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宅建に3ヶ月で合格する学習プラン

試験対策・勉強法 読了 約27分

宅建試験まで3ヶ月しかない場合の学習プランを、配点構成から逆算して組み立てます。宅建業法を先に置く理由、各期に押さえる論点、捨てる範囲の決め方までを条文根拠つきで整理します。

目次

    本記事の役割 — 試験まで残り3ヶ月という条件で、何をどの順で押さえるかを決めるための記事です。
    学習時間そのものの考え方は宅建の勉強時間、得点設計の全体像は宅建の合格戦略、科目ごとの詳しい攻略は科目別攻略法にまとめています。

    3ヶ月で宅建に合格した人は実際にいます。同時に、3ヶ月で不合格になった人もはるかに多くいます。この差は才能ではなく、限られた時間をどの科目に、どういう順番で投じたかという設計の差で生まれます。

    先に結論を書きます。3ヶ月で狙うなら、全範囲を均等に学習する選択肢は存在しません。50問の配点構成を見て、投資効率の高い順に時間を配り、効率の低い領域は意図的に薄くする。具体的には宅建業法を最初の1ヶ月で仕上げ、2ヶ月目に法令上の制限と税その他、3ヶ月目に権利関係と総合演習という順序になります。

    この記事では、その各期で何を押さえるのかを条文の根拠つきで書きます。日程表だけでは学習になりません。必要なのは、1ヶ月目に宅建業法のどの条文をどこまで詰めるのか、という中身です。あわせて、何を捨てることになるのか、途中で足りないと判断したときにどう切り替えるのかまで扱います。3ヶ月で必ず合格できるとは書きません。

    3ヶ月という制約が何を意味するか

    50問の配点構成が投資先を決める

    宅建試験は四肢択一の50問で、内訳は宅建業法20問、権利関係14問、法令上の制限8問、税その他8問です。5問免除(登録講習修了者は問46から問50が免除)の対象者は45問での受験になります。

    この構成を見ると、宅建業法だけで全体の40パーセントを占めていることがわかります。権利関係の14問は28パーセントですが、出題範囲は民法1,000条超に借地借家法・区分所有法・不動産登記法が加わります。問題数あたりの学習範囲が、科目によって10倍近く違うということです。

    3ヶ月という制約下では、この差が決定的になります。時間が十分にあるなら権利関係にじっくり取り組む価値はありますが、90日しかないなら、範囲が狭くて配点が大きい領域から順に埋めるほかありません。配点の詳細は宅建の科目別攻略法で整理しています。

    合格ラインから逆算した目標点

    合格点は毎年変動する相対基準で、近年はおおむね34点から38点の範囲で推移しています(合格基準点と合格率は不動産適正取引推進機構が試験ごとに公表しています)。年によって上下するため、37点を安全圏として設計するのが実務的です。

    3ヶ月プランでの現実的な内訳はこうなります。

    • 宅建業法20問のうち17問から19問。ここは範囲が狭く条文知識で取り切れるため、9割を狙う
    • 法令上の制限8問のうち5問から6問。頻出の都市計画法・建築基準法・農地法・国土利用計画法で確実に取る
    • 税その他8問のうち5問から6問。うち3問(統計・土地・建物)は直前期の詰め込みで取れる
    • 権利関係14問のうち7問から9問。半分取れれば十分と割り切る

    合計すると34点から40点になります。宅建業法で1問落とすことと、権利関係で1問落とすことは、点数上は同じ1点です。しかし取り返すためのコストが違います。宅建業法の1点は数時間の暗記で取れますが、権利関係の1点は数十時間の理解を要することがあります。3ヶ月プランはこの非対称性の上に成り立っています。合格ラインの推移については宅建の合格点も参照してください。

    学習時間の相場をどう扱うか

    宅建の合格に必要な学習時間として300時間から400時間という数字がよく挙げられます。ただしこれは予備校の受験案内などで一般的に言われている相場であって、公的機関の調査に基づく数値ではありません。実際に必要な時間は法律学習の経験や不動産実務の有無で大きく変わります。

    この数字を90日で割ると1日あたり3.5時間から4.5時間になります。この時間を確保できるかどうかが、3ヶ月プランを選べるかどうかの判断材料になります。確保できないなら、この記事の内容をそのまま実行しても計画は途中で破綻します。その場合の選択肢は後半の「足りないと判断したときの切り替え方」に書きました。

    一方で、結果を左右するのは総量より配分です。400時間かけても権利関係の判例に250時間を使えば落ちますし、250時間でも宅建業法に集中させれば合格圏に届くことがあります。

    第1期(最初の1ヶ月)宅建業法を先にやる

    なぜ最初に宅建業法なのか

    理由は3つあります。

    第一に、投資効率が全科目で最も高いからです。範囲は宅建業法という単一の法律と、その施行令・施行規則、そして報酬告示に限られます。20問という最大の配点に対して、覚えるべき条文は実質的に数十本です。

    第二に、問われ方が条文そのままであることです。権利関係のように判例の射程を考える必要がなく、「35条書面の説明は契約成立前か後か」「営業保証金の額はいくらか」といった、条文を知っていれば答えが出る問題が大半を占めます。

    第三に、最初にやると復習期間が長く取れるからです。宅建業法は数字と手続の暗記が多く、1回覚えて放置すると抜けます。1ヶ月目に仕上げておけば、2ヶ月目・3ヶ月目に薄く回し続けることで試験日に最大化できます。逆に最後に持ってくると、暗記が固まらないまま本番を迎えます。

    宅建業法だけを短期集中で攻める方法は宅建業法を2週間で仕上げるに、満点を狙う視点は宅建業法で満点を取るにそれぞれ詳しく書いています。

    免許と宅建士登録

    宅建業法3条は、宅建業を営むには免許が必要と定め、2以上の都道府県に事務所を置く場合は国土交通大臣免許、1つの都道府県内なら都道府県知事免許としています。有効期間は5年で、更新の申請は有効期間満了の90日前から30日前までです。

    試験で問われるのは免許換えのタイミングと、免許の欠格事由(5条)です。欠格事由は、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者、一定の犯罪で罰金刑に処せられて5年を経過しない者、免許取消処分を受けて5年を経過しない者などが並びます。役員や政令使用人が欠格事由に該当すれば法人も免許を受けられない、という連鎖の構造まで押さえてください。

    宅建士については18条の登録、22条の2の宅建士証(有効期間5年)を押さえます。登録は都道府県知事に対して行い、2年以上の実務経験または登録実務講習の修了が要件です。免許(業者)と登録(士)を混同させる出題が定番なので、主体と行政庁を対にして覚えます。

    専任の宅建士は31条の3で、事務所については業務に従事する者5人に1人以上の割合で置く必要があります。設置義務を欠いた場合、2週間以内に補充する必要があります。

    営業保証金と保証協会

    営業保証金は25条です。主たる事務所につき1,000万円、その他の事務所につき1事務所あたり500万円を、主たる事務所の最寄りの供託所に供託します。供託しただけでは営業できず、免許権者に届け出た後でなければ事業を開始できません(25条5項)。この「届出後」という一点が繰り返し問われます。

    還付があって不足が生じたときは、免許権者からの通知を受けた日から2週間以内に不足額を供託し、その日から2週間以内に届け出ます(28条)。

    保証協会に加入する場合は、弁済業務保証金分担金として主たる事務所60万円、その他の事務所1つにつき30万円を、加入しようとする日までに協会へ納付します(64条の9)。営業保証金が供託所へ直接なのに対し、分担金は協会へ、そして協会が供託所へ供託するという二段構造です。還付充当金も通知を受けた日から2週間以内です。

    金額(1,000万円・500万円・60万円・30万円)と期間(2週間)は、対比で覚えると混ざりません。

    35条書面と37条書面

    この2つは毎年3問前後が出題される最重要領域です。混同を防ぐ軸は次の3つです。

    時期。35条書面は契約が成立するまでに交付・説明します。37条書面は契約成立後遅滞なく交付します。

    相手。35条書面は取得者・借主など、これから権利を取得する側に対して行います。売主に対しては不要です。37条書面は契約の両当事者に交付します。

    説明義務。35条書面は宅建士が宅建士証を提示して説明する必要があります。37条書面は宅建士の記名は必要ですが、説明義務はありません。

    記載事項は、35条書面が物件に関する調査事項(登記された権利、法令上の制限、私道負担、飲用水・電気・ガスの整備状況、造成宅地防災区域・土砂災害警戒区域・水害ハザードマップにおける所在地など)であるのに対し、37条書面は契約内容そのもの(当事者、物件の特定、代金・交換差金・借賃の額と支払時期・方法、引渡しの時期、移転登記の申請時期)です。

    37条書面には必要的記載事項と、定めがあるときに記載する任意的記載事項の区別があります。代金の額は必要的、手付金等の保全措置の概要は任意的、といった仕分けがそのまま出題されます。詳細は重要事項説明(35条書面)37条書面で条文単位に整理しています。

    8種制限

    8種制限は33条の2から43条までの規定群で、宅建業者が自ら売主となり、かつ買主が宅建業者でない場合にのみ適用されます(78条2項)。この適用範囲の限定が最大の引っかけです。業者間取引、あるいは業者が媒介・代理として関与するだけの取引には適用されません。

    主な内容を押さえます。

    クーリング・オフ(37条の2)は、事務所等以外の場所でした買受けの申込みについて、書面で告げられた日から8日以内なら撤回できます。ただし引渡しを受け、かつ代金全額を支払った場合は撤回できません

    手付の額の制限(39条)は、代金の10分の2を超える手付を受領できないというもの。受領した手付は解約手付とみなされます。

    手付金等の保全措置(41条・41条の2)は、未完成物件なら代金の5パーセント超または1,000万円超、完成物件なら10パーセント超または1,000万円超を受領する場合に必要です。未完成と完成でパーセンテージが変わる点が定番の出題です。

    損害賠償額の予定等の制限(38条)も代金の10分の2が上限です。契約不適合責任の特約制限(40条)は、通知期間を引渡しから2年以上とする特約を除き、民法の規定より買主に不利な特約を無効とします。

    パーセンテージが複数出てくるので、5・10・20の3つの数字がどこに対応するかを紙に書き出して覚えてください。個別論点は8種制限にまとめています。

    業務規制と監督処分

    広告関連は32条(誇大広告等の禁止)、33条(広告開始時期の制限)、34条(取引態様の明示)です。33条は、開発許可・建築確認その他の許可等の処分があった後でなければ広告できないという規定で、契約についても同様の制限がある一方、貸借の媒介・代理は契約制限の対象外という差が問われます。

    報酬は46条と国土交通大臣の告示によります。売買の媒介では、代金400万円超なら代金の3パーセント+6万円が一方から受け取れる上限(別途消費税)です。低廉な空家等の売買については特例があり、現地調査等に要する費用を加算できる仕組みになっています。この特例は近年に改正されているため、金額の上限は必ず最新版のテキストで確認してください。条文の全体像は報酬額の制限、計算問題の解き方は報酬計算の出題パターンにあります。

    その他、帳簿(49条)、従業者名簿(48条3項、最終記載日から10年保存)、標識の掲示(50条1項)、案内所等の届出(50条2項、業務開始の10日前まで)といった事務所関連の規定が出ます。

    監督処分は指示処分・業務停止処分(65条)・免許取消処分(66条)の3段階です。業務停止は1年以内の期間を定めて行われます。誰がどの処分をできるのか(知事免許業者に対して、業務地を管轄する他県の知事が指示処分できるか、など)が問われます。

    1ヶ月目の到達目安

    1ヶ月目の終わりに、宅建業法の肢別問題で正答率8割から9割に届いていれば計画どおりです。7割を切っているなら、2ヶ月目に入る前にもう1週間だけ延長する判断をしてください。宅建業法が固まらないまま次に進むと、3ヶ月プラン全体の前提が崩れます。ここだけは遅らせる価値があります。

    第2期(2ヶ月目)法令上の制限と税その他

    暗記科目を中盤に置く理由

    法令上の制限と税その他は、合わせて16問。範囲は広いのですが、問われる内容は数字と手続の暗記に集約されます。理解の積み上げが不要な分、短期間で仕上がり、そして忘れやすいという性質を持ちます。

    だからこそ中盤に置きます。1ヶ月目に置くと試験日までに2ヶ月放置することになり、忘却が進みます。3ヶ月目に置くと、権利関係と同時進行になって処理が追いつきません。2ヶ月目に一度仕上げ、3ヶ月目に週1回のペースで薄く回すのが、忘却と時間配分のバランスが取れる位置です。

    法令上の制限の配点と内訳は法令上の制限は何問出るか、暗記の具体的な手順は法令上の制限の暗記法を参照してください。

    都市計画法

    出題の中心は開発許可です。都市計画法29条により、開発行為には原則として都道府県知事の許可が必要ですが、規模による例外があります。市街化区域では1,000平方メートル未満、区域区分が定められていない都市計画区域と準都市計画区域では3,000平方メートル未満、都市計画区域および準都市計画区域外では10,000平方メートル未満であれば許可不要です。

    市街化調整区域には規模による例外がありません。面積を問わず許可が必要です。ここが最頻出の引っかけです。

    面積にかかわらず許可が不要になる類型もあります。駅舎、図書館、公民館、変電所などの公益的建築物(29条1項3号)、都市計画事業・土地区画整理事業等の施行として行う開発行為、非常災害の応急措置などです。農林漁業用の建築物とその従事者の住宅は、市街化調整区域等では許可不要ですが、市街化区域内ではこの例外は働きません

    このほか、都市計画の種類(用途地域、特別用途地区、高度地区、地区計画など)と決定手続も問われます。開発許可の詳細は開発許可にあります。

    建築基準法

    建築基準法は範囲が広く、3ヶ月プランでは深追いできません。押さえるのは集団規定の主要部分に絞ります。

    接道義務(43条)は、建築物の敷地は幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接しなければならないというもの。

    建蔽率(53条)は、特定行政庁が指定する角地で10パーセント加算、防火地域内の耐火建築物等で10パーセント加算、そして建蔽率80パーセントの地域内かつ防火地域内の耐火建築物では制限がかからないという緩和を覚えます。

    容積率(52条)は、前面道路の幅員が12メートル未満のとき、住居系用途地域では幅員に10分の4、その他では10分の6を乗じた値と、指定容積率を比べて小さいほうが適用されます。計算問題として出るので、手を動かして解いておいてください。

    用途制限は、どの用途地域に何が建てられるかを覚える論点ですが、3ヶ月プランでは住宅が建てられない地域(工業専用地域)と、大規模な店舗が建てられない地域といった主要な線引きだけに絞ります。すべてを覚える価値は、費用対効果に見合いません。

    なお建築確認の対象区分は2025年4月施行の改正で再編されているため、面積や階数の要件は必ず改正に対応した最新版のテキストで確認してください。試験は当該年度の4月1日時点で施行されている法令に基づいて出題されます。

    各1問の4法令

    盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)では、宅地造成等工事規制区域内での許可対象を押さえます。切土で高さ2メートル超の崖を生じるもの、盛土で1メートル超の崖を生じるもの、切土と盛土を合わせて2メートル超の崖を生じるもの、そして崖を生じなくても盛土の高さが2メートル超のもの、面積が500平方メートル超のものです。工事主が着手前に都道府県知事の許可を受けます。

    土地区画整理法は、仮換地の指定と換地処分の効果が中心です。換地処分の公告があった日の翌日に、換地は従前の宅地とみなされ、保留地は施行者が取得します。この「翌日」という時点の指定が出題されます。

    農地法は3条・4条・5条の区別です。3条は農地の権利移動で農業委員会の許可、4条は自己転用で都道府県知事等の許可、5条は転用目的の権利移動で都道府県知事等の許可。市街化区域内の特例(農業委員会への事前届出で足りる)は4条と5条にのみ適用され、3条には適用されません。ここが定番です。詳細は農地法にまとめています。

    国土利用計画法は事後届出(23条)です。市街化区域2,000平方メートル以上、市街化区域以外の都市計画区域5,000平方メートル以上、都市計画区域外10,000平方メートル以上の土地について、契約締結の日から2週間以内に、市町村長を経由して都道府県知事に届け出ます。届出義務は権利取得者(買主側)にあります

    税その他の8問

    税は例年、国税から1問、地方税から1問という構成です。

    不動産取得税(地方税)は標準税率4パーセント、住宅と土地については軽減措置で3パーセント。宅地評価土地の課税標準を2分の1とする特例、新築住宅の1,200万円控除、そして免税点(土地10万円、家屋の新築等23万円、その他12万円)を押さえます。

    固定資産税(地方税)は標準税率1.4パーセント、住宅用地の課税標準特例として小規模住宅用地(200平方メートル以下の部分)は6分の1、一般住宅用地は3分の1。免税点は土地30万円、家屋20万円です。

    国税では印紙税、登録免許税、譲渡所得(居住用財産の3,000万円特別控除、所有期間10年超の軽減税率)、贈与税の住宅取得等資金の特例が出題候補です。

    残る3問は価格の評定(地価公示法・不動産鑑定評価基準)から1問、統計(問48)、土地(問49)、建物(問50)です。統計・土地・建物の3問は直前期の詰め込みで取れるので、2ヶ月目には手をつけず、直前2週間に回します。5問免除の対象者はこの部分が免除されます。

    数字の押さえ方

    法令上の制限と税は数字の塊です。羅列を丸暗記しようとすると崩れるので、同種の数字を並べて相互の関係で覚えます

    開発許可の1,000・3,000・10,000、国土法事後届出の2,000・5,000・10,000。どちらも「市街化区域が最小、都市計画区域外が最大」という同じ構造をしています。数字そのものではなく構造を覚えれば、片方を思い出せばもう片方も出てきます。

    盛土規制法の切土2メートル・盛土1メートル・合わせて2メートル・面積500平方メートルも、「盛土のほうが崩れやすいから基準が厳しい」という理屈と結びつけると定着します。語呂合わせは補助として使い、まず理屈を通してください。

    第3期(3ヶ月目)権利関係と総合演習

    権利関係を最後に回す理由

    権利関係を最後にする理由は2つあります。

    第一に、ここに時間を吸われる危険が最も大きいからです。民法は「もう少し勉強すれば理解できるはず」と思わせる分野で、深入りすると際限がありません。最後に置けば、物理的に深入りできません。時間が足りないという制約自体が、深追いを止めるブレーキになります。

    第二に、忘れにくいからです。理解して構造をつかんだ知識は、数字の暗記より保持されます。もっとも、3ヶ月目に学んだことがそのまま試験日まで残るという意味でもあり、順序として合理的です。

    ただし、これは権利関係を軽視してよいという意味ではありません。14問という配点は無視できません。7問から9問を確実に取りにいくという設計であって、捨てるのではなく範囲を絞るのです。苦手意識の解きほぐし方は権利関係が苦手な人へに書きました。

    借地借家法を最優先にする

    権利関係14問のうち、借地借家法から例年2問が出ます。14問中2問が確実に予測できる領域は他にありません。民法全体より先に、ここから始めます。

    借地では、存続期間30年以上(3条)、更新後は最初が20年、以降10年(4条)。借地権の対抗要件は、借地上に借地権者名義で登記された建物を所有すること(10条)。定期借地権は3類型で、一般定期借地権50年以上(22条)、事業用定期借地権10年以上50年未満で公正証書によることが必要(23条)、建物譲渡特約付借地権30年以上(24条)。

    借家では、期間の定めがある場合の更新拒絶は期間満了の1年前から6ヶ月前までに通知が必要(26条)で、かつ正当事由が要ります(28条)。対抗要件は建物の引渡し(31条)。定期建物賃貸借(38条)は書面によることと、事前に別途書面を交付して説明することが要件です。

    数字が多い領域ですが、2問確定という価値を考えれば投資に見合います。詳細は借地借家法にあります。

    民法で押さえる範囲

    民法から10問前後が出ます。3ヶ月プランで押さえるのは次の領域です。

    意思表示(93条から96条)。錯誤は重要な錯誤であること、表意者に重過失があれば取消しできないが相手方が悪意・重過失または共通錯誤なら取消し可(95条)。詐欺による取消しは善意無過失の第三者に対抗できないが、強迫は善意無過失の第三者にも対抗できる(96条3項)。詐欺と強迫の第三者保護の違いが繰り返し問われます。

    代理(99条から118条)。無権代理と表見代理、自己契約・双方代理の禁止(108条)、復代理人の選任要件。

    時効(144条から169条)。取得時効は20年、善意無過失なら10年(162条)。債権の消滅時効は権利行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年(166条)。

    物権変動(177条)。不動産に関する物権の得喪変更は登記がなければ第三者に対抗できない。背信的悪意者は保護されないという判例法理。

    抵当権(369条以下)。物上代位、法定地上権の成立要件(388条)、抵当権消滅請求。

    債務不履行と契約不適合責任(541条・542条、562条から566条)。追完請求・代金減額請求・損害賠償・解除の4つの手段と、不適合を知った時から1年以内の通知(566条)。

    賃貸借(601条以下)。賃借権の対抗(605条)、賃貸人たる地位の移転(605条の2)、原状回復義務に通常損耗が含まれないこと(621条)、敷金(622条の2)。

    相続(882条以下)。法定相続分の計算(900条)、相続放棄は自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月(915条)、遺留分は直系尊属のみが相続人の場合3分の1、それ以外は2分の1(1042条)。

    保証(446条以下)。保証契約は書面が必要、個人根保証契約には極度額の定めが必要(465条の2)。賃貸借の個人保証もこの規律に服します。

    区分所有法と不動産登記法

    区分所有法からは例年1問。集会の決議要件が中心です。規約の設定・変更・廃止は区分所有者および議決権の各4分の3以上(31条)、共用部分の変更(形状・効用の著しい変更を伴うもの)も4分の3以上(17条)、建替えは5分の4以上(62条)、管理者の選任・解任は過半数(25条)。4分の3と5分の4と過半数の3段階を対応させて覚えます。

    不動産登記法も1問。仮登記(105条)の2類型、表示に関する登記の申請義務が1ヶ月であること、相続登記の申請義務化(76条の2、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ所有権を取得したことを知った日から3年以内)を押さえれば足ります。細かい手続の論点は3ヶ月プランでは追いません。

    総合演習への切り替え

    3ヶ月目の後半、残り3週間を切ったら、科目別の学習をやめて50問通しの演習に切り替えます。理由は、科目別で解けることと本番で解けることが別物だからです。

    本番では、問1から問14の権利関係を最初に解くことになります。ここで難問に時間を取られると、確実に取れるはずの宅建業法で時間が足りなくなります。難しい問題を飛ばして先に進む判断は、通し演習でしか身につきません。

    時間配分の目安は、権利関係30分、法令上の制限20分、税その他15分、宅建業法35分、見直し20分です。実際には問1から順に解かず、宅建業法(問26から問45)から先に解く戦略を取る人もいます。どちらが自分に合うかは通し演習で確かめてください。模試の使い方は模試の活用法にまとめています。

    3ヶ月で捨てることになるもの

    正直に書きます。3ヶ月プランでは、次の領域を捨てることになります。

    権利関係の判例の網羅

    民法の出題には、条文だけでは答えが出ず、判例の射程を知っている必要がある問題が毎年数問含まれます。共有物の管理、賃借権の譲渡・転貸をめぐる信頼関係破壊の法理、抵当権と賃借権の優劣といった論点です。

    これらを網羅するには、条文学習とは別に判例集を読む時間が要ります。3ヶ月では確保できません。結果として、権利関係14問のうち難問3問から5問は落とす前提で設計します。これが「権利関係7問から9問」という目標の根拠です。

    捨てると決めること自体に意味があります。試験中に難問に出会ったとき「捨てると決めた領域だ」と認識できれば、迷わず飛ばして次に進めるからです。

    建築基準法の細目

    用途地域ごとの建築物の可否を全部覚える、日影規制の対象区域と時間の組み合わせを完全に押さえる、といった作業は3ヶ月では割に合いません。建築基準法は例年2問前後の出題で、そのうち1問取れれば設計どおりです。同様に、その他の法令上の制限(自然公園法、河川法、海岸法など)も、許可権者の一覧を眺める程度にとどめます。

    捨てても崩れないための条件

    捨てる戦略が成立するのは、捨てない領域で確実に取れている場合だけです。宅建業法で15問しか取れていない状態で権利関係を捨てれば、合計点は届きません。

    つまり順序が重要です。第1期で宅建業法を9割まで持っていったからこそ、第3期で権利関係を絞る余裕が生まれます。1ヶ月目の仕上がりが甘いまま3ヶ月目に来てしまった場合は、権利関係ではなく宅建業法の復習に時間を戻すのが正解です。

    平日と休日の時間の使い分け、直前2週間の詰め方

    平日は暗記、休日は演習

    平日にまとまった時間を取るのは難しいので、平日は細切れでもできる作業に、休日はまとまった時間が要る作業に割り当てます。

    細切れでできるのは、肢別の一問一答、数字の暗記、条文の読み返しです。通勤時間、昼休み、就寝前といった10分から30分の単位でも進みます。

    まとまった時間が要るのは、50問の通し演習、間違えた問題の解説の読み込み、権利関係の事例問題の整理です。これらは中断すると効率が落ちるので、休日の2時間から3時間のブロックに置きます。

    隙間時間の具体的な使い方は隙間時間の活用に、働きながらの進め方は社会人の合格法に書いています。

    進捗が遅れたときの調整

    計画どおりに進む3ヶ月はまずありません。仕事の繁忙期や体調不良で数日飛ぶことは前提に織り込んでください。

    遅れたときに調整するのは内容ではなく深さです。「今週やるはずだった法令上の制限を来週に回す」のではなく、「法令上の制限のうち都市計画法と農地法だけを今週中にやり、建築基準法は削る」と判断します。後ろにずらすと最後にしわ寄せが来て、直前2週間が消えます。

    直前2週間の詰め方

    残り2週間は、新しいことを学ばない期間です。やることは3つに絞ります。

    第一に、統計・土地・建物の3問。問48の統計は、地価公示、住宅着工戸数、法人企業統計、土地白書といった公表資料の直近の数値と増減の方向が問われます。この3問は直前に詰めれば取れる、最も効率のよい領域です。2ヶ月目に手をつけず直前に回すのはこのためです。

    第二に、間違えた問題の再確認。これまでに間違えた肢だけを集めて回します。新しい問題集に手を出すと、覚えていない領域が新たに見つかって不安になるだけです。

    第三に、数字の総ざらい。宅建業法の金額と期間、法令上の制限の面積要件、税の税率と控除額を一度に見返します。数字は最も忘れやすく、最も確実に得点に変わる部分です。

    直前期の詳しい過ごし方は直前期の過ごし方にまとめています。

    3ヶ月で足りないと判断したときの切り替え方

    判断のタイミングと基準

    3ヶ月プランを走らせながら、途中で「間に合わない」と気づくことがあります。この判断は早いほど選択肢が広がります。

    判断のタイミングは1ヶ月目の終わりです。宅建業法の肢別演習で正答率が6割に届いていない場合、原因は理解不足ではなく学習時間の不足である可能性が高い。この時点で残り2ヶ月で権利関係まで含めて仕上げるのは、かなり厳しくなります。

    選択肢1:計画を1ヶ月延ばす

    試験まで4ヶ月以上あるなら、単純に期間を延ばします。3ヶ月というのは制約であって目標ではありません。4ヶ月あるなら4ヶ月かけたほうが合格率は上がります。長期の計画の組み立て方は独学で合格する方法を参照してください。

    選択肢2:今年は宅建業法と法令に全振りする

    試験日が動かせない場合の選択肢です。権利関係の学習を意図的に最小限(借地借家法と相続の法定相続分だけ)に絞り、宅建業法20問と法令上の制限8問と税その他8問の計36問に全時間を投じます。

    この場合の目標は、宅建業法19問、法令上の制限6問、税その他6問、権利関係4問で合計35点。合格ラインすれすれですが、届く可能性は残ります。すべてを薄く広くやって全科目6割という状態より期待値は高くなります。

    選択肢3:来年に回して基礎から積む

    判断が遅れて残り1ヶ月を切り、宅建業法すら固まっていない状態なら、今年の受験は経験値を得る機会と割り切り、来年に向けて権利関係から積み直すのも合理的です。準備不足のまま受けて翌年もゼロから始めるより、今年の残り期間で権利関係の土台を作っておいたほうが、結果的に早く終わることがあります。再受験の設計は再受験の戦略に書いています。

    試験での出題ポイント

    宅建業法は「主体」と「時期」でひっかける。誰が誰に対して行う義務なのか、いつまでに行うのかを入れ替えた選択肢が定番です。35条書面は契約前・37条書面は契約後、営業保証金は届出後でなければ開業不可、案内所の届出は業務開始10日前まで。時期の記述が出てきたら必ず立ち止まってください。

    8種制限は適用場面から確認する。問題文が「宅建業者Aが自ら売主となり、宅建業者でないBに」という形になっているかを最初に見ます。買主も宅建業者なら8種制限は適用されず、その時点で多くの選択肢の正誤が決まります。

    法令上の制限は区域と面積の組み合わせ。市街化区域なのか市街化調整区域なのか、面積がいくつなのか。この2つを問題文から拾って、許可・届出・不要のいずれかを判定する形が基本です。市街化調整区域に面積の例外がないこと、国土法の届出義務が買主側にあることが繰り返し問われます。

    税は特例の適用要件。税率や控除額そのものより、「その特例が使えるかどうか」を問う出題が多くなっています。居住用財産の3,000万円特別控除であれば、配偶者や直系血族への譲渡には適用されないといった除外要件が狙われます。

    権利関係は第三者の保護。誰が善意なのか、悪意なのか、過失があるのか。詐欺・強迫・虚偽表示・物権変動それぞれで第三者の保護要件が違うので、この軸で問題を読みます。

    覚え方・整理の仕方

    数字は同じ構造のものを並べる

    開発許可の面積要件と国土法の届出面積が同じ構造を持つことは前述のとおりです。宅建業法の金額も同様で、営業保証金1,000万円・500万円、分担金60万円・30万円はどちらも主たる事務所がその他の事務所の2倍という共通構造を持ちます。バラバラに覚えるのではなく、並べて構造を1つ覚えてください。

    対比で覚えるものは3軸に固定する

    35条書面と37条書面のように、似た制度を区別する場面では、比較の軸を毎回同じにします。この記事では「時期・相手・説明義務」の3軸を使いました。軸を固定すると、新しい制度が出てきても同じ枠に流し込めます。

    免許と登録も同じで、「誰が・どこに・有効期間」の3軸で整理できます。

    数字には理由をつける

    未完成物件の保全措置が5パーセント、完成物件が10パーセントなのは、未完成のほうが買主のリスクが高いからです。盛土1メートルが切土2メートルより厳しいのは、盛土のほうが崩れやすいからです。

    理由をつけた数字は、思い出せなくても再構成できます。丸暗記した数字は忘れたら終わりですが、理屈がわかっていれば「どっちが危険か」から逆算できます。3ヶ月しかないからこそ、丸暗記より理屈を優先してください。

    復習の間隔を空ける

    1ヶ月目に仕上げた宅建業法は、2ヶ月目に週2回、3ヶ月目に週1回のペースで薄く回します。1回あたり30分、間違えた肢だけを見る形で構いません。

    間隔を空けて思い出す作業が記憶を定着させます。同じ日に3回繰り返すより、3日に分けて1回ずつのほうが残ります。3ヶ月という短期間でも、この原則は変わりません。

    理解度チェッククイズ

    第1問 3ヶ月で合格を目指す場合、学習時間が最も限られるため、出題数が最大の権利関係(14問)から学習を始めるのが効率的である。

    答え:誤り。出題数が最大なのは権利関係ではなく宅建業法の20問です。さらに権利関係は民法1,000条超に借地借家法・区分所有法・不動産登記法が加わる広範囲で、問題数あたりの学習コストが最も高い科目です。短期プランでは、範囲が狭く配点の大きい宅建業法から始めます。

    第2問 市街化調整区域内で1,000平方メートル未満の開発行為を行う場合、規模が小さいため開発許可は不要である。

    答え:誤り。都市計画法29条の規模による許可不要の例外は、市街化区域(1,000平方メートル未満)、区域区分が定められていない都市計画区域および準都市計画区域(3,000平方メートル未満)、それら以外の区域(10,000平方メートル未満)に設けられています。市街化調整区域には規模による例外がなく、面積を問わず許可が必要です。

    第3問 宅建業者Aが自ら売主となり、宅建業者Bを買主とする売買契約において、Aは代金の10分の3にあたる手付を受領することができる。

    答え:正しい。手付額の制限(宅建業法39条)を含む8種制限は、宅建業者が自ら売主となり、かつ買主が宅建業者でない場合にのみ適用されます(78条2項)。買主Bが宅建業者であるため8種制限は適用されず、10分の2を超える手付の受領も可能です。

    第4問 市街化区域内の農地を宅地に転用する目的で売買する場合、農地法5条の許可に代えて、農業委員会への届出で足りる。

    答え:正しい。農地法には市街化区域内の特例があり、あらかじめ農業委員会に届け出れば4条(自己転用)および5条(転用目的の権利移動)の許可は不要になります。ただしこの特例は3条(農地のまま権利移動する場合)には適用されません。3条は市街化区域内でも農業委員会の許可が必要です。

    第5問 直前2週間は、統計(問48)・土地(問49)・建物(問50)の対策に時間を割くより、権利関係の判例知識を補強するほうが得点効率が高い。

    答え:誤り。統計は公表資料の直近の数値と増減方向を確認すれば短時間で得点に変わる領域で、直前期の投資効率が最も高い部類に入ります。一方、権利関係の判例知識は習得に時間がかかり、直前2週間で新たに積み上げても本番で使える形になりにくい。直前期は新規学習を避け、統計と数字の総ざらい、間違えた問題の再確認に絞ります。

    まとめとよくある質問

    • 全範囲を均等にやる時間はない。配点構成(宅建業法20問、権利関係14問、法令上の制限8問、税その他8問)から投資先を決める
    • 第1期は宅建業法。範囲が狭く条文知識で取り切れるため、投資効率が最も高い。1ヶ月目終了時に正答率8割から9割を目安にする
    • 第2期は法令上の制限と税その他。暗記科目なので中盤に置き、3ヶ月目に薄く回して忘却を防ぐ
    • 第3期は権利関係。借地借家法の2問を最優先し、判例の網羅は諦めて7問から9問を取りにいく
    • 残り3週間で50問の通し演習に切り替え、直前2週間は統計と数字の総ざらいに絞る
    • 1ヶ月目の終わりに宅建業法が6割に届かないなら、計画の延長か科目の絞り込みを判断する

    3ヶ月で本当に合格できますか

    条件つきで可能です。1日3.5時間から4.5時間を90日続けられ、かつ配分を誤らなければ届く水準にあります。逆に、時間が確保できないか、権利関係に時間を吸われるかのどちらかが起きれば届きません。「必ず合格できる」とは言えませんし、そう書いている情報は疑ってかかってください。

    法律の勉強がまったく初めてでも3ヶ月でいけますか

    宅建業法と法令上の制限は法律の予備知識をあまり必要としないので、この2科目については初学者でも3ヶ月プランで問題ありません。差が出るのは権利関係です。初学者の場合、権利関係で7問取るのに想定より時間がかかることがあります。1ヶ月目の終わりの時点で判断してください。

    テキストは何周すべきですか

    通読は1周で切り上げ、以降は演習で間違えた箇所を辞書的に引く使い方に切り替えます。2周する時間があるなら過去問演習に回したほうが得点は伸びます。ただし1周目で「わからないから飛ばす」を繰り返すと後で効きません。理解できなくても最後まで目を通してください。

    権利関係を完全に捨てるのはどうですか

    推奨しません。14問すべてを捨てると残り36問で34点以上が必要になり、取りこぼしがほぼ許されなくなります。借地借家法2問と相続の法定相続分だけでも押さえれば3問から4問は見込めます。最小限は残してください。

    宅建試験AIブートラボでは、肢別の一問一答と年度別の過去問演習をアプリで提供しています。第1期の宅建業法から本記事の順序どおりに演習を進められます。

    勉強法を読んだら、手を動かすところまで

    肢別演習と年度別演習で、立てた学習計画をそのまま実行に移せます。間違えた肢だけを繰り返す復習にも対応しています。

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