統計問題(例年 問48)は内容が毎年入れ替わるため、直前期に詰めるのが効率的である。(○か×か)
答えを見る
○:統計は主要なものが夏までに出揃い、それ以前に覚えると更新で覚え直しになります。直前に一度入れれば試験当日まで保持できるため、直前期のタスクとして切り分けるのが合理的です。覚える範囲は増減の方向、連続年数、おおまかな桁の3点で足ります。Q3. 宅建試験は、試験日の時点で施行されている最新の法令に基づいて出題される。(○か×か)
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×:例年、その年の4月1日現在で施行されている法令に基づいて出題されます。したがって4月2日以降に施行された改正は、その年の試験には反映されません。「最新の改正だから出る」と考えるのではなく、施行日が基準日より前かどうかで判断してください。Q4. 宅建試験の合格点は毎年一定で、50問中35問と決まっている。(○か×か)
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×:合格判定基準は年によって変動します。令和7年度試験は50問中33問以上(登録講習修了者は45問中28問以上)で、合格率は18.7%でした。前年の合格点は37点でしたから、1年で4点動いています(出典:不動産適正取引推進機構「令和7年度宅地建物取引士資格試験結果の概要」令和7年11月26日公表)。特定の点数を狙うのではなく、取りこぼしをなくす方針で臨むのが適切です。Q5. 解く順序を変える場合、飛ばした問題のマークは後でまとめて記入するほうが安全である。(○か×か)
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×:空欄を残したまま先に進むと、後で戻ったときに記入位置がずれ、それ以降の解答がすべて1つずれる危険があります。飛ばすと決めた問題も、その時点でマークだけは埋めておき、問題用紙に印をつけて見直しの対象にするのが安全です。まとめとよくある質問
直前期の要点は次の3点です。
第一に、やることを3つに絞る。間違えた問題を回すこと、数字と期限を白紙復元で固めること、時間配分と解く順序を確定させること。この3つ以外は点数にあまり影響しません。
第二に、やらないことを決める。新しい教材に手を出さない、苦手科目だけに寄せない、睡眠を削らない。いずれも、やらないと決めるだけで時間と精度が確保できます。
第三に、直前1週間は確認だけに絞る。7日前から3日前までに通し解きと数字の最終確認を終え、前々日までに持ち物と経路を確定させ、前日は3枚の資料を回して早めに休む。この形にしておけば、当日の朝に慌てることはありません。
直前期に間に合わないと感じたらどうすればよいですか
範囲を絞ってください。全分野を仕上げるのが難しい状況なら、配点の大きい宅建業法と、暗記で取れる法令上の制限の数字、そして統計に絞るのが現実的です。権利関係の応用論点は4週間では届きにくいため、基本的な頻出テーマの確認にとどめます。
模試の点数が合格点に届いていない場合はどうすればよいですか
模試の点数と本試験の結果は直結しません。母集団も難易度も違うためです。見るべきなのは点数ではなく、どの科目で時間を使いすぎたか、どの分野を落としたかという情報です。落とした分野が暗記系であれば直前期に伸びます。
過去問は何年分やればよいですか
年数より、間違えた問題を潰し切れているかどうかが重要です。すでに解いた年度の中に、まだ正解できない問題が残っているなら、新しい年度に進むより先にそちらを回してください。通し解きの練習として年度単位で解く場合も、目的は時間配分の確認です。
直前期に権利関係を捨ててもよいですか
すべてを捨てるのは避けてください。権利関係は14問と配点が小さくありません。捨てるべきなのは応用論点や難解な判例問題であって、意思表示、代理、相続、借地借家法といった頻出テーマは直前期でも確認する価値があります。
宅建試験AIブートラボでは、肢別トレーニングと年度別過去問演習で、間違えた問題だけを繰り返し確認できます。
肢別演習と年度別演習で、立てた学習計画をそのまま実行に移せます。間違えた肢だけを繰り返す復習にも対応しています。