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市街化調整区域|「抑制」という語から読む

法令上の制限 読了 約46分

市街化調整区域を、都市計画法7条3項の「抑制」という語から読み解きます。用途地域を原則定めない理由、面積要件が存在しない理由、34条の立地基準各号、43条の建築許可までを条文根拠つきで。

目次

    本記事の役割 — 市街化調整区域を、7条3項の「抑制」という一語から演繹して読み解きます。都市計画法全体の骨格は都市計画法の全体像、線を引かなかった場合の区域は非線引き区域と準都市計画区域、開発許可制度の通しは宅建の開発許可制度、許可が不要になる場合は開発許可が不要な場合、面積の数値そのものは開発許可が必要な面積要件にあります。
    ここでは、他の記事が数字や手続として扱っている論点を、なぜそうなっているのかという一本の理由に還元します。中心に置くのは34条の立地基準です。

    都市計画法7条3項は、たった一文です。

    「市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とする。」

    同じ7条の2項が、市街化区域を「すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」と、目的も時間の枠も書き込んで定義しているのと比べると、その短さが際立ちます。市街化調整区域の定義には、いつまでにどうするという内容が一切ありません。市街化を進めないという方針そのものが、区域の内容になっているわけです。

    そして使われている語が「抑制」です。「禁止」でも「制限」でもありません。この語の選択が、市街化調整区域に関するほぼすべての規定の設計を決めています。

    先に結論を三つ述べます。

    第一に、抑制なので、積む道具が全部抜かれています。用途地域は原則として定めず、市街地開発事業も定められず、地区計画でも「最低限度」を定められない。市街地を作るための道具が、区域の性格と矛盾するという理由で外されています。

    第二に、抑制なので、規模による除外の入口がありません。29条1項1号の列挙に市街化調整区域が入っていないのは、条文の書き漏らしではありません。「この規模までなら自由でよい」という枠を置くこと自体が、抑制という方針と両立しないからです。

    第三に、抑制であって禁止ではないので、例外の入口が条文の側に用意されています。それが34条の立地基準です。ここが本記事の中心になります。34条は14の号を並べていますが、すべてに共通しているのは「そこでやるしかないか、そこの人のためか」という問いです。市街化を促進しないと言えるものだけが通る、という設計になっています。

    以下、この三つを条文で確かめていきます。

    なお本記事の条文は、令和8年度試験の基準である2026年4月1日時点で施行されていた版によっています。都市計画法は 343AC0000000100_20250604_507AC0000000051、都市計画法施行令は 344CO0000000158_20260401_508CO0000000066、宅地建物取引業法は 327AC1000000176_20260401_507AC0000000068、同法施行令は 339CO0000000383_20260401_507CO0000000388 です。基準日の扱いは後半で改めて整理します。

    「抑制」という語を分解する

    7条3項が言っていないこと

    7条3項が言っていないことを先に確認しておきます。

    言っていないことの第一は、建築や開発を禁止するとは書いていないことです。禁止するなら「してはならない」という書き方になります。実際、都市計画法の中には37条(工事完了公告前は建築物を建築してはならない)や42条1項(公告後は予定建築物等以外を新築してはならない)のように、禁止の形をとった条文があります。7条3項はその形をとっていません。

    言っていないことの第二は、期限です。市街化区域には「おおむね十年以内」という枠が入っていますが、市街化調整区域にはありません。いつまで抑制するのかは書かれていない。区域区分が見直されて市街化区域に編入されることはありますが、それは都市計画の変更であって、条文が期限を予定しているわけではありません。

    言っていないことの第三は、用途です。市街化区域は用途地域によってどこに何を建てるかが決まりますが、市街化調整区域の定義には用途の配分がありません。何を建てるかではなく、そもそも建てるかどうかが問われる区域だ、ということです。

    「抑制」が含む三つの意味

    そのうえで、「抑制」という語が積極的に意味しているものを三つに分けます。

    第一に、原則として止めるということ。放っておけば起きる市街化を、行政の側から押しとどめる。これが原則の向きです。

    第二に、止めきらないということ。抑制は禁止より弱い語です。完全に止めるのではなく、進む速度を落とす、あるいは進んでよいものだけを通す。この含みがあるからこそ、例外の入口が用意されます。

    第三に、通すものには理由が要るということ。抑制という方針を掲げている以上、例外を通すには「これは市街化を促進しない」と説明できなければなりません。34条の各号は、この説明を類型化したものです。

    この三点を持って条文を読むと、市街化調整区域に関する規定がばらばらの暗記事項ではなく、一つの方針の展開として見えてきます。

    対になるのは市街化区域だけではない

    なお、市街化調整区域の対になるのは市街化区域だけではありません。区域区分を定めなかった都市計画区域(条文の呼び方では「区域区分が定められていない都市計画区域」)も、比較の相手になります。

    線を引かなかった区域は、抑制するという宣言をしていません。だから13条1項11号は道路・公園・下水道の必置について市街化区域と並べており、13条1項13号は市街地開発事業について同じく市街化区域と並べています。抑制の宣言をしたかどうかが分かれ目であって、線を引いたかどうかではありません。この点は非線引き区域と準都市計画区域で詳しく扱っています。

    抑制の第一の現れ 計画に何も積まない

    用途地域は「原則として定めない」

    13条1項7号は、地域地区に関する都市計画基準を述べたうえで、こう書いています。

    「この場合において、市街化区域については、少なくとも用途地域を定めるものとし、市街化調整区域については、原則として用途地域を定めないものとする。

    まず語尾を正確に読んでください。市街化調整区域について書かれているのは「原則として定めない」であって、「定めてはならない」ではありません。禁止ではなく方針です。

    出題では、ここが二方向から崩されます。ひとつは「市街化調整区域についても用途地域を定めなければならない」とする型。もうひとつは「市街化調整区域には用途地域を定めることができない」とする型です。前者は原則を反転させ、後者は「原則として」という留保を落としています。どちらも誤りです。

    原則として定めない理由は明快です。用途地域は、どこに何を建てられるかを地図に描く制度です。そもそも建てることを予定していない区域に、その地図を描く意味がありません。用途地域そのものの中身は用途地域13種類と建築制限で扱っています。

    特定用途制限地域からも明文で外れる

    用途地域を定めない区域には、代わりに特定用途制限地域を定めるという選択肢があります。ところが市街化調整区域は、この制度からも明文で外されています。

    9条15項は、特定用途制限地域を「用途地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く。)内において、その良好な環境の形成又は保持のため当該地域の特性に応じて合理的な土地利用が行われるよう、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地域」としています。

    括弧書きで市街化調整区域が除かれている理由は、後で見る開発許可と43条の建築許可によって、すでに強い規制がかかっているからです。用途の制限を重ねて課す必要がありません。「市街化調整区域内の用途地域が定められていない区域には、特定用途制限地域を定めることができる」という肢は、この括弧書きで切れます。

    都市施設の必置義務がかからない

    13条1項11号は、都市施設に関する基準を述べたうえで、こう続けます。

    「この場合において、市街化区域及び区域区分が定められていない都市計画区域については、少なくとも道路、公園及び下水道を定めるものとし、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域及び田園住居地域については、義務教育施設をも定めるものとする。」

    並んでいるのは市街化区域と非線引き区域の二つで、市街化調整区域は入っていません。市街地の基盤となる道路・公園・下水道について、市街化調整区域には必置の義務がかからないということです。

    理由は繰り返しになります。市街地を作らない前提の区域に、市街地の基盤を義務づける理由がありません。「市街化調整区域についても、少なくとも道路、公園及び下水道を定めるものとされている」という肢は、この号の列挙を広げた誤りです。

    市街地開発事業も促進区域も定められない

    13条1項13号は、市街地開発事業について「市街化区域又は区域区分が定められていない都市計画区域内において、一体的に開発し、又は整備する必要がある土地の区域について定めること」としています。

    12条1項が挙げる市街地開発事業は、土地区画整理事業、新住宅市街地開発事業、工業団地造成事業、市街地再開発事業、新都市基盤整備事業、住宅街区整備事業、防災街区整備事業の七つで、いずれも面的に市街地を作り替える事業です。市街化を抑制すべき区域でこれを行うのは、区域の性格と正面から矛盾します。土地区画整理事業の仕組みは土地区画整理法で扱っています。

    同じ限定は13条1項8号の促進区域にも、13条1項14号の市街地開発事業等予定区域(市街地開発事業に係るもの)にもかかっています。市街化区域と非線引き区域には配られ、市街化調整区域には配られないという並びが、条文の中で繰り返されます。

    地区計画では「最低限度」を定められない

    もっとも精密に抑制が現れているのが、地区計画です。

    12条の5第7項は、地区整備計画において定められる事項を列挙したうえで、括弧書きでこう限定しています。「(市街化調整区域内において定められる地区整備計画については、建築物の容積率の最低限度、建築物の建築面積の最低限度及び建築物等の高さの最低限度を除く。)」

    外されている三つに共通するのは、いずれも「最低限度」だという点です。容積率の最低限度、建築面積の最低限度、高さの最低限度。これらはすべて「もっと大きく建てさせる」方向に働く規制です。土地を有効に使わせたい市街地では意味がありますが、市街化を抑制すべき区域で「これ以上小さく建ててはいけない」と課すのは、方針と衝突します。

    最高限度のほうは外されていません。容積率の最高限度も、建蔽率の最高限度も、高さの最高限度も定められます。抑える方向は残り、促す方向だけが抜かれている。この非対称が、抑制という語のもっとも分かりやすい現れです。

    さらに13条1項15号イが、市街化調整区域における地区計画について「市街化区域における市街化の状況等を勘案して、地区計画の区域の周辺における市街化を促進することがない等当該都市計画区域における計画的な市街化を図る上で支障がないように定めること」という基準を置いています。地区計画を定めること自体は認めつつ、内容に方針の縛りをかけているわけです。地区計画の制度そのものは地区計画とはにまとめています。

    この節の要点

    • 用途地域は「原則として定めない」(13条1項7号)。禁止ではない。
    • 特定用途制限地域は明文で除かれる(9条15項の括弧書き)。
    • 道路・公園・下水道の必置義務がかからない(13条1項11号の列挙外)。
    • 市街地開発事業・促進区域・市街地開発事業等予定区域を定められない(13条1項8号・13号・14号)。
    • 地区整備計画で「最低限度」三つを定められない(12条の5第7項)。最高限度は定められる。

    抑制の第二の現れ 面積の入口がない

    条文に市街化調整区域が書かれていない

    29条1項は、都市計画区域または準都市計画区域内において開発行為をしようとする者に都道府県知事(指定都市等の区域内では当該指定都市等の長)の許可を義務づけたうえで、1号から11号までの例外を並べています。規模の話は1号です。

    1号が除外しているのは「市街化区域、区域区分が定められていない都市計画区域又は準都市計画区域内において行う開発行為で、その規模が、それぞれの区域の区分に応じて政令で定める規模未満であるもの」。

    三つの区域が並んでいて、市街化調整区域が書かれていません。

    これを受けた施行令19条1項の表も同じです。第一欄に並ぶのは「市街化区域」と「区域区分が定められていない都市計画区域及び準都市計画区域」の二つだけで、市街化調整区域の行そのものが存在しません。

    「面積要件がない」の意味を正確に取る

    ここで言葉を正確にしておきます。「市街化調整区域には面積要件がない」という言い方は、二通りに誤解されます。

    誤解の第一は、規制がないという読み方です。逆です。規模による除外の入口が存在しないので、開発行為に当たる限り、規模の大小にかかわらず許可が必要になります。10平方メートルの造成でも、開発行為であれば原則として許可の対象です。四つの区域の中でもっとも厳しい扱いだということになります。

    誤解の第二は、あらゆる場面で面積が無関係だという読み方です。これも違います。無関係なのは都市計画法29条1項1号の場面だけで、他の制度には市街化調整区域にも数字があります。もっとも大きな落とし穴が国土利用計画法で、23条2項1号ロが「都市計画法第四条第二項に規定する都市計画区域(市街化区域を除く。)」について5,000平方メートルという基準を置いており、市街化調整区域はこれに含まれます。

    開発許可では数字がない市街化調整区域が、国土利用計画法ではしっかり数字を受ける。この逆転は、都市計画法と国土利用計画法をまたぐ最大の引っかけです。「市街化調整区域は面積要件なし」と反射的に答えると、国土法の問題で必ず落とします。国土法側の制度は国土利用計画法、数字の階層的な整理は都市計画法の数字にあります。

    なぜ数字を置けないのか

    条文に数字がない理由は、7条3項から演繹できます。

    面積要件とは、「この規模までは市街化の妨げにならないから見逃す」という判断です。市街化区域について1,000平方メートルという線を引くのは、そこが市街化を進める区域だからこそ成り立ちます。進めてよい区域で、小さな開発をいちいち審査する必要はありません。

    ところが市街化調整区域は、進めないと宣言した区域です。そこで「この規模までは自由でよい」という枠を置けば、抑制という方針に自分で穴を開けることになります。小規模な開発が積み重なれば、結果として市街化が進むからです。

    数字を覚えるのではなく、数字が置けない理由を覚える。この順序で持てば、他の制度と混ざりません。

    農林漁業の例外は市街化調整区域にある

    数字の入口が閉じている代わりに、市街化調整区域には別の入口が開いています。

    29条1項2号は、「市街化調整区域、区域区分が定められていない都市計画区域又は準都市計画区域内において行う開発行為で、農業、林業若しくは漁業の用に供する政令で定める建築物又はこれらの業務を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行うもの」を除外しています。

    ここには市街化調整区域が入っており、市街化区域が入っていません。面積要件とはちょうど逆の並びです。市街化区域で農業用温室を建てるための造成は、1,000平方メートル以上なら許可が必要になります。

    政令で定める建築物は施行令20条にあり、1号が畜舎・蚕室・温室・育種苗施設等の生産または集荷の用に供する建築物、2号が堆肥舎・サイロ・農機具等収納施設等の貯蔵または保管の用に供する建築物、3号が家畜診療の用に供する建築物、4号が用排水機・取水施設等の管理の用に供する建築物または索道の用に供する建築物、5号が「建築面積が九十平方メートル以内の建築物」です。

    列挙をよく見ると、生産・集荷・貯蔵・保管はありますが、加工と販売がありません。農産物の加工施設や直売所は、この号では通りません。ではどこで通るのかというと、後で見る34条4号です。29条で落ちたものが34条で拾われる、というつながりがここにも出てきます。適用除外の全体像は開発許可が不要な場合、農地そのものの規制は農地法で扱っています。

    抑制の第三の現れ 34条という第二の関門

    33条と34条は書き方の向きが逆

    市街化調整区域が実質的に厳しいのは、面積要件がないことよりも、審査が二段構えになっていることによります。

    33条1項は、「都道府県知事は、開発許可の申請があつた場合において、当該申請に係る開発行為が、次に掲げる基準に適合しており、かつ、その申請の手続がこの法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反していないと認めるときは、開発許可をしなければならない」と定めています。基準を満たせば必ず許可される羈束の形です。

    34条は逆向きです。「前条の規定にかかわらず、市街化調整区域に係る開発行為(主として第二種特定工作物の建設の用に供する目的で行う開発行為を除く。)については、当該申請に係る開発行為及びその申請の手続が同条に定める要件に該当するほか、当該申請に係る開発行為が次の各号のいずれかに該当すると認める場合でなければ、都道府県知事は、開発許可をしてはならない。」

    33条が「適合すれば許可しなければならない」、34条が「該当しなければ許可してはならない」。同じ許可について、通す向きの規定と止める向きの規定が重なっているわけです。これが抑制の実質です。

    柱書の三つの読みどころ

    34条の柱書には、それ自体が出題される要素が三つあります。

    第一に、適用範囲が市街化調整区域に限られること。「市街化調整区域に係る開発行為については」と明記されています。市街化区域でも、非線引き区域でも、準都市計画区域でも、審査されるのは33条の技術基準だけです。「区域区分が定められていない都市計画区域における開発行為についても34条の基準に適合しなければならない」という肢は、ここで切れます。

    第二に、第二種特定工作物が除かれていること。括弧書きが「主として第二種特定工作物の建設の用に供する目的で行う開発行為を除く」としています。市街化調整区域でゴルフコースを造成する場合、33条の技術基準だけで判断され、34条の立地基準はかかりません。ゴルフコースは4条11項が直接名指ししているため面積を問わず第二種特定工作物であり、この帰結が働きます。

    第三に、33条に加えてという関係であること。「同条に定める要件に該当するほか」と書かれているので、34条だけを満たせばよいのではありません。33条と34条の両方が要ります。

    33条の技術基準にも市街化調整区域の顔が出る

    なお、33条は全区域共通の技術基準ですが、その中にも市街化調整区域に言及する箇所があります。

    33条1項1号ロは、開発区域内の土地について用途地域等が定められていない場合の用途の制限について、「(都市計画区域(市街化調整区域を除く。)又は準都市計画区域内の土地に限る。)」と括弧書きで限定しています。建築基準法48条14項による用途地域無指定区域の制限は市街化調整区域に及ばないので、33条1項1号ロの審査対象からも外れる、という対応です。

    また33条1項8号は、自己の居住用以外の開発行為について、開発区域内に災害危険区域、地すべり防止区域、土砂災害特別警戒区域、浸水被害防止区域その他政令で定める開発行為を行うのに適当でない区域内の土地を含まないことを求めています。これは全区域共通ですが、後で見る34条8号の2と11号の政令基準に、同じ災害系の区域が繰り返し登場します。

    34条各号を性格で束ねる

    14の号を番号順に暗記する必要はありません。そこでやるしかないか、そこの人のためかという問いに沿って束ねれば、初見の肢も判断できます。

    そこでやるしかないもの

    2号は、市街化調整区域内に存する鉱物資源、観光資源その他の資源の有効な利用上必要な建築物または第一種特定工作物です。鉱山は鉱脈のある場所にしか置けず、観光資源はその場所にあるから資源です。市街化区域に移せません。

    3号は、温度、湿度、空気等について特別の条件を必要とする政令で定める事業の用に供する建築物または第一種特定工作物で、その特別の条件を必要とするため市街化区域内において建築し、または建設することが困難なものです。条文自身が「市街化区域内において建築し、又は建設することが困難な」と理由を書き込んでいます。

    7号は、市街化調整区域内において現に工業の用に供されている工場施設における事業と密接な関連を有する事業の用に供する建築物または第一種特定工作物で、これらの事業活動の効率化を図るため市街化調整区域内において建築し、または建設することが必要なものです。すでにそこにある工場との関連性が要件になっています。

    8号は、政令で定める危険物の貯蔵または処理に供する建築物または第一種特定工作物で、市街化区域内において建築し、または建設することが不適当なものとして政令で定めるものです。施行令29条の6が、危険物を火薬類取締法2条1項の火薬類とし、建築物等を同法12条1項の火薬庫としています。火薬庫は市街地に置けません。

    9号は、前各号のほか、市街化区域内において建築し、または建設することが困難または不適当なものとして政令で定める建築物または第一種特定工作物です。施行令29条の8が、道路の円滑な交通を確保するために適切な位置に設けられる道路管理施設、休憩所または給油所等と、火薬類の製造所を挙げています。高速道路のサービスエリアや幹線道路沿いのガソリンスタンドが、この号で通ります。

    この五つに共通するのは、立地の必然性です。市街化区域に移せない、あるいは移すべきでない理由が、条文または政令に書き込まれています。

    そこの人のためのもの

    1号は、主として当該開発区域の周辺の地域において居住している者の利用に供する政令で定める公益上必要な建築物、またはこれらの者の日常生活のため必要な物品の販売、加工もしくは修理その他の業務を営む店舗、事業場その他これらに類する建築物です。

    後半の店舗については、条文が「これらの者の日常生活のため必要な」と限定しています。周辺住民のための小さな商店やクリーニング店が想定されており、広域から客を集める大型店舗は入りません。前半の「政令で定める公益上必要な建築物」については、次の節で改めて扱います。

    4号は、農業、林業もしくは漁業の用に供する建築物で29条1項2号の政令で定める建築物以外のもの、または市街化調整区域内において生産される農産物、林産物もしくは水産物の処理、貯蔵もしくは加工に必要な建築物もしくは第一種特定工作物です。

    前述のとおり、29条1項2号の施行令20条には加工が入っていません。その加工が、ここで拾われます。ただし条件が付いていて、「市街化調整区域内において生産される」農林水産物であることが要ります。よそから運んできた原料を加工する工場は、この号では通りません。地元の産物を地元で加工するから、その場所である必要がある、という筋です。

    この二つに共通するのは、その場所の生活と生産に結びついていることです。市街化を促進するのではなく、すでにそこにある暮らしと産業を支えるものだ、と説明できます。

    政策的に置くもの

    5号は、特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律9条1項の公告があった所有権移転等促進計画に基づく開発行為です。

    6号は、都道府県が国または独立行政法人中小企業基盤整備機構と一体となって助成する中小企業者の行う、他の事業者との連携もしくは事業の共同化または中小企業の集積の活性化に寄与する事業の用に供する建築物または第一種特定工作物です。

    8号の2は、市街化調整区域のうち災害危険区域等その他の政令で定める開発行為を行うのに適当でない区域内に存する建築物または第一種特定工作物に代わるべきものの建築・建設です。括弧書きで「いずれも当該区域外において従前の建築物又は第一種特定工作物の用途と同一の用途に供されることとなるものに限る」と限定されています。施行令29条の7が、対象区域を災害危険区域等および急傾斜地崩壊危険区域としています。

    8号の2は分かりやすい号です。危険な場所にある建物を安全な場所へ移すのは、市街化を新たに生じさせるのではなく、位置を付け替えるだけです。同一用途に限るという限定が、その趣旨を担保しています。

    計画と条例で受けるもの

    10号は、地区計画または集落地区計画の区域(地区整備計画または集落地区整備計画が定められている区域に限る)内において、当該計画に定められた内容に適合する建築物または第一種特定工作物の建築・建設です。

    すでに地区計画という形で計画的な判断が済んでいるなら、それに適合する限り通す、という号です。前述の13条1項15号イが、市街化調整区域の地区計画自体に「周辺における市街化を促進することがない」という基準をかけているので、二重に担保されています。

    11号12号は条例による仕組みで、節を改めて扱います。

    既得の期待を保護するもの

    13号は、区域区分に関する都市計画が決定され、または当該都市計画を変更して市街化調整区域が拡張された際に、自己の居住もしくは業務の用に供する建築物を建築し、または自己の業務の用に供する第一種特定工作物を建設する目的で土地または土地の利用に関する所有権以外の権利を有していた者が、当該都市計画の決定または変更の日から起算して六月以内に国土交通省令で定める事項を都道府県知事に届け出たものが、当該目的に従って、当該土地に関する権利の行使として行う開発行為です。末尾に「(政令で定める期間内に行うものに限る。)」という限定があり、施行令30条がこの期間を当該都市計画の決定または変更の日から起算して五年としています。

    数字が二つ出てくる点に注意してください。届出は6月以内、行為は5年以内。線引きの前から建てるつもりで土地を持っていた人の期待を保護する規定で、既得権とも呼ばれますが、放置すれば無期限になってしまうため二重に期間が切られています。

    最後の受け皿

    14号は、前各号に掲げるもののほか、都道府県知事が開発審査会の議を経て、開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがなく、かつ市街化区域内において行うことが困難または著しく不適当と認める開発行為です。

    この号の要件は二つです。市街化を促進するおそれがないことと、市街化区域内で行うことが困難または著しく不適当であること。この二つが、実は34条全体を貫く問いを言葉にしたものになっています。1号から13号までは、この二つを満たす典型を条文が先に類型化したもので、14号はそこに収まらないものを個別に審査する受け皿です。

    そして手続として、知事の単独判断ではなく開発審査会の議を経ることが要求されています。例外を通す判断に第三者の関与を挟むことで、抑制という原則が骨抜きになるのを防いでいます。

    束ね方をもう一度

    五つの束をまとめます。立地の必然性(2号・3号・7号・8号・9号)、その場所の生活と生産(1号・4号)、政策と安全(5号・6号・8号の2)、計画と条例(10号・11号・12号)、既得の期待(13号)、そして受け皿(14号)。

    初見の肢に出会ったら、「これは市街化を促進しないと説明できるか」「市街化区域でやれない理由があるか」を自分に問うてください。14号の要件がそのまま判断基準になります。

    34条1号の政令が示すもの

    学校・病院・社会福祉施設はどこへ行ったか

    34条1号の前半、「政令で定める公益上必要な建築物」の中身を確認すると、開発許可制度のもう一つの論点とつながります。

    施行令29条の5は、こう定めています。「法第三十四条第一号(略)の政令で定める公益上必要な建築物は、第二十一条第二十六号イからハまでに掲げる建築物とする。」

    施行令21条26号は、29条1項3号の「公益上必要な建築物」を定める条文の一部で、国・都道府県等・市町村等が設置する研究所、試験所その他直接その事務または事業の用に供する建築物のうち、イからホに掲げるもの以外のものを対象としています。そのイからハが次のとおりです。

    イが、学校教育法1条に規定する学校、同法124条に規定する専修学校または同法134条1項に規定する各種学校の用に供する施設である建築物。ロが、児童福祉法による家庭的保育事業、小規模保育事業、事業所内保育事業もしくは乳児等通園支援事業、社会福祉法による社会福祉事業または更生保護事業法による更生保護事業の用に供する施設である建築物。ハが、医療法1条の5第1項に規定する病院、同条2項に規定する診療所もしくは同法2条1項に規定する助産所の用に供する施設、または同法2条の2第2項に規定するオンライン診療受診施設である建築物。

    つまり、学校・社会福祉施設・医療施設です。

    29条で落ちたものが34条で拾われる

    ここで二つの条文の関係が見えます。

    29条1項3号は、駅舎その他の鉄道の施設、図書館、公民館、変電所その他これらに類する公益上必要な建築物のうち政令で定めるものについて、区域を問わず開発許可を不要としています。そして施行令21条26号は、学校・社会福祉施設・医療施設をイからハで明文により除いています。公共団体が設置する学校であっても、この適用除外には当たりません。

    その除かれた三類型を、施行令29条の5が34条1号の「政令で定める公益上必要な建築物」として指定している。つまり、開発許可が不要にはならないが、市街化調整区域で許可されうる立地類型としては条文の側に置かれているわけです。

    ただし34条1号には限定が付いています。「主として当該開発区域の周辺の地域において居住している者の利用に供する」ものであることです。広域から人を集める大規模な病院や大学は、この限定に当たりません。周辺住民が使う診療所や保育所であれば通る、という水準です。

    この対比が示していること

    この二つの条文の関係は、抑制という語の設計思想をそのまま示しています。

    学校や病院を市街化調整区域から一律に締め出せば、そこに住んでいる人の生活が成り立ちません。かといって公益的な施設という理由だけで無条件に通せば、郊外に公共施設が立地し、それが人を呼び、結果として市街化が進みます。

    そこで、許可を不要にする入口(29条1項3号)からは外し、許可の審査を経る入口(34条1号)には残すという処理が採られています。手続を通したうえで、周辺住民のためのものかどうかを見る。禁止でも自由でもない、まさに抑制の設計です。

    開発許可の適用除外の側から見た整理は開発許可が不要な場合に、建築確認との切り分けは開発許可と建築確認にあります。

    11号と12号 条例で入口を開ける

    11号の要件は五つ

    34条11号は、条文が長いので要件に分解します。

    第一に、市街化区域に隣接し、または近接していること。第二に、自然的社会的諸条件から市街化区域と一体的な日常生活圏を構成していると認められる地域であること。第三に、おおむね五十以上の建築物(市街化区域内に存するものを含む)が連たんしている地域であること。第四に、災害の防止その他の事情を考慮して政令で定める基準に従い、都道府県の条例で指定する土地の区域内であること。第五に、予定建築物等の用途が、開発区域およびその周辺の地域における環境の保全上支障があると認められる用途として都道府県の条例で定めるものに該当しないこと。

    条例を定める主体は、条文の括弧書きにより都道府県(指定都市等または事務処理市町村の区域内にあっては、当該指定都市等または事務処理市町村)です。

    「おおむね五十以上の建築物が連たん」という数字が、この号の識別点になります。すでに実質的に市街地と連続している場所を、条例で指定して開発を認める仕組みです。

    政令の基準は災害系の区域を外すこと

    施行令29条の9は、11号の政令で定める基準を「同号の条例で指定する土地の区域に、原則として、次に掲げる区域を含まないこととする」という形で定めています。

    列挙されているのは、建築基準法39条1項の災害危険区域、地すべり等防止法3条1項の地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律7条1項の土砂災害警戒区域、特定都市河川浸水被害対策法56条1項の浸水被害防止区域、そして水防法15条1項4号の浸水想定区域のうち一定のものです。

    条例で入口を開けてよいのは、安全な場所に限る。抑制を緩めるとしても、災害の危険がある場所は対象から外す、という設計になっています。

    12号はもう一段抽象的

    34条12号は、「開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがないと認められ、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認められる開発行為として、災害の防止その他の事情を考慮して政令で定める基準に従い、都道府県の条例で区域、目的又は予定建築物等の用途を限り定められたもの」です。

    要件の実質は14号と同じ二つ(市街化を促進しない、市街化区域では困難または著しく不適当)ですが、個別に開発審査会の議を経るのではなく、あらかじめ条例で類型を定めておく点が違います。施行令29条の10も、条例で定める区域に原則として施行令29条の9の各号の区域を含まないこととしています。

    11号が「区域を指定する」仕組み、12号が「区域・目的・用途を限って類型を定める」仕組み、14号が「個別に審査する」仕組み。抑制を緩める三つの回路が、粒度を変えて並んでいると理解してください。

    造成しなくても建てられない 43条

    開発許可の網から漏れるものを塞ぐ

    ここまでは開発行為、すなわち土地の造成の話でした。造成を伴わずに建物だけを建てる場合はどうなるか。

    開発行為の定義は4条12項の「主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更」ですから、造成がなければ開発行為ではなく、開発許可は不要です。ここで終わってしまえば、市街化調整区域の既存宅地に建物が次々と建ち、抑制が空洞化します。

    そこで43条1項が置かれています。「何人も、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内においては、都道府県知事の許可を受けなければ、第二十九条第一項第二号若しくは第三号に規定する建築物以外の建築物を新築し、又は第一種特定工作物を新設してはならず、また、建築物を改築し、又はその用途を変更して同項第二号若しくは第三号に規定する建築物以外の建築物としてはならない。」

    読みどころは四つ

    第一に、対象区域です。市街化調整区域に限られ、しかもそのうち「開発許可を受けた開発区域以外」の区域です。開発許可を受けた区域は37条と42条が規律するので、43条の出番はありません。43条は、開発許可を経ていない土地をカバーする規定という位置づけです。市街化区域や非線引き区域には、この許可はありません。

    第二に、除かれる建築物です。29条1項2号の農林漁業用建築物と3号の公益上必要な建築物は、43条でも許可が不要です。開発許可が不要とされているものを、建築の段階で許可制にする理由がありません。二つの条文が連動している数少ない箇所です。

    第三に、第一種特定工作物しか入っていないことです。条文は「第一種特定工作物を新設してはならず」としており、第二種特定工作物が書かれていません。市街化調整区域でゴルフコースを新設すること自体は43条の対象外です(そのための造成があれば29条の開発許可は必要になります)。34条の柱書でも第二種特定工作物が除かれていたことと、あわせて押さえてください。

    第四に、規制されている行為です。新築、改築、用途の変更、そして第一種特定工作物の新設。増築は書かれていません。

    ただし書と政令の例外

    43条1項ただし書は五つを除外しています。1号が都市計画事業の施行として行うもの、2号が非常災害のため必要な応急措置として行うもの、3号が仮設建築物の新築、4号が29条1項9号に掲げる開発行為その他の政令で定める開発行為が行われた土地の区域内において行うもの、5号が通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるものです。

    5号の政令が施行令35条で、四つを挙げています。1号が既存の建築物の敷地内において行う車庫、物置その他これらに類する附属建築物の建築。2号が建築物の改築または用途の変更で、それに係る床面積の合計が十平方メートル以内であるもの。3号が、主として当該建築物の周辺の市街化調整区域内に居住している者の日常生活のため必要な物品の販売、加工、修理等の業務を営む店舗、事業場その他これらの業務の用に供する建築物で、その延べ面積が五十平方メートル以内のもの(業務の用に供する部分の延べ面積が全体の50パーセント以上のものに限る)の新築で、当該市街化調整区域内に居住している者が自ら当該業務を営むために行うもの。4号が土木事業その他の事業に一時的に使用するための第一種特定工作物の新設です。

    3号は34条1号の店舗と発想が同じですが、こちらは許可すら要らない類型です。延べ面積50平方メートル以内、業務用部分が50パーセント以上、自ら営むこと、という三つの縛りで、ごく小規模なものに限られています。

    許可基準は34条に対応している

    43条2項は、この許可の基準を「第三十三条及び第三十四条に規定する開発許可の基準の例に準じて、政令で定める」としています。政令が施行令36条です。

    施行令36条1項は三つの号を並べています。1号が敷地の排水施設と災害防止の措置に関する基準、2号が地区計画または集落地区計画の区域内における計画への適合、そして3号が次のいずれかに該当することです。イが法34条1号から10号までに規定する建築物または第一種特定工作物。ロが34条11号の条例で指定する土地の区域内において新築等する建築物等で、同号の条例で定める用途に該当しないもの。ハが、周辺における市街化を促進するおそれがなく市街化区域内で行うことが困難または著しく不適当と認められるものとして都道府県の条例で区域、目的または用途を限り定められたもの(34条12号に対応)。ニが、同じ実質要件を満たすもので都道府県知事があらかじめ開発審査会の議を経たもの(34条14号に対応)。

    開発許可の立地基準が、そのまま建築許可の基準に写されているということです。造成を伴うかどうかで手続は分かれますが、その場所に建ててよいかという判断の中身は同じ、という設計になっています。

    なお43条3項により、国または都道府県等が行う場合は、当該国の機関または都道府県等と都道府県知事との協議が成立することをもって許可があったものとみなされます。開発許可についても34条の2に同じ仕組みがあり、こちらは「協議が成立することをもって、開発許可があつたものとみなす」と定めています。許可が不要になるのではなく、協議が許可とみなされる、という構成です。

    「開発許可が不要」と「建てられる」は別

    この節の結論はひとつです。市街化調整区域では、開発許可が不要であることは建築の自由を意味しません。

    造成を伴わずに住宅を建てる場合、開発行為に当たらないので29条の許可は不要ですが、43条1項の許可が必要になります。そして建築物の規模と区域によっては、建築基準法6条1項の建築確認も必要です。開発許可、43条の建築許可、建築確認という三つが同時に問題になりうるのが市街化調整区域で、他の区域より関門が一つ多い、と整理してください。建築確認の要否は建築確認で扱っています。

    取引の場面に出てくる市街化調整区域

    重要事項説明の対象になる

    法令上の制限は、宅建業法の側にも顔を出します。

    宅建業法35条1項2号は、重要事項として「都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別に応じて政令で定めるものに関する事項の概要」を挙げています。政令が同法施行令3条で、その1項1号が都市計画法の条文を列挙しており、その中に29条1項及び2項43条1項が含まれています。

    つまり、開発許可の制限と市街化調整区域の建築許可の制限は、いずれも重要事項説明の対象です。対象地が市街化調整区域にあり、43条1項の許可がなければ建築できないという事情は、契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして説明させなければなりません。

    契約の種類で範囲が変わる

    ここに一段の場合分けがあります。施行令3条は、契約の種類によって対象を書き分けています。

    1項が貸借以外の契約、すなわち売買と交換についてのもので、都市計画法29条・43条を含む広い列挙です。

    2項が宅地の貸借についてのもので、1項の制限のうち一定のものを除いたものとされています。除かれているのは都市計画法52条の3第2項・4項、57条2項・4項、67条1項・3項など限られた規定で、29条と43条は除外リストに入っていません。したがって宅地の貸借でも説明対象になります。

    3項が建物の貸借についてのもので、対象は新住宅市街地開発法32条1項、新都市基盤整備法51条1項、流通業務市街地の整備に関する法律38条1項の三つだけです。都市計画法は入っていません。建物を借りるだけの人にとって、その土地の造成や建築の制限は意味を持たないからです。

    売買・交換と宅地の貸借では説明が要り、建物の貸借では要らない。重要事項説明の全体像は重要事項説明で扱っています。

    広告では文言まで決まっている

    さらに、業界の自主規制である公正競争規約が、広告について具体的な文言を定めています。

    不動産の表示に関する公正競争規約13条(特定事項の明示義務)は、「事業者は、一般消費者が通常予期することができない物件の地勢、形質、立地、環境等に関する事項又は取引の相手方に著しく不利な取引条件であって、規則で定める事項については、賃貸住宅を除き、それぞれその定めるところにより、見やすい場所に、見やすい大きさ、見やすい色彩の文字により、分かりやすい表現で明瞭に表示しなければならない」としています。

    これを受けた同規約施行規則7条6号が、こう定めています。「都市計画法第7条に規定する市街化調整区域に所在する土地については、「市街化調整区域。宅地の造成及び建物の建築はできません。」と明示すること(新聞折込チラシ等及びパンフレット等の場合には16ポイント以上の大きさの文字を用いること。)。」

    二点を正確に押さえてください。第一に、明示義務そのものはすべての広告にかかり(賃貸住宅を除く)、16ポイント以上という文字サイズの指定は新聞折込チラシ等およびパンフレット等の場合に限られます。第二に、指定されているのは文言そのものです。趣旨を伝えれば足りるのではなく、この一文を表示することが求められています。

    除外リストが立地基準を指している

    同号にはただし書があり、ここが本記事の主題とつながります。

    除かれているのは、同法29条に規定する開発許可を受けているもの、同法33条の要件に適合し、34条11号または12号に該当するもの、ならびに同法施行令36条1項1号および2号の要件に適合し、3号ロまたはハに該当するものです。そして、これらのいずれかに該当する場合には、住宅等を建築するための条件を明示することとされています。

    三つの除外を条文に戻すと、それぞれ、すでに開発許可を得ている土地、34条11号・12号の条例によって開発許可を受けられる土地、そして施行令36条1項3号ロ・ハによって43条の建築許可を受けられる土地です。

    広告規制の除外リストが、そのまま34条11号・12号と施行令36条1項3号ロ・ハを指している。「宅地の造成及び建物の建築はできません」と書かなくてよいのは、条例によって現に建てられる土地だからです。抑制を緩める条例の回路が、業界の広告ルールにまで貫通していることになります。広告の規制全般は不動産広告の規制で扱っています。

    法令の基準日について

    宅建試験は、その年度の4月1日現在施行されている法令から出題されます。令和8年度であれば2026年4月1日時点の条文が基準であり、今日の条文ではありません。

    都市計画法には、令和8年法律第23号(都市再生特別措置法等の一部を改正する法律)による改正が2026年5月27日に施行されています。5月27日は4月1日より後なので、この改正は令和8年度試験の出題範囲に入りません。

    ただし、基準日版と5月27日施行版を条単位で照合した結果、都市計画法の本則164条すべてに差分はありませんでした。追加されたのは附則が1件のみで、実体的な改正部分は別の施行日に係るものです。本記事で扱った7条、9条、12条、12条の5、13条、29条、33条、34条、34条の2、43条のいずれについても、どちらの版で読んでも内容は変わりません。建築基準法についても本則291条に差分はありません。

    一方、都市計画法施行令は基準日よりに二度改正されており、こちらは範囲内です。令和7年政令第205号が2025年7月1日に、令和8年政令第66号が2026年4月1日に施行されています。変更されたのはいずれも施行令21条の1条のみで、同条26号の除外リストに「乳児等通園支援事業」(ロ)と「オンライン診療受診施設」(ハ)を追加したものでした。

    この改正には本記事との接点があります。施行令29条の5が34条1号の公益上必要な建築物を「21条26号イからハまで」と定めている以上、26号ロ・ハへの追加は、そのまま34条1号の対象にも及びます。乳児等通園支援事業の施設とオンライン診療受診施設は、29条1項3号の適用除外からは外れる一方、周辺住民の利用に供するものであれば34条1号の立地類型に当たる、という関係になります。なお開発許可の面積要件を定める施行令19条と22条の2は、どちらの改正でも動いていません。

    施行日が基準日より後だからといって内容が変わっているとは限らず、逆に施行日を見ずに最新の条文を使えば基準を外します。条文の文言がそのまま答えになる論点ほど、版を確認する価値があります。

    試験での出題ポイント

    「抑制」を「禁止」に置き換える

    もっとも本質的な型です。「市街化調整区域においては、一切の建築行為が禁止されている」「市街化調整区域では建築物を建築することができない」といった肢は誤りです。7条3項の語は「抑制」であり、34条の各号、43条1項ただし書、施行令35条、34条の2と43条3項の協議みなしと、例外の入口が条文の側に複数用意されています。

    「原則として」を落とす、または反転させる

    13条1項7号の「市街化調整区域については、原則として用途地域を定めないものとする」は、二方向で崩されます。「定めなければならない」とする型と、「定めることができない」とする型。前者は原則の反転、後者は留保の脱落です。

    面積の数字を持ち込む

    「市街化調整区域内において行う800平方メートルの開発行為については、開発許可を受ける必要がない」という型が定番です。29条1項1号の列挙に市街化調整区域がない以上、規模による除外は存在しません。肢に市街化調整区域と面積が同時に出てきたら、面積は判断材料にならないと考えてください。

    逆方向として、国土利用計画法の問題で「市街化調整区域には面積の基準がないから届出は不要」とする型もあります。こちらは同法23条2項1号ロにより5,000平方メートルが基準です。制度を先に確定させてから数字を思い出してください。

    34条の適用範囲を広げる、または狭める

    広げる型が「区域区分が定められていない都市計画区域内の開発行為についても、33条のほか34条各号のいずれかに該当しなければ許可されない」。34条は市街化調整区域限定です。

    狭める型が「市街化調整区域内でゴルフコースを建設するための開発行為についても、34条の基準を満たす必要がある」。柱書の括弧書きが、主として第二種特定工作物の建設のための開発行為を除いています。

    33条と34条の向きを入れ替える

    33条1項は「開発許可をしなければならない」、34条は「開発許可をしてはならない」。この語尾を交換する型があります。あわせて、34条が33条に加えて適用されること(「同条に定める要件に該当するほか」)を落として、34条だけを満たせば許可されるかのように書く型もあります。

    34条各号の要件を落とす

    4号については「市街化調整区域内において生産される」という限定を落とす型。1号については「主として当該開発区域の周辺の地域において居住している者の利用に供する」という限定を落とし、大規模な病院や大学まで含めてしまう型。11号については「おおむね五十以上の建築物が連たん」という要件や「条例で指定する」という要件を落とす型。13号については6月以内の届出と5年以内の実施という二つの期間のどちらかを落とす型。いずれも定番です。

    43条の射程をずらす

    対象区域を市街化区域や非線引き区域に広げる型、第二種特定工作物を含める型、29条1項2号・3号の建築物にも許可が必要だとする型、そして「開発許可を受けた開発区域内」にも43条がかかるとする型。43条は市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域が対象で、第一種特定工作物だけを含みます。

    「開発許可が不要なら何も要らない」とする

    「市街化調整区域内の既存の宅地において、造成を行わずに住宅を新築する場合、開発行為に当たらないため都道府県知事の許可は不要である」という型です。開発許可が不要である点は正しいのですが、43条1項の建築許可が別に必要になります。

    協議みなしを「適用除外」と書く

    34条の2と43条3項は、国や都道府県等について「協議が成立することをもって開発許可(許可)があつたものとみなす」という構成です。「国が行う場合には開発許可の規定は適用されない」という書き方は不正確になります。

    覚え方・整理の仕方

    「抑制」から演繹する癖をつける

    暗記事項の数を減らす一番の方法は、7条3項の一語に戻ることです。

    用途地域を原則定めないのはなぜか。建てることを予定していない区域に用途の地図を描く意味がないから。道路・公園・下水道の必置がないのはなぜか。市街地を作らない前提だから。面積要件がないのはなぜか。「ここまでは自由」という枠が方針と矛盾するから。地区整備計画で最低限度を定められないのはなぜか。もっと建てさせる方向の規制だから。

    すべて同じ理由の言い換えです。個別に覚えるのではなく、一つの理由から毎回導けるようにしてください。

    34条は二つの問いに畳む

    14の号を覚える必要はありません。14号が言葉にしている二つの問いに畳みます。

    市街化を促進するおそれがないか。市街化区域内で行うことが困難または著しく不適当か。

    2号の鉱物資源も、3号の温度湿度も、8号の火薬庫も、9号の給油所も、二つ目の問いに答えています。1号の店舗も4号の加工施設も、一つ目の問いに答えています。初見の号や見慣れない事案に出会っても、この二問に当てはめれば方向が出ます。

    数字は三つだけ

    34条まわりで覚えるべき数字は三つです。11号の「おおむね五十以上の建築物が連たん」、13号の届出「六月以内」と実施「五年以内」(施行令30条)。43条の側では、施行令35条2号の「十平方メートル以内」の改築・用途変更と、3号の「五十平方メートル以内」の日常生活店舗。

    開発許可の1,000・3,000・10,000といった面積の数字は、市街化調整区域には存在しません。この区域で数字が出てきたら、面積以外の数字だと切り替えてください。数字の階層的な整理は都市計画法の数字、暗記の型は法令上の制限の暗記法にまとめています。

    三つの関門を口に出す

    市街化調整区域の事案では、確認する順序を固定します。

    第一に、造成があるか。あれば開発行為で、規模を問わず29条の許可が要り、33条と34条の両方で審査される。第二に、開発許可を受けた開発区域の外で建てるか。そうなら43条の建築許可が要る。第三に、建築基準法6条1項の号に当たるか。当たれば建築確認が要る。

    調整区域は関門が三つ、しかも29条1項2号・3号の建築物については開発許可と43条が連動して両方外れる。この二点を組で持ってください。

    33条・34条・43条・令36条を四点セットで

    条文の対応関係を一組で覚えると、初見の政令が出ても迷いません。

    33条が技術基準で全区域共通。34条が立地基準で市街化調整区域限定。43条が造成を伴わない建築の許可で、対象は開発許可を受けた開発区域以外。そして施行令36条1項3号が、43条の許可基準として34条1号から10号、11号の条例、12号相当の条例、14号相当の開発審査会を並べている。

    立地の判断は一つで、入口が二つあるという構造です。手続の横断整理は法令上の制限の横断整理、頻出論点の優先順位は法令上の制限の頻出論点を参照してください。

    業法側とつなげる

    法令上の制限で覚えたことは、宅建業法でもう一度出てきます。市街化調整区域であることと43条1項の制限は、売買・交換と宅地の貸借では重要事項説明の対象で、建物の貸借では対象外(宅建業法施行令3条1項1号・2項・3項)。広告では「市街化調整区域。宅地の造成及び建物の建築はできません。」という文言の明示が求められ、新聞折込チラシ等・パンフレット等では16ポイント以上(表示規約13条、同施行規則7条6号)。

    科目をまたいで同じ知識が使える箇所は得点効率が高いので、まとめて確認しておいてください。

    理解度チェッククイズ

    次の記述の正誤を判定してください。

    問1. 市街化調整区域は市街化を抑制すべき区域であるから、都市計画に用途地域を定めることはできない。

    答えを見る 答えは誤りです。13条1項7号は「市街化区域については、少なくとも用途地域を定めるものとし、市街化調整区域については、**原則として**用途地域を定めないものとする」と定めています。「原則として定めない」であって「定めることができない」ではありません。方針として定めないのが原則ですが、例外的に定めることまで否定されてはいません。定めない理由は、建てることを予定していない区域に、どこに何を建てられるかの地図を描く意味がないからです。なお、用途地域を定めない区域に代えて定めることがある特定用途制限地域については、9条15項が「用途地域が定められていない土地の区域(**市街化調整区域を除く。**)内において」と明文で除いており、こちらは定められません。開発許可と43条の建築許可によりすでに強い規制が及んでいるためです。二つの条文で語尾と括弧書きが違う点を、対にして押さえてください。

    問2. 市街化調整区域内において、開発区域の面積が800平方メートルの土地について、住宅を建築する目的で土地の区画形質の変更を行う場合、開発許可を受ける必要はない。

    答えを見る 答えは誤りです。29条1項1号が規模による除外の対象としているのは「**市街化区域、区域区分が定められていない都市計画区域又は準都市計画区域**」の三つで、市街化調整区域は列挙されていません。施行令19条1項の表にも市街化調整区域の行はありません。したがって規模による除外の入口が存在せず、開発行為に当たる限り面積の大小にかかわらず許可が必要です。「面積要件がない」というのは規制がないという意味ではなく、四つの区域の中でもっとも厳しい扱いを意味します。数字を置けない理由は7条3項から導けます。「この規模までなら自由でよい」という枠を設けることが、市街化を抑制すべき区域という方針と矛盾するからです。なお、国土利用計画法23条2項1号ロは市街化調整区域を「都市計画区域(市街化区域を除く)」に含めて5,000平方メートルという基準を置いており、こちらでは面積が効きます。制度を取り違えないでください。

    問3. 市街化調整区域内においてゴルフコースを建設する目的で行う開発行為については、都市計画法33条の基準に適合するほか、34条各号のいずれかに該当すると認められなければ許可を受けることができない。

    答えを見る 答えは誤りです。34条の柱書は「市街化調整区域に係る開発行為(**主として第二種特定工作物の建設の用に供する目的で行う開発行為を除く。**)については」と括弧書きで限定しています。ゴルフコースは4条11項が「ゴルフコースその他大規模な工作物で政令で定めるもの」として直接名指ししているため、面積を問わず第二種特定工作物に当たります。したがってその建設のための開発行為には34条の立地基準が適用されず、33条の技術基準のみで判断されます。同じ括弧書きの発想は43条1項にも現れており、そちらも「第一種特定工作物を新設してはならず」として第二種特定工作物を対象から外しています。なお、開発許可自体は必要です。ゴルフコース建設のための土地の区画形質の変更は開発行為に当たり、市街化調整区域には規模による除外がないためです。

    問4. 市街化調整区域内において、地方公共団体が設置する診療所を建築するための開発行為は、公益上必要な建築物のための開発行為として開発許可を受ける必要がない。

    答えを見る 答えは誤りです。29条1項3号の適用除外の対象は施行令21条が列挙していますが、その26号は、国・都道府県等・市町村等が設置する建築物のうち**イからホに掲げるもの以外**のものに限っています。ハが医療法1条の5第1項の病院、同条2項の診療所、同法2条1項の助産所を挙げているため、診療所は明文で除かれます。イの学校(学校教育法1条の学校・専修学校・各種学校)とロの社会福祉施設等も同様です。ただし、これで終わりではありません。施行令29条の5が、34条1号の「政令で定める公益上必要な建築物」を「**第21条26号イからハまでに掲げる建築物**」と定めています。つまり29条1項3号の適用除外から外された学校・社会福祉施設・医療施設は、34条1号の立地類型として戻ってきます。許可が不要になるのではなく、**許可の審査を経れば通りうる**という位置づけです。ただし34条1号は「主として当該開発区域の周辺の地域において居住している者の利用に供する」ものに限っているため、広域から人を集める大規模な病院はこの限定に当たりません。

    問5. 市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内において、土地の区画形質の変更を伴わずに住宅を新築する場合、開発行為に当たらないため、都道府県知事の許可を受ける必要はない。

    答えを見る 答えは誤りです。開発許可が不要である点は正しいのですが、別の許可が必要です。43条1項は「何人も、市街化調整区域のうち**開発許可を受けた開発区域以外の区域内**においては、都道府県知事の許可を受けなければ、第29条第1項第2号若しくは第3号に規定する建築物以外の建築物を新築し、又は第一種特定工作物を新設してはならず」と定めています。造成を伴わないため開発行為に当たらず29条の許可は不要ですが、43条の建築許可は別に必要になります。この条文の役割は、開発許可の網から漏れる建築を塞ぐことにあります。ただし、農林漁業用建築物(29条1項2号)と公益上必要な建築物(同項3号)は43条でも許可不要で、ここは二つの条文が連動しています。またただし書と施行令35条に例外があり、既存の建築物の敷地内の車庫・物置等、床面積の合計10平方メートル以内の改築・用途変更、周辺の市街化調整区域内に居住している者の日常生活に必要な業務を営む延べ面積50平方メートル以内の店舗等の新築などは許可を要しません。43条2項を受けた施行令36条1項3号は、許可基準として34条1号から10号、11号の条例、12号相当の条例、14号相当の開発審査会の議を並べており、**立地の判断は開発許可と同じ**です。

    問6. 市街化調整区域に所在する宅地の貸借の媒介を行う場合、都市計画法43条1項に基づく建築の制限に関する事項の概要は、重要事項として説明しなければならない。

    答えを見る 答えは正しい記述です。宅建業法35条1項2号は「都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別に応じて政令で定めるものに関する事項の概要」を重要事項としており、同法施行令3条1項1号が都市計画法29条1項・2項および43条1項を含めて列挙しています。1項は貸借以外の契約(売買・交換)についての規定ですが、**宅地の貸借**については同条2項が、1項に規定する制限のうち一定のもの(都市計画法52条の3第2項・4項、57条2項・4項、67条1項・3項など)**以外**のものが対象になるとしており、**29条と43条は除外リストに入っていません**。したがって宅地の貸借でも説明対象です。これに対し**建物の貸借**については同条3項が、新住宅市街地開発法32条1項、新都市基盤整備法51条1項、流通業務市街地の整備に関する法律38条1項の三つだけを対象としており、都市計画法は入りません。売買・交換と宅地の貸借は必要、建物の貸借は不要、という三段の場合分けを押さえてください。なお広告の場面では、不動産の表示に関する公正競争規約13条および同施行規則7条6号により、賃貸住宅を除き「市街化調整区域。宅地の造成及び建物の建築はできません。」と明示することが求められ、新聞折込チラシ等およびパンフレット等の場合には16ポイント以上の大きさの文字を用いることとされています。

    まとめ

    • すべての起点は7条3項の一語です。「市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とする。」市街化区域の定義(7条2項)に「おおむね十年以内」という時間の枠があるのに対し、こちらには何もありません。市街化を進めないという方針そのものが区域の内容になっており、以下の規定はすべてこの一語から導けます。使われているのは「禁止」ではなく「抑制」であることを、常に確認してください。

    • 抑制なので、積む道具が抜かれています。用途地域は原則として定めず(13条1項7号)、特定用途制限地域は明文で除かれ(9条15項)、道路・公園・下水道の必置義務はかからず(13条1項11号の列挙外)、市街地開発事業・促進区域・市街地開発事業等予定区域は定められません(13条1項8号・13号・14号)。地区整備計画では容積率・建築面積・高さの最低限度だけが定められません(12条の5第7項)。最高限度は定められる、という非対称が抑制の性格を示しています。

    • 抑制なので、規模による除外の入口がありません。29条1項1号が列挙するのは市街化区域・非線引き都市計画区域・準都市計画区域の三つで、市街化調整区域は入っていません。施行令19条1項の表にも行がありません。ただし「面積要件がない」のは都市計画法29条1項1号の話であって、国土利用計画法23条2項1号ロでは5,000平方メートルの基準を受けます。制度を確定させてから数字を思い出してください。

    • 抑制であって禁止ではないので、34条が入口を開けています。33条が「許可をしなければならない」という羈束であるのに対し、34条は「いずれかに該当すると認める場合でなければ、許可をしてはならない」。市街化調整区域限定で、第二種特定工作物は除かれます。14の号は、14号が言葉にしている二つの問い、すなわち市街化を促進するおそれがないか市街化区域内で行うことが困難または著しく不適当かに畳めます。11号の「おおむね五十以上の建築物が連たん」、13号の「六月以内の届出・五年以内の実施」(施行令30条)が数字の要点です。

    • 29条で落ちたものが34条で拾われます。学校・社会福祉施設・医療施設は施行令21条26号イからハで29条1項3号の適用除外から外れますが、施行令29条の5がその同じイからハを34条1号の「政令で定める公益上必要な建築物」に指定しています。許可不要ではなくなったが、周辺住民の利用に供するものとして許可の審査を経れば通りうる。禁止でも自由でもない処理が、ここに端的に現れています。

    • 造成しなくても建てられません。43条1項が、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域について建築許可を要求しています。29条1項2号・3号の建築物は除かれ、第一種特定工作物のみが対象です。ただし書と施行令35条に例外があり、許可基準を定める施行令36条1項3号は34条1号から10号、11号・12号の条例、開発審査会の議を並べていて、立地の判断は開発許可と同じです。市街化調整区域は、開発許可・43条の建築許可・建築確認と関門が三つあります。

    • 取引の場面にも出てきます。市街化調整区域であることと43条1項の制限は、売買・交換および宅地の貸借では重要事項説明の対象、建物の貸借では対象外です(宅建業法35条1項2号、同法施行令3条1項1号・2項・3項)。広告では、賃貸住宅を除き「市街化調整区域。宅地の造成及び建物の建築はできません。」と明示し、新聞折込チラシ等・パンフレット等では16ポイント以上の文字を用いることとされています(表示規約13条、同施行規則7条6号)。その除外リストが34条11号・12号と施行令36条1項3号ロ・ハを指している点まで見ておくと、条例による回路が広告ルールまで貫通していることが分かります。

    宅建試験AIブートラボのアプリでは、市街化調整区域に関する肢を開発許可・建築許可・重要事項説明の別に絞って演習でき、どの関門で取り違えたかを切り分けて復習できます。

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    都市計画法・建築基準法・農地法は数字の暗記が中心です。繰り返しの肢別トレーニングが一番効きます。

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