専任の宅建士の設置義務|5人に1人のルールを解説
専任の宅建士の設置義務を徹底解説。5人に1人ルールの計算方法、事務所と案内所の違い、不足した場合の対応期限まで試験頻出ポイントを整理します。
宅建業法は、取引の安全を確保するため、事務所ごとに一定数の「専任の宅建士」を設置することを義務付けています。いわゆる「5人に1人ルール」は試験の超頻出テーマであり、設置場所ごとの人数要件や不足時の対応まで正確に理解する必要があります。本記事では、専任の宅建士の定義から設置義務の具体的な計算方法、違反した場合の措置まで完全に解説します。結論として、「どこに何人必要か」と「不足時に何をすべきか」の2点が得点の分かれ目です。
専任の宅建士とは
「専任」の意味
専任の宅建士とは、以下の2つの要件をともに満たす宅建士を指します。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 常勤性 | その事務所に常時勤務していること |
| 専従性 | 宅建業の業務に専ら従事していること |
宅地建物取引業法第31条の3第1項
「宅地建物取引業者は、その事務所その他国土交通省令で定める場所ごとに、(中略)成年者である専任の宅地建物取引士を置かなければならない。」
専任の宅建士になれない者
以下の者は「専任」の要件を満たしません。
- 他の法人の代表取締役など、他社の業務に従事している者
- パートタイム・アルバイトなど、常勤していない者
- 通常の通勤が不可能な場所に住んでいる者
- 他の専任業務(管理業務主任者等)と兼任している者(原則)
ただし、同一事務所内で宅建業と他の業務を兼業している場合、実質的に宅建業に専従していると認められれば専任と認められることもあります。
成年者であること
専任の宅建士は成年者でなければなりません。未成年者は、営業に関し成年者と同一の行為能力を有する場合でも、専任の宅建士にはなれません。
設置義務の具体的な人数
事務所の場合:5人に1人以上
事務所には、業務に従事する者5人につき1人以上の割合で専任の宅建士を設置しなければなりません。
| 業務従事者数 | 必要な専任の宅建士 |
|---|---|
| 1〜5人 | 1人以上 |
| 6〜10人 | 2人以上 |
| 11〜15人 | 3人以上 |
| 16〜20人 | 4人以上 |
「業務に従事する者」には、代表者、営業担当、事務員、非常勤の役員を除くすべての従業者が含まれます。
案内所等の場合:1人以上
契約行為を行う案内所等には、少なくとも1人以上の専任の宅建士を設置する必要があります。
| 場所 | 専任の宅建士 |
|---|---|
| 事務所 | 5人に1人以上 |
| 案内所等(契約行為あり) | 1人以上 |
| 案内所等(契約行為なし) | 不要 |
契約行為を行わない案内所(単なるモデルルーム見学のみなど)には、専任の宅建士の設置義務はありません。
不足した場合の対応
2週間以内の補充義務
専任の宅建士が不足した場合(退職・死亡・登録消除など)、宅建業者は2週間以内に必要な措置を講じなければなりません。
宅地建物取引業法第31条の3第3項
「(前略)宅地建物取引業者は、(中略)2週間以内に必要な措置を執らなければならない。」
必要な措置の具体例
| 措置 | 内容 |
|---|---|
| 新たな専任の宅建士の設置 | 資格者を雇用する、既存従業者に資格を取得させる等 |
| 業務従事者の減員 | 業務従事者を減らして比率を満たす |
| 事務所の廃止 | 事務所そのものを閉鎖する |
2週間を超えた場合
2週間以内に必要な措置を講じない場合は、業務停止処分の対象となります。さらに悪質な場合は免許取消処分もあり得ます。
専任の宅建士の業務
宅建士だけが行える業務
専任の宅建士に限らず、宅建士には以下の3つの独占業務があります。
| 独占業務 | 内容 |
|---|---|
| 重要事項の説明 | 35条書面の内容を取引の相手方に説明する |
| 重要事項説明書への記名 | 35条書面に宅建士として記名する |
| 契約書面への記名 | 37条書面に宅建士として記名する |
これらの業務は宅建士の資格を持つ者しか行えませんが、必ずしも「専任の」宅建士が行う必要はありません。事務所に所属する宅建士であれば、専任でなくても行うことができます。
専任の宅建士の独自の役割
専任の宅建士は、上記の独占業務に加えて、事務所における宅建業務の適正性を確保する役割を担います。常勤し専従することで、日常的に業務をチェックする機能が期待されています。
宅建士登録との関係
登録と設置義務の違い
| 項目 | 宅建士登録 | 専任の宅建士の設置 |
|---|---|---|
| 対象者 | 宅建士個人 | 宅建業者 |
| 手続き先 | 都道府県知事(試験合格地) | 免許権者 |
| 登録・届出事項 | 勤務先など | 専任の宅建士の氏名 |
専任の宅建士の変更は、宅建業者名簿と変更届で解説しているとおり、30日以内の変更届が必要です。
また、宅建士登録の詳細については宅建士登録をご覧ください。
試験での出題ポイント
試験では以下のパターンで出題されます。
- 人数計算: 業務従事者の数から必要な専任の宅建士の数を計算させる問題
- 事務所と案内所の混同: 案内所は「1人以上」、事務所は「5人に1人以上」
- 不足時の期限: 「2週間以内」に必要な措置(30日と混同しやすい)
- 未成年者のひっかけ: 成年者と同一の行為能力がある未成年者でも専任の宅建士にはなれない
- 独占業務の担当者: 重要事項説明は「専任の」宅建士でなくても行える
- 契約行為なしの案内所: 専任の宅建士の設置義務なし
暗記のコツとして、設置に関する数字は「5人に1人・2週間・30日」(5人に1人の設置義務、不足時は2週間以内に補充、変更届は30日以内)とセットで覚えましょう。
理解度チェッククイズ
Q1. 事務所における専任の宅建士の設置は、業務に従事する者10人につき1人以上の割合である。(○か×か)
答えを見る
×:正しくは業務に従事する者5人につき1人以上です。10人に1人ではありません。Q2. 契約行為を行わない案内所には、専任の宅建士を設置する必要はない。(○か×か)
答えを見る
○:契約行為を行わない案内所には専任の宅建士の設置義務はありません。設置義務があるのは契約行為を行う案内所等です。Q3. 専任の宅建士が不足した場合、30日以内に必要な措置を講じなければならない。(○か×か)
答えを見る
×:必要な措置を講じる期限は30日以内ではなく2週間以内です。Q4. 重要事項の説明は、専任の宅建士でなければ行うことができない。(○か×か)
答えを見る
×:重要事項の説明は宅建士であれば行うことができ、「専任の」宅建士である必要はありません。Q5. 営業に関し成年者と同一の行為能力を有する未成年者は、専任の宅建士になることができる。(○か×か)
答えを見る
×:専任の宅建士は成年者でなければならず、営業に関し成年者と同一の行為能力を有する未成年者であっても専任の宅建士にはなれません。まとめ
専任の宅建士の設置義務について、以下の3点を押さえましょう。
- 設置人数: 事務所は業務従事者5人につき1人以上、契約行為を行う案内所は1人以上
- 不足時の対応: 2週間以内に必要な措置を講じなければならない。怠れば業務停止処分の対象
- 専任の要件: 常勤性と専従性が必要。成年者でなければならず、未成年者は不可
よくある質問(FAQ)
Q. 代表取締役は業務従事者の人数に含まれますか?
A. 代表取締役が事務所に常勤している場合は業務従事者に含まれます。ただし、代表取締役自身が宅建士の資格を持ち、常勤・専従であれば専任の宅建士としてカウントすることも可能です。
Q. 一時的に出張で事務所を離れる場合、「常勤」の要件に反しますか?
A. 通常の業務の範囲内での一時的な出張や外出は、常勤性の要件に反しません。あくまで、恒常的に事務所に出勤し勤務している状態が求められます。
Q. 専任の宅建士と管理業務主任者を兼任できますか?
A. 原則として兼任は認められません。ただし、同一の事務所で宅建業とマンション管理業を行っている場合など、実態に応じて認められるケースもあります。詳細は所管の行政庁に確認してください。
Q. アルバイトやパートの従業者は業務従事者に含まれますか?
A. 一時的に事務の補助をするアルバイト等は業務従事者に含まれないとされますが、継続的に宅建業の業務に従事するパート従業者は含まれます。実態に即して判断されます。
関連記事
宅建ブートラボでは、肢別トレーニングや年度別過去問演習を通じて効率的な学習をサポートしています。
宅建業法対策
肢別トレーニングで宅建業法を得点源に
宅建業法は最も得点しやすい科目。過去問ベースの一問一答で、 免許制度・重要事項説明・8種制限を効率的にマスターしましょう。