宅地建物取引士に対する監督処分たくちたてものとりひきしにたいするかんとくしょぶん
都道府県知事が、宅地建物取引士に対して行う指示、1年以内の事務の禁止、登録の消除の三つの処分です(68条・68条の2)。つまり、名義貸しなどをした取引士個人に対する処分で、業者に対する指示・業務の停止・免許の取消しに対応しています。
取引士が、知人の業者に頼まれて「専任の取引士」として名前だけを貸していた。こういうとき、処分を受けるのは業者だけではなく、取引士本人もです。取引士に対する処分は、軽いほうから、指示、事務の禁止、登録の消除の三つです。処分をするのは都道府県知事で、国土交通大臣は取引士を処分しません。取引士の登録は都道府県知事が行っているからです。

指示と事務の禁止の理由は、名義貸しと不正な行為です
68条1項は、指示ができる場合を三つ挙げています。自分が専任の取引士として従事している事務所以外の事務所の専任の取引士である旨の表示を業者に許し、業者がその表示をしたとき、他人に自己の名義の使用を許し、その他人が名義を使用して取引士である旨の表示をしたとき、取引士として行う事務に関し不正又は著しく不当な行為をしたときです。この三つのどれかに当たる場合と、指示に従わない場合には、知事は1年以内の期間を定めて、取引士としてすべき事務を行うことを禁止することができます。事務とは、重要事項の説明と、重要事項説明書・37条書面への記名のことです。
指示と事務の禁止は、行為をした場所の知事もできます
指示と事務の禁止は、登録をしている知事のほか、その取引士が違反をした都道府県の知事もすることができます(68条3項・4項)。甲県知事の登録を受けた取引士が乙県で名義を貸せば、乙県知事が処分できます。処分をした乙県知事は、遅滞なく、その旨を甲県知事に通知します(70条5項)。登録の消除は、登録をしている知事にしかできません。
登録の消除は、当てはまれば必ず行われます
68条の2は、登録を「消除しなければならない」場合を定めています。登録の欠格事由に当たることになったとき、不正の手段で登録を受けたとき、不正の手段で取引士証の交付を受けたとき、指示や事務の禁止の理由に当たり情状が特に重いとき、事務の禁止の処分に違反したときです。登録だけを受けていて取引士証の交付を受けていない人も、対象になります。その人が取引士としてすべき事務を行い、情状が特に重いときは、登録を消除されます。

事務の禁止では取引士証を提出し、消除では返納します
事務の禁止の処分を受けた取引士は、速やかに、取引士証をその交付を受けた知事に提出しなければなりません(22条の2第7項)。提出先は、処分をした知事ではなく、取引士証を交付した知事です。禁止の期間が満了しても取引士証は自動的には戻らず、本人が返還を請求したときに、知事が直ちに返還します。登録が消除されたときは、速やかに取引士証を返納します。提出や返納を怠ると、10万円以下の過料に処せられます(86条)。

宅地建物取引業法 68条2項都道府県知事は、その登録を受けている宅地建物取引士が前項各号のいずれかに該当する場合又は同項若しくは次項の規定による指示に従わない場合においては、当該宅地建物取引士に対し、一年以内の期間を定めて、宅地建物取引士としてすべき事務を行うことを禁止することができる。
試験ではこう問われる
- 事務禁止処分を受けたら、速やかに、取引士証をその交付を受けた知事に提出する。処分をした知事ではない。怠ると10万円以下の過料
- 不正の手段で取引士証の交付を受けたときは、情状にかかわらず登録を消除しなければならない。「情状が特に重いときは消除することができる」ではない
- 取引士証の交付を受けていない登録者が取引士としてすべき事務を行った場合に消除されるのは、情状が特に重いとき。情状のいかんを問わず、ではない
- 勤務していない事務所の専任の取引士である旨の表示を許した取引士には、その表示がされた都道府県の知事も指示ができる
- 取引士に対する登録消除処分をしても、公告は要らない
- 登録が消除されたときは取引士証を返納し、事務禁止処分のときは提出する。どちらも義務
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