非線引き区域と準都市計画区域|例外側の二区域
区域区分が定められていない都市計画区域と準都市計画区域を、都市計画法5条・7条・8条2項の原則から順に降りて位置づけます。開発許可3,000平方メートルで一致し、国土法で割れる理由まで条文で。
目次
本記事の役割 — 都市計画法の区域のうち、例外側にある二つだけを取り出して原則と対比します。法律全体の骨格は都市計画法の全体像、市街化区域と市街化調整区域の対比は市街化区域と市街化調整区域の違い、数字だけを横断して整理したものは都市計画法の数字にあります。
ここでは、原則の条文から順に降りていくことで、この二つの区域が「どこに置かれているか」を先に確定させます。位置が決まれば、開発許可の面積も建築基準法の適用も、暗記せずに導けます。
宅建試験で「区域区分が定められていない都市計画区域」と「準都市計画区域」が取り違えられるのは、この二つが似ているからではありません。どちらも例外側にあるからです。
都市計画法の区域は、外枠を引き、その内側を割り、割ったそれぞれに別の道具を配る、という入れ子でできています。この構造の中で、非線引き区域は「割らなかった場合」に生まれ、準都市計画区域は「外枠の外に別の枠を置いた場合」に生まれます。どちらも原則の条文には正面から書かれておらず、原則の裏返しか、原則とは別立ての条文にあります。だから、原則を持たずにこの二つだけを覚えようとすると、位置が定まらないまま特徴だけが宙に浮きます。
先に結論を三つ述べます。
第一に、非線引き区域は都市計画区域そのものです。区域区分(7条)を定めなかっただけで、外枠の内側にいることは動きません。したがって都市計画区域に認められる道具は原則として使えます。むしろ条文は、多くの場面で非線引き区域を市街化区域と並べて扱っています。
第二に、準都市計画区域は都市計画区域の外です。別条(5条の2)で指定される別の枠であり、都市計画区域と重複することはありません。使える道具は8条2項が列挙する八つに限られ、積極的に市街地を作るための道具は一つも入っていません。
第三に、この二つが一致するのは開発許可の面積要件だけと考えてよいほど、扱いは分かれます。どちらも3,000平方メートルですが、これは施行令19条の表が両者を同じ欄に置いているという、いわば偶然の一致です。国土利用計画法の届出面積は5,000平方メートルと1万平方メートルに割れます。割れる理由は一つ、都市計画区域の内か外かです。
以下、外枠から順に降りていきます。
なお本記事の条文は、令和8年度試験の基準である2026年4月1日時点で施行されていた版によっています。都市計画法は 343AC0000000100_20250604_507AC0000000051、都市計画法施行令は 344CO0000000158_20260401_508CO0000000066、建築基準法は 325AC0000000201_20260401_507AC0000000068、国土利用計画法は 349AC1000000092_20250601_504AC0000000068 です。基準日の扱いは記事の後半で改めて整理します。
第一段 外枠を引く(5条)
都市計画区域は「指定するものとする」
すべての出発点が5条1項です。都道府県は、市または人口・就業者数その他の事項が政令で定める要件に該当する町村の中心の市街地を含み、かつ自然的および社会的条件、人口、土地利用、交通量その他国土交通省令で定める事項に関する現況および推移を勘案して、一体の都市として総合的に整備し、開発し、及び保全する必要がある区域を都市計画区域として指定する、と定めています。
語尾に注意してください。「指定するものとする」です。「指定することができる」ではありません。要件に該当する区域については指定が予定されている、という書き方になっています。この語尾は、後で見る準都市計画区域の5条の2第1項「指定することができる」と正面から対になります。
5条2項には別ルートもあります。首都圏整備法・近畿圏整備法・中部圏開発整備法による都市開発区域その他、新たに住居都市、工業都市その他の都市として開発し、および保全する必要がある区域についても、都道府県が都市計画区域として指定するものとされています。既成の市街地を含まなくても、これから都市を作る場所には外枠を引ける、という規定です。
行政区画にとらわれない
5条1項の後段が「この場合において、必要があるときは、当該市町村の区域外にわたり、都市計画区域を指定することができる」としています。
都市としての一体性は、市町村の境界と一致しません。通勤圏や商圏が境界をまたいでいるのに、境界で線を切ってしまえば、一体の都市として整備することができなくなります。そこで指定の単位を行政区画から切り離しています。
そして5条4項が、二以上の都府県の区域にわたる都市計画区域は国土交通大臣が指定するとしています。この場合、大臣はあらかじめ関係都府県の意見を聴き、意見を述べようとする関係都府県はあらかじめ関係市町村および都道府県都市計画審議会の意見を聴かなければなりません。
指定権者の原則は都道府県、例外は国土交通大臣。この例外が発動するのは「二以上の都府県にわたる」場合だけであって、区域が広いからでも人口が多いからでもありません。
手続には大臣の同意が要る
5条3項が指定の手続を定めています。都道府県は、あらかじめ関係市町村および都道府県都市計画審議会の意見を聴くとともに、国土交通省令で定めるところにより国土交通大臣に協議し、その同意を得なければならない、としています。
協議だけでなく同意まで要求されている点が、この条文の特徴です。都市計画区域の指定は、国土計画や広域の交通計画とも噛み合わせなければならないため、国の関与が強く設計されています。ここも準都市計画区域との対比点になります。
そして5条5項により、都市計画区域の指定は公告することによって行うとされ、6項が変更・廃止についてこれらの規定を準用しています。
この節の要点
- 指定権者は都道府県。二以上の都府県にわたる場合だけ国土交通大臣(5条4項)。
- 語尾は「指定するものとする」(5条1項・2項)。
- 市町村の区域外にわたって指定できる(5条1項後段)。
- 手続は関係市町村・都道府県都市計画審議会の意見と、国土交通大臣の協議および同意(5条3項)。
- 指定は公告により行う(5条5項)。
第二段 内側を割る、あるいは割らない(7条)
「必要があるとき」という条件
7条1項本文は、都市計画区域について無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため必要があるときは、都市計画に市街化区域と市街化調整区域との区分(区域区分)を定めることができる、としています。
ここが分岐点です。5条が「指定するものとする」だったのに対し、7条は「定めることができる」であり、しかも「必要があるとき」という条件が付いています。外枠は引くが、内側を割るかどうかは判断によるという構造になっているわけです。
割る必要があるのは、市街化の圧力が現に高く、放っておくとスプロールが起きる場所です。逆に、人口が減っていて開発圧力が小さい都市計画区域では、線を引いて片側を「市街化を抑制すべき区域」と宣言する実益が乏しい。そこで、割らないという選択が制度上認められています。
三大都市圏と大都市では義務になる
7条1項にはただし書があり、次に掲げる都市計画区域については区域区分を定めるものとする、としています。
1号が、次に掲げる土地の区域の全部または一部を含む都市計画区域です。イが首都圏整備法2条3項の既成市街地または同条4項の近郊整備地帯、ロが近畿圏整備法2条3項の既成都市区域または同条4項の近郊整備区域、ハが中部圏開発整備法2条3項の都市整備区域。2号が、これらのほか大都市に係る都市計画区域として政令で定めるものです。
三大都市圏の中枢部と、政令が指定する大都市。ここでは市街化の圧力が構造的に高く、線を引かないという判断があり得ないため、義務化されています。原則は選択、例外は義務、という順序で覚えてください。この三つの圏域は、後で見る開発許可の面積要件(施行令19条2項の500平方メートル読み替え)にも同じ顔ぶれで登場します。
割った場合の二つの区域
7条2項が市街化区域を「すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」と定義し、7条3項が市街化調整区域を「市街化を抑制すべき区域」と定義しています。
前者には「おおむね10年以内」という時間の枠が入り、後者には何も入っていません。この非対称が、後の制度差のほとんどを説明します。両区域の詳細は市街化区域と市街化調整区域の違いで扱っています。
割らなかった場合が非線引き区域
そして、7条1項本文が「できる」である以上、定めない都市計画区域が存在します。これが非線引き区域です。
ここで一つ、条文の読み方として押さえておくべきことがあります。都市計画法に「非線引き区域」という語はありません。条文が使う呼び方は「区域区分が定められていない都市計画区域」です。29条1項1号も、13条1項11号も、施行令19条の表も、すべてこの言い方をしています。
「非線引き区域」は実務と受験の世界で通用している略称であって、法令用語ではありません。試験の選択肢は条文の言い方で書かれることが多いので、「区域区分が定められていない都市計画区域」という長い呼称を見て一拍置いてしまうと、それだけで時間を失います。二つの呼び名が同じものを指すことを、条文の側から確認しておいてください。
第三段 非線引き区域は都市計画区域である
位置が決まれば帰結が決まる
非線引き区域について覚えるべきことは、実はほとんどありません。それが都市計画区域だという一点から、ほぼすべてが導けるからです。
都市計画区域について定められる都市計画は6条の2から13条までが規律しており、そこには「区域区分が定められている場合に限る」といった限定はほとんど置かれていません。区域区分は都市計画区域に載る一つのメニューにすぎず、それを選ばなかったからといって他のメニューが消えるわけではない、という関係になっています。
用途地域は任意
13条1項7号が、地域地区に関する都市計画基準を定めたうえで、「この場合において、市街化区域については、少なくとも用途地域を定めるものとし、市街化調整区域については、原則として用途地域を定めないものとする」としています。
条文が名指ししているのは市街化区域と市街化調整区域の二つだけです。非線引き区域は、この書き分けのどちらにも登場しません。登場しない以上、義務も禁止もかからず、定めることも定めないこともできる、という結論になります。
これは条文に「非線引き区域では任意である」と書いてあるのではなく、書かれていないことから導かれる結論です。この導き方を身につけておくと、暗記量が大きく減ります。用途地域そのものの中身は用途地域13種類と建築制限、覚え方は用途地域13種の覚え方で扱っています。
都市施設は市街化区域と同じ扱い
ここが非線引き区域の理解で最も見落とされる箇所です。
13条1項11号は、都市施設に関する基準を定めたうえで、「この場合において、市街化区域及び区域区分が定められていない都市計画区域については、少なくとも道路、公園及び下水道を定めるものとし、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域及び田園住居地域については、義務教育施設をも定めるものとする」としています。
条文が並べているのは市街化区域と非線引き区域です。市街化調整区域は入っていません。つまり道路・公園・下水道の必置という義務について、非線引き区域は市街化区域と同じ側に立っています。
この帰結は直感に反するかもしれません。線を引いていない区域なのだから規制が緩いはずだ、と考えると逆になります。しかし理由は明快で、非線引き区域には市街化調整区域のような「市街化を抑制する」という方針がなく、現に人が住み建物が建つ場所だからです。人が住む以上、道路と公園と下水道は要る。市街化調整区域にこれを義務づけないのは、そこに市街地を作らない前提だからです。
市街地開発事業も促進区域も定められる
同じ並びは他の号にも現れます。
13条1項8号は、促進区域について「市街化区域又は区域区分が定められていない都市計画区域内において」定めることとしています。13条1項13号は、市街地開発事業について「市街化区域又は区域区分が定められていない都市計画区域内において、一体的に開発し、又は整備する必要がある土地の区域について」定めることとしています。13条1項14号の市街地開発事業等予定区域も、市街地開発事業に係るものについては同じ限定です。
土地区画整理事業、市街地再開発事業といった面的整備の事業(12条1項)は、非線引き区域で行えます。市街化調整区域では行えません。積極的に市街地を作る道具は、市街化区域と非線引き区域に配られているという整理になります。土地区画整理事業の仕組みは土地区画整理法で扱っています。
地区計画も同様です。12条の4第1項が「都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる計画を定めることができる」として地区計画等を挙げており、非線引き区域は都市計画区域なので当然に対象になります。12条の5第1項は、地区計画を定められる区域として、用途地域が定められている土地の区域と、用途地域が定められていない土地の区域のうち一定の要件に該当するものを挙げています。非線引き区域で用途地域を定めていない場所でも、要件に当たれば地区計画を定められるということです。制度の詳細は地区計画とはにあります。
立地基準がかからない
もう一つ、開発許可の側でも非線引き区域は市街化調整区域と分かれます。
34条は「前条の規定にかかわらず、市街化調整区域に係る開発行為(主として第二種特定工作物の建設の用に供する目的で行う開発行為を除く。)については」として、33条の技術基準に加えて同条各号のいずれかに該当しなければ知事は開発許可をしてはならない、と定めています。
34条の立地基準がかかるのは市街化調整区域だけです。非線引き区域でも準都市計画区域でも、審査されるのは33条の技術基準のみで、「そもそもその場所で開発してよいか」という立地の審査は入りません。33条1項が「開発許可をしなければならない」という羈束の形をとっていることとあわせると、面積要件を超えても基準を満たせば許可は出る、という関係になります。
非線引き区域は「市街化区域寄り」で持つ
以上をまとめると、非線引き区域は市街化調整区域よりも市街化区域に近い扱いを受けています。用途地域だけが任意で緩く、都市施設の必置、市街地開発事業、促進区域、地区計画、立地基準の不存在という点では市街化区域と同じ側です。
「線を引いていないから何もない区域」と考えると、この並びが全部逆になります。線を引かなかったのは、抑制する必要がなかったからだと理解してください。抑制の宣言をしていない以上、市街化を前提とした道具は使える、という筋が通ります。
第四段 外枠の外に別の枠を置く(5条の2)
定義を三つに分ける
5条の2第1項は長い一文なので、三つに切って読みます。
第一の要件が場所です。「都市計画区域外の区域のうち」から始まっています。都市計画区域の内側には指定できません。
第二の要件が実態です。「相当数の建築物その他の工作物(建築物等)の建築若しくは建設又はこれらの敷地の造成が現に行われ、又は行われると見込まれる区域を含み」。すでに開発が起きているか、これから起きると見込まれることが要ります。何も起きていない山林原野には指定できません。
第三の要件が必要性です。自然的および社会的条件、農業振興地域の整備に関する法律その他の法令による土地利用の規制の状況その他の現況および推移を勘案して、「そのまま土地利用を整序し、又は環境を保全するための措置を講ずることなく放置すれば、将来における一体の都市としての整備、開発及び保全に支障が生じるおそれがあると認められる一定の区域」。放置すると後で困る、という将来予測が要件になっています。
想定されているのは、高速道路のインターチェンジ周辺や幹線道路沿いのように、都市計画区域の外なのに開発圧力が生じている場所です。ロードサイドに大型店舗や資材置場が虫食い状に発生し、後から都市計画区域に取り込もうとしても手遅れになる。そうなる前に、土地利用の整序だけをかけておく制度です。
語尾は「指定することができる」
5条の2第1項の末尾は「準都市計画区域として指定することができる」です。
5条1項の「指定するものとする」と読み比べてください。都市計画区域の指定は要件に該当すれば予定された行為であるのに対し、準都市計画区域の指定は完全に裁量です。放置すれば支障が生じるおそれがあると認められても、指定しないという選択があり得ます。
制度の性格の差がここに出ています。都市計画区域は都市を整備するための枠なので、都市があるなら引かなければならない。準都市計画区域は「困ったことになる前に最低限の網をかけておく」ための枠なので、かけるかどうかは判断に委ねられます。
手続に大臣の同意はない
5条の2第2項は、都道府県が準都市計画区域を指定しようとするときは、あらかじめ関係市町村及び都道府県都市計画審議会の意見を聴かなければならない、としています。
条文はここで終わっています。5条3項にあった「国土交通大臣に協議し、その同意を得なければならない」に相当する部分がありません。
都市計画区域の指定は大臣の同意が要り、準都市計画区域の指定は要らない。この差は、二つの制度の重さの差そのものです。都市計画区域は国の計画と噛み合わせる必要があるのに対し、準都市計画区域は地域の土地利用を整序するだけで、広域の骨格に影響しません。
そして5条の2第3項により、準都市計画区域の指定も公告することによって行い、4項が変更・廃止に準用しています。公告により効力が生じる点は都市計画区域と同じです。
都市計画区域と重複しない
見落とされやすいのが5条の2第5項です。「準都市計画区域の全部又は一部について都市計画区域が指定されたときは、当該準都市計画区域は、前項の規定にかかわらず、廃止され、又は当該都市計画区域と重複する区域以外の区域に変更されたものとみなす。」
準都市計画区域に後から都市計画区域が指定された場合、重複部分は自動的に準都市計画区域から抜けます。全部が重複するなら準都市計画区域は廃止されたものとみなされ、一部なら残りの区域に変更されたものとみなされる。改めて廃止や変更の手続を踏む必要はありません。
この条文が意味するのは、都市計画区域と準都市計画区域は論理的にも手続的にも重複しないということです。1項の「都市計画区域外の区域のうち」という要件を、後発の事情でも貫くための規定になっています。「準都市計画区域は都市計画区域の一部である」「両者は重複することがある」という選択肢は、いずれもここで切れます。
第五段 準都市計画区域に定められる都市計画は八つだけ(8条2項)
条文は番号で指している
8条1項は「都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる地域、地区又は街区を定めることができる」として、1号から16号まで地域地区を列挙しています。柱書が都市計画区域を名指ししている点をまず確認してください。
そのうえで8条2項が「準都市計画区域については、都市計画に、前項第一号から第二号の二まで、第三号(高度地区に係る部分に限る。)、第六号、第七号、第十二号(都市緑地法第五条の規定による緑地保全地域に係る部分に限る。)又は第十五号に掲げる地域又は地区を定めることができる」としています。
番号を展開すると次の八つになります。
第一が用途地域(1項1号)。第二が特別用途地区(2号)。第三が特定用途制限地域(2号の2)。第四が高度地区(3号のうち高度地区に係る部分)。第五が景観地区(6号。景観法61条1項による)。第六が風致地区(7号)。第七が緑地保全地域(12号のうち都市緑地法5条による緑地保全地域に係る部分)。第八が伝統的建造物群保存地区(15号。文化財保護法143条1項による)。
高度地区は入り、高度利用地区は入らない
8条1項3号は「高度地区又は高度利用地区」という一つの号です。そして2項の括弧書きが「高度地区に係る部分に限る」と切り出しています。同じ号の中で、高度地区だけが準都市計画区域に持ち込まれ、高度利用地区は残されるという構造です。
ここが頻出の理由は、二つの制度が名前で紛れるからだけではありません。切り分けの理由が制度の性格に直結しているからです。
9条18項は、高度地区を「用途地域内において市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定める地区」としています。扱うのは高さです。
9条19項は、高度利用地区を「用途地域内の市街地における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るため、建築物の容積率の最高限度及び最低限度、建築物の建蔽率の最高限度、建築物の建築面積の最低限度並びに壁面の位置の制限を定める地区」としています。扱うのは容積率などで、しかも目的が「高度利用」と「都市機能の更新」です。
準都市計画区域は土地利用を整序するための区域であって、土地を高度に利用させ都市機能を更新するための区域ではありません。高度利用地区は目的が正面から衝突するため入らない。高さを抑える方向で環境を守る高度地区は、整序という目的と噛み合うため入る。この理由づけで持てば、丸暗記が不要になります。
さらに8条3項2号トが、高度地区について都市計画に定めるべき事項を「建築物の高さの最高限度又は最低限度(準都市計画区域内にあつては、建築物の高さの最高限度)」としています。準都市計画区域では最低限度を定められません。最低限度を課すのは「もっと高く建てさせる」方向の規制であり、これも整序の目的から外れるからです。
八つのうち三つは用途地域との関係で決まる
列挙された八つは、横並びの八つではありません。用途地域との関係で三層に分かれます。
用途地域そのものが土台です。準都市計画区域でも定めることができます。
特別用途地区と高度地区は、用途地域があることを前提とします。9条14項が特別用途地区を「用途地域内の一定の地区における当該地区の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため当該用途地域の指定を補完して定める地区」とし、9条18項が高度地区を「用途地域内において」と定めているからです。準都市計画区域に用途地域を定めていなければ、この二つは定められません。
特定用途制限地域は逆に、用途地域がないことを前提とします。9条15項が「用途地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く。)内において、その良好な環境の形成又は保持のため当該地域の特性に応じて合理的な土地利用が行われるよう、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地域」としているからです。
ここで括弧書きに注目してください。「市街化調整区域を除く」という除外は、市街化調整区域が存在する区域でしか意味を持ちません。準都市計画区域には区域区分がなく、したがって市街化調整区域も存在しないので、この除外は空振りします。準都市計画区域では、用途地域を定めていない部分すべてに特定用途制限地域を定められる、ということです。
残る景観地区・風致地区・緑地保全地域・伝統的建造物群保存地区の四つは、用途地域の内外を問いません。目的が用途の配分とは別のところ(景観、風致、緑地、歴史的建造物群)にあるからです。
定められないものを性格で束ねる
八つに入らなかったものは膨大ですが、性格で束ねれば覚える必要はほとんどありません。
区域区分(7条)が定められないのは、7条1項が「都市計画区域について」と書いているからです。そもそも条文の適用対象外であり、また市街化を計画的に進める場所ではない準都市計画区域で線を引く意味もありません。
都市施設(11条1項)と市街地開発事業(12条1項)が定められないのは、両条の柱書がいずれも「都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる施設/事業を定めることができる」と書いているからです。市街地開発事業等予定区域(12条の2第1項)、地区計画等(12条の4第1項)も同じ柱書で、すべて都市計画区域限定です。
都市計画区域の整備、開発及び保全の方針、いわゆるマスタープラン(6条の2第1項)も「都市計画区域については、都市計画に、当該都市計画区域の整備、開発及び保全の方針を定めるものとする」であり、準都市計画区域には及びません。
地域地区の中で落ちたものも同じ発想で説明できます。高度利用地区、特定街区、特例容積率適用地区、高層住居誘導地区は、いずれも土地を高度に利用させるための道具です。防火地域および準防火地域は市街地における火災の危険を防除するための地域で、密集した市街地の存在を前提とします。臨港地区、流通業務地区、生産緑地地区も、それぞれ特定の都市機能を前提とした制度です。
したがって、覚えるべきは一文です。準都市計画区域には、積極的に市街地を作る道具と、高度に使わせる道具が入らない。入るのは、用途を配分する道具(用途地域とその周辺)と、環境・景観・歴史を守る道具だけです。
13条3項が基準そのものを絞っている
この性格づけは、都市計画基準の側からも裏づけられます。
13条3項は「準都市計画区域について定められる都市計画は、第一項に規定する国土計画若しくは地方計画又は施設に関する国の計画に適合するとともに、地域の特質及び当該地域における自然的環境の整備又は保全の重要性を考慮して、次に掲げるところに従つて、土地利用の整序又は環境の保全を図るため必要な事項を定めなければならない。この場合においては、当該地域における農林漁業の生産条件の整備に配慮しなければならない」としています。
定めるべき事項が「土地利用の整序又は環境の保全」に限定されており、しかも農林漁業への配慮が明記されています。都市計画区域について13条1項が「土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する事項」を一体的かつ総合的に定めよと命じているのと比べると、射程の狭さが一目で分かります。
なお13条3項1号が挙げる基準は地域地区に関するもの一つだけで、「住居の環境を保護し、良好な景観を形成し、風致を維持し、公害を防止する等地域の環境を適正に保持するように定めること」となっています。ここでも「市街化」「整備」という語は出てきません。
第六段 二つの区域が一致するところ
開発許可の面積要件は同じ欄にある
29条1項は、都市計画区域または準都市計画区域内において開発行為をしようとする者に都道府県知事(指定都市等の区域内では当該指定都市等の長)の許可を義務づけたうえで、1号から11号までの例外を並べています。面積の話は1号です。
1号が除外しているのは「市街化区域、区域区分が定められていない都市計画区域又は準都市計画区域内において行う開発行為で、その規模が、それぞれの区域の区分に応じて政令で定める規模未満であるもの」です。
政令が施行令19条で、その1項の表は二段構えになっています。第一欄が「市街化区域」で第二欄が「千平方メートル」、第一欄が「区域区分が定められていない都市計画区域及び準都市計画区域」で第二欄が「三千平方メートル」。
つまり、二つの区域は条文の表の上でも一つの欄にまとめられています。別々に定められた数字がたまたま一致しているのではなく、政令が最初から同じ扱いをしているということです。これが一致の理由であり、覚え方でもあります。
境界は「以上」
29条1項1号が除外しているのは「政令で定める規模未満であるもの」です。裏返せば、ちょうど3,000平方メートルは除外されず、許可が必要になります。「3,000平方メートルを超える場合に許可が必要」と書いた選択肢は、この境界をずらしています。
他の区域との位置関係
四つの区域を並べると、市街化調整区域には数字がなく(29条1項1号に列挙されていないため規模による除外の入口が存在しない)、市街化区域が1,000平方メートル、非線引き区域と準都市計画区域が3,000平方メートル、都市計画区域および準都市計画区域外が1万平方メートル(29条2項、施行令22条の2)です。
施行令19条2項による読み替えにも触れておきます。都の区域(特別区の存する区域に限る)および、市町村でその区域の全部または一部が首都圏整備法の既成市街地・近郊整備地帯、近畿圏整備法の既成都市区域・近郊整備区域、中部圏開発整備法の都市整備区域内にあるものの区域については、1項の表の市街化区域の項の「千平方メートル」を「五百平方メートル」と読み替えます。
読み替えの対象は市街化区域の項だけです。非線引き区域と準都市計画区域の3,000平方メートルは、三大都市圏であっても動きません。ここを混ぜた選択肢が作られます。
一方、施行令19条1項ただし書による条例での引下げは、両方の欄にあります。都道府県(指定都市等または事務処理市町村の区域内ではその長)は、条例で、区域を限り、第四欄の範囲内で規模を別に定められます。第四欄は、市街化区域が300平方メートル以上1,000平方メートル未満、区域区分が定められていない都市計画区域および準都市計画区域が300平方メートル以上3,000平方メートル未満。下限はどちらも300平方メートルで、引下げのみが認められ引上げはできません。面積要件の全体は開発許可が必要な面積要件で扱っています。
農林漁業の例外も同じ扱い
29条1項2号は、「市街化調整区域、区域区分が定められていない都市計画区域又は準都市計画区域内において行う開発行為で、農業、林業若しくは漁業の用に供する政令で定める建築物又はこれらの業務を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行うもの」を除外しています。
ここでも非線引き区域と準都市計画区域が並んでいます。そして市街化区域が列挙されていない点が対比になります。市街化区域では、農業用温室を建てるための造成であっても、1,000平方メートル以上なら許可が必要です。区域外については29条2項1号が同じ内容の例外を置いています。
政令で定める建築物は施行令20条にあり、1号が畜舎・蚕室・温室・育種苗施設等の生産または集荷の用に供する建築物、2号が堆肥舎・サイロ・農機具等収納施設等の貯蔵または保管の用に供する建築物、3号が家畜診療の用に供する建築物、4号が用排水機・取水施設等の管理の用に供する建築物または索道の用に供する建築物、そして5号が「前各号に掲げるもののほか、建築面積が九十平方メートル以内の建築物」です。適用除外の全体像は開発許可が不要な場合にまとめています。
用途地域がない場合の上乗せも共通
41条1項は、都道府県知事は、用途地域の定められていない土地の区域における開発行為について開発許可をする場合において必要があると認めるときは、当該開発区域内の土地について、建築物の建蔽率、建築物の高さ、壁面の位置その他建築物の敷地、構造および設備に関する制限を定めることができる、としています。
非線引き区域で用途地域を定めていない場所、準都市計画区域で用途地域を定めていない場所は、どちらもこの条文の対象です。2項により、定められた制限に違反して建築してはならず、ただし知事が環境の保全上支障がないと認め、または公益上やむを得ないと認めて許可したときは例外となります。
条文に具体的な数値が書かれていない点が、この規定の要点です。数値は個別の処分で定まるので、「用途地域のない区域では建蔽率が何パーセントに制限される」といった数字を示す選択肢は、その時点で条文の建付けと合いません。
第七段 二つの区域が割れるところ
国土利用計画法の届出面積
一致していた二つが、はっきり割れるのが国土利用計画法です。
23条1項は、土地売買等の契約を締結した場合、当事者のうち権利の移転または設定を受けることとなる者(権利取得者)が、その契約を締結した日から起算して二週間以内に、当該土地が所在する市町村の長を経由して都道府県知事に届け出なければならないとしています。
そして23条2項1号が、届出が不要となる面積を三つに分けています。イが「都市計画法第七条第一項の規定による市街化区域にあつては、二千平方メートル」、ロが「都市計画法第四条第二項に規定する都市計画区域(イに規定する区域を除く。)にあつては、五千平方メートル」、ハが「イ及びロに規定する区域以外の区域にあつては、一万平方メートル」です。
条文は「面積未満の土地について契約を締結した場合」に届出義務を適用しないという書き方なので、裏返せばこれらの面積以上で届出が必要になります。
割れる理由は一つだけ
ここで二つの区域を当てはめてみてください。
非線引き区域は都市計画区域であり、市街化区域ではありません。したがってロの「都市計画区域(市街化区域を除く)」に入り、5,000平方メートルが基準になります。
準都市計画区域は都市計画区域ではありません。イにもロにも入らないので、ハの「イ及びロに規定する区域以外の区域」に落ち、1万平方メートルが基準になります。
割れる理由は一つです。国土利用計画法の条文が「都市計画区域か否か」だけで区分しているからであって、開発許可のように準都市計画区域を名指ししていないからです。都市計画法の側では準都市計画区域が独立の項目として列挙されているのに対し、国土利用計画法の側では独立の項目がなく、残余のカテゴリーに落ちる。この条文の作りの違いが、そのまま結論の違いになっています。
なお市街化調整区域も、ロの「都市計画区域(市街化区域を除く)」に含まれるので5,000平方メートルです。開発許可では面積要件のない市街化調整区域が、国土法ではしっかり基準を受けるという逆転は、都市計画法と国土利用計画法をまたぐ最大の引っかけ箇所です。届出制度の全体は国土利用計画法、法律をまたいだ手続の整理は法令上の制限の横断整理にあります。
都市計画を決める者も分かれうる
15条1項は「次に掲げる都市計画は都道府県が、その他の都市計画は市町村が定める」として、都道府県が定めるものを列挙しています。1号が都市計画区域の整備、開発及び保全の方針、2号が区域区分、3号が都市再開発方針等、4号が8条1項4号の2・9号から13号まで・16号に掲げる地域地区の一定のもの、5号が一の市町村の区域を超える広域の見地から決定すべき地域地区・都市施設等として政令で定めるもの、6号が市街地開発事業の一定のもの、7号が市街地開発事業等予定区域の一定のものです。
非線引き区域では、区域区分がないので2号が出てくる場面がありません。用途地域は列挙されていないので市町村が定めます。都市施設や市街地開発事業は、広域性や規模によって都道府県と市町村に分かれます。
準都市計画区域では、8条2項の八つのうち、4号の対象に入るのは12号の緑地保全地域(それも二以上の市町村の区域にわたるものに限る)だけです。用途地域、特別用途地区、特定用途制限地域、高度地区、景観地区、風致地区、伝統的建造物群保存地区は、いずれも列挙されていないので市町村が定めます。準都市計画区域を指定するのは都道府県なのに、その中に置く地域地区の多くを決めるのは市町村、というねじれがあります。指定と決定を混ぜないでください。決定手続の全体は都市計画の種類と決定手続きにまとめています。
計画提案はどちらでもできる
21条の2第1項は、「都市計画区域又は準都市計画区域のうち、一体として整備し、開発し、又は保全すべき土地の区域としてふさわしい政令で定める規模以上の一団の土地の区域について」、当該土地の所有権または建物の所有を目的とする対抗要件を備えた地上権もしくは賃借権を有する者(土地所有者等)が、一人でまたは数人共同して、都道府県または市町村に対し都市計画の決定または変更を提案できる、としています。
条文が明文で準都市計画区域を含めています。政令で定める規模は施行令15条により0.5ヘクタール(条例で0.1ヘクタール以上0.5ヘクタール未満の範囲に引下げ可)、同意要件は21条の2第4項2号により土地所有者等の3分の2以上で、かつ同意した者に係る地積の合計が総地積の3分の2以上です。人数と地積の両方が要ります。
「準都市計画区域は限定的な区域だから提案制度の対象外」と考えると誤ります。条文が列挙しているかどうかで判断してください。
第八段 建築基準法から見た二つの区域
集団規定は準都市計画区域にも及ぶ
準都市計画区域を置く実益が最もはっきり出るのが、建築基準法との関係です。
建築基準法41条の2は「この章(第八節を除く。)の規定は、都市計画区域及び準都市計画区域内に限り、適用する。」と定めています。
「この章」とは第3章「都市計画区域等における建築物の敷地、構造、建築設備及び用途」であり、いわゆる集団規定です。敷地と道路との関係(43条以下)、建築物の用途(48条以下)、容積率・建蔽率・高さ(52条以下)、防火地域等(61条以下)が、ここに入っています。
つまり、建築基準法の集団規定は、都市計画区域と準都市計画区域にしか適用されません。言い換えれば、都市計画区域外であっても、準都市計画区域に指定されればこれらの規制が働き始めます。
これが準都市計画区域という制度の核心です。都市計画法の側で使える道具は八つに限られていますが、区域を指定したこと自体によって、建築基準法の集団規定という大きな規制群が丸ごと及ぶ。8条2項のリストだけを見ていると、準都市計画区域を「ほとんど何もできない区域」と誤解しますが、実際には建築基準法の側で相当に強い規制がかかります。
具体的には、43条1項の接道義務(建築物の敷地は道路に2メートル以上接しなければならない)が働きます。都市計画区域外では働きません。42条の道路の定義、44条の道路内の建築制限、48条の用途制限、52条の容積率、53条の建蔽率、56条の斜線制限も同様です。建蔽率と容積率の仕組みは建蔽率と容積率の基礎、高さの制限は建築物の高さ制限、接道義務は接道義務で扱っています。
なお、除かれている「第八節」は都市計画区域および準都市計画区域外の区域内の建築物に関する規定で、68条の9がここに置かれています。同条1項は、6条1項3号に基づき都道府県知事が関係市町村の意見を聴いて指定する区域内において、地方公共団体が条例で建築物と道路との関係、容積率、高さ等の制限を定められるとするものです。区域外にも規制を及ぼす受け皿が別途用意されている、という位置づけになります。
建築確認は規模を問わず必要になる
建築基準法6条1項は、確認が必要な建築物を三つの号で定めています。
1号が別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が200平方メートルを超えるもの。2号が、1号を除くほか、二以上の階数を有し、または延べ面積が200平方メートルを超える建築物。そして3号が「前二号に掲げる建築物を除くほか、都市計画区域若しくは準都市計画区域(いずれも都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)若しくは景観法74条1項の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。)内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物」です。
3号には規模の要件がありません。したがって、都市計画区域内または準都市計画区域内であれば、平屋の小さな物置であっても建築確認が必要になります。非線引き区域は都市計画区域なので当然に3号の対象、準都市計画区域も条文が名指ししているので対象です。
ただし括弧書きに例外があります。「いずれも都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く」。都市計画区域内・準都市計画区域内であっても、知事がこの手続で指定した区域では3号が働きません。「都市計画区域内では常に建築確認が必要」と断定する記述は、この括弧書きを落としています。
なお6条2項により、防火地域および準防火地域外において建築物を増築・改築・移転しようとする場合で、その部分の床面積の合計が10平方メートル以内であるときは、1項の規定は適用されません。対象が増築・改築・移転に限られ、新築には及ばない点に注意してください。建築確認の詳細は建築確認、開発許可との関係は開発許可と建築確認にあります。
用途地域がなくても用途制限はゼロではない
「用途地域が定められていなければ用途制限はない」という理解は、正確ではありません。
建築基準法48条14項は、「用途地域の指定のない区域(都市計画法第七条第一項に規定する市街化調整区域を除く。)内においては、別表第二(か)項に掲げる建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が当該区域における適正かつ合理的な土地利用及び環境の保全を図る上で支障がないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない」と定めています。
別表第二(か)項が挙げているのは、劇場、映画館、演芸場もしくは観覧場、ナイトクラブその他これに類する用途で政令で定めるもの、または店舗、飲食店、展示場、遊技場、勝馬投票券発売所、場外車券売場その他これらに類する用途で政令で定めるものに供する建築物で、その用途に供する部分(劇場等については客席の部分に限る)の床面積の合計が一万平方メートルを超えるものです。
いわゆる大規模集客施設の立地規制です。非線引き区域や準都市計画区域のうち用途地域を定めていない場所は、まさにこの条項の対象になります。幹線道路沿いに大型商業施設が突然出現するのを止めるという、準都市計画区域を置く動機そのものに対応した規定です。
そして用途地域がなくても、建蔽率と容積率には上限が設定されます。53条1項6号が、用途地域の指定のない区域内の建築物の建蔽率を「十分の三、十分の四、十分の五、十分の六又は十分の七のうち、特定行政庁が土地利用の状況等を考慮し当該区域を区分して都道府県都市計画審議会の議を経て定めるもの」とし、52条1項8号が容積率を「十分の五、十分の八、十分の十、十分の二十、十分の三十又は十分の四十のうち」同じ手続で定めるものとしています。
数値そのものが都市計画で決まるのではなく、選択肢の中から特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て選ぶ、という仕組みです。建蔽率は五段階、容積率は六段階から選ばれます。
さらに特定用途制限地域が定められれば、49条の2により、その区域内の建築物の用途の制限は、当該特定用途制限地域に関する都市計画に即し、政令で定める基準に従い、地方公共団体の条例で定められます。法律が直接制限するのではなく条例に委ねる形である点が、用途地域の場合と違います。建築基準法側の全体像は建築基準法の頻出ポイントを参照してください。
法令の基準日について
宅建試験は、その年度の4月1日現在施行されている法令から出題されます。令和8年度であれば2026年4月1日時点の条文が基準であり、今日の条文ではありません。
都市計画法には、令和8年法律第23号(都市再生特別措置法等の一部を改正する法律)による改正が2026年5月27日に施行されています。5月27日は4月1日より後なので、この改正は令和8年度試験の出題範囲に入りません。建築基準法と土地区画整理法も同じ改正法で同日に施行されています。
ただし、基準日版と5月27日施行版を条単位で照合した結果、都市計画法の本則164条すべてに差分はありませんでした。追加されたのは附則が1件のみで、実体的な改正部分は別の施行日に係るものです。したがって本記事で扱った5条、5条の2、7条、8条、9条、11条、12条、13条、15条、21条の2、29条、33条、34条、41条のいずれについても、どちらの版で読んでも内容は変わりません。建築基準法についても本則291条に差分はありません。
一方、都市計画法施行令は基準日より前に二度改正されており、こちらは範囲内です。令和7年政令第205号が2025年7月1日に、令和8年政令第66号が2026年4月1日に施行されています。内容を確認すると、いずれも変更されたのは施行令21条の1条のみで、同条26号の除外リストにそれぞれ「乳児等通園支援事業」「オンライン診療受診施設」を追加したものでした。開発許可の面積要件を定める施行令19条と22条の2は、どちらの改正でも動いていません。本記事の3,000平方メートル、1,000平方メートル、500平方メートル、300平方メートル、1ヘクタールは、そのまま令和8年度の基準になります。
ここで持ち帰ってほしいのは個々の施行日ではなく、施行日を見て慌てず、条文を見て判断するという手順です。施行日が基準日より後だからといって内容が変わっているとは限らず、逆に施行日を見ずに最新の条文を使えば基準を外します。数字や要件がそのまま答えになる論点ほど、版を確認する価値があります。
試験での出題ポイント
準都市計画区域の位置をずらす
最も基本的な型が、準都市計画区域を都市計画区域の内側に置くものです。「準都市計画区域は都市計画区域のうち一定の要件を満たす区域について指定される」「都市計画区域と準都市計画区域は重複して指定されることがある」はいずれも誤りになります。5条の2第1項の「都市計画区域外の区域のうち」と、5条の2第5項の重複解消規定が根拠です。
指定権者と手続をすり替える
準都市計画区域を市町村が指定するとする型、都市計画区域の指定に大臣の同意が不要だとする型、逆に準都市計画区域の指定に大臣の同意が要るとする型。いずれも定番です。都市計画区域は都道府県(二以上の都府県にわたる場合は国土交通大臣)で大臣の同意が必要、準都市計画区域は都道府県で大臣の同意は不要、と組で覚えてください。
語尾を入れ替える
5条1項は「指定するものとする」、5条の2第1項は「指定することができる」、7条1項本文は「定めることができる」、7条1項ただし書は「定めるものとする」、13条1項7号は市街化区域について「少なくとも用途地域を定めるものとする」。義務なのか裁量なのかを、条文ごとに添えて覚えるのが唯一の対策です。
八つのリストに出入りさせる
準都市計画区域に定められる地域地区の列挙は、そのまま出題の宝庫です。高度利用地区、特定街区、防火地域および準防火地域、特例容積率適用地区、高層住居誘導地区を混ぜ込む型が多く、いずれも誤りです。逆に、風致地区や伝統的建造物群保存地区を「定められない」とする型もあります。
あわせて、区域区分、都市施設、市街地開発事業、市街地開発事業等予定区域、地区計画、マスタープランを準都市計画区域に定められるとする選択肢も定番です。「積極的に作る道具は入らない」という一文で切ってください。
高度地区と高度利用地区を取り違えさせる
名称が似ているうえに8条1項3号が一つの号で並べているため、切り出しを問う出題が作りやすくなっています。高度地区は高さ、高度利用地区は容積率等。準都市計画区域に入るのは高度地区だけで、しかも定められるのは高さの最高限度のみ(8条3項2号ト)。三点まとめて押さえてください。
面積の数字を入れ替える
開発許可の3,000平方メートルを5,000平方メートルにする、国土利用計画法の5,000平方メートルと1万平方メートルを入れ替える、三大都市圏の500平方メートル読み替えを非線引き区域や準都市計画区域にも及ぼす、条例引下げを市街化区域だけの制度とする。数字が出てきたら、どの法律のどの区域の数字かを先に確定させてください。
非線引き区域を市街化調整区域と同視する
見落とされやすいのがこの型です。「区域区分が定められていない都市計画区域については、道路、公園及び下水道を定めることを要しない」(13条1項11号に反する)、「区域区分が定められていない都市計画区域内では市街地開発事業を定めることができない」(13条1項13号に反する)、「区域区分が定められていない都市計画区域における開発許可については、34条の基準にも適合しなければならない」(34条は市街化調整区域限定)。いずれも誤りです。
非線引き区域は市街化区域と並べられている場面が多いという事実を先に持っておくと、こうした選択肢に違和感が生じます。
用途地域がなければ規制がないとする
「用途地域が定められていない区域では、建築物の用途に関する制限は一切適用されない」は誤りです。建築基準法48条14項と別表第二(か)項により、床面積の合計が1万平方メートルを超える一定の大規模集客施設は建築できません。建蔽率と容積率も、53条1項6号・52条1項8号により特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て定めます。
建築確認を不要とする
「準都市計画区域は都市計画区域外なので、小規模な建築物については建築確認を要しない」は誤りです。建築基準法6条1項3号が準都市計画区域を明示しており、規模の要件はありません。ただし同号括弧書きの、知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域は除かれます。
覚え方・整理の仕方
二つの問いに落とす
区域の問題は、次の二つの問いに落とせます。
第一の問い、都市計画区域の内か外か。これで非線引き区域(内)と準都市計画区域(外)が分かれます。国土利用計画法の5,000平方メートルと1万平方メートル、建築基準法の集団規定の適用、都市施設や市街地開発事業を定められるかは、すべてこの問いの答えで決まります。
第二の問い、区域区分があるか。これで市街化区域・市街化調整区域(あり)と非線引き区域(なし)が分かれます。用途地域の必置か任意か、34条の立地基準がかかるかは、この問いで決まります。
事案を読んだら、この二問を先に処理してください。個別の知識を思い出す前に位置を決める、という順序が崩れなければ、取り違えはほとんど起きません。
一本の線に並べる
紙に横線を一本引き、左から順に「市街化区域・非線引き区域・市街化調整区域」と書き、その線全体を大きな括弧でくくって「都市計画区域」と書きます。括弧の右外に「準都市計画区域」、さらにその右に「区域外」と書きます。
この図の上で数字を書き込むと関係が見えます。開発許可は左から1,000(三大都市圏の一定の市町村の区域では500)、3,000、なし、3,000、10,000。国土法は2,000、5,000、5,000、10,000、10,000。開発許可では非線引きと準都市が同じで、国土法では非線引きと市街化調整区域が同じという組み替えが、図の上で確認できます。
図を毎回同じ手順で描けるようになると、表を暗記するより崩れにくくなります。数字の階層的な整理は都市計画法の数字、暗記の型は法令上の制限の暗記法にまとめています。
準都市計画区域の八つは「土台と守り」で束ねる
八つを列挙で覚える必要はありません。土台が用途地域、土台の上が特別用途地区と高度地区、土台のない場所が特定用途制限地域。ここまでで四つです。残り四つは守る道具で、景観地区が景観、風致地区が風致、緑地保全地域が緑地、伝統的建造物群保存地区が歴史。
そして入らないものは一文で切ります。作る道具と、高く使わせる道具は入らない。都市施設も市街地開発事業も地区計画もマスタープランも作る道具、高度利用地区も特定街区も特例容積率適用地区も高層住居誘導地区も高く使わせる道具です。
対比を三組だけ持つ
条文の対比は三組に絞れます。
一組目が指定です。都市計画区域は「するものとする」で大臣の同意あり、準都市計画区域は「できる」で大臣の同意なし。どちらも都道府県が指定し、公告により行う点は共通です。
二組目が開発許可です。非線引きと準都市が3,000平方メートルで一致し、施行令19条の表でも同じ欄。市街化区域が1,000、市街化調整区域が数字なし、区域外が1万。
三組目が国土法です。非線引きが5,000、準都市が1万。都市計画区域の内か外かだけで割れる。
この三組を言えるようにしておけば、大半の選択肢は処理できます。
条番号を組で持つ
都市計画区域は5条、準都市計画区域は5条の2、区域区分は7条、地域地区の列挙と準都市計画区域の八つは8条1項・2項、地域地区の定義は9条、都市施設は11条、市街地開発事業は12条、地区計画等は12条の4、都市計画基準は13条(1項7号が用途地域、11号が都市施設、13号が市街地開発事業、3項が準都市計画区域)、決定権者は15条、計画提案は21条の2、開発許可は29条と施行令19条、立地基準は34条、用途地域のない区域の制限は41条。
建築基準法側は、集団規定の適用区域が41条の2、建築確認が6条1項3号、用途地域のない区域の用途制限が48条14項と別表第二(か)項、建蔽率が53条1項6号、容積率が52条1項8号。
条番号まで組で持っておくと、疑問が出たときに自分で条文にあたれます。法令上の制限全体の頻出論点は法令上の制限の頻出論点にまとめてあります。
理解度チェッククイズ
次の記述の正誤を判定してください。
問1. 準都市計画区域は、都市計画区域外の区域のうち一定の要件に該当するものについて都道府県が指定するが、指定にあたってはあらかじめ国土交通大臣に協議し、その同意を得なければならない。
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答えは誤りです。準都市計画区域の指定に国土交通大臣の同意は要りません。5条の2第2項は、都道府県が準都市計画区域を指定しようとするときは、あらかじめ**関係市町村及び都道府県都市計画審議会の意見を聴かなければならない**と定めるにとどまり、大臣への協議・同意の規定を置いていません。これに対し都市計画区域の指定については、5条3項が関係市町村および都道府県都市計画審議会の意見を聴くとともに、国土交通大臣に協議し、**その同意を得なければならない**と定めています。都市計画区域は国土計画や広域の施設計画と噛み合わせる必要があるのに対し、準都市計画区域は地域の土地利用を整序するための枠なので、国の関与が軽く設計されています。なお、都市計画区域外の区域のうち一定の要件に該当するものについて都道府県が指定するという前段は正しい記述で、語尾は「指定することができる」という裁量の形です。問2. 準都市計画区域については、都市計画に、用途地域、特別用途地区、特定用途制限地域、高度地区、高度利用地区、景観地区、風致地区、緑地保全地域、伝統的建造物群保存地区を定めることができる。
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答えは誤りです。**高度利用地区**が入っている点が誤りで、それ以外の八つは8条2項が定めるとおりです。8条2項は、準都市計画区域について定められる地域地区を「前項第一号から第二号の二まで、第三号(**高度地区に係る部分に限る。**)、第六号、第七号、第十二号(緑地保全地域に係る部分に限る。)又は第十五号」としており、8条1項3号の「高度地区又は高度利用地区」のうち高度地区だけを切り出しています。高度地区は9条18項により建築物の高さの最高限度または最低限度を定める地区であるのに対し、高度利用地区は9条19項により土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図るため容積率の最高限度・最低限度、建蔽率の最高限度、建築面積の最低限度、壁面の位置の制限を定める地区です。土地利用の整序を目的とする準都市計画区域と、高度利用という目的が正面から衝突します。なお8条3項2号トにより、準都市計画区域内の高度地区で定められるのは**高さの最高限度のみ**で、最低限度は定められません。問3. 区域区分が定められていない都市計画区域については、都市計画に、少なくとも道路、公園及び下水道を定めるものとされている。
答えを見る
答えは正しい記述です。13条1項11号は、都市施設に関する都市計画基準を定めたうえで、「この場合において、**市街化区域及び区域区分が定められていない都市計画区域については、少なくとも道路、公園及び下水道を定めるものとし**、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域及び田園住居地域については、義務教育施設をも定めるものとする」としています。条文が並べているのは市街化区域と非線引き区域であり、**市街化調整区域は入っていません**。線を引いていないから規制が緩いはずだと考えると逆になる箇所です。非線引き区域には市街化を抑制するという方針がなく、現に人が住み建物が建つ場所なので、市街地の基盤となる三つの施設が必置とされています。同じ並びは13条1項8号(促進区域)と13号(市街地開発事業)にも現れ、非線引き区域は多くの場面で市街化区域と同じ側に立ちます。問4. 区域区分が定められていない都市計画区域内の6,000平方メートルの土地について売買契約を締結した場合と、準都市計画区域内の6,000平方メートルの土地について売買契約を締結した場合とで、国土利用計画法に基づく事後届出の要否は変わらない。
答えを見る
答えは誤りです。要否は変わります。国土利用計画法23条2項1号は、届出が不要となる面積を、イが市街化区域について2,000平方メートル、ロが**都市計画区域(市街化区域を除く)**について5,000平方メートル、ハが**イ及びロに規定する区域以外の区域**について1万平方メートルと定めています。非線引き区域は都市計画区域なのでロに入り、基準は5,000平方メートルです。6,000平方メートルはこれ以上なので**届出が必要**です。準都市計画区域は都市計画区域ではないのでハに落ち、基準は1万平方メートルです。6,000平方メートルはこれ未満なので**届出は不要**です。開発許可では都市計画法施行令19条1項の表が二つの区域を同じ欄に置いて3,000平方メートルで一致させているため、国土利用計画法でも同じだと考えてしまう誤りが生じます。国土利用計画法の条文は準都市計画区域を名指ししておらず、都市計画区域か否かだけで区分している点が違いの原因です。なお届出は、権利取得者が契約を締結した日から起算して2週間以内に、当該土地が所在する市町村の長を経由して都道府県知事に対して行います(23条1項)。問5. 準都市計画区域内において、用途地域が定められていない区域では、建築物の用途に関する制限は適用されず、また平屋建てで延べ面積が100平方メートルの倉庫を建築する場合には建築確認を受ける必要がない。
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答えは誤りです。二つとも誤っています。第一に、用途地域が定められていなくても用途制限はあります。建築基準法48条14項は、用途地域の指定のない区域(市街化調整区域を除く)内においては**別表第二(か)項に掲げる建築物を建築してはならない**とし、同項が劇場、映画館、演芸場、観覧場、ナイトクラブ等または店舗、飲食店、展示場、遊技場、勝馬投票券発売所、場外車券売場等の用途に供する部分の床面積の合計が**1万平方メートルを超えるもの**を挙げています。特定行政庁の許可があれば例外となりますが、原則として建築できません。第二に、建築確認は必要です。建築基準法6条1項3号は、1号・2号に該当しない建築物であっても、**都市計画区域若しくは準都市計画区域**内における建築物について確認を要するとしており、規模の要件を置いていません。したがって平屋建て100平方メートルの倉庫でも確認が必要です。ただし同号括弧書きにより、都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域は除かれます。準都市計画区域は都市計画区域外でありながら、建築基準法41条の2により第3章の集団規定が適用される点が制度の核心です。問6. 区域区分が定められていない都市計画区域内において行う開発行為については、都市計画法33条の技術基準に適合するほか、34条各号のいずれかに該当すると認められなければ、都道府県知事は開発許可をすることができない。
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答えは誤りです。34条の立地基準がかかるのは**市街化調整区域だけ**です。34条は「前条の規定にかかわらず、**市街化調整区域に係る開発行為**(主として第二種特定工作物の建設の用に供する目的で行う開発行為を除く。)については」として、33条の要件に該当するほか同条各号のいずれかに該当すると認める場合でなければ開発許可をしてはならない、と定めています。非線引き区域も準都市計画区域も市街化調整区域ではないので、審査されるのは33条の技術基準のみです。そして33条1項は、基準に適合し申請手続が違反していないと認めるときは「開発許可を**しなければならない**」という羈束の形をとっています。市街化調整区域だけが立地の審査を受けるのは、7条3項が同区域を「市街化を抑制すべき区域」と定義しており、そもそもその場所で開発してよいかを問う必要があるからです。抑制の方針を持たない非線引き区域に、同じ審査をかける理由がありません。まとめ
原則から降りると位置が決まります。5条が都道府県による都市計画区域の指定(大臣の同意が必要、二以上の都府県にわたる場合は大臣が指定)、7条が「必要があるとき」に行う区域区分。7条が「できる」である以上、割らない都市計画区域が存在し、それが区域区分が定められていない都市計画区域です。法令用語としての「非線引き区域」は存在せず、条文はこの長い呼称を使います。準都市計画区域は5条の2という別条で、都市計画区域外について指定される別の枠です。
非線引き区域は都市計画区域なので、そこから帰結が出ます。用途地域は任意(13条1項7号が市街化区域と市街化調整区域しか名指ししていないため)。道路・公園・下水道は市街化区域と同じく必置(13条1項11号)。市街地開発事業も促進区域も定められる(13条1項8号・13号)。地区計画も定められる(12条の4)。34条の立地基準はかからない。市街化調整区域寄りではなく市街化区域寄りという向きで持ってください。
準都市計画区域に定められるのは八つだけです。用途地域、特別用途地区、特定用途制限地域、高度地区、景観地区、風致地区、緑地保全地域、伝統的建造物群保存地区(8条2項)。高度地区は入るが高度利用地区は入らず、入った高度地区も高さの最高限度しか定められません(8条3項2号ト)。区域区分、都市施設、市街地開発事業、市街地開発事業等予定区域、地区計画、マスタープランは、いずれも根拠条文の柱書が「都市計画区域については」と書いているため及びません。作る道具と高く使わせる道具は入らない、が覚え方です。
一致するのは開発許可の面積要件です。29条1項1号を受けた施行令19条1項の表が、「区域区分が定められていない都市計画区域及び準都市計画区域」を一つの欄にまとめて3,000平方メートルとしています。三大都市圏の500平方メートル読み替え(同条2項)は市街化区域の項にしか及ばず、条例による300平方メートルまでの引下げ(同条1項ただし書)は両方の欄にあります。農林漁業用建築物の例外(29条1項2号)もこの二つの区域に共通で、市街化区域には及びません。
割れるのは都市計画区域の内か外かで決まる場面です。国土利用計画法23条2項1号は、非線引き区域をロの「都市計画区域(市街化区域を除く)」に入れて5,000平方メートル、準都市計画区域をハの「それ以外の区域」に落として1万平方メートルとします。一方、建築基準法41条の2により第3章の集団規定は都市計画区域と準都市計画区域に限って適用されるので、こちらでは二つとも同じ側に立ちます。建築確認も6条1項3号が両区域を名指しし、規模を問いません。用途地域がない場所でも、48条14項と別表第二(か)項により1万平方メートル超の大規模集客施設は建てられず、建蔽率と容積率は特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て定めます(53条1項6号、52条1項8号)。
宅建試験AIブートラボのアプリでは、区域ごとに肢を絞って演習でき、非線引き区域と準都市計画区域のどちらで取り違えたかを切り分けて復習できます。
都市計画法・建築基準法・農地法は数字の暗記が中心です。繰り返しの肢別トレーニングが一番効きます。