/ 宅建業法

重要事項説明のIT化|オンライン説明のルールと注意点

IT重説(オンライン重要事項説明)のルールと注意点を解説。対面との違い、実施要件、書面の電子交付、宅建試験で問われるポイントまで整理します。

IT重説(ITを活用した重要事項説明)は、テレビ会議等のオンラインツールを使って重要事項説明を行う方法です。2017年の賃貸取引での解禁を皮切りに、2021年には売買取引にも全面解禁され、2022年の法改正では書面の電子交付も認められました。宅建試験でも近年出題が増えている注目テーマです。本記事では、IT重説の要件・手順・対面説明との違い・書面の電子交付まで体系的に解説します。結論として、IT重説は「対面と同等の要件を満たすこと」が基本原則であり、追加的な要件を正確に押さえることが重要です。

IT重説の制度概要

解禁の経緯

出来事
2017年10月 賃貸取引のIT重説が本格運用開始
2021年3月 売買取引のIT重説が本格運用開始
2022年5月 宅建業法改正により35条書面・37条書面の電子交付が法制化

IT重説の定義

IT重説とは、テレビ会議等のITを活用して、対面ではなくオンラインで重要事項説明を行うことをいいます。

国土交通省「ITを活用した重要事項説明に係る社会実験のためのガイドライン」
「テレビ会議等のITを活用して行う重要事項説明をいう。」

対面の説明と同様に、宅建業法第35条に基づく重要事項説明としての法的効力を有します。

IT重説の実施要件

基本的な要件

IT重説を実施するためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

要件 内容
映像と音声の双方向性 宅建士と相手方が映像・音声でリアルタイムにやり取りできること
宅建士証の視認 相手方が画面上で宅建士証を視認できること
書面の事前送付 説明に先立ち、35条書面を相手方に送付しておくこと
IT環境の確認 相手方のIT環境が十分であることを確認すること
相手方の同意 IT重説を行うことについて相手方の同意を得ること

映像・音声の要件

項目 要件
映像 宅建士の顔と宅建士証が相手方に明瞭に視認できる画質
音声 双方向でリアルタイムにやり取りできる音質
機器 パソコン、タブレット、スマートフォン等
ソフトウェア テレビ会議システム、ビデオ通話アプリ等

電話のみ(音声のみ)でのIT重説は認められません。必ず映像と音声の両方が必要です。

宅建士証の提示方法

IT重説でも宅建士証の提示は必須です。具体的には以下の方法で行います。

  1. 画面上で宅建士証を提示する
  2. 相手方が氏名と登録番号を視認できるようにする
  3. 相手方が確認したことを確認する

宅建士証の文字が小さくて読めない場合は、カメラに近づけるなどして視認性を確保する必要があります。

書面の事前送付と電子交付

事前送付の必要性

IT重説を行う場合、説明に先立って35条書面を相手方に送付しておかなければなりません。これは、相手方が書面を手元で確認しながら説明を聞けるようにするためです。

送付方法 可否
郵送 可能
電磁的方法(電子交付) 相手方の承諾があれば可能

電子交付の要件

2022年の法改正により、35条書面を電磁的方法(電子メール、クラウドサービス等)で提供することが認められました。

項目 内容
相手方の承諾 必要
宅建士の記名 電子署名で対応
書面の形式 電子メール添付、クラウド共有等
改ざん防止 電子署名等の措置が必要

電子交付の対象

書面 電子交付
35条書面(重要事項説明書) 相手方の承諾があれば可能
37条書面(契約書面) 相手方の承諾があれば可能
媒介契約書(34条の2書面) 相手方の承諾があれば可能

IT重説と対面説明の比較

共通する事項

IT重説であっても、対面の場合と同じ要件を満たさなければなりません。

項目 IT重説 対面説明
宅建士が行う
宅建士証の提示 ○(画面上) ○(実物を提示)
35条書面の交付
記載事項の内容 同一 同一
宅建士の記名

IT重説特有の追加要件

追加要件 内容
映像・音声の双方向性 テレビ会議等の利用
書面の事前送付 説明前に35条書面を届けておく
相手方の同意 IT重説への同意
IT環境の確認 相手方の通信環境の確認

IT環境のトラブルへの対応

通信障害が発生した場合

IT重説中に通信障害が発生した場合は、以下の対応が求められます。

  • 通信が回復するまで説明を中断する
  • 回復しない場合は日を改めて説明を行う
  • 途中まで説明した場合は、中断した箇所から再開する
  • 対面での説明に切り替えることも可能

いずれの場合も、説明が完了するまで契約を締結してはいけません

相手方の理解の確認

IT重説では対面に比べて意思疎通が困難な場合があるため、以下の点に留意する必要があります。

  • 説明の途中で相手方に質問がないか確認する
  • 相手方が内容を理解していることを適宜確認する
  • 必要に応じて資料を画面共有する

賃貸と売買のIT重説の違い

現在の取扱い

取引類型 IT重説の可否
賃貸の媒介・代理 可能(2017年〜)
売買の媒介・代理 可能(2021年〜)
交換の媒介・代理 可能

現在では取引類型を問わずIT重説が可能です。

試験での出題ポイント

試験では以下のパターンで出題されます。

  • 電話のみでのIT重説: 音声のみでは不可。映像と音声の両方が必要
  • 宅建士証の提示: IT重説でも宅建士証の提示が必要(画面上で視認させる)
  • 書面の事前送付: 説明に先立って35条書面を送付しておく必要がある
  • 相手方の承諾: IT重説には相手方の同意が必要
  • 電子交付の要件: 相手方の承諾が必要。承諾なく電子交付はできない
  • 記載事項の変更: IT重説でも記載事項は対面と同一(特別な省略は不可)

暗記のコツとして、「IT重説は対面と同じ+追加要件(映像・事前送付・同意)」と覚えましょう。IT重説だからといって要件が緩くなることはありません。

理解度チェッククイズ

Q1. IT重説は電話(音声のみ)でも実施することができる。(○か×か)

答えを見る×:IT重説は映像と音声の双方向でのやり取りが可能な環境で実施する必要があります。電話のみ(音声のみ)では実施できません。

Q2. IT重説を行う場合でも、宅建士証を画面上で提示する必要がある。(○か×か)

答えを見る○:IT重説でも宅建士証の提示は必要です。画面上で相手方が宅建士の氏名と登録番号を視認できるように提示しなければなりません。

Q3. 35条書面の電子交付は、相手方の承諾がなくても行うことができる。(○か×か)

答えを見る×:35条書面の電子交付は、相手方の承諾を得た場合に限り認められます。承諾なく一方的に電子交付することはできません。

Q4. IT重説中に通信障害が発生した場合、説明を中断して契約を締結し、後日改めて説明を行うことができる。(○か×か)

答えを見る×:重要事項説明は契約が成立するまでの間に行う必要があるため、説明が完了する前に契約を締結することはできません。通信障害が発生した場合は説明を中断し、回復後に再開するか日を改めて説明を行います。

まとめ

重要事項説明のIT化について、以下の3点を押さえましょう。

  1. IT重説の要件: 映像と音声の双方向性が必要。電話のみは不可。相手方の同意と事前の書面送付が必要
  2. 対面との共通点: 宅建士による説明、宅建士証の提示、35条書面の交付と記載事項はすべて同一
  3. 電子交付: 35条書面・37条書面とも相手方の承諾があれば電磁的方法で提供可能(2022年法改正)

よくある質問(FAQ)

Q. IT重説の相手方はどこにいてもよいのですか?

A. はい、IT重説の場合、相手方はどこにいても問題ありません。自宅や勤務先など、インターネット環境があれば場所を選びません。これがIT重説の大きなメリットです。

Q. IT重説は録画する必要がありますか?

A. 法律上の録画義務はありませんが、トラブル防止の観点から録画・録音しておくことが推奨されています。国土交通省のガイドラインでも記録の保存が推奨されています。

Q. 宅建業者間の取引でもIT重説は可能ですか?

A. はい、宅建業者間の取引でもIT重説は可能です。ただし、宅建業者間では35条書面の交付は必要ですが口頭の説明は省略できるため、IT重説を行う場面は限定的かもしれません。

Q. 電子交付した35条書面に記名はどのように行いますか?

A. 電子交付の場合、宅建士の記名は電子署名で対応します。電子署名法に基づく電子署名その他の措置により、記名に代えることができます。

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