監督処分かんとくしょぶん
宅地建物取引業法などに違反した宅地建物取引業者に対して国土交通大臣又は都道府県知事が行い、宅地建物取引士に対して都道府県知事が行う行政上の処分です。業者には指示・業務の停止・免許の取消しの三つ、取引士には指示・事務の禁止・登録の消除の三つがあります。
重要事項の説明をせずに契約させた、誇大な広告を出した、というように業者が決まりを破ったとき、行政はその業者に処分を下します。軽いほうから、やり方を改めるよう命じる指示、一定の期間仕事を止めさせる業務の停止、免許そのものを失わせる免許の取消しの三段階です。処分をするのは、免許を与えた国土交通大臣又は都道府県知事(免許権者)が基本です。刑事裁判で科される罰則とは別のもので、一つの違反に監督処分と罰則の両方が及ぶこともあります。

指示と業務の停止は、業務をした場所の知事もできます
甲県知事の免許を受けた業者が乙県の案内所で違反をしたとき、乙県知事は、自分が免許を与えた業者でなくても、その業者に指示や業務の停止の処分をすることができます(65条3項・4項)。違反が起きた土地の行政が、すぐに手を打てるようにするためです。これに対して免許の取消しは、免許を与えた免許権者にしかできません。乙県知事が処分をしたときは、遅滞なく、甲県知事に通知します。業者が国土交通大臣の免許を受けている場合は、国土交通大臣に報告します(70条3項)。

処分の前に、公開の聴聞を行います
指示、業務の停止、免許の取消しのどの処分をするときも、行政は、あらかじめ聴聞を行わなければなりません。聴聞とは、処分を受ける側に言い分を述べる機会を与える手続です。行政手続法では、聴聞が要るのは許認可の取消しのような重い処分だけですが、宅地建物取引業法は、業務の停止や、いちばん軽い指示にも聴聞を求めています(69条1項)。聴聞の期日における審理は、公開で行います。例外として、業者の所在が分からないために官報などで公告して免許を取り消す場合は、聴聞の手続が要りません(67条2項)。

公告されるのは、業務の停止と免許の取消しです
国土交通大臣又は都道府県知事は、業者に業務の停止又は免許の取消しの処分をしたときは、その旨を公告しなければなりません(70条1項)。その業者と取引しようとする人に、処分があったことを知らせるためです。指示の処分は公告されません。取引士に対する処分は、三つのどれも公告されません。
処分のほかに、指導や立入検査の権限もあります
国土交通大臣は全ての業者に、都道府県知事はその都道府県の区域内で宅地建物取引業を営む業者に、必要な指導、助言及び勧告をすることができます(71条)。また、業務について必要な報告を求め、職員に事務所などへ立ち入らせて帳簿や書類を検査させることができます(72条1項)。この報告をしなかったり、検査を拒んだりした者は、50万円以下の罰金に処せられます。国土交通大臣が、その免許を受けた業者に、重要事項の説明など消費者の保護に関わる規定の違反を理由として処分をしようとするときは、あらかじめ内閣総理大臣に協議しなければなりません(71条の2)。
宅地建物取引業法 69条1項国土交通大臣又は都道府県知事は、第六十五条又は第六十八条の規定による処分をしようとするときは、行政手続法第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。
試験ではこう問われる
- 指示・業務停止・免許取消しのいずれも聴聞が必要で、聴聞の審理は公開。「公開が相当と認められる場合を除き公開されない」は誤り
- 公告が要るのは業務停止処分と免許取消処分。指示処分と、取引士に対する処分(登録消除を含む)は公告されない
- 免許権者でない知事も、区域内の業務について指示処分と業務停止処分ができる。免許取消処分は免許権者だけ
- 国土交通大臣が大臣免許の業者に重要事項説明義務違反などで処分をしようとするときは、あらかじめ内閣総理大臣に協議する。処分後の通知ではない
- 指導・助言・勧告の相手は宅建業者。国土交通大臣が全ての取引士に指導・助言・勧告をすることができるという規定はない
- 立入検査を拒んだ者は50万円以下の罰金
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