宅建試験AIブートラボ 宅建試験AIブートラボ

用途地域13種類と建築制限|地域ごとの規制を解説

法令上の制限 読了 約24分

用途地域13種類を住居系・商業系・工業系に分け、各地域の趣旨、建てられる建物、建蔽率・容積率・高さ制限を条文根拠つきで解説。またがる場合の扱いも整理します。

目次

    本記事は、13の用途地域それぞれについて「どういう街をつくるための地域なのか」「そこに何が建てられて何が建てられないのか」「規模と高さがどう制限されるのか」を順に説明するものです。暗記の手順と早見表は用途地域13種の一覧と覚え方、受験目的ではなく自分の土地の調べ方を知りたい場合は用途地域とは?自分の土地に建てられる建物を確認する方法に分けてあります。この記事は制度の中身そのものを扱います。

    用途地域を苦手にする人の多くは、13の名前と建てられる建物の組み合わせを、無関係な情報の羅列として覚えようとしています。しかし13の地域は、住環境を最優先する第一種低層住居専用地域から、用途をほとんど制限しない商業地域を経て、住宅すら排除する工業専用地域まで、一本の連続した軸の上に並んでいます。この軸を先に理解すると、個別の用途制限は「その地域の趣旨から見て、これは許されるか」という判断で処理できるようになります。以下では住居系、商業系、工業系のグループごとに、その軸に沿って読んでいきます。

    用途地域という制度の位置づけ

    地域を決めるのが都市計画法、中身を決めるのが建築基準法

    用途地域を扱うとき、二つの法律が役割を分担していることをまず押さえてください。用途地域の種類とその趣旨を定めているのは都市計画法9条です。同条1項から13項までに、13の用途地域が「何を目的として定める地域か」という形で書き分けられています。一方、それぞれの地域で具体的にどの建築物を建ててはならないかを定めているのは建築基準法48条と別表第二です。建蔽率は同法53条、容積率は同法52条、高さの制限は同法55条や56条というように、規模と形態の制限も建築基準法側にあります。

    この分担を知っておくと、問題文がどちらの法律を前提にしているかで論点の見当がつきます。「〜の環境を保護するため定める地域」という言い回しが出てきたら都市計画法9条の定義を問うており、「建築してはならない」「建築することができる」という言い回しなら建築基準法48条の話です。都市計画法の全体像は都市計画法の基礎、建築基準法の構成は建築基準法の全体像にまとめてあります。

    用途地域が定められる区域

    用途地域はどこにでも定められるわけではありません。都市計画法13条1項7号は、市街化区域については少なくとも用途地域を定めるものとし、市街化調整区域については原則として用途地域を定めないものとしています。市街化調整区域はそもそも市街化を抑制する区域なので、どんな建物を建てるかを地域ごとに振り分ける必要がないという理屈です。

    区域区分が定められていない都市計画区域や準都市計画区域では、用途地域を定めることができますが、必ず定めるわけではありません。用途地域が定められていない区域については、特定用途制限地域という別の仕組みで、環境を害するおそれのある特定の建築物の用途を制限することができます。ただし特定用途制限地域は市街化調整区域には定められません。区域区分そのものについては市街化区域と市街化調整区域で扱っています。

    用途地域が定められると、その上にさらに地区が重ねられることがあります。特別用途地区、高度地区、高度利用地区は用途地域の内側に定める地区で、用途地域の制限を強めたり緩めたりします。地区計画は用途地域の内外を問わず定められます。用途地域と各種の地区の関係は都市計画の種類地区計画を参照してください。

    用途地域を定めるのは誰か

    用途地域は都市計画のひとつなので、都市計画の決定手続に乗って定められます。決定権者は原則として市町村です(都市計画法15条1項)。区域区分、すなわち市街化区域と市街化調整区域の区分が都道府県の定める都市計画であるのに対し、用途地域は市町村の定める都市計画である、という対比が出題されます。都市計画には都道府県が定めるものと市町村が定めるものがあり、その振り分けを問う形式は繰り返し使われるので、用途地域は市町村側だと覚えてください。

    なお、用途地域を定めるにあたっては、建蔽率や容積率の数値、低層住居専用地域等における絶対高さの限度なども、あわせて都市計画で定めることになります。つまり「都市計画で定める」という言い回しが出てきたら、それは市町村が都市計画の手続を経て決めた数値だという意味です。都市計画の決定手続の全体像は都市計画法の制限を参照してください。

    田園住居地域が加わった経緯

    用途地域は長く12種類でしたが、2018年4月1日に施行された都市計画法の改正により、13番目として田園住居地域が加わりました。背景にあったのは、市街化区域内に残る農地の扱いです。市街化区域は市街化を進める区域なので、その中の農地は本来なら宅地に転換されていく前提でした。しかし実際には、都市の中に農地があること自体に、緑地としての価値、災害時の空地としての価値、地域で消費する農産物の供給地としての価値が認められるようになりました。

    そこで、農業と低層住宅が共存する地域として田園住居地域が設けられました。都市計画法9条8項は、この地域を「農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」と定義しています。低層住居専用地域に準じた住環境保護と、農業関連施設の許容を組み合わせた地域だと理解しておけば足ります。

    さらに田園住居地域には、他の用途地域にない仕組みが付いています。この地域内の農地で土地の形質の変更、建築物の建築、土石その他の政令で定める物件の堆積を行うには、市町村長の許可を受けなければなりません(都市計画法52条1項)。用途地域の話でありながら許可制が出てくる点が特徴なので、田園住居地域が問われるときの狙いどころになります。

    住居系8地域

    住居系は8地域あり、住環境の保護の強さが段階的に緩んでいきます。この段階を追えるかどうかが、住居系の理解のすべてです。

    第一種低層住居専用地域

    都市計画法9条1項は「低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」と定義しています。13の用途地域のうち、もっとも規制が厳しい地域です。

    建てられるのは、住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿のほか、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、図書館、神社・寺院・教会、保育所、老人ホーム、診療所、公衆浴場、巡査派出所などです。店舗については原則として建てられませんが、住宅と兼用で、店舗等の部分の床面積が50平方メートル以下かつ延べ面積の2分の1未満であれば認められます。

    建てられないもののうち試験で問われるのは、大学、高等専門学校、専修学校、そして病院です。小中高は建てられるのに大学は建てられない、診療所は建てられるのに病院は建てられない、というねじれが定番の出題材料になります。趣旨から考えれば、通学範囲が地域内に収まる学校や、近所の人がかかる診療所は低層住宅地の環境と両立するが、広域から人と車を集める大学や病院は両立しない、という区別です。単独の事務所、ホテル・旅館、カラオケボックス、劇場・映画館も建てられません。

    第二種低層住居専用地域

    都市計画法9条2項の定義は「主として低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」です。第一種との違いは「主として」の三文字だけですが、この三文字が制限の緩みを表しています。

    具体的には、第一種で建てられるものに加えて、2階以下かつ床面積150平方メートル以内の一定の店舗、飲食店などが建てられます。日用品の店やコンビニエンスストア程度の規模を想定した緩和です。大学と病院が建てられない点は第一種と変わりません。

    田園住居地域

    前述のとおり2018年に新設された地域で、建築制限の骨格は低層住居専用地域と同じです。絶対高さの制限や外壁の後退距離の制限も、第一種・第二種低層住居専用地域と同じ枠組みで適用されます。大学と病院が建てられない点も共通です。

    田園住居地域に固有の緩和は、農業に関連する施設が建てられる点にあります。農産物の生産、集荷、処理、貯蔵に供するもの、農業の生産資材の貯蔵に供するもの、そして農産物の直売所や農家レストランのように地域で生産された農産物を販売・提供する店舗が、一定の規模の範囲で認められます。試験では、田園住居地域を低層住居専用地域と同じグループとして扱ってよいか、それとも別扱いかを問う形が想定されます。原則として同じグループ、ただし農業関連施設と52条の許可制が上乗せ、と覚えるのが実際的です。

    第一種中高層住居専用地域

    都市計画法9条3項の「中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」です。低層から中高層に移ることで、地域が抱える人口が増え、それに応じた施設が必要になります。ここで大学、高等専門学校、専修学校、そして病院が建てられるようになります。低層系との最大の分かれ目がここなので、境目として強く記憶してください。

    店舗については、2階以下かつ床面積500平方メートル以内の一定のものが建てられます。ただし単独の事務所は、この地域ではまだ建てられません。事務所が解禁されるのは次の第二種中高層住居専用地域からです。

    第二種中高層住居専用地域

    都市計画法9条4項の「主として中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」です。第一種との関係は、低層系における第一種と第二種の関係と同じ構造で、「主として」が付いた分だけ緩みます。

    店舗や事務所は、2階以下かつ床面積1,500平方メートル以内のものが建てられます。第一種中高層の500平方メートルから1,500平方メートルへ、という数字の変化と、事務所が解禁される点が識別の手がかりです。

    第一種住居地域

    都市計画法9条5項は「住居の環境を保護するため定める地域」と定義します。ここから名称に「専用」が付かなくなります。専用地域は住宅のための地域という色が濃いのに対し、住居地域は住宅以外の用途も一定程度混在することを前提にした地域です。

    店舗、事務所、ホテル・旅館、ボーリング場などが、床面積3,000平方メートル以内であれば建てられます。ホテル・旅館が初めて建てられるようになるのがこの地域なので、覚えどころになります。一方でカラオケボックスやパチンコ屋は、まだ建てられません。

    第二種住居地域

    都市計画法9条6項の「主として住居の環境を保護するため定める地域」です。第一種住居地域にあった3,000平方メートルという床面積の枠が外れ、店舗や事務所の規模の制限がなくなります。ただし床面積の合計が10,000平方メートルを超える大規模な集客施設は、この地域には建てられません。大規模集客施設が建てられるのは近隣商業地域、商業地域、準工業地域の三つに限られており、これも繰り返し問われる論点です。

    第二種住居地域では、カラオケボックスとパチンコ屋、麻雀屋が建てられるようになります。第一種住居地域では建てられないので、この一段の差が識別点です。

    準住居地域

    都市計画法9条7項は「道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するため定める地域」と定義しています。幹線道路沿いを想定した地域だという点が、名前からは読み取りにくいので注意が必要です。

    沿道立地型の用途として、自動車修理工場が作業場の床面積150平方メートル以内で認められ、客席の床面積が200平方メートル未満の劇場、映画館、演芸場、観覧場も建てられます。住居系8地域のうち、劇場・映画館が建てられるのは準住居地域だけです。200平方メートル以上の規模になると準住居地域でも建てられなくなり、近隣商業地域、商業地域、準工業地域に限られます。この規模による切り替えが出題点です。

    住居系8地域を貫く軸

    ここまでを一本の線として見直すと、次のように並びます。低層住居専用地域と田園住居地域では大学と病院が建てられない。中高層住居専用地域で大学と病院が解禁される。第一種住居地域でホテル・旅館が解禁される。第二種住居地域でカラオケボックスとパチンコ屋が解禁される。準住居地域で小規模な劇場・映画館と自動車修理工場が解禁される。

    この五つの解禁ポイントを順に言えるようにしておくと、住居系の用途制限の問題はほとんど処理できます。個々の建築物を13地域すべてについて覚える必要はなく、「どこから建てられるようになるか」という境目だけを覚えれば十分です。この境目を語呂や図に落とす方法は用途地域13種の一覧と覚え方で扱っています。

    商業系2地域

    近隣商業地域

    都市計画法9条9項は「近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを主たる内容とする商業その他の業務の利便を増進するため定める地域」と定義しています。定義の主語が「近隣の住宅地の住民」である点が特徴で、周辺の住宅地に生活の便を供給する商店街を想定した地域です。

    用途制限はかなり緩く、住宅も店舗も事務所もホテルも劇場も建てられます。10,000平方メートルを超える大規模集客施設も建てられます。建てられないのは、危険性が大きい工場や、著しく環境を悪化させるおそれのある工場など、工業系の一部にとどまります。

    商業地域

    都市計画法9条10項は「主として商業その他の業務の利便を増進するため定める地域」と定義します。近隣商業地域が周辺住民向けの商業を想定しているのに対し、商業地域は広域を対象とした商業・業務の中心地を想定しています。都心部の繁華街やオフィス街がこれに当たります。

    用途制限は13地域中もっとも緩く、住宅も建てられます。近隣商業地域との実質的な違いとして試験で問われるのは、個室付浴場業に係る公衆浴場が商業地域でのみ建てられるという点と、工場の規模に関する制限の差です。近隣商業地域と商業地域はどちらも「ほとんど何でも建つ」地域なので、違いを問うならこの二点に絞られます。

    商業系を判断するときの視点

    商業系の肢を読むときは、「建てられない」と書いてある肢を疑うのが基本です。商業系で建てられないのは工業系の危険な用途に限られるため、住宅や学校や病院を挙げて「建てられない」とする肢はほぼ誤りになります。逆に、危険物の貯蔵や処理を伴う工場について「商業地域に建てられる」と書いてあれば、規模を確認する必要があります。

    なお、建蔽率の面では商業地域だけが特別で、都市計画で定める建蔽率が80パーセントに固定されています。この点は次章で扱います。

    工業系3地域

    準工業地域

    都市計画法9条11項は「主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進するため定める地域」と定義しています。工業系でありながら住宅も店舗も建てられ、実務上はもっとも用途の混在した地域になります。

    建てられないのは、危険性が大きい工場や著しく環境を悪化させるおそれのある工場、そして個室付浴場業に係る公衆浴場です。逆に言えば、それ以外はほぼ何でも建てられます。大規模集客施設が建てられる三つの地域のひとつでもあります。準工業地域を「工業系だから住宅は建てられない」と誤解する肢が作られやすいので注意してください。

    工業地域

    都市計画法9条12項の「主として工業の利便を増進するため定める地域」です。準工業地域と違い、どんな工場でも建てられます。危険性が大きい工場も、環境を悪化させるおそれのある工場も制限されません。

    その代わり、住宅以外の生活関連施設が落ちていきます。工業地域では、幼稚園・小学校・中学校・高等学校、大学、病院、ホテル・旅館、劇場・映画館が建てられません。住宅と共同住宅は建てられます。「工業地域には住宅が建てられない」という肢は誤りで、これは繰り返し使われる崩し方です。学校が建てられないのに住宅は建てられる、というねじれを、そのまま覚えてください。

    工業専用地域

    都市計画法9条13項は「工業の利便を増進するため定める地域」と定義します。「主として」が付かない点が、この地域の徹底ぶりを表しています。13の用途地域のうち、唯一、住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿を建てられない地域です。

    住宅以外にも、物品販売店舗、飲食店、図書館、老人ホーム、ホテル・旅館、学校、病院が建てられません。一方で事務所は建てられます。また、保育所、診療所、神社・寺院・教会、公衆浴場、巡査派出所は、工業専用地域を含む13すべての用途地域で建てられます。この「どこでも建つ五つ」は、そのまま一つの知識として覚えておくと便利です。

    工業系3地域の対比

    工業系は、工場の側から見ると規制が緩んでいき、生活施設の側から見ると規制が厳しくなっていく、という逆向きの二本の軸で整理できます。準工業では危険な工場が建てられないが生活施設はほぼ建てられる。工業地域ではどんな工場も建てられるが学校・病院・ホテルが落ちる。工業専用地域では住宅まで落ちる。この三段階を、工場と生活施設の両側から言えるようにしておくと、肢の判断が速くなります。

    用途地域と連動する規模・形態の制限

    用途地域は「何を建てるか」だけでなく、「どれだけの規模で建てるか」も決めます。建蔽率、容積率、高さの制限は、いずれも用途地域を単位として定められています。

    建蔽率は地域ごとに選択肢が決まっている

    建蔽率は建築面積の敷地面積に対する割合で、建築基準法53条1項が用途地域ごとに、都市計画で定めることのできる数値の選択肢を列挙しています。第一種・第二種低層住居専用地域、第一種・第二種中高層住居専用地域、田園住居地域、工業専用地域では30、40、50、60パーセントの中から定めます。第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、準工業地域では50、60、80パーセントから、近隣商業地域では60または80パーセントから定めます。工業地域は50または60パーセントです。

    商業地域だけは選択肢がなく、80パーセントに固定されています。「商業地域の建蔽率は都市計画で定める」という肢は、選択の余地がないという意味で誤りになります。用途地域の指定のない区域については、特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て定めます。

    建蔽率の緩和と適用除外

    建蔽率には加算と適用除外があり、ここが計算問題の分かれ目になります。建築基準法53条3項により、防火地域内にある耐火建築物等については10パーセント、準防火地域内にある耐火建築物等または準耐火建築物等については10パーセント、街区の角にある敷地で特定行政庁が指定するものについては10パーセントが、それぞれ加算されます。両方に該当すれば合計20パーセントの加算です。

    さらに同条6項により、建蔽率の限度が80パーセントとされている地域内で、かつ防火地域内にある耐火建築物等については、建蔽率の制限そのものが適用されません。商業地域の多くがこれに当たります。「加算されて90パーセントになる」のではなく「制限がなくなる」という違いが問われます。巡査派出所、公衆便所、公共用歩廊なども適用除外です。計算の手順は建蔽率・容積率の計算、制度の基本は建蔽率と容積率の基礎、防火地域の規制は防火地域・準防火地域にまとめてあります。

    容積率は前面道路で頭を打つ

    容積率は延べ面積の敷地面積に対する割合で、用途地域ごとに都市計画で定められます。ただし建築基準法52条2項により、前面道路の幅員が12メートル未満の場合には、その幅員のメートル数に一定の数値を乗じたものと、都市計画で定められた数値とを比べ、小さい方が上限になります。

    乗じる数値は、住居系の用途地域、すなわち第一種・第二種低層住居専用地域、第一種・第二種中高層住居専用地域、第一種・第二種住居地域、準住居地域、田園住居地域では10分の4、それ以外の用途地域では10分の6が原則です。特定行政庁が都市計画審議会の議を経て定める場合には別の数値になることがあります。試験では、住居系かどうかで乗数が変わる点と、二つの値のうち小さい方を採る点が繰り返し問われます。

    前面道路が2以上ある場合には、幅員の最大のものを前面道路とします。また、幅員15メートル以上の特定道路から70メートル以内にある敷地については、前面道路の幅員に一定の数値を加算する緩和があります。

    高さの制限は地域によって適用の有無が違う

    高さの制限は複数あり、どの地域に適用されるかがそれぞれ異なります。ここが用途地域と高さ制限を結びつける論点です。

    絶対高さの制限は、建築基準法55条1項により、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域に限って適用され、建築物の高さは10メートルまたは12メートルのうち都市計画で定めた限度を超えられません。10メートルと12メートルを入れ替えたり、他の数値に置き換えたりする肢が典型です。

    外壁の後退距離の制限も、同法54条により同じ三つの地域についてのみ、都市計画で1.5メートルまたは1メートルと定めることができます。「定めなければならない」ではなく「定めることができる」という点が問われます。

    斜線制限については、道路斜線制限がすべての用途地域と用途地域の指定のない区域に適用されるのに対し、隣地斜線制限は第一種・第二種低層住居専用地域と田園住居地域には適用されません。これらの地域には絶対高さの制限があるため、隣地斜線で重ねて規制する必要がないからです。北側斜線制限は、低層住居専用地域と田園住居地域、および中高層住居専用地域に適用されます。

    日影規制は、建築基準法56条の2により、商業地域、工業地域、工業専用地域には適用されません。これらは住環境の保護を主眼としない地域だからです。高さ制限の全体像は高さ制限、道路との関係はセットバックと接道義務を参照してください。

    敷地が2以上の用途地域にまたがる場合

    現実の敷地は、用途地域の境界線をまたぐことがあります。このとき制限をどう適用するかは、制限の種類によって答えが違います。ここは出題の集中する箇所です。

    用途制限は過半主義

    用途制限については、建築基準法91条により、建築物の敷地が2以上の地域にわたる場合、その建築物または敷地の全部について、敷地の過半の属する地域の規定を適用します。敷地の面積の過半を占める地域の用途制限が、敷地全体を支配するという考え方です。

    注意すべきは、これが「建物が建っている位置」ではなく「敷地の過半」で決まる点です。敷地の6割が商業地域、4割が第一種住居地域である場合、建物が住居地域側に寄って建っていても、商業地域の用途制限が敷地全体に適用されます。建物の位置を持ち出して判断を誤らせる肢が作られます。

    建蔽率と容積率は加重平均

    一方、建蔽率と容積率は過半主義ではありません。建築基準法53条2項と52条7項により、それぞれの地域に属する敷地の部分の割合に応じて按分し、加重平均した数値が敷地全体の限度になります。地域ごとに定められた率を、その地域に属する面積の比率で配分して合計する計算です。

    用途制限は過半、建蔽率と容積率は加重平均。この対比がそのまま肢になります。「敷地の過半が属する地域の建蔽率が適用される」という肢は誤りです。逆に「用途制限は面積比で按分する」という肢も誤りです。片方の結論をもう片方に持ち込む崩し方なので、必ずセットで覚えてください。

    高さと防火地域は別の扱い

    絶対高さの制限や斜線制限、日影規制は、建築基準法91条の適用対象から外されており、それぞれの条文が定めるところによります。低層住居専用地域の部分にかかる建築物の部分には、その地域の制限が及ぶという考え方です。

    防火地域と準防火地域にまたがる場合は、また別のルールで、原則として厳しい方、つまり防火地域の規定が建築物全体に適用されます。ただし建築物が防火壁で区画されている場合には、その防火壁より外の部分については準防火地域の規定によります。用途地域の按分計算と混同しやすいので、防火地域は「厳しい方に寄せる」と別枠で覚えてください。詳細は防火地域・準防火地域にあります。

    用途地域が他の論点とつながるところ

    用途地域は法令上の制限の中だけで完結する論点ではありません。宅建業法や建築確認とつながる場面があり、そこを問う出題もあります。

    重要事項説明での扱い

    宅建業法35条1項2号は、宅地建物取引業者が重要事項として、当該宅地または建物に係る都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で政令で定めるものに関する事項の概要を説明しなければならないと定めています。用途地域に基づく建築物の用途の制限や、建蔽率・容積率の制限は、この「法令に基づく制限」に含まれます。

    注意すべきは、説明すべき範囲が取引の態様によって異なる点です。売買・交換の場合と貸借の場合とでは、政令で定められた説明事項の範囲が違います。買主は建物を建てる立場になり得るので用途や規模の制限が判断材料になりますが、借主にとっては意味を持たない項目があるためです。重要事項説明の全体像は重要事項説明にまとめてあります。

    既存不適格建築物という考え方

    用途地域は、都市計画の変更によって指定が変わることがあります。このとき、変更前の規制のもとで適法に建っていた建築物が、変更後の規制に適合しなくなることがあります。こうした建築物について、建築基準法3条2項は、規定の施行または適用の際に現に存する建築物には、その規定を適用しないとしています。これが既存不適格建築物です。

    既存不適格は違反建築物とは違います。建てた時点では適法だったものが、後からルールが変わって適合しなくなっただけなので、直ちに是正を求められるわけではありません。ただし増築や大規模の修繕などを行う際には、原則として現行の規定に適合させる必要が生じます。「用途地域の変更により、既存の建築物は違反建築物となる」という肢は誤りです。

    用途変更と建築確認

    既存の建物の用途を変えるだけであれば、工事を伴わなくても手続が不要とは限りません。建築基準法87条1項により、建築物の用途を変更して一定規模を超える特殊建築物とする場合には、建築確認を受ける必要があります。政令で指定する類似の用途相互間での変更である場合は除かれます。用途地域の制限に適合するかどうかは、この確認の場面でも審査されます。建築確認そのものの要否は建築確認、開発行為との関係は開発許可で扱っています。

    試験での出題ポイント

    用途地域の問題は、知識の量よりも、どこを崩されているかを見抜けるかで差がつきます。頻出の崩し方は次のとおりです。

    工業地域と工業専用地域の入れ替え

    もっとも多いのが、住宅を建てられないのは工業専用地域だけであるという原則を、工業地域にずらす型です。「工業地域内には住宅を建築することができない」という肢は誤りです。逆に「工業専用地域内には共同住宅を建築することができる」も誤りです。工業系の三つを混ぜてくる肢は、まず住宅が建つかどうかで切り分けてください。

    大学と病院の解禁ラインをずらす

    低層住居専用地域と田園住居地域では大学と病院が建てられず、中高層住居専用地域から建てられます。この境目を一段ずらして、「第一種低層住居専用地域内に病院を建築することができる」「第一種中高層住居専用地域内に大学を建築することはできない」といった肢が作られます。小中高と大学、診療所と病院という対の区別が焦点です。

    数値を近い値に置き換える

    絶対高さの10メートルまたは12メートルを15メートルにする、第一種住居地域の3,000平方メートルを5,000平方メートルにする、大規模集客施設の10,000平方メートルを5,000平方メートルにする、といった置き換えです。用途地域まわりは数値が多いので、建築基準法の数字で同種の数値をまとめて確認しておくと、置き換えに気づきやすくなります。

    過半主義と按分計算を取り違えさせる

    前章のとおり、用途制限は過半、建蔽率・容積率は加重平均です。この二つを入れ替える肢は定番中の定番なので、またがる話が出てきたら、まず何の制限の話かを確認する手順を固定してください。

    「定めることができる」と「定めなければならない」

    外壁の後退距離は「定めることができる」規定であり、必ず定められるわけではありません。同様に、市街化区域については用途地域を「定めるものとする」、市街化調整区域については「原則として定めない」という書き分けもあります。義務なのか裁量なのかを、条文の語尾で確認する癖をつけてください。法令上の制限全体で問われやすい論点は法令上の制限の頻出論点に整理してあります。

    覚え方・整理の仕方

    13個を覚えるのではなく、5つの境目を覚える

    住居系8地域は、大学・病院、ホテル・旅館、カラオケボックス・パチンコ屋、劇場・映画館、という順に解禁されていきます。覚えるべきは13かける建築物の組み合わせではなく、この解禁の境目です。境目は四つか五つしかないので、順番に唱えられるようにしてください。

    「どこでも建つもの」と「一つだけ建たないもの」を先に固定する

    保育所、診療所、神社・寺院・教会、公衆浴場、巡査派出所は13すべての用途地域で建てられます。逆に、住宅が建てられないのは工業専用地域の一つだけです。この二つの極を先に固定すると、残りの判断が「どの範囲で建つか」という中間の問題に絞られます。

    名前の中の言葉から趣旨を復元する

    「専用」が付く地域は住宅のための地域なので用途が絞られる。「主として」が付く定義は、その用途以外も一定程度受け入れる。「準」が付く地域は、本体より一段緩い、あるいは沿道や周辺への配慮が加わる。名前と定義の言い回しから趣旨を復元できるようにしておくと、知らない肢でも方向を推測できます。

    制限の種類ごとに「適用される地域」を裏から覚える

    高さ制限は、適用される地域を覚えるより、適用されない地域を覚えるほうが少なくて済みます。隣地斜線制限が適用されないのは低層住居専用地域と田園住居地域、日影規制が適用されないのは商業地域・工業地域・工業専用地域。この二つの否定形を覚えるだけで、斜線と日影の問題はかなり処理できます。

    計算問題は手順を固定する

    建蔽率と容積率の計算は、手順を毎回同じにすると事故が減ります。まず敷地が複数の地域にまたがっていないかを確認する。次に容積率について前面道路の幅員が12メートル未満かを見て、幅員による上限と都市計画の数値を比べる。最後に建蔽率の加算と適用除外を確認する。この順で処理すれば、加算の見落としと按分の忘れをまとめて防げます。演習は建蔽率・容積率の計算が使えます。暗記の全体設計は法令上の制限の暗記法にまとめてあります。

    理解度チェッククイズ

    Q1. 工業地域内には、共同住宅を建築することができない。(○か×か)

    答えを見る ×:住宅や共同住宅を建築できないのは工業専用地域だけです。工業地域では住宅・共同住宅を建築できます。ただし工業地域では、幼稚園・小中高等学校、大学、病院、ホテル・旅館などが建築できません。住宅は建つのに学校は建たない、というねじれをそのまま覚えてください。

    Q2. 第一種低層住居専用地域内には、診療所は建築できるが、病院は建築できない。(○か×か)

    答えを見る ○:診療所は13すべての用途地域で建築できますが、病院は第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域、工業地域、工業専用地域では建築できません。病院が建てられるようになるのは第一種中高層住居専用地域からです。同じ趣旨で、小中高は建てられても大学は建てられません。

    Q3. 敷地が第一種住居地域と近隣商業地域にまたがる場合、建蔽率は敷地の過半が属する地域の数値が敷地全体に適用される。(○か×か)

    答えを見る ×:過半主義が適用されるのは用途制限です(建築基準法91条)。建蔽率と容積率は、それぞれの地域に属する敷地部分の面積比に応じて加重平均します(同法53条2項、52条7項)。用途制限は過半、建蔽率・容積率は按分、という対比で覚えてください。

    Q4. 第一種低層住居専用地域内では、都市計画において建築物の高さの限度を10メートルまたは12メートルと定めるほか、外壁の後退距離の限度を定めなければならない。(○か×か)

    答えを見る ×:絶対高さの限度は10メートルまたは12メートルのうち都市計画で定めるとされていますが(建築基準法55条1項)、外壁の後退距離は1.5メートルまたは1メートルと「定めることができる」規定であり(同法54条1項)、必ず定めなければならないものではありません。語尾が義務か裁量かを確認する型の出題です。

    Q5. 田園住居地域内の農地の区域内において土地の形質の変更を行う場合、市町村長の許可を受けなければならない。(○か×か)

    答えを見る ○:田園住居地域内の農地の区域内では、土地の形質の変更、建築物の建築その他工作物の建設、土石その他の政令で定める物件の堆積について、市町村長の許可が必要です(都市計画法52条1項)。用途地域でありながら許可制が組み合わされている点が、田園住居地域の特徴です。

    まとめ

    用途地域は13ありますが、覚えるべきは13の名前と建築物の総当たりではなく、住環境の保護がどこで一段ずつ緩むかという境目です。住居系では大学・病院、ホテル・旅館、カラオケボックス・パチンコ屋、劇場・映画館の順に解禁されます。商業系はほぼ何でも建ち、工業系では工場の規制が緩むかわりに生活施設が落ちていき、最後の工業専用地域で住宅まで落ちます。

    規模と形態の制限は、建蔽率が地域ごとの選択肢と加算・適用除外、容積率が前面道路の幅員による頭打ち、高さが絶対高さ・外壁後退・斜線・日影という四つの仕組みで構成されます。それぞれ適用される地域が違うので、適用されない地域を裏から覚えるほうが速く済みます。

    敷地が複数の地域にまたがる場合は、用途制限が過半主義、建蔽率と容積率が加重平均、防火地域が厳しい方に寄せる、という三通りの扱いを取り違えないことが要点です。用途地域は法令上の制限の中でも得点しやすい論点なので、境目と数値を確実に固めてください。関連する規制は法令上の制限の横断整理、建築確認との関係は建築確認で扱っています。

    宅建試験AIブートラボのアプリでは、用途地域の建築制限と建蔽率・容積率の計算を肢ごとに演習でき、間違えた論点だけを繰り返し確認できます。

    読んだ内容を、法令上の制限の肢で確かめる

    都市計画法・建築基準法・農地法は数字の暗記が中心です。繰り返しの肢別トレーニングが一番効きます。

    関連記事

    Android版アプリの先行テスターを募集しています

    正式公開に先立ち、先行してご利用いただける方を募集しています。学習記録や有料プランはWeb版と同じアカウントで、そのまま引き継げます。3ステップで、通常その場で使い始められます。

    1
    テスターグループに参加する

    お使いのGoogleアカウントで参加ボタンを押すだけです。承認を待つ必要はありません。

    参加ページを開く
    2
    テスト版を受け取る

    手順1と同じGoogleアカウントでログインしたAndroid端末で受け取りページを開き、「テスターになる」を押してGoogle Playからインストールします。

    受け取りページを開く
    3
    いつものアカウントでログインする

    Web版と同じメールアドレス・パスワードでログインすれば、学習記録がそのまま表示されます。

    「まだご利用いただけません」と表示された場合は、反映待ちの可能性があります。時間をおいて再度お試しいただくか、info@takken-bootlab.com までお知らせください。