報酬額の掲示ほうしゅうがくのけいじ
宅地建物取引業者が、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通大臣が定めた報酬の額を掲げる義務です(46条4項)。つまり、店に来た客が仲介手数料の上限を自分の目で確かめられるよう、国の定めた額を事務所の壁に掲げておく決まりで、案内所には掛かりません。
不動産会社の店に入ると、壁に「宅地建物取引業者票」と並んで、仲介手数料の上限を書いた紙が貼ってあります。これが報酬額の掲示で、46条4項が、業者に、事務所ごとに公衆の見やすい場所に掲げるよう義務づけています。掲げるのは国土交通大臣が告示で定めた報酬の額で、売買の媒介なら代金を区分して5.5%・4.4%・3.3%を掛ける計算などが書かれています。条文に理由は書いていませんが、客が言われるままの額を払わず、上限を自分で確かめられるようにするためと考えられます。掲げなかった業者は50万円以下の罰金の対象になります(83条1項2号)。

掲げるのは国が定めた上限で、自社の料金表ではありません
46条4項が掲示を求めているのは、46条1項の規定により国土交通大臣が定めた報酬の額、つまり報酬告示の内容です。業者が自分で決めた手数料の額を掲げる義務ではなく、どの業者の事務所でも、掲げる中身は国の定めた上限で同じです。上限を示しておくので、客は請求された手数料がその範囲に収まっているかを、契約の前に自分で確かめられます。
掲げるのは事務所ごとで、案内所には要りません
46条4項は「その事務所ごとに」と定めていて、本店(主たる事務所)にも支店(従たる事務所)にも掲げます。案内所や分譲の現地は事務所ではないので、そこで契約の締結や申込みの受付をする場合でも、報酬の額の掲示は要りません。案内所に掲げるのは50条1項の標識で、標識は契約をしない案内所にも、分譲する宅地建物の所在する場所にも掲げるので、報酬の額の掲示とは掛かる場所の範囲が違います。

事務所には、掲げる物と備え付ける物があります
事務所には、報酬の額のほかに標識を掲げ(50条1項)、従業者名簿(48条3項)と帳簿(49条)を備え付け、専任の宅地建物取引士を置きます(31条の3)。免許証を掲げる義務は法律になく、主たる事務所でも同じです。帳簿には、取引のあったつど、売買金額や報酬の額などを記載します(49条、施行規則18条)。報酬の額は、事務所の壁に上限を掲げ、帳簿に実際に受け取った額を残す、という二つの形で事務所に現れます。
宅地建物取引業法 46条4項宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、第一項の規定により国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。
試験ではこう問われる
- 報酬の額の掲示は事務所ごと。一団の宅地の分譲を行う案内所では、そこで売買の契約の締結を行う場合でも、報酬の額を掲示しなくてよい
- 主たる事務所に掲げるのは標識と国土交通大臣が定めた報酬の額。免許証を掲げる義務はない。従業者名簿と帳簿は事務所ごとに備え付ける
- 帳簿には取引のあったつど報酬の額も記載し、違反すれば指示処分の対象になる
- 標識は、契約の締結も申込みの受付もしない案内所にも掲げる。報酬の額の掲示とは掛かる場所が違う
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