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宅建業法の数字まとめ|混同しない覚え方で整理

宅建業法 読了 約52分

宅建業法に出てくる期間・金額・割合・人数・項目数の数字を、同じ数字どうしで束ねて整理します。なぜその数字なのかを制度の目的から説明し、取り違えるとどう間違うかまで条文番号つきで解説します。

目次

    本記事は、宅建業法に登場する数字を、同じ数字どうしで束ねて整理したものです。科目の骨組みは宅建業法の全体像、論点ごとの精度の上げ方は宅建業法で18問以上取るにまとめてあります。本記事は数字そのものを扱います。

    数字の一覧を眺めても覚えられないのは、数字が単独では意味を持たないからです。宅建業法の数字は、その制度が誰を守るためにあるのかとセットにすると、忘れても復元できます。 営業保証金が1,000万円で分担金が60万円なのは、前者が単独で弁済原資を用意するのに対し後者は多数の業者で分担するからです。保全措置の閾値が未完成物件で5パーセント、完成物件で10パーセントと違うのは、未完成物件のほうが引渡し前に業者が倒産したときの損害が大きいからです。以下、この形で数字を並べます。

    数字を覚える前に、混同の型を知る

    取り違えは「同じ数字どうし」で起きる

    宅建業法の失点で多いのは、まったく知らない数字が出てくることではなく、覚えている数字を別の制度に当ててしまうことです。5年という数字は免許の有効期間にも宅建士証の有効期間にも欠格期間にも帳簿の保存期間にも出てきますし、2週間という数字は営業保証金の不足額の供託にも専任宅建士の補充にも還付充当金の納付にも出てきます。

    したがって、制度ごとに数字を覚えるやり方は効率が悪くなります。制度ごとに覚えると、試験で「2週間以内」という肢を見たときに、どの制度の2週間なのかを判断する材料がありません。同じ数字が出てくる制度を先に束ねておけば、「2週間が出てくるのはこの6つ」という形で確認できます。

    もう1つ重要なのは、選択肢の作られ方です。宅建業法の数字問題は、条文から数字だけを抜き出して別の値に差し替えるという方法で量産されています。差し替えの材料は、多くの場合その科目のなかに実在する別の数字です。ですから、実在する数字の一覧を持っていない受験者は、差し替えられた数字を見ても「見覚えがある」としか感じられません。一覧を持っていれば、「その数字はここには出てこない」あるいは「その数字は別の制度のものだ」という判定ができます。表現から論点を逆引きする視点は宅建の引っかけ表現パターンにまとめてあります。

    数字には四つの種類がある

    第一に期間の数字です。有効期間、届出の期限、保存期間、報告の頻度がこれにあたります。期間の数字は、起算点とセットでないと意味を持ちません。「30日以内」だけを覚えても、いつから30日なのかを知らなければ肢の正誤は判断できません。

    第二に金額と割合の数字です。供託額、分担金、報酬の料率、8種制限の割合がこれにあたります。金額と割合は、その水準が誰の保護のために置かれているかを考えると、大小関係を間違えなくなります。

    第三に人数の数字です。専任の宅建士の設置基準がほぼこれだけで、数は少ないものの毎年のように問われます。

    第四に、意識されにくいのが項目の個数を数える数字です。重要事項説明で説明すべき事項が何項目あるか、8種制限が何項目あるか、宅建士の独占業務が何個あるか。これらは条文に「10項目」と書いてあるわけではなく、号を数えた結果として出てくる数字です。だからこそ、条文が改正されて号が1つ増えると、数え上げた結果だけが静かにずれます。令和8年度の試験ではまさにこの型の変化が起きているので、独立した節を立てて扱います。

    以下、この4種類を数字の値ごとに束ねていきます。値ごとに束ねる理由は、試験の選択肢が値の入れ替えで作られるからです。

    数字の基準日は令和8年4月1日である

    宅建試験は、その年度の4月1日現在で施行されている法令から出題されます。令和8年度(2026年10月18日実施)であれば2026年4月1日時点の条文が基準であり、受験のあとに施行された改正は範囲に入りません。数字の記事にとってこれは死活的です。数字は改正で最も動きやすい要素だからです。

    令和8年度の範囲で、宅建業法まわりの数字に実際に影響したのは、宅地建物取引業法施行規則16条の2に第9号が新設されたこと(令和7年内閣府令・国土交通省令第2号、2026年4月1日施行)です。区分所有建物の重要事項説明事項が9項目から10項目になり、それまでの第9号が第10号に繰り下がりました。一方、宅地建物取引業法という法律本体は令和7年法律第68号による改正が同じ2026年4月1日に施行されていますが、本則の第1条から第86条までに実体的な差分はなく、附則が付加されただけです。法律が「改正された」という情報だけを見て条文の数字を書き換えてはいけない、という典型例になっています。年度全体の改正整理は令和8年度に影響する法改正まとめ、宅建業法に限った改正の履歴は宅建業法の改正ポイントにあります。

    「5年」が出てくる数字

    免許の有効期間5年と、更新の90日前・30日前

    宅地建物取引業の免許の有効期間は5年です(業法3条2項)。更新の申請は、有効期間が満了する日の90日前から30日前までの間に行います(業法3条3項、施行規則3条)。この90日と30日の組み合わせは、期限が2つ並ぶために入れ替えられやすく、「30日前から10日前まで」といった肢が作られます。90日前より早く出すこともできない点も押さえてください。

    更新の申請をしたのに満了日までに処分がされないときは、従前の免許が処分がされるまでの間なお効力を有します(業法3条4項)。ここで注意すべきは、そのあとに更新がされた場合の有効期間の起算点です。業法3条5項は、更新後の免許の有効期間を「従前の免許の有効期間の満了の日の翌日から起算する」と定めています。つまり、行政の処分が2か月遅れたからといって、次の5年が2か月分後ろにずれるわけではありません。空白期間を営業できたぶん、実質的な期間は短くなります。「更新の処分がされた日から5年」という肢は誤りです。数字そのものより起算点を問う、という宅建業法の出題姿勢がよく出ている条文です。

    なお免許権者は事務所の分布だけで決まり、2以上の都道府県に事務所を設置するなら国土交通大臣、1つの都道府県のなかだけなら当該都道府県知事です(業法3条1項)。免許権者が誰かによって有効期間が変わることはありません。制度全体は宅建業の免許制度、登録制度との対比は宅建業の免許制度を横断整理にあります。

    宅建士証の5年と、登録に有効期間がないこと

    宅地建物取引士証の有効期間も5年です(業法22条の2第3項)。免許と同じ5年ですが、更新の手続はまったく別で、宅建士証の有効期間は「申請により更新する」とだけ書かれており(業法22条の3第1項)、免許のような申請期間の定めがありません。90日前から30日前まで、という数字を宅建士証の更新に持ち込むと誤ります。

    宅建士証の交付を受けるには、登録をしている都道府県知事が指定する講習で、交付の申請前6か月以内に行われるものを受講しなければなりません(業法22条の2第2項)。ただし試験に合格した日から1年以内に交付を受けようとする場合は受講が不要です。6か月と1年という2つの数字が同じ条文に並ぶので、ここも入れ替えの対象になります。この講習は更新のときにも必要で、業法22条の3第2項が22条の2第2項本文を準用しています。似た名前の講習が複数あるため、区別は宅建士の法定講習で確認してください。

    最も間違えやすいのが、宅地建物取引士の登録です。登録には有効期間がありません。 消除されない限り効力が続きます。5年なのは免許と宅建士証であって、登録ではありません。登録と宅建士証を別物として理解していないと、この肢で必ず落とします。合格後の手続の流れは宅建士の登録と宅建士証で確認できます。

    もう1つ、5年に見えて5年でないものがあります。登録の移転をすると、それまでの宅建士証は効力を失い(業法22条の2第4項)、移転先の知事が新しい宅建士証を交付します。このとき交付される宅建士証の有効期間は、業法22条の2第5項により「前の宅建士証の有効期間が経過するまでの期間」です。移転を機に5年がリセットされるわけではありません。移転すれば5年延びると考えていると、この肢を落とします。

    欠格期間の5年は起算点が四通りある

    免許の欠格事由に出てくる5年も、5年グループの一員です。ただし業法5条1項のなかで、5年の起算点は複数あります。

    刑罰による欠格は、拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年です(業法5条1項5号)。罰金刑でも欠格になりますが、対象となる罪は限定列挙で、宅建業法違反、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律違反、刑法204条(傷害)・206条(現場助勢)・208条(暴行)・208条の2(凶器準備集合等)・222条(脅迫)・247条(背任)、暴力行為等処罰に関する法律の罪に限られます(同項6号)。したがって、これ以外の罪で罰金に処せられても免許の欠格事由にはあたりません。拘禁刑への一本化が欠格事由の読み方に与えた影響は拘禁刑とはで扱っています。

    免許取消処分による欠格は、取消しの日から5年です(同項2号)。ただしすべての免許取消しが5年の欠格になるわけではなく、業法66条1項8号(不正の手段による免許取得、業務停止事由に該当し情状が特に重い、業務停止処分違反)または9号に該当することによる取消しに限られます。事務所の要件を欠いたことによる取消しなどは、この5年の対象になりません。

    さらに、廃業の届出による欠格が同項3号にあります。免許取消処分の聴聞の期日および場所が公示された日から、処分をする日または処分をしないことを決定する日までの間に廃業等の届出をした者は、届出の日から5年を経過するまで免許を受けられません。処分の直前に自ら廃業して5年の欠格を免れることを封じる規定です。

    最後に、業法5条1項8号の「免許の申請前5年以内に宅地建物取引業に関し不正または著しく不当な行為をした者」があります。ここでの5年は、処分や刑を起点にせず、申請の時点から遡って数えます。同じ5年でも、遡って数えるのはこの号だけです。系統別の整理は免許の欠格事由にあります。

    なお執行猶予がついた場合、猶予期間が満了すれば刑の言渡しが効力を失うため、その時点で欠格でなくなります。満了からさらに5年を待つ必要はありません。5年グループの中で、この1点だけは「5年ではない」答えになります。

    5年に付随する60日という数字

    業法5条1項2号のかっこ書には、5年とは別の数字が埋まっています。免許を取り消された者が法人である場合、その取消しに係る聴聞の期日および場所の公示の日前60日以内に当該法人の役員であった者も、取消しの日から5年を経過するまで免許を受けられません。同項4号にも同じ60日が出てきます。

    60日という数字は宅建業法のなかでここにしか出てきません。役員が処分の直前に辞任して欠格を免れることを封じるための期間です。宅建士の登録の欠格にも同じ60日が入っており(業法18条1項3号)、免許と登録で数字が揃えられています。「公示の日前30日以内」という差し替えが典型的な誤りの作り方です。

    宅建士の登録の欠格にも5年がある

    業法18条1項は、登録を受けられない者を12号にわたって並べています。5年が出てくるのは、免許取消しからの5年(3号)、廃業等の届出からの5年(4号)、拘禁刑以上の刑からの5年(6号)、限定列挙の罪による罰金からの5年(7号)、そして登録消除処分からの5年(9号・10号)です。

    登録消除処分からの5年は、免許側にはない登録固有の欠格です。不正の手段で登録を受けた、不正の手段で宅建士証の交付を受けた、事務禁止処分に違反したなどの理由で登録を消除されると、処分の日から5年間は登録を受け直せません(業法68条の2第1項2号から4号、18条1項9号)。

    また、免許と登録で扱いが分かれる点があります。営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者は、登録については本人が一律に欠格になります(業法18条1項1号)。これに対し免許では、法定代理人が欠格事由に該当しない限り免許を受けられます(業法5条1項11号の反対解釈)。人数でも期間でもありませんが、「一律か条件付きか」という形で数字の周辺に置かれる論点です。

    監督処分の条文に出てくる「5年以内」

    もう1か所、5年が出てくるのが業務停止処分の要件です。法人である宅建業者の役員または政令で定める使用人のうちに、業務の停止をしようとするとき以前5年以内に宅地建物取引業に関し不正または著しく不当な行為をした者があるに至ったときは、業務停止処分の対象になります(業法65条2項7号)。個人業者の政令使用人についても同様です(同項8号)。ここでも5年は処分時点から遡って数えます。監督処分の全体像は監督処分にあります。

    5年ではないもの

    従業者名簿の保存期間は10年で、5年ではありません。一方で帳簿の保存期間は原則5年です。この2つは並べて出題されるので、後述の保存期間の節でまとめて扱います。

    もう1つ、不正の手段で試験を受けた者に対する受験禁止の期間は3年以内であって5年ではありません(業法17条3項)。同条1項は合格の決定の取消しと受験の禁止を定め、2項は指定試験機関が知事の職権を行えることを定めており、3年以内という期間は3項に置かれています。条項番号まで問われることは少ないものの、「5年以内の期間を定めて受験を禁止できる」という差し替えは頻出です。

    登録講習機関の登録の有効期間も5年ではなく3年です(業法17条の6第1項、施行令2条の3)。5問免除の登録講習を実施する機関に関する数字で、5問免除(登録講習)が扱う範囲と接します。

    届出と申請の期限(30日・10日前・90日前)

    30日が出てくる四つの場面

    第一に、宅建業者名簿の登載事項に変更があったときの届出です。変更があった日から30日以内に届け出ます(業法9条)。対象は業法4条1項1号から5号までに掲げる事項、すなわち商号または名称、法人の役員および政令で定める使用人の氏名、個人業者本人および政令使用人の氏名、事務所の名称および所在地、事務所ごとに置かれる専任の宅地建物取引士の氏名です。同項6号の「他に事業を行っているときは、その事業の種類」は変更の届出の対象から外れており、資本金の額はそもそも申請書の記載事項ではありません。届出事項の範囲は宅建業者名簿と変更届にまとめてあります。

    第二に、廃業等の届出です(業法11条1項)。こちらも30日以内ですが、死亡の場合だけ起算点が違い、相続人が死亡の事実を知った日から30日以内になります。死亡の日からではありません。届出義務者も事由ごとに違い、死亡なら相続人、合併消滅なら法人を代表する役員であった者、破産手続開始の決定なら破産管財人、合併・破産以外の解散なら清算人、廃業なら業者であった個人または法人を代表する役員です。詳細は宅建業の廃業届で確認してください。

    免許が効力を失う時点も事由によって違います。破産・解散・廃業の3つは届出があったときに免許が失効します(業法11条2項)。死亡と合併消滅は同項に含まれておらず、届出を待たずにその事実の発生によって当然に効力を失います。「届出をして初めて免許が失効する」という肢は、死亡・合併消滅では誤りになります。

    第三に、宅建士側の死亡等の届出です(業法21条)。これも30日以内で、死亡の場合は相続人が知った日から30日以内です。届出義務者は事由で分かれ、業法18条1項1号から8号までに該当するに至った場合は本人、心身の故障により事務を適正に行えない者に該当するに至った場合は本人・法定代理人・同居の親族です。

    第四に、30日は8種制限にも出てきます。割賦販売契約における賦払金の支払義務の履行がされない場合、業者は30日以上の相当の期間を定めて書面で催告しなければ、契約の解除や残代金の一括請求ができません(業法42条1項)。届出の30日とは無関係な数字ですが、値が同じなので束ねておきます。この30日は「以内」ではなく「以上」であり、方向が逆である点が引っかけどころです。条文の読み方は割賦販売の解除等の制限にあります。

    30日ではなく「遅滞なく」のもの

    宅建士の変更の登録は、期限が日数で定められておらず「遅滞なく」です(業法20条)。対象になるのは登録簿の登載事項のうち変わりうるもので、氏名、住所、本籍、勤務先の宅建業者の商号または名称および免許証番号です(業法18条2項、施行規則14条の2の2)。業者側の変更が30日以内、宅建士側の変更が遅滞なく、という非対称は毎年のように問われます。

    37条書面の交付、媒介契約書の交付、指定流通機構への成約の通知も「遅滞なく」です。日数を答えさせる肢に見せかけて、実は日数の定めがないというパターンがあります。書面の性質ごとの整理は35条書面と37条書面の違いにあります。

    10日前と90日前は「前」で数える

    案内所等を設置して業務を行うときの届出は、業務を開始する日の10日前までに、免許権者とその所在地を管轄する都道府県知事の双方に対して行います(業法50条2項、施行規則19条3項)。「10日以内」ではなく「10日前まで」であり、事前の届出である点が要点です。届出事項は所在地、業務内容、業務を行う期間、専任の宅地建物取引士の氏名の4つです(業法50条2項)。

    一方、標識の掲示は届出とは別の義務で、期限の定めはなく設置場所ごとに必要です(業法50条1項)。標識が必要な場所は施行規則19条1項が定めており、届出が必要な場所(施行規則15条の5の2)より広く、契約を締結せず申込みも受けない案内所や、分譲する物件の所在する場所も含みます。この範囲の違いが「届出は不要だが標識は必要」という肢を生みます。詳しくは案内所等の届出と標識、事務所そのものの要件は宅建業の事務所にあります。

    90日前は前述の免許更新の申請開始日です。10日前と90日前は、どちらも「前」で数える数少ない数字なので、対にして覚えると混ざりません。

    「3か月」「1か月」が出てくる数字

    営業保証金を供託しないまま放置したとき

    免許権者は、免許をした日から3か月以内に業者が営業保証金供託の届出をしないときは、届出をすべき旨の催告をしなければなりません(業法25条6項)。そして催告が到達した日から1か月以内に届出がないときは、免許を取り消すことができます(同条7項)。

    この一組は数字だけでなく語尾でも問われます。催告は「しなければならない」で義務、取消しは「できる」で裁量です。3か月経っただけで免許が取り消されるわけではなく、催告を挟んでさらに1か月待つ必要があります。「免許を受けた日から3か月以内に届出をしないと免許が取り消される」という肢は、催告の段階を飛ばしている点で誤りです。制度の全体は営業保証金にあります。

    媒介契約の有効期間の3か月

    専任媒介契約と専属専任媒介契約の有効期間は3か月を超えることができず、これより長い期間を定めたときはその期間は3か月とされます(業法34条の2第3項)。契約全体が無効になるのではなく、期間だけが3か月に短縮される点が要点です。

    更新にも3か月がかかります。有効期間は依頼者の申出により更新できますが、更新の時から3か月を超えることはできません(同条4項)。ここで押さえるべきは「依頼者の申出により」という部分で、業者側から更新することも、自動更新の特約を置くこともできません。これらの規定に反する特約は無効です(同条10項)。3類型の比較は媒介契約の3類型、書面の記載事項は媒介契約書の記載事項にまとめてあります。

    一般媒介契約には有効期間の制限がありません。「一般媒介契約の有効期間は3か月を超えることができない」という肢は誤りです。数字がある制度とない制度を分けておくことが、この論点では効きます。

    保証協会に出てくる1か月

    保証協会の弁済業務保証金準備金を取り崩してもなお不足するとき、協会は社員に対し特別弁済業務保証金分担金を納付すべき旨を通知します。通知を受けた社員は、通知を受けた日から1か月以内に納付しなければなりません(業法64条の12第4項)。納付しないと社員の地位を失います(同条5項が64条の10第3項を準用)。

    保証協会まわりで「1か月」が出てくるのはここだけです。還付充当金が2週間、特別弁済業務保証金分担金が1か月、という差を押さえてください。もう1つ、指定を受けた時点で既に社員である者の分担金の納付期日が「弁済業務開始日の1か月前の日」とされていますが(業法64条の9第1項2号)、これは制度発足時の経過的な規定で、通常の加入者の納付期日とは別ものです。

    「2週間」「1週間」が出てくる数字

    2週間が出てくる六つの場面

    第一に、専任の宅地建物取引士が不足したときです。事務所等で専任の宅建士の設置要件を満たさなくなったときは、2週間以内に必要な措置をとらなければなりません(業法31条の3第3項)。補充だけでなく、従業者を減らして比率を満たす方法も「必要な措置」に含まれます。

    第二に、営業保証金の不足額の供託です。還付によって営業保証金が政令で定める額に不足することとなったときは、法務省令・国土交通省令で定める日から2週間以内に不足額を供託しなければなりません(業法28条1項)。この「省令で定める日」は宅地建物取引業者営業保証金規則5条により、免許権者から通知書の送付を受けた日とされています。還付が行われた日ではありません。業者は自分に還付があったことをリアルタイムで知る立場にないため、通知の到達を起点にしているわけです。

    第三に、その供託をしたときの届出です。供託した日から2週間以内に、その旨を免許権者に届け出ます(同条2項)。2週間が2回続く形なので、片方だけを1週間と覚えていると失点します。

    第四に、保証協会の還付充当金です。還付があったとき、社員は協会から還付充当金を納付すべき旨の通知を受けた日から2週間以内に納付しなければならず、納付しないと社員の地位を失います(業法64条の10第2項・3項)。

    第五に、保証協会の社員が新たに事務所を設置したときの分担金の納付です。設置した日から2週間以内に納付し、納付しないと社員の地位を失います(業法64条の9第2項・3項)。営業保証金の場合、事務所を新設したら供託して届け出るまで新設事務所で事業を開始できませんが(業法26条、25条5項準用)、期限の日数そのものは定められていません。分担金には2週間という期限があり、営業保証金にはない。この非対称が肢になります。

    第六に、保証協会自身が行う補充の供託です。弁済業務保証金の還付があったとき、協会は法務省令・国土交通省令で定める日から2週間以内に、還付された額に相当する額の弁済業務保証金を供託しなければなりません(業法64条の8第3項)。業者が2週間以内に還付充当金を納付し、協会も2週間以内に穴を埋める、という二重の2週間になっています。営業保証金と分担金の比較は営業保証金と弁済業務保証金の違い、協会側の手続は保証協会の仕組みを参照してください。

    1週間が出てくる二つの場面

    第一に、保証協会が弁済業務保証金を供託する期限です。協会は社員から分担金の納付を受けた日から1週間以内に、その額に相当する額の弁済業務保証金を供託しなければなりません(業法64条の7第1項)。ここは協会の義務であって、業者の義務ではありません。

    第二に、社員の地位を失った業者が営業保証金を供託する期限です。保証協会の社員がその地位を失ったときは、地位を失った日から1週間以内に営業保証金を供託しなければなりません(業法64条の15)。2週間ではありません。1週間という短さは、協会の弁済業務によるカバーが切れた瞬間に取引の相手方の保護が空白になることを避けるためのものです。

    報告の頻度に出てくる2週間と1週間

    媒介契約の業務処理状況の報告は、専任媒介契約が2週間に1回以上、専属専任媒介契約が1週間に1回以上です(業法34条の2第9項)。拘束の強い専属専任のほうが頻度が高い、という方向性で覚えれば逆にはなりません。報告の方法は書面に限られず、口頭でも電子メールでも足ります。

    これとは別に、同条8項は、目的物の売買または交換の申込みがあったときは遅滞なく依頼者に報告しなければならないと定めています。こちらは頻度ではなく個別の事象に対する義務で、一般媒介契約でも適用されます。定期報告の数字を答えさせる問題のなかに、申込みの報告義務を混ぜて「2週間に1回以上報告すれば足りる」とする肢が作られます。

    「加入しようとする日まで」は日数ではない

    保証協会に加入しようとする者は、加入しようとする日までに分担金を納付します(業法64条の9第1項1号)。これは日数で定められた期限ではなく、加入の日が締切という形です。「加入の日から1週間以内に納付する」という肢は誤りで、1週間以内なのは協会が供託する側です。納付する主体と供託する主体を取り違えると、この一組は必ず間違えます。

    金額の数字(1,000万円・500万円・60万円・30万円)

    営業保証金は1,000万円と500万円

    営業保証金の額は、主たる事務所につき1,000万円、その他の事務所につき1事務所ごとに500万円です(業法25条2項、施行令2条の4)。事務所が3つある業者なら、主たる事務所1,000万円に従たる事務所2つ分の1,000万円を加えて2,000万円になります。

    供託は主たる事務所の最寄りの供託所に対して行います(業法25条1項)。従たる事務所の最寄りの供託所ではありません。主たる事務所を移転して最寄りの供託所が変わった場合、金銭のみで供託しているときは保管替えを請求でき、有価証券が含まれるときは移転後の供託所に新たに供託しなければなりません(業法29条1項)。「有価証券でも保管替えを請求できる」という肢は誤りです。

    有価証券で供託するときの評価は100・90・80

    営業保証金は金銭のほか有価証券でも供託できます(業法25条3項)。評価額は施行規則15条が定めており、国債証券は額面金額そのまま、地方債証券および政府が債務について保証契約をした債券は額面金額の90パーセント、それ以外の債券は額面金額の80パーセントです。

    100・90・80という三段の割合は、債券の安全性の順に並んでいます。国が直接発行する国債は額面どおり、地方公共団体や政府保証が付いたものは1割の掛け目、それ以外はさらに1割落とす、という設計です。額面1,000万円の地方債だけでは900万円分にしかならず、主たる事務所のみの業者でも100万円分が不足します。この計算をさせる肢が出ます。

    同じ評価規定は保証協会が弁済業務保証金を供託する場合にも準用されます(業法64条の7第3項が25条3項を準用)。協会が供託する側では有価証券が使えるのに、業者が分担金を納付する側では金銭のみ、という対比になります。

    分担金は60万円と30万円

    弁済業務保証金分担金の額は、主たる事務所につき60万円、その他の事務所につき1事務所ごとに30万円です(業法64条の9第1項、施行令7条)。営業保証金と違い、金銭でのみ納付でき、有価証券は使えません。

    覚え方は桁で分けるのが確実です。営業保証金は千万円単位、分担金は十万円単位。そのうえで、どちらも主たる事務所が2倍という主従関係を押さえます。混ざるのは桁ではなく、1,000万と500万、60万と30万のどちらが主たる事務所かという点です。

    還付の限度額は分担金の額ではない

    金額の数字で最も出題されるのがここです。保証協会の社員と取引した者(宅建業者を除く)が弁済を受けられる限度は、その社員が社員でないとしたならば供託すべきであった営業保証金の額に相当する額の範囲内です(業法64条の8第1項)。主たる事務所のみの業者であれば、納付した分担金は60万円でも、還付の限度は1,000万円になります。

    分担金が少額でよいのは多数の業者で原資を分担するからであって、取引の相手方の保護水準を下げてよいという意味ではありません。この理由を持っていれば、「還付の限度額は60万円である」という肢は考えるまでもなく誤りだと分かります。

    なお、権利を実行しようとする者は、あらかじめ協会の認証を受ける必要があります(業法64条の8第2項)。営業保証金の還付には認証という手続がなく、ここも制度の差になります。取引の相手方に対する説明義務の違いは供託所等に関する説明義務にあります。

    もう1つの1,000万円

    1,000万円は手付金等の保全措置にも出てきます(業法41条1項ただし書、41条の2第1項ただし書、施行令3条の5)。ただし意味はまったく別で、こちらは保全措置が不要となる金額の上限です。営業保証金の1,000万円と保全措置の1,000万円は、値が同じというだけで無関係です。値が同じ数字を無理に関連づけて覚えないでください。

    免許そのものにかかるお金

    見落とされやすいのが、免許を受けるときに納める金銭です。国土交通大臣の免許(更新の免許を除く)を受けようとする者は、登録免許税として1件につき9万円を納めます(業法3条6項、登録免許税法別表第一147号(一))。一方、大臣免許の更新を受けようとする者が納めるのは登録免許税ではなく手数料で、額は3万3,000円、電子情報処理組織を使用する方法で申請する場合は2万6,500円です(業法3条6項、施行令2条1項)。手数料は収入印紙で納付します(同条2項)。

    新規は税、更新は手数料、という区別と、9万円と3万3,000円という2つの金額が並ぶ点が問われます。登録免許税という税目そのものの位置づけは登録免許税で扱っています。

    割合の数字(5パーセント・10パーセント・10分の2・10分の3)

    割合の数字は8種制限に集中しています。8種制限が適用されるのは宅建業者が自ら売主となり、買主が宅建業者でない場合に限られます(業法78条2項)。この前提を落とすと、正しい数字を覚えていても答えを外します。制限の全体像は8種制限とは、軸ごとの比較は8種制限の横断整理、適用されない場面の切り分けは8種制限が適用されない場合にあります。

    5パーセントと10パーセントは保全措置の閾値

    手付金等の保全措置は、工事完了前の物件では受領しようとする手付金等の額が代金の5パーセント以下かつ1,000万円以下であれば不要(業法41条1項ただし書)、工事完了後の物件では代金の10分の1以下かつ1,000万円以下であれば不要です(業法41条の2第1項ただし書)。買主への所有権移転の登記がされたとき、または買主が所有権の登記をしたときも不要になります。

    条文の書きぶりが未完成物件で「百分の五」、完成物件で「十分の一」と異なっている点は、条文を引いたことがある人だけが気づくところです。値としては5パーセントと10パーセントですが、条文どおりに書かれた肢を読んだときに戸惑わないよう、両方の表記を知っておいてください。

    未完成物件のほうが基準が厳しい理由は、引渡し前に業者が倒産したとき、完成物件なら物件そのものが存在するのに対し、未完成物件では買主に何も残らないからです。この理由を押さえておけば、5パーセントと10パーセントを逆にすることはなくなります。

    閾値を超えたときは、超過部分だけでなく受領する手付金等の全額について保全措置が必要です。「超えた部分についてのみ保全すればよい」という肢は誤りです。また既に受領した手付金等があるときはその額を加えた額で判定します。1回目の受領で閾値内であっても、2回目を加えると超える場合には、2回目を受領する前に全額について保全措置を講じる必要があります。計算問題の型は手付金等の保全措置で扱っています。

    10分の2は買主の負担の上限

    手付の額は、代金の額の10分の2を超えて受領できません(業法39条1項)。損害賠償額の予定と違約金の合計額も、代金の額の10分の2を超える定めができません(業法38条1項)。どちらも買主が失うことになる額の上限を画したものなので、値が同じであることに理由があります。

    効果の違いには注意が必要です。手付は上限を超える額を受領すること自体ができません。これに対し損害賠償額の予定は、10分の2を超える定めをしたときに超える部分が無効になるだけで(業法38条2項)、契約全体が無効になるわけではありません。値が同じで効果が違う、という組み合わせは差し替えの格好の材料になります。手付の扱いは手付の制限、賠償額の予定は損害賠償額の予定の制限にまとめてあります。

    38条1項が対象にしているのは「当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う」損害賠償の予定と違約金です。債務不履行に基づく損害賠償一般ではありません。また、予定を定めなかった場合には38条は働かず、実損害の賠償が民法の原則どおりに行われます。10分の2は上限であって、そこまで自動的に請求できる額ではありません。

    10分の3は所有権留保の限界

    宅建業者は、自ら売主となる割賦販売契約において、受領した額が代金の額の10分の3を超えるときまでに、登記その他引渡し以外の売主の義務を履行しなければなりません(業法43条1項)。10分の3を超えて代金を受け取りながら登記を移さないでいることが禁じられている、という形です。引渡しまでに10分の3を超える支払を受けていない場合は、10分の3を超える支払を受けるまでが期限になります。

    同条2項は逆方向から塞いでいます。引渡し済みで、かつ代金の10分の3を超える支払を受けた後は、担保の目的でその宅地建物を譲り受けることができません。登記を移したうえで買い戻す形の脱法を封じる規定です。詳細は所有権留保等の禁止にあります。

    10分の2と10分の3の使い分けは、10分の2が買主が失う額の上限、10分の3が登記を移さないでいられる限界、と役割で区別します。値だけを並べると必ず混ざります。

    5分の1という書き方

    専任の宅地建物取引士の設置基準は、受験界では「5人に1人以上」と説明されますが、条文はそう書いていません。施行規則15条の5の3は、事務所については「業務に従事する者の数に対する専任の宅地建物取引士の数の割合が5分の1以上となる数」と定めています。比率で書かれているので、従業者が5人なら1人、6人なら2人、10人なら2人、11人なら3人となり、端数は切り上げになります。

    同条は案内所等について「1以上」とだけ定めており、こちらは比率ではありません。事務所は5分の1以上、案内所等は1人以上、という対で押さえてください。数え方の詳細は専任の宅建士の設置義務にあります。

    割合はもう1種類ある

    報酬の速算式に出てくる5パーセント、4パーセント、3パーセントも割合の数字ですが、8種制限の割合とは別の系統です。後述の報酬の節で扱います。

    人数と保存期間の数字

    分母に誰を数えるか

    5分の1という比率は、分母を何人と数えるかで答えが変わります。分母に入るのは「当該事務所において宅地建物取引業者の業務に従事する者」であり、宅建業に関する業務に従事している限り、代表者も一般管理部門の従業者も含みます。他方、宅建業に関係のない部門の従業者は含みません。

    業者本人(法人の場合はその役員)が宅建士であるときは、その者が自ら主として業務に従事する事務所については、その事務所に置かれる成年者である専任の宅建士とみなされます(業法31条の3第2項)。この「みなし専任」は複数の事務所について同時に成立しません。主として業務に従事する事務所は1つに限られるからです。

    不足した場合の措置は前述のとおり2週間以内です(業法31条の3第3項)。設置基準を満たさない状態で契約を締結しても、その契約自体は無効になりません。監督処分と罰則の対象にはなります。

    帳簿は5年、従業者名簿は10年

    宅建業者は、事務所ごとに業務に関する帳簿を備え、取引のあった都度、一定の事項を記載しなければなりません(業法49条)。帳簿は各事業年度の末日をもって閉鎖し、閉鎖後5年間保存します。ただし業者が自ら売主となる新築住宅に係るものは10年間です(施行規則18条3項)。

    従業者名簿は、最終の記載をした日から10年間保存します(業法48条3項、施行規則17条の2第4項)。帳簿が原則5年、従業者名簿が10年、という違いをそのまま覚えてください。

    保存期間が違う理由は保護の対象が違うためです。帳簿は取引の記録なので事業年度を単位に管理され、新築住宅だけ10年になるのは、新築住宅の売主が負う瑕疵担保責任の期間が引渡しから10年とされていることに対応します。従業者名簿は、取引の関係者が過去の担当者を確認できるようにするための制度なので、より長期の保存が求められます。

    起算点の形も違います。帳簿は「事業年度の末日で閉鎖してから5年」、従業者名簿は「最終の記載をした日から10年」です。帳簿は期間の区切りが会計年度に紐づき、名簿は最後の記入という個別の事象に紐づきます。制度の性格の違いがそのまま起算点の違いになっています。両者の比較は従業者名簿と帳簿にまとめてあります。

    閲覧義務の有無も対になっています。従業者名簿は取引の関係者から請求があったときに閲覧に供さなければなりません(業法48条4項)。帳簿にはこの閲覧義務がありません。「取引の関係者から請求があれば帳簿を閲覧させなければならない」という肢は誤りです。

    掲示と携帯の義務

    標識は事務所等および施行規則19条1項に掲げる場所ごとに、公衆の見やすい場所に掲示します(業法50条1項)。報酬の額は事務所ごとに公衆の見やすい場所に掲示します(業法46条4項)。案内所等には報酬額の掲示は不要で、標識だけが必要です。掲示すべき対象が「事務所ごと」なのか「事務所等ごと」なのかが、この2つを分ける鍵です。

    従業者証明書は、従業者に携帯させなければならず、取引の関係者から請求があったときは提示させなければなりません(業法48条1項・2項)。宅建士証と違い、これは全従業者が対象です。宅建士証の提示は重要事項説明のとき(相手方の請求の有無を問わず)と取引の関係者から請求があったときに必要で、根拠条文も義務者も別です。

    項目の「個数」を数える数字

    区分所有建物の重要事項説明が9項目から10項目になった

    数字のうち、条文に直接書かれていないのに試験で問われるものがあります。重要事項説明で説明すべき事項が何項目あるか、というタイプです。号を数えた結果として出てくる数字なので、号が増減すると答えだけが静かに変わります。

    令和8年度の試験範囲で実際にこれが起きました。宅地建物取引業法施行規則16条の2は、区分所有建物について業法35条1項6号の委任を受けて説明事項を定める規定ですが、令和7年内閣府・国土交通省令第2号(2026年4月1日施行)により第9号が新設され、9項目から10項目に増えました。

    新設された第9号は、一棟の建物およびその敷地の管理者等が、管理組合から委託を受けて管理事務を行うマンション管理業者である場合には、その旨を説明しなければならないという内容です。いわゆる第三者管理方式の開示で、区分所有者以外の第三者が管理者に就任し、かつその第三者が管理会社であるという利益相反の構造を、購入前に買主へ知らせるための規定です。同じ内容の号が、信託受益権の売買に関する施行規則19条の2の5などにも同時に入りました。

    号が1つずつ繰り下がるという副作用

    この改正で見落としやすいのは、既存の号がずれたことです。改正前に第9号だった「一棟の建物の維持修繕の実施状況が記録されているときは、その内容」は、第10号に繰り下がりました。

    条文の号数で説明事項を記憶していた場合、繰り下がりの分だけ記憶が丸ごと1つずれます。「維持修繕の実施状況の記録は施行規則16条の2第9号に定められている」という記述は、令和8年度の基準では誤りです。市販の教材やインターネット上の解説には旧番号のまま残っているものが多いので、番号で覚えている人ほど注意が必要です。もっとも、宅建試験で号数そのものを問うことは稀で、実際に問われるのは「その事項が説明事項に入っているかどうか」です。したがって、番号ではなく中身で覚えておくのが安全という結論になります。10項目それぞれの中身は区分所有建物の重要事項説明で扱っています。

    貸借は「第三号及び第八号」で変わっていない

    もう1つ、改正の影響が及ばなかった部分を確認しておきます。施行規則16条の2の柱書は、建物の貸借の契約については第3号および第8号に掲げるものだけを説明すればよいと定めています。この「第三号及び第八号」という指定は、改正の前後で変わっていません。

    第3号は専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定め、第8号は一棟の建物およびその敷地の管理が委託されているときの委託先の氏名・住所です。借りる人にとって意味のある情報だけに絞られている、という考え方は改正後も同じです。新設された第9号は貸借の対象に入っていないため、建物の貸借では説明事項が2項目のままであることも押さえてください。「区分所有建物の貸借では10項目すべてを説明しなければならない」という肢は誤りです。売買と貸借で説明範囲が変わる構造は35条書面の記載事項一覧、覚え方の工夫は35条書面の覚え方にあります。

    数え上げの数字は他にもある

    同じ性質の数字は他にもあります。8種制限の「8」は、業法33条の2から43条までに置かれた自ら売主制限を数えた結果です。宅建士の独占業務の「3つ」は、35条の重要事項の説明、35条書面への記名、37条書面への記名を数えたものです(宅建士の独占業務3つ)。媒介契約の「3類型」は、業法34条の2が一般・専任・専属専任を条文上そう呼び分けているわけではなく、他業者への重ねての依頼と自己発見取引を禁じるかどうかで整理した結果です。

    数え上げの数字は、条文に書かれていないぶん、教材ごとに数え方が違うことがあります。数を覚えるのではなく、何が入って何が入らないかを覚えるほうが安全です。

    期間と日数の数字(8日・7日・5日・6か月・2年)

    クーリング・オフの8日は「起算して」

    事務所等以外の場所で買受けの申込みをした買主は、申込みの撤回等ができる旨およびその方法を書面で告げられた日から起算して8日を経過するまでは、申込みの撤回等ができます(業法37条の2第1項1号)。

    条文は「その告げられた日から起算して八日を経過したとき」と書いています。「起算して」とある以上、告げられた日そのものを1日目に数えます。初日不算入ではありません。民法140条の原則とは異なる数え方であり、期間計算の一般則との違いは条件と期限の違いで扱っています。

    8日の起算点は「書面で告げられた日」です。契約締結の日でも、申込みの日でもありません。告げられていなければ、何か月経過していても撤回できます。また、宅地建物の引渡しを受け、かつ代金の全額を支払ったときは撤回できなくなります(同項2号)。引渡しだけ、あるいは代金の一部の支払だけでは、まだ撤回できます。「かつ」でつながれている以上、両方が揃わなければ撤回権は消えません。事例での確認はクーリング・オフにあります。

    撤回の効力は書面を発した時に生じます(同条2項)。到達時ではないため、8日目に発信すれば9日目に到達しても有効です。そして、これらの規定に反する特約で申込者等に不利なものは無効です(同条4項)。「撤回の効力は書面が到達した時に生じる旨の特約は有効である」という肢は、買主に不利な特約として無効になります。

    指定流通機構への登録は7日と5日、休業日は数えない

    専任媒介契約を締結した業者は契約締結の日から7日以内に、専属専任媒介契約を締結した業者は5日以内に、その物件を指定流通機構に登録しなければなりません(業法34条の2第5項、施行規則15条の10第1項)。いずれも業者の休業日数は算入しません(同条2項)。

    休業日を算入しない点は、具体的な日付を使った肢で問われます。たとえば水曜が定休日の業者が金曜に専任媒介契約を締結した場合、7日の計算から休業日を除くため、期限は暦日で数えるより後ろにずれます。この操作をさせる問題は計算問題として扱ったほうがよく、時間配分の考え方は宅建の計算問題にあります。

    7日と5日のどちらが専属専任かは、拘束が強いほうが短い、という方向性で決まります。報告の頻度が専属専任のほうが高いのと同じ向きです。登録が済んだら、業者は登録を証する書面を遅滞なく依頼者に引き渡さなければならず(業法34条の2第6項)、成約したときは遅滞なく指定流通機構に通知します(同条7項)。ここには日数の定めがありません。

    法定講習の6か月と合格後の1年

    宅建士証の交付申請前6か月以内に行われる法定講習の受講が必要で、試験合格の日から1年以内に交付を受ける場合は不要である点は前述のとおりです(業法22条の2第2項)。6か月は講習の有効期間、1年は講習免除の期間で、意味がまったく違います。

    これとは別に、登録を受けるための実務経験は2年です(業法18条1項、施行規則13条の15)。2年の実務経験がない場合の代替として登録実務講習がありますが、施行規則13条の16は3号構成で、登録実務講習の修了(1号)のほか、国・地方公共団体またはこれらの出資により設立された法人において宅地建物の取得または処分の業務に従事した期間が通算2年以上ある者(2号)も、実務経験を有する者と同等以上と認められます。実務経験の代替は登録実務講習だけではない、という点が盲点です。講習の位置づけは登録実務講習にあります。

    契約不適合責任の通知期間は2年以上

    宅建業者が自ら売主となる場合、種類または品質に関する契約不適合について、民法566条に規定するものより買主に不利となる特約は無効です。ただし、通知期間を目的物の引渡しの日から2年以上とする特約は有効です(業法40条1項)。これに反する特約は無効となります(同条2項)。

    2年という数字だけを覚えると、「2年」が上限なのか下限なのかを間違えます。買主保護のための制度なので、2年以上でなければならない、つまり2年が下限です。「引渡しから1年とする特約は有効」という肢は誤りになります。

    無効になったときにどうなるかも押さえてください。特約が無効になると民法の原則に戻るのであって、期間の制限がなくなるわけでも、自動的に2年になるわけでもありません。民法566条は「不適合を知った時から1年以内に通知」を原則としており、無効になった場合はこの原則が適用されます。民法との関係は契約不適合責任の特約制限で扱っています。

    取戻しの公告は6か月を下らない期間

    営業保証金を取り戻すには、原則として、還付を請求する権利を有する者に対し6か月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を官報で公告しなければなりません(業法30条2項、宅地建物取引業者営業保証金規則7条1項)。ただし取戻しの事由が発生した時から10年を経過したときは公告が不要です(業法30条2項ただし書)。保証協会の社員となったために営業保証金を取り戻す場合も、公告は不要です(業法64条の14)。

    保証協会の側にも6か月の公告があります。社員が地位を失ったとき、協会は弁済業務保証金に係る権利を有する者に対し、6か月を下らない一定期間内に認証を受けるため申し出るべき旨を公告しなければなりません(業法64条の11第4項)。ただしこちらには10年で公告が不要になるという例外がありません。同じ6か月でも、例外の有無が違う点が対比になります。

    割賦販売の「1年以上・2回以上」

    割賦販売という語は業法35条2項が定義しており、代金の全部または一部について、目的物の引渡し後1年以上の期間にわたり、かつ2回以上に分割して受領することを条件として販売することをいいます。

    1年以上と2回以上は、両方を満たさなければ割賦販売になりません。引渡し後3回に分けて半年で完済する取引は、回数の要件は満たしても期間の要件を満たさないので割賦販売ではなく、業法42条の催告義務も43条の所有権留保の禁止も適用されません。数字が2つ並び、しかも「かつ」で結ばれているという構造を押さえておけば、片方だけを示して割賦販売だと断定する肢を見抜けます。

    報酬の数字

    報酬の計算は、数字を覚えているかではなく手順を固定しているかで差がつきます。制度の全体は報酬額の制限、計算の型は報酬額計算のパターン別攻略、実務側からの説明は仲介手数料の上限にあります。ここでは数字の一覧としての側面だけを扱います。

    速算式の200万円と400万円

    売買または交換の媒介における報酬の上限は、取引価額が200万円以下なら価額の5パーセント、200万円超400万円以下なら4パーセントに2万円を加えた額、400万円超なら3パーセントに6万円を加えた額です。いずれも消費税抜きの価額に対して計算します。

    2万円と6万円という加算額は、料率を下げたことによる差額を補正するために置かれています。400万円の物件で確かめると、5パーセントで計算した20万円と、3パーセントに6万円を加えた18万円の差が2万円になり、境界での不連続を小さくする形になっています。数字を丸暗記するより、この構造を知っておくほうが忘れにくくなります。

    1.1倍と1.04倍

    算出した上限額に対し、課税事業者は1.1倍、免税事業者は1.04倍を乗じます。1.04という数値は、免税事業者であっても仕入れの段階で消費税を負担していることを考慮したもので、この数値自体が肢に出ます。1.1と1.04を入れ替えた肢、免税事業者に1.1を乗じた肢が典型です。

    計算の順序も固定してください。取引価額を税抜きにする、速算式で上限を出す、媒介か代理かで倍率を決める、課税区分に応じて消費税相当額を上乗せする、複数業者が関与していれば合計額を確認する、の5段階です。土地の譲渡は消費税が非課税なので税抜きにする必要がなく、建物の価格だけを1.1で割ります。

    賃貸借の1か月分と0.5か月分

    賃貸借の媒介では、依頼者双方から受け取る報酬の合計が借賃の1か月分(に消費税相当額を加えた額)を超えられません。居住用建物の場合、依頼者の一方から受け取れるのは借賃の0.5か月分が原則で、媒介の依頼を受けるにあたって依頼者の承諾を得ている場合はこの限りではありません。

    居住用建物以外で権利金の授受があるときは、権利金の額を売買代金とみなして速算式で計算することもでき、有利なほうを採用できます。

    空家等の800万円と30万円

    低廉な空家等の売買・交換の媒介については特例があります。令和6年6月21日国土交通省告示第949号(2024年7月1日施行)により対象が価額800万円以下に拡大され、報酬の上限は税抜き30万円、消費税相当額を含めて33万円まで、売主・買主の双方から受領できることになりました。改正前の「400万円以下・18万円」という数字を覚えたままだと誤ります。

    報酬額の上限を超えて受領した場合の罰則は、100万円以下の罰金です(業法82条2号、46条2項違反)。不当に高額の報酬を要求する行為は、要求しただけで業法47条2号違反となり、1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金またはこれらの併科の対象になります(業法80条)。受領したかどうかではなく要求した時点で成立する点が特徴です。禁止行為の全体は宅建業法47条の禁止行為にあります。

    罰則と監督処分の数字

    拘禁刑は四段になっている

    最も重い区分は、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはこれらの併科です(業法79条)。無免許での事業、不正の手段による免許取得、名義貸し、業務停止処分に違反しての業務がこれにあたります。免許制度そのものを壊す行為が集められています。

    次が2年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはこれらの併科です(業法79条の2)。重要な事項について故意に事実を告げず、または不実のことを告げる行為(業法47条1号違反)がこれにあたります。

    その次が1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはこれらの併科です(業法80条)。手付について貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為(業法47条3号違反)が対象です。この段は見落とされやすく、業法47条の違反がすべて79条の2に入ると覚えていると誤ります。同じ47条でも、1号違反は79条の2、2号(不当に高額の報酬の要求)と3号(手付の信用供与)違反は80条・81条に分かれています。

    最も軽い拘禁刑の段は6か月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはこれらの併科です(業法81条)。営業保証金の供託の届出前に事業を開始した場合、誇大広告の禁止に違反した場合、不当な履行遅延(業法44条)がこれにあたります。広告規制の全体は広告に関する規制、実際の禁止行為の型はおとり広告と二重価格表示で扱っています。

    罰金のみの区分は100万円と50万円の二段

    罰金だけが定められている区分は2つあります。100万円以下の罰金(業法82条)には、免許申請書への虚偽記載、無免許での表示・広告、専任の宅建士の設置義務違反(31条の3第3項)、報酬額の上限を超える受領(46条2項)が入ります。専任の宅建士が不足したまま2週間以内に措置をとらなかった場合の罰金は50万円ではなく100万円です。

    50万円以下の罰金(業法83条1項)には、変更の届出の懈怠、案内所等の届出の懈怠、37条書面の交付義務違反、報酬額の掲示義務違反、従業者証明書の携帯義務違反、標識の掲示義務違反、従業者名簿の備付け義務違反、帳簿の備付け義務違反が入ります。書面や掲示に関する形式的な義務がここに集まっています。

    見落としやすいのが、罰則が定められていない義務です。廃業等の届出(業法11条)を怠っても罰金の規定はなく、業法66条1項7号による必要的な免許取消しが働くだけです。自己の所有に属しない宅地建物の売買契約の制限(業法33条の2)にも刑事罰がなく、業務停止と必要的取消しの対象になるにとどまります。「数字を答えさせる問題で、そもそも罰則がない」という形の肢に注意してください。適用の範囲は自己の所有に属しない物件の売買制限にあります。

    過料は30万円と10万円

    過料は刑罰ではなく行政上の秩序罰で、2種類あります。30万円以下の過料は、取引一任代理等の認可を受けた業者に対する命令に違反した場合です(業法85条)。10万円以下の過料は、宅建士証の返納義務違反、事務禁止処分を受けたときの提出義務違反、重要事項説明の際の宅建士証の提示義務違反です(業法86条、22条の2第6項・7項、35条4項)。

    宅建士に関する義務違反が過料にとどまり、業者に関する義務違反が罰金になる、という切り分けを押さえてください。罰則の一覧は宅建業法の罰則一覧にまとめてあります。

    両罰規定の1億円

    法人については両罰規定があり、79条または79条の2の違反行為については、行為者を罰するほか、法人に対して1億円以下の罰金が科されます(業法84条1号)。80条から83条までの違反については、法人にも各本条の罰金刑が科されるにとどまります(同条2号)。

    この1億円は、行為者個人に科される300万円と桁が違う点で問われます。「無免許営業をした従業者の所属法人にも300万円以下の罰金が科される」という肢は、金額の点で誤りです。なお、秘密を守る義務の違反(業法45条)に係る83条1項3号の罪は親告罪であり(同条2項)、両罰規定の対象からも除かれています(業法84条2号のかっこ書)。

    監督処分の「1年以内」

    刑罰とは別の系統に、監督処分の期間があります。業務停止処分は1年以内の期間を定めて命じられます(業法65条2項・4項)。宅建士に対する事務の禁止処分も1年以内です(業法68条2項・4項)。どちらも上限が1年で揃っています。

    期間の上限が揃っているぶん、混同されるのは主体と処分権者のほうです。業務停止は免許権者のほか、業務地を管轄する都道府県知事も命じることができます(業法65条4項)。事務禁止は登録をしている知事のほか、その業務が行われた都道府県の知事も命じることができます(業法68条4項)。他方、免許の取消しは免許権者のみ、登録の消除は登録をしている知事のみが行えます。

    免許の取消しにも1年という数字があります。免許を受けてから1年以内に事業を開始せず、または引き続いて1年以上事業を休止したときは、免許を取り消さなければなりません(業法66条1項6号)。ここは「できる」ではなく必要的取消しです。1年という同じ値が、業務停止の上限(裁量)と休業による取消し(義務)の両方に出てくるので、語尾とセットで覚えてください。業法66条2項の、免許に付された条件に違反した場合の取消しだけが「できる」という裁量の形になっています。

    なお2025年6月1日施行の改正刑法により懲役と禁錮は拘禁刑に一本化され、宅建業法の罰則の表記も拘禁刑に改められています。刑の重さそのものは変わっていません。

    住宅瑕疵担保履行法の数字

    3月31日・3週間・50日

    自ら売主として新築住宅を販売する業者は、基準日ごとに資力確保措置の状況を免許権者へ届け出なければなりません(履行確保法12条1項)。基準日は毎年3月31日の年1回です(同法3条1項)。かつては3月31日と9月30日の年2回でしたが、法改正により年1回に整理されました。

    供託が必要な範囲は、基準日から3週間を経過する日までの間において、基準日前10年間に引き渡した新築住宅について、というかたちで定められています(同法11条1項)。届出そのものの期限は施行規則16条1項が定めており、基準日から3週間以内です。

    届出をしないと、基準日の翌日から起算して50日を経過した日以後、新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結できなくなります(同法13条)。3週間と50日は、どちらも基準日を起点とする数字なので、混ざりやすい組み合わせです。3週間は届出の期限、50日は制裁が発動する時点、と役割で分けてください。

    55平方メートルで2戸を1戸

    住宅販売瑕疵担保保証金の額を算定するにあたり、新築住宅の床面積の合計が55平方メートル以下であるときは、2戸をもって1戸と数えます(同法11条3項、同法施行令6条)。小規模な住宅の負担を軽くするための調整で、55という数字はここでしか出てきません。

    戸数の数え方から供託額を出す手順は住宅瑕疵担保履行法の供託額で扱っています。制度全体の位置づけは住宅瑕疵担保履行法にまとめています。

    10年と2,000万円

    資力確保措置の対象となる瑕疵の範囲は、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分で、引渡しから10年間の責任です。保険で資力確保をする場合、その保険契約は損害を塡補するための保険金額が2,000万円以上であり、かつ引渡しを受けた時から10年以上の期間にわたって有効でなければなりません(同法2条7項3号・4号)。

    買主が宅建業者である場合には、そもそも資力確保措置の対象になりません(同法2条7項2号ロのかっこ書)。8種制限と同じく、宅建業者間の取引では買主保護の仕組みが外れる、という共通の設計です。

    数字が定められていない規定を数字で問う型

    数字の問題でありながら、正解が「数字の定めがない」になることがあります。宅建業法では次の規定がこれにあたります。

    宅地建物取引士の登録には有効期間がありません。変更の登録は「遅滞なく」で日数の定めがありません(業法20条)。37条書面の交付は「遅滞なく」です。媒介契約書の交付も「遅滞なく」です(業法34条の2第1項)。指定流通機構への成約の通知も「遅滞なく」です(同条7項)。宅建士証の返納・提出は「速やかに」です(業法22条の2第6項・7項)。事務禁止期間の満了後に宅建士証の返還請求があったときの返還は「直ちに」です(同条8項)。保証協会が社員の加入・喪失を免許権者に報告するのも「直ちに」です(業法64条の4第2項)。

    「遅滞なく」「速やかに」「直ちに」の三語は、この順で緊急度が高くなるとされます。ただし宅建試験でこの三語の差そのものを正面から問うことは少なく、実際に問われるのは「日数が定められているか否か」です。日数のある規定を丸ごと挙げられるようにしておけば、そこにない規定は日数の定めがない、と消去法で処理できます。表現から論点を逆引きする方法は宅建の引っかけ表現パターンを参照してください。

    一般媒介契約の有効期間、標識の掲示の期限、専任媒介契約における価額の意見の根拠を示す時期も、いずれも日数の定めがありません。数字がないところに数字を置いた肢は、値の正誤を検討する前に「そもそも定めがない」で切れます。

    試験での出題ポイント

    値の入れ替え

    最も多い形です。同じ制度内で主従を逆にする(1,000万円と500万円、60万円と30万円、7日と5日、2週間と1週間)型と、別制度の数値を持ってくる(手付の10分の2を保全措置の閾値に、所有権留保の10分の3を手付の上限に)型があります。制度ごとに覚えていると後者に気づけません。

    起算点のずらし

    値は合っているのに起算点だけが違う肢です。廃業等の届出を死亡の日から30日以内とする、営業保証金の不足額の供託を還付があった日から2週間以内とする、免許の更新後の有効期間を更新処分の日から5年とする、クーリング・オフの8日を契約締結の日から数えるといった形で作られます。「いつから」を条文の語で覚えているかが問われます。

    「以内」「以上」「超える」の読み替え

    保全措置は代金の5パーセント「以下」なら不要なので、ちょうど5パーセントなら不要です。契約不適合の通知期間は2年「以上」とする特約が有効なので、ちょうど2年なら有効です。所有権留保は代金の10分の3を「超える」ときまでに登記が必要なので、ちょうど10分の3では義務が生じません。割賦販売の催告は30日「以上」の期間なので、ちょうど30日でも足ります。境界の扱いは頻出です。

    日数の数え方

    指定流通機構への登録の7日と5日は業者の休業日を除いて数えます。クーリング・オフの8日は告げられた日を1日目として数えます。同じ日数の計算でも、除外するもの・初日の扱いが規定ごとに違います。具体的な日付を示して「何日までに登録すればよいか」を問う形式では、ここで答えが分かれます。

    義務か裁量かのすり替え

    数字は合っていても、語尾が入れ替えられている肢があります。営業保証金の届出がないときの催告は「しなければならない」(業法25条6項)、そのあとの免許取消しは「できる」(同条7項)。専任の宅建士が欠けたときの措置は「執らなければならない」(業法31条の3第3項)。業務停止処分は「命ずることができる」(業法65条2項)。数字を確認したあとで語尾を確認する、という二段の読み方をしてください。

    改正で動いた数と、動いていない数

    令和8年度に限っていえば、宅建業法まわりで実際に数が動いたのは施行規則16条の2の項目数(9から10)だけです。宅建業法という法律そのものは同じ日に改正法が施行されていますが本則に差分はなく、営業保証金も分担金も報酬の速算式も8種制限の割合も従前どおりです。「改正があったらしいから数字が変わったのだろう」と推測して従来の数字を疑いはじめると、正しい知識まで揺らぎます。動いたものと動いていないものを分けて確認してください。整理は令和8年度に影響する法改正まとめにあります。

    数字の定めがないもの

    数字を問う肢の中に、そもそも日数の定めがないものが混ぜられます。宅建士の変更の登録、37条書面の交付、媒介契約書の交付はいずれも「遅滞なく」であり、日数の定めはありません。宅地建物取引士の登録にも有効期間はありません。頻出論点の全体像は宅建業法の頻出論点で確認できます。

    覚え方・整理の仕方

    値ごとに束ね、そのうえで理由を1行つける

    5年、30日、2週間、10分の2というように値で束ねたら、それぞれに「なぜその値なのか」を1行つけてください。理由がつけられない数字は、そもそも試験で問われても答えの根拠を持てません。

    たとえば2週間グループなら、専任宅建士の補充は営業を続けたまま体制を戻すのに必要な最短期間、営業保証金の不足額の供託は弁済原資が欠けた状態を放置しない期間、還付充当金の納付は協会が立て替えた分を速やかに回収する期間、といった具合です。厳密な立法趣旨でなくても、自分の言葉で説明できれば復元の手がかりになります。

    対になる数字は必ずペアで書く

    単独で覚えると混ざる数字は、最初からペアで書き出します。1,000万円と500万円、60万円と30万円、5パーセントと10パーセント、10分の2と10分の3、7日と5日、2週間と1週間、5分の1以上と1人以上、帳簿5年と従業者名簿10年、90日前と30日前、3か月と1か月、3週間と50日。この11組を紙に書けるかどうかで、数字問題の得点はほぼ決まります。

    大小の方向だけは絶対に間違えない

    値そのものを忘れても、方向を覚えていれば選択肢を絞れます。拘束が強い契約類型ほど期限は短く頻度は高い、未完成物件ほど保全の基準は厳しい、主たる事務所は従たる事務所の2倍、保護の必要が高い期間ほど長い、制度を壊す行為ほど刑が重い。方向が合っていれば、値を逆にする形の肢は消せます。

    起算点は動詞で覚える

    「30日以内」ではなく「変更があった日から30日以内」、「2週間以内」ではなく「通知書の送付を受けた日から2週間以内」というように、数字の前に必ず動詞を置いて覚えてください。動詞のない数字は、起算点をずらした肢に対して無防備です。特に、届出系は「あった日」、通知系は「受けた日」、処分系は「公示された日」と、系統ごとに起算の言葉が決まっています。

    語呂は値だけの列挙に限って使う

    理由づけや方向性で復元できる数字に語呂を当てると、かえって不安定になります。語呂を使うなら、報酬の速算式の加算額のように理由づけが難しい列挙に限ってください。語呂が壊れる条件は宅建の語呂合わせで整理しています。他科目の数字の整理は法令上の制限の暗記法、建築基準法の数字、都市計画法の数字、借地借家法の数字まとめにあります。

    科目をまたぐ同じ値には印をつける

    2週間という値は、国土利用計画法の事後届出(契約を締結した日から起算して2週間以内)にも出てきます(国土利用計画法)。10年は不動産登記法にも借地借家法にも出てきます。科目をまたいで同じ値が出るものは、混同しても失点は1問にとどまりますが、逆にいえば片方を覚えていれば思い出しやすくもあります。事前届出との違いは国土利用計画法の事前届出にあります。また、広告の分野では公正競争規約が「徒歩1分は道路距離80メートル」といった独自の数字を置いており、宅建業法の数字とは別系統です(不動産広告の表示基準)。

    直前期は書き出しで確認する

    読み返す形の確認では、知っている感覚だけが強まります。何も見ずに、5年グループを列挙する、2週間グループを列挙する、8種制限の4つの割合を役割つきで挙げる、という順で書き出してから答え合わせをしてください。直前期の使い方は宅建の直前期の過ごし方にまとめてあります。

    理解度チェッククイズ

    Q1. 宅地建物取引士の登録の有効期間は5年であり、5年ごとに更新の申請をしなければならない。

    答えを見る **× 誤り。** 宅地建物取引士の登録には有効期間がなく、消除されない限り効力が続きます。有効期間が5年なのは宅建業の免許(業法3条2項)と宅地建物取引士証(業法22条の2第3項)です。登録と宅建士証を別の制度として理解していないと落とす肢です。なお登録の移転をした場合、移転先の知事が交付する宅建士証の有効期間は前の宅建士証の残存期間であり、5年に戻るわけではありません(業法22条の2第5項)。

    Q2. 保証協会に加入しようとする宅地建物取引業者は、加入の日から1週間以内に弁済業務保証金分担金を保証協会に納付しなければならない。

    答えを見る **× 誤り。** 分担金は加入しようとする日までに納付します(業法64条の9第1項1号)。1週間以内なのは、保証協会が分担金の納付を受けた日から弁済業務保証金を供託するまでの期限です(業法64条の7第1項)。納付する主体と供託する主体が入れ替えられた肢です。なお、社員が新たに事務所を設置したときの分担金の納付は、設置した日から2週間以内です(同条2項)。

    Q3. 宅地建物取引業者が自ら売主となり宅建業者でない買主と工事完了前の建物の売買契約を締結する場合、代金の額の5パーセントに相当する額の手付金を受領するときは、手付金等の保全措置を講じる必要はない。

    答えを見る **○ 正しい。** 工事完了前の物件では、手付金等の額が代金の100分の5以下かつ1,000万円以下であれば保全措置は不要です(業法41条1項ただし書、施行令3条の5)。「以下」なのでちょうど5パーセントなら不要です。5パーセントを超えたときは、超過部分ではなく全額について保全措置が必要になります。工事完了後の物件であれば基準は10分の1以下です(業法41条の2第1項ただし書)。

    Q4. 宅地建物取引業者は、事務所ごとに備える帳簿を各事業年度の末日をもって閉鎖し、閉鎖後10年間保存しなければならない。

    答えを見る **× 誤り。** 帳簿の保存期間は閉鎖後5年間で、業者が自ら売主となる新築住宅に係るものだけが10年間です(業法49条、施行規則18条3項)。10年が原則なのは従業者名簿のほうで、こちらは最終の記載をした日から10年間保存します(業法48条3項、施行規則17条の2第4項)。起算点も違い、帳簿は事業年度の末日で閉鎖してから、名簿は最終の記載をした日から数えます。

    Q5. 専属専任媒介契約を締結した宅地建物取引業者は、契約の締結の日から休業日を除き5日以内に当該物件を指定流通機構に登録し、依頼者に対して1週間に1回以上業務の処理状況を報告しなければならない。

    答えを見る **○ 正しい。** 専属専任媒介契約では、指定流通機構への登録が休業日を除いて5日以内(業法34条の2第5項、施行規則15条の10)、業務処理状況の報告が1週間に1回以上です(同条9項)。専任媒介契約では登録が7日以内、報告が2週間に1回以上となり、拘束の強い専属専任のほうが期限が短く頻度が高くなります。なお、目的物の売買の申込みがあったときは、契約の類型を問わず遅滞なく報告しなければなりません(同条8項)。

    Q6. 区分所有建物の売買の媒介を行う場合、宅地建物取引業法施行規則16条の2が定める説明事項は9項目であり、そのうち建物の貸借の契約では第三号および第八号に掲げるものだけを説明すれば足りる。

    答えを見る **× 誤り。** 令和7年内閣府・国土交通省令第2号(2026年4月1日施行)により施行規則16条の2に第9号が新設され、説明事項は9項目から10項目になりました。新設されたのは、管理者等が管理組合から委託を受けて管理事務を行うマンション管理業者である場合にその旨を説明するという規定で、旧第9号(維持修繕の実施状況の記録)は第10号に繰り下がっています。後半の「建物の貸借では第三号および第八号のみ」という部分は改正の前後で変わっておらず、正しい記述です。前半の項目数が誤りであるため、肢全体としては誤りになります。

    Q7. 宅地建物取引業者が事務所に置くべき成年者である専任の宅地建物取引士の数が不足したにもかかわらず、2週間以内に必要な措置を執らなかった場合、50万円以下の罰金に処せられる。

    答えを見る **× 誤り。** 業法31条の3第3項に違反した場合の罰則は、100万円以下の罰金です(業法82条2号)。50万円以下の罰金(業法83条1項)の対象は、変更の届出の懈怠、案内所等の届出の懈怠、37条書面の交付義務違反、報酬額の掲示義務違反、従業者証明書の携帯義務違反、標識の掲示義務違反、従業者名簿および帳簿の備付け義務違反などです。金額の段が1つずれています。

    まとめ

    宅建業法の数字を落とさないために押さえる点は、次の4つです。

    1. 制度ごとではなく値ごとに束ねる --- 5年、30日、2週間、1,000万円、10分の2というように同じ値の規定を並べておけば、試験で値を見た瞬間に候補を絞れます。制度ごとに覚えると、値の入れ替えに気づけません。
    2. 値には必ず理由と方向をつける --- 未完成物件のほうが保全の基準が厳しい、拘束の強い契約類型ほど期限が短い、主たる事務所は従たる事務所の2倍。方向が合っていれば、値を逆にした肢は消せます。
    3. 起算点と境界の扱いまでセットで覚える --- 「いつから」の30日か、「以下」なのか「超える」なのか、休業日を算入するのか、初日を数えるのか。値が合っていても、この4点で正誤が反転します。
    4. 数え上げの数字は中身で覚える --- 区分所有建物の重要事項説明が9項目から10項目になったように、項目数は改正で動きます。番号や個数ではなく、何が入って何が入らないかで覚えておけば、改正の影響を受けません。

    論点ごとの精度の上げ方は宅建業法で18問以上取る、直前期の一巡は宅建業法を2週間で仕上げる方法、免許と登録の数字の対比は宅建業の免許制度を横断整理へ進んでください。合格点そのものの推移が気になる場合は宅建の合格点の推移と令和8年度の見通しを参照してください。

    宅建試験AIブートラボのアプリでは、本記事で扱った数字を含む肢を条文根拠つきの解説で演習でき、間違えた数字だけを繰り返し確認できます。

    読んだ内容を、宅建業法の肢で確かめる

    宅建業法は20問と配点が最も大きく、確実に得点したい科目です。免許制度・重要事項説明・8種制限を肢別で固めましょう。

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