報酬額計算のパターン別攻略|売買・交換・貸借
宅建の報酬額計算を、売買・交換・貸借・代理・複数業者・権利金・空家特例のパターン別に解説。告示の条文と国土交通省の解釈・運用の考え方にもとづき、消費税の処理手順まで例題つきで整理します。
目次
この記事は、宅地建物取引業法46条と国土交通大臣の告示(昭和45年10月23日建設省告示第1552号、最終改正 令和6年6月21日国土交通省告示第949号)にもとづく報酬額の計算を、出題パターンごとの解き方に落とし込むためのものです。制度としての報酬額制限の全体像や告示の位置づけは報酬額の制限で扱っています。本記事はその先、すなわち「問題文を読んだときに、どのパターンだと判定し、どの順番で手を動かすか」に絞ります。
結論を先に述べます。報酬計算の問題は、次の3つを最初に確定させれば、あとは機械的に解けます。第一に取引の種類(売買・交換なのか、貸借なのか)。第二に取引態様(媒介なのか、代理なのか、依頼者はどちら側か)。第三に消費税(建物価格や借賃に税が含まれていないか、業者は課税事業者か免税事業者か)。この3点を問題文の余白に書き出してから計算に入る習慣をつけると、引っかけのほとんどを回避できます。
そのうえで、この記事では告示の条文そのものと、国土交通省が示している「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(令和8年4月1日施行版)の記述を根拠に置きます。市販の教材で「3パーセント+6万円」と書かれている速算式が、告示のどの文言から出てくるのか。特例の適用に「事前の説明と合意」が要るという説明は、いったい何に書かれているのか。ここを条文の側から押さえておくと、見慣れない設定の問題が出ても自分で判断できます。
計算の前に押さえる条文
宅地建物取引業法46条1項は、宅地建物取引業者が宅地または建物の売買、交換または貸借の代理または媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる、と定めています。そして同条2項が「前項の額をこえて報酬を受けてはならない」と規定し、超過受領を禁じています。計算問題で問われているのは、この2項に違反しない上限額です。
同条3項は、大臣が報酬の額を定めたときはこれを告示しなければならないとしており、これが冒頭に挙げた告示の根拠です。さらに同条4項は、業者に対し、事務所ごとに公衆の見やすい場所へ報酬の額を掲示する義務を課しています。計算そのものではありませんが、条文単位で問われる論点なので、宅建業法の数字まとめとあわせて記憶しておくとよいでしょう。
計算結果は上限であって請求額ではない
告示が定めているのが上限だけであるという制度の性格は報酬額の制限で扱っているので、ここでは計算問題に直結する一点だけを確認します。解釈・運用の考え方は、宅地建物取引業法34条の2に関する記述の中で、媒介業務に対する報酬の額は告示で定める限度額の範囲内でなければならないが、報酬の限度額を当然に請求できるものではなく、具体的な報酬額は、業者が行おうとする媒介業務の内容等を考慮して依頼者と協議して決める事項である、としています。したがって、速算式で出した額を「受領しなければならない」「請求する義務がある」と書く選択肢は、計算が合っていても誤りです。上限の範囲内であれば無報酬でも構いません。答えを出したあと、選択肢の文末が「できる」なのか「しなければならない」なのかを必ず読んでください。
報酬請求権が発生するのはいつか
媒介契約は、法律行為でない事務の委託にあたるため、民法656条により委任の規定が準用される準委任契約と解されています。民法648条1項は、受任者は特約がなければ委任者に対して報酬を請求することができないと定め、同条2項は、報酬を受けるべき場合には委任事務を履行した後でなければこれを請求することができないとしています。もっとも、宅地建物取引業者は商人ですから、商法512条により、その営業の範囲内において他人のために行為をしたときは相当な報酬を請求することができます。
実務上は、報酬請求権は媒介契約にもとづく業務によって売買や貸借の契約が成立したときに発生するのが原則です。成立に至らなければ、上限額の範囲内であっても報酬を請求することはできません。したがって「媒介の依頼を受けた時点で報酬の半額を受領した」といった選択肢は、上限額の計算以前の問題として誤りになります。媒介契約の類型ごとの業務内容や有効期間は媒介契約の3類型で、書面の記載事項は媒介契約書の記載事項で扱っています。
関連して、標準媒介契約約款の運用について、解釈・運用の考え方は二つの取扱いを示しています。第一に、ローンの不成立が確定し、これを理由として依頼者が売買契約を解除したときは、業者は受領した約定報酬額を返還しなければならないこと。第二に、媒介契約の有効期間終了後2年以内に、依頼者が業者の紹介によって知った相手方と直接取引をした場合には、業者に契約の成立に寄与した割合に応じた相当額の報酬請求権が認められること。どちらも計算問題そのものではありませんが、報酬に関する条文単位の出題で顔を出します。
違反したときに動く条文
超過受領(46条2項)、掲示義務違反(46条4項)、不当に高額の報酬の要求(47条2号)で罰則の重さが違い、しかも受け取った超過受領より要求だけの高額要求のほうが重い、という対比は報酬額の制限と宅建業法の罰則一覧で扱っています。条番号と金額は後述の「軸3 数字を対で覚える」でまとめて挙げます。47条が並べる禁止行為の全体は宅建業法47条の禁止行為を参照してください。
計算問題との関係で押さえておきたいのは、条文が違反を条番号で列挙しているという点です。65条2項2号は業務停止の対象となる違反を列挙していますが、そこに挙がっているのは「第四十六条第二項」であって4項ではありません。したがって超過受領は1年以内の期間を定めた業務停止の対象となり、これに該当して情状が特に重いときは66条1項9号により免許が必要的に取り消されますが、掲示義務違反はこの号を根拠に業務停止とはならず、拾うとすれば65条1項各号や2項5号(宅地建物取引業に関し不正または著しく不当な行為をしたとき)の一般条項になります。処分の体系そのものは宅建業法の全体像で確認してください。
掲示の方法については、解釈・運用の考え方が、書面ではなくデジタルサイネージ等のICT機器を活用した掲示も、営業時間内その他公衆が必要なときに報酬の額を確認できること、およびその機器で報酬の額を確認できる旨の表示が常時わかりやすい形でなされていることの二つを満たせば、掲示義務を果たすものと考えて差し支えないとしています。
告示は税込みの率で書かれている
ここから計算に入りますが、その前に一つ、市販教材ではほとんど説明されない前提を確認しておきます。告示第二の表に書かれている率は、実は「100分の5」「100分の4」「100分の3」ではありません。
告示の表は5.5・4.4・3.3
告示第二は、業者が売買または交換の媒介に関して依頼者から受けることのできる報酬の額を、依頼者の一方につき、代金の額を次の区分に分けてそれぞれの率を乗じた金額の合計額以内としています。200万円以下の金額については100分の5.5、200万円を超え400万円以下の金額については100分の4.4、400万円を超える金額については100分の3.3です。
なぜ0.5ずつ上乗せされた率になっているのか。告示第二の柱書が、ここでいう報酬の額を「当該媒介に係る消費税等相当額を含む」と定義しているからです。つまり告示の率は、はじめから消費税等相当額を織り込んだ税込みの率なのです。告示第一は「消費税等相当額」を、消費税法2条1項9号に規定する課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額と、当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する金額をいう、と定義しています。
これに対し、教材で使う「代金 × 3パーセント + 6万円」は税抜きの報酬額を出す式です。両者はずれているのではなく、同じものを違う順序で書いているだけです。税抜きの額に1.1を掛ければ告示の額と一致します。3 × 1.1 = 3.3、4 × 1.1 = 4.4、5 × 1.1 = 5.5という関係です。
代金3,500万円で確かめます。税抜き方式では 3,500万円 × 3パーセント + 6万円 = 111万円、これに1.1を掛けて122万1,000円。告示の率で直接計算すると、200万円 × 5.5パーセント = 11万円、200万円 × 4.4パーセント = 8万8,000円、3,100万円 × 3.3パーセント = 102万3,000円で、合計122万1,000円。完全に一致します。
試験では税抜き方式のほうが計算が楽なので、そちらを使って構いません。ただし、告示の条文を引用した選択肢が「100分の5.5」と書いていたときに、これを誤りだと判断してしまわないよう、条文の側の姿を知っておいてください。
1.1という数字の内訳
なお、この1.1が消費税10パーセントに対応することは分かりますが、10パーセントという税率は一つの法律から出てくるものではありません。消費税法29条1号が定める消費税の税率は100分の7.8です。これに加えて、地方税法72条の77第2号が地方消費税のうち譲渡割を「消費税額を課税標準として課する地方消費税」と定義し、同法72条の83が地方消費税の税率を78分の22と定めています。7.8パーセントの78分の22は2.2パーセントですから、両者を合わせて10パーセントになります。告示が「消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する金額」という回りくどい定義を置いているのは、この二層構造を正確に指すためです。
免税事業者は1.1ではなく1.04
告示第二の柱書には、もう一つ見落としやすい括弧書きがあります。「宅地建物取引業者(課税事業者……である場合に限る。……)」という限定です。第三から第五まで、第七から第十まで、そして第十一(1)についても同じ限定がかかります。つまり告示第二以下の計算は、消費税を納める義務がある課税事業者を前提としています。
では免税事業者はどうなるか。告示第十一(2)が、消費税法9条1項本文の規定により消費税を納める義務を免除される業者が受けることができる報酬の額は、第二から第十までの規定に準じて算出した額に110分の100を乗じて得た額(解釈・運用の考え方がこれを「税抜金額」と呼んでいます)、当該代理または媒介における仕入れに係る消費税等相当額、および第十一(1)ただし書の額を合計した金額以内とする、と定め、解釈・運用の考え方がこの仕入れに係る消費税等相当額を税抜金額の0.04倍までと限っています。条文と考え方の関係そのものは報酬額の制限で扱っているので、ここでは計算の形だけを確認します。実質的に、税抜きの報酬額に1.04を掛けた額が免税事業者の上限になります。
代金2,000万円の宅地の売買を媒介した場合で確かめます。税抜きの報酬額は 2,000万円 × 3パーセント + 6万円 = 66万円です。課税事業者なら 66万円 × 1.1 = 72万6,000円。免税事業者なら 66万円 × 0.04 = 2万6,400円を上乗せして、68万6,400円が上限です。「免税事業者は一切上乗せできない」という選択肢は誤りになります。あわせて、解釈・運用の考え方は、この転嫁される金額は報酬額の一部となるものであって、消費税および地方消費税として別途受け取るものではない、と注意しています。
すべての計算は税抜きに直すことから始まる
報酬計算で最も多い失点は、計算式の暗記漏れではなく、消費税の処理です。告示が定める率を掛ける対象は、消費税等相当額を含まない価額です。告示第二は、代金の額について「当該売買に係る消費税等相当額を含まないものとする」と明記し、告示第四は借賃について同じ限定を置いています。したがって問題文に税込みの金額が示されているときは、必ず税抜きに戻してから率を掛けます。
土地は非課税、建物は課税
消費税法6条1項は、国内において行われる資産の譲渡等のうち別表第二に掲げるものには消費税を課さないと定めています。その別表第二の第一号が「土地(土地の上に存する権利を含む。)の譲渡及び貸付け」です。一方、建物の譲渡は別表第二に掲げられていないので課税されます。したがって土地付き建物の売買では、代金の内訳のうち建物部分にだけ消費税が含まれている可能性があり、そこだけを税抜きに直す必要があります。
例題を1つ置きます。土地の代金が2,000万円、建物の代金が1,650万円(消費税込み)である宅地建物の売買を媒介した場合を考えます。手順は次のとおりです。
- 建物代金を税抜きに戻す。1,650万円 ÷ 1.1 = 1,500万円。
- 土地には消費税が含まれていないので、そのまま2,000万円とする。
- 報酬計算の基礎となる代金を合算する。2,000万円 + 1,500万円 = 3,500万円。
- 400万円超なので速算式を使う。3,500万円 × 3パーセント + 6万円 = 111万円。
- 課税事業者であれば消費税等相当額を上乗せする。111万円 × 1.1 = 122万1,000円。
もし手順1を飛ばして3,650万円で計算すると、3,650万円 × 3パーセント + 6万円 = 115万5,000円となり、税込みで127万500円という誤った額が出ます。選択肢にはこの誤答がそのまま並んでいることが多いので、税込み表示を見た瞬間に割り戻す反射を作ってください。なお、問題文が「代金3,300万円(うち消費税額150万円)」のように税額を直接示している形もあります。その場合は割り算をせず、3,300万円 − 150万円 = 3,150万円を基礎にします。割り戻すのか、引くのか、問題文がどちらの形で与えているかを先に見てください。
借賃にも同じ処理が必要
貸借の場合も同様です。別表第二の第十三号が「住宅(人の居住の用に供する家屋又は家屋のうち人の居住の用に供する部分をいう。)の貸付け」を非課税としているため、居住用建物の借賃には消費税が含まれません。これに対し、事務所や店舗など事業用建物の貸付けは課税されます。したがって「事務所の借賃は月額22万円(消費税込み)」とあれば、20万円に戻してから1か月分の上限を計算します。居住用建物であれば割り戻しは不要です。ここを取り違えると、居住用なのに割り戻してしまうという逆方向のミスが起きます。
もっとも、非課税には除外があります。別表第二第十三号は、非課税となるのは「当該貸付けに係る契約において人の居住の用に供することが明らかにされている場合」に限るとし、さらに「一時的に使用させる場合その他の政令で定める場合」を除いています。消費税法施行令16条の2は、この政令で定める場合を、住宅の貸付けに係る期間が1月に満たない場合、および当該貸付けが旅館業法2条1項に規定する旅館業に係る施設の貸付けに該当する場合としています。したがって、居住用の建物であっても、貸付期間が1月未満であれば課税されます。
土地の貸付けについても同じ構造があります。消費税法施行令8条は、別表第二第一号で非課税から除外される場合を、土地の貸付けに係る期間が1月に満たない場合、および駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合としています。駐車場としての土地の貸付けであっても、施設の利用に伴って土地が使用されるものであれば、この規定により課税されるということです。
宅建の報酬計算でここまで踏み込んだ設定が出ることは多くありませんが、「土地の貸付けは常に非課税である」といった断定的な選択肢が出たときの判断材料になります。貸借の実務的な流れそのものは賃貸仲介の実務で扱っています。
パターン1 売買・交換の媒介
売買または交換の媒介では、告示第二が代金の額を3つに区分し、区分ごとの率を定めています。ここでいう「金額」は代金の総額ではなく、その区分に属する部分の金額である点に注意してください。以下、計算のしやすさから税抜きの率(5パーセント、4パーセント、3パーセント)で書き、最後に1.1を掛ける形で進めます。
区分計算から速算式が出てくる理由
代金500万円の物件を例に、区分計算を実際にやってみます。
- 200万円以下の部分。200万円 × 5パーセント = 10万円。
- 200万円を超え400万円以下の部分、すなわち200万円分。200万円 × 4パーセント = 8万円。
- 400万円を超える部分、すなわち100万円分。100万円 × 3パーセント = 3万円。
- 合計すると21万円。
これを速算式「代金 × 3パーセント + 6万円」で解くと、500万円 × 3パーセント + 6万円 = 21万円となり、一致します。なぜ一致するのかを式で確かめておくと、速算式を忘れても現場で作り直せます。代金をXとすると、区分計算は 200 × 0.05 + 200 × 0.04 + (X − 400) × 0.03 です。これを整理すると 10 + 8 + 0.03X − 12 = 0.03X + 6 となり、6万円という加算額の正体が「低い区分で多めに取れる分の合計」であることが分かります。
同じ考え方で、代金が200万円を超え400万円以下の場合の速算式も導けます。200 × 0.05 + (X − 200) × 0.04 = 10 + 0.04X − 8 = 0.04X + 2 なので、「代金 × 4パーセント + 2万円」です。200万円以下の場合は区分が1つしかないため、単純に「代金 × 5パーセント」となり、加算はありません。加算額が2万円と6万円である理由まで理解しておけば、「4パーセント + 6万円」のような混ぜ方の選択肢に引っかかりません。
上限は依頼者の一方ごとに立つ
代金2,000万円(消費税等相当額を含まない)の宅地の売買を、Aが売主から媒介の依頼を受けて成立させた場合を考えます。Aは課税事業者です。
- 目的物は宅地なので、代金に消費税は含まれない。割り戻しは不要。
- 400万円超なので速算式を使う。2,000万円 × 3パーセント + 6万円 = 66万円。
- 消費税等相当額を上乗せする。66万円 × 1.1 = 72万6,000円。
ここで重要なのは、この72万6,000円という額が「依頼者の一方あたり」の上限だという点です。告示第二がまさに「依頼者の一方につき、それぞれ」と書いています。解釈・運用の考え方も、この規定は依頼者のそれぞれ一方から受けることのできる限度額を定めたものであり、依頼者の双方から報酬を受ける場合および一方のみから受ける場合のいずれにあっても、それぞれ一方から受ける報酬の額が当該限度額以下でなければならない、と説明しています。
したがってAが売主と買主の双方から媒介の依頼を受けていれば、それぞれから72万6,000円を上限として受領でき、合計は145万2,000円まで認められます。売買の媒介では、依頼者ごとに上限が立つ、と覚えてください。この構造が、次に述べる代理との違いを理解する土台になります。
代金が低い場合の落とし穴
代金300万円の宅地であれば、200万円を超え400万円以下なので、300万円 × 4パーセント + 2万円 = 14万円、税込みで15万4,000円です。代金180万円であれば200万円以下なので、180万円 × 5パーセント = 9万円、税込みで9万9,000円となります。
低額物件では速算式の適用区分を誤りやすく、「180万円 × 4パーセント + 2万円 = 9万2,000円」といった、それらしい誤答が用意されます。区分の境界である200万円と400万円は、代金そのものと比較する数字であって、報酬額と比較する数字ではありません。
境界ちょうどの金額が出たときの扱いも確認しておきます。告示第二の区分は「200万円以下の金額」「200万円を超え400万円以下の金額」「400万円を超える金額」という書き方なので、境界の額はいずれも下の区分に属します。代金が400万円ちょうどであれば、400万円を超える部分は存在しないので、区分計算は 200万円 × 5パーセント + 200万円 × 4パーセント = 18万円です。「400万円 × 3パーセント + 6万円 = 18万円」という速算式を当ててもたまたま同じ額になりますが、これは加算額6万円が境界での連続性を保つように設計されているためであり、区分の帰属が変わったわけではありません。代金が200万円ちょうどであれば、200万円 × 5パーセント = 10万円で、加算はありません。「200万円 × 4パーセント + 2万円 = 10万円」も同額になります。境界の額では隣り合う二つの式が一致するので、どちらを使っても答えは合います。ただし400万円で「400万円 × 5パーセント = 20万円」としたり、200万円で「200万円 × 3パーセント + 6万円 = 12万円」としたりすれば当然ずれるので、隣り合わない式まで持ち込まないでください。なお、この価格帯は後述する低廉な空家等の特例(代金800万円以下)の射程にも入るので、問題文に「通常の売買の媒介と比較して現地調査等の費用を要するもの」という限定がついていないかを必ず確認してください。
パターン2 売買・交換の代理
告示第三は、売買または交換の代理について、業者が依頼者から受けることのできる報酬の額を、第二の計算方法により算出した金額の2倍以内と定めています。ただし、この「2倍」の理解を誤ると、複数業者が関与する問題でほぼ確実に失点します。
2倍は取引全体の総枠でもある
告示第三にはただし書があります。「宅地建物取引業者が当該売買又は交換の相手方から報酬を受ける場合においては、その報酬の額と代理の依頼者から受ける報酬の額の合計額が第二の計算方法により算出した金額の2倍を超えてはならない」というものです。
解釈・運用の考え方は、この「当該売買又は交換の相手方から報酬を受ける場合」を、代理行為とあわせて媒介的行為が行われる場合に、代理の依頼者のほか売買または交換の相手方からも報酬を受ける場合を指す、と説明しています。つまり2倍という数字は、一方の依頼者から取れる額の上限であると同時に、その取引で受け取れる総額の上限でもあります。片方から2倍を取れば、相手方からは1円も受け取れません。
代金1,000万円(税抜き)の宅地について考えます。媒介の場合の基準額は 1,000万円 × 3パーセント + 6万円 = 36万円です。代理を受任した業者Aが依頼者から受領できるのは 36万円 × 2 = 72万円、税込み79万2,000円が上限です。Aが相手方からも報酬を受けるのであれば、依頼者からの額と相手方からの額の合計が72万円(税込み79万2,000円)以内に収まらなければなりません。
代理には代理の率表がある
解釈・運用の考え方は、告示第三にいう「第二の計算方法により算出した額の2倍」について、区分ごとの率をそのまま2倍にした表を掲げています。200万円以下の金額については100分の11、200万円を超え400万円以下の金額については100分の8.8、400万円を超える金額については100分の6.6です。
これは告示第二の税込み率(5.5、4.4、3.3)をそれぞれ2倍したものです。実際に使う必要はありませんが、代理の上限が「媒介の2倍」であることが率のレベルで表現されている、という確認になります。代金1,000万円なら、200万円 × 11パーセント = 22万円、200万円 × 8.8パーセント = 17万6,000円、600万円 × 6.6パーセント = 39万6,000円で、合計79万2,000円。先ほどの結論と一致します。
パターン3 複数の業者が関与する場合
一つの取引に複数の宅地建物取引業者が関与する場合、上限をどう組み立てるかは、全員が媒介なのか、代理が混ざるのかで変わります。解釈・運用の考え方が、この二つを分けて明示しています。
全員が媒介の場合は依頼者側ごとに一枠
複数の業者が一個の宅地または建物の売買または交換の媒介をしたときは、その複数の業者が依頼者の一方から受領する報酬額の総額が、告示第二の計算方法により算出した金額以内でなければならない、というのが解釈・運用の考え方の定めです。
ここで枠が立つ単位は「依頼者の一方」です。代金1,000万円の宅地について、Aが売主から、Bが買主から、それぞれ媒介の依頼を受けたのであれば、売主側の枠が36万円(税込み39万6,000円)、買主側の枠が36万円(税込み39万6,000円)で、合計72万円(税込み79万2,000円)まで受領できます。仮に売主側にAとCの2社が関与しているのであれば、AとCが売主から受ける額の合計が36万円以内でなければなりません。1社ごとに36万円ではありません。
代理が混ざる場合は取引全体で2倍
複数の業者が一個の売買等の代理、または代理および媒介をしたときは、その複数の業者が受領する報酬額の総額が、告示第二の計算方法により算出した金額の2倍以内でなければならない、とされています。ここでは枠が「取引全体」で一つになります。
同じ代金1,000万円の例で、Aが売主の代理、Bが買主の媒介として関与したとします。
- 媒介の基準額を出す。1,000万円 × 3パーセント + 6万円 = 36万円。
- 取引全体の総枠を出す。36万円 × 2 = 72万円(税抜き)。
- Bは買主の媒介なので、単独では36万円(税込み39万6,000円)まで受領できる。
- Bが36万円を受領したなら、Aが受領できるのは 72万円 − 36万円 = 36万円(税込み39万6,000円)まで。
- 逆にBが報酬を受領しないのであれば、Aは72万円(税込み79万2,000円)まで受領できる。
代理を受任した業者は常に2倍を取れる、と覚えていると、この4番で誤ります。代理だから2倍なのではなく、代理が関与する取引では全体で2倍という枠があり、その枠を関与業者で分け合うのだ、と理解してください。
なお、解釈・運用の考え方は、双方に代理人が立つ場合についても言及しています。大臣が定める報酬の額は取引物件一件についての額であるから、売買等の当事者の双方が別々の業者に代理または媒介を依頼した場合には、双方の代理人の受ける報酬の額の合計が大臣の定める額を限度とするものでなければならない、というものです。売主の代理と買主の代理が別々に2倍ずつ取ることはできません。
特例が働くときは総枠の基準が入れ替わる
解釈・運用の考え方は、この二つの総額規制のそれぞれに括弧書きを置いています。媒介の総額規制については、告示第七の規定に基づき報酬を受ける場合にあっては、依頼者の一方から受領する報酬額の総額が告示第七の規定により算出した金額以内でなければならない、とされています。低廉な空家等の特例が働けば、依頼者の一方あたりの枠が33万円に置き換わるということです。
代理が絡む場合の総額規制についても同様に、告示第八の規定に基づき報酬を受ける場合にあっては、告示第八の規定により算出した金額以内でなければならない、とされています。ここは読み間違えやすいところです。告示第八は「第七の規定により算出した金額の2倍以内」ですから、その額は税込み66万円です。総枠はこの66万円であって、66万円をさらに2倍した額ではありません。「代理が絡むと2倍」という反射のまま、33万円の特例額を2倍して総枠66万円、さらにそれを2倍して132万円、と積み重ねてしまうと誤ります。特例の条文自体がすでに2倍を織り込んでいる、と押さえてください。
消費税の上乗せは各業者ごと
告示が定める枠は、いずれも消費税等相当額を含んだ額です。したがって、税抜きで枠を出して最後に1.1を掛けても、はじめから告示の税込みの率で計算しても、結論は変わりません。計算量が少ないのは前者なので、税抜きで総枠を出し、各業者が自分の受領額に消費税等相当額を上乗せする形で進めるのが安全です。関与する業者の中に免税事業者がいる場合は、その業者の額についてだけ、1.1ではなく1.04を掛けることになります。取引態様の表示義務については取引態様の明示義務で扱っていますが、報酬計算の問題文でも「Aは売主の代理」「Bは買主から媒介の依頼」といった形で態様が明示されるので、まずそこに印をつけてください。この読み取りを外すタイプの引っかけは、引っかけ表現のパターンで扱う典型例の一つです。
パターン4 交換
交換の媒介・代理も、売買と同じ率で計算します。異なるのは、何を計算の基礎にするかという一点だけです。
告示第二は、交換に係る宅地または建物の価額に差があるときは、これらの価額のうちいずれか多い価額を基準とすると定めています。高い方を採用するのであって、安い方でも、平均でも、差額でもありません。解釈・運用の考え方も、「交換に係る宅地又は建物の価額に差があるとき」とは交換差金が支払われる場合等、交換に係る両方の物件の価額が異なることを指し、「これらの価額のうちいずれか多い価額」とは両方の物件の価額のうちいずれか多い方を指す、と念を押しています。
甲地の価額が3,000万円、乙地の価額が3,500万円の交換を媒介した場合を考えます。いずれも土地なので消費税は考慮しません。
- 高い方の価額を基準にする。3,500万円。
- 400万円超なので速算式。3,500万円 × 3パーセント + 6万円 = 111万円。
- 税込み。111万円 × 1.1 = 122万1,000円。
これが依頼者の一方から受けられる上限です。ここで頻出の引っかけが二つあります。一つは、差額である500万円を基準にした選択肢です。交換差金は基準になりません。もう一つは、建物が含まれる場合の消費税処理です。甲地(土地)の価額が2,000万円、乙建物の価額が2,750万円(消費税込み)という交換であれば、まず乙建物を税抜きに戻して2,500万円とし、そのうえで高い方である2,500万円を基準にします。2,500万円 × 3パーセント + 6万円 = 81万円、税込み89万1,000円です。税込みのまま2,750万円で比較しても「高い方」の結論は変わりませんが、計算の基礎に税込み額を使うと答えが狂います。比較の前に割り戻す、という順序を守ってください。
価額はどう決まるか
交換には代金がないので、何をもって「価額」とするかが問題になります。解釈・運用の考え方は、「交換に係る宅地若しくは建物の価額」とは、交換に係る宅地または建物の適正かつ客観的な市場価格を指すものであり、その算定に当たっては必要に応じ不動産鑑定業者の鑑定評価を求めることとする、としています。当事者が申し合わせた名目上の価額をそのまま使ってよいわけではありません。この「適正かつ客観的な」という限定は、後述する使用貸借の場合の「通常の借賃」にも同じ趣旨で置かれています。
交換の代理も媒介の2倍
告示第三は「売買又は交換の代理」をまとめて規定しているため、交換の代理についても、媒介の場合の報酬額の2倍以内という枠がそのまま当てはまります。先ほどの甲地3,000万円・乙地3,500万円の例で、業者が一方の当事者から交換の代理の依頼を受けたのであれば、媒介の基準額111万円の2倍である222万円、税込み244万2,000円が上限です。相手方からも報酬を受ける場合、その合計額が222万円(税抜き)を超えてはならない点も、売買の代理と同じです。交換だから特別な計算になるのは「高い方の価額を基準にする」という一点だけで、態様による上限の立ち方は売買とまったく同じである、と整理しておいてください。
パターン5 貸借の媒介・代理
貸借は、売買・交換とはまったく別の体系です。率も速算式も使いません。告示第四は貸借の媒介について、依頼者の双方から受けることのできる報酬の額の合計額は、当該宅地または建物の借賃の1月分の1.1倍に相当する金額以内と定めています。ここでも告示は消費税等相当額を含んだ数字で書かれています。税抜きの水準でいえば「借賃1か月分ちょうど」であり、そこに消費税等相当額を上乗せした結果が1.1倍だ、という関係です。売買の率が5.5・4.4・3.3であるのと同じ書き方だと理解しておけば、教材が「1か月分」と書き、条文が「1.1倍」と書いていても混乱しません。
合計で1か月分という枠
売買の媒介では依頼者ごとに上限が立ちましたが、貸借では取引全体で1か月分という一つの枠を貸主と借主で分け合います。この違いは頻出です。借賃が月額12万円(消費税がかからない居住用建物)の場合、貸主から受ける額と借主から受ける額の合計が、12万円 × 1.1 = 13万2,000円を超えてはなりません。
さらに踏み込むと、解釈・運用の考え方は重要な補足をしています。告示第四の前段は合計額の限度額のみを定めたものであり、貸借の媒介に関しては、売買または交換の媒介と異なり、依頼者のそれぞれ一方から受ける報酬の額、割合等については特段の規制はない、というのです。したがって報酬の合計額がこの限度額内であれば、依頼者の双方からどのような割合で報酬を受けてもよく、また依頼者の一方のみから報酬を受けることもできる、と明記されています。
これは事業用建物の貸借では実質的に大きな意味を持ちます。事務所の借賃が月額30万円であれば、業者は借主だけから33万円を受領しても、貸主だけから33万円を受領しても、15万円ずつ分けても構いません。合計が33万円を超えなければよいのです。「一方から受けられるのは半分まで」という制限は、次に述べる居住用建物にだけかかる特則であって、貸借一般のルールではありません。
代理の場合も同じです。告示第五は、貸借の代理について、依頼者から受けることのできる報酬の額は借賃の1月分の1.1倍以内とし、ただし書で、相手方からも報酬を受ける場合にはその合計額が1月分の1.1倍を超えてはならないとしています。売買のように2倍にはなりません。「代理は媒介の2倍」という記憶が貸借にまで及んでしまうのが典型的な失点で、選択肢もそこを狙ってきます。売買・交換は2倍、貸借は2倍にならない、と対比で覚えてください。
具体的に確かめておきます。事務所の借賃が月額30万円(消費税等相当額を含まない)の貸借について、業者Aが貸主から代理の依頼を受け、業者Bが借主から媒介の依頼を受けて契約を成立させたとします。この取引で全業者が受領できる報酬の合計額は、借賃1か月分である30万円に消費税等相当額を加えた33万円が上限です。Bが借主から16万5,000円を受領したのであれば、Aが貸主から受領できるのは残りの16万5,000円までとなります。売買であれば代理が絡むと総枠が2倍になりましたが、貸借では代理が絡んでも枠は1か月分のまま動きません。この違いが最も出題されやすい箇所です。
使用貸借と定期借家の再契約
告示第四は「借賃」について、当該媒介が使用貸借に係るものである場合においては、当該宅地または建物の通常の借賃をいう、という括弧書きを置いています。無償で貸す使用貸借の媒介でも報酬はゼロにならず、通常の借賃を基準に上限が立つということです。解釈・運用の考え方は、この「通常の借賃」を、当該宅地または建物が賃貸借される場合に通常定められる適正かつ客観的な賃料を指すものとし、算定に当たっては必要に応じて不動産鑑定業者の鑑定評価を求めることとする、としています。
計算としては単純で、実際の借賃の欄に「通常の借賃」を代入するだけです。事務所として使う建物を無償で貸す使用貸借の媒介で、その建物が賃貸借される場合の通常の借賃が月額20万円であるなら、双方から受ける報酬の合計額の上限は 20万円 × 1.1 = 22万円です。借賃が現実に支払われないから報酬もゼロだ、という選択肢は誤りになります。逆に、当事者が名目上の低額な借賃を定めていても、それが賃貸借であるかぎり基準になるのはその借賃であって、「通常の借賃」に置き換えるわけではありません。置き換えが起きるのは使用貸借の場合だけだ、という限定を落とさないでください。
また、定期建物賃貸借の再契約に関して業者が受けることのできる報酬についても、新規の契約と同様に告示の規定が適用されることが明示されています。再契約は更新ではなく新しい契約なので、媒介の報酬が発生し、その上限は借賃1か月分の1.1倍という原則どおりになります。定期借家の仕組みそのものは賃貸借契約の注意点で扱っています。
居住用建物の特則と承諾の時期
居住用建物の貸借の媒介については、告示第四の後段が制限を加えています。居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の1月分の0.55倍に相当する金額以内とする、というものです。税抜きでいえば「2分の1」です。先ほどの月額12万円の例でいえば、貸主からも借主からも、それぞれ6万6,000円までとなります。
ここで、二つの限定が試験に出ます。
第一に「居住の用に供する建物」の範囲です。解釈・運用の考え方は、これを専ら居住の用に供する建物を指すものであり、居住の用に供する建物で事務所、店舗その他居住以外の用途を兼ねるものは含まれない、としています。したがって店舗兼住宅の貸借の媒介には0.55倍の制限がかからず、一方から1.1倍を受領することも可能です。「居住用部分があるから半分まで」という判断は誤りになります。
第二に承諾の内容と時期です。解釈・運用の考え方は、「当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合」とは、媒介の依頼を受けるに当たって、依頼者から借賃の1月分の0.55倍に相当する金額以上の報酬を受けることについての承諾を得ている場合を指す、としたうえで、この承諾は業者が媒介の依頼を受けるに当たって得ておくことが必要であり、依頼後に承諾を得ても後段に規定する承諾とはいえず、後段の規制を受けるものである、と明言しています。「契約成立後に借主の承諾を得たので1か月分を受領した」という選択肢は誤りです。
なお、承諾によって一方からの上限が上がっても、双方からの合計が1か月分の1.1倍以内という枠は変わりません。解釈・運用の考え方も、承諾がある場合には、依頼者から受ける報酬の合計額が借賃の1月分の1.1倍に相当する金額を超えない限り、当該承諾に係る依頼者から受ける報酬の額、割合等については特段の規制はない、と説明しています。貸主から1か月分を受領したなら、借主からは受領できないことになります。
パターン6 権利金の授受がある場合
告示第六は、宅地または建物(居住の用に供する建物を除く)の賃貸借で権利金の授受があるものの代理または媒介について、告示第四または第五の規定にかかわらず、当該権利金の額(消費税等相当額を含まないものとする)を売買に係る代金の額とみなして、告示第二または第三の規定によることができると定めています。
対象から外れるのは居住用「建物」だけ
条文の括弧書きをよく読んでください。除かれているのは「居住の用に供する建物」であって、宅地は除かれていません。解釈・運用の考え方も、この規定は居住の用に供する建物の賃貸借の代理または媒介に関して依頼者から受ける報酬の額については適用されない、と述べているだけです。したがって、居住用建物の敷地となる土地であっても、宅地の貸借について権利金の授受があるのであれば、この特例を使うことができます。「事業用でなければ使えない」と覚えていると、土地の貸借の事例で誤ります。
権利金にあたるもの、あたらないもの
告示第六は権利金を、権利金その他いかなる名義をもってするかを問わず、権利設定の対価として支払われる金銭であって返還されないものをいう、と定義しており、解釈・運用の考え方が、礼金等の返還されない金銭は該当するが敷金等の返還される金銭は該当しない、と具体化しています。名称ではなく返還されるかどうかで決まるという整理は報酬額の制限で詳しく扱っているので、計算のうえでは、問題文が挙げる金銭を「返還される・されない」で仕分けてから権利金の額を確定する、という手順だけを固定してください。敷金を権利金に混ぜて基礎を膨らませる形の出題が考えられます。
有利な方を選べる
事務所の貸借で、借賃が月額20万円(消費税等相当額を含まない)、返還されない権利金が300万円である場合を考えます。
- 借賃を基準にする方法。双方合計で 20万円 × 1.1 = 22万円。
- 権利金を売買代金とみなす方法。300万円は200万円超400万円以下なので、300万円 × 4パーセント + 2万円 = 14万円。これが依頼者の一方あたりの上限となり、税込みで15万4,000円。双方から受ければ合計30万8,000円。
- 告示第六は「……によることができる」という書き方なので、業者は有利な方を選択できる。この事例では権利金基準を採用する。
権利金基準に切り替えた瞬間、貸借の「合計で一枠」という構造が消えて、売買と同じ「依頼者の一方ごとに一枠」という構造に変わる点に注意してください。ここが最も効くところです。「アパートの貸借で権利金の授受があるので売買の規定で計算した」という選択肢は、目的物が居住用建物である以上、誤りになります。
パターン7 低廉な空家等・長期の空家等の特例
低額の物件や長期間使われていない物件は、価格や賃料に比して現地調査などの手間がかかるため、通常の計算では業者が採算を確保できず、流通が滞るという問題がありました。これに対応するのが告示第七から第十までの特例です。令和6年6月21日国土交通省告示第949号による改正で内容が大きく変わり、令和6年7月1日から施行されています。令和8年度試験の基準日である2026年4月1日時点でも、この改正後の内容が現行です。改正論点の全体は宅建業法の改正ポイントと令和8年度試験に影響する法改正まとめにまとめています。
低廉な空家等の売買・交換の媒介
告示第七は、低廉な空家等、すなわち売買に係る代金の額(消費税等相当額を含まない)または交換に係る宅地もしくは建物の価額が800万円以下の金額である宅地または建物について、その売買または交換の媒介に関して依頼者から受けることのできる報酬の額を、告示第二の規定にかかわらず、当該媒介に要する費用を勘案して第二の計算方法により算出した金額を超えて受け取ることができるとし、この場合において当該依頼者から受ける報酬の額は30万円の1.1倍に相当する金額を超えてはならない、としています。税込みで33万円です。
ここで、名称に引きずられて誤解しやすい点があります。解釈・運用の考え方は、「低廉な空家等」とは代金の額または価額が800万円以下の金額の宅地または建物をいい、当該宅地または建物の使用の状態を問わない、と明記しています。つまり現に人が住んでいる物件でも、空き家でなくても、800万円以下でありさえすれば「低廉な空家等」に当たります。「空家」という語は制度の趣旨を表しているだけで、要件ではありません。
「当該媒介に要する費用」については、人件費等を含むものであり、「費用を勘案して」とは、報酬額の算出に当たって取引の態様や難易度等に応じて当該媒介業務に要すると見込まれる費用の水準や多寡を考慮することを求めるものであって、当該費用に相当する金額を上回る報酬を受けることを禁ずる趣旨のものではない、とされています。実費の上限まで、という意味ではありません。
適用の手続要件も重要です。解釈・運用の考え方は、業者がこの規定に基づき告示第二の計算方法により算出した金額を超えて報酬を受ける場合には、媒介契約の締結に際しあらかじめ、この規定に定める上限の範囲内で、報酬額について依頼者に対して説明し、合意する必要があることに特に留意すること、としています。合意なく一方的に増額することはできません。
なお、改正前は対象が代金400万円以下で、上限が18万円(税抜き)、しかも受領できる相手は売主である依頼者または交換を行う依頼者に限られていました。改正後の告示第七は「依頼者から受けることのできる報酬の額」とだけ書いており、売主側に限る文言がありません。買主側の依頼者からも受領できます。古い教材や過去問の解説には改正前の数字が残っているので、必ず現行の数字で覚え直してください。
数字の設計には意味があります。代金800万円の通常計算は 800万円 × 3パーセント + 6万円 = 30万円で、特例の上限とちょうど一致します。改正前の400万円も 400万円 × 3パーセント + 6万円 = 18万円で、やはり旧上限と一致していました。つまり特例は、境界となる価額の通常計算額まで下限を引き上げる仕組みであり、価額が境界を下回るほど効果が大きくなります。代金500万円の宅地であれば、通常計算は 500万円 × 3パーセント + 6万円 = 21万円ですが、要件を満たせば30万円(税込み33万円)まで受領できます。
複数業者が関与する場合は、パターン3で見たとおり、依頼者の一方から受領する報酬額の総額が告示第七により算出した金額以内でなければなりません。特例が働いても、依頼者側ごとに一枠という構造そのものは変わらず、その一枠の大きさが33万円に置き換わるだけです。
低廉な空家等の売買・交換の代理
告示第八は、同じ低廉な空家等の売買または交換の代理について、告示第三の規定にかかわらず、告示第七の規定により算出した金額の2倍以内とし、ただし書で、相手方からも報酬を受ける場合にはその合計額が第七により算出した金額の2倍を超えてはならないとしています。上限は60万円の1.1倍、すなわち税込み66万円です。代理契約の締結に際してあらかじめ説明し合意を得る必要がある点も、媒介と同様に解釈・運用の考え方が求めています。
長期の空家等の貸借の媒介
令和6年改正では、貸借についても特例が新設されました。告示第九は、長期の空家等、すなわち現に長期間にわたって居住の用、事業の用その他の用途に供されておらず、または将来にわたり居住の用、事業の用その他の用途に供される見込みがない宅地または建物の貸借の媒介について、告示第四の規定にかかわらず、当該媒介に要する費用を勘案して、依頼者の双方から受ける報酬の額の合計額が借賃の1月分の2.2倍に相当する金額を超えない範囲内で報酬を受けることができる、としています。
条文の構造がやや複雑なので、順を追って読み解きます。告示第九が枠として動かしているのは「双方から受ける報酬の額の合計額」であり、通常の1.1倍が2.2倍まで拡大されます。ただし、この拡大が適用されるのは、長期の空家等の借主である依頼者から受ける報酬の額が、借賃の1月分の1.1倍(居住の用に供する長期の空家等にあっては、媒介の依頼を受けるに当たって当該借主である依頼者の承諾を得ている場合を除き0.55倍)に相当する金額以内である場合に限られます。
解釈・運用の考え方は、この結果として、この規定に基づき業者が通常の上限を超えて依頼者から受けることのできる報酬は、長期の空家等の貸主である依頼者から受けるものに限られる、と結論づけています。要するに、拡大分は貸主が負担するということです。
借賃が月額5万円の長期の空家(居住用、借主の承諾なし)であれば、原則は双方合計で5万5,000円が上限ですが、特例が働けば双方合計で11万円まで受領できます。このとき借主から受けられるのは 5万円 × 0.55 = 2万7,500円までなので、残りの8万2,500円までを貸主から受けることになります。「借主からも2か月分取れる」という記述は誤りです。
「長期の空家等」の判定基準についても、解釈・運用の考え方が具体例を挙げています。判定の時点は、業者が貸主である依頼者から媒介の依頼を受ける時点です。現に使用されていない場合の例として、少なくとも1年を超えるような期間にわたり居住者が不在となっている戸建の空き家や分譲マンションの空き室が挙げられています。将来にわたり使用される見込みがない場合の例としては、相続等により利用されなくなった直後の戸建の空き家や分譲マンションの空き室であって今後も所有者等による利用が見込まれないものが挙げられています。
そして重要な除外があります。入居者の募集を行っている賃貸集合住宅の空き室については、事業の用に供されているものと解されることから、長期の空家等には該当しない、とされています。募集中の賃貸マンションの空室に片端からこの特例を使うことはできません。ここも媒介契約の締結に際しての説明と合意が要件になります。
長期の空家等の貸借の代理
告示第十は、長期の空家等の貸借の代理について、告示第五の規定にかかわらず、借賃の1月分の2.2倍に相当する金額以内とすると定めています。貸主である依頼者から受ける場合(相手方から報酬を受ける場合を除く)と、相手方からも報酬を受ける場合のその合計額と、二つの数え方を並べていますが、どちらも上限は2.2倍です。
ここでも借主側には歯止めがかかります。解釈・運用の考え方は、長期の空家等の借主である依頼者から受ける報酬については、告示第五の規定により借賃の1月分の1.1倍に相当する金額を超えてはならない、としています。また、相手方からも報酬を受ける形が認められるのは、借主である依頼者から受ける報酬の額が通常の上限(1.1倍)の範囲内である場合に限られます。売買の代理では2倍だった枠が、貸借の代理では長期の空家等の場合に限り2.2倍まで開く、という対応関係で覚えると混乱しません。
報酬とは別に受け取れる費用と受け取れない費用
告示第十一(1)は、業者は宅地または建物の売買、交換または貸借の代理または媒介に関し、告示第二から第十までの規定によるほか報酬を受けることができない、と定めたうえで、ただし書で「依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額」を除外しています。上限額の枠外で受け取れるものは、条文レベルではこれ一つです。
受け取れないもの
解釈・運用の考え方は、この結果として、告示第二から第十までの規定による報酬および依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額以外に、いわゆる案内料、申込料や、依頼者の依頼によらずに行う広告の料金に相当する額の報酬を受領することはできない、としています。業者が自主的に出した広告の費用も、物件を案内した手間賃も、申込みを受け付けた手数料も、すべて受領できません。広告そのものの規制については広告に関する規制を、表示のルールについては不動産広告の表示基準を参照してください。
もう一つ、出題実績のある論点があります。宅地建物取引業法34条の2に関する解釈・運用の考え方は、建物状況調査を実施する者のあっせんは媒介業務の一環であるため、業者は依頼者に対し建物状況調査を実施する者をあっせんした場合において、報酬とは別にあっせんに係る料金を受領することはできない、と明記しています。あっせんは媒介契約の内容に含まれる業務であって、別建ての役務ではない、という整理です。
受け取れるもの
告示のただし書にある広告料金のほかに、解釈・運用の考え方が認めている取扱いが二つあります。
第一に、告示第十一に関する記述として、この規定には、業者が依頼者の特別の依頼により行う遠隔地における現地調査や空家の特別な調査等に要する実費の費用に相当する額の金銭を依頼者から提供された場合にこれを受領すること等、依頼者の特別の依頼により支出を要する特別の費用に相当する額の金銭で、その負担について事前に依頼者の承諾があるものを別途受領することまでも禁止する趣旨は含まれていない、とされています。「特別の依頼」「実費」「事前の承諾」という三つの限定を落とすと、選択肢の正誤を誤ります。
第二に、宅地建物取引業法46条1項に関する記述として、業者が、空き家・空き室等の所有者等のニーズに対応して行う業務や、いわゆる不動産コンサルティング業務など、媒介以外の関連業務を行う場合には、媒介業務に係る報酬とは別に当該関連業務に係る報酬を受けることができる、とされています。ただしこの場合にも、あらかじめ業務内容に応じた料金設定をするなど報酬額の明確化を図ること、媒介契約とは別に業務内容・報酬額等を明らかにした書面等により契約を締結すること、が求められています。区分を明確にしたうえで別契約に基づいて報酬を受けることは、46条2項の報酬の制限に違反しない、という位置づけです。
なお、標準媒介契約約款の運用に関する記述として、指定流通機構への情報登録はもちろんのこと、通常の広告、物件の調査等のための費用は業者の負担となること、業者が依頼者から特別に広告の依頼や遠隔地への出張の依頼を受けたときはあらかじめ請求する費用の見積りを説明してから実行すべきこと、そして費用の請求は成約の有無にかかわらずできること、が示されています。報酬請求権は成約が前提であるのに対し、特別の依頼に係る費用は成約しなくても請求できる、という違いは押さえておく価値があります。
いずれも、これらの費用は報酬とは別枠なので、上限額の計算には含めません。媒介契約の段階で費用の取扱いを取り決めることになるため、媒介契約書の記載事項とあわせて確認しておくと理解が固まります。
試験での出題ポイント
報酬計算の問題は、計算そのものより読み取りで差がつきます。狙われ方は次のように整理できます。宅建業法全体の中でこの論点をどこに位置づけるかは宅建業法の頻出論点を、20問中18問以上を狙う設計は宅建業法で18問以上取るを参照してください。
消費税を含んだ金額の提示
最も多いのが、建物代金を税込みで提示して割り戻しを忘れさせる形です。「代金3,300万円(うち土地1,800万円、建物1,500万円、消費税額150万円)」のように、内訳を細かく書いて計算を煩雑に見せてきます。まず消費税額を除いた価額を確定し、そのうえで率を掛ける、という順序を崩さないことです。事業用建物の借賃が税込みで示される形もあります。逆に、居住用建物の借賃を税込みだと誤認させ、不要な割り戻しをさせる形もあります。
態様の取り違えを誘う
「Aは売主から代理の依頼を受け、Bは買主から媒介の依頼を受けた」という設定で、AとBがそれぞれ上限額まで受領できると読ませる形です。代理が絡む取引の総枠は媒介の2倍であり、AとBはその枠を分け合うにすぎません。反対に、AもBも媒介であれば、依頼者側ごとに枠が立つので合計は2倍まで届きます。「代理が入っているかどうか」で枠の立ち方が切り替わる、という点が判定の分岐です。また、貸借で「代理だから2倍」と読ませる形も定番です。売買・交換の代理は2倍、貸借の代理は2倍にならない、という対比を持っておいてください。
承諾の有無と時期
居住用建物の貸借で、承諾がないのに一方から1か月分を受領した、あるいは契約成立後に得た承諾で1か月分を受領した、という形です。承諾は媒介の依頼を受けるに当たって得ていなければなりません。低廉な空家等・長期の空家等の特例における「媒介契約の締結に際してあらかじめ説明し合意を得る」という要件も、同じく事前性が問われます。
「居住用」の範囲
店舗兼住宅の貸借に0.55倍の制限がかかるかどうか、という形です。専ら居住の用に供する建物でなければ制限はかかりません。反対に、権利金の特例は居住の用に供する建物にだけ使えず、宅地の貸借には使えます。同じ「居住用」という語でも、告示第四後段では制限がかかる側、告示第六では特例が使えない側にあり、方向が逆になっています。ここは対で覚えないと混ざります。
改正後の数字
低廉な空家等の対象価額が800万円以下、上限が30万円の1.1倍(税込み33万円)である点、買主側からも受領できるようになった点、代理は66万円まで受領できる点、長期の空家等の貸借で双方合計2.2倍まで受領できる点は、改正から日が浅く出題が集中しやすい領域です。改正前の400万円・18万円で答えさせる選択肢が並ぶことが予想されます。あわせて、「低廉な空家等」は使用の状態を問わないこと、募集中の賃貸集合住宅の空き室は「長期の空家等」に当たらないことも、条文の定義を読ませる形で問われます。
交換の基準
価額に差がある交換で、安い方や差額を基準にした選択肢です。高い方の価額を基準にする、と一つ覚えておけば足ります。
上限であることの読み分け
計算結果そのものは合っているのに、選択肢の述語が「受領しなければならない」「請求する義務がある」となっている形です。告示は上限を定めるだけで、下限も義務も定めていません。数字を出して安心せず、最後まで文末を読んでください。
覚え方・整理の仕方
暗記量そのものは多くありません。整理の軸を四つ持てば足ります。
軸1 依頼者ごとか、取引全体か
売買・交換の媒介は、依頼者の一方ごとに上限が立ちます。双方から依頼を受けていれば、それぞれから上限額を受領でき、合計は2倍になります。複数業者が媒介として関与する場合も、枠が立つ単位は依頼者側なので、同じ構造です。
これに対し、売買・交換の代理が関与する取引と、貸借の媒介・代理は、取引全体で一つの枠を持ちます。代理の枠は媒介の2倍、貸借の枠は借賃1か月分の1.1倍です。「媒介だけの売買が依頼者側ごと、代理が入ったら取引全体、貸借は常に取引全体」と覚えると、複数業者の問題で迷いません。
軸2 加算額の意味で速算式を覚える
「3パーセント + 6万円」「4パーセント + 2万円」「5パーセント」の三段を、丸暗記ではなく導出とセットで持っておきます。加算額は、下の区分で本来多く取れるはずだった差分の合計です。400万円超なら、200万円分について2パーセント多く(4万円)、200万円分について1パーセント多く(2万円)、合わせて6万円。この理解があれば、200万円超400万円以下の加算が2万円であることも自然に出てきます。計算問題全般の解き方は宅建の計算問題に、建築系の計算は建ぺい率と容積率の計算問題攻略に、供託額の計算は住宅瑕疵担保履行法の供託額に整理してあります。
軸3 数字を対で覚える
貸借の数字は、1.1倍と0.55倍、そして特例の2.2倍という三つだけです。0.55は1.1の半分、2.2は1.1の倍と、すべて1.1を基準に並びます。
売買の特例は、800万円と30万円という対で覚えます。800万円 × 3パーセント + 6万円 = 30万円という一致を確認しておけば、どちらかを忘れても復元できます。改正前の400万円と18万円も同じ関係になっているので、この構造を知っていれば新旧を混同しません。
罰則の数字も対で持ちます。46条2項の超過受領は100万円以下の罰金(82条2号)、46条4項の掲示義務違反は50万円以下の罰金(83条1項2号)、47条2号の不当に高額の報酬の要求は1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金またはその併科(80条)です。受け取ってしまった超過受領より、要求しただけの高額要求のほうが重い、という逆転関係が記憶の引っかかりになります。
軸4 消費税は最後に一度だけ触る
税抜きで計算し、税抜きで総枠を判定し、最後に各業者が自分の受領額に1.1(免税事業者なら1.04)を掛ける。この順序を固定すると、途中で税込み額と税抜き額が混ざる事故を防げます。告示の条文は税込みの率で書かれていますが、それは条文の書き方の問題であって、計算の順序を変える理由にはなりません。
解答手順を固定する
本番では次の順で処理してください。第一に、売買・交換か貸借かを判定する。第二に、各業者の態様(媒介か代理か、どちらの依頼者か)を書き出す。第三に、消費税の有無を確認し、必要なら税抜きに直す。第四に、基礎となる価額または借賃を確定する(交換なら高い方、権利金があれば選択、特例の要件を満たすかを確認)。第五に、上限額を計算する。第六に、複数業者がいれば枠の立ち方を確認して照合する。第七に、各業者の受領額に消費税等相当額を上乗せする。第八に、選択肢の文末が「できる」か「しなければならない」かを読む。この八段階を毎回同じ順で回すことが、時間短縮と失点防止の両方に効きます。過去問での反復の仕方は宅建の過去問活用術を参考にしてください。
理解度チェッククイズ
Q1. 課税事業者である宅地建物取引業者Aが、売主Bと買主Cの双方から媒介の依頼を受け、土地の代金1,000万円、建物の代金1,100万円(消費税等相当額を含む)である宅地建物の売買契約を成立させた場合、AがBとCから受領できる報酬の額は、合計145万2,000円が上限である。(○か×か)
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○:まず基礎となる代金を確定します。建物の代金には消費税が含まれているため 1,100万円 ÷ 1.1 = 1,000万円に割り戻し、消費税法6条1項と別表第二第一号により非課税である土地はそのまま1,000万円とするので、合計2,000万円です。2,000万円 × 3パーセント + 6万円 = 66万円、税込み72万6,000円。告示第二は「依頼者の一方につき、それぞれ」と定めており、売買の媒介では依頼者ごとに上限が立つため、BとCの双方から受ける場合は合計145万2,000円まで受領できます。合計で一枠になるのは代理が関与する場合と貸借の場合です。なお、割り戻しを忘れて2,100万円で計算すると69万円・税込み75万9,000円となり、誤答が用意されています。Q2. 宅地建物取引業者が、店舗兼住宅の貸借の媒介に関して貸主から借賃の1か月分の1.1倍に相当する報酬を受領するためには、媒介の依頼を受けるに当たって貸主の承諾を得ている必要がある。(○か×か)
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×:告示第四後段の0.55倍の制限がかかるのは「居住の用に供する建物」の賃貸借の媒介です。国土交通省の解釈・運用の考え方は、これを専ら居住の用に供する建物を指すものとし、居住の用に供する建物で事務所、店舗その他居住以外の用途を兼ねるものは含まれない、としています。店舗兼住宅にはこの制限がかからないため、承諾がなくても一方から1.1倍まで受領できます。ただし双方から受ける合計額が借賃1か月分の1.1倍以内でなければならない点は変わりません。Q3. 代金600万円(消費税等相当額を含まない)の宅地の売買の媒介であって、通常の媒介と比較して現地調査等の費用を要するものについて、媒介契約の締結に際してあらかじめ依頼者に説明して合意を得た場合、宅地建物取引業者は当該依頼者から33万円まで報酬を受領することができる。(○か×か)
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○:令和6年7月1日施行の改正後の告示第七により、代金800万円以下の宅地建物については、30万円の1.1倍である33万円まで受領できます。通常の計算では600万円 × 3パーセント + 6万円 = 24万円、税込み26万4,000円ですが、事前の説明と合意があれば特例が適用されます。改正前の「400万円以下・18万円」で判断すると誤ります。また、この特例は買主側の依頼者に対しても使えます。Q4. 宅地建物取引業者Aが売主から代理の依頼を受け、宅地建物取引業者Bが買主から媒介の依頼を受けて、代金1,000万円(消費税等相当額を含まない)の宅地の売買契約を成立させた場合、Aは売主から79万2,000円、Bは買主から39万6,000円を受領することができる。(○か×か)
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×:媒介の場合の報酬額は1,000万円 × 3パーセント + 6万円 = 36万円です。解釈・運用の考え方は、複数の業者が一個の売買等の代理または代理および媒介をしたときは、その複数の業者が受領する報酬額の総額が告示第二の計算方法により算出した金額の2倍以内でなければならない、としています。したがって取引全体の上限は72万円(税抜き)です。Bが36万円(税込み39万6,000円)を受領した場合、Aが受領できるのは残りの36万円(税込み39万6,000円)までとなります。設問の組み合わせでは合計108万円となり、総枠を超えます。Q5. 借賃が月額5万円である居住用の長期の空家等の貸借の媒介について、宅地建物取引業者が貸主から媒介の依頼を受け、あらかじめ報酬額を説明して合意を得た場合、当該業者は貸主と借主の双方から合計11万円まで報酬を受領することができ、そのうち借主からは5万5,000円まで受領できる。(○か×か)
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×:告示第九により、長期の空家等の貸借の媒介では双方から受ける報酬の合計額を借賃1月分の2.2倍(この事例では11万円)まで拡大できます。しかしその適用は、借主である依頼者から受ける報酬の額が通常の上限の範囲内である場合に限られ、居住の用に供する長期の空家等については、媒介の依頼を受けるに当たって借主の承諾を得ている場合を除き0.55倍、すなわち2万7,500円が借主からの上限です。5万5,000円は借主の承諾がある場合の額であり、設問の条件では受領できません。解釈・運用の考え方も、この規定により通常の上限を超えて受けられる報酬は貸主である依頼者から受けるものに限られる、としています。まとめ
報酬額の計算は、宅地建物取引業法46条と告示という明確な根拠のうえに立つ論点であり、覚える数字も限られています。得点を落とす原因は知識不足ではなく、手順の乱れです。売買・交換か貸借かを判定し、態様を書き出し、消費税を抜き、基礎となる価額を確定し、上限を計算し、複数業者がいれば枠の立ち方を照合する。この順序を固定してください。
特に、売買の媒介だけが依頼者の一方ごとに上限を持ち、代理が関与する取引と貸借は取引全体で一枠であるという構造の違い、告示の率が税込みで書かれているという条文の姿、そして令和6年7月1日施行の改正で空家等の特例が大きく変わった点は、優先して確認すべきところです。制度の趣旨や条文の位置づけを補うには報酬額の制限を、税金の計算問題まで広げるなら不動産にかかる税金の全体像と税金の計算問題をあわせてご利用ください。
宅建試験AIブートラボのアプリでは、報酬額計算の過去問を肢別に演習でき、消費税の処理や複数業者の枠といったつまずきやすい箇所を条文根拠つきの解説で確認できます。
宅建業法は20問と配点が最も大きく、確実に得点したい科目です。免許制度・重要事項説明・8種制限を肢別で固めましょう。