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都市計画法の数字|階層で分けて取り違えを防ぐ

法令上の制限 読了 約37分

都市計画法の数字を、該当性・要否・基準・手続の時間という四つの階層に仕分けて整理します。二つの1ヘクタール、二つの300平方メートル、二つの2週間など、同じ数字が別の場面に出る型を条文根拠つきで切り分けます。

目次

    この記事は、都市計画法に出てくる数字を、丸暗記ではなく「その数字が何を決めているのか」から整理するためのものです。制度そのものの解説は都市計画法の全体像に、開発許可の面積要件という論点そのものは開発許可が必要な面積要件に、建築基準法側の数字は建築基準法の数字にあります。ここでは数字だけを取り出し、階層への仕分けと取り違えの防ぎ方に絞ります。

    結論を先に述べます。都市計画法の数字が覚えられないのは、量が多いからではありません。同じ数字が、まったく別の判断に使われているからです。1ヘクタールは二か所に出ます。300平方メートルも二か所、500平方メートルも二か所、2週間に至っては別の法律にまで出てきます。数字だけを覚えると、それがどの判断のための数字だったのかが抜け落ち、選択肢の中で入れ替えられても気づけません。

    そこで本記事では、数字を数値の大小ではなく、何を決めているかの階層で並べ替えます。階層は四つです。そもそも開発行為に当たるかという該当性、許可や届出が要るかという要否、許可を出してよいかという基準、いつまでに手続をするかという時間。この四つに仕分けたうえで、最後に同じ数字が二度出る型をまとめて潰します。

    なお、宅建試験の出題根拠となる法令は試験を実施する年度の4月1日現在施行されているものです。本記事の条文は、都市計画法については2026年4月1日時点で施行されていた版(令和7年法律第51号による改正後)、都市計画法施行令については2026年4月1日施行の版(令和8年政令第66号による改正後)、国土利用計画法については同じく2026年4月1日時点の版によっています。

    数字は四つの階層に分かれる

    階層を分けないと何が起きるか

    開発許可の場面を例にとります。「市街化調整区域で8,000平方メートルの野球場をつくる」という事案を考えてみてください。

    市街化調整区域には規模による除外がないから許可が必要だ、と考えると誤りです。野球場は施行令1条2項1号により、規模が1ヘクタール以上のものだけが第二種特定工作物になります。8,000平方メートルは1ヘクタール未満ですから第二種特定工作物ではなく、その建設のための土地の区画形質の変更は、法4条12項にいう開発行為に当たりません。開発行為でない以上、許可の要否を論じる場面に入っていないのです。

    ここで起きているのは、該当性の階層で終わっている話を、要否の階層に持ち込んでしまうという混線です。数字を覚えていたかどうかの問題ではありません。1ヘクタールという数字がどの階層のものかを取り違えたことが原因です。

    四つの階層

    第一が該当性の階層です。そもそも都市計画法の許可の対象になる行為なのかを決めます。第二種特定工作物の1ヘクタールがここに属します。

    第二が要否の階層です。対象になる行為だとして、許可や届出が必要かどうかを決めます。開発許可の面積要件がここです。

    第三が基準の階層です。許可が必要だとして、その許可を出してよいかを決めます。法33条の技術基準と、それを受けた施行令25条の数字がここに属します。

    第四が時間の階層です。手続をいつまでに、どれだけの期間行うかを決めます。縦覧の2週間、届出の30日前がここです。

    このほかに、許可を受けたあとの制限の中身を決める数字(法54条3号の階数2以下など)があります。これは第三の階層の派生として扱います。

    階層は判断の順序でもある

    四つの階層は、そのまま判断の順序になっています。該当するか、要るか、通るか、いつまでか。この順に降りていくのが正しい経路で、途中の階層を飛ばすと先ほどの野球場のような誤りが出ます。

    選択肢を読むときも同じです。数字が出てきたら、まずその数字がどの階層のものかを確定させる。階層が違えば、数字が正しくても結論は変わります。制度をまたいだ手続の整理は法令上の制限の横断整理にまとめてあります。

    第一階層 該当性を決める数字

    第二種特定工作物の1ヘクタール

    法4条11項は、特定工作物を二種類に分けています。第一種特定工作物は「コンクリートプラントその他周辺の地域の環境の悪化をもたらすおそれがある工作物で政令で定めるもの」、第二種特定工作物は「ゴルフコースその他大規模な工作物で政令で定めるもの」です。

    これを受けた施行令1条2項が、第二種特定工作物を「次に掲げるもので、その規模が一ヘクタール以上のもの」と定めています。列挙されているのは、1号が野球場、庭球場、陸上競技場、遊園地、動物園その他の運動・レジャー施設である工作物、2号が墓園です。

    したがって、これらは1ヘクタール以上のものだけが第二種特定工作物であり、1ヘクタール未満なら特定工作物ではありません。特定工作物でなければ、その建設のための区画形質の変更は開発行為に当たらず(法4条12項)、開発許可の話が始まりません。

    ゴルフコースだけが面積を問われない

    ここに例外があります。ゴルフコースは法4条11項の本文に直接書かれています。「ゴルフコースその他大規模な工作物で政令で定めるもの」という書き方は、ゴルフコースを法律自身が第二種特定工作物として名指ししたうえで、それ以外を政令に委ねる構造です。

    施行令1条2項の1ヘクタール要件は、政令が定めた「その他」の部分にかかります。ゴルフコースは政令の列挙に入っていないので、1ヘクタール要件の適用を受けません。規模の大小を問わず第二種特定工作物です。

    野球場や庭球場は1ヘクタール以上のものだけ、ゴルフコースは面積不問。この非対称が肢の作り分けに使われます。造成の規模が構造的に大きく地形の改変や排水への影響が避けられないため規模で切り分けない、という理解で覚えると崩れません。

    第一種特定工作物にも面積要件はない

    施行令1条1項が挙げる第一種特定工作物は、アスファルトプラント、クラッシャープラント、そして危険物の貯蔵または処理に供する工作物です。ここにも面積の要件はありません。コンクリートプラントは法4条11項が直接名指ししています。

    特定工作物のうち面積要件があるのは、第二種特定工作物の政令列挙分だけです。この一点に絞って覚えてください。特定工作物の分類そのものは宅建の開発許可制度で扱っています。

    開発行為から外れる小さな数字

    施行令22条は、法29条1項11号の「通常の管理行為、軽易な行為その他の行為」を列挙しており、ここにも数字が出ます。

    3号は、建築物の増築または特定工作物の増設で、増築に係る床面積の合計または増設に係る築造面積が10平方メートル以内であるものです。5号は、建築物の改築で改築に係る床面積の合計が10平方メートル以内であるものです。

    6号は少し複雑です。市街化調整区域内に居住している者が、その周辺の市街化調整区域内で日常生活のために必要な物品の販売、加工、修理等の業務を営む店舗等を新築する場合で、その建築物の延べ面積が50平方メートル以内、開発行為の規模が100平方メートル以内であるものが対象です。しかも業務の用に供する部分の延べ面積が全体の50パーセント以上であることと、当該居住者が自ら業務を営むために行うことが条件になっています。

    これらは条文上は29条1項11号の適用除外なので、正確には要否の階層に属します。ただし数字が小さく、実質的に「そもそも問題にならない規模」を切り出すものなので、該当性の感覚で押さえておくと事案処理が速くなります。適用除外の全体像は開発許可が不要な場合にあります。

    農林漁業用建築物の90平方メートル

    もうひとつ、施行令20条5号に建築面積が90平方メートル以内という数字があります。これは法29条1項2号・2項1号の「農業、林業若しくは漁業の用に供する政令で定める建築物」の受け皿で、1号から4号までに挙げられた畜舎・蚕室・温室・堆肥舎などに当たらないものでも、建築面積90平方メートル以内なら対象になるという規定です。

    農林漁業の例外が使えるのは市街化調整区域、区域区分が定められていない都市計画区域、準都市計画区域、および都市計画区域外であり、市街化区域では使えません。29条1項2号が市街化区域を挙げていないためです。

    この節の要点

    • 第二種特定工作物は1ヘクタール以上。ただしゴルフコースは法4条11項が直接定めており面積不問。
    • 第一種特定工作物に面積要件はない。
    • 施行令22条の10平方メートル、50平方メートル・100平方メートルは、規模が小さいことによる除外。
    • 施行令20条5号の建築面積90平方メートルは農林漁業用建築物の受け皿。

    第二階層 許可の要否を決める数字

    条文の構造を先に押さえる

    法29条1項は、都市計画区域または準都市計画区域内で開発行為をしようとする者に知事の許可を義務づけ、そのうえで1号から11号までの例外を並べています。面積の話は1号です。

    1号が除外しているのは「市街化区域、区域区分が定められていない都市計画区域又は準都市計画区域内において行う開発行為で、その規模が、それぞれの区域の区分に応じて政令で定める規模未満であるもの」です。

    法29条2項は別立てで、都市計画区域および準都市計画区域の区域について、政令で定める規模以上の開発行為に許可を求めています。

    つまり、1項1号と2項で条文が分かれており、規模の政令も別々です。1項1号が施行令19条、2項が施行令22条の2です。

    市街化区域は1,000平方メートル

    施行令19条1項の表は、市街化区域について千平方メートルと定めています。1,000平方メートル以上で許可が必要、1,000平方メートル未満なら1号により不要です。

    境界に注意してください。条文が除外しているのは「政令で定める規模未満であるもの」ですから、ちょうど1,000平方メートルは除外されず、許可が必要です。「1,000平方メートルを超える場合に許可が必要」と書いた肢は、この境界をずらしています。

    非線引き都市計画区域と準都市計画区域は3,000平方メートル

    同じ表が、区域区分が定められていない都市計画区域および準都市計画区域について三千平方メートルと定めています。この二つは面積要件に関して完全に同じ扱いです。

    準都市計画区域は法29条1項の対象である点を、条文で確認しておいてください。1項の柱書が「都市計画区域又は準都市計画区域内において」と明記しています。準都市計画区域を都市計画区域外と扱って2項の1ヘクタールを当てはめるのは誤りです。区域の性格は非線引き都市計画区域とはにまとめてあります。

    市街化調整区域には数字がない

    29条1項1号が挙げているのは市街化区域、非線引き都市計画区域、準都市計画区域の三つで、市街化調整区域が書かれていません。

    条文に書かれていない以上、市街化調整区域には規模による除外の入口が存在しません。面積の大小にかかわらず、開発行為であれば原則として許可が必要です。これは「面積要件がない」のであって「規制がない」のではなく、四つの区域の中で最も厳しい扱いです。市街化調整区域そのものの規制は市街化調整区域の規制で扱っています。

    なぜ数字がないのかは、7条3項が市街化調整区域を「市街化を抑制すべき区域」と定義していることから導けます。抑制すべき区域について「この規模までなら自由でよい」という枠を置くのは、区域の目的と矛盾するからです。

    都市計画区域および準都市計画区域外は1ヘクタール

    法29条2項の規模は、施行令22条の2が一ヘクタールと定めています。10,000平方メートル以上の開発行為に許可が必要です。

    この数字が四つの中で最も大きいのは、都市計画によるコントロールが及ばない場所で、それでも無視できない規模の開発だけを捕捉するラインだからです。

    三大都市圏の一定区域は500平方メートル

    見落とされやすいのが施行令19条2項です。都の区域(特別区の存する区域に限る)および、市町村でその区域の全部または一部が次の区域内にあるものの区域について、1項の表の市街化区域の項にいう「千平方メートル」を「五百平方メートル」と読み替えます。

    対象となる区域は三つです。首都圏整備法2条3項の既成市街地または同条4項の近郊整備地帯、近畿圏整備法2条3項の既成都市区域または同条4項の近郊整備区域、そして中部圏開発整備法2条3項の都市整備区域です。

    条文の書き方を正確に読んでください。読み替えの単位は市町村の区域であって、三大都市圏そのものではありません。市町村の区域の一部でも上記の区域に入っていれば、その市町村の区域全体について読み替えが働きます。そして読み替えの対象は表の市街化区域の項だけですから、非線引き都市計画区域や準都市計画区域の3,000平方メートルには及びません。

    条例による引下げは二つの区域にある

    施行令19条1項にはただし書があり、都道府県(指定都市等または事務処理市町村の区域内ではその長)は、条例で、区域を限り、表の第四欄の範囲内で規模を別に定めることができます。

    第四欄の範囲は区域によって違います。市街化区域については300平方メートル以上1,000平方メートル未満、区域区分が定められていない都市計画区域および準都市計画区域については300平方メートル以上3,000平方メートル未満です。

    押さえるべき点が三つあります。第一に、引下げができるのは市街化区域だけではなく、非線引き都市計画区域と準都市計画区域にもあること。第二に、どちらも下限は300平方メートルで共通していること。第三に、無条件ではなく、市街化区域については「市街化の状況により、無秩序な市街化を防止するため特に必要があると認められる場合」、非線引き等については「市街化の状況等により特に必要があると認められる場合」という要件が付き、かつ「区域を限り」定めるものだということです。市町村の全域を一律に引き下げる規定ではありません。

    なお、この仕組みは引下げのみで、引上げはできません。

    数字は規制の必要度の順に並ぶ

    四つの数字を並べると、市街化調整区域(基準なし)、市街化区域(1,000、三大都市圏の一定区域では500)、非線引き都市計画区域および準都市計画区域(3,000)、区域外(10,000)となります。市街化調整区域をゼロと置けば、0・1,000・3,000・10,000という一本の階段になり、その順序は行政がその区域の土地利用にどれだけ関与したいかの順序と一致します。面積要件を論点として深掘りする場合は開発許可が必要な面積要件を参照してください。

    この節の要点

    • 1項1号が施行令19条(1,000と3,000)、2項が施行令22条の2(1ヘクタール)。条文が分かれている。
    • 市街化調整区域は1項1号に列挙されておらず、規模による除外がない。
    • 500平方メートルへの読み替えは市街化区域の項だけ。単位は市町村の区域。
    • 条例引下げは市街化区域と非線引き・準都市の両方にあり、下限はどちらも300平方メートル。

    第三階層 許可の基準を決める数字

    33条は「しなければならない」

    法33条1項は、申請に係る開発行為が同項各号の基準に適合し、申請の手続が違反していないと認めるときは、知事は「開発許可をしなければならない」と定めています。裁量で拒否できる仕組みではありません。基準を満たせば許可が出る羈束的な建付けであることが、この階層の前提です。

    技術的細目は施行令25条以下にあり、ここから数字が出ます。要否の階層をクリアした後の話なので、混ぜないでください。

    道路の幅員は二種類ある

    施行令25条2号は、予定建築物等の用途や敷地の規模等に応じて、6メートル以上12メートル以下で国土交通省令が定める幅員(小区間で通行上支障がない場合は4メートル)以上の道路が、予定建築物等の敷地に接するように配置されていることを求めています。これは敷地に接する道路の話です。

    施行令25条4号は別の話で、開発区域内の主要な道路が、開発区域外の幅員9メートル(主として住宅の建築の用に供する目的で行う開発行為にあっては6.5メートル)以上の道路に接続していることを求めています。こちらは区域外の道路への接続です。

    この二つは混同されやすい組み合わせです。6メートル以上12メートル以下は区域内で敷地に接する道路、9メートルまたは6.5メートルは区域外の接続先。住宅の場合に緩くなるのは接続先のほう(9メートルが6.5メートルになる)である点まで押さえてください。

    さらに25条5号は、開発区域内の幅員9メートル以上の道路について歩車道の分離を求めています。ここでも9メートルが出ますが、こちらは区域内の道路の構造の話です。

    公園は面積区分で二段階

    施行令25条6号は、開発区域の面積が0.3ヘクタール以上5ヘクタール未満の開発行為について、開発区域に、面積の合計が開発区域の面積の3パーセント以上の公園、緑地または広場が設けられていることを求めています。ただし、周辺に相当規模の公園等が存する場合や、予定建築物等の用途が住宅以外でその敷地が一である場合などには適用されません。

    7号は5ヘクタール以上の開発行為についての規定で、面積が一箇所300平方メートル以上であり、かつその合計が開発区域の面積の3パーセント以上の公園(予定建築物等の用途が住宅以外の場合は公園、緑地または広場)を求めています。

    3パーセントという割合は共通ですが、5ヘクタール以上になると「一箇所300平方メートル以上」という最低単位が加わります。小さな公園を分散させて数字だけ合わせることを防ぐ趣旨です。0.3ヘクタール未満の開発行為には、この基準自体がかかりません。

    20ヘクタールが二か所に出る

    施行令25条3号は、市街化調整区域における開発区域の面積が20ヘクタール以上の開発行為について、予定建築物等の敷地から250メートル以内の距離に幅員12メートル以上の道路が設けられていることを求めています。

    一方、施行令23条は、開発区域の面積が20ヘクタール以上の開発行為について開発許可を申請しようとする者に、あらかじめ一定の者と協議することを義務づけています。協議の相手は、義務教育施設の設置義務者、水道事業者、一般送配電事業者・配電事業者・一般ガス導管事業者、鉄道事業者・軌道経営者です。ただし開発区域の面積が40ヘクタール未満の場合は、後ろの二つ(電気・ガス、鉄道・軌道)が外れます。

    同じ20ヘクタールでも、25条3号は道路に関する技術基準、23条は申請前の協議義務です。40ヘクタールという数字は協議の相手方の範囲だけに出てきます。

    用途地域がない区域の建蔽率等

    法41条1項は、用途地域の定められていない土地の区域における開発行為について開発許可をする場合に、知事が必要と認めるときは、建築物の建蔽率、高さ、壁面の位置その他の制限を定めることができるとしています。

    ここには数字が書かれていません。具体的な数値は個別の処分で定まるため、条文から数字を覚える対象ではないという点が、むしろ試験上の要点です。「用途地域のない区域では建蔽率が何パーセントに制限される」といった数字を示す肢があれば、その時点で条文の建付けと合いません。用途地域そのものの数値は用途地域とはを参照してください。

    この節の要点

    • 33条1項は「許可をしなければならない」。基準は羈束的。
    • 道路は、敷地に接するものが6メートル以上12メートル以下(小区間4メートル)、区域外の接続先が9メートル(住宅は6.5メートル)。
    • 公園は0.3ヘクタール以上5ヘクタール未満で3パーセント、5ヘクタール以上で一箇所300平方メートル以上かつ3パーセント。
    • 20ヘクタールは技術基準(25条3号)と協議義務(23条)の二か所。40ヘクタールは協議相手の範囲。

    第四階層 手続の時間を決める数字

    都市計画の案の縦覧は2週間

    法17条1項は、都道府県または市町村が都市計画を決定しようとするときは、あらかじめその旨を公告し、都市計画の案を、決定しようとする理由を記載した書面を添えて、公告の日から二週間公衆の縦覧に供しなければならないと定めています。義務であり、任意ではありません。

    17条2項により、関係市町村の住民および利害関係人は、縦覧期間満了の日までに意見書を提出することができます。提出できるのが住民に限られない点が狙われます。区域外に住んでいても、利害関係があれば提出できます。

    期限は「縦覧期間満了の日まで」であって、公告の日から2週間という期間の中に収まります。決定手続の全体は都市計画の種類と決定手続きにまとめてあります。

    地区計画は着手の30日前までに届出

    法58条の2第1項は、地区計画の区域(再開発等促進区もしくは開発整備促進区、または地区整備計画が定められている区域に限る)内において、土地の区画形質の変更、建築物の建築その他政令で定める行為を行おうとする者は、当該行為に着手する日の三十日前までに、行為の種類、場所、設計または施行方法、着手予定日その他の事項を市町村長に届け出なければならないと定めています。

    ここには三つの論点が同時に埋まっています。第一に、30日前までという期限。第二に、届出先が都道府県知事ではなく市町村長であること。第三に、これが許可ではなく届出であることです。

    そして58条の2第3項により、市町村長は、届出に係る行為が地区計画に適合しないと認めるときは、設計の変更その他の必要な措置をとることを勧告することができます。できるのは勧告までで、命令はできません。届け出れば行為はできるのが原則です。

    58条の2第2項も押さえてください。届出をした者が、届出事項のうち省令で定める事項を変更しようとするときは、変更に係る行為に着手する日の30日前までに、あらためて届け出なければなりません。30日前という数字は、当初の届出だけでなく変更の届出にも及びます。

    なお1項5号により、法29条1項の許可を要する行為は、この届出の対象から外れます。開発許可の手続に乗るなら、重ねて届出をさせる必要がないからです。地区計画の制度そのものは地区計画とはで扱っています。

    計画提案は0.5ヘクタールと3分の2

    法21条の2第1項は、都市計画区域または準都市計画区域のうち、一体として整備し、開発し、または保全すべき土地の区域としてふさわしい政令で定める規模以上の一団の土地の区域について、土地所有者等が都道府県または市町村に都市計画の決定または変更を提案できるとしています。

    この政令で定める規模は、施行令15条により0.5ヘクタールです。ただし同条ただし書により、都道府県または市町村は、条例で、区域または計画提案に係る都市計画の種類を限り、0.1ヘクタール以上0.5ヘクタール未満の範囲で別に定めることができます。ここでも引下げの余地がある点は、開発許可の面積要件と同じ発想です。

    同意要件は法21条の2第4項2号にあります。素案の対象となる土地の区域内の土地所有者等の3分の2以上の同意が必要で、かつ、同意した者が所有する土地の地積と、同意した者が有する借地権の目的となっている土地の地積の合計が、その区域内の土地の総地積と借地権の目的となっている土地の総地積との合計の3分の2以上となることが求められます。

    人数と地積の両方で3分の2以上という二重の要件です。どちらか一方では足りません。

    国土利用計画法の事後届出は契約から2週間以内

    都市計画法ではありませんが、時間の階層で必ず対になるのがこれです。国土利用計画法23条1項は、土地売買等の契約を締結した場合、権利取得者が、その契約を締結した日から起算して二週間以内に、当該土地が所在する市町村の長を経由して都道府県知事に届け出なければならないと定めています。

    論点が三つ重なっています。届出義務者は譲渡人ではなく権利取得者であること。起算点は契約締結日であること。そして経由先が市町村長で、届出先は都道府県知事であることです。制度の全体像は国土利用計画法にあります。

    この節の要点

    • 縦覧は公告の日から2週間(17条1項)。意見書は住民および利害関係人が縦覧期間満了の日まで。
    • 地区計画は着手の30日前までに市町村長へ届出(58条の2第1項)。変更も30日前。勧告どまり。開発許可を要する行為は届出不要。
    • 計画提案は0.5ヘクタール(施行令15条。条例で0.1ヘクタール以上0.5ヘクタール未満に引下げ可)と、人数・地積の各3分の2以上。
    • 国土法の事後届出は契約締結日から2週間以内、市町村長経由で知事へ。

    制限の中身を決める数字

    54条3号の階数2以下・地階なし

    都市計画施設の区域または市街地開発事業の施行区域内で建築物の建築をしようとする者は、知事等の許可を受けなければなりません(法53条1項)。ここまでが要否の話です。

    その許可を出すかどうかの基準が法54条で、条文は「次の各号のいずれかに該当するときは、その許可をしなければならない」という形をとっています。3号が数字を含む号で、当該建築物が次の要件に該当し、かつ容易に移転し、または除却することができると認められることを求めています。

    イが「階数が二以下で、かつ、地階を有しないこと」、ロが「主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造であること」です。

    三点を押さえてください。第一に、根拠条文は53条ではなく54条3号です。53条は許可を要することを定める条文、54条は許可の基準を定める条文で、役割が違います。第二に、「階数が2以下」と「地階を有しない」は両方必要で、しかもロの構造要件と「容易に移転し、又は除却することができる」という要件も重ねて満たす必要があります。第三に、要件を満たせば知事等は許可をしなければならないという羈束です。都市計画制限の段階構造は都市計画制限にまとめています。

    42条は数字ではなく時点で決まる

    法42条1項は、開発許可を受けた開発区域内において、法36条3項の公告があった後は、当該開発許可に係る予定建築物等以外の建築物または特定工作物を新築・新設してはならず、建築物を改築しまたは用途を変更して予定建築物以外の建築物としてはならないと定めています。

    ただし書に例外が二つあります。知事が当該開発区域における利便の増進上もしくは環境の保全上支障がないと認めて許可したとき、または、当該開発区域内の土地について用途地域等が定められているときです。用途地域等が定められていれば、建築基準法側の用途規制が働くため、都市計画法で重ねて縛る必要がないという理屈です。

    この条文に数字はありません。基準になっているのは工事完了公告という時点です。数字を探して読むと空振りする条文であり、「公告の前か後か」で場面が変わるという構造そのものが問われます。公告前後の規律は宅建の開発許可制度で扱っています。

    市街化区域のおおむね10年

    法7条2項は、市街化区域を「すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」と定義しています。同条3項が市街化調整区域を「市街化を抑制すべき区域」と定義しているのと対になります。

    この10年は、手続の期限でも規制の閾値でもなく、区域の定義に含まれる時間の枠です。四つの階層のどれにも属さない、性格の違う数字だと整理しておくと混ざりません。そして前述のとおり、市街化調整区域の定義に時間の枠がないことが、そこに面積要件がないことの説明にもなっています。

    なお法7条1項ただし書は、区域区分を定めるものとする都市計画区域を列挙しています。首都圏整備法の既成市街地・近郊整備地帯、近畿圏整備法の既成都市区域・近郊整備区域、中部圏開発整備法の都市整備区域のいずれかを含む都市計画区域と、そのほか大都市に係る都市計画区域として政令で定めるものです。ここに出てくる区域名は、施行令19条2項の500平方メートルの対象区域と重なっています。同じ三つの圏域の指定が、区域区分の義務づけと開発許可の面積の両方に顔を出すという構造を、一度見ておいてください。

    同じ数字が二度出る型

    ここが本記事の中心です。都市計画法の数字を取り違える最大の原因は、同じ数値が別の階層に登場することにあります。対にして潰します。

    二つの1ヘクタール

    一つ目は、施行令1条2項の第二種特定工作物の規模です。野球場や墓園などが1ヘクタール以上のときに第二種特定工作物となり、その建設のための区画形質の変更が開発行為になります。該当性の階層です。

    二つ目は、施行令22条の2が定める法29条2項の規模です。都市計画区域および準都市計画区域外で、開発区域の面積が1ヘクタール以上のときに許可が必要になります。要否の階層です。

    判別の合図は語です。野球場、庭球場、陸上競技場、遊園地、動物園、墓園という語が出てきたら該当性の1ヘクタール。区域外という語が出てきたら要否の1ヘクタール。この切り替えを反射でできるようにしてください。

    両方が同時に問題になる事案もあります。区域外で1.5ヘクタールの野球場をつくる場合、まず1ヘクタール以上なので第二種特定工作物に当たり(該当性を通過)、次に区域外で1ヘクタール以上なので許可が必要(要否も通過)となります。逆に区域外で0.8ヘクタールの野球場なら、該当性の段階で落ちるので、要否を検討するまでもありません。

    二つの300平方メートル

    一つ目は、施行令19条1項ただし書・第四欄の条例による引下げの下限です。市街化区域なら300平方メートル以上1,000平方メートル未満、非線引き都市計画区域および準都市計画区域なら300平方メートル以上3,000平方メートル未満の範囲で、条例が規模を別に定められます。要否の階層です。

    二つ目は、施行令25条7号の公園の一箇所あたりの最低面積です。開発区域の面積が5ヘクタール以上の開発行為では、面積が一箇所300平方メートル以上であり、かつ合計が開発区域の面積の3パーセント以上の公園が必要になります。基準の階層です。

    前者は「許可が要るかどうかの線を条例でどこまで下げられるか」、後者は「許可を出すために公園をどう配置させるか」。まったく別の話です。

    二つの500平方メートル

    一つ目は、施行令19条2項の読み替えです。三大都市圏の指定区域を含む市町村の区域について、市街化区域の1,000平方メートルを500平方メートルと読みます。境界の語は「以上」です。

    二つ目は、都市計画法ではなく宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)に出てくる500平方メートルです。2023年5月26日に旧・宅地造成等規制法から改組された法律で、規制区域内で許可が必要となる工事の規模の一つとして500平方メートルが使われています。こちらは境界の語が「超える」で、そもそも別の法律の別の判断です。盛土規制法の規制内容は盛土規制法、開発許可の数字との切り分けは開発許可が必要な面積要件で扱っています。

    同じ500でも、法律が違い、境界の向きも違います。「以上」と「超える」の区別は法令上の制限全体に共通する弱点なので、数字を思い出すたびに境界の向きを口に出す癖をつけてください。境界の語の扱いは法令上の制限の暗記法にまとめています。

    二つの2週間

    一つ目は、法17条1項の都市計画の案の縦覧期間です。公告の日から二週間、公衆の縦覧に供します。これは行政の側が課される義務で、期間を定めるものです。

    二つ目は、国土利用計画法23条1項の事後届出の期限です。土地売買等の契約を締結した日から起算して二週間以内に、権利取得者が届け出ます。これは私人の側が課される義務で、期限を定めるものです。

    期間と期限の違いに注目してください。縦覧の2週間は「その間ずっと見られる状態にしておく」という長さ、事後届出の2週間は「それまでに出せ」という締切です。同じ2週間でも、誰が何を守るのかがまったく違います。

    二つの20ヘクタール

    一つ目は、施行令25条3号の技術基準です。市街化調整区域における開発区域の面積が20ヘクタール以上の開発行為では、予定建築物等の敷地から250メートル以内に幅員12メートル以上の道路が設けられている必要があります。

    二つ目は、施行令23条の協議義務です。開発区域の面積が20ヘクタール以上の開発行為について許可を申請しようとする者は、あらかじめ義務教育施設の設置義務者や水道事業者などと協議しなければなりません。

    前者は市街化調整区域に限った基準、後者は区域を問わない申請前の手続です。市街化調整区域という限定が付くのは25条3号のほうだけという点が識別点になります。そして40ヘクタールという数字は、協議相手の範囲(40ヘクタール未満なら電気・ガス事業者と鉄道事業者等が外れる)にだけ出てきます。

    二つの9メートル

    施行令25条4号は、開発区域内の主要な道路が、開発区域の幅員9メートル以上の道路に接続することを求めています。主として住宅の建築のための開発行為ならこれが6.5メートルに緩みます。

    施行令25条5号は、開発区域の幅員9メートル以上の道路について、歩車道が分離されていることを求めています。

    一方は接続先の道路の幅員、他方は区域内の道路の構造。住宅の場合に6.5メートルへ緩むのは4号だけで、5号に緩和はありません。

    二つの10平方メートル

    施行令22条3号が建築物の増築または特定工作物の増設について、5号が建築物の改築について、それぞれ10平方メートル以内であれば開発許可を不要としています。同じ数字ですが、対象となる行為が増築・増設と改築で分かれています。

    3分の2は一つの条文の中で二回

    法21条の2第4項2号の同意要件は、土地所有者等の3分の2以上という人数の要件と、同意した者に係る地積の合計が総地積の3分の2以上という面積の要件を、両方求めています。同じ割合が一つの号の中で二度使われる形です。どちらか一方では足りません。

    この節の要点

    • 1ヘクタール=第二種特定工作物(該当性)と区域外の規模(要否)。
    • 300平方メートル=条例引下げの下限(要否)と公園の一箇所最低面積(基準)。
    • 500平方メートル=三大都市圏の読み替え(以上)と盛土規制法(超える、別法律)。
    • 2週間=縦覧の期間と、国土法の事後届出の期限。
    • 20ヘクタール=市街化調整区域の道路基準と、区域を問わない協議義務。

    似た数字を持つ別制度との切り分け

    国土利用計画法の届出面積

    面積の数字で最も混同しやすいのが、国土利用計画法の事後届出です。同法23条2項1号は、届出が不要となる面積を、イが市街化区域について2,000平方メートル、ロが都市計画区域(市街化区域を除く)について5,000平方メートル、ハがそれ以外の区域について1万平方メートルと定めています。条文は「これらの面積未満の土地について契約を締結した場合」に適用しないという書き方なので、裏返せばこれらの面積以上で届出が必要ということになります。

    開発許可が1,000・3,000・10,000であるのに対し、国土法は2,000・5,000・10,000です。どちらも市街化区域が最も小さく、区域外が1万平方メートルという点まで似ています。

    決定的な違いは市街化調整区域

    二つの制度で扱いが逆転するのが市街化調整区域です。

    開発許可では、市街化調整区域は法29条1項1号に列挙されていないため面積要件がありません。ところが国土法では、市街化調整区域は23条2項1号ロの「都市計画区域(市街化区域を除く)」に含まれ、5,000平方メートルという基準がしっかり働きます。

    「市街化調整区域は面積要件なし」と反射的に答えると、国土法の問題で必ず誤ります。数字を思い出す前に、どちらの制度の話かを確定させるという手順を固定してください。国土法側の詳細は国土利用計画法にあります。

    一致するのは1万平方メートルだけ

    二つの制度で数字が一致するのは、区域外の1万平方メートルだけです。これを足がかりにすると整理しやすくなります。区域外は両方とも1万、それ以外は国土法のほうが大きい(市街化区域で2倍、都市計画区域で国土法5,000対開発許可3,000)と覚えれば、入れ替えの肢に気づけます。

    届出先と義務者も違う

    数字だけでなく、手続の相手も違います。開発許可は都道府県知事(指定都市等の区域内では当該指定都市等の長)に対する許可の申請で、申請するのは開発行為をしようとする者です。国土法の事後届出は、市町村長を経由して都道府県知事に対して行う届出で、義務者は権利取得者です。地区計画は市町村長に対する届出でした。

    許可か届出か、誰に出すか、誰が出すか。この三つを制度ごとに揃えて確認する作業は法令上の制限の横断整理にまとめてあります。

    法令の基準日と、この記事の数字

    4月1日時点で施行されている条文が出題される

    宅建試験は、その年度の4月1日現在施行されている法令にもとづいて出題されます。この一線が、数字を扱ううえで実務的な意味を持ちます。4月2日以降に施行された改正は、その年の試験には出ません。

    都市計画法はこの点で注意が必要な法律です。令和8年法律第23号(都市再生特別措置法等の一部を改正する法律)による改正が2026年5月27日に施行されており、建築基準法と土地区画整理法も同じ改正法で同日に施行されています。5月27日は4月1日より後ですから、この改正は令和8年度試験の出題範囲に入りません。

    したがって、令和8年度を受験する人にとっての正しい条文は、2026年4月1日時点で施行されていた版です。本記事の都市計画法の条文はこの版によっており、施行令については2026年4月1日施行の版(令和8年政令第66号による改正後)、国土利用計画法についても同じく2026年4月1日時点の版によっています。本記事で扱った数字は、この改正によって動いていません。

    この確認を自分でできるようにしておく

    ここで覚えてほしいのは個々の施行日ではなく、確認の手順のほうです。

    第一に、教材や記事が対応している年度を確認します。第二に、その年度の4月1日を基準に、それより後に施行された改正が含まれていないかを見ます。第三に、疑わしい箇所はe-Gov法令検索で条文にあたります。e-Gov法令検索では施行日を指定して条文を表示できるので、「4月1日時点でどうだったか」を自分で確かめられます。

    改正が続いている時期には、最新の条文がその年の正解とは限らないという逆転が起こります。新しい情報を取ってきたのに誤答する、という事故はここで起きます。数字を扱う記事ほど、条文の版を意識してください。教材の対応年度をどう判断するかは宅建テキストの選び方にまとめています。

    試験での出題ポイント

    階層をまたいで数字を入れ替える

    最も多い型が、正しい数字を別の階層に置く肢です。「市街化調整区域における開発区域の面積が1ヘクタール以上の開発行為には許可が必要である」という肢は、1ヘクタールという数字自体は条文に存在しますが、それは区域外の要否の数字であって市街化調整区域の話ではありません。数字を見た瞬間に、その数字が属する階層を確認してください。

    境界の語をずらす

    「1,000平方メートルを超える開発行為」「3,000平方メートルより大きい開発行為」のように、以上を超えるに置き換える型です。法29条1項1号が除外しているのは「政令で定める規模未満であるもの」なので、ちょうどその数字のときは許可が必要になります。

    条例による引下げの範囲をずらす

    条例引下げは論点が三つに分かれます。引下げの対象区域(市街化区域だけでなく非線引き・準都市計画区域にもある)、下限(どちらも300平方メートル)、そして方向(引下げのみで引上げはできない)。「条例で1,000平方メートルを1,500平方メートルに引き上げることができる」という肢は、方向で誤りです。

    許可と届出、相手方をすり替える

    地区計画は「着手する日の30日前までに市町村長に届出」です。ここを「都道府県知事の許可」に置き換える肢が定番になります。誤りが二つ同時に埋め込まれる型なので、届出か許可か、誰に対してか、を分けて確認してください。市町村長にできるのは勧告までで、命令はできない点も同じ文脈で問われます。

    「しなければならない」を「できる」に変える

    法33条1項の開発許可も、法54条の建築許可も、条文は「許可をしなければならない」です。基準を満たせば許可される羈束的な建付けを、「許可することができる」という裁量の形に書き換える肢に注意してください。数字とは別に、語尾が論点になります。

    数字のない条文に数字を持ち込む

    法41条1項は、用途地域の定められていない区域における開発許可に際して知事が建蔽率等を定められるとするだけで、具体的な数値を置いていません。法42条1項も、基準は工事完了公告という時点であって数字ではありません。数字が書かれていない条文に数字を足す肢は、条文の建付けを知っていれば即断できます。

    人数と面積の両方を要求する要件

    計画提案の同意は、人数と地積の両方で3分の2以上です。「土地所有者等の3分の2以上の同意があれば提案できる」とだけ書かれた肢は、地積の要件を落としています。

    覚え方・整理の仕方

    数字を書く前に階層を書く

    紙に数字を書き出すとき、数字の左側に階層の名前を先に書いてください。該当性、要否、基準、時間の四つです。この一手間があるだけで、後から見返したときに数字の意味が復元できます。数字だけを並べた表を作ると、作った本人でさえ二週間後には階層を思い出せません。

    対で覚える

    単独で覚えると入れ替えに弱くなります。前述の対をそのまま暗記単位にしてください。1ヘクタールは二つ、300平方メートルは二つ、500平方メートルは二つ、2週間は二つ、20ヘクタールは二つ、9メートルは二つ。「この数字はもう一つある」と身構えること自体が防御になります。

    区域は階段で持つ

    開発許可の面積要件は、市街化調整区域(なし)、市街化区域(1,000。三大都市圏の一定区域は500)、非線引き都市計画区域・準都市計画区域(3,000)、区域外(10,000)という階段です。0・1,000・3,000・10,000と並べ、その順序が「行政がその区域にどれだけ関与したいか」の順序と一致していることまでを一組で覚えます。数字を忘れても、区域の性格から順序を復元できます。

    国土法は「倍にして、調整区域だけ逆」

    開発許可の1,000・3,000・10,000に対して国土法は2,000・5,000・10,000。市街化区域はちょうど倍、区域外は同じ。そして市街化調整区域だけが逆転する(開発許可は要件なし、国土法は5,000)。この三点セットで持つと、混同が起きにくくなります。

    語尾と相手方を数字にくっつける

    30日前という数字を覚えるときは、単独では覚えず「30日前・市町村長・届出・勧告どまり」と四つ続けて口に出します。2週間も「縦覧・公告の日から・住民および利害関係人」と続けます。数字だけを取り出すと、試験でずらされる余地が残ります。

    条文番号を数字に添える

    面積要件は法29条1項1号と施行令19条、区域外は法29条2項と施行令22条の2、第二種特定工作物は法4条11項と施行令1条2項、縦覧は法17条1項、地区計画は法58条の2第1項、建築許可の基準は法54条3号。条番号まで一組にしておくと、疑問が出たときに自分で条文にあたれます。条文にあたれるかどうかが、改正のあった年に効いてきます。法令上の制限全体の頻出論点は法令上の制限の頻出論点にまとめてあります。

    理解度チェッククイズ

    次の記述の正誤を判定してください。

    問1. 市街化調整区域内において、開発区域の面積が800平方メートルの土地で野球場を建設する目的で行う土地の区画形質の変更は、市街化調整区域には開発許可の面積要件がないため、開発許可が必要である。

    答えを見る 答えは誤りです。判断の階層を一つ飛ばしています。野球場は施行令1条2項1号により、その規模が1ヘクタール以上のもののみが第二種特定工作物とされます。800平方メートルは1ヘクタール未満ですから第二種特定工作物に当たらず、その建設のための土地の区画形質の変更は法4条12項にいう開発行為に該当しません。開発行為でない以上、許可の要否を論じる段階に入りません。市街化調整区域に面積要件がないことは正しいのですが、それは開発行為に当たることを前提にした話です。なお、ゴルフコースであれば法4条11項が直接定めているため面積を問わず第二種特定工作物となり、結論が変わります。

    問2. 都市計画法施行令の定める開発許可の面積要件は、市街化区域については条例で300平方メートルまで引き下げることができるが、区域区分が定められていない都市計画区域については引下げの制度がない。

    答えを見る 答えは誤りです。施行令19条1項ただし書は、市街化区域と、区域区分が定められていない都市計画区域および準都市計画区域の**両方**について、条例で区域を限り規模を別に定めることを認めています。第四欄が定める範囲は、市街化区域が300平方メートル以上1,000平方メートル未満、区域区分が定められていない都市計画区域および準都市計画区域が300平方メートル以上3,000平方メートル未満です。下限が300平方メートルである点は共通ですが、引下げができるのが市街化区域だけだという記述は誤りです。なお、この制度は引下げのみを認めるもので、引上げはできません。

    問3. 地区整備計画が定められている区域内において建築物の建築をしようとする者は、当該行為に着手する日の30日前までに、都道府県知事の許可を受けなければならない。

    答えを見る 答えは誤りです。誤りが二つあります。第一に、相手方は都道府県知事ではなく**市町村長**です。第二に、これは許可ではなく**届出**です。法58条の2第1項は、地区計画の区域内で土地の区画形質の変更、建築物の建築その他政令で定める行為を行おうとする者は、着手する日の30日前までに市町村長に届け出なければならないと定めています。30日前という期間は正しい記述です。市町村長は、届出に係る行為が地区計画に適合しないと認めるときは設計の変更その他の必要な措置をとることを勧告できますが(同条3項)、命令はできません。なお、法29条1項の許可を要する行為は、同条1項5号によりこの届出の対象から外れます。

    問4. 市街化調整区域内の6,000平方メートルの土地について売買契約を締結した場合、市街化調整区域には面積の基準がないため、国土利用計画法上の事後届出は不要である。

    答えを見る 答えは誤りです。二つの制度を混同しています。「市街化調整区域に面積要件がない」のは都市計画法の開発許可の話であって、国土利用計画法には当てはまりません。国土利用計画法23条2項1号ロは、市街化区域を除く都市計画区域について5,000平方メートルという基準を定めており、市街化調整区域はこの「市街化区域を除く都市計画区域」に含まれます。6,000平方メートルは5,000平方メートル以上ですから、事後届出が必要です。届出は、権利取得者が契約を締結した日から起算して2週間以内に、当該土地が所在する市町村の長を経由して都道府県知事に対して行います(同条1項)。

    問5. 都市計画の決定に関する手続として、都道府県または市町村は、都市計画の案を公告の日から2週間公衆の縦覧に供しなければならず、意見書を提出できるのは関係市町村の住民に限られる。

    答えを見る 答えは誤りです。縦覧期間が公告の日から2週間である点は法17条1項のとおり正しい記述です。誤っているのは意見書を提出できる者の範囲で、法17条2項は「関係市町村の住民**及び利害関係人**」と定めています。住民に限られないので、区域外に住んでいても利害関係があれば意見書を提出できます。提出の期限は縦覧期間満了の日までです。なお、この2週間は縦覧に供しておくべき期間の長さであり、国土利用計画法23条1項の事後届出における「契約を締結した日から起算して2週間以内」という締切とは性質が異なります。

    問6. 都市計画施設の区域内において建築物の建築をしようとする場合、階数が2以下で地階を有しない木造の建築物であれば、都道府県知事等の許可を受けることなく建築することができる。

    答えを見る 答えは誤りです。階数2以下・地階なしという要件は、許可が不要になる要件ではなく、**許可の基準**です。法53条1項により、都市計画施設の区域または市街地開発事業の施行区域内で建築物の建築をしようとする者は、原則として都道府県知事等の許可を受けなければなりません。そのうえで法54条3号が、当該建築物が「階数が二以下で、かつ、地階を有しないこと」(イ)および「主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造であること」(ロ)に該当し、かつ容易に移転し、または除却することができると認められるときは、知事等は許可を**しなければならない**と定めています。要件を満たせば必ず許可されますが、許可の手続そのものは必要です。要否の階層と基準の階層を取り違えないでください。

    まとめ

    • 数字は四つの階層に分かれます。そもそも開発行為に当たるかを決める該当性、許可や届出が要るかを決める要否、許可を出してよいかを決める基準、いつまでにどれだけの期間かを決める時間。判断はこの順に降ります。階層を飛ばすと、数字を正しく覚えていても結論を誤ります。市街化調整区域で1ヘクタール未満の野球場をつくる事案が、その典型です。

    • 要否の階層の中心は、開発許可の面積要件です。法29条1項1号と施行令19条により、市街化区域が1,000平方メートル、区域区分が定められていない都市計画区域および準都市計画区域が3,000平方メートル。法29条2項と施行令22条の2により、都市計画区域および準都市計画区域外が1ヘクタール。市街化調整区域は29条1項1号に列挙されておらず、規模による除外がありません。施行令19条2項により、三大都市圏の指定区域を含む市町村の区域では市街化区域の1,000平方メートルが500平方メートルと読み替えられます。条例による引下げは市街化区域と非線引き・準都市計画区域の両方にあり、下限はどちらも300平方メートル、引上げはできません。

    • 同じ数字が二度出る型を、対で潰してください。1ヘクタールは第二種特定工作物(該当性)と区域外の規模(要否)。300平方メートルは条例引下げの下限(要否)と公園の一箇所最低面積(基準)。500平方メートルは三大都市圏の読み替え(以上)と盛土規制法(超える、別法律)。2週間は縦覧の期間と国土法の事後届出の期限。20ヘクタールは市街化調整区域の道路基準と協議義務。9メートルは接続先の幅員と歩車道分離の基準です。

    • 国土利用計画法とは、市街化調整区域で扱いが逆転します。開発許可が1,000・3,000・10,000であるのに対し、国土法23条2項1号は2,000・5,000・10,000。一致するのは区域外の1万平方メートルだけです。そして開発許可では面積要件のない市街化調整区域が、国土法では「市街化区域を除く都市計画区域」に含まれて5,000平方メートルの基準を受けます。数字を思い出す前に、どちらの制度の話かを確定させてください。

    • 数字と一緒に、相手方・語尾・条番号を持ってください。地区計画は30日前・市町村長・届出・勧告どまり(法58条の2)。開発許可も都市計画施設の区域内の建築許可も、条文は「許可をしなければならない」という羈束の形です(法33条1項、法54条)。法41条や法42条のように、そもそも数字が書かれていない条文もあります。数字のない条文に数字を持ち込む肢は、条文の建付けを知っていれば即断できます。

    宅建試験AIブートラボのアプリでは、ここで整理した数字を肢別トレーニングで一問ずつ判定でき、どの階層の数字で間違えたかを絞り込んで復習できます。

    読んだ内容を、法令上の制限の肢で確かめる

    都市計画法・建築基準法・農地法は数字の暗記が中心です。繰り返しの肢別トレーニングが一番効きます。

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