/ 法令上の制限

都市計画の種類と決定手続き|マスタープラン・地域地区

都市計画の種類(マスタープラン・地域地区・都市施設等)と決定手続きの流れを宅建試験対策として解説。決定権者の違いや公聴会・縦覧の手続きを表で整理。

都市計画法は宅建試験の「法令上の制限」分野で毎年2問程度出題される重要科目です。都市計画にはマスタープランから地域地区、都市施設、市街地開発事業まで多くの種類があり、それぞれの決定手続きや決定権者が異なります。本記事では、都市計画の全体像を体系的に整理し、試験で問われるポイントを丁寧に解説します。

都市計画とは?その目的と全体像

都市計画とは、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るために定められる土地利用や都市施設、市街地開発事業などに関する計画のことです。

都市計画法の目的

都市計画法第1条には、その目的が明記されています。

都市計画法第1条(目的)
この法律は、都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もって国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。

ポイントは「都市の健全な発展と秩序ある整備」というキーワードです。試験では、この目的規定の文言を変えたひっかけ問題が出題されることがあります。

都市計画の体系

都市計画の体系は以下のように整理できます。

分類 内容 具体例
都市計画区域の整備・開発・保全の方針 マスタープラン 都市計画区域マスタープラン、市町村マスタープラン
区域区分 線引き 市街化区域・市街化調整区域
地域地区 用途等の規制 用途地域、特別用途地区、高度地区など
都市施設 インフラ計画 道路、公園、下水道など
市街地開発事業 面的整備 土地区画整理事業、市街地再開発事業など
地区計画等 きめ細かな計画 地区計画、防災街区整備地区計画など

マスタープランの種類と役割

マスタープランは都市計画の上位に位置する基本方針であり、2種類あります。

都市計画区域マスタープラン(都市計画区域の整備、開発及び保全の方針)

都市計画区域マスタープランは、都道府県が定める広域的な基本方針です。

  • 決定権者: 都道府県(指定都市は自ら決定可能)
  • 内容: 都市計画の目標、区域区分の決定の有無、土地利用・都市施設・市街地開発事業に関する主要な方針
  • 特徴: 区域区分を定めるかどうかを判断する前提となる

市町村マスタープラン(市町村の都市計画に関する基本的な方針)

市町村マスタープランは、住民に最も身近な自治体が定める方針です。

  • 決定権者: 市町村
  • 内容: 住民の意見を反映させた、より具体的な都市計画の方針
  • 特徴: 議会の議決を経て定められた基本構想に即して策定

両者の関係

都市計画区域マスタープランが上位計画、市町村マスタープランがその下位計画に位置します。市町村マスタープランは、都市計画区域マスタープランに即して定めなければなりません。

地域地区の種類

地域地区は都市計画で最もよく出題される分野のひとつです。用途地域をはじめとする様々な地区が定められています。

用途地域(13種類)

用途地域は、建築物の用途を規制する最も基本的な地域地区です。2018年の法改正で「田園住居地域」が追加され、現在は13種類となっています。

分類 用途地域名
住居系(8種類) 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、田園住居地域
商業系(2種類) 近隣商業地域、商業地域
工業系(3種類) 準工業地域、工業地域、工業専用地域

用途地域以外の主な地域地区

試験で問われやすい地域地区を整理します。

  • 特別用途地区: 用途地域内で、さらに特別な目的のために定める地区
  • 高度地区: 建築物の高さの最高限度または最低限度を定める地区
  • 高度利用地区: 容積率の最高限度・最低限度、建ぺい率の最高限度、建築面積の最低限度を定める
  • 特定街区: 容積率・建築物の高さの最高限度・壁面の位置を定める
  • 防火地域・準防火地域: 市街地における火災の危険を防除するための地域
  • 風致地区: 都市の風致を維持するための地区
  • 特定用途制限地域: 用途地域が定められていない区域(市街化調整区域を除く)において定める

都市計画の決定手続き

都市計画の決定手続きは、試験で頻出のテーマです。手続きの流れと決定権者をしっかり押さえましょう。

決定権者の整理

都市計画の決定権者は、計画の種類によって都道府県と市町村に分かれます。

都道府県が定める都市計画:
- 都市計画区域マスタープラン
- 区域区分(市街化区域・市街化調整区域)
- 都市再開発方針等
- 広域的・根幹的な都市計画(一定の都市施設など)

市町村が定める都市計画:
- 市町村マスタープラン
- 用途地域
- 地区計画
- 市町村が施行する市街地開発事業

決定手続きの流れ

都市計画の決定手続きは以下の流れで進みます。

  1. 原案の作成: 必要に応じて公聴会の開催等を行い、住民の意見を反映
  2. 都市計画案の縦覧: 都市計画案を2週間公衆の縦覧に供する
  3. 意見書の提出: 関係市町村の住民及び利害関係人は、縦覧期間中に意見書を提出できる
  4. 都市計画審議会への付議: 都道府県都市計画審議会または市町村都市計画審議会の議を経る
  5. 国土交通大臣への協議: 都道府県が定める場合は国土交通大臣に協議(かつては同意が必要だったが、現在は協議のみ)
  6. 決定・告示: 都市計画を決定し、告示する

手続きの重要ポイント

手続き 内容
公聴会 住民の意見を反映させるために必要に応じて開催
縦覧期間 2週間
意見書提出 住民及び利害関係人が提出可能
審議会 都道府県→都道府県都市計画審議会、市町村→市町村都市計画審議会
効力発生 告示の日から効力を生ずる

都市計画の提案制度

2002年の法改正により、都市計画の提案制度が導入されました。

提案できる者

  • 土地所有者等(土地所有者・借地権者)
  • まちづくりNPO法人
  • まちづくり協議会等

提案の要件

  • 計画提案に係る区域が 0.5ヘクタール以上 の一団の土地であること
  • 土地所有者等の 3分の2以上の同意 が必要(人数と面積の両方)
  • 都市計画に関する基準に適合すること

試験での出題ポイント

都市計画の種類と決定手続きに関して、試験で狙われやすいポイントを整理します。

数字の覚え方

  • 縦覧期間「2週間」: 「じゅうらん(縦覧)は2(じゅう=10+4=14日=2週間)」と語呂で覚える
  • 提案面積「0.5ha以上」: 「提案はゴ(0.5)ヘクタール」
  • 同意要件「3分の2以上」: 「提案の同意は3分の2」(区画整理の組合設立と同じ)

ひっかけパターン

  1. 「公聴会は必ず開催しなければならない」 → 誤り。「必要に応じて」開催
  2. 「国土交通大臣の同意が必要」 → 誤り。現在は「協議」のみで「同意」は不要
  3. 「都市計画は公告の日から効力を生ずる」 → 正しい。「告示の日」とも表現される
  4. 「市町村が用途地域を定める」 → 正しい。用途地域は市町村が決定
  5. 「準都市計画区域でもマスタープランを定める」 → 誤り。準都市計画区域にマスタープランは不要

理解度チェッククイズ

以下のクイズで理解度を確認しましょう。

Q1. 都市計画の決定にあたり、公聴会の開催は法律上義務づけられている。

答えを見る **× 誤り** 公聴会の開催は義務ではなく、「必要に応じて」行うものとされています(都市計画法第16条第1項)。

Q2. 用途地域は全部で13種類ある。

答えを見る **○ 正しい** 2018年の法改正で「田園住居地域」が追加され、住居系8種類、商業系2種類、工業系3種類の合計13種類です。

Q3. 都市計画の案を公衆の縦覧に供する期間は1か月である。

答えを見る **× 誤り** 縦覧期間は「2週間」です。1か月ではありません。

Q4. 都道府県が都市計画を決定する場合、国土交通大臣の同意を得なければならない。

答えを見る **× 誤り** 現行法では「協議」は必要ですが、「同意」は不要です。

Q5. 都市計画の提案をするには、区域内の土地所有者等の過半数の同意が必要である。

答えを見る **× 誤り** 都市計画の提案には、土地所有者等の「3分の2以上」の同意が必要です(人数と面積の両方)。

まとめ

都市計画の種類と決定手続きについて、以下の3点を押さえましょう。

  1. 都市計画の体系を理解する: マスタープラン → 区域区分 → 地域地区 → 都市施設 → 市街地開発事業 → 地区計画等の階層構造を把握する
  2. 決定権者を正確に覚える: 広域的な計画は都道府県、身近な計画は市町村が決定。用途地域は市町村が決定する点に注意
  3. 手続きの数字を暗記する: 縦覧期間は2週間、提案面積は0.5ha以上、同意は3分の2以上

よくある質問(FAQ)

Q. マスタープランは2種類あるとのことですが、試験ではどちらが出題されやすいですか?

A. 都市計画区域マスタープラン(都道府県が決定)と市町村マスタープラン(市町村が決定)の両方が出題されます。特に決定権者の違いが問われるので、区別して覚えましょう。

Q. 用途地域が13種類に増えたのはいつからですか?

A. 2018年(平成30年)4月1日から「田園住居地域」が追加され、12種類から13種類になりました。それ以前の過去問では12種類と記載されている場合があるので注意してください。

Q. 「協議」と「同意」の違いは何ですか?

A. 「協議」は相手方と話し合いを行うことで、相手方の了解を得る必要はありません。一方、「同意」は相手方の了解(許可)が必要です。都市計画法の改正により、国土交通大臣への「同意」は「協議」に変更されました。

Q. 都市計画の提案制度は試験で出題されますか?

A. 出題頻度はそこまで高くありませんが、近年出題されることがあります。「0.5ha以上」「3分の2以上の同意」という数字は押さえておきましょう。

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