指示処分しじしょぶん
国土交通大臣又は都道府県知事が、宅地建物取引業者に対して、違反を改めるために必要な指示をする監督処分です(65条1項・3項)。つまり、業者に対する三つの処分のうち最も軽いもので、業務は続けられますが、従わないと業務の停止を命じられることがあります。
業者が帳簿に取引の内容を書いていなかった、取引の相手に損害を与えるおそれが大きい売り方をしていた。こういうとき、行政はまず「このように改めなさい」と命じます。これが指示処分で、業務を止めさせるものではありません。指示をすることができるのは、免許権者と、その業者が業務を行った都道府県の知事です。条文は「指示をすることができる」と定めていて、処分をするかどうかは行政の判断に任されています。

法律に違反したときは、広く指示の対象になります
65条1項は、指示ができる場合として、宅地建物取引業法の規定に違反した場合を挙げています。違反した規定に限定はないので、帳簿の備付け、標識の掲示、従業者名簿など、どの規定の違反でも指示の対象になります。業務の停止は、対象になる違反が条文に一つずつ列挙されていて、帳簿の備付けの違反などは入っていません。どの違反にもまず使える処分が指示で、重い違反に絞って使うのが業務の停止という分かれ方です。住宅瑕疵担保履行法の供託や届出の義務に違反した場合も、指示の対象です。
違反がなくても、損害を与えるおそれが大きければ指示できます
65条1項は、条文への違反のほかに四つの場合を挙げています。業務に関し取引の関係者に損害を与えたとき又は損害を与えるおそれが大であるとき、業務に関し取引の公正を害する行為をしたとき又はそのおそれが大であるとき、業務に関し他の法令に違反し業者として不適当であると認められるとき、そして取引士が監督処分を受けた場合に業者の責めに帰すべき理由があるときです。初めの三つは「業務に関し」とあるとおり宅地建物取引業の業務についての話で、業務と関わりのない違反は入りません。取引士が処分を受けた場合が入っているのは、業者が取引士に無理な指図をしていたような場合に、業者の側も正すためと考えられます。
指示に従わないと、業務の停止を命じられることがあります
指示に従わなかったこと自体を罰する規定はありません。しかし、指示に従わないことは業務の停止の理由になり、1年以内の期間を定めて業務の全部又は一部の停止を命じられることがあります(65条2項3号)。さらに情状が特に重いときは、免許を取り消されます(66条1項9号)。軽い処分から始めて、従わなければ重い処分へ進む仕組みです。

宅地建物取引業法 65条1項(抜粋)国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許(…)を受けた宅地建物取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合又はこの法律の規定若しくは…の規定に違反した場合においては、当該宅地建物取引業者に対して、必要な指示をすることができる。一 業務に関し取引の関係者に損害を与えたとき又は損害を与えるおそれが大であるとき。二 業務に関し取引の公正を害する行為をしたとき又は取引の公正を害するおそれが大であるとき。…
試験ではこう問われる
- 帳簿に報酬の額などを記載する義務に違反した場合は、指示処分の対象となる
- 取引士が指示処分を受けた場合に、業者の責めに帰すべき理由があれば、免許権者(大臣免許なら国土交通大臣)はその業者に指示処分ができる
- 「業務に関し他の法令に違反」の業務は宅地建物取引業の業務。マンション管理業に関する違反で業務停止を命じられても、それを理由とする宅建業法の指示処分は受けない
- 指示処分に従わない業者には、1年以内の期間を定めて業務停止を命ずることができる。1年を超える期間は定められない
- 免許権者でない知事も、区域内の業務について指示処分ができる(65条3項)
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