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地区計画|街区の単位まで縮尺を落とす

法令上の制限 読了 約48分

地区計画を、都市計画のなかで唯一「街区」を扱う計画という一点から整理します。定められる区域、地区整備計画の中身、30日前までの届出と勧告、そして建築基準法68条の2の条例が実効性を与える二段構えまで。

目次

    本記事の役割 — 地区計画を、都市計画のなかで唯一「街区」を単位とする計画という一点から整理します。都市計画法全体の骨格は都市計画法の全体像、都市計画の種類と決定手続は都市計画の種類と決定手続き、区域の話は非線引き区域と準都市計画区域市街化調整区域にあります。
    ここでは、縮尺が一段下がることによって、定められる場所も、決め方も、効かせ方も変わるという筋を追います。中心に置くのは、都市計画法の届出制と建築基準法の条例が二段構えになっているという構造です。

    都市計画法の条文は、大きいものから小さいものへ順に並んでいます。5条が都市計画区域という外枠を引き、7条がその内側を市街化区域と市街化調整区域に割り、8条が地域地区を重ね、11条が都市施設、12条が市街地開発事業を置く。ここまではすべて、市や町の全体、少なくとも数百ヘクタール単位の話です。

    12条の4と12条の5で、縮尺が一気に落ちます。12条の5第1項は、地区計画を「建築物の建築形態、公共施設その他の施設の配置等からみて、一体としてそれぞれの区域の特性にふさわしい態様を備えた良好な環境の各街区を整備し、開発し、及び保全するための計画」と定義しています。

    「各街区」。都市計画法の中で、この単位を正面から扱う制度はほかにありません。用途地域は面で塗り分ける制度、地区計画は街区を彫り込む制度です。

    先に結論を三つ述べます。

    第一に、縮尺が下がると、住民が近くなります。16条1項は公聴会について「必要があると認めるとき」に講ずるものとしていますが、16条2項は地区計画等の案について、条例で定めるところにより区域内の土地所有者等の意見を求めて作成する、と例外なしに義務づけています。都市計画のなかで、住民の関与が条文上の義務になっているのは地区計画等だけです。

    第二に、縮尺が下がると、都市計画法だけでは効かなくなります。58条の2の届出制は、届け出れば行為ができるのが原則で、市町村長にできるのは勧告までです。命令はできません。街区単位の細かいルールを、上から許可制で縛る制度にはなっていません。

    第三に、実効性は建築基準法68条の2の条例が与えます。そして条例が地区計画の内容を制限として定め切ると、施行令38条の7第3号により、その行為については届出そのものが不要になります。届出制は条例の補完であって、条例が完備すれば出番がなくなる。この関係が、地区計画という制度の性格を端的に示しています。

    以下、この三つを条文で確かめていきます。

    なお本記事の条文は、令和8年度試験の基準である2026年4月1日時点で施行されていた版によっています。都市計画法は 343AC0000000100_20250604_507AC0000000051、都市計画法施行令は 344CO0000000158_20260401_508CO0000000066、建築基準法は 325AC0000000201_20260401_507AC0000000068 です。基準日の扱いは後半で改めて整理します。

    縮尺を一段落とす

    12条の4が置かれている位置

    12条の4第1項は、こう始まります。「都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる計画を定めることができる。」

    まず柱書を確認してください。都市計画区域限定です。11条1項(都市施設)、12条1項(市街地開発事業)、12条の2第1項(市街地開発事業等予定区域)と同じ書き出しで、これらはすべて準都市計画区域には及びません。準都市計画区域に定められる都市計画は8条2項が列挙する八つの地域地区に限られ、そこに地区計画は入っていません。この点は非線引き区域と準都市計画区域で扱っています。

    そのうえで列挙されているのが五つです。1号が地区計画、2号が密集市街地整備法32条1項による防災街区整備地区計画、3号が地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律31条1項による歴史的風致維持向上地区計画、4号が幹線道路の沿道の整備に関する法律9条1項による沿道地区計画、5号が集落地域整備法5条1項による集落地区計画。これらをまとめて「地区計画等」と呼びます。

    2号から5号までは、それぞれ別の法律に根拠がある特別型です。宅建試験で中心になるのは1号の地区計画ですが、後で見る建築基準法68条の2の条例は「地区計画等」全体を対象としているので、五つの並びは押さえておいてください。

    そして12条の4第2項が、地区計画等について都市計画に定める事項として、種類、名称、位置および区域を「定めるものとする」とし、区域の面積その他の政令で定める事項を「定めるよう努めるものとする」としています。

    縮尺が下がると何が変わるか

    用途地域と地区計画を比べると、違いが三つ出てきます。

    第一が決める主体です。用途地域も地区計画も市町村が定めますが、その理由の重さが違います。用途地域は都市の骨格に関わるため15条1項の列挙との関係で位置づけが問題になりますが、地区計画は住民が毎日歩く範囲の話なので、市町村以外が定める余地がそもそもありません。

    第二が決め方です。街区の話は、そこに住んでいる人の合意がなければ実現しません。だから16条2項が住民の意見聴取を義務づけ、16条3項が住民からの申出の回路まで用意しています。

    第三が効かせ方です。街区単位のルールは、垣や柵の構造、建築物の色彩、壁面の位置といった細かいところに及びます。これを都道府県知事の許可制で一つひとつ審査するのは現実的ではありません。そこで、都市計画法は届出制という緩い規律にとどめ、実効性が必要な部分だけを市町村の条例が拾う、という分担になっています。

    以下、この三つを順に見ていきます。

    どこに定められるか

    二つの入口

    12条の5第1項は、地区計画を定めることができる土地の区域を、二つの号で示しています。

    1号が「用途地域が定められている土地の区域」です。これは無条件です。用途地域が定められていれば、追加の要件なく地区計画を定められます。用途地域という土台の上に、街区単位の彫り込みを重ねる形になります。用途地域の中身は用途地域13種類と建築制限で扱っています。

    2号が「用途地域が定められていない土地の区域のうち次のいずれかに該当するもの」で、イからハの三つが挙げられています。

    イが「住宅市街地の開発その他建築物若しくはその敷地の整備に関する事業が行われる、又は行われた土地の区域」。これから事業が行われる場所か、すでに行われた場所です。

    ロが「建築物の建築又はその敷地の造成が無秩序に行われ、又は行われると見込まれる一定の土地の区域で、公共施設の整備の状況、土地利用の動向等からみて不良な街区の環境が形成されるおそれがあるもの」。

    ハが「健全な住宅市街地における良好な居住環境その他優れた街区の環境が形成されている土地の区域」。

    ロとハは正反対を向いている

    ここが読みどころです。ロは「悪くなりそうな場所」、ハは「すでに良い場所」。放置すると崩れる場所と、放置すると失われる場所の両方が、同じ号の中に並んでいます。

    一見すると矛盾しているようですが、地区計画の目的が12条の5第1項の「整備し、開発し、及び保全する」という三語に分かれていることを思い出せば筋が通ります。整備と開発が必要なのがロ、保全が必要なのがハです。イは整備・開発の事業と結びついた類型です。

    「地区計画は、環境が悪化するおそれのある区域についてのみ定めることができる」という選択肢は、ハを落とした誤りになります。

    市街化調整区域にも定められる

    意外に思われやすいのが、市街化調整区域です。

    市街化調整区域には原則として用途地域が定められません(13条1項7号)。したがって12条の5第1項2号のイからハのいずれかに当たれば、地区計画を定めることができます。条文のどこにも市街化調整区域を除く旨は書かれていません。

    むしろ、市街化調整区域に地区計画を定めることは条文が正面から想定しています。13条1項15号イが、都市計画基準として「市街化調整区域における地区計画 市街化区域における市街化の状況等を勘案して、地区計画の区域の周辺における市街化を促進することがない等当該都市計画区域における計画的な市街化を図る上で支障がないように定めること」と、専用の基準を置いているからです。定められないなら、この基準を置く必要がありません。

    そして34条10号が、地区計画または集落地区計画の区域(地区整備計画または集落地区整備計画が定められている区域に限る)内において、その計画に定められた内容に適合する建築物等のための開発行為を、市街化調整区域における開発許可の立地基準の一つとしています。地区計画を定めることが、市街化調整区域で開発許可を受ける経路になるわけです。市街化調整区域の規制構造は市街化調整区域で扱っています。

    ただし内容には縛りがかかります。12条の5第7項の柱書が、括弧書きで「(市街化調整区域内において定められる地区整備計画については、建築物の容積率の最低限度、建築物の建築面積の最低限度及び建築物等の高さの最低限度を除く。)」としています。外れる三つはいずれも「最低限度」、つまりもっと大きく建てさせる方向の規制です。市街化を抑制すべき区域と衝突するため抜かれています。最高限度のほうは定められます。

    この節の要点

    • 地区計画等は都市計画区域限定(12条の4第1項)。準都市計画区域には定められない。
    • 用途地域内は無条件(12条の5第1項1号)。
    • 用途地域外はイ・ロ・ハのいずれかが要る。ロが悪化のおそれ、ハがすでに良好な環境。
    • 市街化調整区域にも定められる。13条1項15号イに専用の基準があり、34条10号が開発許可の経路になる。
    • 市街化調整区域内では「最低限度」三つを定められない(12条の5第7項の括弧書き)。

    何を定めるか

    語尾の順序を取り違えない

    12条の5第2項が、地区計画について都市計画に定める事項を並べています。

    「地区計画については、前条第二項に定めるもののほか、都市計画に、第一号に掲げる事項を定めるものとするとともに、第二号及び第三号に掲げる事項を定めるよう努めるものとする。

    そして1号が「次に掲げる施設(地区施設)及び建築物等の整備並びに土地の利用に関する計画(以下「地区整備計画」という。)」、2号が「当該地区計画の目標」、3号が「当該区域の整備、開発及び保全に関する方針」です。

    順序を正確に読んでください。「定めるものとする」のは地区整備計画であり、「定めるよう努めるものとする」のが目標と方針です。方針が必須で地区整備計画が任意、という理解は条文と逆になります。

    もっとも、地区整備計画にも逃げ道はあります。12条の5第8項が「地区計画を都市計画に定める際、当該地区計画の区域の全部又は一部について地区整備計画を定めることができない特別の事情があるときは、当該区域の全部又は一部について地区整備計画を定めることを要しない」としています。そして「この場合において、地区計画の区域の一部について地区整備計画を定めるときは、当該地区計画については、地区整備計画の区域をも都市計画に定めなければならない」と続きます。

    一部だけ定めるなら、どこが地区整備計画の区域かを都市計画で明示しなければならない。後で見る届出制の対象区域が地区整備計画の区域を基準にしているので、境界をはっきりさせておく必要があるからです。

    地区施設とは何か

    12条の5第2項1号は、地区施設をイとロに分けています。

    イが「主として街区内の居住者等の利用に供される道路、公園その他の政令で定める施設」。施行令7条の4第1項が、この政令で定める施設を「都市計画施設以外の施設である道路又は公園、緑地、広場その他の公共空地」としています。

    ロが「街区における防災上必要な機能を確保するための避難施設、避難路、雨水貯留浸透施設(雨水を一時的に貯留し、又は地下に浸透させる機能を有する施設であつて、浸水による被害の防止を目的とするものをいう。)その他の政令で定める施設」。施行令7条の4第2項が、これらのうち「都市計画施設に該当しないもの」としています。

    イとロに共通するのが、都市計画施設ではないことです。11条の都市施設として都市計画に定められた道路や公園は、都市計画施設として別に扱われます。地区施設は、それより小さい、街区の中で使われる道路や広場です。ここにも縮尺の違いが現れています。

    地区整備計画で定められる事項

    12条の5第7項が、地区整備計画において「定めることができる」事項を五つの号で並べています。柱書が「できる」なので、それぞれは任意です。

    1号が地区施設の配置および規模。

    2号が建築物等に関する事項で、ここが長い列挙です。建築物等の用途の制限、建築物の容積率の最高限度または最低限度、建築物の建蔽率の最高限度、建築物の敷地面積または建築面積の最低限度、建築物の敷地の地盤面の高さの最低限度、壁面の位置の制限、壁面後退区域(壁面の位置の制限として定められた限度の線と敷地境界線との間の土地の区域)における工作物の設置の制限、建築物等の高さの最高限度または最低限度、建築物の居室の床面の高さの最低限度、建築物等の形態または色彩その他の意匠の制限、建築物の緑化率の最低限度、そして「その他建築物等に関する事項で政令で定めるもの」。この政令が施行令7条の6で、垣又はさくの構造の制限が定められています。

    3号が、現に存する樹林地、草地等で良好な居住環境を確保するため必要なものの保全に関する事項(4号に該当するものを除く)。

    4号が、現に存する農地で農業の利便の増進と調和した良好な居住環境を確保するため必要なものにおける土地の形質の変更その他の行為の制限に関する事項。

    5号が、前各号のほか土地の利用に関する事項で政令で定めるもの。

    最高限度と最低限度を仕分ける

    2号の列挙は、最高限度・最低限度のどちらを定められるかで整理すると覚えやすくなります。

    両方定められるのが、容積率と、建築物等の高さの二つです。

    最高限度だけなのが、建蔽率です。建蔽率の最低限度という規制は存在しません。敷地に対して一定割合以上を建物で覆えという規制に、意味がないからです。

    最低限度だけなのが、敷地面積、建築面積、敷地の地盤面の高さ、居室の床面の高さ、緑化率です。敷地面積の最低限度は敷地の細分化を防ぐため、地盤面と居室の床面の高さの最低限度は浸水対策のため、緑化率の最低限度は緑を確保するための規制で、いずれも上限を設ける意味がありません。

    「最高限度」「最低限度」という語がないのが、用途の制限、壁面の位置の制限、壁面後退区域における工作物の設置の制限、形態・意匠の制限、垣・柵の構造の制限です。これらは数値ではなく内容で定める規制です。

    出題では「建蔽率の最低限度を定めることができる」「敷地面積の最高限度を定めることができる」という形で、方向を反転させた肢が作られます。建蔽率は最高だけ、敷地面積は最低だけという二点だけでも確実に押さえてください。建蔽率と容積率の仕組みは建蔽率と容積率の基礎、高さの制限は建築物の高さ制限で扱っています。

    地区整備計画には特別型がある

    12条の6から12条の12までは、地区整備計画の特別な型を定めています。深追いは不要ですが、地区整備計画が一つの決まった型ではないことを知っておくと、条文を読んだときに迷いません。

    12条の6は、適正な配置および規模の公共施設が整備されていない土地の区域について、容積率の最高限度を「区域の特性に応じたもの」と「公共施設の整備の状況に応じたもの」に区分して定めるものです。前者を後者より大きくすると定められており、公共施設が整備されれば大きいほうの数値が使えるようになる仕組みです。

    12条の7は、地区整備計画の区域を区分して容積率の最高限度を定めるものです。区分して定めた数値に各区域の面積を乗じたものの合計が、用途地域で定められた容積率に面積を乗じたものの合計を超えてはならない、という総量規制がかかります。区域全体の容積の総量は変えずに、配分だけを変える仕組みです。

    12条の8は、用途地域(第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域および田園住居地域を除く)内の適正な配置および規模の公共施設を備えた土地の区域について、高度利用と都市機能の更新を図るために容積率の最高限度・最低限度、建蔽率の最高限度、建築面積の最低限度、壁面の位置の制限を定めるものです。低層住居系の三つが除かれている点が特徴です。

    12条の9は、住居と住居以外の用途を適正に配分するため、容積率の最高限度を「その全部または一部を住宅の用途に供する建築物に係るもの」と「その他の建築物に係るもの」に区分し、前者を後者以上とするものです。

    12条の10は、壁面の位置の制限、壁面後退区域における工作物の設置の制限、および建築物の高さの最高限度をセットで定めるものです。三つをまとめて定めることで、街並みの連続性を作ります。

    12条の11は、道路の上空または路面下において建築物等の建築・建設を行うため、道路の区域のうち建築物等の敷地として併せて利用すべき区域を定めるものです。この場合は、建築等の限界となる上下の範囲も定めなければなりません。

    12条の12は、開発整備促進区における地区整備計画において、誘導すべき用途と、その用途に供する特定大規模建築物の敷地として利用すべき土地の区域を定めるものです。次の節で扱います。

    再開発等促進区と開発整備促進区

    二つは目的が違う

    12条の5第3項と第4項が、地区計画のなかに定めることができる二つの特別な区域を置いています。名前が似ているので、目的で区別してください。

    再開発等促進区(3項)の目的は「土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の増進とを図るため、一体的かつ総合的な市街地の再開発又は開発整備を実施すべき区域」です。工場跡地などをまとめて建て替える場面が想定されています。

    開発整備促進区(4項)の目的は「劇場、店舗、飲食店その他これらに類する用途に供する大規模な建築物(特定大規模建築物)の整備による商業その他の業務の利便の増進を図るため、一体的かつ総合的な市街地の開発整備を実施すべき区域」です。大規模集客施設を計画的に立地させる場面が想定されています。

    定められる用途地域が違う

    要件は四つずつありますが、試験で問われるのは4号です。

    再開発等促進区の4号は「用途地域が定められている土地の区域であること」。用途地域がなければ定められません。

    開発整備促進区の4号は「第二種住居地域、準住居地域若しくは工業地域が定められている土地の区域又は用途地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く。)であること」。

    開発整備促進区のほうを正確に読んでください。三つの用途地域だけではありません。用途地域が定められていない土地の区域も入り、そこから市街化調整区域が除かれます。「開発整備促進区は第二種住居地域、準住居地域または工業地域内にのみ定めることができる」という記述は、後半を落とした誤りです。

    三つの用途地域が選ばれている理由は、建築基準法48条が別表第二により大規模集客施設の立地を制限している用途地域だからです。第二種住居地域(別表第二(へ)項)、準住居地域((と)項)、工業地域((を)項)では、床面積の合計が1万平方メートルを超える店舗等を建てられません。用途地域が定められていない区域も、48条14項と別表第二(か)項によって同じ制限を受けます。制限がかかっている場所だからこそ、計画的に解除する仕組みが必要になる、という関係です。

    施設の配置と規模を定める

    12条の5第5項は、再開発等促進区または開発整備促進区を定める地区計画において、1号に掲げる事項を「定めるものとする」とし、2号を「定めるよう努めるものとする」としています。1号が「道路、公園その他の政令で定める施設(都市計画施設及び地区施設を除く。)の配置及び規模」、2号が「土地利用に関する基本方針」です。施行令7条の5が、この政令で定める施設を「道路又は公園、緑地、広場その他の公共空地」としています。

    6項に例外があり、当面これらの施設の整備に関する事業が行われる見込みがないときなど特別の事情があるときは、配置および規模を定めることを要しません。

    この1号の「施設の配置及び規模」が定められているかどうかは、後で見る届出制の対象区域を決める要素にもなります。

    制限が緩和される(建築基準法68条の3)

    再開発等促進区と開発整備促進区の実質は、建築基準法68条の3による制限の緩和にあります。

    68条の3第1項は、再開発等促進区(地区整備計画が定められ、容積率の最高限度が定められている区域)内において、地区計画の内容に適合する建築物で特定行政庁が交通上、安全上、防火上および衛生上支障がないと認めるものについては、52条(容積率)を適用しないとしています。

    同条2項が、容積率と同様の条件のもとで53条(建蔽率)を適用しないとし、3項が、20メートル以下の高さで高さの最高限度が定められている区域について一定の敷地面積以上の建築物に55条(低層住居専用地域等内の高さの限度)を適用しないとし、4項が、有効な空地の確保等により特定行政庁が許可した建築物について56条(斜線制限)を適用しないとしています。

    そして7項が、開発整備促進区で地区整備計画が定められ、12条の12の土地の区域として定められている区域内において、別表第二(か)項に掲げる建築物のうち地区整備計画の内容に適合し特定行政庁が支障がないと認めるものについて、48条6項、7項、12項および14項を適用しないとしています。

    48条の6項が第二種住居地域、7項が準住居地域、12項が工業地域、14項が用途地域の指定のない区域についての規定です。開発整備促進区の4号で挙げられていた四つの区域と、正確に対応しています。大規模集客施設を建てられない四つの区域で、計画に適合するものだけ立地を認める。制度の目的が条文の対応関係にそのまま現れています。

    誰が、どう決めるか

    市町村が定める

    15条1項は「次に掲げる都市計画は都道府県が、その他の都市計画は市町村が定める」として、都道府県が定めるものを1号から7号まで列挙しています。地区計画はこの列挙に入っていません。したがって市町村が定めます

    理由は縮尺です。街区単位の計画を、複数の市町村にまたがる広域の見地から都道府県が決める意味がありません。決定権者の全体像は都市計画の種類と決定手続きにまとめています。

    住民の意見聴取が義務になる

    ここが地区計画に固有の手続です。

    16条1項は、都道府県または市町村は、次項の規定による場合を除くほか、都市計画の案を作成しようとする場合において必要があると認めるときは、公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする、としています。「必要があると認めるとき」という条件が付いているので、公聴会の開催は常に義務ではありません。ここは頻出の引っかけです。

    ところが16条2項は、条件を付けていません。「都市計画に定める地区計画等の案は、意見の提出方法その他の政令で定める事項について条例で定めるところにより、その案に係る区域内の土地の所有者その他政令で定める利害関係を有する者の意見を求めて作成するものとする。

    1項の柱書が「次項の規定による場合を除くほか」と書いているのは、地区計画等については1項ではなく2項が働くという趣旨です。地区計画等の案については、意見を求めることが例外なしの義務になります。

    さらに16条3項が、市町村は2項の条例において、住民または利害関係人から地区計画等に関する都市計画の決定もしくは変更、または地区計画等の案の内容となるべき事項を申し出る方法を定めることができるとしています。行政が案を示して意見を聞くだけでなく、住民の側から中身を提案する回路まで用意されているわけです。

    「公聴会の開催は必要があると認めるときに行えばよいから、地区計画の案についても住民の意見を求めることは義務ではない」という選択肢は、1項と2項の切り分けを無視した誤りになります。

    知事への協議は同意を伴わない

    案ができた後の手続は、他の都市計画と共通する部分と、地区計画に固有の部分があります。

    共通するのは17条です。市町村は、都市計画を決定しようとするときは、あらかじめその旨を公告し、都市計画の案を、決定しようとする理由を記載した書面を添えて、公告の日から二週間公衆の縦覧に供しなければならず(17条1項)、関係市町村の住民および利害関係人は縦覧期間満了の日までに意見書を提出できます(17条2項)。

    19条1項により、市町村は市町村都市計画審議会(置かれていないときは当該市町村の存する都道府県の都道府県都市計画審議会)の議を経て決定します。19条2項により、17条2項で提出された意見書の要旨を審議会に提出しなければなりません。

    そして19条3項が、市町村は都市計画を決定しようとするときは、あらかじめ都道府県知事に協議しなければならないとしています。協議であって、同意ではありません。都道府県が定める一定の都市計画について18条3項が国土交通大臣の協議と同意を要求しているのと対照的です。

    しかも19条3項の括弧書きが、協議の対象を絞っています。「地区計画等にあつては当該都市計画に定めようとする事項のうち政令で定める地区施設の配置及び規模その他の事項に限る」。地区計画等については、計画全体ではなく、政令が定める事項についてだけ知事と協議すればよい、ということです。19条4項は、知事が協議を行う観点を、広域の見地からの調整と都道府県の都市計画との適合に限っています。

    縮尺が下がるほど、住民が近くなり、上位の関与が薄くなる。16条2項と19条3項が、その両側を示しています。

    計画提案の対象にもなる

    21条の2第1項は、都市計画区域または準都市計画区域のうち一定規模以上の一団の土地の区域について、土地所有者等が都道府県または市町村に都市計画の決定または変更を提案できるとしています。提案の対象から除かれているのは「都市計画区域の整備、開発及び保全の方針並びに都市再開発方針等」だけなので、地区計画も提案の対象です。

    規模は施行令15条により0.5ヘクタール(条例で0.1ヘクタール以上0.5ヘクタール未満に引下げ可)、同意要件は21条の2第4項2号により土地所有者等の3分の2以上で、かつ同意した者に係る地積の合計が総地積の3分の2以上です。人数と地積の両方が要ります。

    住民の意見聴取(16条2項)、住民からの申出(16条3項)、そして計画提案(21条の2)。住民の側から動かす回路が三つあるのが地区計画の特徴です。

    届出制は弱い

    対象区域を正確に読む

    58条の2第1項の柱書は、括弧書きが長いので分解して読みます。

    地区計画の区域(再開発等促進区若しくは開発整備促進区(いずれも第十二条の五第五項第一号に規定する施設の配置及び規模が定められているものに限る。)又は地区整備計画が定められている区域に限る。)内において、土地の区画形質の変更、建築物の建築その他政令で定める行為を行おうとする者は、当該行為に着手する日の三十日前までに、国土交通省令で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他国土交通省令で定める事項を市町村長に届け出なければならない。

    対象区域は二つあります。ひとつが「再開発等促進区若しくは開発整備促進区で、12条の5第5項1号の施設(道路、公園、緑地、広場その他の公共空地)の配置および規模が定められているもの」。もうひとつが「地区整備計画が定められている区域」。

    「届出が必要なのは地区整備計画が定められている区域に限られる」という説明をよく見かけますが、条文はそれより広い書き方をしています。地区整備計画がまだ定められていなくても、再開発等促進区または開発整備促進区で施設の配置および規模が定められていれば届出が必要です。

    もっとも、地区計画の区域であればどこでも届出が必要というわけでもありません。地区計画は定めたが地区整備計画を定めておらず(12条の5第8項の特別の事情による)、再開発等促進区も開発整備促進区も定めていない区域では、届出は不要です。

    届出の三要素

    条文から三つを取り出します。着手する日の30日前まで市町村長、そして届出

    期限の向きに注意してください。「30日前まで」であって「30日以内」ではありません。行為の前に、余裕をもって出すという設計です。市町村長が内容を確認し、必要なら勧告するための時間を確保する趣旨なので、事後に出しても意味がありません。この向きの取り違えが、この論点で最も多い誤りです。

    相手方は都道府県知事ではなく市町村長です。地区計画を定めるのが市町村なのだから、届出を受けるのも市町村長。ここも縮尺から導けます。

    そして許可ではなく届出です。届け出れば、原則として行為はできます。

    58条の2第2項が、届出をした者が届出事項のうち国土交通省令で定める事項を変更しようとするときは、当該事項の変更に係る行為に着手する日の30日前までに改めて届け出なければならないとしています。30日前という期限は、当初の届出だけでなく変更の届出にも及びます。

    届出の対象になる行為

    柱書が挙げているのは「土地の区画形質の変更、建築物の建築その他政令で定める行為」です。政令が施行令38条の4で、ここに重要な限定があります。

    同条は、政令で定める行為を「工作物の建設及び次の各号に掲げる土地の区域内において行う当該各号に定める行為」としています。工作物の建設は無条件ですが、それ以外は区域を限定した書き方です。

    1号が、地区計画において用途の制限が定められ、または用途に応じて建築物等に関する制限が定められている土地の区域における建築物等の用途の変更(変更後の建築物等がその制限に適合しないこととなる場合に限る)。

    2号が、地区計画において建築物等の形態または色彩その他の意匠の制限が定められている土地の区域における建築物等の形態または色彩その他の意匠の変更

    3号が、地区計画において12条の5第7項3号に掲げる事項(樹林地・草地等の保全)が定められている土地の区域における木竹の伐採

    4号が、地区計画において同項4号に掲げる事項のうち物件の堆積の制限に関するものが定められている土地の区域における当該物件の堆積

    つまり、用途の変更、意匠の変更、木竹の伐採、物件の堆積は、地区計画にその制限が定められている区域でだけ届出の対象になります。「地区整備計画が定められている区域内で木竹を伐採する場合には、常に届出が必要である」という記述は、この限定を落とした誤りです。

    効果は勧告どまり

    58条の2第3項は、「市町村長は、第一項又は前項の規定による届出があつた場合において、その届出に係る行為が地区計画に適合しないと認めるときは、その届出をした者に対し、その届出に係る行為に関し設計の変更その他の必要な措置をとることを勧告することができる。」としています。

    勧告であって命令ではありません。そして勧告に従わなかったことに対する罰則もありません。届け出て、勧告を受け、それでも行為を進めることは、都市計画法上は可能です。

    条文はもう一歩用意しています。58条の2第4項が、「市町村長は、前項の規定による勧告をした場合において、必要があると認めるときは、その勧告を受けた者に対し、土地に関する権利の処分についてのあつせんその他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」としています。

    計画に適合しない使い方をやめてほしいが強制はできない。そこで、その土地を手放したいなら買い手を探す手伝いをする、という支援の規定です。強制の代わりに斡旋を置いているという構成が、この制度の弱さと、それを補おうとする工夫の両方を示しています。

    罰則があるのは届出義務のほう

    勧告に従わないことに罰則はありませんが、届出そのものを怠れば罰則があります。

    93条1号が、「第五十八条の二第一項又は第二項の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした者」を二十万円以下の罰金に処するとしています。94条の両罰規定により、法人の従業者等が違反したときは法人にも罰金刑が科されます。

    届出義務の違反には罰則、勧告の不遵守には罰則なし。この対比を組で持ってください。

    届出が要らない場合

    ただし書の五つ

    58条の2第1項ただし書は、五つを除外しています。

    1号が「通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの」。2号が「非常災害のため必要な応急措置として行う行為」。3号が「国又は地方公共団体が行う行為」。4号が「都市計画事業の施行として行う行為又はこれに準ずる行為として政令で定める行為」。5号が「第二十九条第一項の許可を要する行為その他政令で定める行為」。

    3号は無条件です。開発許可の側では34条の2や43条3項が「協議が成立することをもって許可があったものとみなす」という構成をとっているのに対し、地区計画の届出は国・地方公共団体について丸ごと外れます。届出は情報を得るための制度なので、行政どうしなら別の経路で調整できるからです。

    4号の政令が施行令38条の6で、都市計画施設を管理することとなる者が当該都市施設に関する都市計画に適合して行う行為、土地区画整理事業の施行として行う行為、市街地再開発事業の施行として行う行為、住宅街区整備事業の施行として行う行為、防災街区整備事業の施行として行う行為の五つを挙げています。土地区画整理事業の仕組みは土地区画整理法で扱っています。

    5号の前段、開発許可を要する行為が外れるのは、開発許可の審査のなかで地区計画への適合が確認されるからです。33条1項5号が、開発許可の技術基準として、開発区域内の土地について地区計画等が定められているときは予定建築物等の用途またはその開発行為の設計が当該地区計画等に定められた内容に即して定められていることを求めています。二重に手続を課さないという整理です。開発許可の制度は宅建の開発許可制度にあります。

    軽易な行為の中身

    1号の政令が施行令38条の5で、七つの号に分けて列挙しています。

    1号が土地の区画形質の変更のうち、仮設の建築物・工作物のためのもの、既存の建築物等の管理のために必要なもの、農林漁業を営むために行うもの。2号が建築物の建築または工作物の建設のうち、仮設のもの、表示面積が1平方メートル以下かつ高さが3メートル以下の屋外広告物のための工作物、水道管・下水道管等で地下に設けるもの、建築物の敷地内の物干場・建築設備・受信用の空中線系・旗ざお等、農林漁業を営むために必要な物置・作業小屋等。3号が用途の変更のうち仮設のものと農林漁業用のもの。4号が2号の建築物等の意匠の変更。5号が木竹の伐採のうち、除伐・間伐・整枝等の保育のために通常行われるもの、枯損した木竹または危険な木竹、自家の生活の用に充てるために必要なもの、仮植した木竹、測量・実地調査・施設の保守の支障となるもの。6号が現に農業を営む者が農業を営むために行う物件の堆積。7号が法令またはこれに基づく処分による義務の履行として行う行為。

    数字が出るのは2号ロだけです。屋外広告物のための工作物は、表示面積1平方メートル以下かつ高さ3メートル以下。二つの要件を両方満たす必要があります。

    条例に載せ切れば届出は要らなくなる

    5号の後段「その他政令で定める行為」が施行令38条の7で、ここが本記事の要になります。

    1号が、43条1項の許可を要する建築物の建築、工作物の建設または建築物等の用途の変更(当該建築物等について地区計画において用途の制限のみが定められている場合に限る)。市街化調整区域の建築許可を受けるなら、そこで用途は審査されるからです。

    2号が、58条の3第1項の条例により許可を要する行為。これは次の節で扱います。

    そして3号が、こうです。「建築基準法第六条第一項の確認(略)を要する建築物の建築、工作物の建設又は建築物等の用途の変更(当該建築物等又はその敷地について地区計画において定められている内容(次に掲げる事項を除く。)の全てが同法第六十八条の二第一項(略)の規定に基づく条例で制限として定められている場合に限る。)」

    読み解くと、次のようになります。建築確認を要する行為であって、その建築物等または敷地について地区計画で定められている内容がすべて建築基準法68条の2第1項の条例で制限として定められているなら、届出は不要になります。

    理由は明快です。条例に載っていれば、その制限は建築基準関係規定として建築確認の審査対象になります。確認が通らなければ建てられないのですから、市町村長が届出を受けて勧告する必要がありません。強い規律があるところでは、弱い規律を働かせない。

    なお、括弧書きのイからニで、この判定から除かれる事項が定められています。68条の5などによって建築基準法52条の容積率の数値とみなされる容積率の最高限度や、12条の10の壁面の位置等とセットで定められた容積率の最高限度、再開発等促進区における用途地域を超える容積率・建蔽率・高さ、12条の12の誘導すべき用途と土地の区域です。これらは条例ではなく建築基準法の特例で処理されるため、判定に算入されません。

    4号が都市緑地法20条1項の条例による許可を要する行為、5号が29条1項3号の開発行為その他の公益上必要な事業の実施に係る行為で一定のものです。

    条例が実効性を与える

    68条の2第1項は「できる」

    建築基準法68条の2第1項は、こう定めています。

    市町村は、地区計画等の区域(地区整備計画、特定建築物地区整備計画、防災街区整備地区整備計画、歴史的風致維持向上地区整備計画、沿道地区整備計画又は集落地区整備計画(以下「地区整備計画等」という。)が定められている区域に限る。)内において、建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する事項で当該地区計画等の内容として定められたものを、条例で、これらに関する制限として定めることができる。

    三点を押さえてください。

    第一に、主体は市町村です。都道府県ではありません。

    第二に、「できる」であって義務ではありません。地区計画を定めても、条例を作らなければ建築制限にはなりません。この段階では届出制と勧告しか働かず、施行令38条の7第3号による届出の免除も生じません。

    第三に、条例化できる範囲は「敷地、構造、建築設備又は用途に関する事項」に限られます。地区整備計画には地区施設の配置や樹林地の保全といった事項も含まれますが、それらは建築物に関する事項ではないので、この条例には載りません。

    政令の基準と、二つの必置規定

    68条の2第2項が、この制限は、建築物の利用上の必要性、当該区域内における土地利用の状況等を考慮し、地区計画等の区域にあっては適正な都市機能と健全な都市環境を確保するため合理的に必要と認められる限度において、同項に規定する事項のうち特に重要な事項につき、政令で定める基準に従い、行うものとするとしています。地区整備計画に定めたことを何でも条例にできるわけではなく、重要な事項に絞られます。

    3項と4項は、条例に必ず入れなければならない内容です。3項は、条例で建築物の敷地面積に関する制限を定める場合には、条例の施行または適用の際に現に建築物の敷地として使用されている土地でその規定に適合しないものなどについて、その全部を一の敷地として使用する場合の適用除外に関する規定を定めるものとするとしています。既存の敷地が一夜にして違反状態になることを防ぐ経過措置です。4項は、防火上必要な制限を定める場合に、65条の例により制限を受ける区域の内外にわたる建築物についての適用の措置を定めるものとしています。

    条例は緩和もできる

    68条の2第5項は、方向が逆です。

    「市町村は、用途地域における用途の制限を補完し、当該地区計画等(集落地区計画を除く。)の区域の特性にふさわしい土地利用の増進等の目的を達成するため必要と認める場合においては、国土交通大臣の承認を得て、第一項の規定に基づく条例で、第四十八条第一項から第十三項までの規定による制限を緩和することができる。

    条例は制限を上乗せするだけでなく、用途地域の用途制限を緩和することもできます。ただし国土交通大臣の承認が要り、集落地区計画は対象から除かれます。

    地区計画というと規制を強める制度という印象を持ちがちですが、条文は双方向です。街区の特性に合わないなら緩めることもできる、というのが「区域の特性にふさわしい態様」という12条の5第1項の言葉の意味です。

    三段構えとして整理する

    ここまでを一本にまとめます。

    第一段が、都市計画を定めること(都市計画法12条の4・12条の5)。この段階では、計画が決まっただけです。

    第二段が、届出と勧告(都市計画法58条の2)。行為の30日前までに市町村長へ届け出て、適合しなければ勧告を受ける。届出義務違反には20万円以下の罰金(93条1号)がありますが、勧告に従わなくても罰則はありません。弱い規律です。

    第三段が、条例による建築制限(建築基準法68条の2)。市町村が条例を定めれば、その制限は建築基準関係規定として建築確認の審査対象になり、適合しなければ確認済証が交付されず、6条8項により工事に着手できません。強い規律です。

    そして第二段と第三段は排他的に働きます。施行令38条の7第3号により、地区計画の内容が条例にすべて載っている建築確認対象の行為については、届出が不要になります。第三段が完備すれば第二段は退く。届出制は、条例が整うまでの繋ぎであり、条例が及ばない部分を拾う補完であるという位置づけが、ここに現れています。

    建築確認の仕組みは建築確認、開発許可との切り分けは開発許可と建築確認、建築基準法側の全体像は建築基準法の頻出ポイントを参照してください。

    農地の区域だけは許可制になりうる

    地区計画の規律は届出制が原則ですが、一箇所だけ許可制の入口があります。

    58条の3第1項は、「市町村は、条例で、地区計画の区域(地区整備計画において第十二条の五第七項第四号に掲げる事項が定められている区域に限る。)内の農地の区域内における第五十二条第一項本文に規定する行為について、市町村長の許可を受けなければならないこととすることができる」としています。この条例を「地区計画農地保全条例」と呼びます。

    12条の5第7項4号は、現に存する農地で農業の利便の増進と調和した良好な居住環境を確保するため必要なものにおける土地の形質の変更その他の行為の制限に関する事項でした。52条1項本文の行為は、土地の形質の変更、建築物の建築その他工作物の建設、政令で定める物件の堆積です。施行令36条の3が、この物件を土石、廃棄物、再生資源としています。

    2項により、条例には、市町村長が農業の利便の増進と調和した良好な居住環境を確保するために必要があると認めるときは許可に期限その他必要な条件を付することができる旨を定められます。3項が、制限は合理的に必要と認められる限度において行うものとしています。4項が、52条1項ただし書、2項および3項の規定の例により、適用除外、許可基準その他必要な事項を条例に定めなければならないとしています。

    押さえるべき点は三つです。第一に、届出ではなく許可であること。第二に、許可権者が市町村長であること。第三に、法律が直接規制するのではなく、市町村の条例が置かれてはじめて許可制になること。条例がなければ、この許可の問題は生じません。

    そして施行令38条の7第2号により、この許可を要する行為は58条の2の届出の対象から外れます。ここでも強い規律が弱い規律に優先しています。農地そのものの規制は農地法で扱っています。

    「届出」の期限を並べる

    宅建試験には「届出」と名のつく制度が複数あり、期限の向きも相手方も違います。地区計画の30日前を単独で覚えると、他の30日と混ざります。並べて確認してください。

    都市計画法の地区計画

    行為に着手する日の30日前までに、市町村長へ(58条の2第1項)。変更の届出も、変更に係る行為に着手する日の30日前まで(同条2項)。効果は勧告どまり(同条3項)。届出義務違反は20万円以下の罰金(93条1号)。

    事前の届出であり、しかも「30日前まで」という余裕を要求しています。

    国土利用計画法の事後届出

    契約を締結した日から起算して2週間以内に、当該土地が所在する市町村の長を経由して都道府県知事へ(23条1項)。届出義務者は譲渡人ではなく権利取得者です。

    こちらは事後の届出で、期限は締切として働きます。同じ「市町村長」という語が出てきますが、地区計画では届出先そのもの、国土法では経由先にすぎず、届出先は知事です。制度の詳細は国土利用計画法にあります。

    農地法の市街化区域内の特例

    農地法4条1項7号は、市街化区域内にある農地を、政令で定めるところによりあらかじめ農業委員会に届け出て農地以外のものにする場合を、転用許可の適用除外としています。5条1項6号が、権利移動を伴う転用について同じ特例を置いています。

    期限が日数で書かれていません。「あらかじめ」とだけ定められています。事前であることは地区計画と同じですが、何日前という指定はありません。

    宅建業法の変更の届出

    宅建業法9条1項は、宅地建物取引業者は、4条1項1号から5号までに掲げる事項について変更があった場合においては、30日以内に、当該変更に係る事項を記載した届出書をその免許を受けた国土交通大臣または都道府県知事に提出しなければならないとしています。

    同じ「30日」でも向きが逆です。地区計画は行為の30日「前まで」、宅建業法は変更があってから30日「以内」。前者は事前、後者は事後です。宅建業法の免許まわりの手続は宅建業の免許制度、数字の整理は宅建業法の数字にあります。

    三つの軸で仕分ける

    制度をまたぐときは、いつ(事前か事後か)、誰に、効果は何かの三つを揃えて確認してください。

    いつについては、地区計画が事前(30日前まで)、農地法の特例が事前(あらかじめ)、国土法が事後(2週間以内)、宅建業法が事後(30日以内)。

    誰にについては、地区計画が市町村長、農地法が農業委員会、国土法が市町村長経由で都道府県知事、宅建業法が免許権者。

    効果については、地区計画が勧告、国土法が勧告(24条1項の利用目的に関する勧告)、農地法の特例は届出により許可が不要になるという効果そのもの、宅建業法は名簿の記載の更新です。

    「30日前まで」と「30日以内」を並べたときに違和感が出るかどうかが、この論点の分かれ目になります。法律をまたいだ手続の整理は法令上の制限の横断整理にまとめています。

    法令の基準日について

    宅建試験は、その年度の4月1日現在施行されている法令から出題されます。令和8年度であれば2026年4月1日時点の条文が基準であり、今日の条文ではありません。

    都市計画法と建築基準法には、令和8年法律第23号(都市再生特別措置法等の一部を改正する法律)による改正が2026年5月27日に施行されています。5月27日は4月1日より後なので、この改正は令和8年度試験の出題範囲に入りません。

    ただし、基準日版と5月27日施行版を条単位で照合した結果、都市計画法の本則164条、建築基準法の本則291条のいずれにも差分はありませんでした。追加されたのは附則のみで、実体的な改正部分は別の施行日に係るものです。本記事で扱った都市計画法12条の4から12条の12、13条、15条、16条、17条、19条、21条の2、58条の2、58条の3、93条、および建築基準法48条、68条の2、68条の3、68条の5のいずれについても、どちらの版で読んでも内容は変わりません。

    都市計画法施行令は基準日よりに二度改正されており、こちらは範囲内です。令和7年政令第205号が2025年7月1日に、令和8年政令第66号が2026年4月1日に施行されていますが、変更されたのはいずれも施行令21条の1条のみで、同条26号の除外リストへの項目追加でした。本記事で扱った施行令7条の4から7条の6、15条、38条の4から38条の7は、どちらの改正でも動いていません。

    施行日が基準日より後だからといって内容が変わっているとは限らず、逆に施行日を見ずに最新の条文を使えば基準を外します。条文の文言がそのまま答えになる論点ほど、版を確認する価値があります。

    試験での出題ポイント

    届出の三要素をずらす

    もっとも基本的な型です。届出先を都道府県知事にする、期限を14日前や30日以内にする、届出を許可に置き換える。三つのうち一つだけを差し替えた肢が作られるので、「30日前まで・市町村長・届出」を一続きに口に出せるようにしておいてください。

    とくに「30日以内」との入れ替えは、宅建業法9条の変更の届出という実在の制度と紛れるため、気づきにくくなっています。

    勧告を命令にする

    58条の2第3項ができるのは勧告までです。「市町村長は設計の変更を命ずることができる」「勧告に従わない者に対して罰則が科される」はいずれも誤りになります。

    一方で、届出そのものを怠れば93条1号により20万円以下の罰金です。罰則があるのは届出義務のほうで、勧告の不遵守のほうではないという切り分けを問う肢も作れます。

    対象区域を狭くする、または広げる

    狭くする型が「届出が必要なのは地区整備計画が定められている区域に限られる」。58条の2第1項の括弧書きは、再開発等促進区または開発整備促進区で12条の5第5項1号の施設の配置および規模が定められているものも対象に含めています。

    広げる型が「地区計画の区域内であれば届出が必要である」。地区整備計画も定められておらず、促進区の施設の配置・規模も定められていない区域は対象外です。

    「方針が必須で地区整備計画は任意」と書く

    12条の5第2項は、1号の地区整備計画を「定めるものとする」、2号の目標と3号の方針を「定めるよう努めるものとする」としています。順序を逆にした肢が作れます。あわせて、12条の5第8項の「特別の事情があるときは定めることを要しない」という例外を落とす型もあります。

    最高限度と最低限度を反転させる

    建蔽率の最低限度、敷地面積の最高限度、緑化率の最高限度。いずれも条文にありません。建蔽率は最高だけ、敷地面積・建築面積・緑化率は最低だけ、容積率と高さは両方という三分類で確認してください。

    市街化調整区域内の地区整備計画では、容積率の最低限度、建築面積の最低限度、建築物等の高さの最低限度が定められません(12条の5第7項の括弧書き)。ここを「最高限度が定められない」と反転させる型もあります。

    定められる区域を限定する

    「地区計画は用途地域が定められている区域にしか定められない」は誤りです(12条の5第1項2号)。「地区計画は市街化調整区域には定められない」も誤りです。13条1項15号イに専用の基準があり、34条10号が開発許可の立地基準として地区計画を挙げています。

    逆に「地区計画は準都市計画区域にも定めることができる」は誤りです。12条の4第1項の柱書が「都市計画区域については」としています。

    開発整備促進区の区域を落とす

    12条の5第4項4号は「第二種住居地域、準住居地域若しくは工業地域が定められている土地の区域又は用途地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く。)であること」です。前半だけを書いた肢は、用途地域無指定区域を落としています。

    再開発等促進区のほうは「用途地域が定められている土地の区域であること」(3項4号)なので、二つを取り違えさせる型も作れます。

    住民の意見聴取を任意にする

    「公聴会の開催は必要があると認めるときに行えばよい」という16条1項の理解を、地区計画にそのまま持ち込む型です。16条1項は「次項の規定による場合を除くほか」と書いており、地区計画等の案については16条2項が例外なしに意見聴取を義務づけています。

    知事の同意を要求する

    19条3項は市町村が都市計画を決定しようとするときの協議を定めるもので、同意は要求されていません。しかも地区計画等については、協議の対象が政令で定める地区施設の配置および規模その他の事項に限られます。「地区計画を定めるには都道府県知事の同意が必要である」は誤りです。

    条例を義務と書く

    建築基準法68条の2第1項は「条例で、これらに関する制限として定めることができる」です。地区計画を定めたら条例を制定しなければならない、という規定ではありません。あわせて、条例は同条5項により国土交通大臣の承認を得て用途制限を緩和することもできる点も、規制強化の一方向だと思い込んでいると引っかかります。

    覚え方・整理の仕方

    「縮尺」を一語で持つ

    暗記量を減らす鍵は、地区計画を「街区の計画」として一語で持つことです。

    市町村が定めるのはなぜか。街区は市町村より小さいから。住民の意見聴取が義務なのはなぜか。街区は住民の生活そのものだから。届出先が市町村長なのはなぜか。計画を定めたのが市町村だから。許可制ではなく届出制なのはなぜか。垣や柵の構造まで知事の許可にかけるのは現実的でないから。知事への協議に同意が要らないのはなぜか。広域の見地から調整すべき事項が限られているから。

    すべて同じ理由の言い換えです。個別に覚えるのではなく、縮尺から毎回導いてください。

    三段構えを図にする

    紙に三段の階段を描きます。

    一段目に「都市計画法12条の4・12条の5 計画を定める」。二段目に「都市計画法58条の2 届出+勧告(30日前・市町村長・罰金20万円以下)」。三段目に「建築基準法68条の2 条例(建築確認で効く)」。

    そして二段目から三段目へ矢印を引き、「条例に全部載れば届出不要(令38条の7第3号)」と書き添えます。この一本の矢印が、地区計画という制度の性格を要約しています。

    数字は四つだけ

    地区計画まわりで覚えるべき数字は多くありません。

    30日前まで(58条の2第1項・2項)。2週間の縦覧(17条1項、都市計画共通)。20万円以下の罰金(93条1号)。そして施行令38条の5第2号ロの屋外広告物、表示面積1平方メートル以下かつ高さ3メートル以下

    計画提案の0.5ヘクタールと3分の2(21条の2、施行令15条)は地区計画に限らない共通の数字なので、都市計画法の数字の側で持ってください。

    届出は四つ並べて覚える

    地区計画の30日前を単独で置かず、国土法の2週間以内、農地法の市街化区域内特例の「あらかじめ」、宅建業法9条の30日以内と並べます。

    事前が二つ(地区計画・農地法)、事後が二つ(国土法・宅建業法)。同じ30日が事前と事後に一つずつ。この構図で持てば、向きの取り違えが起きません。暗記の型は法令上の制限の暗記法にまとめています。

    条番号を組で持つ

    地区計画等の列挙は12条の4、定義と内容は12条の5(1項が区域、2項が構成、7項が地区整備計画の事項、3項が再開発等促進区、4項が開発整備促進区)、特別型が12条の6から12条の12、都市計画基準が13条1項15号、住民の意見聴取が16条2項・3項、決定手続が19条、届出が58条の2、農地保全条例が58条の3、罰則が93条1号。

    建築基準法側は、条例が68条の2、促進区の緩和が68条の3、容積率のみなしが68条の5。施行令側は、地区施設が7条の4、促進区の施設が7条の5、垣・柵が7条の6、届出対象行為が38条の4、軽易な行為が38条の5、事業に準ずる行為が38条の6、その他の届出不要が38条の7。

    条番号まで組で持っておくと、疑問が出たときに自分で条文にあたれます。法令上の制限全体の頻出論点は法令上の制限の頻出論点にまとめてあります。

    理解度チェッククイズ

    次の記述の正誤を判定してください。

    問1. 地区整備計画が定められている区域内において建築物の建築をしようとする者は、当該行為に着手した日から30日以内に、都道府県知事に届け出なければならない。

    答えを見る 答えは誤りです。誤りが二つあります。第一に、期限の向きです。58条の2第1項は「当該行為に**着手する日の三十日前までに**」と定めており、事前の届出です。「着手した日から30日以内」という事後の書き方は誤りで、市町村長が内容を確認して必要なら勧告するための時間を確保するという制度の趣旨とも合いません。第二に、届出先です。都道府県知事ではなく**市町村長**です。地区計画を定めるのが市町村である以上、届出を受けるのも市町村長になります。なお、同じ「30日」でも宅建業法9条1項の変更の届出は「変更があつた場合においては、30日以内に」その免許を受けた国土交通大臣または都道府県知事に提出するという事後の届出で、向きが逆です。二つを並べて覚えてください。また58条の2第2項により、届出事項のうち国土交通省令で定める事項を変更しようとするときも、変更に係る行為に着手する日の30日前までに届け出る必要があります。

    問2. 市町村長は、地区計画の届出に係る行為が地区計画に適合しないと認めるときは、その届出をした者に対し、設計の変更その他の必要な措置をとることを命ずることができる。

    答えを見る 答えは誤りです。58条の2第3項ができるのは「設計の変更その他の必要な措置をとることを**勧告することができる**」までで、命令はできません。そして勧告に従わなかったことに対する罰則もありません。届け出れば行為はできるのが原則で、これが地区計画の届出制の弱さです。もっとも、届出そのものを怠れば話は別で、93条1号が「第五十八条の二第一項又は第二項の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした者」を**二十万円以下の罰金**に処するとしています。**罰則があるのは届出義務の違反であって、勧告の不遵守ではない**という切り分けを押さえてください。なお58条の2第4項は、市町村長が勧告をした場合において必要があると認めるときは、勧告を受けた者に対し土地に関する権利の処分についてのあっせんその他の必要な措置を講ずるよう努めなければならないとしています。強制の代わりに斡旋を置く構成です。実効性は、建築基準法68条の2第1項に基づく市町村の条例によって与えられます。

    問3. 地区計画は、市街化調整区域内には定めることができない。

    答えを見る 答えは誤りです。定めることができます。12条の5第1項は、地区計画を定めることができる区域を、1号の「用途地域が定められている土地の区域」と、2号の「用途地域が定められていない土地の区域のうちイからハのいずれかに該当するもの」としており、市街化調整区域を除く旨はどこにも書かれていません。市街化調整区域には原則として用途地域が定められない(13条1項7号)ので、2号の入口を通ることになります。むしろ条文は市街化調整区域への地区計画を正面から想定しており、13条1項15号イが「**市街化調整区域における地区計画** 市街化区域における市街化の状況等を勘案して、地区計画の区域の周辺における市街化を促進することがない等当該都市計画区域における計画的な市街化を図る上で支障がないように定めること」という専用の基準を置いています。さらに34条10号は、地区計画の区域内で計画の内容に適合する建築物等のための開発行為を、市街化調整区域における開発許可の立地基準の一つとしています。ただし内容には制約があり、12条の5第7項の括弧書きにより、市街化調整区域内の地区整備計画では建築物の容積率の最低限度、建築物の建築面積の最低限度および建築物等の高さの最低限度を定めることができません。外れる三つはいずれも「最低限度」、つまり市街化を促す方向の規制です。

    問4. 地区計画については、都市計画に、当該区域の整備、開発及び保全に関する方針を定めるものとされ、地区整備計画は必要に応じて定めるよう努めるものとされている。

    答えを見る 答えは誤りです。語尾が逆です。12条の5第2項は「都市計画に、**第一号に掲げる事項を定めるものとする**とともに、**第二号及び第三号に掲げる事項を定めるよう努めるものとする**」としており、1号が**地区整備計画**、2号が当該地区計画の**目標**、3号が当該区域の**整備、開発及び保全に関する方針**です。つまり「定めるものとする」のは地区整備計画のほうで、目標と方針が努力義務です。もっとも12条の5第8項に例外があり、地区計画を都市計画に定める際、区域の全部または一部について地区整備計画を定めることができない**特別の事情**があるときは、定めることを要しません。この場合において、区域の一部について地区整備計画を定めるときは、**地区整備計画の区域をも都市計画に定めなければならない**とされています。届出制の対象区域が地区整備計画の区域を基準の一つとしているため、境界を明示させる必要があるからです。なお12条の4第2項により、地区計画等については種類、名称、位置および区域を定めるものとし、区域の面積その他の政令で定める事項を定めるよう努めるものとされています。

    問5. 地区整備計画においては、建築物の容積率の最高限度及び最低限度、建築物の建蔽率の最高限度及び最低限度並びに建築物の敷地面積の最低限度を定めることができる。

    答えを見る 答えは誤りです。**建蔽率の最低限度**を定めることはできません。12条の5第7項2号が列挙しているのは「建築物の容積率の最高限度**又は**最低限度、建築物の**建蔽率の最高限度**、建築物の敷地面積又は建築面積の**最低限度**」という書き分けで、建蔽率については最高限度しか挙げられていません。敷地に対して一定割合以上を建物で覆えという規制には意味がないためです。同じ号で、敷地の地盤面の高さ、居室の床面の高さ、緑化率はいずれも最低限度のみ、建築物等の高さは最高限度または最低限度の両方とされています。整理すると、**両方定められるのは容積率と高さ、最高限度だけなのは建蔽率、最低限度だけなのは敷地面積・建築面積・地盤面の高さ・居室の床面の高さ・緑化率**です。このほか、用途の制限、壁面の位置の制限、壁面後退区域における工作物の設置の制限、形態または色彩その他の意匠の制限、そして施行令7条の6による垣または柵の構造の制限は、数値ではなく内容で定めるものとして列挙されています。

    問6. 地区整備計画が定められている区域内において建築物を建築しようとする場合であっても、その建築物について地区計画において定められている内容のすべてが建築基準法68条の2第1項の規定に基づく条例で制限として定められているときは、都市計画法58条の2の届出を要しない場合がある。

    答えを見る 答えは正しい記述です。58条の2第1項5号は「第二十九条第一項の許可を要する行為**その他政令で定める行為**」を届出の対象から除いており、その政令が施行令38条の7です。同条3号は、**建築基準法6条1項の確認を要する**建築物の建築、工作物の建設または建築物等の用途の変更であって、当該建築物等またはその敷地について地区計画において定められている内容(一定の事項を除く)の**すべてが建築基準法68条の2第1項の規定に基づく条例で制限として定められている場合に限り**、届出を要しないとしています。理由は明快で、条例に定められていればその制限は建築基準関係規定として建築確認の審査対象になり、適合しなければ確認済証が交付されず、建築基準法6条8項により工事に着手できないからです。市町村長が届出を受けて勧告する必要がありません。**強い規律があるところでは弱い規律を働かせない**という関係で、都市計画法の届出制が建築基準法の条例の補完であることを示しています。なお括弧書きにより、68条の5などによって建築基準法52条の数値とみなされる容積率の最高限度など一定の事項は、この判定から除かれます。同様の発想は施行令38条の7第1号(43条の許可を要する行為で用途の制限のみが定められている場合)と2号(58条の3第1項の条例による許可を要する行為)にも現れています。

    まとめ

    • 地区計画は、都市計画のなかで唯一「街区」を単位とする計画です。12条の5第1項が「良好な環境の各街区を整備し、開発し、及び保全するための計画」と定義しています。縮尺が一段下がることで、決める主体(市町村)、決め方(住民の意見聴取が義務)、効かせ方(届出制と条例の二段構え)のすべてが決まります。ただし12条の4第1項の柱書は「都市計画区域については」なので、準都市計画区域には定められません。

    • 定められる区域は二つの入口です。用途地域が定められている区域は無条件(12条の5第1項1号)。用途地域が定められていない区域は、事業が行われる・行われた区域(イ)、不良な街区の環境が形成されるおそれがある区域(ロ)、すでに優れた街区の環境が形成されている区域(ハ)のいずれかが要ります(同項2号)。ロとハが正反対を向いている点が特徴です。市街化調整区域にも定められ、13条1項15号イに専用の基準があり、34条10号が開発許可の立地基準になります。ただし12条の5第7項の括弧書きにより、市街化調整区域内では容積率・建築面積・高さの最低限度を定められません。

    • 語尾と最高・最低の方向を正確に持ってください。12条の5第2項は地区整備計画を「定めるものとする」、目標と方針を「定めるよう努めるものとする」としています(8項に特別の事情による例外あり)。同条7項2号では、容積率と高さが最高限度・最低限度の両方、建蔽率が最高限度のみ、敷地面積・建築面積・地盤面の高さ・居室の床面の高さ・緑化率が最低限度のみです。垣または柵の構造の制限は施行令7条の6にあります。

    • 届出は「30日前まで・市町村長・勧告どまり」です。対象区域は、地区整備計画が定められている区域または再開発等促進区・開発整備促進区で12条の5第5項1号の施設の配置および規模が定められているものです(58条の2第1項)。変更の届出も30日前まで(2項)。市町村長にできるのは勧告まで(3項)で、必要があれば権利の処分のあっせん等に努める(4項)。罰則があるのは届出義務の違反のほうで、93条1号により20万円以下の罰金です。届出対象の行為のうち、用途の変更・意匠の変更・木竹の伐採・物件の堆積は、地区計画にその制限が定められている区域に限られます(施行令38条の4)。

    • 実効性は建築基準法68条の2の条例が与え、条例が完備すれば届出は退きます。市町村は、地区整備計画等の内容のうち建築物の敷地・構造・建築設備・用途に関する事項を、条例で制限として定めることができます(義務ではありません)。同条5項により、国土交通大臣の承認を得て48条の用途制限を緩和することもできます。そして施行令38条の7第3号により、建築確認を要する行為について地区計画の内容がすべて条例に載っていれば、届出は不要になります。計画を定める、届出と勧告、条例による建築制限という三段構えで持ってください。

    • 「届出」は四つ並べて覚えます。地区計画が行為に着手する日の30日前までに市町村長へ(都市計画法58条の2)、国土利用計画法の事後届出が契約締結日から起算して2週間以内に市町村長を経由して知事へ(同法23条1項)、農地法の市街化区域内の特例があらかじめ農業委員会へ(同法4条1項7号・5条1項6号)、宅建業法の変更の届出が30日以内に免許権者へ(同法9条1項)。事前が二つ、事後が二つ、同じ30日が事前と事後に一つずつ。向きの取り違えがこの論点で最も多い失点です。

    宅建試験AIブートラボのアプリでは、地区計画の届出と他法令の届出を並べて演習でき、期限の向きや届出先を取り違えた箇所だけを繰り返せます。

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    都市計画法・建築基準法・農地法は数字の暗記が中心です。繰り返しの肢別トレーニングが一番効きます。

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