宅建の開発許可制度|開発行為の定義から建築制限まで
開発許可制度を都市計画法の条文順に解説。開発行為の定義(4条12項)、区域別の規模要件、許可が不要になる例外、32条の同意と協議、33条・34条の許可基準、工事完了公告の前後で変わる建築制限まで整理します。
目次
この記事は、都市計画法の開発許可制度を、開発行為の定義から工事完了後の建築制限まで一本の流れとして通すものです。都市計画法という法律の中での位置づけを先に確認したい場合は都市計画法の全体像を、区域区分そのものの意味を押さえたい場合は市街化区域と市街化調整区域を先に読むと理解が早くなります。区域別の規模要件の細部は開発許可が必要な面積要件、許可が不要になる場合の一覧は開発許可の不要な開発行為、建築確認との対比は開発許可と建築確認の違いに分けてあります。
開発許可の問題を落とす原因は、たいてい規模の数字を忘れたことではなく、そもそも問題文の行為が「開発行為」に当たるかどうかの判断でつまずいていることにあります。開発行為の定義を外すと、規模要件も例外も許可基準も全部ずれます。そこで以下では、まず定義を条文の要素に分解し、そのうえで許可の要否、手続、許可基準、工事完了公告の前後で変わる制限という順に見ていきます。
開発行為とは何か
条文の定義を3つの要素に分ける
都市計画法4条12項は、開発行為を「主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更」と定義しています。この一文は3つの要素に分解できます。第一に「主として」という限定、第二に「建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的」という目的要件、第三に「土地の区画形質の変更」という行為要件です。
3つのすべてを満たしたものだけが開発行為であり、開発許可の対象になります。逆に言えば、いずれか一つでも欠ければ、どれだけ大規模な工事であっても開発許可は不要です。この構造を先に押さえておくと、問題文を読んだときに何を確認すればよいかが決まります。
目的要件は「建築物または特定工作物のため」
目的要件で問われるのは、その土地の造成が何のために行われるかです。宅地分譲のために造成するなら建築物の建築のためであり、目的要件を満たします。一方、青空駐車場を作るための造成、資材置場にするための造成、農地を整備するための造成は、建築物も特定工作物も建てないので目的要件を欠き、開発行為に当たりません。
「建築物」の意味は、法4条10項により建築基準法2条1号の建築物と同じです。土地に定着する工作物のうち屋根と柱または壁を有するもの、およびこれに附属する門・塀などが含まれます。したがって、屋根も壁もない構造物を設置するための造成は、それだけでは開発行為になりません。建築物の定義そのものは建築基準法の主要論点で扱っています。
行為要件は「土地の区画形質の変更」
行為要件の「区画形質の変更」は、区画の変更、形の変更、質の変更という3つの側面をまとめた表現です。区画の変更は道路や水路の新設・付替え・廃止によって土地の区画割りを変えること、形の変更は切土や盛土によって土地の形状を変えること、質の変更は農地や山林を宅地にするなど土地の性質を変えることを指します。
ここでよく問われるのが、既存の建築物を建て替えるだけで造成を伴わない場合です。土地の区画形質の変更がないので開発行為ではなく、開発許可は不要です。建築物を建てるのだから開発許可が要るはずだ、という直感で解くと誤ります。建築物を建てる行為そのものを規律するのは建築確認であって、開発許可ではありません。
特定工作物は2種類に分かれる
法4条11項は、特定工作物を第一種と第二種に分けています。第一種特定工作物は「コンクリートプラントその他周辺の地域の環境の悪化をもたらすおそれがある工作物で政令で定めるもの」で、施行令1条1項がアスファルトプラント、クラッシャープラント、危険物の貯蔵または処理に供する工作物を挙げています。条文本文にコンクリートプラントが例示されているので、あわせて4種類が代表例になります。いずれも周辺環境への影響が理由なので、面積による限定はありません。
第二種特定工作物は「ゴルフコースその他大規模な工作物で政令で定めるもの」です。施行令1条2項が、1ヘクタール以上の野球場、庭球場、陸上競技場、遊園地、動物園その他の運動・レジャー施設である工作物と、1ヘクタール以上の墓園を挙げています。ここで注意すべきは、ゴルフコースは法4条11項の本文に直接書かれているため、面積を問わず第二種特定工作物に当たるということです。1ヘクタールという規模要件がかかるのは、政令が定める野球場などと墓園のほうです。
この違いは頻出です。「面積が1ヘクタール未満のゴルフコースは第二種特定工作物に当たらない」という記述は誤りであり、「面積が1ヘクタール未満の野球場は第二種特定工作物に当たらない」という記述は正しい、という形で問われます。
開発許可が必要になる場合
都市計画区域または準都市計画区域の中
法29条1項は、都市計画区域または準都市計画区域内において開発行為をしようとする者は、あらかじめ都道府県知事の許可を受けなければならないと定めています。政令指定都市および中核市(法が「指定都市等」と呼ぶもの)の区域内では、その指定都市等の長が許可権者になります。市町村長ではありません。
この原則に対して、29条1項1号から11号までが例外を並べています。1号が規模による例外、2号以下が行為の性質による例外です。まず1号を見ます。
区域ごとの規模(施行令19条)
法29条1項1号は、市街化区域、区域区分が定められていない都市計画区域(いわゆる非線引き都市計画区域)、準都市計画区域において行う開発行為で、政令で定める規模未満のものを許可不要としています。その規模は施行令19条1項が定めており、市街化区域が1,000平方メートル、非線引き都市計画区域および準都市計画区域が3,000平方メートルです。
さらに施行令19条2項により、特別区の存する区域、および首都圏整備法の既成市街地・近郊整備地帯、近畿圏整備法の既成都市区域・近郊整備区域、中部圏開発整備法の都市整備区域に区域の全部または一部が含まれる市町村の区域では、市街化区域の数値が500平方メートルになります。三大都市圏の市街化区域では500平方メートル以上で許可が必要になる、という形で覚えます。
加えて施行令19条1項ただし書により、都道府県等は条例で区域を限り、300平方メートル以上の範囲でこの規模を引き下げることができます。市街化区域なら300平方メートル以上1,000平方メートル未満、非線引き・準都市計画区域なら300平方メートル以上3,000平方メートル未満の範囲です。「条例で規模を引き下げることができる」という点と、下限が300平方メートルである点をあわせて押さえます。数字の整理は開発許可が必要な面積要件と都市計画法の数字にまとめてあります。
市街化調整区域に規模の例外がない理由
法29条1項1号の列挙をよく見ると、市街化調整区域が入っていません。したがって市街化調整区域では、規模がどれだけ小さくても、開発行為である限り許可が必要になります。10平方メートルの造成でも原則として許可の対象です。
理由は区域区分の趣旨にあります。市街化調整区域は市街化を抑制すべき区域として定められた区域であり(法7条3項)、そこで小規模な開発を自由に認めれば、抑制という目的が果たせなくなります。数字を暗記するのではなく、区域の性格から導けるようにしておくと、他の論点と整合的に処理できます。区域区分の意味は市街化区域と市街化調整区域で扱っています。
都市計画区域および準都市計画区域の外
法29条2項は、都市計画区域および準都市計画区域外の区域について、「一定の市街地を形成すると見込まれる規模として政令で定める規模以上」の開発行為に許可を要求しています。この規模は施行令22条の2により1ヘクタール、すなわち10,000平方メートルです。
都市計画区域外は都市計画による土地利用のコントロールが及ばない区域ですが、まったくの野放しにすると、そこに新たな市街地が無秩序に生まれてしまいます。そこで大規模なものだけを捕捉する、という設計になっています。1ヘクタールという数字は第二種特定工作物の規模要件と同じなので、まとめて覚えられます。
なお、開発区域が2以上の区域にまたがる場合の規模の判定は、法29条3項により政令に委ねられています。試験では、市街化区域と市街化調整区域にまたがる開発行為について、市街化調整区域の部分がある以上は許可が必要になる、という形で問われることがあります。
規模にかかわらず許可が不要になる場合
農林漁業用の建築物(29条1項2号)
法29条1項2号は、市街化調整区域、非線引き都市計画区域、準都市計画区域内において行う開発行為で、農業・林業・漁業の用に供する政令で定める建築物、またはこれらの業務を営む者の居住の用に供する建築物の建築のために行うものを、許可不要としています。
ここで最も重要なのは、列挙に市街化区域が入っていないことです。市街化区域内で農林漁業用建築物を建てるための開発行為は、この例外の対象外であり、1,000平方メートル以上なら許可が必要です。市街化区域はもともと市街化を進める区域なので、農林漁業を保護するための例外を置く必要がない、という理屈です。
対象となる建築物は施行令20条が列挙しています。畜舎・蚕室・温室・育種苗施設など農産物・林産物・水産物の生産または集荷の用に供する建築物、堆肥舎・サイロ・農機具等収納施設など生産資材の貯蔵・保管の用に供する建築物、家畜診療の用に供する建築物、農用地の保全・利用上必要な施設の管理の用に供する建築物、そして建築面積90平方メートル以内の建築物です。
列挙をよく見ると、生産・集荷・貯蔵・保管が並んでいて、加工と販売が入っていません。農産物の加工施設や直売所を建てるための開発行為は、この例外に当たらず許可が必要です。市街化調整区域で農産物の加工施設を建てたい場合は、法34条4号の立地基準による許可を受けることになります。農地そのものの規制との関係は農地法で扱っています。
公益上必要な建築物(29条1項3号)
法29条1項3号は、駅舎その他の鉄道の施設、図書館、公民館、変電所その他これらに類する公益上必要な建築物のうち政令で定めるものの建築のための開発行為を、区域を問わず許可不要としています。政令で定めるものは施行令21条が20を超える号で列挙しており、道路・河川・都市公園の公園施設、鉄道の施設、港湾施設、飛行場の施設、電気工作物・ガス工作物、水道・下水道の施設、図書館・博物館、公民館、公共職業能力開発施設などが挙がっています。
ここが最大のひっかけどころです。学校、病院、社会福祉施設は施行令21条の列挙に入っていません。かつては公益上必要な建築物として許可不要とされていましたが、法改正により対象から外され、現在は開発許可が必要です。「病院を建築するための開発行為は公益上必要な建築物に当たるので許可不要である」という記述は誤りになります。列挙にあるのは公民館・図書館・博物館であって、学校・病院・社会福祉施設ではない、という対比で覚えます。
事業の施行として行うもの(29条1項4号から8号)
法29条1項4号から8号までは、都市計画事業、土地区画整理事業、市街地再開発事業、住宅街区整備事業、防災街区整備事業の施行として行う開発行為を許可不要としています。いずれも、それぞれの法律に基づく計画と認可の手続を経ている事業であり、そこで既に土地利用の適否が審査されているため、重ねて開発許可を求める必要がないからです。土地区画整理事業の仕組みは土地区画整理法で扱っています。
その他の例外(29条1項9号から11号)
9号は公有水面埋立法2条1項の免許を受けた埋立地で、まだ竣功認可の告示がないものにおいて行う開発行為です。10号は非常災害のため必要な応急措置として行う開発行為で、災害時の迅速な対応を妨げないための例外です。11号は通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるものです。
11号の中身は施行令22条が定めており、仮設建築物の建築や事業に一時的に使用する第一種特定工作物の建設のための開発行為、車庫・物置その他これらに類する附属建築物の建築のための開発行為、床面積の合計または築造面積が10平方メートル以内の増築・増設のための開発行為などが含まれます。10平方メートルという数字は、建築基準法の建築確認の例外にも出てくるので、混同しないよう根拠条文とセットで覚えます。
都市計画区域外での例外の範囲は狭い
法29条2項ただし書は、都市計画区域および準都市計画区域外での例外として、農林漁業用建築物のための開発行為(1号)と、1項3号・4号・9号から11号までに掲げる開発行為(2号)を挙げています。1項5号から8号の事業に関する例外が引かれていないのは、これらの事業が都市計画区域の外では行われないからです。細かい点ですが、条文の作りとしては筋が通っています。
国および都道府県等の特例(34条の2)
国、都道府県、指定都市等、事務処理市町村などが行う開発行為については、法34条の2により、その機関と都道府県知事との協議が成立することをもって開発許可があったものとみなされます。許可が不要になるのではなく、協議の成立が許可とみなされる、という構成です。「国が行う開発行為には開発許可の規定が適用されない」という記述は不正確で、協議によって許可があったものとみなされる、が正しい表現になります。
開発許可の手続
申請の前に公共施設の管理者の同意と協議を得る
法32条は、開発許可を申請しようとする者に対して2つの行為を要求しています。1項は「開発行為に関係がある公共施設の管理者と協議し、その同意を得なければならない」、2項は「開発行為又は開発行為に関する工事により設置される公共施設を管理することとなる者その他政令で定める者と協議しなければならない」です。
ここが頻出の対比です。既に存在していて開発行為の影響を受ける公共施設については、協議に加えて同意まで必要です。開発行為によってこれから新設される公共施設については、協議だけでよく、同意までは要求されていません。既存の施設の管理者は、自分が管理している施設への影響を拒む立場にあるので同意が必要で、新設される施設は将来の管理者にとって拒否する筋合いがない、と考えると理由づけができます。
さらに施行令23条により、開発区域の面積が20ヘクタール以上の場合は、義務教育施設の設置義務者と水道事業者との協議も必要になり、40ヘクタール以上の場合は電気事業者・ガス事業者・鉄道事業者との協議も加わります。20ヘクタールと40ヘクタールという数字が出てくるのはこの場面です。
申請書の記載事項と処分
法30条1項は、申請書に、開発区域の位置・区域・規模、開発区域内において予定される建築物または特定工作物(予定建築物等)の用途、開発行為に関する設計、工事施行者などを記載することを求めています。同条2項により、32条1項の同意を得たことを証する書面と、同条2項の協議の経過を示す書面を添付します。同意と協議が申請の前提になっていることが、条文の並びからも分かります。
なお、申請書に記載するのは予定建築物等の「用途」であって、構造や設備ではありません。また、法31条により、一定規模以上の開発行為に関する工事の設計図書は、資格を有する者が作成したものでなければなりません。
申請を受けた都道府県知事は、法35条1項により遅滞なく許可または不許可の処分をしなければならず、同条2項により、その処分は文書をもって申請者に通知しなければなりません。口頭の通知では足りません。
変更、廃止、承継
開発許可を受けた後に法30条1項各号の事項を変更しようとするときは、法35条の2第1項により改めて都道府県知事の許可が必要です。ただし、変更後の開発行為が許可不要のものに該当する場合や、国土交通省令で定める軽微な変更をする場合は許可が不要で、軽微な変更については同条3項により遅滞なく届出をします。変更は許可、軽微な変更は届出、という対応で覚えます。
工事を廃止したときは、法38条により遅滞なく都道府県知事に届け出ます。廃止は許可ではなく届出です。
地位の承継には2通りあります。法44条により、開発許可を受けた者の相続人その他の一般承継人は、被承継人の地位を当然に承継します。知事の承認は不要です。これに対して法45条により、開発許可を受けた者から開発区域内の土地の所有権など工事を施行する権原を取得した者、つまり特定承継人は、都道府県知事の承認を受けて地位を承継することができます。一般承継は当然、特定承継は承認、という対比が問われます。
開発登録簿
法47条により、都道府県知事は開発許可をしたときに、許可の年月日、予定建築物等の用途、公共施設の種類・位置・区域、許可の内容などを開発登録簿に登録します。登録簿は常に公衆の閲覧に供するよう保管され、請求があれば写しが交付されます。閲覧できる者に制限はありません。
開発許可の基準
33条の技術基準はすべての区域に適用される
法33条1項は、開発許可の申請があった場合において、その開発行為が同項各号の基準に適合し、申請の手続が法令に違反していないと認めるときは、都道府県知事は開発許可を「しなければならない」と定めています。基準を満たしていれば許可しなければならない、いわゆる羈束的な処分である点がまず重要です。知事の裁量で不許可にできるわけではありません。
33条1項の各号は、予定建築物等の用途が用途地域等の制限に適合すること(1号)、道路・公園・広場その他の公共の用に供する空地が適切に配置されること(2号)、排水施設が適切に配置されること(3号)、給水施設が適切に配置されること(4号)、地区計画等に適合すること(5号)、公共施設や公益的施設の配分が適切であること(6号)、地盤の沈下・崖崩れ・出水等による災害を防止するための措置が講じられること(7号)などを並べています。技術的・物理的な基準の集まりなので、技術基準と呼ばれます。用途地域の内容は用途地域を参照してください。
自己の居住用では外れる基準がある
33条1項の各号のうち、2号(道路・公園等の空地)と4号(給水施設)は、いずれも「主として、自己の居住の用に供する住宅の建築の用に供する目的で行う開発行為以外の開発行為にあつては」という限定が付いています。つまり、自分が住む住宅を建てるための開発行為には、これらの基準は適用されません。分譲目的の開発と、自分の家を建てるための造成とを同じ水準で規律する必要はないという判断です。
一方、3号の排水施設と7号の災害防止の措置には、この限定がありません。排水と災害防止は、自己居住用であっても周辺に影響が及ぶためです。「自己の居住の用に供する住宅の場合はすべての技術基準が適用されない」という記述は誤りになります。
34条の立地基準は市街化調整区域だけ
法34条は、市街化調整区域に係る開発行為について、33条の要件に該当するほか、同条各号のいずれかに該当すると認める場合でなければ開発許可をしてはならない、と定めています。33条が「適合すれば許可しなければならない」という書き方なのに対し、34条は「該当しなければ許可してはならない」という書き方である点も対照的です。
34条の各号には、開発区域の周辺に居住する者の日常生活に必要な店舗など(1号)、鉱物資源・観光資源の有効利用上必要な建築物(2号)、農林水産物の処理・貯蔵・加工に必要な建築物(4号)、地区計画等に適合する建築物(10号)、市街化区域に隣接・近接しおおむね50以上の建築物が連たんしている区域で条例により指定された区域内の開発行為(11号)、区域区分の決定・変更の際に自己の居住・業務用の建築物を建てる目的で権利を有していた者が6か月以内に届け出て行う開発行為(13号)、開発審査会の議を経て市街化を促進するおそれがないと認められるもの(14号)などが並びます。
したがって市街化調整区域では、33条と34条の両方を満たす必要があります。他の区域では33条だけです。この二段構えが市街化調整区域を厳しくしている実質的な理由です。
なお34条の柱書は「主として第二種特定工作物の建設の用に供する目的で行う開発行為を除く」としています。市街化調整区域でゴルフコースを建設するための開発行為には34条の立地基準が適用されず、33条の技術基準だけで判断されます。細かい点ですが、条文を読んでいるかどうかを分ける箇所です。
工事完了公告の前と後
完了検査から公告まで
工事が完了したら、法36条1項により開発許可を受けた者が都道府県知事に完了の届出をします。知事は同条2項により遅滞なく検査を行い、開発許可の内容に適合していると認めたときは検査済証を交付します。そして同条3項により、遅滞なく工事が完了した旨を公告します。
届出、検査、検査済証の交付、公告という4段階を踏むこと、そして次に述べる建築制限の基準時が「検査済証の交付」ではなく「公告」であることを押さえます。
公告前は原則として建築できない(37条)
法37条は、開発許可を受けた開発区域内の土地においては、36条3項の公告があるまでの間は、建築物を建築し、または特定工作物を建設してはならないと定めています。造成工事の途中で建物が建ち始めると、検査ができなくなるためです。
例外は2つです。1号は、当該開発行為に関する工事用の仮設建築物または特定工作物を建築・建設するとき、その他都道府県知事が支障がないと認めたときです。2号は、法33条1項14号に規定する同意をしていない者が、その権利の行使として建築物を建築し、または特定工作物を建設するときです。開発に同意していない土地の権利者まで縛ることはできない、という趣旨の例外です。
公告後は予定建築物等以外を建てられない(42条)
法42条1項は、何人も、開発許可を受けた開発区域内においては、36条3項の公告があった後は、当該開発許可に係る予定建築物等以外の建築物または特定工作物を新築・新設してはならず、また建築物を改築し、または用途を変更して予定建築物以外の建築物としてはならない、と定めています。
主語が「何人も」である点に注意が必要です。開発許可を受けた本人だけでなく、その後に土地を取得した第三者も拘束されます。予定された用途で使われることを前提に許可が出ているからです。
例外は2つです。都道府県知事が、開発区域における利便の増進上、または開発区域およびその周辺の地域における環境の保全上支障がないと認めて許可したときと、当該開発区域内の土地について用途地域等が定められているときです。用途地域が定められていれば、そちらの用途規制で土地利用がコントロールされるため、開発許可による縛りを重ねる必要がないという理屈です。
公告前は「建築そのものが原則禁止」、公告後は「予定建築物等以外が禁止」という違いを、条文番号(37条と42条)とセットで整理します。
公共施設の管理と土地の帰属
法39条により、開発行為によって設置された公共施設は、36条3項の公告の日の翌日において、その公共施設の存する市町村の管理に属します。ただし、他の法律に基づく管理者が別にあるとき、または32条2項の協議で別段の定めをしたときは、それらの者の管理になります。原則は市町村、という点を覚えます。
法40条2項により、その公共施設の用に供する土地は、公告の日の翌日において、39条により管理すべき者に帰属します。管理も帰属も基準時は「公告の日の翌日」であって、公告の日そのものではありません。
用途地域が定められていない区域での上乗せ(41条)
法41条1項は、用途地域の定められていない土地の区域における開発行為について開発許可をする場合において必要があると認めるときは、都道府県知事が建築物の建蔽率、高さ、壁面の位置その他の制限を定めることができるとしています。同条2項により、定められた制限に違反して建築することはできませんが、知事が環境保全上支障がないと認め、または公益上やむを得ないと認めて許可したときは例外です。
用途地域があればそちらの規制で足りるため、用途地域がない区域に限って知事が個別に上乗せできる、という構造です。建蔽率・容積率の一般的な規律は建築基準法の数字で扱っています。
市街化調整区域における建築等の制限(43条)
法43条1項は、何人も、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内においては、都道府県知事の許可を受けなければ、29条1項2号または3号に規定する建築物以外の建築物を新築し、または第一種特定工作物を新設してはならず、建築物を改築し、または用途を変更して同項2号・3号の建築物以外の建築物としてはならない、と定めています。
この条文の役割は、開発許可の網から漏れる場面を塞ぐことにあります。市街化調整区域で土地の区画形質の変更を伴わずに建築物だけを建てる場合、開発行為に当たらないので開発許可は不要です。そのまま放置すると市街化調整区域に建築物が増えていくため、建築行為そのものを許可制にしています。
押さえるべき点が3つあります。第一に、対象となるのは「開発許可を受けた開発区域以外の区域」であること。開発許可を受けた区域内は42条が規律するので、43条の出番はありません。第二に、29条1項2号の農林漁業用建築物と3号の公益上必要な建築物は、43条でも許可が不要であること。開発許可が不要とされている建築物を、建築の段階で許可制にする理由がないからです。第三に、条文が「第一種特定工作物」としか書いていないことです。第二種特定工作物、たとえばゴルフコースの新設は43条の対象外です。
43条1項ただし書はさらに、都市計画事業の施行として行うもの、非常災害のため必要な応急措置として行うもの、仮設建築物の新築、政令で定める開発行為が行われた土地の区域内で行うもの、施行令35条が定める通常の管理行為・軽易な行為を除外しています。施行令35条には、既存の建築物の敷地内における車庫・物置等の附属建築物の建築、床面積の合計が10平方メートル以内の改築・用途変更などが挙がっています。
43条2項により、この許可の基準は33条・34条の開発許可の基準の例に準じて政令で定めるとされ、施行令36条が定めています。開発許可と同じ考え方で審査される、ということです。
開発許可と建築確認は何が違うか
開発許可と建築確認は、根拠法も対象も審査する者も違います。開発許可は都市計画法29条に基づき、土地の区画形質の変更という造成行為を対象として、都道府県知事(指定都市等の区域では長)が審査します。建築確認は建築基準法6条に基づき、建築物の計画そのものを対象として、建築主事または指定確認検査機関が、建築基準関係規定への適合を審査します。
同じ土地で両方が必要になる場面は珍しくありません。市街化区域で1,500平方メートルの土地を造成して住宅を建てるなら、造成について開発許可を受け、建物について建築確認を受けます。一方、造成を伴わずに建物だけを建てるなら建築確認だけで足り、資材置場にするための造成だけなら開発許可も建築確認も不要です。どちらが必要かは、行われる行為が造成なのか建築なのかで決まります。
なお、開発許可を受けた区域では、工事完了公告の前は37条により建築が制限され、公告後は42条により予定建築物等以外の建築が制限されます。建築確認の要件を満たしていても、これらの制限に触れる建築はできません。両者の関係は開発許可と建築確認の違いと建築確認で詳しく扱っています。
試験での出題ポイント
開発行為に当たるかどうかを先に判断させる形
問題文が「開発許可が必要か」を問うていても、最初に確認すべきは開発行為に当たるかどうかです。青空駐車場、資材置場、テニスコートが1ヘクタール未満、建て替えのみで造成なし、といった要素が出てきたら、目的要件または行為要件を欠く可能性を疑います。規模の数字に飛びつくと、そもそも対象外の行為に規模を当てはめてしまいます。
区域と規模の組合せを入れ替える形
市街化区域の1,000平方メートル、非線引き都市計画区域と準都市計画区域の3,000平方メートル、都市計画区域および準都市計画区域外の1ヘクタール、そして市街化調整区域には規模の例外がないこと。この4点を入れ替えたり、市街化調整区域に数値を当てはめたりする作りが定番です。三大都市圏の市街化区域が500平方メートルになること、条例で300平方メートルまで引き下げられることも、数値だけを差し替えて誤りにされます。
許可不要の例外を広げる形
公益上必要な建築物の例外について、学校・病院・社会福祉施設を含めてしまう肢が典型です。施行令21条の列挙に入っているのは図書館・博物館・公民館であって、学校・病院・社会福祉施設は入っていません。また、農林漁業用建築物の例外を市街化区域にも及ぼす肢、農産物の加工施設や販売施設を施行令20条に含めてしまう肢も定番です。例外の一覧は開発許可の不要な開発行為で確認できます。
同意と協議、許可と届出を入れ替える形
32条の既存の公共施設の管理者は「協議+同意」、新設される公共施設の管理予定者は「協議のみ」。35条の2の変更は「許可」、軽微な変更は「届出」。38条の工事廃止は「届出」。44条の一般承継は「当然に承継」、45条の特定承継は「知事の承認」。これらは行為の種類だけを入れ替えれば誤りの肢が作れるため、繰り返し問われます。
公告の前後を入れ替える形
37条(公告前は建築禁止、仮設建築物と不同意者の権利行使が例外)と42条(公告後は予定建築物等以外が禁止、知事の許可と用途地域等の指定が例外)を逆にする肢が出ます。また、39条・40条の公共施設の管理と土地の帰属について、基準時を「公告の日」としたり「検査済証の交付の日」としたりする肢もあります。正しくは「公告の日の翌日」です。
43条の射程を広げる形
43条は市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域が対象で、第一種特定工作物の新設は含みますが第二種特定工作物は含みません。「市街化調整区域内でゴルフコースを新設する場合は43条の許可が必要」という肢は誤りです。また、農林漁業用建築物や公益上必要な建築物は43条でも許可不要である点も問われます。
覚え方・整理の仕方
定義から順に3つの関門を通す
開発許可の問題は、3つの関門を順に通す手順で解けます。第一の関門は「開発行為か」。目的要件と行為要件を確認します。第二の関門は「規模で外れないか」。区域と規模を照らします。第三の関門は「性質で外れないか」。29条1項2号以下の例外に当たるかを見ます。3つとも通れば許可が必要です。この順序を固定すると、問題文のどこを読めばよいかが決まります。
数字は区域の性格から導く
規模の数字を丸暗記すると入れ替えの肢に弱くなります。市街化を進める市街化区域は緩く(1,000平方メートル)、既に市街地化圧力の強い三大都市圏はより厳しく(500平方メートル)、市街化を抑制する市街化調整区域は例外なし、線引きのない区域と準都市計画区域は中間(3,000平方メートル)、都市計画の枠外は大規模なものだけ(1ヘクタール)。区域の性格の順に厳しさが並んでいる、と捉えると再現できます。区域ごとの規制の整理は都市計画法の制限にもまとめてあります。
33条と34条は「全区域」と「調整区域だけ」で分ける
33条は技術基準で全区域に適用され、満たせば許可しなければならない。34条は立地基準で市街化調整区域だけに適用され、該当しなければ許可してはならない。適用範囲と条文の書き方の向きがちょうど逆になっているので、セットで覚えると混同しません。
公告を境に条文番号で覚える
工事完了公告の前が37条、後が42条です。番号が小さいほうが前、大きいほうが後、という並びなので、順番を取り違えにくくなります。あわせて、公共施設の管理(39条)と土地の帰属(40条)はどちらも「公告の日の翌日」であることを、この2つの条文の間に置いて覚えます。
例外は「なぜ外すのか」で束ねる
許可不要の例外は数が多いですが、理由で束ねると3グループになります。他の制度で既に審査されているもの(都市計画事業、土地区画整理事業などの4号から8号)、公共性が高く止める理由がないもの(公益上必要な建築物、非常災害の応急措置)、規制する必要がないほど小さいもの(規模未満、通常の管理行為・軽易な行為)です。個別に暗記するより、初見の肢をこの3グループに当てはめて判断するほうが安定します。法令上の制限全体の暗記の進め方は法令上の制限の暗記法を参照してください。
理解度チェッククイズ
次の記述が正しいか誤りかを判断してください。
第1問 市街化調整区域内において、面積300平方メートルの土地の区画形質の変更を行って住宅を建築しようとする場合、規模が小さいため開発許可を受ける必要はない。
誤りです。法29条1項1号が規模による例外を認めているのは、市街化区域、区域区分が定められていない都市計画区域、準都市計画区域の3つであり、市街化調整区域は含まれていません。市街化調整区域では、開発行為に当たる限り規模を問わず開発許可が必要です。市街化を抑制すべき区域であるという性格から導ける結論です。
第2問 市街化区域内において、農業を営む者の居住の用に供する住宅を建築するために1,500平方メートルの開発行為を行う場合、開発許可を受ける必要はない。
誤りです。法29条1項2号の農林漁業に関する例外が適用されるのは、市街化調整区域、区域区分が定められていない都市計画区域、準都市計画区域であり、市街化区域は列挙されていません。したがって市街化区域では、施行令19条1項の1,000平方メートル以上であれば開発許可が必要です。市街化区域はもともと市街化を進める区域なので、農林漁業のための例外を置く理由がありません。
第3問 病院を建築するための開発行為は、公益上必要な建築物の建築に当たるため、区域を問わず開発許可を受ける必要がない。
誤りです。法29条1項3号の対象は施行令21条が定めており、道路・鉄道・港湾などの施設、電気・ガス・水道・下水道の施設、図書館・博物館・公民館、公共職業能力開発施設などが列挙されていますが、学校、病院、社会福祉施設は入っていません。これらは法改正により対象から外され、現在は開発許可が必要です。
第4問 開発許可を受けた開発区域内では、工事完了の公告があった後は、都道府県知事の許可を受けた場合を除き、予定建築物等以外の建築物を新築することができない。
正しい記述です。法42条1項が「何人も」を主語として、公告後は予定建築物等以外の建築物または特定工作物の新築・新設等を禁止しています。例外は、知事が利便の増進上または環境の保全上支障がないと認めて許可したときと、当該開発区域内の土地について用途地域等が定められているときの2つです。公告前の制限は37条で、こちらは建築そのものが原則禁止であり、内容が異なります。
第5問 市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内において、ゴルフコースを新設する場合には、都道府県知事の許可を受けなければならない。
誤りです。法43条1項が対象としているのは、建築物の新築・改築・用途変更と、第一種特定工作物の新設です。ゴルフコースは法4条11項の第二種特定工作物であり、43条の対象に含まれていません。もっとも、ゴルフコース建設のために土地の区画形質の変更を行えばそれは開発行為なので、法29条の開発許可は必要になります。43条の許可と29条の許可を混同させる作りです。
まとめ
開発許可制度は、法4条12項の開発行為の定義を起点として、29条で許可の要否を決め、32条から35条で手続を踏み、33条と34条で基準を審査し、36条の公告を境に37条と42条で建築を制限し、43条で開発許可の網から漏れる建築行為を塞ぐ、という一本の流れでできています。条文の順序がそのまま制度の流れと一致しているので、条番号で覚えると崩れにくくなります。
判断の手順は、開発行為に当たるか、規模で外れないか、性質で外れないか、の3段階です。規模の数字は市街化区域1,000平方メートル、三大都市圏の市街化区域500平方メートル、非線引き都市計画区域と準都市計画区域3,000平方メートル、都市計画区域および準都市計画区域外1ヘクタール、市街化調整区域は例外なし。例外については、農林漁業に市街化区域が入らないこと、公益上必要な建築物に学校・病院・社会福祉施設が入らないことが、いずれも狙われます。工事完了公告の前後は、37条が建築そのものの禁止、42条が予定建築物等以外の禁止で、公共施設の管理と土地の帰属はどちらも公告の日の翌日です。
この論点は肢の作り方が定型的なので、条文ごとの区別を確認しながら数を解くのが効きます。アプリの法令上の制限の演習で、都市計画法の開発許可に関する過去問を続けて解いて確認してみてください。
この論点を掘り下げる記事
- 開発許可の不要な開発行為 — 許可が不要になる場合の一覧と根拠
- 開発許可が必要な面積要件 — 区域別の規模要件の細部
- 開発許可と建築確認の違い — 根拠法・対象・審査者の対比
- 都市計画法の全体像 — 都市計画法の中での位置づけ
- 市街化区域と市街化調整区域 — 区域区分の意味と規制の違い
- 都市計画の種類 — 地域地区・都市施設・市街地開発事業
- 宅地造成及び特定盛土等規制法 — 造成工事に対するもう一つの規制
- 法令上の制限で得点する — 科目全体の学習の組み立て
都市計画法・建築基準法・農地法は数字の暗記が中心です。繰り返しの肢別トレーニングが一番効きます。