賃貸借ちんたいしゃく
当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対して賃料を支払うことと、引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約する契約です(民法601条)。つまり、賃料を払って他人の物を借り、終わったら返す契約です。
月8万円でアパートの部屋を借りる、月極の駐車場を借りる、資材置場として空き地を借りる。どれも賃貸借です。貸す側を賃貸人、借りる側を賃借人といいます。賃貸人は物を使える状態で貸し続ける義務を負い、賃借人は賃料を支払い、契約が終わったら物を返す義務を負います。建物を借りる場合と、建物を建てるために土地を借りる場合は、借地借家法が民法に優先して賃借人を守ります。民法の決まりがそのまま働くのは、駐車場や資材置場のような場面です。

存続期間は50年までで、定めがなければ解約を申し入れます
民法の賃貸借の存続期間は50年を超えることができず、これより長い期間を定めても50年になります(604条)。短い方の制限はありません。期間を定めなかったときは、各当事者がいつでも解約の申入れをすることができ、申入れの日から土地は1年、建物は3か月、動産は1日を経過すると終了します(617条)。期間を定めたときは、期間内に解約をする権利を留保していない限り、途中で一方的にやめることはできません。期間が満了した後も賃借人が使い続け、賃貸人が知りながら異議を述べないときは、同じ条件で更新したものと推定されます(619条)。

登記をすれば、不動産を買った人にも賃借権を対抗できます
賃借権は賃貸人に対する権利なので、本来は、賃貸人から不動産を買った新しい所有者には主張できません。不動産の賃貸借を登記したときは、新しい所有者にも対抗する、つまり賃借権を主張して使い続けることができます(605条)。賃借権の登記は実際にはあまり行われないので、借地借家法は、借地は借地上の建物の登記、借家は建物の引渡しで対抗できることにしました。対抗要件を備えた不動産の賃借人は、不法に占拠する第三者に対して、妨害の停止や返還を請求できます(605条の4)。同じ土地が二人に賃貸されたときも、契約の先後ではなく、先に対抗要件を備えた方が優先すると解されています。

賃借物が使えなくなれば、賃料は減り、契約は終わります
賃借物の一部が滅失などで使えなくなり、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるときは、賃料は使えなくなった部分の割合に応じて減額されます(611条1項)。賃借人が請求しなくても当然に減額されます。残った部分だけでは借りた目的を達することができないときは、賃借人は契約を解除できます(611条2項)。賃借物の全部が使えなくなったときは、賃貸借は当然に終了します(616条の2)。
当事者が死亡しても、賃貸借は終わりません
賃貸人が死亡しても賃借人が死亡しても、賃貸借は当然には終了しません。賃貸人の地位も賃借人の地位も、相続人が引き継ぎます(896条)。無償で借りる使用貸借が借主の死亡で終了するのと異なる点です。賃貸借を解除したときは、その効果は将来に向かってのみ生じ、それまでの賃料を返す必要はありません(620条)。
民法 601条賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。
試験ではこう問われる
- 民法の賃貸借の存続期間は50年が上限。資材置場とする目的で期間を50年と定めれば50年、15年と定めれば15年になる
- 期間の定めがない賃貸借は、解約の申入れから土地1年・建物3か月で終了する。期間の定めがあっても、解約をする権利を留保していれば期間内に解約の申入れができる
- 賃借物の一部が賃借人の責めによらずに使えなくなれば、賃料はその割合に応じて当然に減額される。残りの部分だけで目的を達することができなければ解除できる
- 賃貸人や賃借人が死亡しても賃貸借は当然には終了せず、相続人がその地位を承継する
- 対抗要件を備えた不動産の賃借人は、不法占拠者に対して妨害の停止を請求できる
- 同じ土地の二重の賃貸借は、契約の先後ではなく、先に対抗要件を備えた方が優先する
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