宅建試験AIブートラボ 宅建試験AIブートラボ

保証協会の仕組み|加入・弁済業務・還付充当金

宅建業法 読了 約24分

宅地建物取引業保証協会を条文から整理します。分担金60万円と30万円、1週間と2週間の期限、還付の限度が営業保証金相当額である理由、還付充当金と準備金まで。

目次

    この記事は、宅建業法64条の2から64条の25までの宅地建物取引業保証協会の制度を、条文の順に追って整理するものです。営業保証金そのもの、つまり25条から30条までの供託・還付・取戻しは営業保証金|供託額・事業開始・還付と取戻しに分けてあります。両制度は試験でも必ず対比で問われるので、あわせて読んでください。宅建業法全体での位置づけは宅建業法の全体像|20問の出題範囲と学習設計にあります。

    先に結論を述べます。保証協会は、営業保証金の重い負担を軽くしながら、取引の相手方の保護は同じ水準を保つための仕組みです。業者が納めるのは主たる事務所60万円、その他の事務所1か所につき30万円の分担金だけ。それでいて、取引の相手方が弁済を受けられる枠は、営業保証金を供託していたとしたら必要だった額、つまり主たる事務所なら1,000万円のままです。負担は16分の1以下に下がるのに保護は変わらない。この非対称が制度の核心であり、最大の出題ポイントでもあります。

    何のための制度か

    開業の負担を下げる

    営業保証金は、主たる事務所だけで1,000万円を供託しなければなりません(25条2項、宅地建物取引業法施行令2条の4)。支店を1つ持てばさらに500万円です。免許を受けても、この金額を用意して供託し、届け出るまで事業を開始できません(25条5項)。中小の業者にとって、これは開業の壁になります。

    そこで用意されたのが保証協会です。64条の13は「宅地建物取引業保証協会の社員は、第六十四条の八第一項の規定により国土交通大臣の指定する弁済業務開始日以後においては、宅地建物取引業者が供託すべき営業保証金を供託することを要しない」と定めています。社員である限り、営業保証金の供託が免除されます。開業の実務でどちらを選ぶかは宅建で独立開業する|免許と保証金の要件で扱っています。

    弁済業務という中核

    保証協会の存在意義は、64条の3第1項3号が定める弁済業務にあります。条文は「社員と宅地建物取引業に関し取引をした者(社員とその者が社員となる前に宅地建物取引業に関し取引をした者を含み、宅地建物取引業者に該当する者を除く。)の有するその取引により生じた債権に関し弁済をする業務」と書いています。

    ここに二つの括弧書きがあります。ひとつは「社員となる前に取引をした者を含み」。加入前の取引による債権も弁済業務の対象になるということです。もうひとつは「宅地建物取引業者に該当する者を除く」。営業保証金の27条1項と同じ線引きで、業者どうしの取引は保護の対象外です。プロ同士は自衛できる、という発想は8種制限が業者間取引に適用されない78条2項とも共通しています。この考え方は8種制限とは|自ら売主制限の全体像と8項目でも扱っています。

    誰が指定するのか

    64条の2第1項は、国土交通大臣が一定の要件を備える者の申請にもとづいて保証協会を指定すると定めます。要件は、一般社団法人であること、宅建業者のみを社員とするものであること、過去に指定を取り消されて5年を経過しない者でないこと、役員に一定の欠格事由がないことです。

    そして64条の4第1項は「一の宅地建物取引業保証協会の社員である者は、他の宅地建物取引業保証協会の社員となることができない」と定めています。加入できるのは一つだけです。二つの協会に加入して弁済の枠を二重に確保することはできません。この一文はそのまま正誤問題になります。

    同条2項により、保証協会は新たに社員が加入し、または社員がその地位を失ったときは、直ちにその旨を当該社員の免許権者に報告しなければなりません。協会と免許権者が情報でつながっている、という設計です。免許制度そのものは宅建業の免許制度|要否・免許権者・更新を参照してください。

    同条3項には、加入前の取引に備える規定があります。保証協会は、社員が社員となる前に当該社員と宅建業に関し取引をした者の債権について弁済が行われることにより弁済業務の円滑な運営に支障を生ずるおそれがあると認めるときは、その社員に対し担保の提供を求めることができる、というものです。弁済業務の対象が加入前の取引にまで及ぶ(64条の3第1項3号)ことの裏返しで、過去のトラブルを抱えた業者が加入して協会の資金を消尽させることを防ぐ仕組みです。

    保証協会の業務

    必ず行わなければならない三つ

    64条の3第1項は「次に掲げる業務をこの章に定めるところにより適正かつ確実に実施しなければならない」として、三つを挙げています。1号が苦情の解決、2号が宅地建物取引士等に対する研修、3号が弁済業務です。条文が「実施しなければならない」と書いているので、この三つは必須業務です。

    1号の苦情の解決は64条の5が具体化しています。相手方等から苦情の解決の申出があったときは、相談に応じ、必要な助言をし、事情を調査するとともに、当該社員に苦情の内容を通知して迅速な処理を求めなければなりません(同条1項)。必要があると認めるときは社員に文書もしくは口頭による説明や資料の提出を求めることができ(同条2項)、社員は正当な理由がある場合でなければこれを拒めません(同条3項)。そして申出とその解決の結果を社員に周知させなければなりません(同条4項)。

    2号の研修は64条の6が「一定の課程を定め、宅地建物取引士の職務に関し必要な知識及び能力についての研修その他宅地建物取引業の業務に従事し、又は従事しようとする者に対する宅地建物取引業に関する研修を実施しなければならない」と定めています。対象は宅建士に限られず、業務に従事しようとする者まで含みます。宅建士の側の知識及び能力の維持向上義務(15条の3)とあわせて理解しておくと、宅建士の登録と宅建士証|合格後の手続きの内容ともつながります。

    行うことができる業務

    64条の3第2項は、必須の三つのほかに行うことができる業務を挙げています。1号が一般保証業務、2号が手付金等保管事業、3号が全国の業者を社員とする一般社団法人による研修の実施に要する費用の助成です。

    1号の一般保証業務は、社員である業者との契約により、その業者が受領した支払金または預り金の返還債務その他宅建業に関する債務を連帯して保証する業務です。これを行うには、64条の17第1項によりあらかじめ国土交通大臣の承認を受けなければなりません。

    2号の手付金等保管事業について承認を受けると、64条の17の2第2項により、41条の2第1項1号の指定を受けたものとみなされます。つまり、完成物件の手付金等の保全措置で使われる指定保管機関の役割を担えるということです。8種制限の側の話は手付金の制限|手付の額と手付解除の条件を参照してください。

    さらに64条の3第3項により、国土交通大臣の承認を受けて宅建業の健全な発達を図るため必要な業務を行うこともでき、同条4項により業務の一部を国土交通大臣の承認を受けて他の者に委託することもできます。

    必須か任意かの区別は繰り返し出題されます。「苦情の解決は任意業務である」「一般保証業務は必須業務である」といった入れ替えが典型です。

    加入と分担金の納付

    いくらを、いつまでに

    64条の9第1項は「次の各号に掲げる者は、当該各号に掲げる日までに、弁済業務保証金に充てるため、主たる事務所及びその他の事務所ごとに政令で定める額の弁済業務保証金分担金を当該宅地建物取引業保証協会に納付しなければならない」と定めます。1号が保証協会に加入しようとする者で、期限は「その加入しようとする日」です。

    金額は施行令7条が「主たる事務所につき六十万円、その他の事務所につき事務所ごとに三十万円の割合による金額の合計額」と定めています。本店1か所と支店2か所なら、60万円に30万円を2つ足して120万円です。

    期限の書き方に注意してください。「加入した日から1週間以内」でも「加入後2週間以内」でもありません。加入しようとする日までに納付する、つまり納付が加入の前提です。納付を済ませてはじめて社員になる、という順序になります。

    納付できるのは金銭だけ

    分担金の納付方法について、条文は有価証券を認める規定を置いていません。営業保証金には25条3項という明文があり、国債証券などを充てられるのに対し、分担金にはこれに相当する規定がないのです。したがって分担金は金銭のみで納付します。

    紛らわしいのは、保証協会が供託所に供託する弁済業務保証金のほうには有価証券を使えることです。64条の7第3項が25条3項を準用しているためです。業者が協会に納めるものは金銭のみ、協会が供託所に納めるものは金銭または有価証券。誰が誰に何を出す場面かで分けてください。この対比は営業保証金側の記事営業保証金|供託額・事業開始・還付と取戻しでも扱っています。

    事務所を新設したとき

    64条の9第2項は、分担金を納付した後に新たに事務所を設置したときは、その日から2週間以内に、政令で定める額の分担金を納付しなければならないと定めます。免許換えに該当する場合の事務所の増設も含まれます。

    そして同条3項が厳しい効果を定めています。「宅地建物取引業保証協会の社員は、第一項第二号に規定する期日までに、又は前項に規定する期間内に、これらの規定による弁済業務保証金分担金を納付しないときは、その地位を失う」。2週間以内に納付しなければ、社員の地位を失います。

    ここは条文の書き方が重要です。協会が地位を失わせるかどうかを判断するのではなく、納付しないことによって当然に地位を失います。「保証協会は社員の地位を失わせることができる」という表現は条文と違います。事務所の要件そのものは宅建業の事務所の要件|設置義務・届出事項を完全整理で扱っています。

    保証協会による供託

    1週間以内に供託所へ

    64条の7第1項は「宅地建物取引業保証協会は、第六十四条の九第一項又は第二項の規定により弁済業務保証金分担金の納付を受けたときは、その日から一週間以内に、その納付を受けた額に相当する額の弁済業務保証金を供託しなければならない」と定めます。

    起算点は分担金の納付を受けた日、期間は1週間です。業者が納めた分担金と同額を、協会がそのまま供託所へ移す、という流れになります。

    供託先が違う

    同条2項は「弁済業務保証金の供託は、法務大臣及び国土交通大臣の定める供託所にしなければならない」と定めます。営業保証金が「主たる事務所のもよりの供託所」(25条1項)であるのに対し、こちらは法務大臣および国土交通大臣が定める供託所です。社員の事務所がどこにあるかとは関係なく、協会がまとめて供託します。

    供託先を入れ替える肢が定番です。「保証協会は、社員である宅建業者の主たる事務所のもよりの供託所に弁済業務保証金を供託しなければならない」は誤りになります。

    免許権者への届出

    64条の7第3項は25条3項および4項を準用しています。25条4項の準用により、協会は供託書の写しを添付して、当該供託に係る社員である業者の免許権者に、その社員に係る供託をした旨を届け出ることになります。読み替え規定が置かれているのは、届出をするのが業者本人ではなく協会だからです。

    還付の仕組み

    枠は営業保証金相当額

    この制度で最も問われるのがここです。64条の8第1項は、社員と宅建業に関し取引をした者は、その取引により生じた債権に関し「当該社員が社員でないとしたならばその者が供託すべき第二十五条第二項の政令で定める営業保証金の額に相当する額の範囲内」において、協会が供託した弁済業務保証金から弁済を受ける権利を有すると定めています。

    つまり、還付の限度は分担金の額ではありません。その社員が保証協会に入っていなかったとしたら供託すべきだった営業保証金の額です。本店だけの業者なら1,000万円、本店と支店1か所なら1,500万円が枠になります。納めたのが60万円でも、相手方は1,000万円まで弁済を受けられる。ここが制度の要です。

    「還付の限度は納付した分担金の額である」「60万円までしか還付を受けられない」といった肢は誤りです。この論点だけで一肢が作れるほど頻出です。

    なお同項の括弧書きは、その社員について既に認証した額があるときはその額を控除し、還付充当金の納付を受けたときはその額を加えた額の範囲内とする、という調整も定めています。枠は使えば減り、埋め戻されれば戻る、ということです。

    認証が必要

    64条の8第2項は「前項の権利を有する者がその権利を実行しようとするときは、同項の規定により弁済を受けることができる額について当該宅地建物取引業保証協会の認証を受けなければならない」と定めます。

    手続の順序は、まず保証協会に認証を申し出て、認証を受けたうえで供託所に対して権利を実行する、という二段階です。還付そのものは供託所が行います。協会がお金を払うわけではありません。「還付請求は保証協会に対して行う」という肢は誤りです。

    営業保証金の側にはこの認証にあたる手続がありません。ただし何の手続もないわけではなく、宅地建物取引業者営業保証金規則により、国土交通大臣から取引の相手方が宅建業者に該当しないことの確認書の交付を受けて供託所に提出します。認証の有無で対比を作る出題に備えて、両者の違いを整理しておいてください。

    権利行使できる時期

    64条の8第1項は、弁済を受ける権利が「当該宅地建物取引業保証協会について国土交通大臣の指定する弁済業務開始日以後」に生じるとしています。64条の2第2項により、この弁済業務開始日は指定の際に官報で公示されます。制度が動き出す日が定められている、ということです。

    還付があった後の協会の供託

    64条の8第3項は、権利の実行があった場合においては、保証協会は法務省令・国土交通省令で定める日から2週間以内に、還付された額に相当する額の弁済業務保証金を供託しなければならないと定めます。

    還付によって供託所に預けてある額が減るので、協会が穴を埋める。その期限が2週間です。同条4項により、この供託にも有価証券を充てられます。

    還付充当金と弁済業務保証金準備金

    還付充当金は2週間以内

    穴を埋めた分は、最終的に原因を作った社員が負担します。64条の10第1項は、還付があったときは、協会は当該還付に係る社員または社員であった者に対し、還付額に相当する額の還付充当金を協会に納付すべきことを通知しなければならないと定めます。

    同条2項は「前項の通知を受けた社員又は社員であつた者は、その通知を受けた日から二週間以内に、その通知された額の還付充当金を当該宅地建物取引業保証協会に納付しなければならない」と定めます。起算点は通知を受けた日、期間は2週間、納付先は保証協会です。

    そして同条3項が「宅地建物取引業保証協会の社員は、前項に規定する期間内に第一項の還付充当金を納付しないときは、その地位を失う」と定めます。ここも当然に地位を失う書き方です。

    営業保証金の側と比べてください。営業保証金では、免許権者から通知書の送付を受けた日から2週間以内に、業者が供託所へ不足額を供託します(28条1項)。弁済業務保証金では、保証協会から通知を受けた日から2週間以内に、社員が保証協会へ還付充当金を納付します。期間はどちらも2週間ですが、通知する者も納付先も違います。

    弁済業務保証金準備金

    64条の12第1項は、還付充当金の納付がなかったときの供託に充てるため、保証協会は弁済業務保証金準備金を積み立てなければならないと定めます。社員が還付充当金を納めなくても協会が供託を続けられるようにするための備えです。

    同条2項により、弁済業務保証金から生ずる利息または配当金は準備金に繰り入れられます。同条6項により、いったん準備金を取り崩して供託に充てた後で還付充当金の納付を受けたときは、それも準備金に繰り入れます。

    準備金でも足りない場合に登場するのが特別弁済業務保証金分担金です。同条3項は、準備金を充ててなお不足するときは、社員に対し、その者に係る分担金の額に応じ特別弁済業務保証金分担金を納付すべきことを通知しなければならないと定めます。そして同条4項が「前項の通知を受けた社員は、その通知を受けた日から一月以内に、その通知された額の特別弁済業務保証金分担金を当該宅地建物取引業保証協会に納付しなければならない」としています。

    ここだけ1月です。還付充当金の2週間と混同しやすいので、区別して覚えてください。同条5項が64条の10第3項を準用しているため、1月以内に納付しなければ社員の地位を失います。

    なお同条7項により、準備金の額が国土交通省令で定める額を超えることとなるときは、国土交通大臣の承認を受けて、業務に要する費用に充てるなどのためにその超過額を取り崩すことができます。

    社員の地位を失ったとき

    1週間以内に営業保証金を供託

    社員でなくなれば、64条の13の供託免除も外れます。64条の15は「宅地建物取引業者は、第六十四条の八第一項の規定により国土交通大臣の指定する弁済業務開始日以後に宅地建物取引業保証協会の社員の地位を失つたときは、当該地位を失つた日から一週間以内に、第二十五条第一項から第三項までの規定により営業保証金を供託しなければならない」と定めます。

    起算点は地位を失った日、期間は1週間です。そして後段が25条4項の適用があるとしているので、供託したうえで免許権者への届出も必要になります。

    この規定に違反した場合、65条2項2号が64条の15前段を業務停止事由として挙げており、免許権者は1年以内の期間を定めて業務の全部または一部の停止を命ずることができます。監督処分の全体像は監督処分|指示・業務停止・免許取消の違いを参照してください。

    協会の指定が取り消されたときは2週間

    似ているが期間が違うものがあります。64条の23は、保証協会が指定を取り消され、または解散した場合においては、その社員であった業者は、64条の22第2項の公示の日から2週間以内に営業保証金を供託しなければならないと定めます。

    社員の地位を失ったときが1週間(64条の15)、協会そのものがなくなったときが2週間(64条の23)。原因が業者側にあるか協会側にあるかで期間が違う、と理解すると覚えやすくなります。

    なお、協会が指定を取り消される場面は64条の22第1項が定めており、弁済業務を適正かつ確実に実施することができないと認められるとき、この法律またはこれに基づく命令に違反したとき、改善命令や解任命令による処分に違反したときです。取り消したとき、または協会が解散したときは、その旨が官報で公示されます(同条2項)。この公示の日が、社員であった業者にとっての2週間の起算点になります。

    保証協会は誰が監督するのか

    保証協会は国土交通大臣が指定する以上、監督も国土交通大臣が行います。64条の19は、役員の選任および解任ならびに解散の決議は国土交通大臣の認可を受けなければ効力を生じないと定めます。64条の20は、この章の規定を施行するため必要があると認めるときは、財産の状況または事業の運営を改善するため必要な措置をとるべきことを命ずることができるという改善命令を定め、64条の21は、役員が法令等に違反したときなどに解任を命ずることができるとしています。

    宅建業者に対する監督が免許権者、つまり国土交通大臣または都道府県知事によって行われるのに対し、保証協会に対する監督は国土交通大臣に一元化されています。監督の主体を都道府県知事にすり替える肢に注意してください。

    弁済業務保証金の取戻しと分担金の返還

    64条の11第1項は、社員が社員の地位を失ったときは納付した分担金の額に相当する額の弁済業務保証金を、社員が一部の事務所を廃止して分担金の額が政令の定める額を超えることになったときはその超過額に相当する額の弁済業務保証金を、それぞれ協会が取り戻すことができると定めます。

    取り戻したときは、同条2項により、協会は当該社員であった者または社員に対し、取り戻した額に相当する額の分担金を返還します。ただし同条3項が返還の時期を絞っており、社員の地位を失ったときは次に述べる公告期間が経過した後、協会がその者に対して債権を有するときはその弁済が完了した後、認証をしたときは還付充当金の債権の弁済が完了した後になります。

    そして同条4項が公告を定めます。社員が社員の地位を失ったときは、協会は、その者に係る取引により生じた債権について64条の8第1項の権利を有する者に対し、6月を下らない一定期間内に認証を受けるため申し出るべき旨を公告しなければなりません。同条5項により、その期間内に申出のなかった債権については認証をすることができません。

    注意したいのは、この公告が必要なのは社員の地位を失った場合だけだということです。一部の事務所を廃止したことによる取戻しと返還には、64条の11第4項の適用がありません。事務所が減っても社員であり続ける以上、まだ弁済業務の枠は残っているからです。

    営業保証金から切り替えるとき

    もともと営業保証金を供託していた業者が保証協会に加入した場合はどうなるか。64条の13により供託が不要となり、64条の14第1項により供託していた営業保証金を取り戻すことができます。

    このとき公告は不要です。64条の14第2項が準用しているのは30条3項だけで、公告を定める30条2項を準用していないためです。営業保証金という引当てが弁済業務保証金という別の引当てに置き換わるだけで、相手方の保護に空白が生じないからです。営業保証金側の取戻しの整理は営業保証金|供託額・事業開始・還付と取戻しにまとめてあります。

    なお、社員である間も供託所等に関する説明義務は課されており、説明すべき内容は営業保証金を供託している場合と保証協会の社員である場合とで変わります。詳細は供託所等に関する説明義務|35条の2を条文からを参照してください。

    営業保証金との対比で押さえる数字

    同じ数字が別の意味で何度も出てくるので、場面ごとに束ねます。宅建業法全体の数字の整理は宅建業法の数字まとめ|混同しない覚え方で整理にあります。

    金額

    営業保証金が主たる事務所1,000万円・その他の事務所500万円(施行令2条の4)、分担金が主たる事務所60万円・その他の事務所30万円(施行令7条)。どちらも主たる事務所がその他の2倍です。1,000万円と60万円の比はおよそ16.7分の1で、500万円と30万円も同じ比率になります。

    納付できるもの

    営業保証金は金銭または有価証券(25条3項)。分担金は金銭のみ。保証協会が供託する弁済業務保証金は金銭または有価証券(64条の7第3項による25条3項の準用)。三つを混ぜないでください。

    1週間が二つ

    協会が分担金の納付を受けてから弁済業務保証金を供託するまでが1週間(64条の7第1項)。社員の地位を失った業者が営業保証金を供託するまでが1週間(64条の15)。どちらも保証協会が絡む場面です。

    2週間が四つ

    事務所を新設したときの分担金納付が2週間(64条の9第2項)。還付充当金の納付が2週間(64条の10第2項)。還付後に協会が弁済業務保証金を供託するのが2週間(64条の8第3項)。協会の指定取消し・解散のときに社員であった者が営業保証金を供託するのが2週間(64条の23)。営業保証金側にも不足額の供託と届出でそれぞれ2週間があります(28条1項・2項)。

    1月と6月

    特別弁済業務保証金分担金の納付が1月(64条の12第4項)。社員の地位喪失に伴う公告の期間が6月を下らない期間(64条の11第4項)。

    試験での出題ポイント

    還付の限度を分担金の額にする

    最頻出です。「弁済業務保証金からの還付の限度額は、その社員が納付した分担金の額である」という肢は誤りです。64条の8第1項の限度は、その社員が社員でないとしたならば供託すべき営業保証金の額に相当する額です。本店のみの社員なら1,000万円になります。

    認証と還付請求の相手方を混ぜる

    「還付を受けようとする者は、保証協会に還付請求をする」は誤りです。保証協会に申し出るのは認証であり(64条の8第2項)、還付そのものは供託所に対して権利を実行します。逆に「認証を受けずに直接供託所に請求できる」も誤りです。

    分担金に有価証券を使わせる

    「弁済業務保証金分担金は、国債証券をもって納付することができる」は誤りです。分担金は金銭のみです。一方「保証協会が供託する弁済業務保証金には有価証券を充てることができる」は正しい記述です(64条の7第3項)。

    納付の期限をずらす

    加入時の分担金は「加入しようとする日まで」(64条の9第1項1号)であって、加入後の期間ではありません。事務所新設時は設置の日から2週間(同条2項)、還付充当金は通知を受けた日から2週間(64条の10第2項)、特別弁済業務保証金分担金は通知を受けた日から1月(64条の12第4項)。それぞれ起算点と期間を入れ替えた肢が作られます。

    地位喪失を協会の裁量にする

    「保証協会は、還付充当金を納付しない社員の地位を失わせることができる」は条文と違います。64条の10第3項も64条の9第3項も「その地位を失う」と書いており、納付しないことによって当然に地位を失います。協会の判断は入りません。

    1週間と2週間を入れ替える

    社員の地位を失った業者が営業保証金を供託するのは1週間以内(64条の15)、保証協会が指定を取り消され、または解散した場合に社員であった者が供託するのは公示の日から2週間以内(64条の23)。この二つの入れ替えが出ます。

    供託先を事務所の近くにする

    「保証協会は、社員の主たる事務所のもよりの供託所に弁済業務保証金を供託する」は誤りです。64条の7第2項により、法務大臣および国土交通大臣の定める供託所です。もよりの供託所は営業保証金の話です。

    必須業務と任意業務を入れ替える

    必須は苦情の解決、研修、弁済業務の三つ(64条の3第1項)。一般保証業務と手付金等保管事業は同条2項の任意業務で、いずれも国土交通大臣の承認が必要です(64条の17第1項、64条の17の2第1項)。

    公告の要否を広げる

    社員が地位を失ったときは6月を下らない期間の公告が必要ですが(64条の11第4項)、一部の事務所を廃止したことによる分担金の返還に公告は要りません。また、保証協会に加入して営業保証金の供託が不要になったことによる営業保証金の取戻しにも公告は要りません(64条の14第2項が30条2項を準用していないため)。

    二つの協会に入らせる

    「宅建業者は、二以上の保証協会の社員となることができる」は誤りです。64条の4第1項が明文で禁じています。

    覚え方・整理の仕方

    「納めるのは小さく、守るのは大きい」

    分担金60万円、還付の枠1,000万円。この非対称を一言で持っておくと、還付の限度を問う肢に即答できます。少ない負担で同じ保護、という制度の趣旨がそのまま結論になります。

    お金の流れを三本の矢印で描く

    業者から協会へ分担金、協会から供託所へ弁済業務保証金、供託所から相手方へ還付。そして還付があると、協会から業者へ通知が飛び、業者から協会へ還付充当金が戻る。矢印の向きを描いておけば、納付先や請求先を取り違えません。

    「協会に認証、供託所に請求」

    還付の手続はこの六文字で足ります。協会がするのは認証だけ、お金を出すのは供託所。営業保証金には認証がない、と付け加えます。

    金銭のみは「業者から協会へ」だけ

    有価証券が使えないのは、業者が協会に納める分担金だけです。営業保証金も、協会が供託する弁済業務保証金も有価証券を使えます。「協会に納めるときだけ現金」と覚えます。

    期限は「協会がらみは1週間、社員がらみは2週間、特別だけ1月」

    協会が供託するとき(64条の7第1項)と協会を出るとき(64条の15)が1週間。社員が動く場面である事務所新設(64条の9第2項)と還付充当金(64条の10第2項)が2週間。例外的に長いのが特別弁済業務保証金分担金の1月(64条の12第4項)。この三段で押さえます。

    「失う」と書いてあるものは当然に失う

    64条の9第3項と64条の10第3項は、いずれも「その地位を失う」です。協会が失わせるのではありません。条文の述語をそのまま覚えておくと、裁量に書き換えた肢を見抜けます。

    公告は「社員でなくなったときだけ」

    6月を下らない公告が要るのは、社員が社員の地位を失った場合(64条の11第4項)。事務所の一部廃止でも、保証協会加入に伴う営業保証金の取戻しでも要りません。頻出論点全体の並びは宅建業法の頻出論点ランキングTOP15で確認できます。

    理解度チェッククイズ

    次の記述の正誤を判定してください。

    Q1. 保証協会の社員である宅地建物取引業者と取引をした者が弁済業務保証金から弁済を受けることができる額は、その社員が納付した弁済業務保証金分担金の額が限度である。

    答えは誤りです。64条の8第1項は「当該社員が社員でないとしたならばその者が供託すべき第二十五条第二項の政令で定める営業保証金の額に相当する額の範囲内」と定めています。主たる事務所のみの社員であれば1,000万円、支店が1か所あれば1,500万円が限度で、納付した分担金の額(主たる事務所60万円、その他の事務所30万円)ではありません。少ない負担で営業保証金と同水準の保護を確保する、というのがこの制度の趣旨です。

    Q2. 弁済業務保証金分担金は、主たる事務所につき60万円、その他の事務所につき事務所ごとに30万円であり、金銭のほか国債証券をもって納付することもできる。

    答えは誤りです。金額は正しく、宅地建物取引業法施行令7条が主たる事務所につき60万円、その他の事務所につき事務所ごとに30万円と定めています。しかし納付方法が誤りです。営業保証金には有価証券を充てられる旨の明文(25条3項)がありますが、分担金にはこれに相当する規定がなく、金銭のみで納付します。なお、保証協会が供託所に供託する弁済業務保証金には、64条の7第3項が25条3項を準用しているため有価証券を充てられます。

    Q3. 保証協会の社員は、新たに事務所を設置したときは、その日から2週間以内に弁済業務保証金分担金を保証協会に納付しなければならず、これを納付しないときは社員の地位を失う。

    答えは正しい記述です。64条の9第2項が設置の日から2週間以内の納付を義務づけ、同条3項が「これらの規定による弁済業務保証金分担金を納付しないときは、その地位を失う」と定めています。条文の述語が「失う」であることに注意してください。保証協会が地位を失わせるかどうかを判断するのではなく、納付しないことによって当然に失います。還付充当金についても同じ構造です(64条の10第3項)。

    Q4. 弁済業務保証金の還付を受けようとする者は、保証協会に対して還付の請求をしなければならない。

    答えは誤りです。64条の8第2項が求めているのは、弁済を受けることができる額について保証協会の認証を受けることです。認証を受けたうえで、権利の実行、すなわち還付の請求は供託所に対して行います。保証協会がお金を支払うわけではありません。なお還付があった場合、保証協会は法務省令・国土交通省令で定める日から2週間以内に還付額に相当する額を供託しなければなりません(同条3項)。

    Q5. 保証協会が国土交通大臣から指定を取り消された場合、その社員であった宅地建物取引業者は、指定の取消しに係る公示の日から1週間以内に営業保証金を供託しなければならない。

    答えは誤りです。この場合の期間は2週間です。64条の23は、保証協会が指定を取り消され、または解散した場合においては、社員であった業者は64条の22第2項の規定による公示の日から2週間以内に営業保証金を供託しなければならないと定めています。1週間以内とされているのは、社員が社員の地位を失った場合であり、64条の15が地位を失った日から1週間以内の供託を求めています。原因が業者側にあるか協会側にあるかで期間が分かれる、と整理してください。

    まとめ

    • 保証協会は、主たる事務所60万円・その他の事務所30万円という分担金(施行令7条)で、営業保証金と同じ保護水準を実現する仕組みです。還付の限度は分担金の額ではなく、社員でないとしたならば供託すべき営業保証金の額に相当する額です(64条の8第1項)。必須業務は苦情の解決・研修・弁済業務の三つ(64条の3第1項)で、加入できる協会は一つだけです(64条の4第1項)。
    • 分担金は加入しようとする日までに金銭で納付し(64条の9第1項)、協会は納付を受けた日から1週間以内に、法務大臣および国土交通大臣の定める供託所へ供託します(64条の7第1項・2項)。還付には協会の認証が必要で(64条の8第2項)、請求先は供託所です。
    • 事務所新設時の分担金納付と還付充当金の納付はいずれも2週間で、納付しなければ当然に社員の地位を失います(64条の9第2項・3項、64条の10第2項・3項)。地位を失えば1週間以内に営業保証金を供託し(64条の15)、協会の指定取消し・解散の場合は公示の日から2週間以内です(64条の23)。

    宅建試験AIブートラボのアプリでは、保証協会と営業保証金の金額・期限・手続の違いを肢別トレーニングで繰り返し確認できます。

    読んだ内容を、宅建業法の肢で確かめる

    宅建業法は20問と配点が最も大きく、確実に得点したい科目です。免許制度・重要事項説明・8種制限を肢別で固めましょう。

    関連記事

    Android版アプリの先行テスターを募集しています

    正式公開に先立ち、先行してご利用いただける方を募集しています。学習記録や有料プランはWeb版と同じアカウントで、そのまま引き継げます。3ステップで、通常その場で使い始められます。

    1
    テスターグループに参加する

    お使いのGoogleアカウントで参加ボタンを押すだけです。承認を待つ必要はありません。

    参加ページを開く
    2
    テスト版を受け取る

    手順1と同じGoogleアカウントでログインしたAndroid端末で受け取りページを開き、「テスターになる」を押してGoogle Playからインストールします。

    受け取りページを開く
    3
    いつものアカウントでログインする

    Web版と同じメールアドレス・パスワードでログインすれば、学習記録がそのまま表示されます。

    「まだご利用いただけません」と表示された場合は、反映待ちの可能性があります。時間をおいて再度お試しいただくか、info@takken-bootlab.com までお知らせください。