/ 不動産の基礎知識

不動産の売却方法|仲介と買取の違いを比較

不動産の売却方法を解説。仲介と買取の違い、売却の流れ、3種類の媒介契約、譲渡所得税の仕組み、高く売るコツを整理。

不動産を売却する2つの方法

不動産を売却する方法は、大きく分けて「仲介」「買取」の2つがあります。どちらを選ぶかによって、売却価格、売却までの期間、手続きの手間が大きく異なります。

それぞれの特徴を正しく理解した上で、自分の状況に最も適した方法を選びましょう。

比較項目 仲介 買取
買主 一般の個人や法人 不動産会社
売却価格 市場価格(相場通り) 市場価格の70〜80%程度
売却期間 3〜6ヶ月が一般的 1〜4週間程度
仲介手数料 必要(売却価格 × 3%+6万円+消費税が上限) 原則不要
契約不適合責任 売主が負う 免責とされることが多い
確実性 買主が見つからないリスクがある ほぼ確実に売却できる
内覧対応 必要(複数回の場合も) 不要(不動産会社が直接確認)
向いている人 時間に余裕があり、できるだけ高く売りたい人 早く確実に売りたい人

仲介と買取、どちらが得か: 一般的には、時間に余裕がある場合は仲介、急ぎの場合は買取が基本的な判断基準です。仲介で3,000万円で売れる物件が、買取では2,100〜2,400万円になることも珍しくありません。数百万円の差が出るため、可能であれば仲介での売却を第一に検討しましょう。


仲介による売却の流れ

仲介による売却は、以下のステップで進みます。全体の期間は3〜6ヶ月程度が一般的ですが、物件の条件によってはそれ以上かかる場合もあります。

ステップ1:売却の相談・査定

複数の不動産会社に査定を依頼し、物件の売却予想価格を把握します。

査定の種類 内容 所要時間
机上査定(簡易査定) 物件情報と周辺の取引データから概算価格を算出 即日〜数日
訪問査定(詳細査定) 不動産会社が実際に物件を訪問して詳細に評価 1週間程度

複数社に依頼するのが鉄則: 査定額は不動産会社によって異なります。最低でも3社以上に査定を依頼し、価格の根拠を比較しましょう。ただし、極端に高い査定額を提示する会社には注意が必要です。「高値で引き付けて媒介契約を取り、後から値下げを提案する」という手法の場合があります。

ステップ2:媒介契約の締結

査定結果を比較し、信頼できる不動産会社を選んだら、媒介契約を締結します。媒介契約には3つの種類があり、それぞれ特徴が異なります(詳細は後述)。

ステップ3:売却活動の開始

不動産会社がポータルサイトへの掲載、チラシの作成、レインズ(不動産流通機構)への登録などの売却活動を行います。

ステップ4:内覧対応

購入希望者が物件を見学に訪れます。内覧の印象は売却価格や成約スピードに直結するため、物件をできるだけ良い状態に整えておくことが大切です。

内覧前の準備 ポイント
清掃 水回り(キッチン、浴室、トイレ)は特に入念に
整理整頓 物を減らして広く見せる
換気・消臭 生活臭は自分では気づきにくい
照明 明るい印象を与えるため、すべての照明をつけておく
不具合の対応 修繕可能な不具合は事前に直しておく

ステップ5:購入申し込み・価格交渉

購入希望者から「購入申込書(買付証明書)」が提出されます。価格や条件について交渉が行われ、合意に至れば契約に進みます。

ステップ6:売買契約の締結

宅建士による重要事項説明が行われた後、売買契約を締結します。この時点で買主から手付金が支払われます。

手付金に関する法的なルールについては、手付金と保全措置も参照してください。

ステップ7:決済・引渡し

残代金の受領、所有権移転登記、物件の引渡しを同時に行います。不動産登記の手続きは司法書士が代行するのが一般的です。


3種類の媒介契約

不動産の売却を不動産会社に依頼する際に締結する媒介契約には、一般媒介契約専任媒介契約専属専任媒介契約の3種類があります。それぞれの特徴を正確に理解して選ぶことが、売却成功の鍵です。

比較項目 一般媒介 専任媒介 専属専任媒介
複数社への依頼 可能 不可 不可
自己発見取引 可能 可能 不可
レインズ登録義務 なし 7営業日以内 5営業日以内
業務報告義務 なし 2週間に1回以上 1週間に1回以上
契約の有効期間 法律上の制限なし(実務上は3ヶ月が多い) 3ヶ月以内 3ヶ月以内

用語の補足: 「自己発見取引」とは、売主が自分で買主を見つけて直接取引することです。専属専任媒介では、たとえ知人や親戚が購入を希望しても、不動産会社を通さなければなりません。

どの媒介契約を選ぶべきか

状況 おすすめの媒介契約 理由
人気エリアの物件 一般媒介 複数社の競争で早期に買主が見つかりやすい
売却を確実に進めたい 専任媒介 不動産会社が責任を持って販売活動を行い、自己発見取引も可能
すべて任せたい 専属専任媒介 最も手厚い報告と活動が期待できる

媒介契約の詳しい内容については、媒介契約の3類型を参照してください。


買取による売却の流れ

買取の場合は、仲介と比べて手続きが大幅にシンプルです。

ステップ 内容 所要時間
1. 査定依頼 買取業者に査定を依頼 即日〜数日
2. 買取価格の提示 業者が買取価格を提示 数日
3. 条件交渉 価格や引渡し時期を交渉 数日
4. 売買契約 契約の締結 数日
5. 決済・引渡し 残代金の受領と引渡し 1〜2週間
合計 約1〜4週間

買取が適しているケース

ケース 理由
転勤や離婚で急いで売りたい 売却期間を短縮できる
相続した物件を早く現金化したい 手続きがシンプルで精神的な負担が少ない
築古で内覧で不利になる物件 内覧対応が不要
近隣に売却を知られたくない 広告や内覧が行われない
契約不適合責任を負いたくない 免責となるケースが多い

買取保証という選択肢: 一部の不動産会社では、「一定期間仲介で売却活動を行い、売れなかった場合は不動産会社が買い取る」という買取保証サービスを提供しています。仲介の高値売却の可能性と、買取の確実性を両立できるメリットがあります。


売却価格の決め方

適切な売却価格を設定することは、売却成功の最も重要な要素です。

価格設定の3つの考え方

価格の種類 内容
相場価格 周辺の類似物件の取引事例から算出した市場価格
査定価格 不動産会社が算出した「3ヶ月以内に売れると見込まれる価格」
希望価格 売主が希望する価格(ローン残債等を考慮)

価格設定のポイント

ポイント 内容
相場を調べる 国土交通省の「土地総合情報システム」や不動産ポータルサイトで周辺の相場を確認
値引き交渉を見込む 実際の取引では5〜10%程度の値引き交渉が入ることが多い
売り出し期間を意識する 相場より高い価格で出すと売却期間が長引き、かえって不利になることがある
ローン残債を確認 売却価格でローンを完済できるか事前に確認する

売れない期間が続くリスク: 相場より大幅に高い価格で売り出すと、問い合わせが少なく、内覧も入りません。長期間売れ残ると「何か問題がある物件では」と疑われ、値下げしても買い手がつかなくなるリスクがあります。


売却にかかる費用と税金

不動産を売却する際には、さまざまな費用と税金が発生します。手元に残る金額を正確に把握するために、事前に費用を見積もっておきましょう。

売却時にかかる主な費用

費用項目 金額の目安 備考
仲介手数料 売却価格 × 3%+6万円+消費税 仲介の場合のみ発生
印紙税 1万〜6万円程度 売買契約書に貼付
登記費用 1〜3万円程度 抵当権抹消登記の費用
ローンの繰上返済手数料 0〜3万円程度 金融機関による
測量費用 30〜80万円 土地の境界確定が必要な場合
ハウスクリーニング 5〜15万円 任意だが内覧の印象向上に効果的

譲渡所得税

不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、所得税と住民税が課されます。税率は所有期間によって大きく異なります。

区分 所有期間の判定 税率(所得税+住民税)
長期譲渡所得 売却した年の1月1日時点で5年超 20.315%
短期譲渡所得 売却した年の1月1日時点で5年以下 39.63%

所有期間の判定に注意: 所有期間は「取得日から売却日まで」ではなく、「売却した年の1月1日時点」で判定します。この点を誤ると、長期と短期を間違え、税率が約2倍も変わってしまいます。

譲渡所得の計算

譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除額

項目 内容
取得費 購入価格、購入時の仲介手数料、登録免許税、不動産取得税など
譲渡費用 売却時の仲介手数料、測量費、建物の取壊し費用など
特別控除 マイホームの3,000万円特別控除など

マイホームの3,000万円特別控除

居住用財産(マイホーム)を売却した場合、所有期間に関係なく、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。この特例の適用を受ければ、多くのケースで譲渡所得税がゼロになります。

要件 内容
自己居住 自分が住んでいた家屋であること
住まなくなった日から3年以内 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却
売却先の制限 配偶者や直系血族、同族会社等への売却は対象外
3年に1度の制限 前年・前々年にこの特例を受けていないこと

譲渡所得税の詳しい解説は譲渡所得税の特例を参照してください。


高く売るためのコツ

少しでも高い価格で売却するための実践的なアドバイスをまとめます。

売却前の準備

コツ 内容
複数社に査定を依頼 最低3社以上。査定額の根拠を比較する
売却時期を選ぶ 1〜3月(引っ越しシーズン)は需要が高まりやすい
ホームインスペクション 建物検査を行い、状態を明示することで買主に安心感を与える
必要な修繕を行う 費用対効果の高い修繕(水回り、壁紙など)は実施する
不用品の処分 室内を広くすっきり見せるために、不用品は事前に処分する

売却活動中の対応

コツ 内容
内覧の印象を高める 清掃、照明、換気を徹底する
柔軟な対応 内覧の日程調整に柔軟に対応する
不動産会社との連携 定期的に進捗を確認し、販売戦略の見直しを行う
値引き交渉への準備 事前に最低売却価格を決めておく

宅建の知識が売却でも活きる: 不動産を売却する際にも、宅建で学ぶ知識が大いに役立ちます。契約不適合責任の範囲を理解していれば、売却後のリスクを正確に把握できます。また、媒介契約の種類や仲介手数料の上限を知っていれば、不動産会社との交渉を有利に進められます。


売却のQ&A

Q1:ローンが残っている物件は売却できるか?

売却は可能です。ただし、売却代金でローンを完済する必要があります。売却代金だけでは完済できない場合は、不足分を自己資金で補うか、住み替えローンを利用する方法があります。

Q2:住みながら売却はできるか?

可能です。実際に住みながら売却活動を行うケースは多くあります。ただし、内覧時には購入希望者が訪れるため、日程調整や室内の整備が必要です。

Q3:相続した不動産はすぐに売却できるか?

相続登記が完了していれば売却可能です。2024年4月から相続登記が義務化されているため、早めに手続きを進めましょう。相続不動産の手続きについては相続不動産の基礎知識を参照してください。


まとめ

不動産の売却方法について、要点を整理します。

ポイント 内容
仲介と買取の違い 仲介は高値で売れるが時間がかかる。買取は安いが早い・確実
媒介契約の種類 一般・専任・専属専任の3種類。状況に応じて選択する
売却の流れ 査定 → 媒介契約 → 売却活動 → 内覧 → 契約 → 決済
費用 仲介手数料、印紙税、登記費用、測量費など
税金 譲渡所得税は所有期間で税率が大きく異なる。マイホームは3,000万円控除あり
高く売るコツ 複数社査定、売却時期の選定、内覧の印象向上、適切な価格設定

不動産の売却は、適切な知識と準備があるかどうかで数百万円の差が生まれることもあります。売却を検討し始めたら、まずは相場を調べ、複数の不動産会社に相談することから始めましょう。

宅建ブートラボでは、肢別トレーニングや年度別過去問演習を通じて効率的な学習をサポートしています。

#不動産の基礎知識 #仲介 #売却 #買取

無料機能あり!

宅建士の試験対策は宅建ブートラボ!

肢別トレーニング・年度別過去問演習・学習進捗管理を無料で体験できます。

無料でアカウント作成 料金プランを見る
記事一覧を見る