罰則ばっそく
宅地建物取引業法に違反した者に科される拘禁刑・罰金と、行政上の制裁である過料のことです(79条〜86条)。つまり、監督処分とは別に裁判所が科すもので、最も重いのは無免許営業などに対する3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金又はその併科です。
免許を受けずに宅地建物取引業を営んだ者は、行政から処分を受ける免許をそもそも持っていません。こういう相手に効くのは、裁判所が科す刑罰です。宅地建物取引業法は、違反の重さに応じて、拘禁刑と罰金をいくつかの段階に分けて定めています。取引士証を返さないといった軽い手続違反には、刑罰ではない過料が用意されています。免許を持つ業者の違反には、監督処分と罰則の両方が及ぶことがあります。

最も重いのは、無免許営業と名義貸しです
3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するとされているのは四つです(79条)。不正の手段によって免許を受けた者、免許を受けずに宅地建物取引業を営んだ者、自己の名義で他人に宅地建物取引業を営ませた者、業務の停止の命令に違反して業務を営んだ者です。どれも免許という仕組みそのものを崩す行為です。次に重いのは、重要な事項について故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為で、2年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金又はその併科です(79条の2)。
誇大広告や手付の貸付けには、6月以下の拘禁刑があります
6月以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するとされているのは、誇大広告等の禁止の違反、不当な履行遅延、手付について貸付けその他信用の供与をして契約の締結を誘引する行為、営業保証金を供託した旨の届出の前に事業を開始することです(81条)。不当に高額の報酬を要求する行為は、1年以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金又はその併科です(80条)。限度額を超えて報酬を受ける行為、専任の取引士の設置義務の違反、無免許で宅地建物取引業を営む旨の表示や広告をする行為は、拘禁刑がなく、100万円以下の罰金です(82条)。

書面や届出の違反は、50万円以下の罰金です
50万円以下の罰金とされているのは、37条書面を交付しないこと、報酬の額を掲示しないこと、標識を掲示しないこと、従業者に証明書を携帯させないこと、従業者名簿や帳簿を備え付けないこと、変更の届出や案内所等の届出をしないこと、守秘義務に違反することなどです(83条)。知事などから求められた報告をせず、又は立入検査を拒んだ者も同じです。守秘義務の違反は、告訴がなければ公訴を提起することができません。重要事項の説明をしないこと自体には罰則の定めがなく、監督処分で対応されます。
過料は取引士の手続違反で、法人には罰金が重くなります
10万円以下の過料に処せられるのは、取引士が、登録を消除されたのに取引士証を返納しないとき、事務の禁止の処分を受けたのに取引士証を提出しないとき、重要事項の説明の際に取引士証を提示しないときなどです(86条)。過料は刑罰ではありません。法人の代表者や従業者が業務に関して違反をしたときは、行為者を罰するほか、法人にも罰金刑が科されます(84条)。無免許営業や重要な事実の不告知などでは、法人に対する罰金は1億円以下に引き上げられています。

宅地建物取引業法 79条次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。一 不正の手段によつて第三条第一項の免許を受けた者 二 第十二条第一項の規定に違反した者 三 第十三条第一項の規定に違反して他人に宅地建物取引業を営ませた者 四 第六十五条第二項又は第四項の規定による業務の停止の命令に違反して業務を営んだ者
試験ではこう問われる
- 著しく事実に相違する表示をした広告は、監督処分の対象になるほか、6月以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金に処せられ、又はこれを併科されることがある
- 手付について信用の供与をして契約の締結を誘引する行為は、監督処分の対象となるほか、罰則の適用を受けることがある
- 立入検査を拒んだ者は、50万円以下の罰金に処せられることがある
- 事務禁止処分を受けた取引士が取引士証の提出を怠ると、罰則(10万円以下の過料)の適用を受けることがある
- 宅建業法の規定に違反して罰金の刑に処せられた個人の業者は、免許を取り消される。そのような者を役員とする法人は、その役員が刑の執行を終わった日から5年を経過しなければ免許を受けられない
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