取壊し予定の建物の賃貸借とりこわしよていのたてもののちんたいしゃく
法令又は契約により一定の期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合にする建物の賃貸借で、建物を取り壊すこととなる時に賃貸借が終了する旨を定めたものです(39条1項)。つまり、取り壊すことが決まっている建物を、その時まで貸すための契約です。
定期借地権の上に建てたアパートは、借地の期間が満了すると取り壊して土地を返さなければなりません。残りが3年になった時点で部屋を貸すと、普通の建物賃貸借では更新が続き、取り壊す時になっても入居者に出てもらえないおそれがあります。そこで借地借家法は、取り壊すことが決まっている建物については、取り壊すこととなる時に賃貸借が終了すると定めることを認めました。取り壊す時期がはっきりしていれば、賃借人もそのつもりで借りることができます。

法令又は契約で、取り壊すべきことが明らかな場合に限られます
39条1項が対象にするのは、法令又は契約により、一定の期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合です。契約による場合の例は、定期借地権の期間満了で建物を取り壊して土地を返すことになっている場合です。法令による場合の例は、土地区画整理事業などで建物を除却することになっている場合です。賃貸人がいずれ建て替えるつもりでいるというだけでは、取り壊すべきことが明らかとはいえません。
特約は、取り壊すべき事由を記載した書面でします
建物を取り壊すこととなる時に賃貸借が終了する旨の特約は、建物を取り壊すべき事由を記載した書面によってしなければなりません(39条2項)。なぜ取り壊すのかを書面に残すことで、賃借人は終了の理由と時期を確かめることができます。公正証書による必要はなく、特約の内容と取り壊すべき事由を記録した電磁的記録によってされたときも、書面によってされたものとみなされます(39条3項)。定期建物賃貸借のような、契約の前に書面を交付して説明する手続は、条文に定められていません。

定期建物賃貸借と違い、終わりは取り壊す時で決まります
定期建物賃貸借は「3年」のように期間を定め、その満了で終了します。取壊し予定の建物の賃貸借は、建物を取り壊すこととなる時に終了すると定めるもので、終わりの時が取壊しに結び付いています。どちらも、賃借人に不利な特約を無効とする30条の例外として、法律が特に認めた契約です。39条の要件を満たさない建物について同じ特約をしても、賃借人に不利な特約として無効になり、更新のある普通の建物賃貸借になります。
借地借家法 39条1項、2項法令又は契約により一定の期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合において、建物の賃貸借をするときは、第三十条の規定にかかわらず、建物を取り壊すこととなる時に賃貸借が終了する旨を定めることができる。…前項の特約は、同項の建物を取り壊すべき事由を記載した書面によってしなければならない。
試験ではこう問われる
- 法令又は契約により一定の期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合には、建物を取り壊すこととなる時に賃貸借が終了する旨を定めることができる(39条1項)
- この特約は、建物を取り壊すべき事由を記載した書面によってする。「公正証書によってしなければならない」は誤り
- 特約の内容と取り壊すべき事由を記録した電磁的記録によってされたときも、書面によってされたものとみなされる(39条3項)
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