/ 宅建業法

35条書面の記載事項を完全網羅|売買・賃貸の違いも整理

35条書面(重要事項説明書)の記載事項を完全網羅。売買と賃貸の違い、区分所有建物の特有事項まで一覧表で整理し、試験頻出ポイントを徹底解説。

35条書面(重要事項説明書)は宅建試験の最重要テーマの一つであり、毎年複数の問題が出題されます。記載事項は非常に多いため体系的な整理が不可欠です。本記事では、すべての記載事項を売買・交換・貸借の取引類型別に一覧表で整理し、区分所有建物の特有事項まで完全網羅します。結論として、記載事項を「物件に関する事項」「取引条件に関する事項」「その他の事項」の3カテゴリに分けて把握することが得点力向上の決め手です。

35条書面の基本ルール

説明の要件

項目 内容
説明の時期 契約が成立するまでの間
説明者 宅建士(専任でなくてもよい)
説明の相手方 取得者・借主(売主には不要)
宅建士証の提示 必要(相手方から請求がなくても提示)
書面への記名 宅建士が記名

宅地建物取引業法第35条第1項
「宅地建物取引業者は、(中略)契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明をさせなければならない。」

電磁的方法による交付

2022年の法改正により、相手方の承諾を得た場合、35条書面を電磁的方法(電子メール等)で提供することが認められています。

物件に関する記載事項

全取引共通の物件事項

記載事項 売買・交換 貸借
登記された権利の種類・内容・登記名義人
法令に基づく制限の概要
私道に関する負担 ×
飲用水・電気・ガスの供給、排水施設の整備状況
未完成物件の場合の完成時の形状・構造
石綿(アスベスト)使用調査の結果の記録
耐震診断の結果(昭和56年5月31日以前の建物)
住宅性能評価を受けた新築住宅の場合はその旨

売買・交換のみの物件事項

記載事項 売買・交換 貸借
私道に関する負担 ×

私道負担は売買・交換のみの記載事項です。賃貸には不要です。

建物の貸借特有の物件事項

記載事項 売買・交換 貸借
台所・浴室・便所等の整備状況 ×

取引条件に関する記載事項

全取引共通の取引条件事項

記載事項 売買・交換 貸借
代金・交換差金・借賃以外に授受される金銭の額と目的
契約の解除に関する事項
損害賠償額の予定・違約金に関する事項

売買・交換のみの取引条件事項

記載事項 売買・交換 貸借
手付金等の保全措置の概要 ×
支払金・預り金の保全措置の概要
金銭の貸借(ローン)のあっせんの内容と不成立の場合の措置 ×
瑕疵担保責任の履行措置(住宅瑕疵担保履行法に基づく保険・供託) ×

貸借特有の取引条件事項

記載事項 売買・交換 貸借
借賃以外に授受される金銭の額と目的 -
契約期間・契約の更新に関する事項 ×
定期借地権・定期建物賃貸借の場合はその旨 ×
用途その他の利用の制限に関する事項 ×
敷金等の精算に関する事項 ×
管理の委託先 ×

区分所有建物(マンション)特有の記載事項

区分所有建物の追加記載事項

マンション等の区分所有建物の場合、以下の事項が追加で必要です。

記載事項 売買・交換 貸借
敷地に関する権利の種類・内容
共用部分に関する規約の定め
専有部分の用途その他の利用制限に関する規約の定め
専用使用権に関する規約の定め ×
修繕積立金に関する規約の定め・既に積み立てられた額 ×
管理費用の額 ×
管理の委託先
建物の維持修繕の実施状況の記録 ×
1棟の建物の計画的な維持修繕に関する計画 ×

区分所有建物の詳細は区分所有建物の重要事項説明を参照してください。

35条書面に記載しなくてよい事項

記載不要の事項(頻出のひっかけ)

以下の事項は35条書面の記載事項に含まれません。

記載不要な事項 理由
代金の額 37条書面の記載事項
引渡しの時期 37条書面の記載事項
移転登記の申請時期 37条書面の記載事項
取引態様 34条で別途明示義務あり

「代金の額」「引渡しの時期」「移転登記の申請時期」は37条書面の記載事項であり、35条書面には記載不要です。この点は試験で繰り返し出題されます。

説明の方法と注意点

宅建士証の提示

35条の説明を行う宅建士は、説明の前に相手方に対して宅建士証を提示しなければなりません。

場面 宅建士証の提示
35条の説明時 必要(相手方の請求がなくても提示)
取引関係者からの請求時 必要

宅建業者間の取引

宅建業者が買主・借主の場合でも、35条書面の交付は必要です。ただし、重要事項の説明(口頭での説明)は省略できます。

相手方 書面の交付 口頭の説明
一般消費者 必要 必要
宅建業者 必要 省略可

試験での出題ポイント

試験では以下のパターンで出題されます。

  • 売買と賃貸の違い: 私道負担は売買のみ、契約期間・更新は賃貸のみ
  • 35条と37条の混同: 代金の額・引渡し時期・登記の申請時期は37条(35条には不要)
  • 区分所有建物の特有事項: 修繕積立金・管理費は売買のみ(賃貸には不要)
  • 宅建業者間の取扱い: 書面交付は必要、口頭説明は省略可
  • 説明者: 宅建士が行う(専任でなくてよい)
  • 宅建士証の提示: 請求がなくても提示が必要

暗記のコツとして、「代金・引渡し・登記は37条」と呪文のように覚えてください。これだけで多くのひっかけ問題に対応できます。

理解度チェッククイズ

Q1. 35条書面には、売買代金の額を記載しなければならない。(○か×か)

答えを見る×:売買代金の額は37条書面の記載事項であり、35条書面には記載不要です。35条に記載するのは「代金以外に授受される金銭」です。

Q2. 賃貸の重要事項説明では、私道に関する負担について説明する必要がある。(○か×か)

答えを見る×:私道に関する負担の説明が必要なのは売買・交換の場合のみです。賃貸では不要です。

Q3. 重要事項の説明は、専任の宅建士が行わなければならない。(○か×か)

答えを見る×:重要事項の説明は宅建士であれば行うことができ、専任の宅建士である必要はありません。

Q4. 宅建業者が買主の場合、35条書面の交付は不要である。(○か×か)

答えを見る×:宅建業者が買主の場合でも、35条書面の交付は必要です。省略できるのは口頭での説明であり、書面交付は省略できません。

Q5. 区分所有建物の売買では、修繕積立金の額と管理費用の額を35条書面に記載する必要がある。(○か×か)

答えを見る○:区分所有建物の売買の場合、修繕積立金に関する規約の定め・既に積み立てられた額、および管理費用の額は35条書面の記載事項です。

まとめ

35条書面の記載事項について、以下の3点を押さえましょう。

  1. 3カテゴリで整理: 物件事項・取引条件事項・その他の事項に分けて記載事項を体系的に把握する
  2. 売買と賃貸の違い: 私道負担は売買のみ、契約期間・更新は賃貸のみ。区分所有の修繕積立金等は売買のみ
  3. 37条との区別: 代金の額・引渡し時期・登記申請時期は37条書面の記載事項であり、35条には不要

よくある質問(FAQ)

Q. 35条書面と重要事項説明書は同じものですか?

A. はい、実務上「重要事項説明書」と呼ばれている書類が、法律上の35条書面に該当します。宅建業法第35条に基づき作成・交付される書面であるため「35条書面」と呼ばれています。

Q. 重要事項説明は契約当日でも問題ありませんか?

A. 法律上は「契約が成立するまでの間」に説明すればよいため、契約当日でも契約締結前であれば問題ありません。ただし、相手方が内容を十分に理解できるよう、可能な限り事前に説明することが望ましいとされています。

Q. 35条書面の電子交付はどのような場合に認められますか?

A. 相手方の承諾を得た場合に限り、電磁的方法(電子メール等)による提供が認められています。2022年の宅建業法改正で導入された制度です。詳しくは重要事項説明のIT化を参照してください。

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