一時使用目的の賃貸借いちじしようもくてきのちんたいしゃく
臨時設備の設置その他一時使用のために設定したことが明らかな借地権や、一時使用のためにしたことが明らかな建物の賃貸借です(25条、40条)。借地借家法のうち、長く借り続けることを守る規定が適用されません。
ビルを建て替える工事の間だけ、隣の空き地を借りてプレハブの仮設事務所を建てる。夏の2か月だけ、海辺の土地に海の家を建てる。こういう借り方にまで30年の存続期間や更新を当てはめると、土地を貸す人がいなくなってしまいます。そこで借地借家法は、一時使用のために借りたことが明らかな場合には、長く借り続けることを守る規定を適用しないことにしました。短い期間を定めれば、その期間で契約が終わります。

一時使用目的の借地権には、期間や更新の規定が適用されません
25条は、臨時設備の設置その他一時使用のために借地権を設定したことが明らかな場合に、存続期間、更新、建物の再築による期間の延長、建物買取請求権、定期借地権などの規定を適用しないと定めています。そのため、期間を5年と定めればその借地権は5年で終わり、契約の更新や建物の築造による期間の延長がない旨を定めることもできます。期間が満了しても、建物の買取りは請求できません。これに対し、借地権の対抗力(10条)と地代等増減請求権(11条)は除外されていないので、一時使用目的の借地権にも適用されます。
一時使用目的の建物の賃貸借には、借家の規定が全部適用されません
40条は、一時使用のために建物の賃貸借をしたことが明らかな場合には、借地借家法の第3章(借家)の規定を適用しないと定めています。更新や解約の制限、引渡しによる対抗力、借賃増減請求権、造作買取請求権のどれも適用されず、民法の賃貸借の決まりだけで処理します。期間を定めればその満了で終わり、期間を定めなければ、どちらからでも解約の申入れができ、申入れの日から3か月で終了します(民法617条)。選挙事務所として2か月だけ借りる、自宅を建て替える間だけ仮住まいを借りる、といった契約がこれに当たります。

契約書の題名ではなく、一時使用が明らかかどうかで決まります
条文は、一時使用のために設定した、又は賃貸借をした「ことが明らかな場合」と定めています。契約書に一時使用と書いてあるだけでは足りず、借りる目的、建てる建物の種類や造り、期間の長さなどから、短い期間に限って使う契約であることが客観的に分かることが必要だと解されています。住宅を建てて長く住むための契約を、題名だけ一時使用として借地借家法の適用を免れることはできません。
借地借家法 25条、40条第三条から第八条まで、第十三条、第十七条、第十八条及び第二十二条から前条までの規定は、臨時設備の設置その他一時使用のために借地権を設定したことが明らかな場合には、適用しない。…この章の規定は、一時使用のために建物の賃貸借をしたことが明らかな場合には、適用しない。
試験ではこう問われる
- 臨時設備の設置その他一時使用のために借地権を設定したことが明らかな場合は、期間を5年と定め、契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を定めることができる(25条)
- 一時使用目的の借地権には、存続期間を30年とする規定、更新の規定、建物買取請求権、定期借地権の規定が適用されない
- 一時使用のために建物の賃貸借をしたことが明らかな場合には、借地借家法の借家の規定は適用されず、更新や解約、対抗力は民法の賃貸借の決まりによる(40条)
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