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宅建業の事務所の要件|設置義務・届出事項を完全整理

宅建業法における事務所の要件を完全整理。本店・支店の設置義務、届出事項、案内所との違いまで試験頻出ポイントを網羅的に解説します。

宅建業を営むためには、法律が定める要件を満たした「事務所」を設置しなければなりません。事務所の定義や設置義務は免許制度の根幹であり、試験でも繰り返し出題されるテーマです。本記事では、宅建業法における事務所の要件、届出事項、案内所等との違いを一覧表や具体例を交えて完全整理します。結論として、事務所の定義・設置義務・届出事項の3つを正確に押さえることが得点に直結します。

宅建業法における「事務所」の定義

本店と支店の違い

宅建業法でいう「事務所」とは、主に次の2種類を指します。

種類 内容
本店(主たる事務所) 商業登記簿に記載された本店。宅建業を直接営んでいなくても、支店で宅建業を営む場合は本店も事務所に該当する
支店(従たる事務所) 宅建業を営む支店として登記されたもの。宅建業を営まない支店は該当しない

宅地建物取引業法第3条第1項
「宅地建物取引業を営もうとする者は、(中略)事務所について、都道府県知事の免許を受けなければならない。」

ここで重要なのは、本店は宅建業を営んでいなくても事務所に含まれるという点です。支店で宅建業を行う場合、本店も自動的に「事務所」としてカウントされます。

「事務所」に該当しないもの

以下は事務所には該当しません。

  • 宅建業を営まない支店
  • 継続的に業務を行う場所ではない一時的な出先
  • モデルルームや案内所(ただし別途届出が必要な場合あり)

事務所の設置要件

物理的な要件

宅建業の事務所として認められるためには、以下の物理的要件を満たす必要があります。

  • 独立した業務スペースがあること
  • 他の事業者との間仕切りが確保されていること
  • 固定的な施設であること(テント張りやコンテナのみの仮設は不可)
  • 事務所としての継続性があること

自宅の一室を事務所とする場合は、居住部分と事務所部分が明確に区分されていることが求められます。

人的要件(専任の宅建士・政令で定める使用人)

事務所には以下の人的配置が求められます。

配置すべき者 要件
専任の宅建士 事務所ごとに業務従事者5人に1人以上
政令で定める使用人 本店に代表者が常駐しない場合、契約締結権限を有する者を配置

専任の宅建士については、専任の宅建士の設置義務の記事で詳しく解説しています。

備え付けるべき書類等

事務所には以下の書類等を備え付ける義務があります。

備え付け物 根拠条文 備考
報酬額の掲示 法第46条第4項 事務所の見やすい場所に掲示
従業者名簿 法第48条第3項 最終記載日から10年間保存
帳簿 法第49条 事業年度ごとに閉鎖し5年間保存(新築は10年)
標識 法第50条第1項 事務所の見やすい場所に掲示
従業者証明書 法第48条第1項 従業者に携帯させる(備え付けではなく携帯義務)

案内所等との違い

案内所等の届出制度

事務所以外の場所で業務を行う場合、いわゆる「案内所等」として届出が必要になるケースがあります。

場所の種類 届出の要否 専任の宅建士
事務所 免許申請で届出済 5人に1人以上
案内所(契約行為あり) 届出必要 1人以上
案内所(契約行為なし) 届出必要 不要
展示会場(一団の宅地建物) 届出必要 契約行為ありなら1人以上

宅地建物取引業法第50条第2項
「宅地建物取引業者は、事務所以外の場所で業務を行う場合において、(中略)届け出なければならない。」

届出先は、免許権者と案内所の所在地を管轄する都道府県知事の両方です。業務を開始する日の10日前までに届け出る必要があります。

案内所等に備え付けるもの

案内所等には事務所と異なり、備え付けるべき書類が限定されています。

備え付け物 事務所 案内所等
標識 必要 必要
報酬額の掲示 必要 不要
従業者名簿 必要 不要
帳簿 必要 不要

案内所等では標識の掲示のみが義務付けられ、報酬額の掲示や従業者名簿・帳簿の備え付けは不要です。

届出事項と変更届

免許申請時の届出事項

宅建業の免許申請時には、事務所に関して以下の事項を届け出ます。

  • 事務所の名称と所在地
  • 事務所ごとの専任の宅建士の氏名
  • 政令で定める使用人の氏名
  • 事務所の代表者

変更届の提出

届出事項に変更が生じた場合は、変更があった日から30日以内に届出をしなければなりません。届出事項の詳細は宅建業者名簿と変更届の記事で解説しています。

試験での出題ポイント

宅建試験では、事務所に関して以下のパターンで出題されます。

  • 本店が事務所に該当するか: 宅建業を営んでいない本店でも、支店で宅建業を営む場合は事務所に該当する(頻出のひっかけ)
  • 案内所との混同: 案内所に帳簿や従業者名簿の備え付けが必要かを問う問題(不要が正解)
  • 届出先の混同: 案内所の届出先は免許権者と所在地の知事の両方
  • 専任の宅建士の人数: 事務所は5人に1人、案内所は1人以上
  • 備え付け書類の組み合わせ: 標識・報酬額の掲示・従業者名簿・帳簿のうち、どれが事務所限定かを問う

暗記のコツとして、案内所に必要なのは「標識だけ」と覚えましょう。事務所にはすべて必要です。

理解度チェッククイズ

Q1. 宅建業を営んでいない本店は、支店で宅建業を営む場合でも事務所に該当しない。(○か×か)

答えを見る×:支店で宅建業を営む場合、本店は宅建業を直接営んでいなくても事務所に該当します。

Q2. 案内所で契約行為を行う場合、専任の宅建士を1人以上設置しなければならない。(○か×か)

答えを見る○:契約を行う案内所には、成年者である専任の宅建士を少なくとも1人以上設置する義務があります。

Q3. 案内所には、報酬額の掲示と標識の両方を備え付ける必要がある。(○か×か)

答えを見る×:案内所に必要なのは標識の掲示のみです。報酬額の掲示は事務所にのみ義務付けられています。

Q4. 案内所を設置する届出は、業務開始の10日前までに行う必要がある。(○か×か)

答えを見る○:案内所等の届出は、業務を開始する日の10日前までに届け出なければなりません。

まとめ

宅建業の事務所の要件について、以下の3点を押さえましょう。

  1. 事務所の定義: 本店は宅建業を営んでいなくても事務所に該当する。支店は宅建業を営む場合のみ該当する
  2. 備え付け義務: 事務所には標識・報酬額の掲示・従業者名簿・帳簿が必要。案内所は標識のみ
  3. 届出制度: 案内所等の届出は免許権者と所在地の知事の両方に、業務開始の10日前までに届出が必要

よくある質問(FAQ)

Q. 自宅を事務所にすることはできますか?

A. 自宅を事務所として使用すること自体は可能ですが、居住部分と事務所部分が構造上明確に区分されていることが要件です。ワンルームマンションの一角を事務所とすることは原則として認められません。

Q. 案内所に従業者名簿を備え付ける必要はありますか?

A. いいえ、案内所等に従業者名簿の備え付け義務はありません。従業者名簿の備え付けが義務付けられているのは事務所のみです。ただし、従業者証明書の携帯義務は案内所でも適用されます。

Q. 事務所を新設した場合、免許換えは必要ですか?

A. 免許換えが必要かどうかは、事務所の所在地によります。国土交通大臣免許と都道府県知事免許の区分が変わる場合(例:1つの都道府県内から複数の都道府県にまたがる場合)は免許換えが必要です。同一区分内での事務所新設は変更届で対応します。

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