宅地建物取引士たくちたてものとりひきし
宅地建物取引士証の交付を受けた者をいいます(2条4号)。つまり、試験に合格して知事の登録を受け、さらに取引士証をもらった人で、重要事項の説明と、重要事項説明書・37条書面への記名はこの人にしかできません。
マンションを買う契約の前に、不動産会社の担当者が写真付きのカードを見せてから、分厚い書類を一枚ずつ説明してくれる場面があります。このカードが宅地建物取引士証で、見せている人が宅地建物取引士です。不動産会社そのものは免許を受けた宅地建物取引業者で、いわば会社の資格です。これに対して取引士は、その会社の中で法律が決めた事務を担う個人の資格で、試験に合格し、知事の登録を受け、取引士証の交付を受けて初めて名乗れ、会社の免許と個人の資格の両方がそろって取引が進みます。登録には、2年以上の実務の経験か、それと同等以上の能力があると国土交通大臣に認められることが必要です(18条1項、施行規則13条の15)。取引士証の有効期間は5年で、交付を受けるには、申請前6月以内に行われる知事指定の講習を受けますが、試験に合格した日から1年以内に交付を受ける人は、この講習を受けなくてかまいません(22条の2)。

取引士にしかできない事務は、説明と二つの記名です
法律が取引士に限っている事務は、契約が成立するまでの間に重要事項を説明すること(35条1項)、その重要事項説明書に記名すること(35条5項)、契約成立後に渡す37条書面に記名すること(37条3項)の三つです。説明のときは、相手から求められなくても取引士証を提示し(35条4項)、取引の関係者から求められたときも提示します(22条の4)。業者の他の従業者が代わりに説明することはできず、説明する人は個人の資格で責任を負います。重要事項の説明のときに取引士証を提示しなかった取引士は、10万円以下の過料の対象になります(86条)。登録が消除されたときや取引士証が効力を失ったときは取引士証を返納し、事務の禁止の処分を受けたときは提出し、どちらも相手は交付を受けた知事です(22条の2第6項・7項)。

事務所ごとに、5人に1人以上の専任の取引士を置きます
業者は事務所ごとに、成年者である専任の取引士を置かなければなりません(31条の3第1項)。数は施行規則が決めていて、その事務所で業務に従事する者の5分の1以上です(施行規則15条の5の3)。条文に専任の意味は書いていませんが、その事務所に常勤して業務に専念することと扱われています。人数が欠けたら、2週間以内に補充などの措置を執ります(31条の3第3項)。契約の締結や申込みの受付をする案内所などには、従事者の数にかかわらず1人以上を置きます。
説明をする取引士は、専任の取引士でなくてかまいません
31条の3は事務所に置く人数の決まりで、35条は誰が説明するかの決まりです。35条1項は「宅地建物取引士をして」とだけ書いていて、専任かどうかを問いません。事務所の専任の取引士が休みでも、取引士証を持つ別の取引士が説明すれば足ります。二つの条文は目的が違うので、混ぜずに読みます。

宅地建物取引業法 2条4号、35条4項宅地建物取引士 第二十二条の二第一項の宅地建物取引士証の交付を受けた者をいう。/宅地建物取引士は、前三項の説明をするときは、説明の相手方に対し、宅地建物取引士証を提示しなければならない。
試験ではこう問われる
- 重要事項の説明は取引士だけ。説明するときは請求がなくても取引士証を提示し、違反は10万円以下の過料(35条4項、86条)
- 説明や記名をする取引士は専任でなくてよい。「専任の取引士でなければならない」は誤り
- 相手が業者なら説明は不要だが、書面の交付と取引士の記名は省略できない(35条6項・7項)。37条書面は取引士の記名だけで、内容の説明は不要。重要事項説明書・37条書面とも押印は不要
- 専任の取引士は事務所ごとに従事者の5分の1以上、案内所等は1人以上で、成年者であること。欠けたら2週間以内に措置(31条の3)
- 取引士証の有効期間は5年。交付・更新には申請前6月以内の知事指定の講習。合格から1年以内の交付は講習不要
- 登録の消除・取引士証の失効は返納、事務禁止の処分は提出。どちらも交付を受けた知事へ速やかに
- 登録を受けただけでは取引士ではない。取引士証の交付を受けて初めて取引士の事務ができる(2条4号)
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