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宅建試験の解く順番|時間が足りない人の配分と切り方

試験対策・勉強法 読了 約40分

宅建試験50問120分を何から解くか。宅建業法先行型など3つの型の向き不向き、科目ごとの上限時刻、時間が足りない原因5つの見分け方と対処、当日遅れたときの縮退ルールを整理します。

目次

    この記事は、宅建試験の50問120分をどの順番で解き、時間が足りない人はどこで切るかだけを扱います。当日の持ち物・入室までのタイムライン・マークのずれの防ぎ方は「宅建試験当日ガイド」、残り1ヶ月の過ごし方は「直前期の勉強法」、模試を解答順序の実験台にする方法は「宅建の模試活用法」、計算問題にかける時間は「宅建の計算問題」がそれぞれ担当しているので、ここでは同じ説明を繰り返さず、順番の設計と、時間が足りない原因ごとの対処を掘り下げます。

    先に結論を書きます。解く順番に「正解」はありません。宅建業法から入る型、法令上の制限から最後まで進んで権利関係に戻る型、問1から順に解く型の三つにはそれぞれ向く人と向かない人がいて、どれを採るかは自分の実測値で決まります。ただし、どの型を採るにしても共通して必要なものが三つあります。科目ブロックごとの上限時刻、「判断のつかない肢が2つ以上なら後回し」という切る一線、そして予定より遅れたときに何を削るかという縮退ルールです。そのうえで、時間が足りない人の多くは順番ではなく読み方・粘り方・戻り方のどこかで時間を失っているので、原因を分けて一つずつ潰します。順番を決めるのは直前2〜4週間の演習で、当日は決めたとおりに動くだけにします。

    試験の器を確認する:50問・120分と問題の並び

    順番を設計する前に、動かせない前提を確認しておきます。ここに書く数字は「宅建試験の日程」と「宅建試験の全体像」に記載しているものと同じです。

    一般は50問120分、免除者は45問110分

    令和8年度の試験日は2026年10月18日(日)です。試験時間は、一般の申込者が13時から15時までの2時間で、50問を解きます。登録講習を修了した5問免除者は13時10分から15時までの1時間50分で、問1から問45までの45問を解きます。終了時刻は共通で、免除される5問の分だけ開始が10分遅い構造です。

    試験は四肢択一式で、解答はマークシートに記入します。50問すべてが1問1点で、問題によって配点が変わることはありません。この「どの問題も1点」という条件が、順番を入れ替える理由の出発点になります。難しい問題に5分かけて取った1点と、30秒で取った1点は同じ価値です。

    また、試験時間中の途中退出は禁止されています(詳しくは「宅建試験当日ガイド」)。早く解き終えても退出できない以上、120分(免除者は110分)は最初から最後まで使い切る前提で設計します。「早く終わらせる」ことに価値はなく、「最後まで判断の質を落とさずに全問を塗り終える」ことが設計の目標になります。

    問題番号は科目ごとのブロックになっている

    問題冊子の並びは、近年は次のとおりで安定しています。

    • 問1から問14:権利関係(14問)
    • 問15から問22:法令上の制限(8問)
    • 問23から問25:税と不動産の価格の評定(3問)
    • 問26から問45:宅建業法(20問)
    • 問46から問50:5問免除の対象科目(5問)

    この配列は法令で定められたものではなく出題実績ですが、長く変わっていません。順番の設計で大事なのは、科目が番号の連続した塊になっているという点です。宅建業法から始めたいなら「問26に飛ぶ」、権利関係を最後に回したいなら「問15から始めて問50のあとに問1へ戻る」というように、順番の設計は「どの塊から入り、どこで番号を飛ぶか」という形で書けます。科目ごとの配点の意味は「宅建の科目別攻略法」で扱っています。

    免除者の場合、最後の塊(問46から問50)がありません。問45で宅建業法が終わるとそのまま問題冊子の終わりになるので、一般の受験者より番号の飛びが一つ少なくなる型があります。この違いは後の「3つの型」の節で具体的に扱います。

    割り算の2分24秒は「上限」ではなく「平均の天井」

    120分を50問で割ると1問あたり2分24秒、免除者は110分を45問で割って約2分27秒です。数字はほぼ同じなので、免除者だから時間に余裕があるわけでも、ないわけでもありません。

    この数字の使い方には注意が要ります。2分24秒は、マークの記入も見直しも一切しない場合に1問に使える平均の天井です。実際には、見直しに10分から15分を残す設計が「宅建試験当日ガイド」と「直前期の勉強法」で示されており、15分を残すなら残り105分で50問、1問あたり平均約2分6秒になります。問題を読んで判断する時間は、平均すると2分前後しかないということです。

    そして平均が2分だからといって、全問に2分を割り当てる配分は成り立ちません。30秒で判定できる問題と、5分かけても判定できない問題が同じ冊子に入っているからです。以下で扱う「順番」と「切り方」は、この不均一をどこで吸収するかという設計の話です。

    時間が足りないと感じる二つの形

    「時間が足りない」という状態には、二つの形があります。

    一つは、最後の数問に手が届かずに試験が終わる形です。塗れなかった問題、あるいは読まずに勘で塗った問題が残ります。これは時間切れがはっきり見えるので、自覚しやすい形です。

    もう一つは、全問を塗り終えてはいるものの、後半の科目を焦って処理した結果、本来取れる問題を落としている形です。こちらは得点表を見ても時間の問題だと分かりにくく、「知識が足りなかった」と誤って診断されやすいものです。

    どちらの形でも、原因は「どこで時間を失ったか」と「失った時間のしわ寄せをどの科目が受けたか」の二つに分けられます。前者が後で扱う原因別の対処、後者が順番の設計です。

    問1から順に解くと時間が足りなくなる理由

    問題冊子を開いてそのまま問1から解き始めるのは、最も自然な動きです。それでも多くの対策書や講座が順番の入れ替えを勧めるのには理由があります。その理由を構造として押さえておくと、自分に入れ替えが必要かどうかを判断できます。

    冒頭の14問は権利関係で、事例と判決文が集まっている

    問1から問14は権利関係です。権利関係の問題は、登場人物が三人以上出てくる事例、時系列に沿って譲渡・登記・取消し・解除が並ぶ事例、判決文を示してその趣旨に照らした正誤を問う形式などを含みます。これらはいずれも、肢を読む前に問題文の設定を頭に入れる作業が必要で、1問あたりの処理時間が伸びやすい形式です。

    判決文形式の位置を、宅建試験AIブートラボの自社模範解答で確認しておきます。平成28年度から令和7年度までの収録分(令和2年度・令和3年度は収録した1回分)で、解説が問題の判決文に言及している権利関係の問題は、平成28年度が問9、平成29年度が問3、平成30年度が問8、令和元年度が問5、令和2年度が問3、令和3年度・令和4年度・令和5年度がいずれも問1でした。令和6年度と令和7年度の収録分には、解説が判決文に言及する問題はありませんでした。ただし収録データは問題文の前置きを持たないため、この2年度に判決文形式が出なかったと断定はできません。

    この集計は年度ごとの出題を予測するものではありません。ただ、問1から順に解く人にとっては、試験開始直後の最初の1問が判決文の読解だった年が続いたという事実は意味を持ちます。頭が温まる前に、最も読解の負荷が高い形式の一つに当たる可能性があるということです。各年度の出題内容と判旨の読み方は「宅建の判決文問題の解き方」で扱っています。

    判断の出ない肢で止まるのは、権利関係の構造による

    権利関係の肢には、条文を覚えていれば判定できるものと、判例の射程や事案への当てはめを問うものが混じります。後者は、知らない事案であれば時間をかけても判定が出ないことがあります。

    問題は、判定が出ないことそのものではなく、判定が出ないと気づくまでに時間がかかることです。条文の知識で判定する肢なら「知っているか、知らないか」が数秒で分かります。当てはめを問う肢は、考えれば分かりそうな感触があるため、読み返しと検討を繰り返してしまいます。この「分かりそうで分からない」状態が、権利関係で時間を失う典型的な形です。

    問1から順に解くと、この状態に最初の30分から40分の間に何度も入ることになります。しかも試験の序盤は「まだ時間がある」という感覚があるので、切る判断が甘くなりがちです。

    宅建業法は短い判定の積み重ねで、時間が得点に直結する

    対照的に、宅建業法は条文の要件と効果を一箇所だけ変えて誤りを作る肢が中心です。主語、期限、起算点、語尾、適用範囲といった変えられる箇所は限られており、知識があれば判定は短時間で終わります。引っかけの型は「宅建の引っかけ表現パターン」で類型化しています。

    宅建業法は20問と最大の塊で、学習量がそのまま得点に変わりやすい科目です。この科目の問題を「時間が残っていなかったので焦って処理した」という形で落とすのは、最も損の大きい失い方です。問1から順に解くと、宅建業法は試験の中盤から後半、問26から問45に来ます。前半の権利関係で時間を使いすぎた場合、そのしわ寄せを最も受けるのがこの20問です。

    ただし、宅建業法が常に速く解けるとは限りません。平成28年度から令和7年度までの10回分では、個数問題60問のうち54問が宅建業法で、令和7年度は宅建業法20問中10問が個数問題でした(集計は「宅建の個数問題・組合せ問題の解き方」)。個数問題は四つの肢すべてを判定しないと答えが出ないので、通常の四肢択一より時間がかかります。宅建業法が得点源であることは変わりませんが、「宅建業法は必ず速い」という前提で上限時刻を組むと、個数問題の多い年に崩れます。

    疲労と焦りがどの科目に乗るか

    試験の120分の中で、判断の質は一定ではありません。開始直後は緊張から読み飛ばしが起きやすく、終盤は疲労と残り時間への意識から処理が雑になりやすい、という変化を前提に置いておくのが安全です。

    順番の設計とは、この質の変化をどの科目に割り当てるかの設計でもあります。問1から順に解けば、疲労と焦りが乗るのは宅建業法と免除科目です。宅建業法から始めれば、疲労と焦りが乗るのは最後に回した権利関係になります。権利関係は難問が混じり、そもそも満点を狙う設計になりにくい科目なので、しわ寄せを受ける場所としては損が小さい、というのが順番を入れ替える論理の核心です。

    「順番の問題」と「速度の問題」を区別する

    ここで一つ区別しておきます。順番を入れ替えると、同じ知識と同じ処理速度でも、しわ寄せの位置が変わるので得点が変わることがあります。これが順番の効果です。

    しかし、順番を入れ替えても、50問を処理するのに必要な総時間は変わりません。全体として120分に収まらない人が順番を入れ替えると、時間切れになる科目が宅建業法から権利関係に移るだけで、時間切れそのものは解消しません。この場合に必要なのは順番の変更ではなく、後の節で扱う「どこで時間を失っているか」の特定です。

    自分がどちらなのかは、年度別の過去問を時間を計って通しで解き、最後に解いた科目に何分残っていたかで判断できます。この記録の取り方は「宅建の模試活用法」でも勧めているものです。最後の科目にほとんど時間が残らないなら速度の問題が混じっており、順番の変更だけでは足りません。

    解く順番の3つの型

    順番の組み方は細かく分ければいくらでもありますが、実際に採られるものはおおむね三つの型に収まります。それぞれについて、問題番号をどう進むか、向く人と向かない人、固有のリスクを書きます。

    型A 宅建業法先行型

    問26から入り、宅建業法の20問を先に解く型です。その後の進み方には二通りあります。

    • A1:問26から問45(宅建業法)→問15から問25(法令上の制限・税)→問46から問50(免除科目)→問1から問14(権利関係)
    • A2:問26から問50まで(宅建業法と免除科目)を一気に進む→問15から問25→問1から問14

    A1は科目の性質で並べた形、A2は番号の飛びを減らした形です。A2では問26から問50までが連続しているので、マーク欄も連続した区間として塗れます。免除者の場合は問46から問50がないため、A1とA2は同じ「問26から問45→問15から問25→問1から問14」になります。

    向く人は、宅建業法の正答率が他の科目より明らかに高く、しかも処理が速い人です。最初の20問で「取れている」という手応えを得ることで、残りの科目に落ち着いて向かえます。宅建業法で高得点を前提にした得点設計を組んでいる人にとっては、その前提を最も判断の質が高い時間帯に処理できる点が最大の利点です。宅建業法を仕上げる手順は「宅建業法を2週間で仕上げる方法」にあります。

    向かない人は、宅建業法の仕上がりがまだ不十分な人です。最初の塊で判断の出ない肢が続くと、得点源のはずの科目で自信を失ったまま残りに進むことになります。また、宅建業法に個数問題が集中した年には、最初の塊が予想以上に重くなります。上限時刻を置かずに型Aを採ると、宅建業法で時間を使いすぎたことに気づかないまま後半に入る危険があります。

    固有のリスクは番号の飛びです。A1では、最初に問26の欄へ飛び、問45から問15へ戻り、問25から問46へ進み、問50から問1へ戻るので、区間の始まりが4回あります。A2では、問26、問15、問1の3回です。区間の始まりは、マーク欄の段を取り違える事故が起きやすい場所です。科目に入るたびに最初の1問の番号を確認する手順は「宅建試験当日ガイド」に整理されているので、ここでは「飛びの回数が多いほど、その確認を行う回数も増える」とだけ押さえておきます。

    型B 法令・税→宅建業法→権利関係型

    問15から入り、問15から問50まで番号順に進み、最後に問1から問14へ戻る型です。免除者は問15から問45まで進んでから問1に戻ります。

    この型の特徴は、番号の飛びが少ないことです。区間の始まりは問15と問1の2回だけで、問15から問50まではマーク欄を上から順に塗れます。権利関係を最後に回すという点では型Aと同じ効果を持ちながら、マークの管理の負担は型Aより小さくなります。

    向く人は、権利関係を後ろに置きたいが、番号を何度も飛ぶことに不安がある人です。また、法令上の制限を得意としている人にとっては、得意科目で試験に入れるという利点があります。法令上の制限は数値と用語の知識で判定する問題が中心で、知識があれば処理は速い科目です。

    向かない人は、法令上の制限が苦手で、最初の8問で判断の出ない肢が続きそうな人です。試験の入口で詰まると、その後の宅建業法に向かうときの気持ちが崩れます。また、問23から問25の税と価格の評定には計算を含む問題が入ることがあり、ここで粘ると宅建業法に入る時刻が遅れます。計算問題に出会ったときの扱いは「宅建の計算問題」にまとめています。

    固有のリスクは、宅建業法に入る時刻が型Aより遅いことです。法令・税の11問で予定を超過すると、宅建業法の20問に入るのが遅れ、その遅れを権利関係で吸収することになります。型Bを採るなら、「問26に入る時刻」を最も重要な上限時刻として置きます。

    型C 問1から順型

    問題冊子の順番どおり、問1から問50(免除者は問45)まで解く型です。

    最大の利点は、番号の飛びがゼロであることです。マーク欄は上から順に埋まり、区間の始まりを管理する必要がありません。順番を入れ替えることによる事故が構造的に起きないので、マークの管理に不安がある人、あるいは順番を入れ替えた演習で何度もずれを起こした人には、それだけで採る価値があります。

    向く人は、権利関係の正答率が高く、処理も速い人です。権利関係を得意とする人にとっては、得意科目で試験に入ることになります。また、全体として時間に余裕があり、どの科目も予定時刻内に終わる人にとっては、順番を入れ替える利点がそもそもほとんどありません。

    向かない人は、権利関係で粘る癖がある人です。前節で見たとおり、問1から問14には事例と判決文が集まっており、判断の出ない肢に何度も当たります。そこで時間を失うと、しわ寄せを宅建業法と免除科目が受けます。

    型Cを採るなら、切る一線を最も厳格に運用する必要があります。後で述べる「判断のつかない肢が2つ以上なら後回し」を権利関係の14問で機械的に適用し、問15に入る時刻を上限として置きます。型Cの失敗は、順番ではなく権利関係での粘りから生じるので、粘りを止める仕組みがあれば型Cは十分に機能します。

    3つの型を比べる軸1:番号の飛びの回数

    ここからは、型を選ぶときの判断軸ごとに比べます。

    一つめの軸は、マーク欄の区間の始まりが何回あるかです。型Cは0回、型Bは2回、型A2は3回、型A1は4回です(免除者は型Aでも3回)。

    飛びの回数そのものが失点を生むわけではありません。区間の始まりごとに番号を確認する手順を守れば、ずれは防げます。ただ、確認の手順は緊張しているほど抜けやすく、回数が多いほど抜ける機会も増えます。演習でマークのずれを一度でも起こしたことがある人は、この軸を重く見てください。

    3つの型を比べる軸2:最初の塊で取れる確実性

    二つめの軸は、試験の最初に解く塊で、どれだけ確実に得点できるかです。

    最初の塊の出来は、その後の時間感覚に影響します。最初の20分で順調に進めば、残りの科目に余裕を持って向かえます。最初の塊で詰まると、まだ時間があるにもかかわらず焦りが入り、以降の判断が雑になります。

    この軸で見ると、型Aは自分の得点源から入れる設計、型Bは法令上の制限から入る設計、型Cは権利関係から入る設計です。どの科目が自分にとって最も確実かは、演習の科目別正答率で決まります。一般論として宅建業法が得点源になりやすいのは確かですが、自分の数字がそうでなければ、一般論に合わせる理由はありません。

    3つの型を比べる軸3:しわ寄せを受ける科目

    三つめの軸は、時間が押したときに、どの科目が最後に残って削られるかです。

    型Aと型Bでは権利関係、型Cでは宅建業法と免除科目が最後に来ます。前節で述べたとおり、しわ寄せを受ける科目は、そこで失っても損の小さい科目であるほうがよい、というのが順番を入れ替える論理です。

    ただし、この軸が効くのは時間が押す人だけです。毎回の演習で全科目が予定時刻内に終わり、見直しの時間まで残る人にとっては、しわ寄せが発生しないので、この軸は判断材料になりません。その場合は軸1のマークの安全性を優先して型Cを選ぶのも合理的です。

    3つの型を比べる軸4:免除者かどうか

    四つめの軸は、5問免除を受けるかどうかです。免除者は問46から問50がないため、型A1と型A2の区別がなくなり、型Bも問45で終わってから問1に戻る形になります。

    免除者は解く問題が45問、時間が110分で、1問あたりの平均時間は一般の受験者とほぼ同じです。順番の選び方の論理も同じですが、演習で使う年度別過去問を45問・110分の条件に揃えないと、時間感覚がずれます。免除者の得点設計は「5問免除者の攻略法」で扱っています。

    「正解の順番」はない

    三つの型を並べましたが、どれかが正解というわけではありません。型Aは得点源を先に確保する設計、型Bは権利関係を後ろに回しつつマークの負担を抑える設計、型Cはマークの安全を最優先にする設計で、それぞれ何を優先するかが違うだけです。

    決め方は一つしかありません。候補を二つに絞り、時間を計った通し演習でそれぞれ試し、得点と「最後の科目に何分残ったか」を比べることです。演習の回数を重ねても差が出ないなら、マークの管理が楽な方、つまり飛びの少ない方を選びます。そして一度決めたら、本番まで変えません。順番を試す場としての模試の使い方は「宅建の模試活用法」にあります。

    時間配分の作り方

    順番が決まったら、次はその順番に沿って時間を割り当てます。ここで書く分数はすべて目安です。自分の処理速度は人によって違い、同じ人でも年度によって問題の重さが違うので、最終的には自分の実測値で組み直してください。

    出発点は自分の実測値

    配分を組むとき、最初にやるのは「理想の配分」を決めることではなく、自分が各科目に何分かかっているかを測ることです。

    年度別の過去問を1回分、本番と同じ時間で通して解き、科目の塊ごとに開始時刻と終了時刻を問題用紙の余白に書いておきます。これで、権利関係の14問に何分、法令上の制限の8問に何分、税と価格の評定の3問に何分、宅建業法の20問に何分、免除科目の5問に何分かかったかが分かります。1回分では年度の重さに左右されるので、2回から3回分を測って、塊ごとのおおよその幅をつかみます。

    ここで得られる数字が、配分の出発点です。たとえば宅建業法に毎回45分前後かかっている人が、配分表の上だけで「宅建業法は35分」と決めても、本番でその時刻は守れません。守れない上限時刻は、遅れているという焦りだけを生みます。実測値から出発し、次の項で述べる見直し時間を差し引いて、それでも収まらないなら、どの塊の時間を削るかを原因の分析から決めます。過去問を時間を計って使う方法は「宅建の過去問活用術」でも扱っています。

    見直しの時間を先に差し引く

    実測値を並べる前に、見直しに使う時間を先に確保します。既存の記事では、見直しに最低10分(「宅建試験当日ガイド」)、あるいは15分(「直前期の勉強法」)を残す設計を示しています。

    見直しの時間を後から「余ったら使う」扱いにすると、ほぼ確実に余りません。問題を解く時間は、与えられた時間いっぱいまで伸びるからです。先に差し引いて、解答に使えるのは105分から110分(免除者は95分から100分)と決めてしまいます。

    見直しの中身も先に決めておきます。優先順位は、第一にマーク欄に空欄がないか、塗った番号と問題番号がずれていないかの点検、第二に後回しにした問題のうち判断のつかない肢が1つだった問題への再挑戦です。全問を最初から読み直す見直しは、時間が足りない人の設計には入りません。

    科目の塊ごとに上限時刻を置く

    配分は、問ごとではなく塊ごとの上限時刻として持ちます。試験中に確認するのは「この塊を終えた時点で時計が何時を指しているか」だけにするためです。

    宅建試験当日ガイド」では、宅建業法に40分前後、法令上の制限に20分前後、税その他と免除科目で20分前後、権利関係に30分前後を置き、残りを照合と見直しに充てる組み方を一例として挙げています。これを型A1の順番で時刻に直すと、次のようになります。

    • 13時00分:開始。問26から宅建業法へ
    • 13時40分:宅建業法を終えて問15へ
    • 14時00分:法令上の制限を終えて問23へ
    • 14時20分:税・価格の評定と免除科目を終えて問1へ
    • 14時50分:権利関係を終えて見直しへ
    • 15時00分:終了

    同じ配分を型Bの順番に並べ替えると、法令上の制限(問15から問22)が13時20分まで、税・価格の評定(問23から問25)と宅建業法(問26から問45)と免除科目(問46から問50)が14時20分まで、権利関係が14時50分まで、となります。型Cなら、権利関係が13時30分まで、法令上の制限が13時50分まで、というように並びます。

    大切なのは、分数ではなく時刻で持つことです。「宅建業法40分」と覚えていると、試験中に開始時刻からの引き算が必要になります。「13時40分に問15」と覚えていれば、時計を見るだけで判断できます。

    免除者は開始が13時10分で、問46から問50がありません。上の例を免除者に当てはめるなら、税・価格の評定と免除科目で20分としていた塊が税・価格の評定の3問だけになるので、その分を他の塊か見直しに回して、13時10分起点で時刻を書き直します。どう配り直すかは実測値で決めてください。

    1問あたりの上限を決める

    塊ごとの上限時刻とは別に、1問あたりにかけてよい時間の上限を持っておきます。塊の上限時刻は「遅れに気づく仕組み」、1問の上限は「遅れを生まない仕組み」です。

    既存の記事では、2分考えて解答の方向が見えない問題はその場で切る(「宅建試験当日ガイド」)、個数問題に3分以上留まっている場合は切り上げる(「宅建の個数問題・組合せ問題の解き方」)という基準を示しています。この記事でも同じ基準を使います。

    1問の上限を試験中に厳密に計ることはできません。問ごとに時計を見ると、それ自体が時間を食うからです。実際の運用としては、読み始めの時刻をおおまかに意識しておき、「長く考えている」と感じたら時計を見る、という程度で足ります。演習の段階で2分という長さの感覚を体に入れておくと、本番で時計を見る回数が減ります。

    「切る」判断の一線

    時間の上限と並んで、もう一つの基準が必要です。「判断のつかない肢がいくつ残ったか」で切るかどうかを決める基準です。

    宅建の個数問題・組合せ問題の解き方」では、各肢に丸(正しいと確信)、バツ(誤りと確信)、三角(判断がつかない、または根拠が言えない)を付け、三角が2つ以上なら後回し、1つ以下なら取りにいく、という一線を示しています。この一線は、通常の四肢択一にもそのまま使えます。

    通常の四肢択一で「正しいものはどれか」と問われた場合、正解は一つです。丸が一つ付けば、その時点で答えは出ます。三つにバツが付けば、残る一つが答えです。三角が一つだけ残る場合も、他の三肢が確定していれば答えは決まります。一方、三角が二つ以上残り、丸が一つもない場合は、少なくとも二択が残っており、その場では確定しません。このとき、どちらか一方を塗り、問題用紙に印を付けて先へ進みます。

    時間の上限と三角の数は、どちらか早く当てはまった方で切ります。2分経っていなくても三角が二つ残った時点で判定が出ないことは分かっているので、そこで切ります。三角が一つでも2分を超えたなら、二択のどちらかを塗って進みます。

    「後回し」と「捨てる」を分けて印を変える

    切った問題の扱いは二つに分けます。三角が一つで、時間があれば戻る価値がある問題は「後回し」、三角が二つ以上で、戻っても判定が変わる見込みの薄い問題は「捨てる」です。この区別は「宅建の個数問題・組合せ問題の解き方」の考え方と同じです。

    問題用紙に付ける印を二種類にしておくと、見直しの時間にどこへ戻るかが自動的に決まります。印が一種類しかないと、見直しの時間に「どれから戻るか」を考える時間が発生します。

    捨てると決めた問題にも、マーク欄は必ず塗ります。空欄を作るとずれの原因になるうえ、四肢択一では何かを塗れば一定の確率で得点になるからです。捨てる問題に何番を塗るかをあらかじめ一つ決めておくと、迷う時間がゼロになります。何番を選んでも当たりやすさは変わらないので、決めておく意味は時間の節約だけです。

    配分表は一枚の紙に書いて持つ

    ここまでの内容を一枚にまとめます。書くのは、順番(どの問題番号から入り、どこで飛ぶか)、塊ごとの上限時刻、1問の上限(2分、個数問題は3分)、切る一線(三角2つ以上)、見直しの優先順位、捨てる問題に塗る番号です。

    この紙を直前期の演習のたびに机に置き、そのとおりに動けたかを演習後に確認します。本番の会場に持ち込む必要はありません。演習で何度も使ったものは、本番では頭の中にあります。

    時間が足りない原因を5つに分けて対処する

    順番と配分を整えても時間が足りないなら、どこかで時間を失っています。失い方には型があり、型ごとに対処が違います。ここでは五つに分けます。一人が複数に当てはまることも普通にあるので、自分に当てはまるものをすべて拾ってください。

    原因1 問題文を二度読みしている

    一つめは、問題文、とくに事例の設定部分を読み終えたあとで、肢を読みながらもう一度設定を読み返している型です。

    権利関係の事例問題では、登場人物、財産の移転、登記の有無、時点の順序が問題文に書かれています。これを頭の中だけで保持しようとすると、肢を読むたびに「AとBのどちらが先に登記したのだったか」を確かめるために設定に戻ることになります。1肢ごとに設定へ戻れば、実質的に問題文を四回読んでいるのと同じです。

    対処は、読むのを一回にするための道具を持つことです。事例問題では、設定を読みながら人物と矢印、登記の位置、時点の順番を問題用紙の余白に書きます。この作図の手順は「権利関係の頻出論点」で扱っています。図があれば、肢を読むときに戻る先は設定の文章ではなく図になり、確認は一瞬で済みます。

    もう一つ、設問の指示(「正しいものはどれか」か「誤っているものはどれか」か)を最初に確定させて印を付けることも、二度読みを減らします。指示を曖昧なまま肢を読み進め、最後に「どちらを聞かれていたか」を確かめに戻る動きは、時間を失ううえに取り違えの原因にもなります。

    原因2 肢を全部読んでから判断している

    二つめは、四肢択一で、確定できる肢が出ても残りの肢をすべて読み、四つを比べてから答えを選んでいる型です。

    「正しいものはどれか」という問題で、肢1を読んだ時点で「これは条文どおりで確実に正しい」と判定できたなら、正解は一つしかない以上、その時点で答えは出ています。肢2から肢4を読むのは、答えの確認にはなりますが、得点には影響しません。

    対処は、確定肢が出たら止めることです。ただし、これには前提があります。止めてよいのは、その肢の判定を「確信」と呼べる場合、つまり条文の語で根拠を言える場合だけです。「たぶん正しい」で止めると、他の肢にもっと正しいものがあった場合に落とします。丸を付ける基準を甘くしないことが、確定肢で止める運用の条件です。

    この運用が使えない形式が二つあります。一つは個数問題で、四つすべての肢を判定しないと答えが出ません。もう一つは組合せ問題で、こちらは肢を読む前に選択肢の組み方を見て、どの肢を確定させれば選択肢が絞れるかを先に判断します。どちらの手順も「宅建の個数問題・組合せ問題の解き方」にまとめています。形式ごとに読み方を切り替えることが、全肢を読む習慣を外す前提になります。

    原因3 計算問題や判決文で粘る

    三つめは、特定の形式で上限時間を超えて粘っている型です。代表が計算問題と判決文形式です。

    計算問題は、途中まで正しく進めても最後の端数処理や単位を誤れば0点で、部分点がありません。しかも計算は「あと少しで答えが出そう」という感触が続くので、切り時を見失いやすい形式です。計算問題に出会ったら、基本形か多段かを短時間で判定し、多段なら印を付けて飛ばす、という運用が「宅建の計算問題」で示されています。

    判決文形式は、判決文を読み、その趣旨に照らして肢を判定する形式です。判決文そのものが長く、しかも判例の言い回しで書かれているので、読むだけで時間がかかります。示された判旨がどの条文の場面の話かに当たりをつけられれば判定は進みますが、当たりがつかないまま判決文を読み返し続けると、1問で大きく時間を失います。判旨を条文に結び直す考え方は「権利関係の頻出論点」、判決文形式に絞った読み方と切る基準は「宅建の判決文問題の解き方」で扱っています。

    どちらの形式も、対処は同じです。その形式に出会った時点で読み始めの時刻を意識し、1問の上限時間を他の問題より厳格に適用します。粘ってしまう形式が特定されているなら、その形式だけを先に後回しにする、という運用もありえます。

    原因4 自信のない問題に戻り続ける

    四つめは、一周目の途中で、前に解いた自信のない問題が気になって戻ってしまう型です。

    後回しにした問題に一周目の途中で戻ると、その間は先の問題が進みません。しかも、戻った時点で新しい知識が増えているわけではないので、判定が変わることはまれです。結果として、時間だけを失い、判定は元のままという状態になります。

    対処は、一周目の途中では戻らないと決めることです。後回しの問題は、全塊を一周し終えて見直しの時間に入ってから戻ります。戻る順番も、先に述べた印の区別に従い、三角が一つだった「後回し」の問題を優先し、三角が二つ以上だった「捨てる」問題には戻りません。

    もう一つの形として、答えを塗り終えた問題を見直しで何度も読み返し、答えを変えるかどうか迷い続ける型があります。答えを変えてよいのは、明確な誤りに気づいた場合だけです。迷いだけを理由に書き換えても、判断材料が増えていない以上、結果が良くなる根拠はありません。この考え方は「宅建試験当日ガイド」とも共通しています。

    原因5 マーク作業が遅い

    五つめは、解答そのものではなく、マークシートへの記入に時間がかかっている型です。

    マークの塗り方には、1問解くごとに塗る方法と、一定の区切りごとにまとめて塗る方法があります。1問ごとに塗る方法は、ずれの危険が小さい一方で、問題用紙とマークシートの間を毎回行き来する時間がかかります。まとめて塗る方法は、行き来の回数が減る一方で、塗り忘れや区切りの管理が必要になり、最後にまとめて塗ろうとすると時間切れのときに解けていた問題まで失います。

    対処は、塗る単位を演習の段階で一つに決め、その単位で塗る速度を測っておくことです。決める単位としては、1問ごと、見開きごと、科目の塊ごとなどがありえます。どの単位を選ぶにしても、試験の最後にまとめて塗る設計は避けます。区切りごとの照合の手順は「宅建試験当日ガイド」にあります。

    マーク作業の遅さは、演習で自宅のノートに答えを書いているだけでは表に出ません。本番と同じ形式の解答用紙を使った演習で初めて見える原因です。模試をマークシートで受ける意味はここにもあります。

    原因を演習の記録から見分ける

    自分がどの原因で時間を失っているかは、感覚ではなく記録で見分けます。時間を計った通し演習のたびに、次の四つを問題用紙に残してください。

    • 塊ごとの開始時刻と終了時刻
    • 後回しと捨てるの印を付けた問題の番号
    • 見直しの時間に戻って答えを変えた問題の番号と、変えた結果が正しかったかどうか
    • 最後の塊を終えた時点で残っていた時間

    採点のあとで、この記録を次の順に読みます。

    まず、上限時刻を超えた塊を探します。超過が特定の塊に集中しているなら、その塊の問題を一問ずつ見直し、時間がかかった問題に共通する形式を探します。事例問題が並んでいれば原因1、確定肢が早く出ているのに時間がかかっていれば原因2、計算問題や判決文形式であれば原因3の可能性が高くなります。

    次に、超過がどの塊にも薄く広がっている場合を考えます。特定の形式ではなく読み方全体の問題なので、原因1と原因2を疑います。あわせて、塊の境目ごとのマーク記入にかかった時間を測れば、原因5も切り分けられます。

    三つめに、塊の時刻は守れているのに見直しの時間が残っていない場合は、一周目の途中で戻っているか(原因4)、塗る単位の設計が合っていない(原因5)可能性があります。

    四つめに、見直しで答えを変えた問題の結果を数えます。変えて正解になった問題より、変えて誤りになった問題が多いなら、見直しの時間の使い方そのものを変える必要があります。

    最後に、正解したのに時間がかかった問題を拾います。得点表では正解として処理されるため見落とされますが、時間の観点では失点と同じ損をしています。正解した問題を確認する考え方は「宅建の模試活用法」、誤答の原因を分類する方法は「宅建の弱点克服法」で扱っています。

    直前2〜4週間で順番と時間感覚を固定する

    順番と配分は、決めただけでは本番で機能しません。演習で何度も同じ手順を回し、考えなくても体がその順に動く状態にしておく必要があります。試験日の2026年10月18日から逆算すると、その期間は直前の2〜4週間です。直前1ヶ月の学習全体の組み立ては「直前期の勉強法」が扱っているので、ここでは順番と時間の固定に絞った手順を書きます。

    4週間前:候補を二つに絞って試す

    最初の週は、三つの型のうち候補を二つに絞り、年度別の過去問を使って両方を試します。1回分ごとに型を変え、それぞれ2回ずつ解ければ比較の材料になります。

    条件は本番と揃えます。一般の受験者は50問を120分、免除者は45問を110分で解きます。途中で中断せず、テキストや解説を見ず、時計は本番で使うものと同じ種類のものを使います。マークシート形式の解答用紙を用意できるなら、それも使います。本番条件を守る理由は「宅建の模試活用法」で詳しく扱っています。

    この週に記録するのは、前節の四つの記録に加えて、「型ごとの最後の塊に何分残ったか」です。得点だけで比べると、年度の難易度の差に引きずられます。最後の塊の残り時間は年度の差を受けにくく、型の違いが見えやすい指標です。

    3週間前:型を一つに決めて配分表を書く

    二つの型を比べて、一つに決めます。差がはっきりしない場合は、番号の飛びが少ない方を選びます。飛びが少ないほどマークの事故の機会が減り、決め手がないときの判断として合理的だからです。

    型を決めたら、ここまでの実測値をもとに配分表を書きます。塊ごとの上限時刻、1問の上限、切る一線、見直しの優先順位、捨てる問題に塗る番号を一枚にまとめます。

    この週の演習は、配分表どおりに動けるかの確認です。上限時刻を超えた塊があれば、その塊で何が起きたかを原因の五分類で見分け、対処を一つずつ入れます。配分表の時刻を実測値に合わせて直すのは、この週までにします。

    2週間前:模試で本番条件を再現する

    この時期に、本番と同じ時間帯で通しの演習を行います。模試を受けるなら、会場受験でも自宅受験でも、13時に開始して15時に終える条件で解きます。模試を受けない場合は、年度別の過去問で同じ条件を自作します。

    時間帯を揃えるのは、昼食後の時間帯の集中力を含めて、本番の自分の処理速度を測るためです。午前中に解いた演習の実測値は、午後の本番では再現しないことがあります。

    模試では、初見の問題に対して自分の配分表がどう機能するかを見ます。過去問は何度か解いているうちに内容を覚えてしまい、時間の実測値が実力より速く出ることがあります。初見の問題で上限時刻が守れるかどうかが、本番の予行になります。模試の復習で時間不足を原因として拾う方法は「宅建の模試活用法」にあります。

    最後の1週間:変えない

    最後の週は、順番も配分表も変えません。この時期に新しい順番を試すのは、練習していない手順を本番で使うのと同じです。

    この週にできるのは、配分表どおりに動く演習を短い単位で繰り返すことです。たとえば宅建業法の20問だけを40分で解く、権利関係の14問だけを30分で解く、というように、塊ごとの時間感覚を確認します。通しの演習を毎日行う必要はありません。

    合わせて、切る一線を体に入れる練習をします。三角が二つ残った時点で塗って次へ進む、という動作を、迷わずに行えるかを確かめます。本番で切れない人の多くは、基準を知らないのではなく、基準を適用する動作に慣れていません。

    免除者は演習の条件を45問・110分に揃える

    5問免除を受ける人は、すべての演習を45問・110分の条件で行います。50問・120分で演習すると、問46から問50の分の時間が配分に紛れ込み、本番での時間感覚がずれます。

    免除者の場合、型Aと型Bの番号の飛びは一般の受験者より一回少なくなります。演習で採る型もこの形に合わせて固定します。免除者の得点設計と科目の優先順位は「5問免除者の攻略法」、制度の仕組みは「5問免除の仕組み」で扱っています。

    当日の運用

    当日の持ち物、入室までの流れ、マークのずれの防ぎ方の細部は「宅建試験当日ガイド」にまとめています。ここでは、試験時間の中で順番と配分をどう運用するかだけを書きます。

    開始前:頭の中で確認するのは三つだけ

    試験開始の合図までの間に、頭の中で確認しておくのは三つです。最初に開く問題番号、最初の塊の上限時刻、切る一線です。

    これ以上のことを開始前に確認しようとすると、かえって緊張が増します。配分表の細部は、演習で繰り返していれば塊の切り替えのたびに自然に思い出せます。開始前は、最初の一歩だけを確かにしておけば足ります。

    開始の合図のあと、問題用紙の余白に塊ごとの上限時刻を書き出すかどうかは、演習で試して決めておきます。書き出すと時刻を思い出す手間が省けますが、書くこと自体に数十秒かかります。演習で書いていなかった人が本番だけ書く必要はありません。

    塊の切り替え時:時刻と番号を確かめる

    塊を一つ終えるたびに、二つのことを確認します。

    一つは時刻です。時計を見て、上限時刻と比べます。予定どおりか、早いか、遅いかだけを判断し、遅れていれば次の項の縮退ルールを適用します。塊の途中では時計を見ない、という運用にしておくと、問ごとに時計を見て時間を失うことを防げます。

    もう一つは、次に解く問題番号とマーク欄の番号です。とくに番号を飛ぶ場所、型A1なら問26・問15・問46・問1、型A2なら問26・問15・問1、型Bなら問15・問1では、最初に塗る欄が正しい段かを確かめます。区間の始まりさえ合っていれば、その区間の中でずれが起きる可能性は小さくなります。

    予定より遅れたとき:三段の縮退ルール

    予定より遅れていると分かったときに、何を削るかを事前に決めておきます。その場で判断すると、焦りの中で判断することになり、削るべきでないものを削ります。以下は一例で、段階の区切りは自分の演習の記録に合わせて調整してください。

    一段目は、遅れが数分程度の場合です。このときは何も変えずに次の塊に入り、次の塊で吸収することを目指します。見直しに10分から15分を残す設計であれば、数分の遅れは見直し時間の一部で吸収できます。

    二段目は、遅れが見直しの時間に食い込むほど大きい場合です。このときは切る一線を一段厳しくします。三角が二つで切っていたものを、三角が一つでも迷ったら塗って進む、1問の上限を2分から短くする、という形です。見直しの時間は、マーク欄の空欄とずれの点検だけに縮めます。

    三段目は、残りの問題をすべて読むことすら難しいほど遅れた場合です。このときの目標は、全問のマーク欄を埋めることに切り替わります。残りの問題は、問題文を読んで即答できるものだけを答え、判定に時間がかかりそうなものは読み始めた時点で塗って進みます。空欄を残して試験が終わることだけは避けます。

    縮退ルールを適用する順番にも注意が要ります。遅れを取り戻そうとして、残った塊の中で得点源の問題を雑に処理するのが最も損の大きい動きです。削るのは、時間をかけても判定が変わりにくい問題にかける時間であって、確実に取れる問題を読む時間ではありません。

    予定より早く進んだとき

    逆に、予定より早く塊を終えた場合は、余った時間を次の塊に持ち越し、上限時刻はそのままにします。早く進んだからといって、終えた塊に戻って見直しを始めると、一周目の途中で戻る動き(原因4)と同じことになります。

    余った時間は、最終的に見直しの時間に合流させます。そのうえで、見直しの優先順位に従って、後回しの印が付いた問題から戻ります。

    最後の5分でやること

    試験終了の5分前には、まだ解いていない問題があっても、手を止めてマークシートを確認します。やることは三つで、順番も固定します。

    第一に、マーク欄に空欄がないかを確認します。空欄があれば、捨てる問題用に決めておいた番号を塗ります。

    第二に、区間の始まりの問題で、塗った番号と問題番号が一致しているかを確認します。すでに塊の切り替えのたびに確認しているはずですが、最後にもう一度だけ見ます。

    第三に、時間が残っていれば、後回しの印の中で三角が一つだった問題に一問だけ戻ります。複数に手を広げると、どれも中途半端なまま終了の合図を迎えます。

    この5分で、迷いを理由に答えを書き換えることはしません。書き換えてよいのは、明確な誤りに気づいたときだけです。塗り直しは消し残しを生みやすい作業でもあるので、終了間際に始めないようにします。

    試験での出題ポイント:時間を食う出題形式の見分け方

    この記事は法令の知識そのものを扱う記事ではないので、この節では「どういう出題形式が時間を食うか、それを問題を開いた数秒でどう見分けるか」を書きます。見分けが速いほど、上限時間の適用や後回しの判断が早くなります。

    個数問題は選択肢の並びで見分ける

    選択肢が「一つ」「二つ」「三つ」「四つ」、あるいは「一つ」「二つ」「三つ」「なし」となっていれば個数問題です。問題文より先に選択肢の並びを見れば、一瞬で見分けられます。

    個数問題は四つの肢をすべて判定しないと答えが出ないので、確定肢で止める運用が使えず、通常の問題より時間がかかります。平成28年度から令和7年度までの10回分では60問が出題され、そのうち54問が宅建業法でした(「宅建の個数問題・組合せ問題の解き方」)。

    見分けたあとの判断は科目で変わります。問26から問45の宅建業法で個数問題に当たったら、基本的に取りにいく問題として、1問3分を上限に全肢を判定します。問1から問14の権利関係で当たったら、判例の当てはめが絡む記述が混じりやすいので、三角が二つ残った時点ですぐに切る候補として扱います。

    組合せ問題は選択肢が記号の組になっている

    選択肢が「ア、イ」「ア、ウ」のように記述の組で示されていれば組合せ問題です。こちらは個数問題と違い、一つの記述を確定させると、その記述を含む選択肢がまとめて消えるので、消去法が部分的に効きます。

    時間の観点では、肢を読む前に選択肢の組み方を見て、どの記述を確定させれば答えが絞れるかを判断すると、判定すべき記述の数が減ることがあります。見分けたら、まず選択肢の構成を読むという手順に切り替えます。

    判決文形式は問題文の冒頭で分かる

    問題文に判決文が引用され、その趣旨に照らして正しいもの、あるいは誤っているものを問う形式です。問題文の冒頭で判決文が示されるので、見分けること自体は容易です。

    時間を食う理由は、判決文を読む時間が上乗せされることと、判例特有の言い回しを条文の場面に結び直す作業が必要なことです。見分けたら、判決文を細部まで読み込む前に、どの条文の場面の話かに当たりをつけることを目指します。当たりがつかないまま判決文を読み返し始めたら、上限時間に近づいているサインです。

    先に見たとおり、自社模範解答で解説が判決文に言及している問題は、平成28年度から令和5年度までの各年度で問1から問9の間に置かれていました。問1から順に解く型Cを採る人は、試験開始直後にこの形式に当たる可能性を前提に、最初の1問から切る一線を適用できるようにしておきます。

    事例問題は登場人物の数で見分ける

    問題文に登場人物が三人以上現れ、売買、登記、取消し、解除などが時系列で並んでいれば、図を書かないと処理に時間がかかる事例問題です。問題文の冒頭で人物を表す記号がいくつ出てくるかを見れば、見分けられます。

    見分けたら、読みながら図を書く手順に切り替えます。図を書かずに読み始めて、途中で書き始めるのは、読み直しが発生するので最も時間を失います。

    計算問題は数値の量で見分ける

    問題文や肢に数値が並び、報酬額、建ぺい率や容積率、税額などを計算させる問題です。数値が多い問題ほど、条件が多段に積まれていることが多く、時間がかかります。

    見分けたら、基本形か多段かを短時間で判定し、多段なら後回しの印を付けて飛ばすかどうかを決めます。「宅建の計算問題」が、計算問題の分布と、計算を始める前の確認事項を整理しています。

    「誤っているもの」を問う設問は取り違えが起きる

    時間そのものを食う形式ではありませんが、「誤っているものはどれか」「誤っているものはいくつあるか」を問う設問は、指示の取り違えによって答えがずれる形式です。取り違えに気づいて解き直すと、1問分の時間を丸ごと失います。

    見分け方は、設問の末尾を最初に読むことです。指示に印を付けてから肢に入れば、取り違えも、それによる解き直しも起きません。

    覚え方・整理の仕方

    型は「番号の飛びの回数」で覚える

    三つの型は、番号の飛びの回数で整理すると覚えやすくなります。

    • 型C(問1から順)は飛び0回
    • 型B(問15から問50、そして問1へ)は飛び2回
    • 型A2(問26から問50、問15、問1)は飛び3回
    • 型A1(問26から問45、問15、問46、問1)は飛び4回

    飛びが少ないほどマークの管理は楽で、飛びが多いほど得点源を先に確保できる設計になっている、と対にして覚えます。免除者は問46から問50がないので、型A1と型A2が同じ形になり、飛びは3回です。

    上限時刻は時刻で覚える

    配分は分数ではなく時刻で持ちます。たとえば型A1の一例なら「13時40分に問15、14時00分に問23、14時20分に問1、14時50分に見直し」の四つです。

    分数で覚えると、試験中に開始時刻からの足し算が必要になります。時刻で覚えれば、時計を見るだけで予定どおりかどうかが分かります。免除者は起点が13時10分なので、演習の段階から13時10分起点の時刻で覚えます。

    切る一線は「三角二つ、または2分」

    切る基準は一行で持ちます。判断のつかない肢が二つ以上になったら切る。二つ未満でも2分を超えたら塗って進む(個数問題は3分)。どちらか早く当てはまった方で切ります。

    この基準は、試験中に考え直す余地をなくすためのものです。基準そのものの当否は事前の演習で検討し、本番では適用するだけにします。

    時間を失う原因は「読・全・粘・戻・塗」

    原因の五分類は、頭文字で覚えます。

    • 読:問題文を二度読みしている
    • 全:肢を全部読んでから判断している
    • 粘:計算や判決文で粘る
    • 戻:自信のない問題に戻り続ける
    • 塗:マーク作業が遅い

    演習の記録を読むときに、時間がかかった問題がこの五つのどれに当たるかを分類します。分類できれば、対処も一つに決まります。

    縮退ルールは「吸収・厳格化・全埋め」の三段

    遅れたときの対応は三段で覚えます。数分の遅れは次の塊で吸収する。見直しに食い込む遅れなら切る一線を厳格化し、見直しを点検だけに縮める。残りを読み切れないほどの遅れなら、全問のマーク欄を埋めることを最優先にする。

    この三段を事前に持っておくことで、遅れに気づいた瞬間に次の動きが決まります。

    固定の期間は「4週間前に試し、3週間前に決め、2週間前に再現し、最後の週は変えない」

    直前期の手順も一行にしておきます。4週間前に候補の型を二つ試し、3週間前に一つに決めて配分表を書き、2週間前に本番と同じ時間帯で再現し、最後の週は変えない。この順番を守れば、本番で初めて試す手順はなくなります。

    理解度チェッククイズ

    試験制度と、時間を食う出題形式についての知識から出題します。

    Q1. 登録講習を修了した5問免除者は、13時10分から15時までの1時間50分で、問1から問45までの45問を解答する(○か×か)

    答えを見る ○:令和8年度の試験時間は、一般の申込者が13時から15時までの2時間、登録講習修了者が13時10分から15時までの1時間50分です。免除されるのは問46から問50までの5問で、免除者は問1から問45までの45問を解答します。終了時刻は共通で、免除される5問の分だけ開始が10分遅くなる構造です。1問あたりの平均時間は一般が2分24秒、免除者が約2分27秒で、ほぼ同じです。日程の詳細は「[宅建試験の日程](/articles/shiken-nittei-2026)」にあります。

    Q2. 宅建業法の問題は問1から問20までに置かれているので、宅建業法から解く場合は問題冊子の冒頭から始めればよい(○か×か)

    答えを見る ×:近年の問題の配列は、問1から問14が権利関係、問15から問22が法令上の制限、問23から問25が税と価格の評定、問26から問45が宅建業法、問46から問50が5問免除の対象科目です。宅建業法から解く場合は問26から始めることになり、マーク欄も26番から塗り始めます。区間の始まりでマーク欄の段を取り違える事故が起きやすいので、番号を飛んだ直後の1問は、問題番号とマーク欄の番号を必ず照合します。

    Q3. 個数問題は、四つの肢のうち一つを確実に正しいと判定できれば、その時点で答えが出る(○か×か)

    答えを見る ×:個数問題の答えは「正しい肢(または誤っている肢)の総数」なので、四つの肢すべてについて正誤を確定させないと答えが出ません。通常の四肢択一で「正しいものはどれか」と問われた場合は、正解が一つなので、一つの肢を確実に正しいと判定できればその時点で答えが出ます。この違いのため、確定肢が出たら止めるという時短の運用は個数問題には使えず、個数問題は通常の問題より時間がかかる前提で上限時間を置きます。

    Q4. 平成28年度から令和7年度までの10回分で出題された個数問題60問のうち、半数以上は権利関係の問題だった(○か×か)

    答えを見る ×:宅建試験AIブートラボが収録する10回分500問の集計では、個数問題60問の内訳は宅建業法54問、権利関係6問、法令上の制限0問、税・その他0問でした。個数問題は宅建業法に集中しています。したがって「個数問題は時間を食うから捨てる」という方針を採ると、得点源である宅建業法の問題を放棄することになります。個数問題に当たったときの判断は形式ではなく、判断のつかない肢がいくつ残ったかで行います。詳しくは「[宅建の個数問題・組合せ問題の解き方](/articles/kosuu-mondai)」を参照してください。

    Q5. 判決文形式の問題は、示された判決を事前に暗記していなければ判定できないので、見分けた時点で必ず捨てるべきである(○か×か)

    答えを見る ×:判決文形式で試されているのは判例の暗記ではなく、示された判旨の射程を読み取り、どの条文の場面の話かに結び直す力です。判旨の言い回しから条文の場面に当たりがつけば、知らない判決でも判定は進みます。時間を食うのは、当たりがつかないまま判決文を読み返し続けた場合です。したがって、見分けた時点で機械的に捨てるのではなく、他の問題と同じく上限時間と「判断のつかない肢が二つ以上なら後回し」の一線を適用します。考え方は「[権利関係の頻出論点](/articles/kenri-hinshutsu)」で扱っています。

    まとめ

    宅建試験の解く順番と、時間が足りないときの切り方について、要点を整理します。

    第一に、試験の器を正確に持つことです。一般は50問を13時から15時の120分、免除者は45問を13時10分から15時の110分で解きます。問題は科目ごとの番号の塊になっており、問1から問14が権利関係、問15から問22が法令上の制限、問23から問25が税と価格の評定、問26から問45が宅建業法、問46から問50が免除科目です。1問あたりの平均は約2分24秒ですが、見直しの時間を先に差し引くと、判断に使える平均は2分前後になります。

    第二に、問1から順に解くと時間が足りなくなりやすいのは、冒頭の14問に事例と判決文形式が集まり、判断の出ない肢で止まりやすい一方、しわ寄せを得点源の宅建業法が受けるからです。ただし順番の入れ替えで変わるのはしわ寄せの位置であって、総時間ではありません。

    第三に、順番には宅建業法先行型、法令・税から最後まで進んで権利関係に戻る型、問1から順型の三つがあり、正解の順番はありません。番号の飛びの回数、最初の塊の確実性、しわ寄せを受ける科目、免除の有無という軸で比べ、候補を二つに絞って演習で試し、一つに決めたら変えません。

    第四に、配分は自分の実測値から作り、見直しの時間を先に差し引き、塊ごとの上限時刻として時刻で持ちます。1問の上限は2分(個数問題は3分)、切る一線は判断のつかない肢が二つ以上。切った問題は後回しと捨てるに分けて印を変え、捨てる問題にもマークは必ず塗ります。

    第五に、時間が足りない原因は、二度読み、全肢読み、計算や判決文での粘り、戻り続け、マーク作業の遅さの五つに分けられます。演習ごとに塊の時刻と印を記録し、超過した塊と形式から原因を特定して、一つずつ対処します。

    第六に、直前2〜4週間で順番と時間感覚を固定し、当日は開始前に最初の問題番号・最初の上限時刻・切る一線の三つだけを確認します。遅れたら吸収・厳格化・全埋めの三段で縮退し、最後の5分は空欄の確認、区間の始まりの照合、後回しの一問の順で使います。合格に必要な得点の考え方は「宅建の合格戦略」、合格ラインの動き方は「宅建の合格ライン予想」で扱っています。

    宅建試験AIブートラボでは、年度別の過去問演習で50問を通して解けるので、時間を計りながら自分の解く順番と配分を試すことができます。

    勉強法を読んだら、手を動かすところまで

    肢別演習と年度別演習で、立てた学習計画をそのまま実行に移せます。間違えた肢だけを繰り返す復習にも対応しています。

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