拘禁刑こうきんけい
刑事施設に拘置する刑で、令和7年6月1日施行の刑法改正により、それまでの懲役と禁錮を一本化して設けられました(刑法9条・12条)。宅建業法の欠格事由でいう「拘禁刑以上の刑」は死刑と拘禁刑のことで、これに処せられた者は、罪の種類を問わず、刑の執行を終わるなどした日から5年間、免許も登録も受けられません(5条1項5号、18条1項6号)。
ニュースで聞く「懲役3年」の刑は、令和7年6月1日から「拘禁刑」に変わりました。以前は、刑務作業を義務づける懲役と、義務づけない禁錮の二つがありましたが、改正後は一つの拘禁刑にまとめ、改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができるとしました(刑法12条3項)。刑の重さの順は死刑、拘禁刑、罰金、拘留、科料で(刑法9条・10条)、宅建業法は拘禁刑以上の刑に処せられた者を、刑の執行を終わるなどした日から5年間、免許や登録から締め出します。改正前の問題文に出てくる「懲役」「禁錮」は、今の拘禁刑に当たり、資格に関する法令の適用では改正前に言い渡された懲役・禁錮も拘禁刑とみなされます(刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律443条1項)。

拘禁刑以上なら、どんな罪でも5年間は受けられません
5条1項5号は、罪の種類を限っていません。道路交通法違反でも、業務上過失致死傷でも、詐欺でも、拘禁刑に処せられれば同じ扱いです。罰金の場合は宅建業法違反や暴行などの決まった罪に限られるのと対照的で、条文に理由は書いていませんが、拘禁刑はそれだけ重い刑なので、罪の中身を問わず一定期間は業務を任せないという考え方と読めます。5年は「刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日」から数え、刑期を終えた日などが起点になります。判決の日や罪を犯した日から数えるのではありません。
「処せられた」とは、判決が確定したことをいいます
地方裁判所で拘禁刑の判決を言い渡されても、控訴や上告をして裁判が続いている間は、まだ刑に処せられた者に当たらないと解されています。判決が確定して初めて欠格事由になります。条文に理由は書いていませんが、上級の裁判所で結論が変わる余地が残るうちは、刑が決まったとはいえないためと考えられます。執行猶予が付いた場合は、確定した時点で刑に処せられた者になり、猶予の期間を満了するまで欠格事由に当たります。

免許や登録の後に処せられても、同じ扱いになります
免許を受けた業者本人や、法人の役員・政令で定める使用人が拘禁刑に処せられると、免許権者は免許を取り消さなければなりません(66条1項1号・3号)。宅地建物取引士が処せられたときは、本人がその日から30日以内に登録をしている知事に届け出て(21条2号)、登録は消除されます(22条2号、68条の2第1項1号)。免許や登録の入口で断る事由が、受けた後に取り消したり消除したりする事由にもなっています。
宅地建物取引業法 5条1項5号国土交通大臣又は都道府県知事は、第三条第一項の免許を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合…においては、免許をしてはならない。…五 拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
試験ではこう問われる
- 拘禁刑以上の刑は罪名を問わず欠格。支店の代表者(政令で定める使用人)が道路交通法違反で拘禁刑に処せられれば、法人の免許は取り消される
- 5年は刑の執行を終わった日から数える。非常勤役員が詐欺罪で拘禁刑に処せられ、執行を終えて5年を経過していなければ、法人は免許を受けられない
- 控訴して裁判が係属中なら、まだ刑に処せられた者ではなく、欠格事由に当たらない
- 執行猶予付きでも猶予期間中は欠格。猶予期間を満了すれば、満了の日から5年を待たずに受けられる
- 宅地建物取引士が拘禁刑以上の刑に処せられたら、本人が刑に処せられた日から30日以内に、登録をしている知事に届け出る
- 誇大広告をすれば、監督処分のほか、6月以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金に処せられ、又は併科されることがある
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