非線引き区域と準都市計画区域の扱い
非線引き区域と準都市計画区域の意味・違いを宅建試験対策として解説。開発許可の面積要件、定められる都市計画の種類、建築制限の有無を比較表で整理。
宅建試験では、市街化区域・市街化調整区域に加えて、「非線引き区域」や「準都市計画区域」の扱いも出題されます。これらは市街化区域や市街化調整区域に比べると馴染みが薄いため、受験生が間違えやすい分野です。本記事では、非線引き区域と準都市計画区域のそれぞれの意味、定められる都市計画の違い、開発許可の面積要件を比較しながら丁寧に解説します。
都市計画区域等の全体像
まず、日本の国土がどのように区分されているかを理解しましょう。
区域の分類
| 区分 | 説明 |
|---|---|
| 都市計画区域(線引きあり) | 市街化区域 + 市街化調整区域 |
| 都市計画区域(線引きなし) | 非線引き区域(区域区分が定められていない都市計画区域) |
| 準都市計画区域 | 都市計画区域外で、土地利用の整序が必要な区域 |
| 都市計画区域外(準都市計画区域を除く) | 上記いずれにも属さない区域 |
区域の包含関係
日本の国土は大きく分けると以下の関係にあります。
- 都市計画区域の中に市街化区域・市街化調整区域・非線引き区域がある
- 準都市計画区域は都市計画区域の外に指定される
- 都市計画区域外は都市計画区域にも準都市計画区域にも属さない区域
非線引き区域とは
定義
非線引き区域とは、都市計画区域のうち、市街化区域にも市街化調整区域にも区分されていない区域のことです。正式名称は「区域区分が定められていない都市計画区域」です。
非線引き区域が生まれる理由
都市計画区域を定める際、区域区分(市街化区域と市街化調整区域の線引き)を定めるかどうかは、一部の都市計画区域を除き任意です。区域区分を定めなかった場合、その都市計画区域全体が「非線引き区域」となります。
非線引き区域で定められる都市計画
非線引き区域では、以下の都市計画を定めることができます。
- 用途地域: 定めることができる(任意)
- 特別用途地区: 用途地域が定められている場合に定められる
- 特定用途制限地域: 用途地域が定められていない区域に定められる
- 都市施設: 定めることができる
- 地区計画: 定めることができる
特定用途制限地域について
都市計画法第9条第15項
特定用途制限地域は、用途地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く。)内において、その良好な環境の形成又は保持のため当該地域の特性に応じて合理的な土地利用が行われるよう、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地域とする。
特定用途制限地域は「用途地域が定められていない区域」で「市街化調整区域を除く」区域に定められます。つまり、非線引き区域で用途地域が定められていない部分に定めることができます。
準都市計画区域とは
定義
準都市計画区域とは、都市計画区域外の区域のうち、そのまま土地利用を整序せずに放置すれば、将来における一体の都市としての整備、開発及び保全に支障が生じるおそれがあると認められる区域に指定されるものです。
指定権者
準都市計画区域は都道府県が指定します。市町村ではありません。
都市計画法第5条の2第1項
都道府県は、都市計画区域外の区域のうち、(中略)土地利用の整序又は環境の保全のための措置を講ずることなく放置すれば、将来における一体の都市としての整備、開発及び保全に支障が生じるおそれがあると認められる一定の区域を、準都市計画区域として指定することができる。
準都市計画区域で定められる都市計画
準都市計画区域では、限定的な都市計画のみ定めることができます。
- 用途地域
- 特別用途地区
- 特定用途制限地域
- 高度地区
- 景観地区
- 風致地区
- 緑地保全地域
- 伝統的建造物群保存地区
定められないもの:
- 区域区分(線引き)
- 都市施設
- 市街地開発事業
- マスタープラン
準都市計画区域が指定される典型例
- 高速道路のインターチェンジ周辺で無秩序な開発が進むおそれがある区域
- 幹線道路沿いで大型店舗が乱立する可能性がある区域
非線引き区域と準都市計画区域の比較
基本的な違い
| 比較項目 | 非線引き区域 | 準都市計画区域 |
|---|---|---|
| 位置づけ | 都市計画区域内 | 都市計画区域外 |
| 区域区分 | なし | なし |
| 用途地域 | 定めることができる(任意) | 定めることができる(任意) |
| 都市施設 | 定められる | 定められない |
| 市街地開発事業 | 定められる | 定められない |
| マスタープラン | 対象 | 対象外 |
開発許可の面積要件
| 区域 | 許可が必要な面積 |
|---|---|
| 非線引き区域 | 3,000m2以上 |
| 準都市計画区域 | 3,000m2以上 |
両区域とも開発許可の面積要件は3,000m2以上で同じです。
農林漁業用建築物の例外
| 区域 | 農林漁業用建築物の例外 |
|---|---|
| 非線引き区域 | 適用あり(許可不要) |
| 準都市計画区域 | 適用あり(許可不要) |
どちらの区域でも農林漁業用建築物の例外は適用されます(市街化区域のみ適用なし)。
建築基準法との関係
用途地域が定められている場合
非線引き区域・準都市計画区域のいずれでも、用途地域が定められている場合は、建築基準法に基づく用途制限が適用されます。
用途地域が定められていない場合
用途地域が定められていない非線引き区域・準都市計画区域では、建築基準法上の用途制限は原則として適用されません。ただし、特定用途制限地域が定められている場合は、条例による制限を受けます。
建築確認の要否
| 区域 | 建築確認の要否 |
|---|---|
| 都市計画区域内(非線引き区域含む) | 必要 |
| 準都市計画区域 | 必要 |
| 都市計画区域外(準都市計画区域を除く) | 一定の建築物のみ必要 |
非線引き区域は都市計画区域内なので建築確認が必要です。準都市計画区域も建築確認が必要です。
国土利用計画法との関係
国土利用計画法の届出面積要件も区域によって異なります。
| 区域 | 届出が必要な面積 |
|---|---|
| 市街化区域 | 2,000m2以上 |
| 市街化区域以外の都市計画区域(非線引き含む) | 5,000m2以上 |
| 都市計画区域外(準都市計画区域含む) | 10,000m2以上 |
非線引き区域は都市計画区域内なので5,000m2以上、準都市計画区域は都市計画区域外なので10,000m2以上です。
試験での出題ポイント
数字の覚え方
- 開発許可の面積要件: 「非線引きと準都市計画は3,000(サンゼン)で同じ」
- 国土利用計画法: 非線引きは都市計画区域内なので「ゴセン(5,000)」、準都市計画は区域外なので「イチマン(10,000)」
ひっかけパターン
- 「準都市計画区域は都市計画区域の一部である」 → 誤り。準都市計画区域は都市計画区域「外」に指定される
- 「準都市計画区域では都市施設を定めることができる」 → 誤り。準都市計画区域で都市施設は定められない
- 「非線引き区域の開発許可の面積要件は5,000m2以上」 → 誤り。3,000m2以上が正しい
- 「準都市計画区域は市町村が指定する」 → 誤り。都道府県が指定する
- 「準都市計画区域では建築確認が不要」 → 誤り。準都市計画区域でも建築確認は必要
理解度チェッククイズ
Q1. 準都市計画区域は都市計画区域の中に指定される。
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**× 誤り** 準都市計画区域は「都市計画区域外」の区域に指定されます。都市計画区域と準都市計画区域が重複することはありません。Q2. 非線引き区域と準都市計画区域の開発許可の面積要件は、いずれも3,000m2以上である。
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**○ 正しい** 非線引き区域・準都市計画区域のどちらも、3,000m2以上の開発行為に許可が必要です。Q3. 準都市計画区域ではマスタープラン(都市計画区域の整備、開発及び保全の方針)を定めなければならない。
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**× 誤り** マスタープランは都市計画区域に対して定めるものであり、準都市計画区域には定めません。Q4. 非線引き区域では、用途地域を必ず定めなければならない。
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**× 誤り** 用途地域を「必ず定める」のは市街化区域です。非線引き区域では用途地域を定めることは任意です。まとめ
非線引き区域と準都市計画区域について、以下の3点を押さえましょう。
- 位置づけの違いを理解する: 非線引き区域は「都市計画区域内」、準都市計画区域は「都市計画区域外」に指定される
- 開発許可の面積要件は同じ: どちらも3,000m2以上で許可が必要
- 定められる都市計画の範囲が異なる: 非線引き区域は都市施設等を定められるが、準都市計画区域は限定的な地域地区のみ
よくある質問(FAQ)
Q. 非線引き区域は今後、線引き(区域区分)されることはありますか?
A. はい、あり得ます。都市計画区域マスタープランの見直しにより、非線引き区域に区域区分が定められることがあります。
Q. 準都市計画区域で大規模開発を行う場合、どのような手続きが必要ですか?
A. 3,000m2以上の開発行為を行う場合は開発許可が必要です。また、国土利用計画法に基づく届出(10,000m2以上)も必要となる場合があります。
Q. 非線引き区域で特定用途制限地域を定める意味は何ですか?
A. 非線引き区域で用途地域が定められていない場合、建築物の用途制限がほぼないため、住環境にそぐわない建築物が建つ可能性があります。特定用途制限地域を定めることで、一定の建築物を制限し、良好な環境を保全します。
Q. 都市計画区域にも準都市計画区域にも属さない区域はありますか?
A. はい、日本の国土の相当部分は都市計画区域にも準都市計画区域にも属していません。これらの区域でも1ha(10,000m2)以上の開発行為には開発許可が必要です。
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