/ 法令上の制限

都市計画法の全体像|区域区分・用途地域・開発許可

宅建試験で2〜3問出題される都市計画法を解説。都市計画区域の区分、13種類の用途地域の特徴、開発許可の基準と手続きを表でわかりやすく整理。

都市計画法とは――法律の目的を押さえる

都市計画法は、宅建試験の「法令上の制限」分野で毎年 2〜3問 出題される最重要科目のひとつです。まずは法律の目的を正確に理解しましょう。

都市計画法 第1条(目的)
この法律は、都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。

ここで押さえるべきキーワードは「都市の健全な発展と秩序ある整備」です。都市計画法は、無秩序な開発(スプロール現象)を防ぎ、計画的なまちづくりを実現するための法律です。試験では「目的」そのものが直接問われることは少ないですが、各制度の趣旨を理解するための土台になります。


都市計画区域の指定

都市計画区域とは

都市計画区域とは、都市計画法が適用される区域のことです。都道府県が指定し、一体の都市として総合的に整備・開発・保全する必要がある区域を対象とします。

都市計画区域の指定にあたっての重要ポイントは以下のとおりです。

  • 指定権者:都道府県(2以上の都府県にまたがる場合は国土交通大臣)
  • 市町村の区域を超えて指定できる
  • 行政区画にとらわれず、実態として一体的な都市圏を対象とする

都市計画区域外

都市計画区域に含まれない地域は「都市計画区域外」と呼ばれます。原則として都市計画法の規制はかかりませんが、一定規模以上の開発行為(1ha以上)には開発許可が必要です。この点は試験でよく出題されるので注意しましょう。


区域区分(線引き制度)

都市計画区域のなかをさらに区分する仕組みが「区域区分」(いわゆる線引き制度)です。

区域区分の種類

区分 内容 ポイント
市街化区域 すでに市街地を形成している区域、および おおむね10年以内に 優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域 用途地域を 必ず 定める
市街化調整区域 市街化を 抑制すべき 区域 原則として用途地域を定めない
非線引き区域(区域区分が定められていない都市計画区域) 区域区分を行っていない都市計画区域 用途地域を定めることも定めないことも可能

試験での重要ポイント

  1. 市街化区域には用途地域を「必ず」定める ← 最頻出
  2. 市街化調整区域には「原則として」用途地域を定めない(例外的に定めることは可能)
  3. 区域区分は「定めることができる」とされており、必ず定めなければならないわけではない
  4. ただし、政令指定都市等を含む都市計画区域では区域区分を定めなければならない

暗記のコツ: 「市街化区域=街にする=用途地域が必要」「市街化調整区域=街にしない=用途地域は原則不要」とセットで覚えましょう。


準都市計画区域

準都市計画区域は、都市計画区域外であっても、そのまま放置すれば将来の都市計画に支障をきたすおそれがある区域について、土地利用の整序を図るために指定されるものです。

項目 内容
指定権者 都道府県
定められる都市計画 用途地域、特別用途地区、高度地区、特定用途制限地域、景観地区、風致地区など 8種類
定められない都市計画 区域区分、都市施設、市街地開発事業など

試験でのひっかけポイント: 準都市計画区域では「区域区分は定められない」という点が問われます。また、準都市計画区域でも用途地域は定めることができる点にも注意しましょう。


用途地域 ―― 13種類を完全整理

用途地域は、建築物の用途・規模を制限するための最も基本的な地域地区です。2018年の法改正で 田園住居地域 が追加され、現在は 13種類 あります。

住居系(8種類)

用途地域 概要 建築できる建物のイメージ
第一種低層住居専用地域 低層住宅の良好な住環境を守る。最も厳しい制限。 住宅、小規模な店舗兼用住宅(50㎡以下)、小中学校、診療所
第二種低層住居専用地域 主に低層住宅の住環境を守る。小規模な店舗が可能。 上記+150㎡以下の一定の店舗等
第一種中高層住居専用地域 中高層住宅の良好な住環境を守る。 住宅、病院、大学、500㎡以下の一定の店舗等
第二種中高層住居専用地域 主に中高層住宅の住環境を守る。 上記+1,500㎡以下の一定の店舗・事務所等
第一種住居地域 住居の環境を保護する。 3,000㎡以下の店舗・事務所・ホテル等
第二種住居地域 主に住居の環境を保護する。 10,000㎡以下の店舗・事務所・カラオケボックス等
準住居地域 道路の沿道地域で、住居と自動車関連施設が調和。 10,000㎡以下の店舗・事務所、自動車修理工場(150㎡以下)等
田園住居地域 農業の利便と低層住宅の住環境の調和。 住宅、農業用施設、小規模店舗(農産物直売所等500㎡以下)

商業系(2種類)

用途地域 概要 建築できる建物のイメージ
近隣商業地域 近隣住民の日用品の買物等の商業の利便を増進。 ほとんどの建物が建築可能(キャバレー等は不可)
商業地域 主として商業の利便を増進。最も制限が緩い。 ほぼすべての建物が建築可能

工業系(3種類)

用途地域 概要 建築できる建物のイメージ
準工業地域 主に軽工業の工場等の環境悪化のおそれのない工業の利便を増進。 ほとんどの建物が建築可能(危険性の大きい工場は不可)
工業地域 主に工業の利便を増進。 住宅も建築可能だが、学校・病院・ホテルは不可
工業専用地域 工業の利便を増進。最も工業に特化。 住宅の建築不可。工場、倉庫等

用途地域の暗記ポイント

試験頻出: 「住宅が建てられない用途地域はどれか」→ 工業専用地域のみ。これは鉄板の出題ポイントです。

建築物 建築できない用途地域
住宅 工業専用地域
学校(小中高) 工業地域、工業専用地域
大学・病院 第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域、工業地域、工業専用地域
ホテル・旅館 第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域、第一種中高層住居専用地域、工業地域、工業専用地域
カラオケボックス 第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域、第一種・第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域

覚え方のコツ: 用途地域は「左から右へ規制が緩くなる」イメージで並んでいます。第一種低層が最も厳しく、商業地域が最も緩い。工業系は独自の制限があると考えましょう。


補助的地域地区

用途地域だけではきめ細かな土地利用の規制ができない場合に、補助的に定められるのが「地域地区」です。主なものを整理します。

地域地区 内容 ポイント
特別用途地区 用途地域内の一定の地区で、用途地域の指定目的を補完する。 用途地域内でのみ定められる
特定用途制限地域 用途地域が定められていない地域で、良好な環境の形成を図る。 用途地域で定められる
高度地区 建築物の高さの最高限度または最低限度を定める。 「高さ」を制限する
高度利用地区 建築物の容積率の最高限度・最低限度、建ぺい率の最高限度、建築面積の最低限度を定める。 「容積率」等を制限する。市街地再開発事業との関連
高層住居誘導地区 住居と住居以外の用途を適正に配分し、利便性の高い高層住宅を誘導。 容積率400%または500%の地域に限る
風致地区 都市における風致を維持する。 自然的景観の保全
景観地区 市街地の良好な景観の形成を図る。 景観法に基づく
防火地域・準防火地域 市街地における火災の危険を防除する。 建築基準法と連動

試験での注意点: 「高度地区」と「高度利用地区」の混同がひっかけの定番です。高度地区=高さ高度利用地区=容積率等と区別しましょう。


都市計画の決定手続き

都市計画は以下の手続きを経て決定されます。

決定権者

都市計画の内容 決定権者
都市計画区域の整備・開発・保全の方針 都道府県
区域区分 都道府県
都市再開発方針等 都道府県
広域的な都市施設 都道府県
上記以外(用途地域、地区計画等) 市町村

決定の流れ

  1. 原案の作成 — 必要に応じて公聴会等を開催
  2. 都市計画の案の縦覧2週間 の縦覧期間(住民及び利害関係人は意見書を提出できる)
  3. 都市計画審議会の議を経る
    • 都道府県決定 → 都道府県都市計画審議会
    • 市町村決定 → 市町村都市計画審議会
  4. 都道府県知事との協議(市町村決定の場合)、または 国土交通大臣との協議(同意を要する)(都道府県決定で一定の場合)
  5. 告示・縦覧

重要ポイント: 縦覧期間は「2週間」です。試験では「1週間」「3週間」「1ヶ月」などの選択肢で惑わされることがあります。

都市計画の提案制度

土地所有者等は、一定の要件を満たせば都市計画の決定・変更を提案できます。

  • 面積要件:0.5ha以上
  • 同意要件:土地所有者等の 2/3以上の同意(人数と地積の両方)

開発許可制度

開発許可制度は、都市計画法の中でも 最頻出 の分野です。毎年1〜2問の出題があり、確実に得点したいポイントです。

開発行為の定義

都市計画法 第4条第12項
「開発行為」とは、主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更をいう。

「土地の区画形質の変更」 がキーワードです。具体的には以下の行為が該当します。

  • 区画の変更:道路や水路の新設・変更等
  • 形の変更:切土、盛土等の造成工事
  • 質の変更:農地を宅地に変更するなど

注意: 建築物の建築自体は開発行為ではありません。あくまで「土地の区画形質の変更」が開発行為です。

特定工作物

種類 内容
第一種特定工作物 周辺の環境悪化をもたらすおそれがある工作物 コンクリートプラント、アスファルトプラント
第二種特定工作物 大規模な工作物(1ha以上 ゴルフコース、1ha以上の墓園・運動場・レジャー施設等

許可が必要な面積基準

開発許可が必要となる面積基準は、区域ごとに異なります。この表は 必ず暗記 してください。

区域 許可が必要な規模 覚え方
市街化区域 1,000㎡以上(三大都市圏の既成市街地等は 500㎡以上 「せんべい(1,000)」
市街化調整区域 すべての開発行為(面積要件なし) 「全部ダメ」
非線引き区域 3,000㎡以上 「さんぜん(3,000)」
準都市計画区域 3,000㎡以上 非線引きと同じ
都市計画区域外(準都市計画区域外) 10,000㎡(1ha)以上 「いちまん(10,000)」

最重要暗記事項: 市街化調整区域では面積にかかわらず すべての 開発行為に許可が必要です。

許可不要の場合

一定の開発行為は、許可が不要とされています。

許可不要の類型 内容
小規模開発 上記の面積基準未満の開発行為
農林漁業用建築物 市街化区域以外の区域で、農林漁業の用に供する建築物(農業用倉庫、畜舎等)またはこれらの従事者の居住用建築物の建築目的
公益施設 駅舎、図書館、公民館、変電所等の建築目的
都市計画事業等 都市計画事業、土地区画整理事業、市街地再開発事業等の施行として行う開発行為
非常災害のための応急措置 災害時の応急措置として行う開発行為
通常の管理行為・軽易な行為 仮設建築物の建築等

ひっかけ注意: 「農林漁業用建築物」の例外は 市街化区域では適用されない 点が頻出です。市街化区域では農業用倉庫でも面積基準以上なら許可が必要です。

開発許可の申請手続き

  1. 申請先:都道府県知事(指定都市等の区域内はその長)
  2. 公共施設管理者の同意:開発区域内の既存の公共施設の管理者の 同意 を得る
  3. 公共施設管理者との協議:新たに設置される公共施設の管理者と 協議 する
  4. 開発行為に関係がある公共施設管理者と協議し、同意を得る

覚え方: 既存の公共施設 →「同意」が必要 / 新設の公共施設 →「協議」が必要

許可基準 ―― 33条基準と34条基準

開発許可の基準には 33条基準(一般基準)と 34条基準(立地基準)があります。

33条基準(一般基準)

すべての区域 に適用される技術的な基準です。

基準の内容 概要
道路・公園等の配置 環境の保全、災害防止、通行の安全に支障がないこと
排水施設 排水路等の配置が適切であること
給水施設 水道等の給水施設が適切であること
地区計画等への適合 地区計画が定められている場合はそれに適合すること
申請者の資力・信用 工事を完成するための資力と信用があること(1ha以上の場合)
工事施行者の能力 工事施行の能力があること(1ha以上の場合)
権利者の同意 開発行為に関する相当数の同意を得ていること

34条基準(立地基準)

市街化調整区域のみ に適用される追加基準です。市街化調整区域は「市街化を抑制すべき区域」であるため、開発が認められるのは限定的な場合のみです。

号数 内容(概要)
1号 日用品の販売等、居住者の日常生活に必要な物品の販売等の業務用施設
2号 鉱物資源・観光資源の有効利用上必要な施設
4号 農林漁業用の加工施設等
9号 沿道サービス施設(ガソリンスタンド、ドライブイン等)
11号 市街化区域内で行うことが困難または不適当と認められるもの
14号 開発審査会の議を経たもの(いわゆる「包括条項」)

試験ポイント: 34条基準は市街化調整区域 だけ に適用されます。「非線引き区域に34条基準が適用される」という選択肢は誤りです。

開発許可後の建築制限

開発許可を受けた後の建築制限は、工事完了前と完了後で異なります。

工事完了前(37条)

原則として、工事完了公告があるまでは建築物を建築できません。

例外:
- 工事用の仮設建築物
- 都道府県知事が支障ないと認めたもの
- 開発行為に同意していない土地所有者等が建築する場合

工事完了後 ―― 市街化調整区域内(42条)

市街化調整区域内の開発区域では、予定建築物以外の建築物を新築等してはなりません。ただし、都道府県知事の許可を受けた場合は可能です。

開発許可を受けていない市街化調整区域内の土地(43条)

開発許可を受けた区域以外の市街化調整区域内では、知事の許可なく建築物の新築等はできません。


都市計画制限(都市計画施設の区域内の制限)

都市計画施設等の区域内の制限(53条)

都市計画施設の区域内、または市街地開発事業の施行区域内で建築物を建築する場合は、都道府県知事の許可 が必要です。

許可の基準:
- 階数が 2階以下 で、かつ 地階を有しない こと
- 主要構造部が 木造、鉄骨造、コンクリートブロック造 等であること

覚え方: 「都市計画施設の予定地にがっしりした建物を建てられたら、事業の妨げになる」→ だから簡易な建物(2階以下・地階なし)しか許可されないと理解しましょう。

市街地開発事業等予定区域内の制限(52条の2)

市街地開発事業等予定区域内では、さらに厳しい制限がかかります。

  • 土地の形質の変更を行う場合 → 都道府県知事の許可 が必要
  • 建築物の建築・特定工作物の建設 → 都道府県知事の許可 が必要

都市計画法における地区計画

地区計画は、建築物の建築形態、公共施設等の配置について、地区の特性に応じたきめ細かなまちづくりを行うための計画です。

項目 内容
定められる区域 用途地域が定められている土地の区域、用途地域が定められていない土地の区域の一定のもの
内容 地区計画の方針+地区整備計画
届出 地区計画の区域内で土地の区画形質の変更、建築物の建築等を行う場合、行為着手の 30日前 までに市町村長に届出が必要
届出に対する対応 市町村長は、届出に係る行為が地区計画に適合しない場合、設計の変更等を 勧告 できる

試験ポイント: 届出先は「市町村長」であり、「都道府県知事」ではありません。また、「届出」であり「許可」ではない点も注意。市町村長は「勧告」ができるだけで「命令」はできません。


試験での出題傾向と暗記のコツ

出題傾向

都市計画法は例年 2問程度 出題されます。出題パターンは概ね以下のとおりです。

出題パターン 頻度 対策の優先度
開発許可の面積基準 ほぼ毎年 最優先
開発許可が不要な場合 ほぼ毎年 最優先
用途地域と建築可否 高い
区域区分の定義 中程度
都市計画の決定手続き 中程度
地区計画の届出 やや低い

暗記のコツ

1. 開発許可の面積基準は語呂合わせで

い(市街化1,000)・ぜん(全部・調整)・さん(3,000・非線引き/準都市)・まん(10,000・区域外)

2. 許可不要パターンは「パターン化」して覚える

  • 小規模 → 面積基準未満
  • 農林漁業 → ただし市街化区域は除く
  • 公益施設 → 駅舎、図書館、公民館
  • 事業系 → 都市計画事業等
  • 緊急系 → 非常災害の応急措置

3. 33条と34条は「どこに適用されるか」を軸に

  • 33条 → 全区域(技術基準)
  • 34条 → 市街化調整区域だけ(立地基準)

4. 表を自分で書いて覚える

都市計画法は表で整理できるポイントが多いため、白紙に表を書く練習をすると効果的です。


まとめ

都市計画法は範囲が広く、覚えるべき数字や区分が多い科目です。しかし、出題パターンは比較的固定されているため、頻出ポイントを確実に押さえれば 安定して得点源 にできます。

最重要ポイントの復習:

  • 都市計画法の目的は「都市の健全な発展と秩序ある整備
  • 市街化区域には用途地域を必ず定める。市街化調整区域には原則として定めない
  • 用途地域は 13種類。住宅が建てられないのは工業専用地域のみ
  • 高度地区=高さ高度利用地区=容積率等
  • 都市計画の案の縦覧期間は 2週間
  • 開発許可の面積基準:市街化区域 1,000㎡、調整区域 全部、非線引き 3,000㎡、区域外 10,000㎡
  • 農林漁業用建築物の許可不要は 市街化区域では適用されない
  • 33条基準=全区域34条基準=市街化調整区域のみ
  • 地区計画の届出は行為着手の 30日前 までに 市町村長

都市計画法を学んだら、次は都市計画法と密接に関連する 建築基準法 に進みましょう。建築基準法では、用途地域ごとの建築制限や建ぺい率・容積率の計算など、都市計画法の知識が前提となる内容を学びます。

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法令上の制限対策

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都市計画法・建築基準法・農地法など、数字の暗記が多い法令科目も 繰り返しの肢別トレーニングで定着させましょう。

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