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宅建業法47条の禁止行為|業務上の規制を整理

宅建業法 読了 約27分

宅建業法47条と47条の2が禁じる行為を条文ごとに整理。故意の不告知・不実告知、不当に高額な報酬の要求、手付の信用供与、断定的判断の提供、威迫、施行規則16条の11の勧誘規制を解説します。

目次

    この記事は、宅地建物取引業法47条と47条の2が定める業務上の禁止行為を、条文の号ごとに分けて整理する記事です。宅建業法という科目の全体像から確認したい場合は宅建業法とは?試験で20問出題される最重要科目を徹底解説を、違反したときにどの罰則が適用されるかを条文単位で確認したい場合は宅建業法の罰則一覧|懲役・罰金の金額を整理を先に見ておくと、本記事の位置づけがはっきりします。

    結論を先に述べます。47条と47条の2は「似た条文が二本並んでいる」ように見えますが、両者は名宛人も、禁止される行為の性質も、違反したときの効果も違います。47条は業者を名宛人とし、内容が悪質であることから刑事罰まで用意されている規定です。47条の2は業者だけでなく従業者まで名宛人を広げ、勧誘の方法そのものを規制する規定で、罰則は置かれていません。この「誰に対する規定か」「刑罰があるか」の二軸を最初に固定しておくと、細かい号の中身は後から乗せられます。

    業務上の規制はどこに置かれているか

    31条の信義誠実義務から始まる

    宅建業法は、業者の業務についてまず一般的な義務を置いています。31条1項は、宅地建物取引業者は取引の関係者に対し、信義を旨とし、誠実にその業務を行わなければならないと定めています。これは理念を示した規定で、これだけを根拠に個別の行為が違法になるわけではありません。

    その先に、具体的な禁止行為の条文が並びます。誇大広告等の禁止(32条)、広告開始時期の制限(33条)、取引態様の明示(34条)、重要事項の説明(35条)、契約締結時期の制限(36条)、書面の交付(37条)と続き、そのあとに不当な履行遅延の禁止(44条)、秘密を守る義務(45条)、報酬の額の制限(46条)が置かれ、47条と47条の2に至ります。

    この並び方には意味があります。32条から37条までは、取引の各段階で「やるべきこと」と「やってはいけないこと」を場面ごとに定めた規定群です。これに対して47条と47条の2は、場面を限定せず、業務全般に及ぶ横断的な禁止規定として置かれています。広告の場面でも、勧誘の場面でも、契約後の場面でも働くという点が、この二本の条文の特徴です。広告段階の規制は広告に関する規制|誇大広告の禁止と広告開始時期で扱っています。

    47条と47条の2は何が違うのか

    47条の名宛人は宅地建物取引業者です。禁止されるのは、故意に事実を告げないこと、不当に高額の報酬を要求すること、手付について信用を供与して契約を誘引することの三つで、いずれも悪質性が高いと評価され、刑事罰が用意されています。

    47条の2の名宛人は「宅地建物取引業者等」です。条文はこれを、宅地建物取引業者またはその代理人、使用人その他の従業者と定義しています。つまり、会社そのものだけでなく、現場で電話をかけている従業員個人も名宛人になります。禁止されるのは、断定的判断の提供、威迫、そして国土交通省令が定める不当な勧誘行為で、こちらには罰則の定めがありません。

    この差は、試験でそのまま問われます。「47条の2に違反した従業者は2年以下の拘禁刑に処せられる」という記述は、名宛人の点では正しくても、罰則がないという点で誤りになります。逆に「47条は業者に対する規定なので、従業者が行った不実告知について業者が問われることはない」という記述も、業者の業務としてなされた以上は業者の違反として扱われるため、成り立ちません。

    保護されるのは「相手方等」

    47条の柱書は「宅地建物取引業者は、その業務に関して宅地建物取引業者の相手方等に対し、次に掲げる行為をしてはならない」と定めています。三つの号に入る前に、柱書が二つの限定を置いているということです。業務に関してなされたものであること、そして相手方等に対してなされたものであること。私生活上の行為や、取引に関係のない第三者に向けられた行為は、この条文では捉えません。

    そのうえで、保護の対象である「宅地建物取引業者の相手方等」ですが、この語を定義しているのは47条ではありません。35条1項の柱書が「宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)」と定義しており、47条はその定義語を借りています。

    並んでいる三つの類型を正確に読んでください。業者と直接取引する相手方、業者に代理を依頼した者、そして業者が媒介する取引の各当事者です。二番目は「代理を依頼した者」であって「代理人」ではありません。業者に代理を頼んだ本人のことです。

    定義が35条に置かれているという事実自体にも意味があります。説明を受けるべき立場にある者が、そのまま嘘をつかれない立場にもなるという設計です。35条と47条は同じ人を見ています。名宛人を軸にした横断整理は宅建業者の説明義務にあります。

    業者間取引でも適用される

    ここから重要な帰結が出ます。相手方が宅地建物取引業者であっても、47条の適用は免れません。

    適用除外を定める78条2項は「第三十三条の二及び第三十七条の二から第四十三条までの規定は、宅地建物取引業者相互間の取引については、適用しない」と定めています。列挙されているのはいわゆる8種制限であって、47条も47条の2も入っていません。

    条番号は正確に持ってください。33条の2(自己の所有に属しない宅地建物の売買契約締結の制限)が先頭に単独で挙がり、そこから37条の2(クーリング・オフ)以下43条までが続く、という二段構えの書き方です。「78条2項が適用除外としているのは37条の2から43条まで」とだけ覚えると、先頭の33条の2が抜けます。8種制限の適用除外については8種制限が「適用されない」ケース|業者間取引の特例で詳しく扱っています。

    「宅建業者間の取引であるから、故意に事実を告げなくても47条違反にはならない」という選択肢は誤りです。プロ同士だから保護は不要という発想は、47条には持ち込まれていません。

    47条1号 故意の不告知・不実告知

    二つの場面で働く

    47条1号が禁じているのは、一定の事項について、故意に事実を告げず、または不実のことを告げる行為です。適用される場面が二つある点を最初に押さえてください。

    第一に、宅地建物の売買・交換・貸借の契約の締結について勧誘をするに際しての場面です。契約前の段階が捕捉されます。第二に、契約の申込みの撤回もしくは解除、または宅地建物取引業に関する取引により生じた債権の行使を妨げるための場面です。こちらは契約が成立した後の段階を捕捉しています。

    つまり47条1号は、契約前だけの規定ではありません。「クーリング・オフはもうできない」と嘘を言って申込みの撤回を妨げる行為は、契約締結後の行為ですが、この号にまっすぐ当たります。クーリング・オフの要件そのものはクーリング・オフ制度|宅建業法の8種制限を事例で解説で確認できます。

    対象となる事項の広さ

    告げないこと・嘘を言うことが禁じられる事項は、条文がイからニまでの四つに分けて示しています。

    イは35条1項各号または2項各号に掲げる事項、つまり重要事項説明の対象事項です。ロは35条の2各号に掲げる事項で、供託所等に関する説明の対象です。ハは37条1項各号または2項各号に掲げる事項、すなわち契約書面の記載事項です。

    ハには除外の括弧書きが付いている点に注意してください。条文は「第三十七条第一項各号又は第二項各号(第一号を除く。)に掲げる事項」と書いています。除かれている37条2項1号は「前項第一号、第二号、第四号、第七号、第八号及び第十号に掲げる事項」という規定で、貸借の契約書面について1項の号を引用しているだけのものです。ハがすでに1項各号を掲げている以上、重ねて挙げる必要がないための整理であり、実質的に対象が狭まっているわけではありません。条文を書き写すときに落としやすい部分です。

    そしてニが受け皿になっています。イからハまでに掲げるもののほか、宅地建物の所在、規模、形質、現在または将来の利用の制限、環境、交通等の利便、代金や借賃等の対価の額や支払方法その他の取引条件、または業者や取引の関係者の資力もしくは信用に関する事項であって、相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるものが対象になります。

    このニの存在によって、35条書面や37条書面に列挙されていない事柄でも、判断に重要な影響を及ぼすものであれば47条1号の対象に入ります。35条書面の記載事項は35条書面の記載事項を完全網羅|売買・賃貸の違いも整理、37条書面の記載事項は37条書面の記載事項|必要的記載と任意的記載の違いで整理しています。

    「故意に」が外せない要件

    47条1号には「故意に」という主観的要件があります。事実を知りながらあえて告げなかった、あるいは事実と異なることを知りながら述べた、という状態が必要です。

    調査を尽くしたけれども知り得なかった事実を告げなかった場合は、この号には当たりません。過失によって説明が漏れた場合も同じです。もっとも、それで責任が消えるわけではなく、35条の説明義務違反として監督処分の対象になり得ますし、民事上の責任は別に判断されます。説明義務の全体像は宅建業者の説明義務まとめ|告知すべき事項と違反の効果にまとめています。

    試験では、この「故意に」を外して出題されることがあります。「重要な事実を告げなかった業者は、過失であっても47条1号違反となる」という選択肢は誤りです。条文の主観的要件を落とさずに読む習慣が、そのまま得点になります。

    人の死に関する事案との関係

    47条1号ニの「相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの」には、物件で人が亡くなったという事案も含まれ得ます。国土交通省は令和3年10月8日に「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を公表し、どのような場合に告げる必要があるかについての考え方を示しました。この論点は心理的瑕疵と告知義務|人の死のガイドラインで詳しく扱います。

    同ガイドラインは、そこで示した対応を行わなかった場合、そのことだけをもって直ちに宅地建物取引業法違反となるものではないとしつつ、トラブルとなった場合には行政庁における監督に当たって参考にされるとしています。47条1号は刑事罰の入口でもあるため、実務でも試験でも、まず条文の要件に当てはめて考える姿勢が求められます。

    47条2号 不当に高額の報酬を要求する行為

    「要求」した時点で成立する

    47条2号は、不当に高額の報酬を要求する行為を禁じています。条文の動詞は「要求する」であって、「受け取る」ではありません。ここが決定的です。

    実際に受け取らなくても、要求しただけで違反が成立します。相手方が拒否して支払わなかった場合でも同じです。「業者が上限の何倍もの報酬を要求したが、依頼者が拒んだため受領しなかったので47条2号違反にはならない」という選択肢は誤りになります。

    46条2項との区別

    紛らわしいのが46条です。46条1項は、宅地建物取引業者が宅地建物の売買・交換・貸借の媒介や代理に関して受けることのできる報酬の額を国土交通大臣が定めるとし、2項は業者がその額を超えて報酬を受けてはならないと定めています。

    46条2項は「受けて」はならない規定なので、実際に受領して初めて違反になります。これに対し47条2号は要求だけで違反です。また、46条2項は上限を1円でも超えれば形式的に成立するのに対し、47条2号は「不当に高額」という悪質性の高い場面を捉えています。

    罰則の重さも違います。47条2号違反は1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはこれらの併科(80条)であるのに対し、46条2項違反は100万円以下の罰金(82条2号)です。要求しただけのほうが重く、実際に受領したほうが軽いという逆転に見えますが、行為の悪質性の差を反映した仕組みだと理解すれば納得できます。報酬額の計算ルールそのものは報酬額の制限|仲介手数料の計算方法と上限額にまとめています。

    実際に受領した場合はどうなるか

    不当に高額の報酬を要求し、かつ実際に上限を超えて受領した場合は、47条2号と46条2項の双方の問題になり得ます。試験では「どちらか一方しか成立しない」という前提の選択肢が出ることがありますが、条文の要件をそれぞれ別に検討すれば、両方に当たる場面があると分かります。

    なお、報酬とは別に、依頼者の依頼によって行う広告の料金や、依頼者の特別の依頼による支出で事前に承諾を得たものは、上限とは別に受け取ることができるとされています。これは報酬額の規制の話であり、47条2号の「不当に高額の報酬」の判断とは切り分けて考えてください。

    47条3号 手付についての信用の供与

    禁じられているのは信用の供与による誘引

    47条3号は、手付について貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為を禁じています。手付を用意できない相手に業者が資金面の便宜を図り、それによって契約させることを封じる規定です。

    条文の構造は「信用の供与をすること」と「それにより契約の締結を誘引すること」の組み合わせです。したがって、契約が現に締結されたかどうかは要件になっていません。誘引する行為があれば足ります。「手付金の分割払いを提案したが、相手方が申込みをしなかったので違反にならない」という記述は、条文の文言と合いません。

    何が「信用の供与」に当たるか

    信用の供与とは、相手方の支払能力を業者が補うことです。典型は手付金の貸付けですが、それだけではありません。手付金を分割で支払わせること、支払を後日に猶予すること、手付金の代わりに約束手形を受け取ることも、いずれも支払を先延ばしにして業者が信用を与える形になっています。

    これに対して、手付金の額そのものを引き下げることは、条文が挙げる「貸付けその他信用の供与」には当たらないと考えられます。額を下げるのは支払を猶予することでも立て替えることでもなく、業者が相手方に信用を与える構造になっていないからです。手付金の額の制限そのものは手付金の制限|手付の額と手付解除の条件で扱っています。

    条文の文言から考えるという手順が、この号では特に有効です。迷ったら「支払をあとに回してあげているか」を自問してください。あとに回していれば信用の供与、額を減らしているだけなら信用の供与ではない、という切り分けになります。

    8種制限の手付規制との違い

    手付については、8種制限の側にも規定があります。39条1項は、業者が自ら売主となる売買契約において、代金の額の10分の2を超える手付を受領できないと定め、2項は受領した手付を解約手付とみなしています。

    39条は「自ら売主」の場面に限定され、相手方が業者であれば適用されません(78条2項)。これに対して47条3号は、自ら売主かどうかを問わず、媒介や代理でも適用され、相手方が業者でも適用されます。同じ手付をめぐる規定でも、適用範囲がまったく違うという対比になります。8種制限の全体像は8種制限を完全攻略|自ら売主制限の全8項目を解説で確認できます。

    47条の2 断定的判断の提供と威迫

    1項 利益が確実だと誤解させる断定的判断

    47条の2第1項は、宅地建物取引業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、相手方等に対し、利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為を禁じています。

    ここでいう断定的判断は、将来の不確実な事項について確実にこうなると言い切ることです。「この物件は数年で必ず値上がりします」「家賃収入で確実にローンを返済できます」といった発言が典型です。実際に値上がりしたかどうかは関係ありません。禁じられているのは、不確実なことを確実だと誤解させる言い方そのものです。

    47条1号との違いを押さえてください。47条1号は「事実」について嘘を言うことや黙っていることを禁じる規定で、故意が必要です。47条の2第1項は「将来の見通し」について確実だと誤解させることを禁じる規定で、条文に故意という文言はありません。過去の事実か将来の予測か、という対象の違いで整理すると混ざりません。

    もう一点、場面の限定が1項と2項で違います。1項は「契約の締結の勧誘をするに際し」だけを捉えており、申込みの撤回や解除を妨げる場面は入っていません。次に見る2項は、締結させる場面と撤回・解除を妨げる場面の両方を捉えています。断定的判断の提供は勧誘段階限定、威迫は勧誘段階と撤回・解除の妨害段階の両方。同じ条文の第1項と第2項で射程が違うので、ここを揃えて覚えると誤ります。

    2項 威迫の禁止

    47条の2第2項は、宅地建物取引業に係る契約を締結させ、または契約の申込みの撤回もしくは解除を妨げるため、相手方等を威迫してはならないと定めています。

    威迫は、脅迫に至らない程度の、相手を困惑させ不安を覚えさせる言動を指すものと理解されています。大声を出す、玄関先に長時間居座る、強い口調で契約を迫るといった行為が想定されます。刑法の脅迫罪のように、生命や身体に対する害悪の告知までは必要とされていません。

    適用の場面が二つある点は47条1号と同じ構造です。契約を締結させるための威迫と、申込みの撤回や解除を妨げるための威迫の両方が禁じられています。クーリング・オフを申し出た買主のもとに居座る行為は、後者に当たります。

    3項 国土交通省令への委任

    47条の2第3項は、1項と2項に定めるもののほか、契約の締結に関する行為または申込みの撤回もしくは解除の妨げに関する行為であって、相手方等の利益の保護に欠けるものとして省令で定めるものをしてはならないと定めています。

    条文をそのまま読むと、委任が二本立てになっていることが分かります。「第35条第1項第14号イに規定する宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護に欠けるものとして国土交通省令・内閣府令で定めるもの」と、「その他の宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護に欠けるものとして国土交通省令で定めるもの」の二つです。前者が内閣府との共管、後者が国土交通省の単独です。

    受け皿となる施行規則16条の11の見出しも、これに対応して「法第四十七条の二第三項の国土交通省令・内閣府令及び同項の国土交通省令で定める行為」となっています。

    前者が共管になっているのは、引用先の35条1項14号イが「事業を営む場合以外の場合において宅地又は建物を買い、又は借りようとする個人である宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護に資する事項」を対象としているからです。消費者としての個人を保護する部分だけが内閣府との共管で、それ以外(同号ロ)は国土交通省令の単独になっています。35条1項14号自体がこのイ・ロの二段構えになっており、47条の2第3項はその区分をそのまま引き継いでいます。

    試験で委任の二本立てそのものが問われることはまずありませんが、「47条の2第3項と規則16条の11が一組」という対応だけは覚えておいてください。この構造を知らないと、規則の内容が突然出てきたように見えてしまいます。

    施行規則16条の11が定める不当な勧誘行為

    第1号 勧誘に際しての六つの行為

    規則16条の11第1号は、契約の締結について勧誘をするに際しての行為として、イからヘまでの六つを挙げています。

    イは、将来の環境または交通その他の利便について、誤解させるべき断定的判断を提供することです。法47条の2第1項が「利益を生ずることが確実である」という点についての断定的判断を禁じているのに対し、規則のイは環境や利便についての断定的判断を捉えています。「数年後にここに駅ができます」「目の前に大型商業施設ができることが決まっています」といった言い方が該当します。法律と規則で対象がずれている点が、この二つを比べる出題の的になります。

    ロは、正当な理由なく、当該契約を締結するかどうかを判断するために必要な時間を与えることを拒むことです。「今日中に決めてもらわないと他の人に回します」と迫り、持ち帰って検討する時間を与えない行為が想定されます。

    ハは、宅地建物取引業者の商号または名称、勧誘を行う者の氏名、勧誘をする目的である旨を告げずに勧誘を行うことです。名乗らずに電話をかけ、アンケートを装って勧誘に入るような行為を封じる規定で、勧誘に先立って三点を告げることが求められます。何を告げるかを三つとも言えるようにしておいてください。

    ニは、相手方等が契約を締結しない旨の意思を表示したにもかかわらず、勧誘を継続することです。断られた後の再勧誘の禁止で、この意思表示には、その勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思も含まれます。「もう電話しないでほしい」と言われた後にかけ直す行為が典型です。

    ホは、迷惑を覚えさせるような時間に電話し、または訪問することです。深夜や早朝の連絡が想定されますが、条文は時刻を数字で区切っていません。何時から何時までと覚えようとすると、かえって崩れます。

    ヘは、深夜または長時間の勧誘その他の私生活または業務の平穏を害するような方法により、その者を困惑させることです。ホが時間帯に着目するのに対し、ヘは長時間拘束することや業務を妨げることに着目しています。

    第2号 預り金の返還拒否

    規則16条の11第2号は、相手方等が契約の申込みの撤回を行うに際し、既に受領した預り金を返還することを拒むことを禁じています。

    申込証拠金や預り金は、契約が成立していない段階で預かった金銭です。申込みを撤回するのであれば返すのが筋であり、返還を拒んで撤回を思いとどまらせる行為が封じられています。「手付金ではないから返さなくてよい」という発想が通らないことを確認してください。

    なお、クーリング・オフの規定(37条の2)とは適用場面が違います。クーリング・オフは業者が自ら売主となる場合の8種制限の一つで、事務所等以外の場所での申込みなどの要件があります。規則16条の11第2号にはそうした限定がなく、媒介の場面でも働きます。

    第3号 手付放棄による解除の妨害

    規則16条の11第3号は、相手方等が手付を放棄して契約の解除を行うに際し、正当な理由なく、当該契約の解除を拒み、または妨げることを禁じています。

    民法557条1項は、相手方が契約の履行に着手するまでは、買主は手付を放棄して契約を解除できると定めています。宅建業法39条2項は、業者が自ら売主となる場合に受領した手付を解約手付とみなしており、手付解除ができる状態を作り出しています。その解除を業者が拒むことは、制度の趣旨を裏切る行為なので、規則で明文の禁止行為とされているわけです。

    古い教材では、これらの規定が施行規則16条の12として紹介されていることがあります。現行の規則では16条の11に置かれているので、条番号を書き写すときは注意してください。

    違反したらどうなるか

    47条の三つの号は罰則の条文が違う

    47条に違反した場合の刑事罰は、号ごとに条文が分かれています。

    1号の故意の不告知・不実告知は79条の2により、2年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはこれらの併科です。2号の不当に高額の報酬の要求は80条により、1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはこれらの併科です。3号の手付の信用供与による誘引は81条2号により、6月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはこれらの併科です。

    号が進むほど軽くなる、という並びになっています。1号が嘘、2号が高額報酬の要求、3号が手付の信用供与という中身も、悪質さの順に並んでいるので納得しやすいはずです。罰則の全体像は宅建業法の罰則一覧|懲役・罰金の金額を整理で条文単位に整理しています。

    なお刑の名称については、刑法の改正により懲役と禁錮が拘禁刑に一本化され、令和7年6月1日から施行されています。古い教材の「2年以下の懲役」という表記は、現在は「2年以下の拘禁刑」と読み替えることになります。この改正は宅建業法の欠格事由の表記にも及んでいるので、拘禁刑の創設と欠格事由もあわせて確認しておくと安全です。

    法人に対する両罰規定

    宅建業法84条は、法人の代表者や代理人、使用人その他の従業者が、その法人の業務に関して違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対しても罰金刑を科すと定めています。

    重要なのは、84条が二つの号で金額を書き分けていることです。1号が「第七十九条又は第七十九条の二」について1億円以下の罰金刑2号が「第八十条又は第八十一条から第八十三条まで」について各本条の罰金刑です。

    つまり法人に1億円が科されるのは、79条(無免許営業や名義貸しなど)と79条の2、すなわち47条1号違反の場合だけです。同じ47条でも、2号(80条)と3号(81条2号)は84条2号に落ちるので、法人に科される罰金は各本条どおり100万円以下にとどまります。行為者個人の罰金上限が300万円であるのに対し、1号違反の法人には桁違いの金額が用意されているという構造です。

    47条の中でも1号だけが1億円のグループに入る。この一点を押さえておけば、罰則の問題で迷いません。

    47条の2に罰則はない

    これに対して、47条の2に違反しても刑事罰はありません。規則16条の11に定める行為をした場合も同じです。罰則の代わりに働くのが監督処分です。

    根拠条文まで確認しておきます。65条2項2号は、業務停止を命じることができる場合として違反条文を列挙しており、その中に47条と47条の2の両方が名指しで入っています。そして66条1項9号が、65条2項各号のいずれかに該当し情状が特に重いとき、または業務停止処分に違反したときを免許取消しの事由としています。

    つまり、罰則がない47条の2でも、業務停止から免許取消しまでの経路は47条とまったく同じです。監督処分の側では二つの条文が並列に扱われている、ということです。監督処分の種類と手続は監督処分と罰則|指示・業務停止・免許取消の違いで扱っています。

    罰則がないことは、規制が弱いことを意味しません。業務停止処分は期間中の営業ができなくなる処分であり、事業への影響という点では罰金より重いことすらあります。「罰則がない=処分もない」と読み替えないよう注意してください。

    試験での出題ポイント

    主語と場面をすり替える出題

    この分野で最も多いのは、条文の主語や場面を静かに入れ替える出題です。「47条の2は宅地建物取引業者に対する規定であり、従業者個人は名宛人ではない」という記述は、条文が業者等として従業者まで含めている点で誤りです。逆に「47条は業者だけでなく従業者も名宛人としている」という記述も、条文の書き方と合いません。

    場面のすり替えもよく使われます。47条1号は勧誘の場面だけでなく、申込みの撤回・解除や債権の行使を妨げる場面にも及びます。「契約締結後の行為には47条1号の適用がない」という選択肢は誤りです。

    「要求」か「受領」かの言い換え

    47条2号は要求で成立し、46条2項は受領で成立します。ここを入れ替えた選択肢は定番です。「不当に高額の報酬を要求したが受領しなかったので違反ではない」は誤り、「上限を超える報酬を要求したにとどまり受領していないので46条2項違反にはならない」は正しい、という具合に、どちらの条文の話をしているのかを最初に確定させてください。

    同じ発想は47条3号にもあります。3号は誘引で成立するので、契約が締結されたかどうかは問いません。動詞に線を引く読み方が、この分野の得点を安定させます。

    業者間取引でも適用されるか

    8種制限は業者間の取引には適用されません(78条2項)。この知識が強く刷り込まれていると、47条や47条の2も業者間では働かないと考えてしまいがちです。しかし78条2項が適用除外としているのは8種制限(37条の2から43条まで)であって、47条や47条の2は含まれていません。

    「買主が宅地建物取引業者である場合、売主業者が故意に重要な事実を告げなかったとしても47条1号違反にはならない」という選択肢は誤りです。適用除外の範囲を条文で確認しておくことが、この型への対処になります。

    罰則の有無を入れ替える出題

    罰則が置かれていない条文はいくつかありますが、その中でも47条の2は47条と隣り合っているため狙われます。「47条の2に違反した場合、6月以下の拘禁刑に処せられる」という記述は誤りです。

    逆に、47条1号違反について「監督処分の対象にはなるが刑事罰の定めはない」とする記述も誤りです。罰則があるかないかは、条文ごとに記憶するしかない知識です。47条は三つの号すべてに罰則があり、47条の2にはない、という一対の形で覚えると効率がよくなります。

    規則16条の11の細部

    規則の内容は、六つの行為すべてを丸暗記しなくても対応できます。実際の出題では、勧誘に先立って告げるべき三点(商号または名称、勧誘者の氏名、勧誘の目的)や、断られた後の再勧誘の禁止といった、輪郭のはっきりした部分が問われる傾向があります。

    注意したいのは、時間帯を数字で問う形の選択肢です。規則は「迷惑を覚えさせるような時間」と書いているだけで、午後9時から午前8時までといった具体的な時刻を定めていません。数字が出てきたら、条文にその数字があるかを疑ってください。宅建業法に出てくる数字の整理は宅建業法の数字まとめ|期間・金額・人数の暗記一覧にまとめてあります。

    覚え方・整理の仕方

    二本の条文を二つの質問で分ける

    47条か47条の2かを判断するときは、二つの質問を順に投げます。第一の質問は「嘘・高額報酬・手付、のどれかの話か」です。この三つのいずれかなら47条です。第二の質問は「勧誘のやり方の話か」です。断定的判断、威迫、しつこい電話といった勧誘の方法の話なら47条の2です。

    内容で分けると、名宛人と罰則も自動的に決まります。47条なら名宛人は業者で罰則あり、47条の2なら名宛人は従業者まで含み罰則なし、という対応です。三つの要素を別々に暗記するのではなく、内容から芋づる式に引き出す形にしておくと、本番で崩れません。

    47条の三つの号を悪質さの順に並べる

    47条は1号から3号に向かって罰則が軽くなります。2年以下(79条の2)、1年以下(80条)、6月以下(81条2号)という順です。中身も、嘘をつく、法外な報酬を求める、手付の支払を待ってあげる、という順に悪質性が下がっていきます。

    数字だけを覚えようとすると、誇大広告等の禁止(32条)の6月以下と混ざります。誇大広告も81条にまとめられているので、「6月以下のグループに誇大広告と手付の信用供与が同居している」という形で押さえておくと、混乱しにくくなります。

    規則16条の11は場面で束ねる

    規則の八つの行為(第1号のイからヘまでと、第2号、第3号)は、場面で三つに束ねられます。勧誘の最中の話が第1号、申込みを撤回するときの話が第2号、手付を放棄して解除するときの話が第3号です。

    第1号の中も、言い方の問題(イの断定的判断)、時間の問題(ロの検討時間、ホの時間帯、ヘの長時間)、名乗りの問題(ハ)、断られた後の問題(ニ)と分けられます。六つを一列に覚えるより、四つの束にしたほうが引き出しやすくなります。

    民法・消費者契約法と混ぜない

    断定的判断の提供や不退去による困惑は、消費者契約法にも取消原因として定められています。宅建試験で問われるのは宅建業法の禁止規定であり、効果も違います。宅建業法の禁止規定に違反しても、それだけで契約が当然に無効になったり取り消せるようになったりするわけではありません。

    行政上の規制と民事上の効力は別の平面にある、という理解が、この分野の応用問題を解く鍵になります。民法側の意思表示の瑕疵については意思表示の瑕疵|詐欺・強迫・錯誤・虚偽表示の違いで整理しています。

    隣接する規制との位置関係

    44条の不当な履行遅延の禁止

    44条は、宅地建物取引業者が、宅地もしくは建物の登記もしくは引渡しまたは取引に係る対価の支払を不当に遅延する行為をしてはならないと定めています。対象が登記・引渡し・対価の支払の三つに限定されている点が特徴で、それ以外の債務の履行遅延はこの条文の射程外です。

    44条違反には81条1号により、6月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはこれらの併科という罰則が用意されています。47条3号の罰則(81条2号)と同じ条文の中にあるので、罰則を整理するときは一緒に扱うと効率的です。81条1号には誇大広告等の禁止(32条)違反も同居しています。

    45条の守秘義務

    45条は、宅地建物取引業者は、正当な理由がある場合でなければ、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならないと定めています。業を営まなくなった後も同様であるとされており、廃業後も義務が続く点がよく問われます。

    守秘義務は47条1号の告知義務と緊張関係に立つことがあります。相手方の判断に重要な影響を及ぼす事項であれば告げる必要があり、そのときは45条の「正当な理由」があると評価される場面が出てきます。二つの条文が衝突するのではなく、告げるべき場面では告げることが正当化される、という関係で理解してください。

    34条の取引態様の明示

    34条は、業者が広告をするときと注文を受けたときに、自己が契約の当事者となるか、代理をするか、媒介をするかの別を明示しなければならないと定めています。この規定には罰則がなく、監督処分で対応されます。

    47条の2と同じく「罰則のない規定」として整理しておくと、罰則の有無を問う出題に強くなります。取引態様の明示の細かい要件は取引態様の明示義務|売主・代理・媒介の違いで扱っています。

    理解度チェッククイズ

    Q1. 宅建業者が、故意に重要な事実を告げなかった場合であっても、相手方が宅建業者であるときは47条1号の適用がない。○か×か。

    答えを見る ×。業者間取引について適用が除外されるのは37条の2から43条までの8種制限であり(78条2項)、47条は含まれていません。相手方が業者であっても47条1号は適用され、違反すれば79条の2により2年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金の対象になります。8種制限の適用除外の知識を、そのまま47条に持ち込まないことが要点です。

    Q2. 宅建業者が不当に高額の報酬を要求したが、相手方が支払を拒んだため受領しなかった場合、47条2号違反にはならない。○か×か。

    答えを見る ×。47条2号は「不当に高額の報酬を要求する行為」を禁じており、受領は要件になっていません。要求した時点で違反が成立します。実際に上限を超えて受領した場合に問題となるのは46条2項で、こちらは「受けて」はならないという規定なので受領が必要です。要求で成立するのが47条2号、受領で成立するのが46条2項、という区別で押さえてください。

    Q3. 宅建業者の従業者が、勧誘に際して相手方を威迫した場合、その従業者は6月以下の拘禁刑に処せられることがある。○か×か。

    答えを見る ×。威迫の禁止は47条の2第2項に定められていますが、47条の2には罰則の定めがありません。名宛人が「宅地建物取引業者等」とされ従業者も含まれる点は正しいものの、刑事罰は用意されておらず、業務停止処分などの監督処分で対応されます。47条には三つの号すべてに罰則があり、47条の2にはない、という対比が問われています。

    Q4. 宅建業者は、手付金について銀行から融資を受けることをあっせんした場合、そのことだけで47条3号違反となる。○か×か。

    答えを見る ×と考えられます。47条3号が禁じるのは「貸付けその他信用の供与」により契約の締結を誘引する行為です。業者自身が手付を貸し付けたり、分割払いや後払いを認めたり、約束手形を受け取ったりする行為は、支払を先送りにして業者が信用を与えるものとして規制の対象になります。これに対し、第三者である金融機関から融資を受けられるよう手続を案内すること自体は、業者が相手方に信用を供与する構造になっていません。条文の文言に沿って、業者が支払を待ってあげているかどうかで判断してください。

    Q5. 宅建業者は、勧誘に先立って、自らの商号または名称、勧誘を行う者の氏名、および勧誘をする目的である旨を告げなければならない。○か×か。

    答えを見る ○。宅地建物取引業法施行規則16条の11第1号ハは、これらを告げずに勧誘を行うことを禁止行為として定めています。根拠は法47条の2第3項の委任です。告げるべき事項は三つで、会社名だけでも、勧誘目的だけでも足りません。なお、この規定に違反しても罰則はなく、監督処分の対象となります。

    まとめ

    47条と47条の2は、条番号が隣り合っているために一つの塊に見えますが、性格の違う二本の条文です。47条は業者を名宛人とし、故意の不告知・不実告知(1号)、不当に高額の報酬の要求(2号)、手付についての信用の供与による誘引(3号)を禁じ、それぞれ79条の2、80条、81条2号という罰則が対応しています。号が進むほど刑が軽くなるという並びで覚えると、罰則の記憶が安定します。

    47条の2は、業者だけでなく代理人・使用人その他の従業者まで名宛人とし、利益が確実だと誤解させる断定的判断の提供(1項)、威迫(2項)、そして省令が定める不当な勧誘行為(3項、規則16条の11)を禁じます。こちらには罰則がなく、監督処分で対応されます。

    条文を読むときは動詞に線を引いてください。47条2号は「要求する」、46条2項は「受ける」、47条3号は「誘引する」です。結果が発生したかどうかを問わない条文が多く、そこを入れ替えた選択肢が繰り返し出題されています。また、8種制限の業者間取引の適用除外(78条2項)は47条には及ばないという点も、混同しやすい急所です。

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    読んだ内容を、宅建業法の肢で確かめる

    宅建業法は20問と配点が最も大きく、確実に得点したい科目です。免許制度・重要事項説明・8種制限を肢別で固めましょう。

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