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取引態様の明示義務|34条を条文から読む

宅建業法 読了 約30分

宅建業法34条の取引態様の明示義務を条文から解説。1項と2項が別個の義務である理由、書面が不要な理由、罰則がない理由を、報酬額が態様で変わる仕組みから理解します。

目次

    本記事は、宅地建物取引業法34条が定める取引態様の明示義務を、条文の文言に沿って読み解きます。広告規制全体の地図(32条・33条・34条・36条の関係)は広告に関する規制にあります。本記事はそのうち34条だけを取り出し、なぜこの義務が置かれているのか、なぜ書面が要らないのか、なぜ罰則がないのかまで踏み込みます。科目全体での位置づけは宅建業法の全体像で確認してください。

    先に結論を述べます。取引態様の明示義務は、報酬額が態様によって変わるからこそ意味を持つ制度です。宅建業者が自ら売主となるなら報酬は一円も発生せず、媒介なら国土交通大臣の告示が定める上限まで、代理ならその二倍まで受け取れます。同じ物件、同じ業者、同じ金額の取引でも、業者がどの立場で関わるかによって、依頼者が支払う金額の枠がまるごと変わります。だから宅建業法は、取引の入口である広告の時点と、話が具体化する注文の時点の二回、業者に自分の立場を名乗らせているのです。この理由づけを持って条文に戻ると、34条1項と2項が別個の義務であることも、2項に方法の限定がないことも、条文の構造として自然に見えてきます。

    34条はどこに置かれた条文か

    業務上の規制の入口に立つ

    宅地建物取引業法は、免許(3条)で業者の入口を絞り、営業保証金(25条以下)で取引の担保を確保し、35条書面と37条書面で契約内容を書面化します。しかし消費者が業者と最初に接触する瞬間は、免許でも書面でもありません。物件を探す人は広告を見て問い合わせ、来店し、そこで初めて宅建業者と向き合います。

    34条は、その最初の接点に置かれています。条文の見出しは「取引態様の明示」で、第三章「業務」の第一節「通則」に属しています。31条の業務処理の原則(信義誠実義務)、31条の3の宅地建物取引士の設置、32条の誇大広告等の禁止、33条の広告の開始時期の制限に続き、34条が来て、その次に34条の2の媒介契約の規制が置かれる。この並び自体が、業務のタイムラインをなぞっています。

    32条・33条・34条は同じ広告を別の面から規制する

    広告を規制する条文は三つあり、それぞれ見ている面が違います。

    32条は誇大広告等の禁止です。広告の内容が著しく事実に相違したり、実際より著しく優良・有利だと誤認させたりすることを禁じます。つまり「何を書いたか」を見ます。

    33条は広告の開始時期の制限です。宅地の造成または建物の建築に関する工事の完了前は、都市計画法29条1項・2項の開発許可、建築基準法6条1項の確認その他政令で定める許可等の処分があった後でなければ広告できません。内容が正確でも、時期が早ければ違反です。つまり「いつ出したか」を見ます。開発許可については開発許可制度、建築確認については建築確認を参照してください。

    34条は取引態様の明示です。広告をするときと注文を受けたときに、自ら当事者となるのか、代理なのか、媒介なのかの別を明らかにさせます。つまり「必要なことを書いたか」を見ます。

    三つを混ぜた選択肢が定番です。「誇大広告に当たらない広告であれば、取引態様を明示しなくてもよい」「建築確認を受けた後の広告であれば、取引態様の明示は不要である」といった文は、いずれも別条の要件を34条に持ち込んでおり、誤りです。32条をクリアしていることも、33条をクリアしていることも、34条の義務を消しません。三つは要件も効果も独立した別の条文だからです。

    34条だけが作為義務である

    もう一つ、条文の形が違います。32条は「してはならない」、33条も「してはならない」、36条も「してはならない」。いずれも不作為を命じる禁止規定です。

    これに対して34条は「明示しなければならない」(1項)「明らかにしなければならない」(2項)と定めています。34条だけが、何かをせよと命じる作為義務です。この違いは違反の成立の仕方に効いてきます。禁止規定は違反行為をしたときに違反が成立しますが、作為義務は「しなかった」ことで違反が成立します。取引態様を書き忘れた広告は、内容がどれほど正確でも34条1項違反です。

    1項の要件を条文の順に読む

    34条1項の条文はこうです。

    宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買、交換又は貸借に関する広告をするときは、自己が契約の当事者となつて当該売買若しくは交換を成立させるか、代理人として当該売買、交換若しくは貸借を成立させるか、又は媒介して当該売買、交換若しくは貸借を成立させるかの別(次項において「取引態様の別」という。)を明示しなければならない。

    長い一文ですが、要件は四つに分解できます。

    主語は宅地建物取引業者である

    条文の主語は「宅地建物取引業者」です。2条3号により、これは3条1項の免許を受けて宅地建物取引業を営む者を指します。宅地建物取引士ではありません。

    ここが一つ目の引っかけどころです。35条1項は「宅地建物取引士をして……説明をさせなければならない」と、行為者を宅建士に限定する文言を明示的に置いています。34条にはその文言がありません。したがって、取引態様の明示を宅建士が行う必要はなく、業者の従業者であれば誰でも行えます。「取引態様の明示は専任の宅地建物取引士が行わなければならない」という選択肢は誤りです。宅建業者の義務と宅建士の義務の切り分けは宅建業者と宅建士の義務の違いにまとめています。

    裏返せば、免許を受けていない者には34条は適用されません。ただし無免許者が広告を出せるわけではなく、12条2項が「第三条第一項の免許を受けない者は、宅地建物取引業を営む旨の表示をし、又は宅地建物取引業を営む目的をもつて、広告をしてはならない」と別途禁じています。無免許者の広告は34条の問題ではなく12条2項の問題だ、という切り分けを持っておいてください。

    「売買、交換又は貸借に関する広告」

    適用範囲は売買・交換・貸借のすべてです。条文が三つを並べているので、貸借の広告にも34条1項は適用されます。賃貸物件の募集広告に「媒介」と書かれているのは、34条1項の履行です。賃貸仲介の実務との対応は賃貸仲介の流れで扱っています。

    「広告をするとき」という文言も要件です。媒体の限定はありません。チラシでも、新聞広告でも、インターネット上の物件掲載でも、看板でも、条文の適用に差はありません。回数の限定もありません。「広告をするとき」ですから、同一物件について複数回広告するなら、そのたびに明示が必要です。一度明示したから二度目以降は省略できる、という構造にはなっていません。

    明示すべきは三つの「別」

    条文が挙げるのは次の三つです。

    第一に、自己が契約の当事者となって当該売買もしくは交換を成立させる場合。実務でいう「売主」です。業者が自分で物件を所有し、自分の名で売る形です。

    第二に、代理人として当該売買、交換もしくは貸借を成立させる場合。「代理」です。業者は本人(売主や貸主)の代理人として契約を締結します。契約の当事者は本人であって業者ではありません。

    第三に、媒介して当該売買、交換もしくは貸借を成立させる場合。「媒介」、実務でいう「仲介」です。業者は当事者にも代理人にもならず、両者の間を取り持って契約成立に向けて働きかけます。契約は当事者間で直接締結されます。なお、条文が使うのは一貫して「媒介」であり、「仲介」は法令用語ではありません。この用語の対応は仲介手数料の計算方法と上限で整理しています。

    明示すべきは「別」、つまりどれに当たるかの区別です。契約の細目まで書けとは要求されていません。

    自ら当事者となる場合に貸借が入っていない

    条文をもう一度、注意して読んでください。三つの列挙のうち、第一の「自己が契約の当事者となって」には「売買若しくは交換」しか続いていません。第二の代理と第三の媒介には「売買、交換若しくは貸借」と三つとも並んでいるのに、第一だけ貸借が落ちています。

    これは条文の不備ではありません。2条2号が宅地建物取引業を「宅地若しくは建物の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為で業として行うもの」と定義しており、ここでも自ら行う行為として挙がっているのは売買と交換だけだからです。自ら貸借を行う行為は宅地建物取引業に当たりません。宅建業に当たらない以上、宅建業者に課される34条の義務も及びません。だから34条1項の列挙にも自ら貸借が現れないのです。

    この不在に気づけるかどうかが、34条を暗記しているだけの受験生と、条文を読めている受験生の分かれ目です。列挙の欠落は、定義規定から必然的に導かれる帰結です。自ら貸借が宅建業から外れる理由と、その周辺の線引き(転貸、サブリース、自己所有建物の賃貸)は宅建業の「業」に当たるケースで扱っています。

    出題では、「宅地建物取引業者が自ら貸主となって建物を賃貸する場合、その募集広告には取引態様として貸主である旨を明示しなければならない」という形で問われます。誤りです。自ら貸借は宅建業に当たらず、宅建業法の規制がそもそも及びません。34条だけでなく、35条の重要事項説明も37条書面も、その取引には要求されません。

    「明示しなければならない」の程度

    条文は「明示」としか書いていません。何をどう書けば明示になるかの基準は34条にはありません。実務上は「売主」「代理」「媒介」(または「仲介」)といった用語で表示されますが、これは宅建業法34条が直接定めた表示方法ではなく、業界の広告ルールによる部分が大きい。景品表示法とその下の業界ルールについては不当景品類及び不当表示防止法を参照してください。

    試験対策としては、34条は「別を明示せよ」としか要求していないという点を押さえておけば足ります。表示の形式を細かく問う出題は宅建業法の側からは出ません。

    2項は1項とは別の義務である

    34条2項の条文はこうです。

    宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買、交換又は貸借に関する注文を受けたときは、遅滞なく、その注文をした者に対し、取引態様の別を明らかにしなければならない。

    短い条文ですが、ここが34条で最も出題される場所です。

    引き金となる事実が違う

    1項の引き金は「広告をするとき」、2項の引き金は「注文を受けたとき」です。引き金となる事実が違う以上、二つは別個の義務です。同じ条文の中に置かれているために一つの義務のように見えますが、要件も、義務が発生するタイミングも、義務の相手も違います。

    1項の相手は不特定多数です。広告は誰が見るか分からないので、広告そのものに態様を書くことになります。2項の相手は「その注文をした者」と特定されています。目の前にいる特定の一人に対して明らかにする義務です。片方は物件情報への表示、もう片方は特定人への告知という、性質の異なる行為が要求されています。

    広告で明示していても2項の義務は消えない

    ここが最頻出の引っかけどころです。広告に取引態様を明示していたとしても、注文を受けたら改めて明らかにしなければなりません。

    理由は条文の構造そのものにあります。2項は「1項による明示をしていない場合は」といった限定を一切置いていません。「注文を受けたときは」と書いてあるだけです。したがって、1項の履行の有無は2項の要件と無関係です。

    「宅地建物取引業者は、広告において取引態様を明示していれば、注文を受けた際に改めて取引態様を明らかにする必要はない」という選択肢は誤りです。この一文は形を変えて繰り返し出題されます。「広告に売主である旨を表示していたので、来店した購入希望者に対しては取引態様を告げなかった」という事例形式でも同じことです。

    広告を出していなくても2項の義務は生じる

    逆方向も成り立ちます。広告を一切出さずに取引が始まった場合でも、注文を受けた時点で2項の義務は発生します。

    紹介だけで話が進む取引、指定流通機構(レインズ)に登録された物件を他業者経由で紹介する取引など、広告を経由しない場面は実務にあります。1項の要件である「広告をするとき」が満たされていないので1項の義務は生じませんが、2項の要件は「注文を受けたとき」ですから、独立に発生します。指定流通機構についてはレインズとはを参照してください。

    1項と2項は、片方が働けばもう片方が休むという関係ではありません。それぞれの要件が満たされれば、それぞれ独立に義務が生じます。両方満たされれば両方履行しなければならず、片方だけ満たされればその片方を履行しなければならない。この関係を図式として持っておくと、どんな事例形式にも対応できます。

    「遅滞なく」が要求されている

    2項には1項にない文言があります。「遅滞なく」です。

    1項は広告という行為の中で明示するので、時期の問題が生じません。広告に書いてあるか書いていないかのどちらかです。これに対して2項は、注文を受けるという事実が先にあり、その後に明示という行為が続きます。だから両者の間隔が問題になり、「遅滞なく」という時間的な制約が置かれています。

    宅建業法で「遅滞なく」が使われる場面は他にもあります。34条の2第1項の媒介契約書面の作成・交付、同条8項の申込みがあった旨の報告、37条の書面交付などです。時期に関する文言の使い分けは宅建業法の数字まとめで横断的に確認できます。

    2項には方法の限定がない

    34条2項は、明示の方法を一切定めていません。条文を何度読んでも「書面により」とも「電磁的方法により」とも書かれていません。

    したがって、口頭でも足ります。これが二つ目の頻出論点です。宅建業法には書面の交付を要求する規定がいくつもあります。34条の2第1項の媒介契約書面、35条1項の重要事項説明書、37条の書面。いずれも条文に「書面を作成して」「書面を交付して」と明記されています。34条にはその文言がありません。条文に書いていないことは要求されていないという、当たり前の読み方が答えを出します。

    「取引態様の別は、書面を交付して明らかにしなければならない」という選択肢は誤りです。「電磁的方法による提供について相手方の承諾を得なければならない」も誤りで、そもそも書面性が要求されていない以上、電磁的方法への代替という論点自体が発生しません。34条の2第1項や35条には電磁的方法による提供の規定(34条の2第11項、35条8項など)が置かれていますが、34条にはありません。書面を要する場面の一覧は35条書面と37条書面の違い、重要事項説明の具体的内容は重要事項説明の記載事項を参照してください。

    相手方が知っていても、相手方が業者でも省略できない

    もう一段深い論点があります。注文をした者が既に取引態様を知っていた場合や、注文をした者自身が宅建業者である場合はどうか。

    条文には相手方の認識に関する要件も、相手方の属性に関する要件もありません。したがって明示義務は消えません。

    これは条文にない要件を持ち込まないという一般論だけでなく、78条2項からも裏づけられます。78条2項は「第三十三条の二及び第三十七条の二から第四十三条までの規定は、宅地建物取引業者相互間の取引については、適用しない」と定めています。業者間取引で適用が外れる条文は、この八つ(いわゆる8種制限)だけです。34条はこのリストに入っていません。業者間取引でも34条は適用されます。適用除外の範囲は8種制限の適用除外で扱っています。

    「取引の相手方が宅地建物取引業者である場合、取引態様の明示を省略することができる」という選択肢は誤りです。78条2項の列挙を根拠に切れます。

    なぜ明示させるのか——報酬が態様で変わる

    ここからが34条の中心です。取引態様の明示は、形式的な表示義務ではありません。依頼者が支払う金額が態様によって変わるから、最初に知らせる必要があるのです。

    46条1項は代理と媒介にしか報酬を認めていない

    46条1項の文言を見てください。

    宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。

    報酬規制の対象は「代理又は媒介に関して」受ける報酬です。自ら当事者となる取引は、この条文の射程に入っていません。

    なぜか。自ら売主として物件を売る業者は、他人のために働いているのではなく、自分の物件を自分の名で売っています。そこで業者が得るのは報酬ではなく、売買代金そのものです。仕入値と売値の差が業者の利益になるのであって、買主から別途「報酬」を受け取る余地がありません。自ら売主なら報酬はゼロです。買主が支払う金銭は代金だけです。

    媒介は告示の上限、代理はその二倍

    これに対して、代理と媒介では告示が上限を定めています。46条3項により、国土交通大臣が定めた報酬の額は告示されます。現行は昭和45年建設省告示第1552号(令和6年7月1日施行の改正が最新)です。

    売買・交換の媒介について、業者が依頼者の一方から受けられる報酬の上限は、代金の額を区分して割合を乗じた合計額です。代理については、その計算方法で算出した金額の二倍が上限とされ、ただし書で、相手方からも報酬を受ける場合には合計額が二倍を超えてはならないと縛られています。貸借の媒介は、依頼者双方から受ける合計額が借賃の一月分の1.1倍までです。告示の構造と数字の詳細は報酬額の制限、計算の型は報酬額計算のパターン別攻略にまとめています。

    つまり、同じ物件を同じ価格で取引しても、業者が代理として関わるなら、媒介として関わる場合の二倍まで請求できるわけです。

    依頼者が負担する金額は態様で決まる

    三つを並べてみます。仮に業者Aが関与する売買があるとします。

    Aが自ら売主なら、買主はAに代金を払うだけです。報酬という名目の支払は発生しません。

    Aが買主から媒介を依頼された業者なら、買主は売主に代金を払い、さらにAに告示の枠内の報酬を払います。

    Aが買主から代理を依頼された業者なら、買主はAに媒介の場合の二倍までの報酬を払う可能性があります。

    同じ物件、同じ代金でも、買主の総支出は態様によって三通りに分かれます。しかも金額の差は小さくありません。媒介と代理では、上限額そのものが倍違います。

    だから最初に名乗らせる

    ここまで来ると、34条がなぜ広告の段階と注文の段階の二回にわたって明示を求めるのかが見えてきます。

    取引態様は、その取引で自分がいくら払うことになるのかを左右する、最初に知るべき情報です。物件の価格だけを見て問い合わせた人が、話が進んでから「実は代理なので報酬をいただきます」と言われたのでは、判断の前提が崩れます。だから宅建業法は、広告という不特定多数への働きかけの段階で一回、注文という具体的な意思表示を受けた段階でもう一回、業者に立場を名乗らせています。

    そして、この理由づけは1項と2項が別個の義務であることの説明にもなっています。広告の段階では、読み手はまだ物件を絞り込んでいません。多数の広告を眺める中で、態様の表示が記憶に残らないのは自然です。注文の段階では、その人はその物件について具体的に動き始めています。支払額に直結する情報は、判断が具体化した時点でもう一度渡す必要がある。だから2項が独立して置かれているのです。

    方法が限定されていないことの説明にもなる

    同じ理由づけから、2項に書面性が要求されていないことも説明できます。

    34条2項が伝えるのは「売主か、代理か、媒介か」という一語の情報です。35条の重要事項のように、多数の項目を正確に伝え、後から確認できるようにしておく必要のある情報とは性質が違います。一語で足りる情報に書面交付を義務づければ、業者にとっても相手方にとっても負担ばかりが増えます。

    伝えるべき情報量が軽いから、方法も軽い。35条書面が「宅建士が」「書面を交付して」「説明する」という三重の要求を受けているのと対比すると、34条の軽さが際立ちます。この対比を持っておくと、「取引態様の明示は宅建士が書面を交付して行う」という複合的な誤りの選択肢を、二か所同時に切れます。宅建業者に課される説明義務の全体像は宅建業者の説明義務まとめにあります。

    態様は報酬以外の法律関係も決める

    報酬が中心ですが、態様が決めるものは報酬だけではありません。34条を単独で覚えるのではなく、「態様が決まると何が決まるのか」の一覧として整理しておくと、宅建業法全体の見通しがよくなります。

    8種制限が働くのは自ら売主のときだけ

    いわゆる8種制限は、78条2項が列挙する33条の2および37条の2から43条までの八つの規定を指します。この八つを条文で確認すると、そのほとんどが「自ら売主となる」という文言を要件に置いています。

    33条の2は「自己の所有に属しない宅地又は建物について、自ら売主となる売買契約」を制限します。37条の2のクーリング・オフは「宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約について」働きます。38条の損害賠償額の予定等の制限は「みずから売主となる宅地又は建物の売買契約において」、39条の手付額の制限も「自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して」、40条の担保責任の特約の制限も「自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において」、41条・41条の2の手付金等の保全も「自ら売主となる」売買に関して、42条・43条の割賦販売関係も「みずから売主となる」場合です。

    したがって、業者が代理や媒介として関与しているだけの取引には、8種制限は適用されません。業者が売主の代理をしている場合、売主本人が宅建業者でなければ、クーリング・オフも手付額の制限も働きません。8種制限の全体像は8種制限、横断整理は8種制限の横断整理を参照してください。

    ここで、旧来の教材にある「クーリング・オフは代理にも適用される」という説明には注意が必要です。37条の2の名宛人はあくまで自ら売主となる宅建業者です。ただし、その売主業者が他の業者に売却の代理または媒介を依頼した場合、クーリング・オフができなくなる「事務所等」の範囲に、依頼を受けた業者の事務所等が含まれます(施行規則16条の5第1号ハ・ニ・ホ)。代理業者に8種制限が適用されるのではなく、売主業者に適用される8種制限の適用場面の判定に、代理業者の事務所が関係してくるという構造です。混同すると選択肢を落とします。クーリング・オフの詳細はクーリング・オフ、手付の制限は手付額の制限、保全措置は手付金等の保全措置にあります。

    37条書面の交付先が態様で変わる

    37条1項は、態様によって書面の交付先を書き分けています。条文を見てください。

    宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換に関し、自ら当事者として契約を締結したときはその相手方に当事者を代理して契約を締結したときはその相手方及び代理を依頼した者にその媒介により契約が成立したときは当該契約の各当事者に、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。

    自ら当事者なら交付先は一者、代理なら二者、媒介なら二者です。同じ37条書面でも、誰に何通渡すかは態様が決めます。この書き分けは、態様が単なる呼称ではなく、法律関係を決める区分であることをよく示しています。37条書面の記載事項と交付先の詳細は37条書面の記載事項にあります。

    35条1項も同じ構造です。説明の相手方である「宅地建物取引業者の相手方等」を、条文は「宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者」と定義しています。ここでも態様ごとに相手が書き分けられています。

    媒介契約の規制は売買・交換だけに及ぶ

    34条の隣に置かれた34条の2は、媒介契約を締結したときの書面作成・交付、価額の根拠明示、専任媒介契約の有効期間(3月)、指定流通機構への登録、業務処理状況の報告義務などを定めます。34条の3は、この規定を売買または交換の代理を依頼する契約に準用しています。

    注意すべきは適用範囲です。34条の2第1項は「宅地又は建物の売買又は交換の媒介の契約」を対象としており、貸借の媒介には適用されません。34条の3の準用も「売買又は交換の代理」に限られます。

    34条は売買・交換・貸借のすべてに適用されるのに、隣の34条の2は売買・交換にしか適用されない。条文番号が隣り合っていて適用範囲が違うため、入れ替えた選択肢が作られます。「宅地建物取引業者は、建物の貸借の媒介の契約を締結したときは、遅滞なく媒介契約書面を作成して依頼者に交付しなければならない」は誤りです。媒介契約の3類型と規制内容は媒介契約、書面の記載事項は媒介契約書の記載事項を参照してください。

    違反したときにどうなるか

    監督処分の対象になる

    34条違反は監督処分の対象です。これは推論ではなく、条文に名指しで書かれています。

    65条2項2号は、業務停止処分の事由として違反条文を列挙しており、その中に「第三十四条」が含まれています。したがって免許権者である国土交通大臣または都道府県知事は、34条に違反した業者に対し、1年以内の期間を定めて業務の全部または一部の停止を命ずることができます。

    65条1項の指示処分も、「この法律の規定……に違反した場合」を事由としているので、当然に34条違反が含まれます。

    さらに65条4項2号にも「第三十四条」が挙がっています。これは、国土交通大臣または他の都道府県知事の免許を受けた業者が当該都道府県の区域内で34条に違反した場合、免許権者でなくてもその区域の都道府県知事が業務停止を命じられるという規定です。免許権者以外の知事が処分できる場面は限られており、34条はその限られたリストに入っています。

    そして66条1項9号により、65条2項各号のいずれかに該当し情状が特に重いときは、免許権者は免許を取り消さなければなりません。これは裁量ではなく必要的取消しです。監督処分の種類と手続は監督処分の種類にまとめています。

    34条には罰則がない

    これが三つ目の頻出論点です。34条に違反しても、拘禁刑や罰金は科されません。

    罰則規定を確認してください。81条1号は「第二十五条第五項(第二十六条第二項において準用する場合を含む。)、第三十二条又は第四十四条の規定に違反した者」を6月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金に処し、またはこれを併科すると定めています。ここに挙がっているのは25条5項(営業保証金の供託前の事業開始)、32条(誇大広告等の禁止)、44条(不当な履行遅延の禁止)です。34条はありません。

    79条(3年以下)、80条(1年以下)、82条(100万円以下の罰金)、83条(50万円以下の罰金)、86条(10万円以下の過料)のいずれを見ても、34条は現れません。宅建業法の罰則体系全体は宅建業法の罰則一覧で確認できます。

    なお、条文上の表記は「拘禁刑」です。2025年6月1日施行の刑法改正により懲役と禁錮が拘禁刑に一本化されたため、古い教材の「6月以下の懲役」は同じものを指しています。

    32条と対照させると構造が見える

    同じ広告規制でありながら、32条には罰則があり、34条にはない。この差は理由のある差です。

    32条が禁じるのは、著しく事実に相違する表示や、実際より著しく優良・有利だと誤認させる表示です。これは積極的に虚偽の情報を流す行為であり、消費者を直接欺きます。実害が発生していなくても、広告を出した時点で違反が成立します。

    34条が求めるのは、必要な情報を書くことです。書かなければ違反ですが、それは書くべきことを書かなかったという不作為であって、虚偽を述べたわけではありません。取引態様を書き忘れた広告でも、書かれている物件情報が正確であれば、消費者を積極的に欺いてはいない。

    積極的な虚偽には刑罰を、必要事項の不記載には行政処分を。この使い分けが、81条1号に32条だけが挙がっている理由です。「取引態様の明示義務に違反した者は、6月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金に処せられる」という選択肢は誤りで、これは32条の法定刑を34条に付け替えた作り方です。

    33条にも罰則はありません。罰則があるのは32条だけ、33条と34条は監督処分どまり。広告規制の三条を並べたときの罰則の有無は、この形で覚えてください。

    私法上の効力は別問題

    34条に違反した広告や、取引態様を明らかにしないまま進んだ取引について、契約が無効になるかというと、条文にそのような定めはありません。34条は業者に対する行政上の取締規定であり、契約の効力を左右する規定ではありません。

    宅建業法には、契約の効力を明文で規定する条文もあります。37条の2第4項(クーリング・オフの規定に反する特約で申込者等に不利なものは無効)、38条2項、40条2項、42条2項、34条の2第10項などです。34条にはこの種の規定が置かれていないという点を、条文の対比として押さえておいてください。

    32条・33条・34条の射程を並べる

    三条の混同を防ぐには、軸を決めて並べ直すのが確実です。四つの軸で整理します。

    何を規制するか

    32条は広告の内容、33条は広告の時期、34条は広告の記載事項を規制します。34条は加えて、広告ではない場面(注文を受けたとき)にも義務を課しています。34条だけが広告以外の場面にも及ぶという点は、意外と見落とされます。

    貸借を含むか

    32条は「その業務に関して広告をするとき」と定め、取引の種類を限定していません。33条は「売買その他の業務に関する広告」であり、貸借の広告を含みます。34条は「売買、交換又は貸借に関する広告」と明記しており、貸借を含みます。三条とも貸借を含みます。

    これに対して36条(契約締結等の時期の制限)は、「自ら当事者として、若しくは当事者を代理してその売買若しくは交換の契約を締結し、又はその売買若しくは交換の媒介をしてはならない」と定め、貸借を含みません。34条の2の媒介契約の規制も貸借を含みません。

    貸借を含む条文(32条・33条・34条・35条・37条)と、含まない条文(34条の2・34条の3・36条)の線引きが、宅建業法の出題の骨格の一つです。

    完成物件に適用されるか

    33条は「宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては」という条件がついているので、工事完了後の物件には適用されません。完成物件の広告は、許可等の処分の有無を問わず自由に出せます。36条も同じ条件つきです。

    32条と34条にはこの条件がありません。完成物件でも未完成物件でも適用されます。「工事完了後の建物の広告については、取引態様の明示は不要である」は誤りです。

    罰則があるか

    32条にはあり(81条1号)、33条と34条にはありません。36条にもありません。罰則があるのは32条だけです。ただし監督処分は32条・33条・34条・36条のいずれも対象で、65条2項2号にすべて挙がっています。

    四つの軸を通したときの結論

    四つの軸で並べると、34条の位置がはっきりします。取引の種類を選ばず(貸借を含む)、物件の状態を選ばず(完成・未完成を問わず)、広告以外の場面(注文)にも及び、しかし刑罰はない。適用範囲が最も広く、制裁が最も軽い規定です。この非対称は、34条が要求しているのが「一語を伝える」という軽い作為だからだと理解しておけば、四つの軸すべてを一本の理由づけで思い出せます。

    試験での出題ポイント

    再明示の引っかけ

    最頻出です。「広告で明示していれば注文時の明示は不要」という形で必ず出ます。答えは常に誤りで、根拠は2項が1項の履行を要件にしていないことです。事例形式に化けた場合も同じで、「広告に媒介と表示していたので、来店した客には特に告げなかった」は34条2項違反です。

    書面性の引っかけ

    「書面を交付して明らかにしなければならない」「電磁的方法で提供する場合は承諾が必要」といった形で出ます。いずれも誤りです。34条は方法を定めていません。35条書面・37条書面・媒介契約書面という「書面を要する三点セット」と混ぜてくるのが典型です。

    宅建士の要否

    「専任の宅地建物取引士が明示しなければならない」「宅地建物取引士証を提示して明示しなければならない」といった形です。誤りです。34条の主語は宅建業者であり、35条1項のような宅建士限定の文言はありません。

    自ら貸借

    「自ら貸主となる場合も取引態様として貸主である旨を明示する」は誤りです。2条2号により自ら貸借は宅建業に当たらず、34条1項の列挙にも入っていません。この論点は、34条だけでなく免許の要否、35条、37条とセットで問われることがあります。

    罰則の有無

    「34条違反には6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科される」は誤りです。81条1号に34条はありません。逆に「34条違反は監督処分の対象とならない」も誤りで、65条2項2号に名指しされています。罰則はないが監督処分はあるという組み合わせを正確に覚えてください。

    態様と報酬の結びつけ

    「自ら売主となる宅建業者は、買主から媒介の場合の報酬相当額を受け取ることができる」は誤りです。46条1項の報酬規制は代理と媒介にしか及ばず、自ら当事者となる取引で報酬を受ける余地はありません。「代理の報酬上限は媒介の3倍」も誤りで、告示第三は二倍と定めています。

    相手方の属性

    「相手方が宅建業者である場合は明示を省略できる」「相手方が既に態様を知っていた場合は明示を要しない」は、いずれも誤りです。78条2項の適用除外リストに34条は入っていません。

    他の広告規制との混同

    「建築確認を受ける前でも、取引態様を明示すれば広告できる」は誤りです。33条の要件を34条の履行で代替することはできません。「誇大広告に当たらなければ34条違反にはならない」も同様に誤りです。広告規制全体の出題パターンは広告に関する規制、宅建業法の頻出論点全体は宅建業法の頻出論点で確認してください。

    覚え方・整理の仕方

    「広告で一回、注文で一回」

    34条の骨は、この一言に尽きます。義務は二回発生する。広告のときに一回、注文を受けたときに一回。片方をやったからもう片方が要らなくなる、という関係にはならない。

    さらに一段付け加えるなら、「広告は不特定多数へ、注文は特定の一人へ」。相手が違うから義務が別々に立っている、と理由づけまで一緒に覚えると、事例形式でも迷いません。

    1項の列挙を指で数える

    1項の列挙は「自ら(売買・交換)」「代理(売買・交換・貸借)」「媒介(売買・交換・貸借)」です。指を折って数えると、自らのところだけ二本、代理と媒介は三本になります。この本数の違いが、自ら貸借が宅建業に当たらないことの反映です。

    数え方を体で覚えておくと、「自ら貸借」を含む選択肢が来たときに、指の本数が合わないという違和感で気づけます。

    態様は報酬の入口だと覚える

    態様を三つ覚えるだけでは記憶が定着しません。態様は報酬の入口と結びつけてください。

    自ら売主ならゼロ。媒介なら告示の枠。代理ならその二倍。ゼロ、一、二という並びで覚えます。この並びを持っていれば、34条の趣旨も、8種制限の適用場面も、報酬計算問題で最初に確認すべきことも、同じ入口から引き出せます。報酬計算の問題文では必ず「Aは自ら売主として」「Bは買主から媒介の依頼を受け」といった形で態様が書かれているので、そこに印をつけるところから始めてください。

    34条と34条の2を番号で切らない

    条文番号が隣り合っているだけで、中身は無関係です。34条は広告と注文の場面の明示義務、34条の2は媒介契約を締結したあとの規制。義務が発生するタイミングも、適用される取引の範囲も違います。

    区別のキーは適用範囲です。34条は貸借を含む、34条の2は貸借を含まない。この一点を覚えておけば、入れ替え問題は落とせません。

    罰則の有無は「嘘をついたか」で切る

    32条は嘘、34条は書き忘れ。嘘には刑罰、書き忘れには行政処分。この対比で、81条1号に32条だけが挙がっていることを思い出せます。

    33条も「時期が早かった」だけで嘘ではないので罰則がない、と同じ理屈で処理できます。宅建業法の罰則で「6月以下」に当たるのは32条のほか25条5項と44条、そして47条3号の手付貸与による誘引です。禁止行為の体系は47条の禁止行為を参照してください。

    三つの軸で三条を思い出す

    32条・33条・34条を思い出すときは、「内容・時期・記載事項」の三語を先に置いてください。そこから、内容の32条には罰則がある、時期の33条は未完成物件だけ、記載事項の34条は注文の場面にも及ぶ、と枝を伸ばします。先に軸を立ててから中身を埋める順序にすると、三条が混ざりません。

    理解度チェッククイズ

    Q1. 宅地建物取引業者は、広告において取引態様の別を明示していれば、その広告を見た者から注文を受けた際に、改めて取引態様の別を明らかにする必要はない。(○か×か)

    答えを見る×:34条1項の広告時の明示と、同条2項の注文を受けたときの明示は、それぞれ要件の異なる別個の義務です。2項は「注文を受けたときは、遅滞なく」とのみ定めており、1項による明示の有無を要件にしていません。したがって広告で明示済みであっても、注文を受けたら改めて明らかにしなければなりません。

    Q2. 宅地建物取引業者が自ら貸主となって建物を賃貸する場合、その募集広告において取引態様の別を明示しなければならない。(○か×か)

    答えを見る×:2条2号は宅地建物取引業を「宅地若しくは建物の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為で業として行うもの」と定義しており、自ら貸借を行う行為は宅建業に当たりません。34条1項の列挙も、自ら当事者となる場合については「売買若しくは交換」しか挙げておらず、貸借が入っていません。宅建業法の規制がそもそも及ばないため、明示義務もありません。

    Q3. 取引態様の明示義務に違反した宅地建物取引業者は、6月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金に処せられ、またはこれを併科される。(○か×か)

    答えを見る×:81条1号が挙げているのは25条5項、32条、44条の違反であり、34条は含まれていません。34条違反に罰則はありません。ただし65条2項2号が「第三十四条」を名指ししているため、1年以内の業務停止処分の対象にはなり、情状が特に重ければ66条1項9号により免許を取り消されます。「罰則はないが監督処分はある」という組み合わせが正解です。

    Q4. 宅地建物取引業者が注文を受けて取引態様の別を明らかにするときは、書面を交付して行わなければならず、また宅地建物取引士がこれを行わなければならない。(○か×か)

    答えを見る×:二か所とも誤りです。34条2項は「遅滞なく、その注文をした者に対し、取引態様の別を明らかにしなければならない」と定めるだけで、方法を限定していません。したがって口頭でも足ります。また同条の主語は宅地建物取引業者であり、35条1項のような「宅地建物取引士をして……説明をさせなければならない」という文言はありません。従業者であれば誰が行っても構いません。

    Q5. 宅地建物取引業者が自ら売主として宅地を売却した場合、その業者は買主から、売買の媒介をした場合に受けることのできる報酬の額の2倍に相当する額を受領することができる。(○か×か)

    答えを見る×:46条1項は「代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる」と定めており、自ら当事者となる取引は報酬規制の対象外です。対象外だから多く取れるのではなく、自ら売主の取引ではそもそも報酬という名目の金銭を受ける余地がありません。業者の利益は売買代金に含まれています。なお2倍が上限となるのは代理の場合(告示第三)で、しかもただし書により相手方から受ける分と合わせて2倍を超えられません。

    Q6. 宅地建物取引業者は、建物の貸借の媒介の契約を締結したときは、遅滞なく34条の2第1項に定める事項を記載した書面を作成し、依頼者に交付しなければならない。(○か×か)

    答えを見る×:34条の2第1項の対象は「宅地又は建物の売買又は交換の媒介の契約」であり、貸借の媒介は含まれません。34条の3による代理への準用も「売買又は交換の代理」に限られます。34条が売買・交換・貸借のすべてに適用されるのと対照的で、条文番号が隣り合っているのに適用範囲が違う点が狙われます。

    まとめ

    34条について押さえるべきことを、条文の順にたどり直します。

    1項は広告時の明示義務です。売買・交換・貸借のすべてに適用され、完成物件でも未完成物件でも適用されます。明示すべきは自ら当事者・代理・媒介の別で、自ら当事者の欄には貸借が入っていません。2条2号が自ら貸借を宅建業から外しているためです。

    2項は注文を受けたときの明示義務です。1項とは別個の義務であり、広告で明示していても改めて明らかにしなければなりません。逆に広告を出していなくても、注文を受ければ義務が生じます。「遅滞なく」という時期の制約はありますが、方法の限定はなく口頭で足り、宅建士による必要もありません。相手方が既に知っていても、相手方が宅建業者でも、明示義務は消えません(78条2項の適用除外リストに34条は入っていません)。

    違反すれば65条2項2号により1年以内の業務停止処分の対象となり、情状が特に重ければ66条1項9号により免許が必要的に取り消されます。しかし81条1号に34条は挙がっておらず、罰則はありません。罰則があるのは32条の誇大広告等の禁止だけです。

    そして、この義務が置かれている理由は報酬にあります。自ら売主なら報酬はゼロ、媒介なら告示の枠内、代理ならその二倍。依頼者が負担する金額が態様によって決まるからこそ、取引の入口で立場を名乗らせる必要があります。ゼロ・一・二という並びを頭に置いて条文に戻れば、34条の要件も効果も一本の線でつながります。

    宅建試験AIブートラボのアプリでは、34条の取引態様の明示を含む広告規制の肢別演習を分野別に用意しています。

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    宅建業法は20問と配点が最も大きく、確実に得点したい科目です。免許制度・重要事項説明・8種制限を肢別で固めましょう。

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