法令上の制限は何問出る?8問の内訳
法令上の制限は50問中8問、問15から問22までです。法令別の内訳と、都市計画法・建築基準法・盛土規制法・土地区画整理法・農地法・国土利用計画法で何が問われるかを条文根拠つきで整理します。
目次
本記事の役割 — この記事は法令上の制限の出題数と、限られた時間をどこに配分するかの判断に絞って解説します。
論点ごとの横断整理は法令上の制限の横断まとめ、頻出テーマの一覧は法令上の制限の頻出論点にまとめています。
法令上の制限は8問です。 宅建試験の全50問のうち、問15から問22までの8問がこの分野から出題されています。全体に占める割合は16パーセントで、宅建業法の20問、権利関係の14問に次ぐ3番目の規模です。
ただし「8問」という数字だけでは学習の役に立ちません。実際に必要なのは、その8問がどの法律から何問ずつ出るのか、それぞれの法律で何が問われるのか、そして限られた時間のなかでどこを捨ててよくてどこを捨ててはいけないのか、という判断材料です。
法令上の制限は、条文の数値と手続の名宛人を正確に覚えれば得点できる分野です。権利関係のように事案の当てはめを求められることが少なく、投じた時間が点数に変わりやすい。一方で、全法令を均等に追いかけると量に押しつぶされます。本記事では8問の内訳を示したうえで、6つの法律それぞれで何が問われるのかを条文に沿って整理します。
法令上の制限は8問。内訳と位置づけ
出題範囲は施行規則が定めている
宅建試験の出題範囲は、宅地建物取引業法施行規則8条が定めています。同条は試験の内容として7つの項目を挙げており、そのうち第3号が「土地及び建物についての法令上の制限に関すること」です。
注意したいのは、規則が定めているのは範囲であって問題数ではないという点です。「法令上の制限を8問出す」と法令に書かれているわけではなく、8問という数字は実際の試験問題から確認できる実績です。
同じ規則8条は、第1号で土地建物の形質・構造、第5号で宅地建物の需給に関する法令および実務を挙げています。登録講習を修了した者が免除されるのはこの2つに対応する問46から問50までの5問であり、法令上の制限は免除の対象になりません。5問免除を利用する受験者にとっては45問中8問、全体の18パーセントを占めます。免除制度の詳細は5問免除の仕組みを参照してください。
6つの法律からの内訳
宅建試験AIブートラボが保有する2016年度から2025年度までの過去問データ(法令上の制限は各年度8問、10年度分で80問)を法令別に分類すると、内訳は次のとおりです。
都市計画法から2問。開発許可制度から1問、都市計画の内容や決定手続から1問という組み合わせが多く見られます。
建築基準法から2問。集団規定を中心に、単体規定や建蔽率・容積率の計算が絡む年もあります。
盛土規制法から1問。正式名称は宅地造成及び特定盛土等規制法です。2022年度以前は旧法である宅地造成等規制法として出題されていました。
土地区画整理法から1問。
農地法から1問。
国土利用計画法から1問。
この2問・2問・1問・1問・1問・1問という構成は、確認できる10年度分すべてで一致しています。問題番号の並び順も、2019年度以降は問15と問16が都市計画法、問17と問18が建築基準法、問19が盛土規制法、問20が土地区画整理法、問21が農地法、問22が国土利用計画法で安定しています。2016年度から2018年度は国土利用計画法や農地法が問15に置かれるなど並び順に振れがありましたが、法令ごとの問題数そのものは同じです。
ただし、これは過去の実績であって将来を保証するものではありません。法令別の問題数が公表されているわけではないため、「毎年必ずこの配分で出る」と断定はできません。年度ごとの傾向は宅建試験の出題傾向でも扱っています。
2問と1問では戦略が変わる
都市計画法と建築基準法だけで4問、つまり法令上の制限の半分を占めます。この2法令を落とすと、残り4問すべてを取っても4点にしかなりません。2問出る法律に時間を厚く配分するのは合理的です。
一方で「1問だから捨てる」という判断は危険です。農地法や国土利用計画法は覚えるべき事項が少なく、出題のされ方も安定しています。少ない投資で1点が取れる分野を捨てるのは、配分としてむしろ損です。捨てる・捨てないは「出題数」ではなく「1点あたりに必要な学習量」で決めてください。科目全体の時間配分は宅建の科目別攻略法、目標点の置き方は宅建の科目別攻略法にまとめています。
目標を何問に置くか
8問中6問という設計
法令上の制限で全問正解を目標にすると、出題頻度の低い論点まで手を広げることになり、宅建業法や権利関係に回すべき時間を食います。宅建業法は20問と配点が最も大きく、条文の適用が明確で得点が安定しやすい分野です。ここを削って法令上の制限の7問目、8問目を取りにいくのは合理的とは言えません。
現実的な設計は、6問前後を確保し残りは取れれば上乗せと考えることです。6問は、都市計画法2問と建築基準法2問のうち3問、農地法・国土利用計画法・盛土規制法・土地区画整理法の4問のうち3問という内訳で届きます。
合格に必要な総得点は年度によって変動します。実施機関である不動産適正取引推進機構は毎年、合格判定基準を合格発表とあわせて公表していますが、その水準は一定ではありません。固定の点数を前提に設計するのではなく、各分野で取りこぼしを減らす方向で組み立てるほうが安全です。合格基準点の推移は宅建の合格ラインで扱っています。
捨ててよい領域と捨ててはいけない領域
「捨てる」という言葉は誤解されやすいので先に定義します。ここでいう捨てるとは、その法令をまったく学習しないことではなく、基本事項までで打ち切り応用や細かな例外に手を出さないという意味です。1問も出ない法令はないため、完全に捨てれば失点が確定します。そのうえで、切り分けは法律単位ではなく論点単位で行ってください。
捨ててはいけないのは、数値と手続の名宛人です。 開発許可が必要になる面積、国土利用計画法の届出面積、農地法の許可権者、盛土規制法の届出期間。これらは条文にそのまま書かれており、覚えれば確実に判断できます。出題側もこの種の知識を問う肢を必ず混ぜてきます。法令上の制限が暗記科目と言われるのは、この部分の比重が大きいからです。
深追いしなくてよいのは、例外のそのまた例外です。 土地区画整理法の清算金の細目、開発許可の技術基準の各号、建築基準法の構造計算の要件。出題されることはあっても、覚える量に対して得点への寄与が小さい。1問4肢のうち1肢が難しくても、残り3肢で判断できれば正解できます。
迷ったら、その知識が他の肢の判断にも使えるかを考えてください。 開発許可の面積要件は、区域区分や建築制限の問題でも前提になります。使い回しの利く知識は優先度が高く、特定の条文にしか出てこない例外は後回しでかまいません。
要点を3行で整理します。
- 目標は6問前後。7問目・8問目のために宅建業法の時間を削らない。
- 捨てる判断は法律単位ではなく論点単位で行う。
- 数値と手続の名宛人は捨てない。例外の例外は後回しでよい。
都市計画法の2問で問われること
開発許可の面積要件
都市計画法で最も繰り返し問われるのが開発許可制度です。開発行為とは、主として建築物の建築または特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更をいいます(法4条12項)。
許可が必要かどうかは、区域と面積の組み合わせで決まります。法29条1項1号と施行令19条により、市街化区域内では1,000平方メートル未満の開発行為は許可が不要です。三大都市圏の一定の区域では、この基準が500平方メートル未満に引き下げられています。区域区分が定められていない都市計画区域と準都市計画区域では3,000平方メートル未満、都市計画区域および準都市計画区域のいずれにも含まれない区域では1ヘクタール、すなわち10,000平方メートル未満が許可不要です(法29条2項)。
市街化調整区域には、この規模による例外がありません。規模の大小にかかわらず原則として許可が必要です。市街化を抑制すべき区域という位置づけ(法7条3項)からの帰結で、面積で切る発想がそもそも合わないのです。「市街化調整区域内で1,000平方メートル未満だから許可不要」という肢は誤りになります。
区域区分の意味と市街化区域・市街化調整区域の性格は都市計画法の全体像で、面積要件の詳細は開発許可の面積要件で確認できます。
面積にかかわらず許可が不要になる場合
法29条1項は各号で、規模に関係なく許可を要しない開発行為を列挙しています。出題頻度が高く、かつ改正で内容が変わっているため注意が必要です。
農林漁業用の建築物と農林漁業者の住宅(2号)。市街化調整区域、区域区分が定められていない都市計画区域、準都市計画区域で適用されます。市街化区域には適用がありません。市街化区域は市街化を進める区域なので、農林漁業を理由に手続を省く必要がないからです。
公益上必要な建築物(3号)。施行令21条が具体的に列挙しており、駅舎その他の鉄道施設、図書館、公民館、変電所などが該当します。押さえておきたいのは、学校、病院、社会福祉施設が2007年に施行された改正でこの列挙から外されたことです。現在これらの施設には開発許可が必要です。古い教材では「病院は許可不要」と書かれていることがあり、そのまま覚えると失点します。
都市計画事業の施行として行う開発行為(4号)。土地区画整理事業、市街地再開発事業、住宅街区整備事業、防災街区整備事業の施行として行うものも同様に許可不要です(5号から8号)。すでに公的な計画手続を経ているため、重ねて許可を求める必要がないという理屈です。
非常災害のため必要な応急措置(10号)と通常の管理行為、軽易な行為(11号)。後者は施行令22条が具体化しており、仮設建築物の建築や、車庫・物置その他これらに類する附属建築物の建築を目的とする一定規模以下のものなどが挙げられています。
開発許可制度全体の流れは開発許可の要否と手続に、建築確認との違いは開発許可と建築確認の違いにまとめています。
開発許可を受けた後の建築制限
許可を受けた後にも制限が続きます。ここは許可の要否とセットで問われます。
工事完了の公告があるまでは、開発区域内の土地に建築物を建築し、または特定工作物を建設してはならないのが原則です(法37条)。工事中の区域に建物が建つと、工事の完成を確認できなくなるためです。
公告があった後は、開発区域内では予定建築物等以外の建築物を新築等してはなりません(法42条1項)。ただし都道府県知事が許可したとき、または当該開発区域内の土地について用途地域等が定められているときは、この限りではありません。開発許可は「この用途の建物を建てるためにこの造成を認める」という許可なので、後から別の用途の建物を建てられては意味がなくなる、という趣旨です。
市街化調整区域のうち、開発許可を受けた開発区域以外の区域内では、建築物の新築等に都道府県知事の許可が必要です(法43条)。開発行為を伴わない建築であっても市街化調整区域では規制が及ぶ、という点が問われます。
都市計画の内容と決定手続
もう1問は、都市計画そのものの内容や決定手続から出ることが多い枠です。
都市計画区域は原則として都道府県が指定し、2以上の都府県にわたる場合は国土交通大臣が指定します(法5条)。準都市計画区域は都道府県が指定します(法5条の2)。「市町村が指定する」という肢は誤りです。
区域区分は、都市計画区域について定めることができるものであり、必ず定めなければならないものではありません(法7条1項)。ただし三大都市圏の一定の区域などについては定めるものとされています。「すべての都市計画区域に区域区分を定めなければならない」という肢は誤りです。
市街化区域については少なくとも用途地域を定めるものとし、市街化調整区域については原則として用途地域を定めないものとされています(法13条1項7号)。用途地域は13種類あり、2018年に田園住居地域が追加されました。一覧と性格は用途地域13種類、覚え方は用途地域の覚え方で扱っています。
都市施設に関する都市計画は、特に必要があるときは都市計画区域外においても定めることができます(法11条1項)。ごみ焼却場や火葬場のように、区域内に適地を確保しにくい施設があるためです。
地区計画の区域内では、土地の区画形質の変更や建築物の建築等を行おうとする者は、行為に着手する日の30日前までに市町村長に届け出なければなりません(法58条の2)。許可ではなく届出、届出先は知事ではなく市町村長、期限は事後ではなく30日前という3点が同時に問われます。詳細は地区計画にまとめています。
数値の整理は都市計画法の数字、都市計画の種類は都市計画の種類を参照してください。
建築基準法の2問で問われること
単体規定と集団規定の区別
建築基準法の規定は、大きく単体規定と集団規定に分かれます。単体規定は個々の建築物の安全性や衛生に関するもので全国どこでも適用され、集団規定は市街地の環境を守るためのもので、原則として都市計画区域および準都市計画区域内に限って適用されます(法41条の2)。
この区別は、問題文が「都市計画区域外の建築物について」と限定してきたときに効きます。集団規定である接道義務や建蔽率であれば、都市計画区域外には及ばないのが原則です。範囲が広い法律なので、まず集団規定を固め、単体規定は基本事項にとどめるのが効率的です。
道路と接道義務
建築基準法上の道路は、原則として幅員4メートル以上のものをいいます(法42条1項)。ただし、この章の規定が適用されるに至った際に現に建築物が立ち並んでいる幅員4メートル未満の道で、特定行政庁が指定したものも道路とみなされます。いわゆる2項道路です(法42条2項)。2項道路では、原則として道路の中心線から水平距離2メートルの線が道路の境界線とみなされ、その部分には建築できません。詳細はセットバックで扱っています。
建築物の敷地は、道路に2メートル以上接しなければなりません(法43条1項)。これが接道義務です。幅員と接道長さの数値を入れ替える出題が定番なので、道路の幅員が4メートル、接する長さが2メートルという対応を正確に覚えてください。
用途制限
用途地域ごとにどの用途の建築物を建てられるかは、法48条と別表第二が定めています。13種類の用途地域と多数の用途の組み合わせをすべて覚えるのは非効率です。
現実的なのは、両端を押さえて中間を推測する方法です。第一種低層住居専用地域は最も制限が厳しく、住宅、共同住宅、小規模な兼用住宅、診療所、小中学校などに限られます。商業地域と準工業地域は制限が緩く、ほとんどの用途が建てられます。工業専用地域では住宅、共同住宅、寄宿舎、老人ホームなどが建てられません。そのうえで、どの用途地域でも建てられるもの(診療所、保育所、神社・寺院・教会、公衆浴場、巡査派出所など)を押さえます。
敷地が2以上の用途地域にわたる場合は、敷地の過半が属する用途地域の規定が適用されます(法91条)。建蔽率・容積率の加重平均とは処理が違う点に注意してください。
建蔽率と容積率
建蔽率は法53条、容積率は法52条が定めます。計算問題として出題される年があり、手順を固定しておけば確実に処理できます。
建蔽率の緩和は2種類です。特定行政庁が指定する角地では10分の1が加算され、防火地域内にある耐火建築物等でも10分の1が加算されます。両方に該当すれば合計で10分の2の加算です。さらに、建蔽率の限度が10分の8とされている地域内で、かつ防火地域内にある耐火建築物等については、建蔽率の制限が適用されません(法53条6項1号)。
容積率で問われるのは前面道路による制限です。前面道路の幅員が12メートル未満の場合、その幅員のメートル数に法定乗数を乗じた値と、都市計画で定められた指定容積率とを比べ、小さいほうが限度になります(法52条2項)。法定乗数は住居系の用途地域では10分の4、その他の地域では10分の6です。前面道路が2以上あるときは、幅員が最大のものを基準にします。
敷地が2以上の地域にわたる場合、建蔽率も容積率も加重平均で求めます(法52条7項、法53条2項)。各部分の面積にそれぞれの限度を乗じた値を合計し、敷地全体の面積で割ります。用途制限が「過半」で決まるのと処理が異なるため、意識的に区別してください。
手順は建蔽率・容積率の計算、基礎的な考え方は建蔽率と容積率の基礎、計算問題全般の対策は計算問題まとめにまとめています。
高さ制限と日影規制
高さの制限は種類が多く、どの地域に適用があるかが問われます。適用の有無は、それぞれの規制の趣旨から導けます。
絶対高さの制限は、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域に適用され、都市計画で定められた10メートルまたは12メートルが限度になります(法55条)。低層の住環境を守る地域なので、斜線ではなく上限そのものを切る形の規制です。
道路斜線制限は、すべての用途地域および用途地域の指定のない区域に適用されます(法56条1項1号)。道路はどこにでもあるため適用範囲も広い、と理解しておけば十分です。
隣地斜線制限は、第一種・第二種低層住居専用地域と田園住居地域には適用されません(法56条1項2号)。これらの地域には絶対高さの制限があり、斜線を重ねる必要がないためです。
北側斜線制限は、第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域、第一種・第二種中高層住居専用地域に適用されます(法56条1項3号)。北側の隣地の日照を守る趣旨で、住居系のなかでも環境保護の要請が強い地域に限られます。
日影規制は、商業地域、工業地域、工業専用地域には適用されません(法56条の2)。商業・工業のための地域では日照確保の要請が相対的に低い、という区別です。全体像は高さ制限の種類で整理しています。
防火地域・準防火地域と建築確認
防火地域および準防火地域内の建築物には、規模に応じた構造の制限がかかります。建築物が防火地域と準防火地域にわたる場合は、原則として厳しいほうである防火地域の規定が適用されます(法65条)。詳細は防火地域と準防火地域で扱っています。
建築確認は法6条が定め、特殊建築物でその用途に供する部分の床面積の合計が200平方メートルを超えるものなどが対象です。なお2025年4月施行の改正で対象区分が見直されており、従来の区分のままだと誤る場面があります。現行の区分は建築確認が必要な建築物で確認してください。数値は建築基準法の数字、主要論点は建築基準法の攻略にまとめています。
各1問の4法令で問われること
盛土規制法
正式名称は宅地造成及び特定盛土等規制法です。旧法である宅地造成等規制法が全面改正され、2023年5月26日に施行されました(国土交通省「宅地造成及び特定盛土等規制法(通称『盛土規制法』)について」)。旧法が宅地造成に伴う崖崩れ等を規制の中心に置いていたのに対し、現行法は土地の用途を問わず、盛土等により人家等に被害を及ぼしうる区域を規制の対象としています。名称と枠組みがともに変わっているため、改正前の内容で覚えていると危険な分野です。
規制区域は2種類あります。宅地造成等工事規制区域は、市街地や集落など、宅地造成等に伴う災害で人家等に被害が生じるおそれの大きい区域について都道府県知事が指定します(法10条)。特定盛土等規制区域は、規制区域外で、土砂の崩落等により人家等に被害を及ぼしうる区域について指定されます(法26条)。
宅地造成等工事規制区域内で宅地造成等に関する工事を行う場合、工事主は工事着手前に都道府県知事の許可を受けなければなりません(法12条)。許可が必要となる規模は施行令3条が定めており、盛土で高さ1メートルを超える崖を生ずるもの、切土で高さ2メートルを超える崖を生ずるもの、盛土と切土を同時に行い高さ2メートルを超える崖を生ずるもの、崖を生じない盛土で高さ2メートルを超えるもの、これらに該当しない盛土または切土で面積が500平方メートルを超えるものです。
特定盛土等規制区域内では、より大きな規模から許可の対象になります。施行令28条により、盛土で高さ2メートルを超える崖、切土で高さ5メートルを超える崖、同時に行い高さ5メートルを超える崖、盛土で高さ5メートルを超えるもの、面積3,000平方メートルを超えるものが基準です。規制区域のほうが人家に近く危険度が高いため、より小さな規模から規制がかかるという関係で理解してください。
届出の類型も問われます。法21条により、規制区域の指定の際すでに工事中である場合は指定から21日以内、高さ2メートルを超える擁壁や排水施設の除却工事は着手の14日前まで、宅地以外の土地を宅地に転用した場合は転用から14日以内に、それぞれ都道府県知事に届け出ます。21日と14日、事後と事前が入れ替えて出題されます。詳細は盛土規制法の全体像を参照してください。
土地区画整理法
土地区画整理事業は、公共施設の整備改善と宅地の利用増進を図るために、土地の区画形質の変更や公共施設の新設変更を行う事業です(法2条1項)。論点が散らばりやすいので、施行者・組合員・仮換地・換地処分の4点に絞るのが現実的です。
施行者は個人施行者、土地区画整理組合、区画整理会社、都道府県および市町村、国土交通大臣、都市再生機構や地方住宅供給公社などです(法3条以下)。組合を設立するには7人以上が共同し、定款と事業計画を定めて都道府県知事の認可を受ける必要があり(法14条)、施行地区内の宅地について所有権を有する者および借地権を有する者のそれぞれ3分の2以上の同意が必要です(法18条)。
組合が設立されると、施行地区内の宅地の所有者および借地権者は全員が組合員になります(法25条)。設立に同意していない者も組合員になる点が問われます。3分の2以上の同意は設立の要件であって、組合員の範囲を決める基準ではありません。
仮換地の指定は、換地処分を行う前において必要がある場合に行われます(法98条)。仮換地が指定されると、従前の宅地について使用収益ができなくなり、仮換地を使用収益できるようになります。ただし所有権が移転するわけではなく、従前の宅地の所有権はそのまま残ります。「仮換地の指定により所有権が仮換地に移る」という肢は誤りです。
換地処分は関係権利者に通知して行い、都道府県知事が公告します(法103条)。公告があった日の翌日から、換地は従前の宅地とみなされます(法104条)。清算金の確定や保留地の取得もこの公告を基準に定まります。施行地区内で建築物の新築等を行おうとする者は、都道府県知事等の許可を受けなければなりません(法76条)。全体像は土地区画整理法で扱っています。
農地法
農地法は覚える量が少なく、出題のされ方も安定しているため、優先度の高い1問です。軸になるのは3条・4条・5条の切り分けです。
3条は権利移動の規制です。農地を農地のまま、または採草放牧地を採草放牧地のまま売買・貸借する場合、農業委員会の許可が必要です(法3条1項)。許可を受けないでした行為は効力を生じません(法3条6項)。
4条は転用の規制です。農地を農地以外のものにする場合、都道府県知事等の許可が必要です(法4条1項)。ここでいう都道府県知事等とは、都道府県知事または指定市町村の長を指します。
5条は転用目的の権利移動です。農地を農地以外のものにするため所有権の移転や賃借権の設定等を行う場合で、こちらも都道府県知事等の許可が必要です(法5条1項)。
最も問われるのが市街化区域内の特例です。市街化区域内にある農地について、あらかじめ農業委員会に届け出て転用する場合、4条・5条の許可は不要になります(法4条1項7号、法5条1項6号)。市街化区域はもともと市街化を促進すべき区域なので、農地の転用を許可制で抑える必要が乏しいからです。重要なのは、この特例が3条には及ばないことです。3条は転用を伴わず農地が農地のまま移転するだけなので、市街化区域かどうかは関係がありません。「市街化区域内の農地なら3条も届出で足りる」という肢は誤りです。
相続の扱いも定番です。相続や遺産分割によって農地の権利を取得する場合、3条の許可は不要ですが、農業委員会への届出が必要です(法3条の3)。許可が不要なのは、相続が当事者の意思による権利移動ではないためです。
農地かどうかは現況で判断されます(法2条1項)。登記簿上の地目が山林であっても、現に耕作されていれば農地です。逆に地目が田であっても宅地化されていれば農地ではありません。この現況主義も繰り返し問われます。詳細は農地法、頻出ポイントは農地法の3条・4条・5条、転用規制の整理は農地の転用規制にまとめています。
国土利用計画法
国土利用計画法も、覚える範囲が狭く得点しやすい1問です。中心は事後届出制です。
土地売買等の契約を締結した場合、権利取得者は契約締結の日から起算して2週間以内に、市町村長を経由して都道府県知事に届け出なければなりません(法23条1項)。届出義務者は権利を取得する側だけで、売主には届出義務がありません。
面積要件は、市街化区域内では2,000平方メートル以上、市街化区域以外の都市計画区域内では5,000平方メートル以上、都市計画区域外では10,000平方メートル以上です。開発許可の面積要件と区域の切り方が同じで数値だけが違うため、混同を狙った出題がされます。
届出が必要なのは「土地売買等の契約」であり、対価を得て所有権・地上権・賃借権を移転または設定する契約が対象です。したがって、贈与、相続、時効取得、抵当権の設定は対象になりません。対価がない、あるいは対象となる権利ではないためです。予約や停止条件付契約は対象に含まれます。
勧告の対象は土地の利用目的に限られます(法24条1項)。届出書には対価の額も記載しますが、事後届出制では価格について勧告することはできません。取引が終わった後の届出なので、価格に介入しても意味がないからです。勧告に従わなかった場合、都道府県知事はその旨および勧告の内容を公表することができます(法26条)が、契約が無効になるわけではありません。届出をしなかった場合には罰則がありますが、この場合も契約自体は有効です。
なお、注視区域および監視区域では契約締結前の事前届出制が、規制区域では許可制が採られており、事前届出制では価格も勧告の対象になります。事後と事前で価格の扱いが逆になるという対比が出題されます。詳細は国土利用計画法を参照してください。
その他の諸法令
年度によっては、自然公園法、河川法、森林法、文化財保護法、生産緑地法などから出題されることがあります。深追いする分野ではなく、押さえるべきは許可権者の原則と例外だけです。多くは都道府県知事の許可ですが、河川法は河川管理者、道路法は道路管理者、文化財保護法の重要文化財の現状変更は文化庁長官、生産緑地法は市町村長というように名宛人が異なります。この対比だけで足ります。その他の法令上の制限にまとめています。
試験での出題ポイント
法令上の制限の出題には型があります。年度ごとの傾向ではなく、問われ方のパターンとして押さえてください。
数値を入れ替える型。開発許可の1,000平方メートルと国土利用計画法の2,000平方メートル、盛土規制法の21日と14日、接道義務の4メートルと2メートル。区域の切り方が似ている制度どうしで数値が交換されます。制度ごとにばらばらに覚えるのではなく、同じ区域区分を使う制度を並べて覚えるのが対策になります。
名宛人を入れ替える型。農地法3条の農業委員会と4条・5条の都道府県知事等、地区計画の市町村長と開発許可の都道府県知事、都市計画区域の指定主体。許可か届出か、誰に対してか、という2点をセットで覚えてください。
適用範囲を広げる型。「すべての都市計画区域に区域区分を定めなければならない」「市街化調整区域でも小規模なら開発許可は不要」のように、原則と例外を逆にしたり、例外の範囲を広げたりします。
改正前の内容を使う型。開発許可が不要な公益上必要な建築物から病院・学校が外れたこと、宅地造成等規制法が盛土規制法に改められたこと、建築確認の区分が2025年4月に見直されたこと。宅建試験は原則としてその年の4月1日時点で施行されている法令に基づいて出題されるため、教材の対応年度を確認してください。
手続の前後を入れ替える型。事前届出か事後届出か、工事着手前か完了後か。盛土規制法の届出類型と国土利用計画法の事後届出はこの形で問われます。
似た制度を混同させる型。開発許可と建築確認、用途制限の「過半」と建蔽率・容積率の「加重平均」、仮換地の指定と換地処分。名前や場面が近いものは意図的に対にされます。
この4つの型は、いずれも「どこを入れ替えたか」を先に探せば処理できます。分野をまたいだ横断整理は法令上の制限の横断整理、数字の覚え方は法令上の制限の暗記法にまとめてあります。
覚え方・整理の仕方
区域を縦軸にして横断で覚える
法令上の制限は、市街化区域・市街化調整区域・非線引き都市計画区域・都市計画区域外という同じ区域区分を、複数の法律が使い回しています。法律ごとに覚えると同じ区分を何度も覚えることになりますが、区域を縦軸にして横に並べれば一度で済みます。
市街化区域という縦軸で見れば、開発許可は1,000平方メートル以上で必要、国土利用計画法の事後届出は2,000平方メートル以上で必要、農地法4条・5条は許可ではなく届出で足りる、用途地域は少なくとも定めるものとされている、と整理できます。市街化調整区域なら、開発許可は規模を問わず必要、農地法の届出特例はない、用途地域は原則定めない、となります。具体例は法令上の制限の横断まとめにまとめています。
数値は「なぜその大きさか」とセットで
数値をそのまま覚えると混同します。規制の厳しさと数値の大小には対応関係があるので、そこから復元できるようにしてください。
開発許可の面積要件は、市街化を進めたい市街化区域ほど小さい面積から規制がかかります。市街化区域1,000、非線引き3,000、区域外10,000という順で大きくなるのは、市街地に近いほど無秩序な開発の害が大きいからです。盛土規制法で、宅地造成等工事規制区域のほうが特定盛土等規制区域より小さな規模から許可対象になるのも同じ理屈です。危険な場所ほど網が細かい、と覚えれば大小を取り違えません。
暗記そのものの手法は法令上の制限の暗記法で扱っています。本記事が「どこまでやるか」を決める記事であるのに対し、そちらは「決めた範囲をどう覚えるか」の記事です。
許可か届出か、誰にか、いつか
法令上の制限の手続はすべて、この3つの要素で記述できます。開発許可なら、許可、都道府県知事、着手前。地区計画なら、届出、市町村長、30日前。国土利用計画法の事後届出なら、届出、都道府県知事(市町村長経由)、契約から2週間以内。農地法3条なら、許可、農業委員会、行為前。
新しい制度を学ぶときは、必ずこの3点をそろえて書き出してください。出題側もこの3点のどれかを入れ替えて肢を作るので、そろえて覚えておけば照合するだけで判断できます。
学習順序は都市計画法から
都市計画法の区域区分と用途地域は、建築基準法の集団規定、農地法の届出特例、国土利用計画法の面積要件のすべてで前提になります。ここが曖昧なまま先に進むと、あとの法律で毎回つまずきます。都市計画法、建築基準法、農地法と国土利用計画法、最後に盛土規制法と土地区画整理法という順序が無理がありません。計画への落とし込みは学習計画の立て方を参照してください。
理解度チェッククイズ
Q1. 市街化調整区域内で行う開発行為は、その規模が1,000平方メートル未満であれば開発許可を受ける必要はない。(○か×か)
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×:規模による許可不要の例外は、市街化区域、区域区分が定められていない都市計画区域、準都市計画区域、都市計画区域外について定められているものです。市街化調整区域には規模による例外がなく、原則として規模の大小にかかわらず開発許可が必要です。市街化を抑制すべき区域という位置づけ(都市計画法7条3項)から導かれます。Q2. 市街化区域内にある農地を、農地のまま売買する場合、あらかじめ農業委員会に届け出れば農地法3条の許可は不要である。(○か×か)
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×:市街化区域内の届出の特例が適用されるのは、転用を伴う4条と5条だけです(農地法4条1項7号、5条1項6号)。3条は農地が農地のまま移転するだけで転用を伴わないため、市街化区域内であっても農業委員会の許可が必要です。市街化区域だから緩和される、と一律に処理すると誤ります。Q3. 国土利用計画法の事後届出において、都道府県知事は、届出に係る土地の利用目的だけでなく、対価の額についても勧告することができる。(○か×か)
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×:事後届出における勧告の対象は土地の利用目的に限られます(法24条1項)。対価の額は届出事項ですが勧告の対象ではありません。取引が終わった後の届出なので、価格に介入しても意味がないためです。これに対し、注視区域・監視区域の事前届出では価格も勧告の対象になります。Q4. 土地区画整理組合が設立された場合、施行地区内の宅地について借地権を有する者は、組合の設立に同意していなければ組合員とならない。(○か×か)
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×:組合が設立されると、施行地区内の宅地について所有権を有する者および借地権を有する者は、すべて組合員となります(土地区画整理法25条1項)。設立に同意したかどうかは関係ありません。設立の要件として所有権者・借地権者それぞれの3分の2以上の同意が必要であること(法18条)と混同しないでください。Q5. 前面道路の幅員が12メートル未満である場合、容積率は、指定容積率と、前面道路の幅員に法定乗数を乗じた値のうち、大きいほうが限度となる。(○か×か)
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×:小さいほうが限度になります(建築基準法52条2項)。法定乗数は住居系の用途地域で10分の4、その他の地域で10分の6です。前面道路が狭いのに大きな建物が建てられては交通や採光に支障が出るため、道路の幅員によって上限が抑えられるという趣旨で、厳しいほうが適用されます。まとめとよくある質問
法令上の制限は8問、問15から問22までの枠です。内訳は都市計画法と建築基準法が各2問、盛土規制法・土地区画整理法・農地法・国土利用計画法が各1問という構成で、確認できる10年度分では変わっていません。ただし問題数が公表されているわけではないため、将来も同じとは限りません。
目標は6問前後に置き、7問目・8問目のために宅建業法や権利関係の時間を削らないこと。捨てる判断は法律単位ではなく論点単位で行い、数値と手続の名宛人は捨てません。細かな例外のそのまた例外は後回しでかまいません。
覚えるときは、法律ごとに縦に積むのではなく、区域を縦軸にして横断で並べます。数値は規制の厳しさから復元できるようにし、手続は「許可か届出か・誰にか・いつか」の3点をそろえて記録します。
法令上の制限はいつから始めるべきですか
宅建業法の学習にある程度めどが立った段階から着手するのが無理のない順序です。宅建業法は配点が最も大きく、条文の適用が明確で得点が安定しやすいため、先に固めておく価値があります。法令上の制限は数値の記憶が中心なので、直前期に一度集中して見直す時間を確保できると定着しやすくなります。科目ごとの進め方は科目別の攻略法にまとめています。
土地区画整理法と盛土規制法は捨ててもよいですか
推奨しません。この2法令は覚える範囲が限られており、問われる論点にも繰り返しの傾向があります。土地区画整理法なら施行者の種類、組合員の範囲、仮換地と換地処分の効果。盛土規制法なら規制区域の2種類と許可対象の規模、届出の3類型。この程度に絞れば、投じる時間に対して1点が取れる見込みは十分にあります。捨てるなら、これらの法令ではなく各法令の細かい例外規定です。
建蔽率・容積率の計算問題が苦手です
手順を毎回同じ順序に固定してください。指定値を確認する、緩和や加算の要件に当たるかを確認する、容積率であれば前面道路による制限を計算して小さいほうを取る、敷地面積を乗じる、という順です。順序を固定すると、緩和条件の見落としという最も多いミスが減ります。敷地が2以上の地域にわたるときは加重平均、用途制限は過半という区別も、手順のなかに組み込んでおいてください。
宅建試験AIブートラボのアプリでは、法令上の制限を法令別・論点別に演習できます。数値と手続は、読むより解くほうが定着します。
都市計画法・建築基準法・農地法は数字の暗記が中心です。繰り返しの肢別トレーニングが一番効きます。