業務停止処分ぎょうむていししょぶん
国土交通大臣又は都道府県知事が、宅地建物取引業者に対し、1年以内の期間を定めて、その業務の全部又は一部の停止を命ずる監督処分です(65条2項・4項)。つまり、重い違反をした業者に、期間を区切って営業を止めさせる処分です。
重要事項の説明をしないまま契約を結ばせていた業者に、知事が「3か月間、業務の全部を停止せよ」と命じる。これが業務停止処分です。期間は1年以内で、全部の業務を止めることも、新規の契約の締結だけというように一部を止めることもできます。免許は残るので、期間が明ければ営業に戻れます。処分をすることができるのは、免許権者と、業務が行われた都道府県の知事です。

対象になる違反は、条文に一つずつ列挙されています
65条2項は、業務の停止を命ずることができる違反を条番号で列挙しています。名義貸し、専任の取引士の不足を2週間以内に補わないこと、誇大広告、取引態様の明示、媒介契約書面の交付、重要事項の説明、37条書面の交付、手付金等の保全、守秘義務、限度額を超える報酬の受領、重要な事実の不告知などの禁止行為が入っています。営業保証金を供託した旨の届出をする前に事業を始めた場合も対象です。列挙にない帳簿の備付けや標識の掲示の違反は、それだけでは業務の停止の理由にならず、指示の対象になります。
指示に従わないときや、著しく不当な行為でも命じられます
業務の停止は、列挙された違反のほかにも命ずることができます。指示処分に従わないとき、この法律に基づく国土交通大臣又は都道府県知事の処分に違反したとき、宅地建物取引業に関し不正又は著しく不当な行為をしたときです。法人の役員や政令で定める使用人が、業務の停止をしようとするとき以前5年以内に宅地建物取引業に関し不正又は著しく不当な行為をしていた場合も、理由になります。取引士が監督処分を受け、業者の責めに帰すべき理由があるときも同じです。
停止の命令に違反して営業すると、免許を取り消されます
業務の停止の処分に違反して業務を営んだ業者は、免許を取り消されます(66条1項9号)。この取消しは「取り消さなければならない」と定められていて、行政に裁量はありません。あわせて、3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金又はその併科という、この法律でいちばん重い罰則の対象になります(79条4号)。業務の停止に当たる違反をして情状が特に重いときも、停止を経ずに免許の取消しになります。

宅地建物取引業法 65条2項(柱書)国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該宅地建物取引業者に対し、一年以内の期間を定めて、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。
試験ではこう問われる
- 重要事項の説明をしなかった業者は、業務停止を命じられることがある(65条2項2号)。自ら貸主として賃貸する場合は宅建業でないので対象外
- 期間は1年以内。指示処分に従わない場合でも、1年を超える期間は定められない
- 免許権者でない知事も業務停止を命ずることができる。乙県内の業務で著しく不当な行為をした甲県知事免許の業者に、乙県知事は業務停止を命じられる(65条4項5号)
- 指示に従わなければ業務停止を命ずることができ、業務停止処分に違反すれば免許を取り消さなければならない
- 業務停止処分をしたときは公告する。指示処分は公告しない
- 業務停止の期間中でも、免許の更新は受けられる
- 誇大広告や手付の貸付けによる契約の誘引は、監督処分の対象になるほか罰則もある
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