借地権しゃくちけん
建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権です(2条1号)。つまり、他人の土地に自分の建物を建てて持つために土地を借りる権利で、借地借家法が期間や更新について借りる側を手厚く守ります。
親から受け継いだ土地を売らずに貸し、借りた人がそこに自宅を建てて住む。こうして建物を建てて持つために土地を借りる権利が借地権です。土地を借りる人を借地権者、貸す地主を借地権設定者と呼びます。建物は何十年も使うものなので、民法の決まりのままでは、短い期間で土地を返すことになり、建てた家を壊すほかなくなります。そこで借地借家法は、期間を長くし、更新されやすくし、土地の持ち主が替わっても建物を持ち続けられるようにしています。

建物の所有を目的としない土地の賃貸借は、借地権ではありません
借地借家法が守るのは、建物の所有を目的とする場合だけです。資材置場や青空駐車場として更地のまま使うために土地を借りても借地権にはならず、民法の賃貸借の決まりだけが適用されます。民法では賃貸借の存続期間は50年を超えることができず、それより短い期間を定めればその期間がそのまま通ります(民法604条)。同じ「期間10年」の契約でも、建物を所有する目的なら借地借家法によって30年に引き上げられ、資材置場の目的なら10年のままです。期間を定めなかった土地の賃貸借は、民法では当事者がいつでも解約の申入れをすることができ、申入れの日から1年を経過すると終了します(民法617条)。

借地権には、地上権と土地の賃借権の二つがあります
地上権は土地を直接使うことができる物権で、地主の承諾がなくても譲渡できると解されています。土地の賃借権は地主に対する債権で、譲渡や転貸には賃貸人である地主の承諾が要ります(民法612条)。借地借家法は、建物の所有を目的とするものであれば、どちらも同じ借地権として扱います。存続期間や更新の決まりは、地上権でも賃借権でも変わりません。
借地権者に不利な特約は、無効になります
土地を借りる側は、地主の示す条件をそのまま受け入れがちです。そこで借地借家法は、存続期間や更新、対抗力、建物買取請求権などの規定に反する特約で借地権者に不利なものを無効としています(9条、16条、21条)。「期間は20年とする」「更新の請求はしない」と契約書に書いて双方が署名しても、その部分は効力がなく、法律の定めどおりになります。反対に、期間を40年とするなど借地権者に有利な特約は有効です。更新のない借地権を設定したいときは、定期借地権など法律が用意した別の型を使います。
借地借家法 2条(抜粋)この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。一 借地権 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう。 二 借地権者 借地権を有する者をいう。 三 借地権設定者 借地権者に対して借地権を設定している者をいう。…
試験ではこう問われる
- 借地権は、建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権。資材置場として更地で使う目的の賃貸借に、借地借家法は適用されない
- 期間を10年と定めた場合、居住用の建物を所有する目的なら30年になり、資材置場の目的なら10年のまま
- 資材置場の目的で期間を50年と定めた賃貸借は、民法の上限50年の範囲内なので50年の契約として有効。「期間の定めのない契約になる」は誤り
- 建物の所有を目的とする賃貸借だからといって、資材置場の目的の賃貸借に当然に優先するわけではない。同じ土地を借りた二人の優劣は、対抗要件を先に備えたかどうかで決まる
- 存続期間を20年とし、契約の更新を請求しない旨を定めても、借地権者に不利な特約として無効になる(9条)
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