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宅建試験の全体像|制度・数値・学習の入口

試験対策・勉強法 読了 約28分

宅建試験の制度を出典つきで整理。試験日・手数料、施行規則8条の7項目、5問免除、令和7年度の実績、合格後の登録手続に加え、令和8年度の出題範囲に入る改正と入らない改正を施行日つきで一覧します。

目次

    本記事の役割 — この記事はサイト全体の入口です。試験制度そのものの輪郭と、その年の数値と、どの記事から読み始めるかを示します。あわせて、令和8年度の出題範囲に入る改正と入らない改正を施行日つきで一覧する改正情報のハブでもあります。個々の論点はここでは扱わず、科目ごとのハブ記事へ送ります。

    宅建試験の情報は、探すと大量に出てきます。ところが、そのうちかなりの部分は出典のない目安です。学習時間は何時間、合格には何点、過去問は何周。数字が並んでいるほど頼りたくなりますが、根拠が示されていない数字は判断材料になりません。

    この記事では、確かめられることと確かめられないことを分けます。試験日、試験時間、手数料、出題の根拠、免除の要件、合格基準、合格後の手続。これらはすべて条文か実施団体の公表資料で確認できます。逆に、必要な学習時間や「何周すれば受かるか」といった相場には公表された調査がないので、書きません。

    そのうえで、確かめられた土台の上に学習の入口を置きます。四つの科目それぞれにハブ記事が用意してあるので、この記事を地図として使い、必要なところから降りていってください。

    なお、以下の制度情報は2026年8月時点で一般財団法人不動産適正取引推進機構が公表している内容にもとづきます。日程や手数料は年度によって変わりうるため、受験する年の受験案内で必ず確認してください。その年の日程は2026年の宅建試験の日程・概要にまとめています。

    試験の輪郭

    誰が実施するか

    宅地建物取引業法16条1項は、都道府県知事は、国土交通省令の定めるところにより、宅地建物取引士資格試験を行わなければならない、と定めています。試験の実施主体は本来、都道府県知事です。

    ただし実際の事務は、知事から指定を受けた指定試験機関である一般財団法人不動産適正取引推進機構が行っています。受験案内の配布、申込みの受付、問題の作成、合否の判定まで、受験者が接するのはこの機構です。制度上の主体は知事、実務を担うのは機構という二段構えになっています。

    日程と時間

    機構の案内によれば、試験は毎年1回、10月の第3日曜日に実施されます。試験時間は午後1時から午後3時までの2時間です。

    登録講習修了者は開始時刻が違います。午後1時10分から午後3時までの1時間50分で、10分遅く始まって同じ時刻に終わります。免除される5問のぶんだけ時間が短くなる計算です。

    合格発表は原則として11月下旬とされています。

    形式と受験資格

    出題形式は50問・四肢択一式による筆記試験です。登録講習修了者は45問になります。マークシートで解答し、各問1点として採点されます。

    受験資格について、機構は「日本国内に居住する方であれば、年齢、学歴等に関係なく、誰でも受験できます」と案内しています。年齢や学歴や実務経験の要件はありませんが、国内居住という条件は付いています。「受験資格に制限は一切ない」という説明は、この点で正確ではありません。

    受験手数料は8,200円です。

    申込みの時期

    申込受付期間は、インターネット申込みが7月上旬から下旬まで、郵送申込みが7月上旬から7月中旬までとされています。郵送のほうが締切が早い点に注意してください。

    申込みを逃すと、その年は受験できません。学習の開始時期そのものより、この7月の受付期間を先にカレンダーに入れておくほうが実害を防げます。逆算した計画の立て方は宅建の勉強はいつから?、月単位のスケジュール例は宅建の勉強スケジュール表にあります。

    出題は何で決まっているか

    根拠は施行規則8条

    宅建試験の出題範囲は、宅地建物取引業法施行規則8条が定めています。「試験すべき事項」として次の七項目が挙げられています。

    土地の形質、地積、地目及び種別並びに建物の形質、構造及び種別に関すること(1号)。土地及び建物についての権利及び権利の変動に関する法令に関すること(2号)。土地及び建物についての法令上の制限に関すること(3号)。宅地及び建物についての税に関する法令に関すること(4号)。宅地及び建物の需給に関する法令及び実務に関すること(5号)。宅地及び建物の価格の評定に関すること(6号)。宅地建物取引業法及び同法の関係法令に関すること(7号)。

    一般に使われる「権利関係」は2号、「法令上の制限」は3号、「宅建業法」は7号に対応します。「税・その他」と呼ばれる枠は、4号の税、6号の価格の評定、そして1号と5号の一部から成り立っています。科目名は通称であって、条文が定めているのはこの七項目です。

    問番号の並び

    実際の問題冊子では、問1から順に権利関係、法令上の制限、税・その他、宅建業法、そして最後に免除対象科目という並びで出題されるのが通例です。問46から問50までが、登録講習修了者にとって免除される範囲にあたります。

    出題数の配分は年度によって固定的に運用されていますが、法令が科目ごとの問数を定めているわけではありません。各科目の範囲と学習設計は、権利関係の全体像宅建業法の全体像法令上の制限の横断整理税・その他の得点戦略にそれぞれまとめています。

    法令の基準日

    出題の前提となる法令の時点も公表されています。機構は「出題の根拠となる法令は、試験を実施する年度の4月1日現在施行されているものです」と案内しています。

    これは実務的に重要です。その年の4月1日より後に施行された改正は出題範囲に入らず、逆に4月1日までに施行済みの改正は、公布が古かろうと新しかろうと出題範囲に入ります。教材を選ぶときも、受験する年度に対応しているかをこの基準で判断してください。近年は改正が続いているため、古い版の教材を使い続けると条文の文言そのものが現行法と食い違います。

    その年の改正をどう追うか

    4月1日基準が意味すること

    「4月1日現在施行されているもの」という基準は、抽象的なルールではありません。受験する年によって正解が変わる論点が現に存在します。

    近年は改正が続いており、しかも施行日が分散しています。公布された年ではなく施行された日で判断するため、「去年の教材でも大丈夫だろう」という判断が通らない年があります。

    そして、基準日には両側があります。4月1日までに施行された改正は範囲に入るので、追わないと損をします。4月1日より後に施行された改正は範囲に入らないので、追ってしまうと損をします。令和8年度は後者が特に多く、都市計画法・建築基準法・土地区画整理法・不動産登記法・民法・借地借家法という主要科目の法律が、そろって基準日の後に改正施行されています。最新の条文に合わせた教材ほど危ないという、直感に反する状況です。

    以下、範囲に入るものと入らないものを、施行日を添えて分けて挙げます。この節は改正情報のハブとして使ってください。個々の内容は各記事に置いてあります。

    令和8年度の範囲に入る改正

    以下はいずれも2026年4月1日までに施行済みで、令和8年度の出題範囲に入ります。施行日を添えてあるので、手元の教材と突き合わせてください。

    懲役と禁錮の拘禁刑への一本化は2025年6月1日に施行されました。これに伴い、宅建業法5条1項5号の免許の欠格事由と18条1項6号の登録の欠格事由が、いずれも「禁錮以上の刑」から「拘禁刑以上の刑」に改まっています。経過措置まで含めた整理は拘禁刑とは?宅建業法の欠格事由への影響にあります。旧文言のまま書かれた教材は、条文の引用として現行法と食い違います。

    区分所有法の決議要件は、2026年4月1日施行の改正(令和7年法律第47号「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」)で建付けそのものが変わりました。ここは変更点が多いので、四つに分けて挙げます。

    第1に、定足数という概念が新設されました。重い決議については「区分所有者の過半数の者であって議決権の過半数を有するものが出席し」という要件が条文に入りました。改正前の区分所有法には、集会の成立に何人の出席が必要かを定める規定そのものがありませんでした。

    第2に、多数決の分母が総数から出席者に変わりました。通常の集会の議事は「出席した区分所有者及びその議決権の各過半数」(39条1項)、規約の設定・変更・廃止は定足数を満たしたうえで「出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上」(31条1項前段)です。共用部分の重大変更(17条1項)も同じ形です。ただし建替え決議は区分所有者および議決権の各5分の4以上と総数基準のままで、耐震性等の五つの事由に該当する建物では4分の3に緩和されました(62条1項・2項)。所有権を失わせる決議だけが総数基準で残っているという非対称です。

    第3に、段が三つから四つに増えました。大規模滅失の復旧が各4分の3以上から各3分の2以上に下がり(61条5項)、瑕疵の除去に必要な共用部分の変更とバリアフリー化のための変更についても4分の3を3分の2と読み替える規定が新設されました(17条5項)。「過半数・4分の3・5分の4の三段構え」という整理は、改正後は成り立ちません。

    第4に、規約で定数を動かせる範囲と条番号が変わりました。改正前の17条1項ただし書にあった「区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる」という規定はなくなり、代わりに決議要件の4分の3そのものを規約で2分の1超まで引き下げられる形になっています。また、20万円以下の過料を定める規定は71条から91条に移り、10万円以下の過料を定める92条が新設されました。改正後の71条は団地内建物敷地売却決議です。

    決議要件の全体像は区分所有法の決議要件に条文単位でまとめてあります。改正前を前提にした知識をどう書き換えるかの対比表もそちらに置きました。土台となる制度そのものは区分所有法の基本ルールです。

    35条書面の区分所有建物の説明事項が10項目に増えました。宅地建物取引業法施行規則16条の2に第9号が新設され、2026年4月1日に施行されています。管理者等が管理組合から委託を受けて管理事務を行うマンション管理業者である場合、つまりいわゆる第三者管理方式が採られている場合に、その旨を説明しなければなりません。これに伴い、従来9号だった「一棟の建物の維持修繕の実施状況が記録されているときはその内容」が10号に繰り下がりました。号数で覚えていると番号がずれます。同じ号は信託受益権の売主等の説明義務にも入りました(16条の4の6、19条の2の5)。記載事項の全体は35条書面の記載事項一覧、区分所有建物に固有の追加事項は区分所有建物の重要事項説明にあります。

    所有権の登記名義人の氏名等の変更登記の申請義務化も2026年4月1日に施行されました。変更があった日から2年以内に申請しなければならず、怠れば5万円以下の過料の対象です(不動産登記法76条の5、164条2項)。2024年4月1日施行の相続登記の義務化(知った日から3年以内、10万円以下の過料。76条の2第1項、164条1項)とは期限も過料も違います。両方の整理は不動産登記法にあります。

    もう少し前の改正で、いまも問われるものを三つ挙げておきます。

    農地法3条2項から下限面積要件が削除されました。令和4年法律第56号により2023年4月1日に施行されたもので、以前は「取得後に耕作の事業に供すべき農地の面積の合計が原則50アールに達しない場合は許可できない」という号がありました。現行の3条2項にこの号はありません。古い教材には残っている可能性が高い論点です。3条・4条・5条の切り分けは農地法にあります。

    宅地造成等規制法は盛土規制法に改組されました。令和4年法律第55号により2023年5月26日に施行され、題名が「宅地造成及び特定盛土等規制法」に変わっています。規制区域の建付けそのものが変わったので、旧法の知識では対応できません。盛土規制法で扱っています。

    住宅瑕疵担保履行法の基準日は年1回になりました。特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律3条1項は、基準日を「三月三十一日」と定めています。かつては「毎年三月三十一日及び九月三十日」の年2回でしたが、令和3年法律第48号により2022年2月20日から年1回に改まりました。基準日から3週間を経過する日までに資力確保措置をしていなければならない、という枠組み自体は変わっていません。供託と保険の仕組みは住宅瑕疵担保履行法にあります。なお同法にはさらに令和5年法律第53号による改正があり、2025年10月1日施行なのでこれも範囲内です。

    宅地建物取引業法そのものは、実質的に変わっていません。e-Gov上は令和7年法律第68号により2026年4月1日施行と表示されますが、改正されたのは附則だけで、第1条から第86条までの本則と別表に変更はありません。宅建業法の条文が書き換わったと考える必要はないということです。

    令和8年度の範囲に入らない改正

    こちらのほうが見落とされます。最新の条文に合わせることが、そのまま正しさにはなりません。2026年4月1日より後に施行された改正は、令和8年度の出題範囲に入らないからです。

    都市計画法・建築基準法・土地区画整理法は、令和8年法律第23号(都市再生特別措置法等の一部を改正する法律)により2026年5月27日に施行された改正があります。基準日の約2か月後なので、令和8年度は改正前の条文で出題されます。同じ日付で都市計画法施行規則、農地法施行規則、土地区画整理法施行令も施行されています。各科目の内容は都市計画法の全体像建築基準法の全体像土地区画整理法にあります。

    不動産登記法は令和8年法律第46号により2026年6月24日に施行された改正があります。前述の氏名等変更登記の義務化(2026年4月1日施行)とは別の改正なので、混同しないでください。義務化のほうは範囲内、6月24日の改正は範囲外です。不動産登記令と不動産登記規則も2026年5月21日施行で範囲外になります。

    民法も令和8年法律第45号により2026年6月24日に施行された改正があります。範囲外です。

    借地借家法は令和4年法律第48号により2026年5月21日に施行された改正があります。公布は古いのですが施行が基準日より後なので、令和8年度は改正前の条文で出題されます。借地借家法の全体像を読むときも、この点を頭に置いてください。

    国土利用計画法施行令も2026年5月25日施行で範囲外です。

    いずれも令和9年度以降は出題範囲に入ります。いま覚える必要はありませんが、「最新だから正しい」と考えて教材や条文を上書きしないことが、この一覧の使い方です。

    改正情報の追い方

    改正論点をまとめて確認したい場合は、宅建業法側が宅建業法の改正ポイント、権利関係側が権利関係の民法改正まとめです。

    判断の手順は二段階です。まず、手元の教材が受験年度に対応した版かを確認する。対応していれば基本的に信頼してよい。そのうえで、条文の文言が問われそうな論点については、e-Gov法令検索で条文を自分で確認する。

    ただしここに落とし穴があります。e-Gov法令検索が既定で表示するのは「現在施行されている条文」であって、「その年度の4月1日時点の条文」ではありません。この二つは前節のとおり実際にずれています。条文を引くときは、画面に出ている版がいつ施行されたものかを必ず確認してください。e-Govには施行日を指定して過去の版を表示する機能があるので、4月1日より後に施行された改正がある法令については、そちらを使う必要があります。

    すべてを確認する必要はありませんが、欠格事由や決議要件のように「数字と文言がそのまま答えになる」論点だけは、一度自分の目で条文を見ておく価値があります。宅建業法の数字は宅建業法の数字まとめにも整理してあります。

    5問免除の仕組み

    条文の建付け

    宅建業法16条3項は、国土交通大臣の登録を受けた登録講習機関が行う講習(登録講習)の課程を修了した者については、国土交通省令で定めるところにより、試験の一部を免除すると定めています。

    具体的な中身は施行規則10条の14にあります。登録講習修了者については、登録講習修了試験に合格した日から3年以内に行われる試験について、8条に掲げる試験すべき事項のうち同条1号及び5号に掲げるものを免除する、と。

    読み取るべき点が二つあります。第一に、免除されるのは8条1号(土地・建物の形質、構造等)と5号(宅地建物の需給に関する法令及び実務)で、これが問46から問50までに対応します。第二に、3年の起算点は「登録講習修了試験に合格した日」です。修了証の交付日でも受講日でもありません。

    免除される5問の中身

    免除の対象が施行規則8条の1号と5号だと分かると、問46から問50までに何が並ぶかも見通せます。

    1号は「土地の形質、地積、地目及び種別並びに建物の形質、構造及び種別に関すること」で、土地の成り立ちや宅地としての適否、建物の構造といった、法律ではない知識が問われる領域です。5号は「宅地及び建物の需給に関する法令及び実務に関すること」で、住宅金融支援機構法、不当景品類及び不当表示防止法、そして住宅着工戸数や地価などの統計がここに入ります。

    つまりこの5問は、条文の解釈ではなく事実と実務の知識を問う枠です。免除を受けない受験者にとっては、他の45問とは学習の性質がまったく違う領域になります。統計は毎年数値が変わるため直前期に確認する必要があり、逆に土地・建物の知識は一度覚えれば動きません。動く部分と動かない部分を分けて扱うのが効率的です。

    誰が受けられるか

    登録講習は、宅建業に従事している人が対象です。従事していることの確認として、宅地建物取引業者の従業者証明書が必要になります。誰でも受けられる講習ではありません。

    制度の詳細と費用感は5問免除(登録講習)制度にまとめています。免除を受けない受験者がこの5問をどう取りにいくかは免除科目5問の攻略法、そのうち統計問題については統計問題の対策宅建試験の統計数値まとめが対応しています。

    免除者の合格基準は別に示される

    免除者は45問で判定されるため、合格基準点も別に公表されます。50問の受験者と45問の受験者で同じ点数を求めるわけではありません。後述する令和7年度の実績でも、両者の基準点は別々に示されています。

    令和7年度の実績

    公表された数値

    数値を扱うときは、必ず出典と年度を添えてください。以下は一般財団法人不動産適正取引推進機構「令和7年度宅地建物取引士資格試験結果の概要」(令和7年11月26日公表)によります。

    申込者数は306,099人、受験者数は245,462人、受験率は80.2%でした。合格者数は45,821人、合格率は18.7%です。合格判定基準は50問中33問以上(登録講習修了者は45問中28問以上)でした。

    受験者の平均年齢は36.2歳。職業別の構成比は、不動産業が33.2%、金融業が8.1%、建設業が8.7%、他業種が27.9%、学生が10.9%、その他が11.3%です。

    そして注目すべき数字がもう一つあります。登録講習修了者の合格率は24.2%で、全体の18.7%を上回っています。

    数値の読み方

    申込者と受験者の差、すなわち約6万人が申し込んだのに受験していないという事実は、この試験の性格を示しています。受験資格に制限がないため、準備が整わないまま申し込んで当日に来ない層が一定数含まれます。合格率18.7%という数字は、この母集団の上で計算されたものです。

    登録講習修了者の合格率が高いのも、5問が免除されることだけが理由ではありません。実務に従事している人が講習まで受けて臨んでいるという母集団の違いが効いています。合格率の高低を「試験の易しさ」に直結させて読むのは危険です。

    受験層から見えること

    職業別の構成比も、学習の前提として知っておく価値があります。不動産業が33.2%で最も多いものの、全体の3分の1にとどまります。金融業8.1%、建設業8.7%を加えても半分に届かず、他業種27.9%と学生10.9%を合わせた約4割は、不動産にも建設にも金融にも属さない層です。

    この構成は二つのことを示しています。第一に、業界外からの受験が主流だということ。実務知識がないことは不利な条件ではなく、多数派の出発点です。第二に、不動産業従事者は5問免除を使える立場にあるということ。全体の合格率18.7%に対して登録講習修了者が24.2%という差は、5問という得点差だけでなく、この層の受験動機や準備の性格の違いも反映しています。

    平均年齢36.2歳という数字も、この試験が学生の受験する試験ではなく、社会人が仕事と並行して受ける試験であることを示しています。学習計画を立てるときは、まとまった時間ではなく細切れの時間をどう積み上げるかが実際の課題になります。

    年度別の推移や受験者層の内訳をもう少し詳しく見たい場合は、宅建試験の合格率推移宅建試験の受験者データ、他資格との比較は宅建の難易度と合格率にまとめています。

    合格基準は毎年動く

    33点と37点の落差

    宅建試験の合格判定基準は、あらかじめ何点と決まっているわけではありません。年度ごとに公表されます。

    前述のとおり令和7年度は50問中33問以上でした。一方、令和6年度は37点でした。同じ試験で4点の差があります。

    この差は、目標点の置き方に直結します。仮に「33点取れれば受かる」と考えて学習を設計すると、37点が必要な年に当たった瞬間に届きません。基準は上振れしうるという前提で、余裕を持った目標を置くのが合理的です。合格ラインの推移は宅建試験の合格ライン予想で扱っています。

    なぜ動くのか

    問題の難易度は年度によって揺れます。難しい年に固定の基準を当てはめれば合格者が激減し、易しい年には急増します。それを避けるため、実質的にその年の受験者全体の得点分布を見て基準が決まる運用になっています。

    したがって、宅建試験は絶対評価の試験ではありません。自分が何点取れるかだけでなく、他の受験者との相対的な位置が結果を決めるという性格を持ちます。だからこそ、多くの受験者が確実に取ってくる領域を落とさないことが決定的に重要になります。どこが「落とせない領域」かは宅建の合格戦略宅建試験の科目別攻略法に整理しています。

    合格後に何が待っているか

    合格・登録・宅建士証は別の段階

    合格しただけでは宅地建物取引士にはなりません。合格、登録、宅建士証の交付という三つの段階があり、それぞれ別の要件がかかります。

    合格については、宅建業法に有効期間を定める規定が置かれていません。したがって合格の効力は失われず、何年後に登録しても構いません。ただし、不正の手段によって試験を受けまたは受けようとした者については、都道府県知事が合格の決定を取り消すことができ、情状により3年以内の期間を定めて受験を禁止することもできます(17条1項・3項)。

    登録の要件は18条1項にあります。試験に合格した者で、宅地もしくは建物の取引に関し国土交通省令で定める期間以上の実務の経験を有するもの、または国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたもの、が登録を受けることができます。

    この「国土交通省令で定める期間」は施行規則13条の15により2年です。そして実務経験2年に代わる道が施行規則13条の16に置かれており、登録実務講習を修了した者、国や地方公共団体等において宅地建物の取得または処分の業務に従事した期間が通算して2年以上である者などが、同等以上の能力を有すると認められます。

    つまり、実務経験がない合格者は登録実務講習を受けることで登録の道が開けます。この講習は講義と演習の総時間数がおおむね50時間とされ、修了試験を伴います(施行規則13条の21)。中身と費用は宅建士の実務講習とは?にまとめています。

    宅建士証の交付

    登録を受けた者は、都道府県知事に宅地建物取引士証の交付を申請することができます(22条の2第1項)。

    交付を受けようとする者は、知事が指定する講習で交付の申請前6月以内に行われるものを受講しなければなりません。ただし、試験に合格した日から1年以内に交付を受けようとする者は不要です(同条2項)。合格直後に手続を進めれば法定講習を省ける、ということです。

    宅建士証の有効期間は5年で(同条3項)、更新の際には改めて法定講習を受けます。更新手続の実際は宅建士の法定講習にあります。

    三段階の全体像と実際の書類の流れは宅建士の登録と宅建士証、合格発表後の動き方は宅建合格後にやることに整理しています。

    どの記事から読むか

    四つの科目にはハブが二本ずつある

    ここからが、この記事のもう一つの役割です。学習を始めるとき、どこから読めばよいかを示します。

    科目ごとに、構造を示すハブ論点への導線を示すハブの二本を用意しています。

    権利関係は、出題範囲と学習設計が権利関係の全体像、論点ごとの入口が権利関係の頻出論点です。後者は、条文で決着する論点(区分所有法の決議要件、借地借家法の期間、法定相続分など)と判例まで要る論点(意思表示の第三者保護、背信的悪意者、法定地上権など)を分けて、前者から固める順序を示しています。苦手意識が先に立つ場合は権利関係が苦手な人のための克服法から入ってください。

    宅建業法は、制度の流れと学習順序が宅建業法の全体像、論点別の入口が宅建業法の頻出論点です。後者は、主語の取り違え、数字の混同、適用場面の見落とし、条文末尾の読み分けという四つの失点原因を先に潰す構成にしてあります。

    法令上の制限は、許可と届出の分かれ目を軸にした法令上の制限の横断整理と、論点への入口である法令上の制限の頻出論点。暗記の技法は法令上の制限の暗記法にまとめています。

    税・その他は、全体配分が税・その他の得点戦略、税分野の横断整理が宅建試験の税金を横断整理です。

    どの順で開けるか

    順序に唯一の正解はありませんが、根拠のある目安はあります。

    宅建業法から入るのが合理的なのは、出題数が最も多いこと、そして条文の要件をそのまま問う出題が中心で、覚えた分がそのまま得点になる構造だからです。合格基準が年ごとに動く以上、確実に取れる領域を先に確保しておくほうが安全です。

    権利関係を後ろに回すのは、理解に時間がかかり、しかも到達度が自分では測りにくいからです。先に宅建業法で土台を作っておけば、権利関係に時間を集中させられます。

    ただしこれは一般論です。すでに不動産業に従事していて宅建業法の内容に馴染みがある人と、まったくの初学者とでは最適な順序が変わります。自分の状況に合わせた組み立て方は宅建試験に独学で合格する方法宅建の勉強を始める前に知っておくべき10のことを参照してください。学習時間の考え方については宅建の勉強時間は本当に300時間?で、よく言われる目安の出所を含めて扱っています。

    演習と直前期

    インプットが一巡したら演習に移ります。過去問の回し方は宅建の過去問活用術、模試の位置づけは宅建の模試活用法にあります。

    試験1か月前からの動き方は宅建の直前期の過ごし方、当日の持ち物と時間配分は宅建試験当日ガイドにまとめています。

    試験制度そのものが問われる場面

    宅建業法の出題範囲に入っている

    見落とされがちですが、試験・登録・宅建士証に関する規定は宅建業法16条から22条の2までに置かれており、宅建業法の出題範囲そのものです。自分が通ってきた手続が、そのまま出題対象になります。

    問われ方には型があります。

    実施主体について、16条1項の主語は都道府県知事です。「国土交通大臣が試験を行う」という選択肢は誤りになります。指定試験機関が事務を行うことと、法律上の実施主体が知事であることは別です。

    登録の要件について、18条1項が求めるのは実務経験2年(施行規則13条の15)または同等以上の能力を有すると認められることです。「合格すれば当然に登録を受けられる」は誤りになります。

    宅建士証の交付について、22条の2第2項の講習は交付の申請前6月以内のもので、合格から1年以内なら不要です。「合格から1年以内でも法定講習を受けなければならない」も、「いつ申請しても講習は不要」も誤りです。

    有効期間について、宅建士証は5年(22条の2第3項)です。免許の有効期間5年(3条2項)と数字は同じですが別の制度なので、主語で判別してください。

    合格の取消しという規定もある

    条文には、合格を失う場面も置かれています。17条1項は、都道府県知事は不正の手段によって試験を受け、又は受けようとした者に対しては、合格の決定を取り消し、またはその試験を受けることを禁止することができる、と定めます。指定試験機関もこの職権を行うことができます(同条2項)。

    さらに3項により、これらの処分を受けた者に対しては、情状により3年以内の期間を定めて試験を受けることができないものとすることができます。合格に有効期間の定めはないと述べましたが、それは適法に取得した合格についての話で、不正があれば取り消されうるという点は別に押さえておいてください。

    情報の確認先を持っておく

    制度に関する数値は動きます。試験日、手数料、申込期間、合格基準点、その年の統計。これらは自分で確認する先を決めておくのが確実です。

    試験制度そのものは不動産適正取引推進機構、法令の条文はe-Gov法令検索、その年の統計値は各省庁の公表資料。出典に当たる習慣そのものが、統計問題(問48)の対策にもなります。統計の扱い方は統計問題の対策に整理しています。

    覚え方・整理の仕方

    三段階を動詞で分ける

    合格・登録・宅建士証の混同を防ぐには、それぞれ何をする段階かを動詞で押さえるのが確実です。

    試験に合格する。ここに有効期間の定めはない。次に知事の登録を受ける。ここで実務経験2年または登録実務講習が要る。最後に宅建士証の交付を受ける。ここで法定講習が要るが、合格から1年以内なら免除される。そして宅建士証は5年ごとに更新する

    合格は消えないが、宅建士証は5年で切れる。この対比を押さえておけば、有効期間を問う選択肢に反応できます。

    科目名は通称、条文は七項目

    「四科目」という言い方は便利ですが、条文が定めているのは施行規則8条の七項目です。通称と条文を一度だけ突き合わせておくと、免除の範囲や出題の性格が見通せます。

    権利関係が2号、法令上の制限が3号、宅建業法が7号。ここまでは一対一で対応します。残る「税・その他」という枠だけが合成されていて、4号の税、6号の価格の評定(鑑定評価と地価公示)、そして1号の土地・建物と5号の需給に関する法令及び実務から成ります。

    そして免除されるのは1号と5号でした。つまり税・その他という一つの枠の中に、免除される部分と免除されない部分が同居しています。「税・その他はまるごと免除される」という誤解が生じやすいのは、通称と条文の区切り方がずれているからです。

    数字は「何の数字か」で箱を分ける

    試験制度まわりの数字は、場面で束ねると混線しません。

    期間の数字は、5問免除が修了試験合格の日から3年、登録の実務経験が2年、宅建士証の法定講習が申請前6月以内(合格から1年以内は不要)、宅建士証の有効期間が5年、不正受験による受験禁止が3年以内。

    日程の数字は、試験日が10月の第3日曜日、試験時間が13時から15時(免除者は13時10分から)、申込みが7月、合格発表が11月下旬、法令の基準日が4月1日。

    数字だけを一列に並べると取り違えます。「何を測る数字か」で箱を分けてから中に入れるのが原則です。

    合格基準は「動く」と覚える

    固定の目標点を覚えるのではなく、基準は動くという事実そのものを覚えてください。令和7年度が33点、令和6年度が37点。この4点の幅を知っていれば、「33点取れれば十分」という設計にはなりません。

    そのうえで、動く基準に対して安全側に立つ考え方が要ります。易しい年ほど基準が上がるので、みんなが取る問題を落とさないことが効く。難問を拾う力より、標準問題を確実に処理する精度のほうが、相対評価の試験では効率がよくなります。

    確かめられない数字は判断に使わない

    最後に、この記事全体を貫く姿勢を一つ。出典のない数字を学習設計の根拠にしないでください。

    必要な学習時間、過去問を何周すべきか、科目別の目標点。これらはいずれも広く流通していますが、公表された調査にもとづくものではありません。参考として眺めるのはよいとしても、それを満たしたから合格圏、満たさないから不合格、という判断には使えません。

    代わりに使える指標はあります。その年の合格判定基準は公表されますし、自分が過去問で何割取れているかは自分で測れます。外から与えられた目安ではなく、測れる指標で進捗を見るほうが、学習の舵取りは安定します。

    理解度チェッククイズ

    問1 宅地建物取引士資格試験は、国土交通大臣が行わなければならない。

    答え:×。宅地建物取引業法16条1項は「都道府県知事は、国土交通省令の定めるところにより、宅地建物取引士資格試験を行わなければならない」と定めています。実際の試験事務は知事から指定を受けた指定試験機関である一般財団法人不動産適正取引推進機構が行っていますが、法律上の実施主体は都道府県知事です。免許を与えるのが国土交通大臣または都道府県知事であることと混同しないでください。

    問2 登録講習を修了した者は、修了後に受験するすべての試験において、問46から問50までの5問の免除を受けることができる。

    答え:×。宅地建物取引業法施行規則10条の14は、登録講習修了者について「登録講習修了試験に合格した日から3年以内に行われる試験について」試験の一部を免除すると定めています。期間の制限があり、しかも起算点は修了証の交付日ではなく修了試験に合格した日です。免除の対象は施行規則8条1号(土地・建物の形質、構造等)および5号(宅地建物の需給に関する法令及び実務)で、これが問46から問50までに対応します。

    問3 宅地建物取引士資格試験に合格した者は、実務の経験がなくても、直ちに都道府県知事の登録を受けることができる。

    答え:×。宅地建物取引業法18条1項は、試験に合格した者で、宅地もしくは建物の取引に関し国土交通省令で定める期間以上の実務の経験を有するもの、または国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたものが登録を受けることができる、と定めています。この期間は施行規則13条の15により2年です。実務経験がない場合は、施行規則13条の16により登録実務講習を修了することで同等以上の能力を有すると認められ、登録の道が開けます。合格が直ちに登録に結びつくわけではありません。

    問4 宅地建物取引士証の交付を受けようとする者は、試験に合格した日から1年以内に交付を受けようとする場合であっても、交付の申請前6月以内に行われる法定講習を受講しなければならない。

    答え:×。宅地建物取引業法22条の2第2項は、交付を受けようとする者は登録をしている都道府県知事が指定する講習で交付の申請前6月以内に行われるものを受講しなければならないとしたうえで、ただし書で「試験に合格した日から一年以内に宅地建物取引士証の交付を受けようとする者」等については、この限りでないと定めています。合格直後に手続を進めれば法定講習は不要です。なお宅建士証の有効期間は5年で(同条3項)、更新時には改めて講習を受けます。

    問5 宅建試験の出題の根拠となる法令は、試験を実施する年度の4月1日現在施行されているものである。

    答え:○。一般財団法人不動産適正取引推進機構は試験の内容について「出題の根拠となる法令は、試験を実施する年度の4月1日現在施行されているものです」と案内しています。したがって、その年の4月1日より後に施行された改正は出題範囲に入らず、逆に4月1日までに施行済みの改正は出題範囲に入ります。注意すべきは、これが「最新の条文が正解」を意味しないことです。令和8年度でいえば、都市計画法・建築基準法・土地区画整理法は2026年5月27日、不動産登記法と民法は2026年6月24日、借地借家法は2026年5月21日に改正が施行されており、いずれも基準日より後なので出題範囲に入りません。教材や条文を最新版に合わせると、かえって誤った知識を入れることになります。

    まとめ

    • 試験は毎年1回、10月の第3日曜日、午後1時から午後3時までの2時間、50問・四肢択一式で実施されます(登録講習修了者は午後1時10分から45問)。受験資格は日本国内に居住していれば年齢・学歴等を問わず、受験手数料は8,200円、申込みは7月、合格発表は原則11月下旬です。出題範囲は宅地建物取引業法施行規則8条の七項目で、根拠となる法令はその年度の4月1日現在施行されているものです。
    • 令和7年度は申込者306,099人、受験者245,462人、受験率80.2%、合格者45,821人、合格率18.7%、合格判定基準は50問中33問以上(登録講習修了者は45問中28問以上)でした(不動産適正取引推進機構「令和7年度宅地建物取引士資格試験結果の概要」令和7年11月26日公表)。令和6年度の基準は37点で、基準は年により動きます。固定の目標点を前提にした設計は危険です。
    • 合格、登録、宅建士証の交付は別の段階です。合格に有効期間の定めはなく、登録には実務経験2年または登録実務講習が要り(18条1項、施行規則13条の15・13条の16)、宅建士証の交付には申請前6月以内の法定講習が要りますが合格から1年以内なら不要です(22条の2第2項)。宅建士証の有効期間は5年です。
    • 令和8年度で範囲に入る主な改正は、区分所有法の決議要件(2026年4月1日、定足数の新設・分母が出席者へ・四段構えへ)、35条書面の区分所有建物の説明事項が10項目に増えたこと(施行規則16条の2第9号新設、2026年4月1日)、氏名等変更登記の義務化(同日)、拘禁刑への一本化(2025年6月1日)です。少し前のものでは農地法の下限面積要件の廃止(2023年4月1日)と盛土規制法への改組(2023年5月26日)が残り続けます。
    • 逆に範囲に入らないのは、都市計画法・建築基準法・土地区画整理法(2026年5月27日施行)、不動産登記法・民法(2026年6月24日施行)、借地借家法(2026年5月21日施行)の各改正です。最新の条文に合わせると誤りになります。e-Gov法令検索が既定で表示するのは現在施行中の条文なので、これらの法令を引くときは施行日を確認してください。

    科目ごとの演習は、宅建試験AIブートラボの肢別トレーニングと年度別過去問演習から始められます。

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    肢別演習と年度別演習で、立てた学習計画をそのまま実行に移せます。間違えた肢だけを繰り返す復習にも対応しています。

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