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定期建物賃貸借ていきたてものちんたいしゃく

権利関係 借地借家法 過去問で12肢

期間の定めがある建物の賃貸借で、公正証書による等書面によって契約をし、契約の更新がないこととする旨を定めたものです(38条1項)。つまり、決めた期間が満了すれば更新されずに終わる借家契約で、定期借家とも呼ばれます。

3年間の海外転勤の間だけ自宅を貸したい人がいます。普通の建物賃貸借で貸すと、帰国しても正当の事由がなければ更新を拒めず、自分の家に戻れないおそれがあります。そこで借地借家法は、契約で決めた期間が満了すれば更新されずに終わる賃貸借を用意しました。これが定期建物賃貸借です。賃借人にとっては住み続けられない契約なので、書面で契約することと、契約の前に書面を渡して説明することの二つが、賃貸人に求められます。

書面で契約し、事前に書面で説明すれば、更新のない賃貸借になる。
書面で契約し、事前に書面で説明すれば、更新のない賃貸借になる。

書面による契約と、事前の書面による説明の二つが要ります

契約は、公正証書による等書面によってしなければなりません(38条1項)。公正証書は例で、普通の契約書でよく、契約の内容を記録した電磁的記録によってされたときも書面によるものとみなされます(38条2項)。これに加えて、賃貸人はあらかじめ、賃借人に対し、この賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければなりません(38条3項)。この書面は、賃借人の承諾を得れば電磁的方法で提供することもできます(38条4項)。賃貸人が説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは無効になり、更新のある普通の建物賃貸借として扱われます(38条5項)。

説明の書面は、契約書とは別に交付します

説明のための書面は、契約書とは別個独立の書面でなければなりません(判例)。契約書の中に「更新がなく、期間の満了により終了する」と書いてあり、それを契約の前に渡して説明したとしても、38条3項の書面を交付したことにはなりません。賃借人が、更新がない契約であることを、契約を結ぶ前にはっきり理解できるようにするための手続だからです。賃借人がすでにそのことを知っていたかどうかにかかわらず、書面の交付と説明が必要です。

説明の書面は、契約書とは別の一枚を渡す。
説明の書面は、契約書とは別の一枚を渡す。

期間が1年以上なら、終了の通知をしないと終了を対抗できません

期間が1年以上の定期建物賃貸借では、賃貸人は、期間の満了の1年前から6月前までの間(通知期間)に、賃借人に対し、期間の満了により賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を賃借人に対抗できません(38条6項)。通知を忘れても契約が更新されるわけではなく、通知期間を過ぎてから通知をした場合は、その通知の日から6月を経過すれば終了を対抗できるようになります。期間が1年未満の契約には、この通知は要りません。定期建物賃貸借では1年未満の期間もそのまま有効で、6か月と定めれば6か月の契約になります(38条1項後段)。

居住用の建物では、賃借人から中途解約できる場合があります

居住の用に供する建物で、床面積が200平方メートル未満のものについては、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときに、賃借人から解約の申入れをすることができます(38条7項)。賃貸借は、申入れの日から1月を経過することによって終了します。この解約ができるのは賃借人だけで、賃貸人の側にやむを得ない事情があっても、賃貸人からは解約できません。中途解約を禁止する特約など、賃借人に不利な特約は無効です(38条8項)。

転勤などのやむを得ない事情があれば、賃借人は解約を申し入れ、1月で終了する。
転勤などのやむを得ない事情があれば、賃借人は解約を申し入れ、1月で終了する。
借地借家法 38条1項、3項

期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第三十条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第二十九条第一項の規定を適用しない。…第一項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。

試験ではこう問われる

  1. 契約の更新がない旨を定めるには、書面による契約だけでは足りず、賃貸人があらかじめ書面を交付して説明することが必要(38条1項、3項)
  2. 公正証書に限られない。「公正証書によって契約をするときに限り」は誤り。居住用の建物でも定めることができる
  3. 説明の書面は契約書とは別個独立の書面。契約書に更新がない旨を記載して交付し説明しても足りない
  4. 説明をしなかったときは、更新がない旨の定めは無効。説明の書面は、賃借人の承諾を得て電磁的方法で提供できる
  5. 期間1年以上の場合、賃貸人が期間満了の1年前から6月前までの間に終了の通知をしなければ、終了を賃借人に対抗できない。更新したものとみなされるわけではない
  6. 居住用で床面積200平方メートル未満の建物は、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情があれば賃借人から解約を申し入れることができ、1月で終了する。賃貸人からはできず、これを禁止する特約は無効
  7. 借賃の改定に係る特約があれば、借賃増減請求権の規定は適用されない(38条9項)
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